2005年01月06日

大物ボスに売るマーケティング

とある人とランチ。久々の再会で話もはずむ。もともとまじめな性格で、この正月休みにも何冊かのビジネス書をじっくり読んだそうだ。職業は設計開発のエンジニア。マーケティングそのものは業務ではないが、知識としては精通している。


で、彼が尋ねる。「ところでマーケティングって何? どこからどこまでがマーケティングなの?」マーケティングの何たるかがわかっていないのではない。彼なりの定義を探しているのだ。


こういう質問は時々受けるが、じつに答えにくい。「人生って何?」と聞かれても答に困るようなもの。が、私もこの商売長いので、いくつかの回答パターンは用意してある。


ちなみに、教科書っぽい本で必ず引用されるアメリカ・マーケティング協会による定義は

「マーケティンングとは、個人や組織の目標を満足させる交換を創造するために、アイデア・商品・サービスについて、コンセプトの作成、価格設定、プロモーション、流通を計画し実行するプロセスである。」

この定義を読んで「なるほど」と思った人はマーケティングに向いていないというのが私の主張(^_^)


本日、私が彼を煙に巻いた回答は

マーケティング:客が欲しがっているものを売ること
なぜなら:売るのが簡単だから。


実はこれ、何かの映画で観たワンシーン。麻薬ディーラーに変装した特捜刑事が大物ボスのところへ麻薬を売りに行く。大物ボスは絶対の権力を持っているという設定。ただし最近「仕入れ」には困っている。

  変装刑事:100万ドル
  大物ボス:80万ドルにしときな
  変装刑事:値切るんだったら150万ドル
  大物ボスは慌てるが渋々150万ドルを承認。
  変装刑事:手間とらせやがったので200万ドル。

商談成立。大物ボスの事務所を出るとき、変装刑事の素性を知らないで同行していたコールガールが「あなたって凄腕のビジネスマンね」とウットリ。変装刑事いわく「なーに、客が欲しがっているモノを売るのは簡単さ」とうそぶく。大物ボスが仕入れに困っているのは、実は警察がブツを倉庫から押収したから。


みたいなストーリー。ちょっと乱暴な事例かもしれないが、真理はついていると思う。

作る労力は
自分が作りたいor作れるものを作る<客が欲しがるものを作る

だが、売る労力は
客が欲しがるものを売る<客が欲しがっていないものを売る

客が欲しがっていないものを売るのはとても大変だからマーケティングが大切。本日は“あとで楽するために最初に苦労するのがマーケティング”の下書きでした。

wassho at 23:18│Comments(0) マーケティング、ビジネス 

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