2005年01月18日
0.2秒の判断と先入観
とあるミーティング。こっちは私とH君、先方はS社長。ミーティングが終わってしばらくしてH君より「S社長のメールアドレス知ってますかあ?」と尋ねられる。名刺交換したはずなのに? 「名刺にアドレス書いてないんですよ」とH君。
そんなバカな。今時メールアドレスがないなんて。そんな会社もあるけどS社長のところはホームページ制作会社! 名刺を確認する。やっぱりない。変な会社。さっきの発注は取り消そうか。
−−−なんてことを思いながら名刺をしばらく眺めて気がついた。結論をいうとメールアドレスは書いてあった。名刺の一番上に、社名より大きなサイズで色まで変えて! だから見落とした。私もH君も名刺の下にある住所や電話番号を書いてあるところを何回も見直していたのだ。最上段にブルーの文字で美しく大きく記載されていたメールアドレスは“名刺のデザイン”として脳は認識していたのだ。
名刺の面積なんてほんの僅か。なのに注視しても、探しているメールアドレスを見つけられない。脳というか認知の仕組みの不思議さを改めて感じた。
本当の実験結果かどうか出典を確認したこともないのだけれど、マーケティングの世界で広く信じられている心理学理論に「人間は0.2秒で状況を理解し、次の0.2秒でその後の行動を決定する」というのがある。例えばスーパーで何か商品を探しているとき、0.2秒で棚にある商品が何かを見分け、次の0.2秒でそれが自分の探している商品かどうかを区別して、もっとよく見るか、無視して次の棚を探すかを判断する。
先の名刺では0.2秒でブルーの文字を模様と認識ミスし、次の0.2秒でアドレスではないから無視するとプログラム通り脳は決定した。ブルーの模様と思ってしまったのは、メールアドレスは住所の下に小さな文字で書いてあるものという先入観念。
マーケティングリサーチは先入観を排除した仕事のイメージを持たれるかも知れないが、残念ながらそうでもない。1つ上げると調査対象をどんな人にするかで先入観がある。この商品は女子高生向けとか主婦向けとかの先入観(あるいは過去の実績)で、調査対象者も女子高生や主婦が選ばれることも多い。その商品に一見無関係な中年オヤジやバアサンも調査すれば、面白いヒントが得られると思うのだが、そこまで手の回るプロジェクトは滅多にない。
企業が予想していなかったターゲットや使い方で商品がヒットすることは結構ある。古い例えだが、外回り営業マン用に開発されたポケベルは女子高生のコミュニケーション遊び道具になって回線がパンクするほどヒットした。NTTは外回り営業マンは充分に調査したはずである。しかし先入観による当たり前の調査対象者にリサーチしただけでは、やはり当たり前のマーケティング・プランしか描けない。
本日は“調査予算を2倍にしてくれれば予想していなかったことを、予想できるから太っ腹でお願いします”の下書きでした。なお、脳には特別な能力もある。私は街で女性とすれ違ったとき振り向くかどうかを判断するのに0.2秒もかからない(^^ゞ
そんなバカな。今時メールアドレスがないなんて。そんな会社もあるけどS社長のところはホームページ制作会社! 名刺を確認する。やっぱりない。変な会社。さっきの発注は取り消そうか。
−−−なんてことを思いながら名刺をしばらく眺めて気がついた。結論をいうとメールアドレスは書いてあった。名刺の一番上に、社名より大きなサイズで色まで変えて! だから見落とした。私もH君も名刺の下にある住所や電話番号を書いてあるところを何回も見直していたのだ。最上段にブルーの文字で美しく大きく記載されていたメールアドレスは“名刺のデザイン”として脳は認識していたのだ。
名刺の面積なんてほんの僅か。なのに注視しても、探しているメールアドレスを見つけられない。脳というか認知の仕組みの不思議さを改めて感じた。
本当の実験結果かどうか出典を確認したこともないのだけれど、マーケティングの世界で広く信じられている心理学理論に「人間は0.2秒で状況を理解し、次の0.2秒でその後の行動を決定する」というのがある。例えばスーパーで何か商品を探しているとき、0.2秒で棚にある商品が何かを見分け、次の0.2秒でそれが自分の探している商品かどうかを区別して、もっとよく見るか、無視して次の棚を探すかを判断する。
先の名刺では0.2秒でブルーの文字を模様と認識ミスし、次の0.2秒でアドレスではないから無視するとプログラム通り脳は決定した。ブルーの模様と思ってしまったのは、メールアドレスは住所の下に小さな文字で書いてあるものという先入観念。
マーケティングリサーチは先入観を排除した仕事のイメージを持たれるかも知れないが、残念ながらそうでもない。1つ上げると調査対象をどんな人にするかで先入観がある。この商品は女子高生向けとか主婦向けとかの先入観(あるいは過去の実績)で、調査対象者も女子高生や主婦が選ばれることも多い。その商品に一見無関係な中年オヤジやバアサンも調査すれば、面白いヒントが得られると思うのだが、そこまで手の回るプロジェクトは滅多にない。
企業が予想していなかったターゲットや使い方で商品がヒットすることは結構ある。古い例えだが、外回り営業マン用に開発されたポケベルは女子高生のコミュニケーション遊び道具になって回線がパンクするほどヒットした。NTTは外回り営業マンは充分に調査したはずである。しかし先入観による当たり前の調査対象者にリサーチしただけでは、やはり当たり前のマーケティング・プランしか描けない。
本日は“調査予算を2倍にしてくれれば予想していなかったことを、予想できるから太っ腹でお願いします”の下書きでした。なお、脳には特別な能力もある。私は街で女性とすれ違ったとき振り向くかどうかを判断するのに0.2秒もかからない(^^ゞ
wassho at 23:45│Comments(3)│
│マーケティング、ビジネス
この記事へのコメント
1. Posted by ちえぞぉ 2005年01月19日 23:12
どうも記事の本質に対するコメントではないコメントが続きますが…
数少ないベル世代のちえぞぉです。
持った事はありませんでしたが、高校の10分という短い休み時間、
玄関の脇にある2台の公衆電話に我先にと走って
全力でベルへのメッセージを打ち
後ろに並ぶ友人に電話を明け渡す日々を送っていました。
勿論、1本指でプッシュボタンを押すのではなく
3本が基本です(笑)
確かにあのベルは私たち当時の女子高生からは
絶大な支持を得ていましたが、
その後のPHS、携帯電話の台頭でとって代わられた感が拭えません。
それでもあのポケベルはその後のモバイルコミュニケーションの
火付け役となったことは確かだと思います。
(あの時のベル打技術は社会人になって大いに活躍したのでした)
数少ないベル世代のちえぞぉです。
持った事はありませんでしたが、高校の10分という短い休み時間、
玄関の脇にある2台の公衆電話に我先にと走って
全力でベルへのメッセージを打ち
後ろに並ぶ友人に電話を明け渡す日々を送っていました。
勿論、1本指でプッシュボタンを押すのではなく
3本が基本です(笑)
確かにあのベルは私たち当時の女子高生からは
絶大な支持を得ていましたが、
その後のPHS、携帯電話の台頭でとって代わられた感が拭えません。
それでもあのポケベルはその後のモバイルコミュニケーションの
火付け役となったことは確かだと思います。
(あの時のベル打技術は社会人になって大いに活躍したのでした)
2. Posted by 晴れ時々マーケティング 2005年01月21日 15:03
ちえぞぉ様
「何事もちょっと制約があったほうが盛り上がる」
ちえぞぉのマーケティング法則その1
勉強させて頂きました。
今後もネタ提供よろしくお願いします(^_^)
「何事もちょっと制約があったほうが盛り上がる」
ちえぞぉのマーケティング法則その1
勉強させて頂きました。
今後もネタ提供よろしくお願いします(^_^)
3. Posted by ちえぞぉ 2005年01月22日 03:35
何事も制約があった方が盛り上がるのは
確かにそうなんですが…
そこに思わぬ落とし穴が待ち構えていることも
また多いですね。
って、ベル世代からのコメントはネタになったんですか?(笑)
確かにそうなんですが…
そこに思わぬ落とし穴が待ち構えていることも
また多いですね。
って、ベル世代からのコメントはネタになったんですか?(笑)