2005年01月19日

新生銀行の衝撃

個人の銀行口座はU銀行とMZ銀行を主に使っている。自宅近くの支店はずいぶん前にATMだけになり、しかも台数が少なく待ち時間が長い。しかしMS銀行は現在も支店があり何よりATM台数が多い。


そこでMS銀行に口座を開こうと年末に出かけた。しかし仕事の合間をぬってだったので自宅とも仕事場とも関係のない支店に。フロアにいた行員に新規口座開設の旨を伝えると、住所はどこかと尋ねられる。「ここは通りすがりの支店だが、自宅近くの支店を利用したくて」というと「自宅か仕事場に近い支店でしか口座は開けない。オレオレ詐欺とかで、いろいろ規制が厳しくて」との返答。フ〜ンと思って帰ろうとすると「手続きはこの支店でできる。口座が自宅近くの支店に開かれることになる」と行員に慌てて止められる。ソレヲサキニイエヨ。


というか、これって意味があるのか。免許証などで本人確認はするし、自宅近くの支店の行員が自宅に尋ねてくるわけでもあるまい。よくわからないセキュリティ対策。


ATMでの出し入れは、どうしても時間外になることが多い。105円とか205円を余計に取られて気分が悪い。なんて話を友人にしていたら新生銀行なら時間外手数料を取られないと教えてくれた。ちなみにその友人は違う銀行勤務(^^ゞ

しかし新生銀行の店舗やATMって数が少ないから−−−といいかけたら、たいていの銀行のATMが無料で使えるとのこと。私がその気になったのはアイワイバンク(セブンイレブンにある)で入出金が無料との一言。アイワイバンクの口座ですら時間外手数料を取るのに!


そんな話をしたのはずいぶん前なのだけれど、グズグズしていて口座は開いていなかった。ネットで申し込んでから、免許証をコピーして送ったりするのが面倒だったから。ところが先日、銀座を歩いていたら新生銀行の店舗を発見。最初はショールームかと思った。それくらい変わった作り。何となくサテライト店舗風の位置づけらしい。


手続きも結構衝撃的。

1.口座開設の旨を伝える。
2.免許証を渡す。
3.こちらへどうぞとパソコンの前に座らされる。

何だ、自分で打ち込むのかと思ったが

4.そのパソコンで1分間のデモムービーを見せられる。
5.その間に免許証をコピーした用紙が作られ、その用紙には名前や住所を書く覧がある。記入する。勤務先とか家族構成とか自宅に何年住んでいるか等の質問はナシ。

普通、口座開設の用紙は何枚か重ねの専用の用紙だが、新生銀行はペラ1枚のコピー用紙!

6.しばらくお待ち下さいといわれる。どうも本店かどこかにファックスしている模様。ピ〜ヒョロヒョロの音が聞こえた。
7.2分くらいで口座が開設されましたと告げられる。はやっ!
8.キャッシュカードを作るので5分お待ち下さいといわれる。その間に若干の説明を受ける。フォルダに収められた説明書を渡される。

MS銀行ではキャッシュカードは10日くらい後に郵送されてきた。なお新生銀行は通帳がない。月に一度取引明細が送られてくる。判子でもサインでも口座は開ける。珍しいので私はサインを選んだ。

9.5分かからずにキャッシュカードが出来上がる。
10.暗証番号を自分で打ち込む。

終了。That's all

はっきりいって感激した。マーケティングの仕事も長いと「スレタ人間」になって、ちょっとやそっとでは驚かないのに充分に感激した。この手続きのシンプルさ、早さ。そして感激したもうひとつの理由は、説明を受けたときに知ったのだがネットでの振り込み手数料が無料。この銀行はたいていのことが無料でできる。

ちなみにMS銀行の他行あてネット振り込みは3万円以上なら420円。だから家賃振り込みに年間5040円取られる。なお、この金額は時間内のATM振り込み手数料と同じ。


しかし、時間外手数料、ネット振り込み手数料、各種手続き−−−同じ銀行なのにどうしてこうも違うのか。もちろん最大の理由は長銀の国有化、解体(だったかどうかはよく覚えていないが)などを経て、新生銀行はゼロに近い形でスタートできたからだろう。現状に縛られず理想を追求できる。


でも、おそらくそれだけではない。手数料無料もコストを切りつめて無料にしたのではなく、無料を前提にビジネスモデルを組み立てたに違いない。銀行業界には詳しくないが、それくらいの発想ができるレベルにないと、このような違いを実現できないことは私の経験でわかる。現状に縛られず理想を追求できたと書いたが、理想を描く能力のある企業自体が実は少ない。


これだけほめたが、問題ももちろんある。まず新生銀行は何となく信用力が不安だ。全預金を新生銀行に一本化する気はもちろんない。まだあまり深い付き合いでないからオペレーションレベルも未知数。銀行が口座管理手数料を取る時代が来れば、この銀行はおそらく先陣を切るだろう。


それでもである。どの業界でも日本の同業各社はほとんど似たり寄ったり。しかしやろうと思えば、他社とこれだけ差別化できる見本を新生銀行は示した。しかも金融機関という規制だらけの業界で。どの業界も見習うべき点は多いはず。勇気をもらえるはず。本日は“新生銀行に口座を開きにいって、為せば成るとマーケティングの可能性を感じよう”の下書きでした。

ところで新生銀行では500円の商品券をくれた。MS銀行ではティッシュひとつくれなかったが。MS銀行では本日はいくらご入金いただけますかと尋ねられ1000円入れたが、新生銀行では尋ねられない。つまり0円で口座を開ける。口座を開いて500円儲けた(^_^)

wassho at 23:43│Comments(0) マーケティング、ビジネス 

この記事へのトラックバック

1. ネットバンキング  [ 日常の耐えられない軽さ ]   2005年03月08日 01:57
口座開設をして、キャッシュカードも手元にあったのに、使っていなかった新生銀行の銀行口座。いよいよ使い始めました。 口座を開設する前は、新生銀行といえば、あの日本長期信用銀行(長銀)が前身なので、躊躇していたのですが、「今、現在」の利便性を考慮して、口.

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