2023年09月
2023年09月30日
東郷神社を初訪問
先日、原宿方面に出かけた際に東郷神社の前を通りかかった。今までに数え切れないくらい通りかかっているのに、そういえば訪れたことがなかった場所。
かつては修学旅行で上京した中高生の聖地、今はやたら外国人観光客も多い竹下通りのすぐそばに東郷神社はある。竹下通りと明治通りが交差する竹下口と、神社入り口とは100メートルも離れていない。明治神宮は原宿駅から上に伸びる線路の左側。
これは8月25日に同級生Y君の原宿〜渋谷観光に付き合った際に撮った竹下通り。夏休み期間中とはいえ、この日は平日ね。
そのすぐそばにある東郷神社の入口。明治神宮もそうだけれど、原宿は喧噪から静寂へワープできる不思議なエリア。
ところで以前は鳥居に色は塗られていなかったような記憶が。建て替えたか新たに塗ったのかな。朱色に塗られた鳥居はよく見るが、このような色は珍しいと思う(あまり神社には詳しくない)。でもシックな色合いでとても素敵。
しばらく歩くと手水舎があり、
そこを右に抜けると神社の建物が見える。
中に入りましょう。
門の扉に付けられていた、これはレリーフと呼べばいいのか? 下側は蔦(つた)の葉で東郷家の家紋とのこと。上側は言わずと知れた天皇家の菊の御紋。これを組み合わせたものは初めて見たような気がする。なおこの神社に祀られている東郷平八郎はもちろん皇族ではないし、その血筋を引いてもいない。
なお手水舎の写真に写っている石塔には、そのものズバリの菊の御紋がある。
ところで天皇および皇室を表すのは「十六葉八重表菊」のデザイン。16枚の花びらが2重(ふたえ)にデザインされている。これが狭義での菊の御紋。
こちらは左が秋篠宮、右が常陸宮(上皇の弟)を示す紋章。どちらも花びらが14枚になっている。皇室には宮家も含まれるけれど、各宮家に独自のものもあるみたい。
パスポートに描かれている菊の花びらは16枚でも、
一重(ひとえ)デザインで天皇および皇室のと微妙に違う。
写真左側はいわゆる国会議員バッチで花びら11枚の一重。
これは衆議院のもので参議院は布の部分が紺色になる。
右側は昨年の8月に偽の議員バッチを使って、官公庁や国会に出入りして捕まった男が使っていたもの。16枚の花びらが2重=十六葉八重表菊=天皇家および皇室専用になっている。もっともバッチなんて小さくて、ぱっと見で枚数なんて分からないもの。「試しに偽バッチを付けて国会周辺を歩いてみたら、衛視らに敬礼された」と供述しているとニュースにあったくらい(^^ゞ
なおここまで載せたのはすべて菊を表から見た表菊。菊の紋章デザインには裏菊もある。花の裏から見た姿を描くなんて日本人独特の感性というか、それをマークにするなんてはっきり言ってちょっとヘンかも。画像は左が表菊で右が裏菊。
意識している人は少ないと思うものの、このように菊の紋章は天皇家のものと被らないようにいろいろなバリエーションがある。この街宣車は花びらは16枚あっても一重のデザイン。もし16枚二重のものを使っている右翼がいれば、正座させて説教しましょう(^^ゞ
紋章に興味を引かれて、いつのように話がそれてしまったm(_ _)m
続きは次回に。
かつては修学旅行で上京した中高生の聖地、今はやたら外国人観光客も多い竹下通りのすぐそばに東郷神社はある。竹下通りと明治通りが交差する竹下口と、神社入り口とは100メートルも離れていない。明治神宮は原宿駅から上に伸びる線路の左側。
これは8月25日に同級生Y君の原宿〜渋谷観光に付き合った際に撮った竹下通り。夏休み期間中とはいえ、この日は平日ね。
そのすぐそばにある東郷神社の入口。明治神宮もそうだけれど、原宿は喧噪から静寂へワープできる不思議なエリア。
ところで以前は鳥居に色は塗られていなかったような記憶が。建て替えたか新たに塗ったのかな。朱色に塗られた鳥居はよく見るが、このような色は珍しいと思う(あまり神社には詳しくない)。でもシックな色合いでとても素敵。
しばらく歩くと手水舎があり、
そこを右に抜けると神社の建物が見える。
中に入りましょう。
門の扉に付けられていた、これはレリーフと呼べばいいのか? 下側は蔦(つた)の葉で東郷家の家紋とのこと。上側は言わずと知れた天皇家の菊の御紋。これを組み合わせたものは初めて見たような気がする。なおこの神社に祀られている東郷平八郎はもちろん皇族ではないし、その血筋を引いてもいない。
なお手水舎の写真に写っている石塔には、そのものズバリの菊の御紋がある。
ところで天皇および皇室を表すのは「十六葉八重表菊」のデザイン。16枚の花びらが2重(ふたえ)にデザインされている。これが狭義での菊の御紋。
こちらは左が秋篠宮、右が常陸宮(上皇の弟)を示す紋章。どちらも花びらが14枚になっている。皇室には宮家も含まれるけれど、各宮家に独自のものもあるみたい。
パスポートに描かれている菊の花びらは16枚でも、
一重(ひとえ)デザインで天皇および皇室のと微妙に違う。
写真左側はいわゆる国会議員バッチで花びら11枚の一重。
これは衆議院のもので参議院は布の部分が紺色になる。
右側は昨年の8月に偽の議員バッチを使って、官公庁や国会に出入りして捕まった男が使っていたもの。16枚の花びらが2重=十六葉八重表菊=天皇家および皇室専用になっている。もっともバッチなんて小さくて、ぱっと見で枚数なんて分からないもの。「試しに偽バッチを付けて国会周辺を歩いてみたら、衛視らに敬礼された」と供述しているとニュースにあったくらい(^^ゞ
なおここまで載せたのはすべて菊を表から見た表菊。菊の紋章デザインには裏菊もある。花の裏から見た姿を描くなんて日本人独特の感性というか、それをマークにするなんてはっきり言ってちょっとヘンかも。画像は左が表菊で右が裏菊。
意識している人は少ないと思うものの、このように菊の紋章は天皇家のものと被らないようにいろいろなバリエーションがある。この街宣車は花びらは16枚あっても一重のデザイン。もし16枚二重のものを使っている右翼がいれば、正座させて説教しましょう(^^ゞ
紋章に興味を引かれて、いつのように話がそれてしまったm(_ _)m
続きは次回に。
2023年09月28日
トレッドストーンとサンクコスト その3
コンコルドほど超がつく大コケでなくとも、サンクコストにとらわれてズルズルと赤字を垂れ流し、さらに追加投資までしている事業は多くの企業にあるだろう。
サンクコストにとらわれないとはいわゆる「損切り」をすること。ただしこれは金額が大きくなるほど難しくなってくる。「少しでも取り返さなければ」との意識が働くし、「中止すれば損失が確定してしまう」のが恐怖になる。そしてそれによる責任問題が発生するから先送りされがち。また戦争では敗戦を認めれば「これまでに戦死した将兵に申し訳が立たない」と金額に換算できない理屈が持ち上がってくる。
また変形パターンとしては
社会の変化で既存事業が衰退
そこで新規事業を始めて成功
して、だったら既存事業をたためばいいのに「会社の祖業をやめるわけにはいかない」「創業者に顔向けできない」と、せっかくの新規事業の黒字を既存事業の赤字が食い潰す例も割とある。
そう書くと、世の中はアホな経営者や政治家が多いなあと思われるかも知れないが、個人の生活においてもサンクコストの沼にはまりやすいもの。本来の行動経済学からは拡大解釈になるものもあるが、例えば次のような事例。
本やCDを買う、あるいは映画を見に行く。
すぐにハズレと分かる。
しかしせっかくお金を払ったのだからと最後まで読む・聴く・観る。
長い行列に並んで順番を待つ。
並んでいる内に冷静になって「実はそれほど欲しくなかった」と気付くものの、
ここまで我慢したのだからと並び続ける。
使っていないモノ、着ていない服がたくさんあるのに、
もったいないからと捨てられず、
部屋が狭くなりクローゼットも一杯。
今までの負けを取り返すまではとギャンブルをやめられない。
ここまで攻略した課金したからと続けるゲーム。
長期の司法試験浪人も似たようなもの。
もう冷めているし将来性がないのは確実なのに、
長く付き合っている人と別れられない。
あるいは転職できない。
どういう心理が働いているのか、失っているものは何かについてはそれぞれで考えて欲しい。意外と例外はダイエットで、すぐに諦めて「趣味はダイエット、特技はリバウンド」な人が私の周りにもたくさんいる(^^ゞ
またサンクコストの心理を逆手に取った、
マーケティングの術中にとらわれる場合もある。
典型的なのはデアゴスティーニ(社名がディアじゃないの知ってた?)などの定期購読で付録模型が徐々に完成する例のヤツ。最新の「週刊 陸上自衛隊 90式戦車」は創刊号が290円で2号目以降が1999円。それが110号まで続く。ただしそのうち3990円の号が3回と4990円の号が1回ある。計算すると完成させるには22万6200円が必要。完成させるのは購読者の1割程度らしい。残りの人で途中でイヤになってもすぐに諦めず「ここまで組み立てたのだから」としばらく続けたのなら、それはサンクコストの心理に陥っている。途中から楽しみではなく単に意地になって完成させた人も同じ。
またクレジットカードや会員カードには、それを使って得られるポイントによって会員ランクが変動するものがある。もちろん上級ランクほど得られるメリットは大きい。それで航空会社カードではランクを上げたい、あるいは維持しようと、行きたくもない旅行をする人をマイル修行僧と呼ぶみたい(^^ゞ
厳密には損失が出ていないのでこれはサンクコスト効果ではないが、今まで溜めてきたものを守りたい点では通ずるものがある。サンクコストをネットで調べると事例として何でもかんでも当てはめているものも多いので、その点は注意が必要。一般的にカタカナ用語は解釈が拡大しやすい。
サンクコストのワナに陥らないためには、冷静に合理的に「今後の損得」「のみ」を考え判断するしかない。というか「どうしたって回収できないもの」がサンクコストなのだから、本来はそれに影響されること自体がおかしい。
でも「もったいないお化け」が出て「もうちょっとがんばってみようか」と悪魔が囁くのが人間なんだよなあ。とりあえずどう対応するかは別にして、これはサンクコストかそうでないのかを判別する習慣を付けておくといいかも。そのために第3者の意見を求めるのも効果的。
おしまい
サンクコストにとらわれないとはいわゆる「損切り」をすること。ただしこれは金額が大きくなるほど難しくなってくる。「少しでも取り返さなければ」との意識が働くし、「中止すれば損失が確定してしまう」のが恐怖になる。そしてそれによる責任問題が発生するから先送りされがち。また戦争では敗戦を認めれば「これまでに戦死した将兵に申し訳が立たない」と金額に換算できない理屈が持ち上がってくる。
また変形パターンとしては
社会の変化で既存事業が衰退
そこで新規事業を始めて成功
して、だったら既存事業をたためばいいのに「会社の祖業をやめるわけにはいかない」「創業者に顔向けできない」と、せっかくの新規事業の黒字を既存事業の赤字が食い潰す例も割とある。
そう書くと、世の中はアホな経営者や政治家が多いなあと思われるかも知れないが、個人の生活においてもサンクコストの沼にはまりやすいもの。本来の行動経済学からは拡大解釈になるものもあるが、例えば次のような事例。
本やCDを買う、あるいは映画を見に行く。
すぐにハズレと分かる。
しかしせっかくお金を払ったのだからと最後まで読む・聴く・観る。
長い行列に並んで順番を待つ。
並んでいる内に冷静になって「実はそれほど欲しくなかった」と気付くものの、
ここまで我慢したのだからと並び続ける。
使っていないモノ、着ていない服がたくさんあるのに、
もったいないからと捨てられず、
部屋が狭くなりクローゼットも一杯。
今までの負けを取り返すまではとギャンブルをやめられない。
ここまで攻略した課金したからと続けるゲーム。
長期の司法試験浪人も似たようなもの。
もう冷めているし将来性がないのは確実なのに、
長く付き合っている人と別れられない。
あるいは転職できない。
どういう心理が働いているのか、失っているものは何かについてはそれぞれで考えて欲しい。意外と例外はダイエットで、すぐに諦めて「趣味はダイエット、特技はリバウンド」な人が私の周りにもたくさんいる(^^ゞ
またサンクコストの心理を逆手に取った、
マーケティングの術中にとらわれる場合もある。
典型的なのはデアゴスティーニ(社名がディアじゃないの知ってた?)などの定期購読で付録模型が徐々に完成する例のヤツ。最新の「週刊 陸上自衛隊 90式戦車」は創刊号が290円で2号目以降が1999円。それが110号まで続く。ただしそのうち3990円の号が3回と4990円の号が1回ある。計算すると完成させるには22万6200円が必要。完成させるのは購読者の1割程度らしい。残りの人で途中でイヤになってもすぐに諦めず「ここまで組み立てたのだから」としばらく続けたのなら、それはサンクコストの心理に陥っている。途中から楽しみではなく単に意地になって完成させた人も同じ。
またクレジットカードや会員カードには、それを使って得られるポイントによって会員ランクが変動するものがある。もちろん上級ランクほど得られるメリットは大きい。それで航空会社カードではランクを上げたい、あるいは維持しようと、行きたくもない旅行をする人をマイル修行僧と呼ぶみたい(^^ゞ
厳密には損失が出ていないのでこれはサンクコスト効果ではないが、今まで溜めてきたものを守りたい点では通ずるものがある。サンクコストをネットで調べると事例として何でもかんでも当てはめているものも多いので、その点は注意が必要。一般的にカタカナ用語は解釈が拡大しやすい。
サンクコストのワナに陥らないためには、冷静に合理的に「今後の損得」「のみ」を考え判断するしかない。というか「どうしたって回収できないもの」がサンクコストなのだから、本来はそれに影響されること自体がおかしい。
でも「もったいないお化け」が出て「もうちょっとがんばってみようか」と悪魔が囁くのが人間なんだよなあ。とりあえずどう対応するかは別にして、これはサンクコストかそうでないのかを判別する習慣を付けておくといいかも。そのために第3者の意見を求めるのも効果的。
おしまい
2023年09月26日
トレッドストーンとサンクコスト その2
アメリカのドラマだし、また興業収入約1800億円と大ヒットした映画ボーンシリーズを下敷きにして強気だったのか、トレッドストーンは相当に大規模な制作である。
舞台設定だけを見ても
アメリカ(アラスカ、ケンタッキー、バージニア)、ロンドン、パリ
冷戦下の東ドイツ、ロシア、ハンガリー、ルーマニア
インド、ギリシア、ガーナ、北朝鮮、韓国、中国
と多岐にわたる。もちろん実際のロケ地はそれぞれの国ではなく似たような雰囲気の場所も選ばれているだろうが、それでも世界各地で撮影されたはず。また4つのストーリーが同時進行するから登場する俳優の人数も多い。
それだけの制作費を掛けても元が取れて利益が出ると判断したから、このドラマは制作された。また前回でも書いたように最低でも3シーズンは続ける予定だったはず。シーズン1はエピローグ編みたいなもので、提示した謎は一切解けないまま終わったのだから。
でも結果はシーズン1であえなく打ち切り(/o\) テレビの視聴率、ストリーミングサービス配信数やDVDの販売が予想より低かったのだろう。できれば予想と実際の差を知りたいところだが、このドライな判断にはある意味で感銘を受けた。もっとも超大物俳優は出演していないから決断できた可能性はある。もちろんジャニタレは出演していないから事務所にソンタクする必要もなし(^^ゞ
そして頭に浮かんだのがサンクコストという言葉。元は行動経済学の用語で、10年ほど前からビジネスやマーケティングの分野でもチラホラ使われるようになった。ごく簡単に説明すると、
狭義のサンクコストとは、
事業に投下したが回収できないコストを意味する。
このコストには資金はもちろん労力や時間なども含まれる。
事業ではない様々な場面に当てはめられる場合もある。
広義のサンクコストとは、
「今は赤字だがやがて状況が好転する(根拠なき願望)」「やめてしまえば
今までの苦労が水の泡になる」「少しでも取り返さなければ」「中止すれば
損失が確定してしまう」ーーー
などの心理が働いて、ズルズルとその事業を継続し損失が拡大すること。
これをサンクコスト効果と呼び、逆にいえばそれを引き起こすのが
サンクコスト。赤字がすべてサンクコストではない(ただしこれは私の解釈)。
ちなみにサンクコストのサンクとはサンキューのThankではなくて、沈むを意味する動詞Sinkの過去分詞であるSunk。名詞としてのSinkはキッチンのシンクね。日本語では埋没費用と訳される。でもドブに捨てた金と表現したほうがイメージが湧くかも。
サンクコストでよく引き合いに出されるのがコンコルドの事例。これだけ特別扱いでコンコルド効果やコンコルドの誤謬と呼ばれたりもする。もう20年前に運行中止されたから知らない人もいるだろうが、コンコルドとは1970年代にイギリスとフランスで開発された超音速旅客機。マッハ2.2の速度が出せて、普通の旅客機では7時間かかるロンドン〜ニューヨーク間を3時間半で結んだ。
1960年代から開発が始められて、その段階での仮受注は100機ほど(開発段階から受注を取り始めるのが航空業界の商習慣)。1969年に試作機完成。1970年代に入って世界各国の主要空港でお披露目飛行をしてさらなる売り込みを図ったものの、逆に
オイルショックによる燃料費高騰:超音速で飛ぶので燃費は普通の旅客機の3.5倍
超音速で飛ぶと衝撃波が発生するので飛行ルートが海上のみと規制された
騒音問題:離着陸時の騒音は落雷レベルといわれた
航続距離が短く太平洋を横断できない
機体が狭く100人しか乗れない
また座席はエコノミークラス並み、でも運賃はファーストクラスの2割増しになる
ーーーその他諸々あって、ほとんどの航空会社が続々と発注をキャンセル(/o\) 採算ラインに乗るのが250機とされてていたのに、確定受注は開発国の航空会社であるブリティッシュ・エアウェイズとエールフランスで7機ずつ合計14機のみ。それでも4000億円を投じた開発費がサンクコストとなってプロジェクトは継続され、そして1976年に商業運行が始まったその年に製造中止と決まる。つまり何が何でも完成させて飛ばしたかったということ。そして2003年に運行を終えるまでに数兆円の赤字を垂れ流したとされる。
その赤字が製造メーカーの損失なのか、運行で航空会社も赤字を出したのかの内訳は分からなかった。コンコルドは英仏の国策事業みたいなものだから、税金で穴埋めされたのかも知れない。
コンコルドが売れなかった理由を客観的に眺めれば「誰か止めるヤツいなかったのか!」である。しかしそれがサンクコストの恐ろしいところ。この時は「国家の威信」なんて厄介なものも絡んでいた。あっ、再来年に大阪で万博をやるらしいね。建設費は当初予算の1250億円から2300億円の大幅アップだって?(^^ゞ
ーーー続く
舞台設定だけを見ても
アメリカ(アラスカ、ケンタッキー、バージニア)、ロンドン、パリ
冷戦下の東ドイツ、ロシア、ハンガリー、ルーマニア
インド、ギリシア、ガーナ、北朝鮮、韓国、中国
と多岐にわたる。もちろん実際のロケ地はそれぞれの国ではなく似たような雰囲気の場所も選ばれているだろうが、それでも世界各地で撮影されたはず。また4つのストーリーが同時進行するから登場する俳優の人数も多い。
それだけの制作費を掛けても元が取れて利益が出ると判断したから、このドラマは制作された。また前回でも書いたように最低でも3シーズンは続ける予定だったはず。シーズン1はエピローグ編みたいなもので、提示した謎は一切解けないまま終わったのだから。
でも結果はシーズン1であえなく打ち切り(/o\) テレビの視聴率、ストリーミングサービス配信数やDVDの販売が予想より低かったのだろう。できれば予想と実際の差を知りたいところだが、このドライな判断にはある意味で感銘を受けた。もっとも超大物俳優は出演していないから決断できた可能性はある。もちろんジャニタレは出演していないから事務所にソンタクする必要もなし(^^ゞ
そして頭に浮かんだのがサンクコストという言葉。元は行動経済学の用語で、10年ほど前からビジネスやマーケティングの分野でもチラホラ使われるようになった。ごく簡単に説明すると、
狭義のサンクコストとは、
事業に投下したが回収できないコストを意味する。
このコストには資金はもちろん労力や時間なども含まれる。
事業ではない様々な場面に当てはめられる場合もある。
広義のサンクコストとは、
「今は赤字だがやがて状況が好転する(根拠なき願望)」「やめてしまえば
今までの苦労が水の泡になる」「少しでも取り返さなければ」「中止すれば
損失が確定してしまう」ーーー
などの心理が働いて、ズルズルとその事業を継続し損失が拡大すること。
これをサンクコスト効果と呼び、逆にいえばそれを引き起こすのが
サンクコスト。赤字がすべてサンクコストではない(ただしこれは私の解釈)。
ちなみにサンクコストのサンクとはサンキューのThankではなくて、沈むを意味する動詞Sinkの過去分詞であるSunk。名詞としてのSinkはキッチンのシンクね。日本語では埋没費用と訳される。でもドブに捨てた金と表現したほうがイメージが湧くかも。
サンクコストでよく引き合いに出されるのがコンコルドの事例。これだけ特別扱いでコンコルド効果やコンコルドの誤謬と呼ばれたりもする。もう20年前に運行中止されたから知らない人もいるだろうが、コンコルドとは1970年代にイギリスとフランスで開発された超音速旅客機。マッハ2.2の速度が出せて、普通の旅客機では7時間かかるロンドン〜ニューヨーク間を3時間半で結んだ。
1960年代から開発が始められて、その段階での仮受注は100機ほど(開発段階から受注を取り始めるのが航空業界の商習慣)。1969年に試作機完成。1970年代に入って世界各国の主要空港でお披露目飛行をしてさらなる売り込みを図ったものの、逆に
オイルショックによる燃料費高騰:超音速で飛ぶので燃費は普通の旅客機の3.5倍
超音速で飛ぶと衝撃波が発生するので飛行ルートが海上のみと規制された
騒音問題:離着陸時の騒音は落雷レベルといわれた
航続距離が短く太平洋を横断できない
機体が狭く100人しか乗れない
また座席はエコノミークラス並み、でも運賃はファーストクラスの2割増しになる
ーーーその他諸々あって、ほとんどの航空会社が続々と発注をキャンセル(/o\) 採算ラインに乗るのが250機とされてていたのに、確定受注は開発国の航空会社であるブリティッシュ・エアウェイズとエールフランスで7機ずつ合計14機のみ。それでも4000億円を投じた開発費がサンクコストとなってプロジェクトは継続され、そして1976年に商業運行が始まったその年に製造中止と決まる。つまり何が何でも完成させて飛ばしたかったということ。そして2003年に運行を終えるまでに数兆円の赤字を垂れ流したとされる。
その赤字が製造メーカーの損失なのか、運行で航空会社も赤字を出したのかの内訳は分からなかった。コンコルドは英仏の国策事業みたいなものだから、税金で穴埋めされたのかも知れない。
コンコルドが売れなかった理由を客観的に眺めれば「誰か止めるヤツいなかったのか!」である。しかしそれがサンクコストの恐ろしいところ。この時は「国家の威信」なんて厄介なものも絡んでいた。あっ、再来年に大阪で万博をやるらしいね。建設費は当初予算の1250億円から2300億円の大幅アップだって?(^^ゞ
ーーー続く
2023年09月24日
トレッドストーンとサンクコスト
米国テロ対策ユニットCTUのジャック・バウアー捜査官が活躍する連続ドラマ「24 -TWENTY FOUR」。日本でビデオレンタルが始まったのが2003年、テレビで放送されたのは2004年から。あれからもう20年も経ったなんてまあまあビックリする。それだけ歳を取ったと自覚を持たないと(/o\) 当時30歳代後半で懸命に大統領を警護していたバウアー役のキーファー・サザーランドも、今は大統領役を演じられる年齢になっているのだから。
ドラマの1話、2話、3話ーーーをエピソード1、エピソード2、エピソード3ーーーと呼び、またそのエピソードのセットをシーズン1、シーズン2、シーズン3ーーーと数えるのはこのドラマから広がったように記憶しているが違うかな?
この「24」は大ヒットしたし内容的にも私の好きなジャンルなのだけれど、実はいくつかのエピソードをポツンポツンとつまみ食い程度にしか観ていない。理由は単純に長い〜長すぎるから。ドラマの構成はタイトル通り事件当日の1日=24時間を追った内容で、1エピソードがその1時間分。だから24エピソードもある。
よくもこんな長いドラマを観ていられるなと思ったものの、世の中では観ていた人が多かったから「24」はなんとシーズン9まで続いた。そしてそれ以降、特にアメリカではシーズン1、2、3ーーーと続編を前提としたドラマ制作が多くなる。
だからAmazonプライムビデオで面白そうな海外ドラマがあっても、エピソードやシーズンがたくさんなものばかりでほとんど観ていない。ダイジェスト版も作って欲しいものだといつも思っている。
でも先月はエピソード10まであるドラマを観た。
タイトルは「トレッドストーン」。
それは、こんな説明がついていたから。
ジェイソン・ボーンとは過去に5作品が公開されている映画「ボーンシリーズ」の主人公の名前。演じているのはマット・デイモン(ただし4作目はスピンオフ作品なので登場せず)。
ボーン・アイデンティティ 2003年
ボーン・スプレマシー 2005年
ボーン・アルティメイタム 2007年
ボーン・レガシー 2012年
ジェイソン・ボーン 2016年
このボーンシリーズはアクション、サスペンス、スパイもの系の映画が好きならオススメ作品。特に1〜3作目までは傑作の部類に入ると思っている。それまでマット・デイモンって何となくアメリカの田舎のアンちゃん的なイメージだったが、ボーン・アイデンティティを見てからはすっかり印象が変わったくらい。
またトレッドストーンとは映画の中で重要な位置づけを占める、CIAが極秘で進めた暗殺者養成プロジェクトの名前。ドラマと映画のストーリー的なつながりはなく、マット・デイモンも出演していないけれど、「ジェイソン・ボーンの物語をヒントに」と書かれているし、トレッドストーンをタイトルにしているくらいだから、これは期待できると思って何日かかけて観た。
ドラマの「トレッドストーン」は過去と現在、そして世界のあちこちのストーリーが同時進行するスタイル。北朝鮮も舞台となっている。ちょっと風呂敷広げすぎで、映画のボーンシリーズのようなテンポのよさや緊張感はないものの、映画レベルのクォリティを期待していたわけではないから、まあまあ楽しめた。そして最終のエピソード10では、いかにも「この続きはシーズン2で」というような終わり方。全体的な話の流れからすると、最低でもシーズン3までは引っ張りそうな感じ。
それでシーズン2も配信されているのかなとAmazonプライムビデオのトップページに戻って探すが見つからない。テレビのリモコンで操作するのは時間が掛かるのでパソコンで調べてみると、なんとシーズン1で打ち切られた!と判明(>_<)
内容的には今までは背景説明で、さあここからが本番という区切りで終わってしまった。といっても実際にこのドラマを観ていない人にはピンとこないと思うけれど、シーズン1は信長でいえば桶狭間の戦い、家康なら関ヶ原の戦いを描く前にドラマが終わっているイメージ。せっかくがんばってエピソード10まで観たのに、それはないゼと唖然とした。
そんなわけで、このドラマはフラストレーションを溜めてイライラしたい人にしかオススメできない(^^ゞ 脚本的には間延びしたところがあるとはいえ、撮影・絵作りはまあまあなので惜しい気がする。
次のシーズンが続かなかったのは視聴率がコケたからだろう。
でもここまで作った作品をスパッと打ち切るのもすごい。
それで思い出したのがサンクコストという言葉。
ーーー続く
ドラマの1話、2話、3話ーーーをエピソード1、エピソード2、エピソード3ーーーと呼び、またそのエピソードのセットをシーズン1、シーズン2、シーズン3ーーーと数えるのはこのドラマから広がったように記憶しているが違うかな?
この「24」は大ヒットしたし内容的にも私の好きなジャンルなのだけれど、実はいくつかのエピソードをポツンポツンとつまみ食い程度にしか観ていない。理由は単純に長い〜長すぎるから。ドラマの構成はタイトル通り事件当日の1日=24時間を追った内容で、1エピソードがその1時間分。だから24エピソードもある。
よくもこんな長いドラマを観ていられるなと思ったものの、世の中では観ていた人が多かったから「24」はなんとシーズン9まで続いた。そしてそれ以降、特にアメリカではシーズン1、2、3ーーーと続編を前提としたドラマ制作が多くなる。
だからAmazonプライムビデオで面白そうな海外ドラマがあっても、エピソードやシーズンがたくさんなものばかりでほとんど観ていない。ダイジェスト版も作って欲しいものだといつも思っている。
でも先月はエピソード10まであるドラマを観た。
タイトルは「トレッドストーン」。
それは、こんな説明がついていたから。
ジェイソン・ボーンとは過去に5作品が公開されている映画「ボーンシリーズ」の主人公の名前。演じているのはマット・デイモン(ただし4作目はスピンオフ作品なので登場せず)。
ボーン・アイデンティティ 2003年
ボーン・スプレマシー 2005年
ボーン・アルティメイタム 2007年
ボーン・レガシー 2012年
ジェイソン・ボーン 2016年
このボーンシリーズはアクション、サスペンス、スパイもの系の映画が好きならオススメ作品。特に1〜3作目までは傑作の部類に入ると思っている。それまでマット・デイモンって何となくアメリカの田舎のアンちゃん的なイメージだったが、ボーン・アイデンティティを見てからはすっかり印象が変わったくらい。
またトレッドストーンとは映画の中で重要な位置づけを占める、CIAが極秘で進めた暗殺者養成プロジェクトの名前。ドラマと映画のストーリー的なつながりはなく、マット・デイモンも出演していないけれど、「ジェイソン・ボーンの物語をヒントに」と書かれているし、トレッドストーンをタイトルにしているくらいだから、これは期待できると思って何日かかけて観た。
ドラマの「トレッドストーン」は過去と現在、そして世界のあちこちのストーリーが同時進行するスタイル。北朝鮮も舞台となっている。ちょっと風呂敷広げすぎで、映画のボーンシリーズのようなテンポのよさや緊張感はないものの、映画レベルのクォリティを期待していたわけではないから、まあまあ楽しめた。そして最終のエピソード10では、いかにも「この続きはシーズン2で」というような終わり方。全体的な話の流れからすると、最低でもシーズン3までは引っ張りそうな感じ。
それでシーズン2も配信されているのかなとAmazonプライムビデオのトップページに戻って探すが見つからない。テレビのリモコンで操作するのは時間が掛かるのでパソコンで調べてみると、なんとシーズン1で打ち切られた!と判明(>_<)
内容的には今までは背景説明で、さあここからが本番という区切りで終わってしまった。といっても実際にこのドラマを観ていない人にはピンとこないと思うけれど、シーズン1は信長でいえば桶狭間の戦い、家康なら関ヶ原の戦いを描く前にドラマが終わっているイメージ。せっかくがんばってエピソード10まで観たのに、それはないゼと唖然とした。
そんなわけで、このドラマはフラストレーションを溜めてイライラしたい人にしかオススメできない(^^ゞ 脚本的には間延びしたところがあるとはいえ、撮影・絵作りはまあまあなので惜しい気がする。
次のシーズンが続かなかったのは視聴率がコケたからだろう。
でもここまで作った作品をスパッと打ち切るのもすごい。
それで思い出したのがサンクコストという言葉。
ーーー続く
2023年09月21日
夏はほうじ茶を水出しで
もう9月も後半なのに今年はまだ夏が終わった気がしない。東京ではここまでの21日間で最高気温30度越えが18日あった。29.6度と29.5度が1日ずつ。そこそこ気温が下がったのは台風の影響を受けた9月8日の25.2度だけ。念のために書いておくと25度以上で夏日、30度以上で真夏日が気象庁の定義である。
さて夏になるとせっせと作るのが水出しの冷たいコーヒー、紅茶、緑茶である。作り方は至って簡単でお茶パックや出汁パックとか呼ばれるものにそれらを詰めて、冷水ポットに沈めて冷蔵庫に一晩入れておくだけ。ペットボトル入りのものより圧倒的においしいし、しかも安上がり。今までに2回ブログにしている。
夏を快適に暮らす方法2 水出し緑茶
アイスコーヒーは水出しで
冷水ポットは2つあって、いつもはコーヒー、紅茶、緑茶をローテーションで水出ししている。でも今年の夏はほとんど紅茶だった。それはほんの少し(5:95程度)牛乳を入れてアイスミルクティー(氷は入れないけど)にすると、まろやかになってそれが気に入ったから。
画像はhttps://item.rakuten.co.jp/happynatural/000000004876/から引用
8月の終わりのある日、その時はストレートで飲んでいた。そして何気なくグラスの中のアイスティーを見て、この色はほうじ茶と同じ→ほうじ茶はサッパリしているから暑い季節にはいいかもと連想が働きーーー
さっそく次の日にほうじ茶を買ってきて試してみると、
メチャおいしい!!!
それ以来、ほうじ茶でばかりを作っている(^^ゞ
やや難点は水出しだとちょっとお茶の出が悪く、緑茶や紅茶より3〜4割り増しほど茶葉が必要なこと。でもほうじ茶は緑茶にできないような低グレードの茶葉や茎を炒って作られたもの。当然ながら価格は安いから特に問題なし。(高級なほうじ茶もあるらしいが、スーパーなどでは見かけない)
時期的に紹介が遅れた気がしたものの、まだまだ冷たい飲み物が欲しくなる日が続くからと書いてみたしだい。また子供は麦茶が好きだけれど、同系統の味わいだからきっと口に合うはず。試して損はしないと思うよ。もちろん気温が低くなれば、ホットほうじ茶でも飲めるし。
さて夏になるとせっせと作るのが水出しの冷たいコーヒー、紅茶、緑茶である。作り方は至って簡単でお茶パックや出汁パックとか呼ばれるものにそれらを詰めて、冷水ポットに沈めて冷蔵庫に一晩入れておくだけ。ペットボトル入りのものより圧倒的においしいし、しかも安上がり。今までに2回ブログにしている。
夏を快適に暮らす方法2 水出し緑茶
アイスコーヒーは水出しで
冷水ポットは2つあって、いつもはコーヒー、紅茶、緑茶をローテーションで水出ししている。でも今年の夏はほとんど紅茶だった。それはほんの少し(5:95程度)牛乳を入れてアイスミルクティー(氷は入れないけど)にすると、まろやかになってそれが気に入ったから。
画像はhttps://item.rakuten.co.jp/happynatural/000000004876/から引用
8月の終わりのある日、その時はストレートで飲んでいた。そして何気なくグラスの中のアイスティーを見て、この色はほうじ茶と同じ→ほうじ茶はサッパリしているから暑い季節にはいいかもと連想が働きーーー
さっそく次の日にほうじ茶を買ってきて試してみると、
メチャおいしい!!!
それ以来、ほうじ茶でばかりを作っている(^^ゞ
やや難点は水出しだとちょっとお茶の出が悪く、緑茶や紅茶より3〜4割り増しほど茶葉が必要なこと。でもほうじ茶は緑茶にできないような低グレードの茶葉や茎を炒って作られたもの。当然ながら価格は安いから特に問題なし。(高級なほうじ茶もあるらしいが、スーパーなどでは見かけない)
時期的に紹介が遅れた気がしたものの、まだまだ冷たい飲み物が欲しくなる日が続くからと書いてみたしだい。また子供は麦茶が好きだけれど、同系統の味わいだからきっと口に合うはず。試して損はしないと思うよ。もちろん気温が低くなれば、ホットほうじ茶でも飲めるし。
2023年09月13日
気象庁と米軍の台風進路予想 その3
前回にも増して
もはやタイトルとは何の関係もない内容であるが、
まあいつものことと大目に見ていただければ(^^ゞ
気象庁の「天気予報等で用いる用語」のページは案外と面白く、前回で取り上げた「前線を刺激する」と同じく使用を控えるとなっている用語をいくつか抜き出しておく。なお → が付いているのは、その言い換えとして載せられている用語。
× 雨もよう → 雨や曇り、雨または曇り
× 雨があがる → 雨がやむ
× 雨天 → 雨の天気
× ゲリラ豪雨 → 局地的大雨、集中豪雨など
× よい天気
× 雲の多い天気
× 悪い天気
× 不安定な天気
× 荒天 → 荒れた天気
× 暑さがぶり返す → 暑さが戻る
× 桜前線 → 桜の開花日の等期日線
× 入梅 → 梅雨入り
× 警戒水位 → 氾濫注意水位
× 危険水位 → 氾濫危険水位
× 土砂崩れ → 山崩れ。がけ崩れ。
× 終日 → 一日中
× 当分 → しばらく
× 夜明け前 → 明け方
× 午後から夕方にかけて → 昼過ぎから夕方にかけて
× 一晩中 → 夜通し
× 昨晩 → ××日の夜
× 今晩 → 今夜
× 明朝 → あすの朝
× 24時 → 0時
× 爆弾低気圧 → 急速に発達する低気圧
× 暴風圏 → 暴風域
× 迷走台風 → 複雑な動きをする台風
× 発達した高気圧 → 優勢な高気圧
× 高気圧が発達する → 高気圧が勢力を強める
× 瞬間最大風速 → 最大瞬間風速
けっこうアレッ?と思う単語も多い。
またなぜ言い換えるのか解説がついているのと、いないものがある。
ゲリラ豪雨は解説なしだけれど、考えてみればゲリラと気象には何の関係もない。しかし近頃は従来の局地的大雨、集中豪雨でイメージしていたものより、はるかに大量の雨がごく短期間で降るようになってきている。それを奇襲攻撃を得意とするゲリラになぞらえたのが社会に受け入れられたわけで、昔からある局地的大雨、集中豪雨との単語に置き換えるのは言葉のセンスに欠ける。気象庁がゲリラという非学術的な用語を使いたくなければ、局地的大雨や集中豪雨より激しくて狭い範囲で短期間を表し、かつわかりやすい言葉を見つけてくるべき。
ゲリラ豪雨を誰が命名したのかは分からなかったが、一般には2008年頃からマスコミで使われるようになったとされ、また同年の流行語大賞のトップ10にも選ばれている。しかし日本大百科全書には気象界で1960年代から使われてきたと書かれていた。何だ、気象庁も内部でも使っていたんじゃないか。さらに調べると、
当時は観測や予測が難しい豪雨との意味で用いられていたようだ。どこに潜んでいるのか、いつ襲ってくるのか分からないのがゲリラだから。現在は観測網や技術が発達したのでゲリラ豪雨もある程度予測できる。それで古参でウルサ型の気象関係者は「予報の出せるゲリラ豪雨なんてゲリラ豪雨じゃない!」と言っているらしい。このあたり比喩の意味合いが時代と共に変わって興味深いところ。
気象庁がゲリラ豪雨を使用を控える用語に指定したので、NHKの天気予報などではこの言葉を使わなくなったみたい。しかし「明日は局地的大雨、集中豪雨が」より「明日はゲリラ豪雨が」と言われたほうが用心するから、使わないのならゲリラに変わる表現を早く作って欲しいもの。言葉の正しさにこだわって、天気予報の目的を忘れちゃ意味がない。
他にいくつか見ていくと、
桜前線は気象現象の前線とまったく関係なく意味も異なるから、気象庁的にはふさわしくないとの判断だろう。別に比喩だし世間に浸透しているからいいじゃないか、そんなことまで目くじら立てるのは大人げないとの気もする。しかしサクラの開花を発表するのは気象庁の業務。だから譲れなかったのかも。それにしても「桜の開花日の等期日線」じゃメデタサ感がゼロだね。
暑さがぶり返すの「ぶり返す」は「身体の発熱がぶり返す」のように悪い方向に事態が戻るのを意味する。そして暑くなるのは悪いと決めつけられないから「暑さが戻る」に言い換えたと思われる。おそらく昔から習慣的に用いてきた言葉遣いを、ある時点で国語的な正しさの観点で見直したのだろう。その意味では「天気予報等で用いる用語」のページは国語の勉強にもなる。ただし終日 → 一日中や、当分 → しばらくなどは単に感性・趣味の問題のように感じるけど。
他にもたくさん載っているし、
また解説付きのものには、なるほどと思えるものもあるから1度のぞいてみたら。
気象庁が天気予報等で用いる予報用語
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/yougo_hp/mokuji.html
なお用語には無印、△印、×印があって、無印は予報用語、△印は解説用語、×印は使用を控える用語の印。△印が「あまりよくない」との意味じゃないのに注意。
おしまい
もはやタイトルとは何の関係もない内容であるが、
まあいつものことと大目に見ていただければ(^^ゞ
気象庁の「天気予報等で用いる用語」のページは案外と面白く、前回で取り上げた「前線を刺激する」と同じく使用を控えるとなっている用語をいくつか抜き出しておく。なお → が付いているのは、その言い換えとして載せられている用語。
× 雨もよう → 雨や曇り、雨または曇り
× 雨があがる → 雨がやむ
× 雨天 → 雨の天気
× ゲリラ豪雨 → 局地的大雨、集中豪雨など
× よい天気
× 雲の多い天気
× 悪い天気
× 不安定な天気
× 荒天 → 荒れた天気
× 暑さがぶり返す → 暑さが戻る
× 桜前線 → 桜の開花日の等期日線
× 入梅 → 梅雨入り
× 警戒水位 → 氾濫注意水位
× 危険水位 → 氾濫危険水位
× 土砂崩れ → 山崩れ。がけ崩れ。
× 終日 → 一日中
× 当分 → しばらく
× 夜明け前 → 明け方
× 午後から夕方にかけて → 昼過ぎから夕方にかけて
× 一晩中 → 夜通し
× 昨晩 → ××日の夜
× 今晩 → 今夜
× 明朝 → あすの朝
× 24時 → 0時
× 爆弾低気圧 → 急速に発達する低気圧
× 暴風圏 → 暴風域
× 迷走台風 → 複雑な動きをする台風
× 発達した高気圧 → 優勢な高気圧
× 高気圧が発達する → 高気圧が勢力を強める
× 瞬間最大風速 → 最大瞬間風速
けっこうアレッ?と思う単語も多い。
またなぜ言い換えるのか解説がついているのと、いないものがある。
ゲリラ豪雨は解説なしだけれど、考えてみればゲリラと気象には何の関係もない。しかし近頃は従来の局地的大雨、集中豪雨でイメージしていたものより、はるかに大量の雨がごく短期間で降るようになってきている。それを奇襲攻撃を得意とするゲリラになぞらえたのが社会に受け入れられたわけで、昔からある局地的大雨、集中豪雨との単語に置き換えるのは言葉のセンスに欠ける。気象庁がゲリラという非学術的な用語を使いたくなければ、局地的大雨や集中豪雨より激しくて狭い範囲で短期間を表し、かつわかりやすい言葉を見つけてくるべき。
ゲリラ豪雨を誰が命名したのかは分からなかったが、一般には2008年頃からマスコミで使われるようになったとされ、また同年の流行語大賞のトップ10にも選ばれている。しかし日本大百科全書には気象界で1960年代から使われてきたと書かれていた。何だ、気象庁も内部でも使っていたんじゃないか。さらに調べると、
当時は観測や予測が難しい豪雨との意味で用いられていたようだ。どこに潜んでいるのか、いつ襲ってくるのか分からないのがゲリラだから。現在は観測網や技術が発達したのでゲリラ豪雨もある程度予測できる。それで古参でウルサ型の気象関係者は「予報の出せるゲリラ豪雨なんてゲリラ豪雨じゃない!」と言っているらしい。このあたり比喩の意味合いが時代と共に変わって興味深いところ。
気象庁がゲリラ豪雨を使用を控える用語に指定したので、NHKの天気予報などではこの言葉を使わなくなったみたい。しかし「明日は局地的大雨、集中豪雨が」より「明日はゲリラ豪雨が」と言われたほうが用心するから、使わないのならゲリラに変わる表現を早く作って欲しいもの。言葉の正しさにこだわって、天気予報の目的を忘れちゃ意味がない。
他にいくつか見ていくと、
桜前線は気象現象の前線とまったく関係なく意味も異なるから、気象庁的にはふさわしくないとの判断だろう。別に比喩だし世間に浸透しているからいいじゃないか、そんなことまで目くじら立てるのは大人げないとの気もする。しかしサクラの開花を発表するのは気象庁の業務。だから譲れなかったのかも。それにしても「桜の開花日の等期日線」じゃメデタサ感がゼロだね。
暑さがぶり返すの「ぶり返す」は「身体の発熱がぶり返す」のように悪い方向に事態が戻るのを意味する。そして暑くなるのは悪いと決めつけられないから「暑さが戻る」に言い換えたと思われる。おそらく昔から習慣的に用いてきた言葉遣いを、ある時点で国語的な正しさの観点で見直したのだろう。その意味では「天気予報等で用いる用語」のページは国語の勉強にもなる。ただし終日 → 一日中や、当分 → しばらくなどは単に感性・趣味の問題のように感じるけど。
他にもたくさん載っているし、
また解説付きのものには、なるほどと思えるものもあるから1度のぞいてみたら。
気象庁が天気予報等で用いる予報用語
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/yougo_hp/mokuji.html
なお用語には無印、△印、×印があって、無印は予報用語、△印は解説用語、×印は使用を控える用語の印。△印が「あまりよくない」との意味じゃないのに注意。
おしまい
2023年09月11日
気象庁と米軍の台風進路予想 その2
後半はタイトルと関係ない話になっているけれど、
まあいつものことと大目に見ていただければm(_ _)m
ところで日本の風速の単位は毎秒メートル。そんな表現ではピンとこない話は以前にも書いた。例えば風速30mだと
30m×60秒×60分=108,000
メートルをキロメートルにするために1000で割って時速108km
この方が絶対に理解しやすいのに、
どうして毎秒メートルにするのか不思議。
ご存じのようにアメリカは長さはインチ/フィート/ヤード/マイル、重さはオンス/ポンド、温度に至ってはファーレンハイトとグローバルスタンダードを無視している国。そして距離と速度について通常はマイル・毎時マイルなのになぜか台風はノットを使う。海上にいる割合が多いから船と同じと見なしたのか? ただし秒速ではなく時速。そこだけは評価したいところであるが、ノットは1時間に1海里(1852メートル)を進む単位なので分速や秒速の概念はないみたい。
ところでノットと聞くと船のスピードをイメージするが飛行機でも使われる。これはアメリカに限らず世界共通。遅ればせながら先日「トップガン マーヴェリック」を観たが、戦闘機のスピードで500ノットとか600ノットなんて台詞が出てきて戸惑った。ノット=船と連想が働くからとても遅く思えてしまう。ちなみに1ノット=1.852km/hだから500ノットだと時速926kmで旅客機よりは速く飛んでいるのだが。やはり日本語字幕は時速何キロと翻訳して欲しいもの。
話がそれたm(_ _)m
気象庁と米軍合同台風警報センターの台風進路予想ではいろいろと違うところがある。利用者目線でもっとも違うと思うのは、強風域や暴風域の描き方。気象庁は円なのに米軍はもう少し複雑な描き方になっている。
台風によって吹く風は台風の右側で強く左側では弱い(これは台風の回転と進路による作用。長くなるので説明は省略)。米軍合同台風警報センターの図はそれを反映しているのに対して、気象庁はよく見れば円は台風を中心とした同心円ではなく右側が広くなっているものの、米軍のと較べれば大雑把な描き方。
これもやはり予報の目的や想定ユーザーの違いだろう。米軍は航空機や船舶の運行のために予報しているし、気象庁は台風被害を少なくする防災情報として。だから気象庁の方が予報を「盛っている」ともいえる。ただしアメリカでも「普通の」天気予報でハリケーンの進路予想では円に近いものを使っているから、一般向けには気象庁式がスタンダードと思われる。
今回の台風13号は上陸せずに熱帯低気圧に変わった。ただ台風と熱帯低気圧の差は風速が34ノット以上か未満かの違いなので、熱帯低気圧になったものが上陸して移動したはずなのに、熱帯低気圧になった途端にニュースやお天気コーナーで説明してくれないのがちょっと疑問。熱帯低気圧になったとしてもそこそこの勢力は残っているわけで、その進路の情報を必要とする人もいるはず。
また今回は台風としては収まった後に、近頃よく耳にする線状降水帯が発生したとかで大雨が続いた。ニュースをチェックすると次のような文言が並んでいる。
千葉県茂原市で374ミリを越える観測史上最多の雨量を記録
三宅島では観測史上最多となる1時間に122ミリの雨量を観測
表現が紛らわしいのは、これらは日本の観測史上の1位ではなく、茂原市や三宅島での観測の話。参考までに日本の過去1日降水量で最大は922.5ミリ、1時間の記録は153ミリである。今回の茂原市や三宅島の雨量は歴代20位以内にも入らない。派手に書いたほうが注目が集まるからとマスコミの確信犯的な表現だと思っている(疑り深いかな)。
話を先ほどの件に戻すと、これは前回にも載せた気象庁:8日18時、米軍合同台風警報センター:8日15時発表の予想図。
気象庁の予報円は陸地に差し掛かったところで止まっているし、米軍の34ノット風域を示す図も次の台風位置で描かれていない。この分野の知識はないので想像でしかないものの、この時点でどちらも「台風としての」上陸はないと判断していたのだろう。
気象庁の予報円はあくまで台風の予報円なので、勢力が台風を下回れば消滅する。対して米軍のは台風から熱帯低気圧に勢力が落ちた後の進路も示している(ように思う)。そして雨の被害が甚大だったのは千葉や茨城、福島といった進路の右側エリア。もちろん気象庁は大雨の予報や警報等を出している。それでも熱帯低気圧になった後の進路も情報提供した方がわかりやすいというかリアリティが湧くような。念のためにもう一度書いておくと、これはあくまで素人の思いつきね。
ところで今回の大雨をもたらした線状降水帯とは別に、よく「台風によって前線が刺激された」との表現も聞く。その刺激って何? 空気同士でどうやって刺激するの? この意味が子供の頃から不明だった。大人になってずいぶんと年月が過ぎてしまったが(^^ゞ ようやく調べてみるとーーー
それがどうもはっきりしないのである。台風によって湿った空気が前線に吹き込まれると書かれているものもあるが、それは水分量の増加であり「刺激」しているわけじゃない。アレヤコレヤ調べると気象庁の「天気予報等で用いる用語」のページに、「前線を刺激する」は使用を控え「前線の活動が活発」に置き換えるとの説明を見つけた。やはり刺激というのは比喩的におかしな表現だったみたい。「活動が活発」も文字が被って文章的に美しくないけれど。
さて今回の台風で風はそれほど強くなかった。ただし各地で記録的な大雨が降ったわけだから雨台風と言える。そういえば昔は雨台風・風台風とよく区別していたのに、あまりその表現を聞かなくなったような。最近の大雨はハンパないから認識が変わりつつあるものの、風台風は怖い・雨台風ならちょっと安心できるようなイメージを持っている。
また雨台風か風台風かで台風への対策方法が違う地域や事業などもあるはず。だからやって来る台風が雨なのか風なのかは重要な情報。それなのにあまりアナウンスされないのは不思議だが、その理由を調べてみるとーーー
どうやら実際に台風が来るまでよく分からないらしい(^^ゞ 昔と較べると天気予報はずいぶんと進歩したのに雨か風かが分からないのはちょっと意外。気象庁の「天気予報等で用いる用語」を見ると雨台風、風台風ともに定義されているが「天気予報に使う用語」ではなく「その解説に使う用語」の分類になっていた。だから普通に天気予報を見る限り、雨台風か風台風かは知ることができない。
ーーー続く
まあいつものことと大目に見ていただければm(_ _)m
ところで日本の風速の単位は毎秒メートル。そんな表現ではピンとこない話は以前にも書いた。例えば風速30mだと
30m×60秒×60分=108,000
メートルをキロメートルにするために1000で割って時速108km
この方が絶対に理解しやすいのに、
どうして毎秒メートルにするのか不思議。
ご存じのようにアメリカは長さはインチ/フィート/ヤード/マイル、重さはオンス/ポンド、温度に至ってはファーレンハイトとグローバルスタンダードを無視している国。そして距離と速度について通常はマイル・毎時マイルなのになぜか台風はノットを使う。海上にいる割合が多いから船と同じと見なしたのか? ただし秒速ではなく時速。そこだけは評価したいところであるが、ノットは1時間に1海里(1852メートル)を進む単位なので分速や秒速の概念はないみたい。
ところでノットと聞くと船のスピードをイメージするが飛行機でも使われる。これはアメリカに限らず世界共通。遅ればせながら先日「トップガン マーヴェリック」を観たが、戦闘機のスピードで500ノットとか600ノットなんて台詞が出てきて戸惑った。ノット=船と連想が働くからとても遅く思えてしまう。ちなみに1ノット=1.852km/hだから500ノットだと時速926kmで旅客機よりは速く飛んでいるのだが。やはり日本語字幕は時速何キロと翻訳して欲しいもの。
話がそれたm(_ _)m
気象庁と米軍合同台風警報センターの台風進路予想ではいろいろと違うところがある。利用者目線でもっとも違うと思うのは、強風域や暴風域の描き方。気象庁は円なのに米軍はもう少し複雑な描き方になっている。
台風によって吹く風は台風の右側で強く左側では弱い(これは台風の回転と進路による作用。長くなるので説明は省略)。米軍合同台風警報センターの図はそれを反映しているのに対して、気象庁はよく見れば円は台風を中心とした同心円ではなく右側が広くなっているものの、米軍のと較べれば大雑把な描き方。
これもやはり予報の目的や想定ユーザーの違いだろう。米軍は航空機や船舶の運行のために予報しているし、気象庁は台風被害を少なくする防災情報として。だから気象庁の方が予報を「盛っている」ともいえる。ただしアメリカでも「普通の」天気予報でハリケーンの進路予想では円に近いものを使っているから、一般向けには気象庁式がスタンダードと思われる。
今回の台風13号は上陸せずに熱帯低気圧に変わった。ただ台風と熱帯低気圧の差は風速が34ノット以上か未満かの違いなので、熱帯低気圧になったものが上陸して移動したはずなのに、熱帯低気圧になった途端にニュースやお天気コーナーで説明してくれないのがちょっと疑問。熱帯低気圧になったとしてもそこそこの勢力は残っているわけで、その進路の情報を必要とする人もいるはず。
また今回は台風としては収まった後に、近頃よく耳にする線状降水帯が発生したとかで大雨が続いた。ニュースをチェックすると次のような文言が並んでいる。
千葉県茂原市で374ミリを越える観測史上最多の雨量を記録
三宅島では観測史上最多となる1時間に122ミリの雨量を観測
表現が紛らわしいのは、これらは日本の観測史上の1位ではなく、茂原市や三宅島での観測の話。参考までに日本の過去1日降水量で最大は922.5ミリ、1時間の記録は153ミリである。今回の茂原市や三宅島の雨量は歴代20位以内にも入らない。派手に書いたほうが注目が集まるからとマスコミの確信犯的な表現だと思っている(疑り深いかな)。
話を先ほどの件に戻すと、これは前回にも載せた気象庁:8日18時、米軍合同台風警報センター:8日15時発表の予想図。
気象庁の予報円は陸地に差し掛かったところで止まっているし、米軍の34ノット風域を示す図も次の台風位置で描かれていない。この分野の知識はないので想像でしかないものの、この時点でどちらも「台風としての」上陸はないと判断していたのだろう。
気象庁の予報円はあくまで台風の予報円なので、勢力が台風を下回れば消滅する。対して米軍のは台風から熱帯低気圧に勢力が落ちた後の進路も示している(ように思う)。そして雨の被害が甚大だったのは千葉や茨城、福島といった進路の右側エリア。もちろん気象庁は大雨の予報や警報等を出している。それでも熱帯低気圧になった後の進路も情報提供した方がわかりやすいというかリアリティが湧くような。念のためにもう一度書いておくと、これはあくまで素人の思いつきね。
ところで今回の大雨をもたらした線状降水帯とは別に、よく「台風によって前線が刺激された」との表現も聞く。その刺激って何? 空気同士でどうやって刺激するの? この意味が子供の頃から不明だった。大人になってずいぶんと年月が過ぎてしまったが(^^ゞ ようやく調べてみるとーーー
それがどうもはっきりしないのである。台風によって湿った空気が前線に吹き込まれると書かれているものもあるが、それは水分量の増加であり「刺激」しているわけじゃない。アレヤコレヤ調べると気象庁の「天気予報等で用いる用語」のページに、「前線を刺激する」は使用を控え「前線の活動が活発」に置き換えるとの説明を見つけた。やはり刺激というのは比喩的におかしな表現だったみたい。「活動が活発」も文字が被って文章的に美しくないけれど。
さて今回の台風で風はそれほど強くなかった。ただし各地で記録的な大雨が降ったわけだから雨台風と言える。そういえば昔は雨台風・風台風とよく区別していたのに、あまりその表現を聞かなくなったような。最近の大雨はハンパないから認識が変わりつつあるものの、風台風は怖い・雨台風ならちょっと安心できるようなイメージを持っている。
また雨台風か風台風かで台風への対策方法が違う地域や事業などもあるはず。だからやって来る台風が雨なのか風なのかは重要な情報。それなのにあまりアナウンスされないのは不思議だが、その理由を調べてみるとーーー
どうやら実際に台風が来るまでよく分からないらしい(^^ゞ 昔と較べると天気予報はずいぶんと進歩したのに雨か風かが分からないのはちょっと意外。気象庁の「天気予報等で用いる用語」を見ると雨台風、風台風ともに定義されているが「天気予報に使う用語」ではなく「その解説に使う用語」の分類になっていた。だから普通に天気予報を見る限り、雨台風か風台風かは知ることができない。
ーーー続く
2023年09月10日
気象庁と米軍の台風進路予想
9月8日金曜日の午前5時半頃、寒さで目が覚めた。
スマホアプリで外気温をチェックすると22度ほど。
前日の最高気温は30度、その前の日は33.4度もあったのに。
そして窓からは激しい雨音。
そういえば台風が来るんだった。
Yahoo!の天気予報アプリを見る。
こんな大雨のアイコンがあるとは知らなかった。ちょっと可愛い(^^ゞ
起きるにはまだ早かったけれど目が覚めてしまったので、パソコンで台風情報の確認。久々に米軍合同台風警報センター(JTWC:Joint Typhoon Warning Center)のサイトものぞいてみる。合同とは海軍と空軍が共同で運営している業務だから。
気象庁発表8日午前3時の進路予想図。
こちらは米軍合同台風警報センターのもの。
07/18Zとは7日の国際標準時で18時を意味している。
日本時間に直すと9時間加えて8日の午前4時になる。
ほぼ同時刻に発表されたものなのに進路予想がかなり違う。気象庁は台風が現在位置から東向きに進路を取り関東地方に向かう予想。対して米軍合同台風警報センターはほぼ北上して日本海に抜けるコース。
米軍合同台風警報センターの存在を知ったのは2011年でブログにもしている。当時はよく見較べていたものの、ほとんど違いはなかったような記憶が。それにしても今回はまったく違う予想なのに少々驚いた。
ちなみに台風進路マニアは気象庁と米軍合同台風警報センター、それにヨーロッパ中期予報センターの進路を見較べてどこが正しいかを楽しんでいる?らしい。この3者で個々の台風での予想が多少は違っても、年間を通しての的中精度はほぼ同じというのが専門家の評価。
半日ほど経って気象庁:8日18時、米軍合同台風警報センター:8日15時発表の予想図。米軍合同台風警報センターは気象庁と同じ方角に予想を変更したようだ。
ところで気象庁と米軍合同台風警報センターの予想図は表記の仕方がちょっと違う。気象庁は進路を予報円で示している。破線で示された円は台風の中心が70%の確率で入ると予測される範囲を表している。予報円と予報円を結ぶ破線は、単に結んだだけで台風の進路予想を示しているわけではない。気象庁のホームページのデフォルトでは表示されないようになっている。なお青のラインで描かれているのは、その時点までの実際の台風の進路。
一方の米軍合同台風警報センターに描かれている線は、まさに台風がここを通るとピンポイントで予想している場所である。だから米軍合同台風警報センターのほうが予想が大胆。
また今回の台風は勢力が弱く表示されていないが、気象庁の予想図では風速25m以上の暴風域を赤の円、15m以上の強風域を黄色の円、暴風警戒域を赤のラインで示す。
米軍合同台風警報センターは内側から
ピンク:風速64ノット(33m/s)日本的表現だと超暴風域
茶色: 風速50ノット(25m/s) 〃 暴風域
赤: 風速34ノット(17m/s) 〃 強風域
が表示される。
なお日本の風速は10分間の平均値、アメリカは1分間値の平均で、後者の方が高い数字が出る傾向があるのでノットからm/sへの変換には補正が必要なのだが、大きくは違わないしそこがこのブログの趣旨じゃないので割愛。
ちなみにアメリカでは最大風速64ノット以上の熱帯低気圧が「タイフーン」や「ハリケーン」などと呼ばれる。日本では最大風速34ノット以上が台風で、その基準だけはなぜかノットが用いられる。これは台風の風力数値基準を定めたのが戦後の占領時代でアメリカの影響が大きかったから。
また3つ上の広い範囲を示した米軍合同台風警報センターの画像で、赤の破線で囲まれ薄く色がついている部分は34ノット以上の風が吹く可能性のある警戒区域を示している。
つまり気象庁の警戒区域が風速25m=50ノット以上の暴風域なのに、米軍は風速34ノット=17m以上の強風域と異なっている。これは米軍予報の利用者が航空機や船舶だからと思われる。地上では風速34ノット=17mはそれほど警戒するレベルではない。気象庁も航空機や船舶向けの気象情報は別途提供している。
ーーー続く
スマホアプリで外気温をチェックすると22度ほど。
前日の最高気温は30度、その前の日は33.4度もあったのに。
そして窓からは激しい雨音。
そういえば台風が来るんだった。
Yahoo!の天気予報アプリを見る。
こんな大雨のアイコンがあるとは知らなかった。ちょっと可愛い(^^ゞ
起きるにはまだ早かったけれど目が覚めてしまったので、パソコンで台風情報の確認。久々に米軍合同台風警報センター(JTWC:Joint Typhoon Warning Center)のサイトものぞいてみる。合同とは海軍と空軍が共同で運営している業務だから。
気象庁発表8日午前3時の進路予想図。
こちらは米軍合同台風警報センターのもの。
07/18Zとは7日の国際標準時で18時を意味している。
日本時間に直すと9時間加えて8日の午前4時になる。
ほぼ同時刻に発表されたものなのに進路予想がかなり違う。気象庁は台風が現在位置から東向きに進路を取り関東地方に向かう予想。対して米軍合同台風警報センターはほぼ北上して日本海に抜けるコース。
米軍合同台風警報センターの存在を知ったのは2011年でブログにもしている。当時はよく見較べていたものの、ほとんど違いはなかったような記憶が。それにしても今回はまったく違う予想なのに少々驚いた。
ちなみに台風進路マニアは気象庁と米軍合同台風警報センター、それにヨーロッパ中期予報センターの進路を見較べてどこが正しいかを楽しんでいる?らしい。この3者で個々の台風での予想が多少は違っても、年間を通しての的中精度はほぼ同じというのが専門家の評価。
半日ほど経って気象庁:8日18時、米軍合同台風警報センター:8日15時発表の予想図。米軍合同台風警報センターは気象庁と同じ方角に予想を変更したようだ。
ところで気象庁と米軍合同台風警報センターの予想図は表記の仕方がちょっと違う。気象庁は進路を予報円で示している。破線で示された円は台風の中心が70%の確率で入ると予測される範囲を表している。予報円と予報円を結ぶ破線は、単に結んだだけで台風の進路予想を示しているわけではない。気象庁のホームページのデフォルトでは表示されないようになっている。なお青のラインで描かれているのは、その時点までの実際の台風の進路。
一方の米軍合同台風警報センターに描かれている線は、まさに台風がここを通るとピンポイントで予想している場所である。だから米軍合同台風警報センターのほうが予想が大胆。
また今回の台風は勢力が弱く表示されていないが、気象庁の予想図では風速25m以上の暴風域を赤の円、15m以上の強風域を黄色の円、暴風警戒域を赤のラインで示す。
米軍合同台風警報センターは内側から
ピンク:風速64ノット(33m/s)日本的表現だと超暴風域
茶色: 風速50ノット(25m/s) 〃 暴風域
赤: 風速34ノット(17m/s) 〃 強風域
が表示される。
なお日本の風速は10分間の平均値、アメリカは1分間値の平均で、後者の方が高い数字が出る傾向があるのでノットからm/sへの変換には補正が必要なのだが、大きくは違わないしそこがこのブログの趣旨じゃないので割愛。
ちなみにアメリカでは最大風速64ノット以上の熱帯低気圧が「タイフーン」や「ハリケーン」などと呼ばれる。日本では最大風速34ノット以上が台風で、その基準だけはなぜかノットが用いられる。これは台風の風力数値基準を定めたのが戦後の占領時代でアメリカの影響が大きかったから。
また3つ上の広い範囲を示した米軍合同台風警報センターの画像で、赤の破線で囲まれ薄く色がついている部分は34ノット以上の風が吹く可能性のある警戒区域を示している。
つまり気象庁の警戒区域が風速25m=50ノット以上の暴風域なのに、米軍は風速34ノット=17m以上の強風域と異なっている。これは米軍予報の利用者が航空機や船舶だからと思われる。地上では風速34ノット=17mはそれほど警戒するレベルではない。気象庁も航空機や船舶向けの気象情報は別途提供している。
ーーー続く
2023年09月07日
サンダルとスリッパのよもやま話 その4
今回のよもやま話を書いたきっかけは無印良品の「ルームサンダル・鼻緒」という商品。まるでビーチサンダルの形をしているのに、それを部屋で履くのが面白いと思って衝動買い。
商品はなにがしかのカテゴリーに属していて、そのカテゴリーには「この商品はかくあるべし」との暗黙のルールや固定概念がある。それを少しハズしたりズラしたり、別の要素を付け加えたりするとマーケティング的に活きてくる場合が多い。
「ルームサンダル・鼻緒」の場合は、
室内で履くのはスリッパで足の前部が覆われているがルールだったのに、
外履きのサンダルに見られる鼻緒のあるデザインを用いた
ーーーのがそれに当たる。つまりまんまと無印良品のマーケティングにのせられてしまったわけ(^^ゞ もちろんただハズせばいいわけではなく、スリッパで足の前部が覆われていると夏は暑い、かといって裸足だと足の脂でフローリングがベタつくといった問題解決にもなるから買う価値があった。
カテゴリーのルールをハズしてヒットした例はミュールもそうかも知れない。多くのバリエーションがあるが私のイメージするミュールは 画像はhttps://eimyistoire.com/shop/g/g1121460347-0000-0092から引用
足の前部は覆われている
カカトを固定するストラップなどはなく、形状としては突っ掛け式のサンダル
ヒールはそこそこ高い
サンダルなのに少しフォーマル感のあるところがヒットの要因では思っている。ただしミュールについて女性と話したことはないので、これはあくまで想像。とりあえず駅の階段でミュール女子がいるとカカトを打ち付ける音がうるさいのが困る(^^ゞ
また似たようなデザインのまがい物も含めれば、
今や一家に一足はあるといわれるクロックスも同じ。
クロックスは外履きのサンダルなのに、足の前部をすっぽりと覆って室内履きのスリッパ、あるいはそれを通り越して靴に近いデザインをしている。まずはそれが目新しかったのが第1の要因。またサンダルでは足が露出しすぎてカジュアルすぎるシチュエーション、また怪我が心配な場合にもクロックスなら大丈夫とイメージできたのもプラス要因。
さてさて
履き物業界で最大のカテゴリーハズしといえば、それでヤンキーサンダルの右に出るものはないはず(^^ゞ もう知らない人のほうが多いだろうが、それは1970年代の終わり頃に突然ヤンキーの世界を席巻した一大ムーブメントだった。
どんなものかといえば
男性のヤンキーが
女性用のサンダル(突っ掛けタイプ)を履く
と、ただそれだけ。当然ながらサイズは小さく足がはみ出すものの、それは彼女のサンダルを一時的に借りてきたりしたものではなく、常に履いている自分専用のサンダルである。
嘉門達夫のレコードジャケットで、
左側のニイちゃんが履いているのがヤンキーサンダル。
ネットでは当時のヤンキーの写真はあまり見当たらない。
とりあえずリンクを2つ紹介しておく。
https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/g/gemini-yahata/20171019/20171019144411.jpg
https://qph.cf2.quoracdn.net/main-qimg-292d06378e6fea0e3a04c3379411918e-lq
なぜヤンキーサンダルがブームになったのかは知らない。まあでもファッションの流行なんてそんなものである。今一番イケてる服装やヘアスタイルだって30年後には「ナンジャこれ?」になる。社会のいろいろなことが説明不能なくらい複雑に絡み合って、その時はかっこよく思えるのである。
あえてヤンキーサンダルを分析すると、男物より女性物のサンダルの方が派手なのが好まれたとの推測はできる。戦国時代の傾奇者(かぶきもの)と呼ばれた反体制的な武将達は目立つために女性物の着物を羽織ったりした。それと似たようなマインドかも。
ヤンキーサンダルは1980年代の終わり頃には姿を消したように思う。しかし同時期に誕生して現在も発売されている商品がある。それが健康サンダル。
いうまでもなくサンダルのカテゴリーに今まではなかった健康の要素を付け加えた商品。マーケティングの定石がヒットに結びついた事例でもある。これを履いているとオッサンと後ろ指を指された時代もあったものの、それなりにデザインにも工夫を加えてしぶとく生き残っている。また地方都市に行くとマイルドヤンキーがキティちゃんの健康サンダルを愛用しているとか。ヤンキーサンダルも形を変えながら生き残っているのか?
ところで健康サンダルはインソール(靴底の足に接する側)に突起を付けて足裏を刺激する仕組み。それで健康になるかはともかく、そこそこ気持ちがいい。でもどうしてそういう構造を持った履き物は健康サンダルだけで、スニーカーや革靴にないのかが不思議。いかにも企画モノじゃないマトモな商品があれば試しに買ってみるけどな。
履き物業界の皆様、そこのところよろしく。
おしまい
<追伸>
私は「ルームサンダル・鼻緒」タイプの商品を無印良品で初めて知ったが、今治タオルで作られたものもあるし、そもそも室内履きの上草履というものは昔からあったようだ。来年の夏は伝統的な上草履にチャレンジしてみようか。
商品はなにがしかのカテゴリーに属していて、そのカテゴリーには「この商品はかくあるべし」との暗黙のルールや固定概念がある。それを少しハズしたりズラしたり、別の要素を付け加えたりするとマーケティング的に活きてくる場合が多い。
「ルームサンダル・鼻緒」の場合は、
室内で履くのはスリッパで足の前部が覆われているがルールだったのに、
外履きのサンダルに見られる鼻緒のあるデザインを用いた
ーーーのがそれに当たる。つまりまんまと無印良品のマーケティングにのせられてしまったわけ(^^ゞ もちろんただハズせばいいわけではなく、スリッパで足の前部が覆われていると夏は暑い、かといって裸足だと足の脂でフローリングがベタつくといった問題解決にもなるから買う価値があった。
カテゴリーのルールをハズしてヒットした例はミュールもそうかも知れない。多くのバリエーションがあるが私のイメージするミュールは 画像はhttps://eimyistoire.com/shop/g/g1121460347-0000-0092から引用
足の前部は覆われている
カカトを固定するストラップなどはなく、形状としては突っ掛け式のサンダル
ヒールはそこそこ高い
サンダルなのに少しフォーマル感のあるところがヒットの要因では思っている。ただしミュールについて女性と話したことはないので、これはあくまで想像。とりあえず駅の階段でミュール女子がいるとカカトを打ち付ける音がうるさいのが困る(^^ゞ
また似たようなデザインのまがい物も含めれば、
今や一家に一足はあるといわれるクロックスも同じ。
クロックスは外履きのサンダルなのに、足の前部をすっぽりと覆って室内履きのスリッパ、あるいはそれを通り越して靴に近いデザインをしている。まずはそれが目新しかったのが第1の要因。またサンダルでは足が露出しすぎてカジュアルすぎるシチュエーション、また怪我が心配な場合にもクロックスなら大丈夫とイメージできたのもプラス要因。
さてさて
履き物業界で最大のカテゴリーハズしといえば、それでヤンキーサンダルの右に出るものはないはず(^^ゞ もう知らない人のほうが多いだろうが、それは1970年代の終わり頃に突然ヤンキーの世界を席巻した一大ムーブメントだった。
どんなものかといえば
男性のヤンキーが
女性用のサンダル(突っ掛けタイプ)を履く
と、ただそれだけ。当然ながらサイズは小さく足がはみ出すものの、それは彼女のサンダルを一時的に借りてきたりしたものではなく、常に履いている自分専用のサンダルである。
嘉門達夫のレコードジャケットで、
左側のニイちゃんが履いているのがヤンキーサンダル。
ネットでは当時のヤンキーの写真はあまり見当たらない。
とりあえずリンクを2つ紹介しておく。
https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/g/gemini-yahata/20171019/20171019144411.jpg
https://qph.cf2.quoracdn.net/main-qimg-292d06378e6fea0e3a04c3379411918e-lq
なぜヤンキーサンダルがブームになったのかは知らない。まあでもファッションの流行なんてそんなものである。今一番イケてる服装やヘアスタイルだって30年後には「ナンジャこれ?」になる。社会のいろいろなことが説明不能なくらい複雑に絡み合って、その時はかっこよく思えるのである。
あえてヤンキーサンダルを分析すると、男物より女性物のサンダルの方が派手なのが好まれたとの推測はできる。戦国時代の傾奇者(かぶきもの)と呼ばれた反体制的な武将達は目立つために女性物の着物を羽織ったりした。それと似たようなマインドかも。
ヤンキーサンダルは1980年代の終わり頃には姿を消したように思う。しかし同時期に誕生して現在も発売されている商品がある。それが健康サンダル。
いうまでもなくサンダルのカテゴリーに今まではなかった健康の要素を付け加えた商品。マーケティングの定石がヒットに結びついた事例でもある。これを履いているとオッサンと後ろ指を指された時代もあったものの、それなりにデザインにも工夫を加えてしぶとく生き残っている。また地方都市に行くとマイルドヤンキーがキティちゃんの健康サンダルを愛用しているとか。ヤンキーサンダルも形を変えながら生き残っているのか?
ところで健康サンダルはインソール(靴底の足に接する側)に突起を付けて足裏を刺激する仕組み。それで健康になるかはともかく、そこそこ気持ちがいい。でもどうしてそういう構造を持った履き物は健康サンダルだけで、スニーカーや革靴にないのかが不思議。いかにも企画モノじゃないマトモな商品があれば試しに買ってみるけどな。
履き物業界の皆様、そこのところよろしく。
おしまい
<追伸>
私は「ルームサンダル・鼻緒」タイプの商品を無印良品で初めて知ったが、今治タオルで作られたものもあるし、そもそも室内履きの上草履というものは昔からあったようだ。来年の夏は伝統的な上草履にチャレンジしてみようか。
2023年09月05日
サンダルとスリッパのよもやま話 その3
最初に書いたように興味の趣くままに脱線だらけな内容が続くm(_ _)m
スリッパについて調べると写真のように最も慣れ親しんでいる形のスリッパは、日本人が発明したと書いてあるものを多く見かける。
それらによると
幕末になって西洋人が多く日本にやってくるようになる。
彼らには入浴や就寝以外で靴を脱ぐ習慣はない。
それで何かとトラブルが起きる。
そこで江戸・八重洲の仕立て職人である徳野利三郎なる人物が、
1868年(明治元年)に靴を履いたまま使うオーバーシューズとして、
現在のスリッパとほぼ同じ形のものを考案。
やがて日本の家屋が徐々に和洋折衷スタイルになるにつれて、彼が考案した
形のスリッパが室内履きとして日本人にも広まり、第2次世界大戦後には
当たり前のものとして普及した。
ーーーそして、それが外国でも知られて使われるようになったと。中には1970年代に日本航空がファーストクラスの客にスリッパを提供したのが、そのきっかけと書いてあるものもある。
確たる歴史的文献を見たわけではないものの、徳野利三郎がオーバーシューズとしてのスリッパを考案し、やがて日本人がそれを室内履きとして使い始めたのは確かなんだろうと思う。しかし、それが世界各地に広まったというのはちょっと疑問。
まず、あのような形は「簡単に履ける・脱げる履き物の構造」として誰でも思いつく。徳野利三郎の独創的デザインだったとは考えづらい。たとえば最初の投稿で紹介した人類最古の履き物とされる紀元前7000年頃のサンダルだって、カカトのストラップを除けばスリッパにそっくりである。画像はhttps://www.linkedin.com/pulse/oldest-pair-scandals-world-letha-oelzから引用。
またモロッコにはパブーシュと呼ばれる伝統的な履き物がある。これはカカトを踏みつけて履く前提で折り畳んである珍しい作り。そしてこれもスリッパそのもの。パブーシュがいつ頃から存在するのかは分からなかったが、民族衣装だから相当に古いはず。また17世紀のフランスではこれが流行ったらしいから、少なくとも徳野利三郎デザインよりはるか昔から西洋では知られていたことになる。
極めつけは “slipper history” で英文ページを検索して、スリッパが日本発祥と解説しているものはまったくなかった事実。もちろん何百ページと調べたわけではないが、少なくとも国際的にメジャーな説でないのは確か。
ネットに書かれているものはコピペ、コピペを重ねたものがほとんどである。誰かがスリッパは日本発祥と書いて、それを読んだ誰かが「この話はウケる」とコピペし、また誰かがと次々にコピペされて広まっていったのだろう。別にフェイクニュースを広めようとの悪意は感じられない。裏を取っていないのは慎重さに欠けるとはいえ、すべてのことにそれを求めるのは無理というもの。
それでも、あるいはだからこそネット情報を鵜呑みにしてはいけないとよく分かる事例と言える。スリッパが日本発祥なんて日本人としては自尊心がくすぐられる耳触りのいい話。だからつい信じてしまう。脳は気持ちよくなる選択を優先しがち。このレベルなら実害はほとんどないとしても、デマやフェイクはシリアスな内容とは限らないのだ。
このネット情報過多時代、すべてを信じてはいけないし、かといってすべてを疑ってもいられないから困るしメンドクサイし疲れるとーーースリッパの話がまさかこんなオチになるとは思ってもみなかった(^^ゞ
ーーー続く
スリッパについて調べると写真のように最も慣れ親しんでいる形のスリッパは、日本人が発明したと書いてあるものを多く見かける。
それらによると
幕末になって西洋人が多く日本にやってくるようになる。
彼らには入浴や就寝以外で靴を脱ぐ習慣はない。
それで何かとトラブルが起きる。
そこで江戸・八重洲の仕立て職人である徳野利三郎なる人物が、
1868年(明治元年)に靴を履いたまま使うオーバーシューズとして、
現在のスリッパとほぼ同じ形のものを考案。
やがて日本の家屋が徐々に和洋折衷スタイルになるにつれて、彼が考案した
形のスリッパが室内履きとして日本人にも広まり、第2次世界大戦後には
当たり前のものとして普及した。
ーーーそして、それが外国でも知られて使われるようになったと。中には1970年代に日本航空がファーストクラスの客にスリッパを提供したのが、そのきっかけと書いてあるものもある。
確たる歴史的文献を見たわけではないものの、徳野利三郎がオーバーシューズとしてのスリッパを考案し、やがて日本人がそれを室内履きとして使い始めたのは確かなんだろうと思う。しかし、それが世界各地に広まったというのはちょっと疑問。
まず、あのような形は「簡単に履ける・脱げる履き物の構造」として誰でも思いつく。徳野利三郎の独創的デザインだったとは考えづらい。たとえば最初の投稿で紹介した人類最古の履き物とされる紀元前7000年頃のサンダルだって、カカトのストラップを除けばスリッパにそっくりである。画像はhttps://www.linkedin.com/pulse/oldest-pair-scandals-world-letha-oelzから引用。
またモロッコにはパブーシュと呼ばれる伝統的な履き物がある。これはカカトを踏みつけて履く前提で折り畳んである珍しい作り。そしてこれもスリッパそのもの。パブーシュがいつ頃から存在するのかは分からなかったが、民族衣装だから相当に古いはず。また17世紀のフランスではこれが流行ったらしいから、少なくとも徳野利三郎デザインよりはるか昔から西洋では知られていたことになる。
極めつけは “slipper history” で英文ページを検索して、スリッパが日本発祥と解説しているものはまったくなかった事実。もちろん何百ページと調べたわけではないが、少なくとも国際的にメジャーな説でないのは確か。
ネットに書かれているものはコピペ、コピペを重ねたものがほとんどである。誰かがスリッパは日本発祥と書いて、それを読んだ誰かが「この話はウケる」とコピペし、また誰かがと次々にコピペされて広まっていったのだろう。別にフェイクニュースを広めようとの悪意は感じられない。裏を取っていないのは慎重さに欠けるとはいえ、すべてのことにそれを求めるのは無理というもの。
それでも、あるいはだからこそネット情報を鵜呑みにしてはいけないとよく分かる事例と言える。スリッパが日本発祥なんて日本人としては自尊心がくすぐられる耳触りのいい話。だからつい信じてしまう。脳は気持ちよくなる選択を優先しがち。このレベルなら実害はほとんどないとしても、デマやフェイクはシリアスな内容とは限らないのだ。
このネット情報過多時代、すべてを信じてはいけないし、かといってすべてを疑ってもいられないから困るしメンドクサイし疲れるとーーースリッパの話がまさかこんなオチになるとは思ってもみなかった(^^ゞ
ーーー続く
2023年09月03日
サンダルとスリッパのよもやま話 その2
前回のポイントをまとめると、まず履き物は3つのタイプに分かれる。
「ある程度の固さを持った靴底」があり、それに「足全体を覆うパーツ」を
組み合わせた靴。
足全体を覆わず、紐やベルトなどで靴底が足から離れない工夫をしたサンダル。
足全体を覆うパーツはあるが「ある程度の固さを持った靴底」はなく
足を包む袋のようなもの。
だから草履(ぞうり)や雪駄(せった)や草鞋(ワラジ)といった伝統的な履き物のも、女性が履く踵の高いミュールもサンダル。そしてスリッパも足全体を覆うパーツはないのでサンダルの一種である。
<その1>
それでサンダルとスリッパの違いは
サンダル:外履き
スリッパ:室内履き
と解説しているものが多い。
それを読んで「そうだよね」と「そうだった?」との気持ちが正直なところ半分半分である。不思議なものでサンダルとスリッパの違いというテーマを意識してしまった後では、今までどう区別して暮らしてきたか自分でも分からなくなってしまっている(^^ゞ
もちろん部屋で履くこういうのはスリッパである。
しかし外で履くこのタイプをサンダルではなく、
スリッパとも呼んでいた、あるいは認識していたような気もする。
そういえば「つっかけ」なんて呼び方もあった。
もう死語かな?
まあでもサンダル=外履き/スリッパ=室内履きの区別は正しいと思われる。そして前回に記したようにこのテーマでブログを書いたのは、無印良品の「ルームサンダル・鼻緒」という商品名にどこか違和感を覚えたのがきっかけ。それは外履きであるサンダルに「ルーム」と名を付けて室内履きにしてあったからと頭の整理がついた。まずは一件落着。
<その2>
今までに書いてきたスリッパがサンダルの一種とするのは、現代の日本に当てはめる限りは正しい。でももうちょっと事情は複雑。また「ネットに書かれているものはコピペ、コピペを重ねたものが多く、その大元が間違っている場合もある」=ネット情報を鵜呑みにしてはいけないと常々書いているが、今回もそれに関連するお話。
ウィキペディアによると
スリッパ (英: slipper)は、履物の種類で、「スリップ」の名のとおり、
足をするりと滑らすように入れて履ける履物である。
と書かれている。またネットでスリッパの意味を調べると、ほとんどのサイトでこれと同じ説明がなされている。
スリッパはもうすっかり日本語になっているから、その語源が Slip(滑る)に由来すると認識している人はほとんどいないんじゃないかな。私も最初は「そうだったんだあ」と思い、靴ひもで結ばないスリッポン(英語で書くと Slip-on)と似ているななどと考えていた。
ところでなぜスリッポンは Slip-ON なのだろう。足を滑らせて靴に入れるなら Slip-IN なのに。でも靴を履くは wear または put on なので、そこからの ON なのかも知れない。話はそれるが日本語だと服は「着る」で靴は「履く」である。しかし英語では服も靴も wear や put on で区別がない。そのあたり服飾文化の違いが言葉にも表れているのかと思ったり。
さてスリッポンのことを思い浮かべていたとき、前述した「スリッパ (英: slipper)は足をするりと滑らすように入れて履ける」との説明がおかしいと気がついた。
slipper は slip という動詞に er を付けて名詞化したもの。その場合は「滑る人、あるいは滑るもの」との意味になる。drive(運転する)に er を付けてドライバー、 cut(切る)に er を付ければカッターとなるのと同じ文法の理屈。だから slipper は「足を滑らせて履く」意味ではないはず。それにどんな靴だって足を滑らせながら履くじゃないか。(なお私の英語力はたいしたレベルじゃないので、そのつもりで読んでね)
それでいろいろと調べてみると slipper とは滑る靴を意味する室内履きだと分かった。靴が滑ったら危ないじゃないかと思われるだろうが、まあ続きを読んで。
さて次の英文はご存じ?
the little glass slipper
直訳すれば小さなガラスのスリッパ
じつはこれ童話シンデレラの副題。日本では「シンデレラ」だけがタイトルだが、欧米ではこの副題も付けるのがスタンダード。
シンデレラがお城でなくしたのは「ガラスの靴」なのに、それがどうしてスリッパ? それにシンデレラはお城に舞踏会に行ったのにスリッパじゃ踊れないでしょと思われるだろうが、まあ続きを読んで(2回目)。
シンデレラが書かれたのは17世紀後半のルイ14世の頃のフランス。どうやらこの頃の舞踏会は専用の室内履きに履き替えて踊っていたようだ。その理由は
外で履いていた靴では靴底に砂利などがついているかも知れず、
磨き上げられたダンスフロアを傷つける可能性があるから
だそうで、また滑るように踊るあるいは足を滑らせて踊るので、その舞踏会靴をスリッパーと呼んだ。英語辞書で slipper を引くと「室内[舞踏]用の靴」と書かれているものもある。そこから室内履き全般ををスリッパー(日本語ならスリッパ)と呼ぶように転じたとされる。
もちろんこれだってネットで調べた情報ではあるが(^^ゞ スリッパの語源が「足をするりと滑らすように入れて履ける」より「滑るように踊る」のほうが信憑性はあると思われる。
ところで前回は
足全体を覆う構造(靴)
足全体を覆わず紐やベルトなどで固定する(サンダル)
との定義で靴とサンダルは対義語と書いた。しかし靴(シューズ)は外履き、スリッパは室内履きとの観点では靴とスリッパも対義語である。言語空間が入り組んでなかなか奥が深いね。
またウィキペディアにはスリッパの一例として次のような写真も載っている。日本人の目にはとてもスリッパには思えないものの、スリッパの定義が構造ではなく室内履きとの用途区分なら納得がいく。
日本だとさしずめルームシューズとでも呼びそうだが、おそらくそれは和製英語。
ーーー続く
「ある程度の固さを持った靴底」があり、それに「足全体を覆うパーツ」を
組み合わせた靴。
足全体を覆わず、紐やベルトなどで靴底が足から離れない工夫をしたサンダル。
足全体を覆うパーツはあるが「ある程度の固さを持った靴底」はなく
足を包む袋のようなもの。
だから草履(ぞうり)や雪駄(せった)や草鞋(ワラジ)といった伝統的な履き物のも、女性が履く踵の高いミュールもサンダル。そしてスリッパも足全体を覆うパーツはないのでサンダルの一種である。
<その1>
それでサンダルとスリッパの違いは
サンダル:外履き
スリッパ:室内履き
と解説しているものが多い。
それを読んで「そうだよね」と「そうだった?」との気持ちが正直なところ半分半分である。不思議なものでサンダルとスリッパの違いというテーマを意識してしまった後では、今までどう区別して暮らしてきたか自分でも分からなくなってしまっている(^^ゞ
もちろん部屋で履くこういうのはスリッパである。
しかし外で履くこのタイプをサンダルではなく、
スリッパとも呼んでいた、あるいは認識していたような気もする。
そういえば「つっかけ」なんて呼び方もあった。
もう死語かな?
まあでもサンダル=外履き/スリッパ=室内履きの区別は正しいと思われる。そして前回に記したようにこのテーマでブログを書いたのは、無印良品の「ルームサンダル・鼻緒」という商品名にどこか違和感を覚えたのがきっかけ。それは外履きであるサンダルに「ルーム」と名を付けて室内履きにしてあったからと頭の整理がついた。まずは一件落着。
<その2>
今までに書いてきたスリッパがサンダルの一種とするのは、現代の日本に当てはめる限りは正しい。でももうちょっと事情は複雑。また「ネットに書かれているものはコピペ、コピペを重ねたものが多く、その大元が間違っている場合もある」=ネット情報を鵜呑みにしてはいけないと常々書いているが、今回もそれに関連するお話。
ウィキペディアによると
スリッパ (英: slipper)は、履物の種類で、「スリップ」の名のとおり、
足をするりと滑らすように入れて履ける履物である。
と書かれている。またネットでスリッパの意味を調べると、ほとんどのサイトでこれと同じ説明がなされている。
スリッパはもうすっかり日本語になっているから、その語源が Slip(滑る)に由来すると認識している人はほとんどいないんじゃないかな。私も最初は「そうだったんだあ」と思い、靴ひもで結ばないスリッポン(英語で書くと Slip-on)と似ているななどと考えていた。
ところでなぜスリッポンは Slip-ON なのだろう。足を滑らせて靴に入れるなら Slip-IN なのに。でも靴を履くは wear または put on なので、そこからの ON なのかも知れない。話はそれるが日本語だと服は「着る」で靴は「履く」である。しかし英語では服も靴も wear や put on で区別がない。そのあたり服飾文化の違いが言葉にも表れているのかと思ったり。
さてスリッポンのことを思い浮かべていたとき、前述した「スリッパ (英: slipper)は足をするりと滑らすように入れて履ける」との説明がおかしいと気がついた。
slipper は slip という動詞に er を付けて名詞化したもの。その場合は「滑る人、あるいは滑るもの」との意味になる。drive(運転する)に er を付けてドライバー、 cut(切る)に er を付ければカッターとなるのと同じ文法の理屈。だから slipper は「足を滑らせて履く」意味ではないはず。それにどんな靴だって足を滑らせながら履くじゃないか。(なお私の英語力はたいしたレベルじゃないので、そのつもりで読んでね)
それでいろいろと調べてみると slipper とは滑る靴を意味する室内履きだと分かった。靴が滑ったら危ないじゃないかと思われるだろうが、まあ続きを読んで。
さて次の英文はご存じ?
the little glass slipper
直訳すれば小さなガラスのスリッパ
じつはこれ童話シンデレラの副題。日本では「シンデレラ」だけがタイトルだが、欧米ではこの副題も付けるのがスタンダード。
シンデレラがお城でなくしたのは「ガラスの靴」なのに、それがどうしてスリッパ? それにシンデレラはお城に舞踏会に行ったのにスリッパじゃ踊れないでしょと思われるだろうが、まあ続きを読んで(2回目)。
シンデレラが書かれたのは17世紀後半のルイ14世の頃のフランス。どうやらこの頃の舞踏会は専用の室内履きに履き替えて踊っていたようだ。その理由は
外で履いていた靴では靴底に砂利などがついているかも知れず、
磨き上げられたダンスフロアを傷つける可能性があるから
だそうで、また滑るように踊るあるいは足を滑らせて踊るので、その舞踏会靴をスリッパーと呼んだ。英語辞書で slipper を引くと「室内[舞踏]用の靴」と書かれているものもある。そこから室内履き全般ををスリッパー(日本語ならスリッパ)と呼ぶように転じたとされる。
もちろんこれだってネットで調べた情報ではあるが(^^ゞ スリッパの語源が「足をするりと滑らすように入れて履ける」より「滑るように踊る」のほうが信憑性はあると思われる。
ところで前回は
足全体を覆う構造(靴)
足全体を覆わず紐やベルトなどで固定する(サンダル)
との定義で靴とサンダルは対義語と書いた。しかし靴(シューズ)は外履き、スリッパは室内履きとの観点では靴とスリッパも対義語である。言語空間が入り組んでなかなか奥が深いね。
またウィキペディアにはスリッパの一例として次のような写真も載っている。日本人の目にはとてもスリッパには思えないものの、スリッパの定義が構造ではなく室内履きとの用途区分なら納得がいく。
日本だとさしずめルームシューズとでも呼びそうだが、おそらくそれは和製英語。
ーーー続く