2007年12月20日

処分保留という捜査テクニック

「防衛装備品をめぐる汚職事件で、東京地検特捜部は18日、収賄容疑で逮捕していた前防衛事務次官の守屋武昌容疑者(63)の妻(56)を処分保留のまま釈放した」


一昨日流れたニュース。
このオネダリ妻のことは今回のテーマではない。
ニュースの最後にある「処分保留のまま釈放した」。
皆さんも、このフレーズは何となく聞き覚えがあると思う。


何かやらかして逮捕されるとどうなるかを簡単に書くと
(細かなことを書き出すときりがないし、私の法律知識も追いつかないので、あくまで大ざっぱな解説です)

1)警察にしょっ引かれて取り調べを受ける。
 (容疑が固まれば)
2)警察は48時間以内に身柄を検察に送らなければいけない。
  ※身柄は釈放する書類送検というのもある


刑事ドラマなんかだと、なかなか口を割らない犯人を時間をかけて落としていくみたいなイメージがあるけれど、実際は(逮捕した後は)2日間しかない。警察は基本的に捜査して証拠を集め逮捕するのが仕事であり、本当の意味で取り調べるのは検察の仕事ということになっている。

3)検察は最大で20日間、容疑者(法律的には被疑者という)を拘留できる。
4)検察はその期間内に取り調べを終え、起訴するかしないかを決める。

不起訴処分になれば晴れて無罪放免。起訴されれば裁判にかけられるか、軽い罪なら罰金などの略式命令が裁判所に請求される。いずれにせよ逮捕されて検察に送られれば起訴か不起訴かのいずれかになる。


さて
「処分保留のまま釈放した」というのは起訴か不起訴かの処分の判断を保留する、先送りするということ。そして、ほとんどの場合は後から起訴されることはない。


それで
処分保留というのはグレーな捜査手法ではないかと何となく疑っている(大きな事件の場合だけれど)。つまり事件の周辺にいる情報を持っていそうな人物を、起訴する気もないし有罪にできないとわかっているのに逮捕という圧力をかけて、取り調べて情報を引き出す。情報を引き出した後、その人をただちに不起訴処分とすると、捜査が間違っていたということになるので、処分保留という曖昧な形で釈放し、ほとぼりが冷めた頃に不起訴処分を確定させるーーーではないかと。また逮捕する人数が多いほど、ガンバッテ捜査しているという印象を世間に与えることもできる。


考えすぎかなあ〜。
でもまあ、大きな事件があったとき、暇つぶしに処分保留にされそうな逮捕者でも予想してみてください。

wassho at 19:10│Comments(0) ノンジャンル 

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