2009年01月23日

派遣の話題その3

ちょっと話は変わるけれど、物事の優先順位の付け方は原則として次の順番になる。


       重要度
        ↑
     3  |  1
        |
   ーーーーーーーーーー→緊急性
        |
     4  |  2
        |


上の図のキモは、たとえば仕事の場合、何事も締め切りがあるから「2」のさして重要でもない仕事をさっさと片付けておかないと「3」にあった仕事が、いずれ「1」の位置に来るということである。時がたてば状況は変わるのである。


敗者復活戦を早くしなければいけないというのは、敗者が敗者のままだと、本当の弱者になってしまうから。優先順位の話をたとえにするのは、ちょっと理屈付けが強引な気はするが、派遣切りが重要性の低い課題なのかと深読みはせず、時がたてば状況は変わるという趣旨でご理解を。


本来の弱者と、弱者になった敗者は区別するべきと思うが、いずれにせよ弱者になればなるほど助けるコストがかかる。つまり年末に派遣切りされた人は、つい最近まで働いていたのだから、職さえ見つかればすぐに社会復帰できる。これがずっと職がなくホームレス歴3年なんてことになれば、その難易度は途方もなく高くなる。


求職のインフラはハローワークや民間の求人会社、公立の職業訓練学校(語学はないようだけれど、他は実に様々なカリキュラムがある)など、それなりに整っているように思える。しかし、どこか不足なところがあるなら税金を使ってでも改善するのには賛成。2兆円はばらまかずに賢く使うべきといっても、太郎君は聞く耳を持たないだろうな。

特に職業訓練学校は、より実践的に強化し、門戸も広くすべきだ。アマチャンの学生の時分と違って、大人になってから3ヶ月でもみっちり勉強すれば、ビックリするくらいレベルアップできる。
(語学もカリキュラムに加えるべきである。ちなみに高卒で英語の通信簿が3以上なら「ネット辞書を使って見よう見まねで作成する英文ビジネスレター講座」を3ヶ月続ければ、私程度の海外ビジネスはできる)


ただし暗いことを言うようだけれど、派遣切りはなくならない。


求人倍率は0.75の話は前々回書いた。景気がよくなればこの状況は解消される。しかし仮によくなったとしても、景気は循環するからいずれまた悪くなる。


さて
昔と較べたらずいぶん変わってきたとはいえ、日本は終身雇用/年功序列の労働形態がまだまだ根強いというか、その前提で雇用の仕組みが出来上がっている。理屈を書くと長くなるから省略するけれど、だから日本では社員を簡単には解雇できない決まりに法律でもなっている。不景気の時に解雇できない社員をいっぱい抱えていたら会社が持たないから、景気に応じて雇ったり解雇したりできる派遣や契約社員という最近よく聞く「非正規」の人員で調節せざるを得なくなってくる。

この仕組みがいいのか、アメリカのように社員でも簡単に解雇できる(そのかわり好景気の時に雇われたら給料は高い)仕組みがいいのかは、専門外なのでよくわからない。いずれにせよ日本では出来上がってしまっている終身雇用/年功序列前提で雇用の仕組みは、そう簡単には方向転換できないことは事実。それを考慮せず非正規だけを規制すれば、企業は雇用のフリーハンドを求めて、ますます海外生産にシフトして失業が増える。前々回に書いたように、世の中は全体と部分、長期と短期のバランスの上に成り立っている。



正規/非正規の話はさておき
100年先のことはわからないとしても、すくなくとも向こう50年くらいの間、失業問題は日本をますます悩まし続ける問題になると予測している。

たとえがまた強引で恐縮だけれど、職業訓練学校をもっと強化・拡大して(ネーミングも変えた方がいい)、失業したら、たとえば英語能力を身につける手伝いをして、あるいは強制してでも(これがキモである)身につけさせ、早期に社会復帰をしてもらい、不幸にもまた失業したら、今度はたとえば中国語を身につける手伝い/強制をして早期に社会復帰をしてもらうーーーそんな仕組みが求められているような気がする。
別に派遣切りされた人を気の毒に思っているだけじゃなくて、労働者の質の底上げを図らなければ、この国はヤバイと感じる。敗者である失業者が増えれば、勝者である働いている人も割を食うのである。


ーーー続くかも知れません

wassho at 13:26│Comments(0) 社会、政治、経済 

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