2009年04月05日

カメラにはサクラモードを

89d1f911.JPG写真は目黒川の桜。




世田谷区を流れる北沢川と烏山川が合流して、そこから下流が目黒川である。北沢川と烏山川は暗渠(あんきょ)といって川が埋め立てられて地下の下水道になっている。合流地点も暗渠であるが、そこからしばらく先、渋谷から西に延びる東急田園都市線で1駅目の池尻大橋駅付近からは川として残されている。川といってもコンクリートで固められた巨大な用水路のようなものではある。ただし、その両岸には延々と桜が植えられていて、東京の桜名所のひとつ。


普通、お花見というと公園のようなところでお弁当を食べたり、飲めや歌えの宴会をしながらーーーというイメージ。しかし目黒川の両岸の道は、クルマがすれ違えるかどうか程度の細い道なので、そういうスペースはない。ところどころに無理矢理ビニールシートを広げているグループがいるものの、基本的には散歩しながら桜を愛でるお花見となる。


片道3キロだから散歩にはほどよい距離とはいえ、当然、桜が満開の週末は大勢の人出になるので、よちよち歩きのような歩幅でしか歩けない。しかし写真で桜が川にせり出しているのと同様に、反対の道路側にもせり出しているので、まるで桜の花のアーケードの下を歩いているような雰囲気で、人混みもいつの間にか気にならなくなる


お花見では、あるいはこの季節になると立派な桜が咲いているところでは、写真を撮っている人が多い。しかし桜ほど撮影の難しい被写体はない。この写真も、私が目で見た桜とはずいぶんイメージが違う。(写真をクリックすると大きくなります)


桜を少し離れた場所から撮る分には問題はない。しかし臨場感を出そうと、接近して桜が咲き乱れている雰囲気をとらえるのは至難である。


桜(ソメイヨシノ)は薄いピンクのイメージだが実際にはほとんど白である。

離れてみる桜は、無色である白がわずかに色づいているピンクに負けて薄いピンクに見えるけれど、近づくにつれ目が正しく対象を捉えるようになると、離れて見たときよりも白い花であることがわかる。

しかし私は、人間は、少なくとも日本人は桜を実際よりピンク色で見たように脳でイメージ補正していると思っている。桜は薄いピンクというイメージを持っているし、そのほうが美しいし、また近くの桜と同時に遠くの桜も見えるので、遠くの薄いピンクの桜の色で近くの白い桜の色も置き換えているようなーーー気がする。


しかし、カメラにはそんな風情を理解する心はないので(^^ゞ、「正しく」白く撮影する。だから何となく、心でとらえた風景と写真のイメージが違うのである。


また、この写真は橋の上から撮っているが、実際には川沿いに延々と桜が咲いていて見事な風景なのである。肉眼では「ピンクフィルター」が働いて、そう見事に見えるけれど、「白く」撮影された桜は遠くは風景と溶け合って、まったくその感じが伝わらない。この日は曇りで空も白かったので、より一層である。


桜を接近して撮るとなると、桜の木は高いので、下から見上げて撮影することになる。目黒川も頭上に咲き乱れている桜は圧巻である。しかし下から撮影するということは逆光で撮るということである。肉眼は逆光もある程度補正するがカメラはそうはいかない。

デジカメの設定、あるいはパソコンに取り込んだ後にフォトショップなどのアプリケーションである程度補正することはできる。今回も試してみたけれど、私のテクニック不足もあって、見た目のイメージにはなかなか近づかない。


パッと咲いてパッと散るのが桜。写真に納めようというのがヤボなのかもしれない。でも本日はカメラメーカーにお願い “見たイメージ通りに補正するサクラモード搭載して” の下書きでした。

wassho at 23:53│Comments(0) ノンジャンル 

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