2009年04月08日

リマスター

759906ea.jpg新聞社のニュースサイトを見ていたら「ビートルズの全アルバムがリマスター」という見出しを見つけた。リマスターして再発売されるCDはめずらしくないが、新聞社で取り上げられるのはさすがビートルズである。
新聞社じゃないけれど、多く情報が載っているのはここ。若かりし4人の顔も拝めます。


リマスターの「リ」は、リサイクルとかリストラの「リ」と同じで、もう一度とか、やり直すという意味。

マスターとはマスターテープ、最近はテープは使っていないのでマスター音源のこと。説明はちょっとややこしいが、音楽は演奏家や楽器ごとに何本ものマイクを使って録音する。それぞれのマイクで録音された音が入っている部分をトラックまたはチャンネルという。

仮に10本のマイクで録音すれば10トラックの録音になる。そして各トラックの音量バランスを調整したり、周波数をいじったり(音色をかえたり、雑音を押さえたり)するのがミキシング。そして最終的にステレオだと、10トラックを左右の2チャンネル分の録音に仕上げる。この最終的に仕上げられた録音がマスター音源。CDやレコードは、いってみればマスターのコピー。


だから、リマスターというのは、最初の10トラックの録音から、もう一度マスター音源を作り直す、つまりミキシングをやり直すこと。ときどきリマスターというのは音のよいCDのこと、つまりDVDに対するブルーレイのようなものと思っている人がいるけれど、それは間違い。規格としては同じCDである。


リマスターするとなぜ音がよくなるのか。
最最初に録音された10トラックのテープの音は変わらなくても、ミキシング機材の性能向上とミキシング技術の向上があるから。つまりビートルズだと1960年代にミキシングされたものを、21世紀のテクノロジーでやり直すことになる。また「最初に録音された10トラックのテープの音は変わらない」と書いたが、修正写真と同じで上手にリマスターすると、最初に録音された以上の音質になる。


ビートルズのリマスターは、超一流のエンジニアが担当するだろうけれど、そうでなくても、古いアルバムならリマスター盤は、それなりに音はよくなっている。私が高校生や大学生の頃にCDはなかった。後に当時のレコードがCD化されて発売されたが、それらのほとんどはレコードと同じマスターを使って作られたもの。CDとレコードでは音の特性が違うから、CDに合わせたミキシングをしなければならない、というか、した方が音はよくなる。CDが発売された当初「音が固い」などといわれたのは、そのせいでもある。

リマスター盤の音はいい。
ただし、それは微妙な領域の話で、たとえばLPからCDに変わったときのような劇的な変化ではない。だからCDラジカセやiPodで聴くなら、その違いは「そういわれてみればーーー」程度のもの。

また
イーグルスなどで昔に発売されたCDとリマスター盤のCDの両方を何枚か持っていて、自宅のオーディオで聞けば確かに音は違うけれど、それで「とってもうれしい」ということはない。

ビートルズのファンは多いだろうが、リマスターからだといって、ビートルズの古い曲からまったく新しい感動が得られるなんてことはないので、無駄遣いされませんように。

wassho at 15:55│Comments(0) 音楽、オーディオ 

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