2010年01月08日
NAVI休刊

世間的にどれだけの知名度があったかは不明だが、
クルマ好きやクルマに関する仕事をしている人からは
一時期、一目置かれていた雑誌である。
その休刊が決まったらしい。
創刊時はクルマだけじゃなく交通全体を視点とするようなコンセプトがあったように思う。そんな大それた編集が長続きするはずもなく(^^ゞ、すぐにクルマ中心の編集になってくるが、新車紹介や試乗記だけの一般クルマ雑誌と異なり、クルマと生活、クルマと文化に触れるような記事も多く、ある種の知的な雰囲気を持つクルマ雑誌だった。
以前に勤務していたコンサルティング会社で作った自動車マーケットの分析がNAVIに取り上げられたこともあり、そのページのコピーを持って、いろんな会社に営業プレゼンテーションに行ったことも懐かしい。NAVIに執筆していた自動車評論家の何名かとは一緒に仕事をしたこともある。
しかし輝いていたのは90年代初めくらいまで。その後は、ファッション雑誌的になったり、高級外車オタク向けの抽象論が多くなったりし始める。最後に立ち読みしてから5年はたつ。そのときも3秒くらいで棚に戻したと思う。
とはいえ(狭い範囲の話だが)クルマの趣味性、文化性で一世を風靡したNAVIが休刊というのは、それなりに感慨がある。何度かブログでも書いたけれど、今はクルマが売れていない、特に若者は関心を持っていない時代である。その象徴のようにも思える。
かつてクルマは、ステイタスの象徴だったり、個性の表現だったり、趣味やこだわりの対象だったりした。今でもその側面はあるが実用的な道具として選ばれる時代である。(ついでに書くと、昔だってその側面は自動車業界の人が思っているほど強くはなかった。だから昔は80点主義とクルマ好きから陰口をたたかれたトヨタがナンバーワンになった)
日本のクルマは4年でモデルチェンジをする。以前はモデル末期になると売り上げが落ちたが、最近はそうでないクルマも増えている。冷蔵庫を買うときに、モデルチェンジの時期を気にする人は少ないと思うけれど、クルマもそのようになってきたということである。帰省したときなどレンタカーを借りるが、(今までの稼ぎの1/5くらいは自動車業界から得ている)この私ですら借りているクルマの排気量を知らない。もちろん私は自宅の冷蔵庫のコンプレッサーの容量も知らない。知っているのは2ドアでモカブラウン色の冷蔵庫であること。ほとんどの人にとってクルマも、この程度の認識の時代になった。
NAVIが輝いていた頃は、クルマにとって「古き良き時代」。そして時代は流れNAVIは休刊。それはマーケットの変化の必然の帰結だろう。私も自動車業界からのカネの巻き上げ方を考え直さねばと思うこの頃である(^^ゞ
wassho at 18:55│Comments(0)│
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