2010年03月29日
人口ボーナス
あまり聞き慣れない言葉である。
名付け親は国連で、下に書いたような定義らしい。
その前に
●生産年齢人口
働いて稼ぐ人口。15歳から64歳までの人口。
●従属人口
上の逆で、働いている人に養われる人口。
0歳から14歳までと、65歳以上の人口の合計。
それで人口ボーナスの定義とは、
「生産年齢人口÷従属人口」の値が2以上、つまり働いている人が養われている人の2倍以上いる人口構成のこと。この状態の時は労働力が豊富で、経済成長が加速するとされている。年齢の区切り方に多少の疑問はあるが、まあそれは何となく納得できる。
この人口ボーナスとなる人口構成は、国の発展につれて社会が多産多死→多産少死→少産少死へと移っていく過程であらわれるとされる。具体的な計算方法はわからないが、多産多死とは長生きしない社会だから子供の占める比率が高く、その後長生きできる社会になり出生率もさがると、子供の比率が下がり働き手の多い社会になるというようなイメージか。
人口ボーナスは国の経済成長率を予測したり説明する指標らしい。日本が先ほどの値で2以上、つまりボーナスを受け取っていたのは1950年から1987年の37年間で、つまり高度成長の時期とも重なる。
人口ボーナスのおもしろいところは、核を打ち合う世界大戦争でも起こって文明が逆戻りしない限り、多産多死→多産少死→少産少死の流れが変わることはないから、近代以降で、ある国が人口ボーナスを受け取ることができる期間はある一時期だけという点である。日本は少子高齢化社会になったから、もうボーナスは出ないよ(残念)
冒頭のいつもは写真のところをクリックすると各国の一覧表になっている。ただしネットで拾ってきた数字だから、信憑性は多少劣る。公的あるいは信頼できる機関から発表された数字というのは、数分検索した程度では見つからなかった。
数字を見ると中国の天下はあと30年続くことがわかる。中国はやがて世界一の経済大国になるだろうが、インドは2030年代にその中国を抜くかもしれないという予測もできる(人口も2030年代にインドは中国より多くなるといわれている)。アメリカはヤバそうである。韓国は2010年代では2.67と最も大きな値となっている。日本が最近エレクトロニクスでもクルマでも韓国に負けつつあるのは、こんなところに原因があるのかもしれない。
人口ボーナスが、どれだけ経済を説明できるのかは専門外なので知らない。働く人口が多くても、付加価値の高い=儲かる仕事をしなければ経済力には結びつかないという疑問がとりあえず浮かぶ。ただ逆もまた真なりで、日本はよほど高付加価値な路線に舵を切らないとアジアの中流国になってしまう。日本の物づくりの技術力は素晴らしいんだと言う、というか言い聞かせている評論家や政治家は多いけれど、50年先に通用する技術なんてない。
子供手当法案が成立しても、貧困で子供を育てられない状態の家庭が多数いるわけでもないのだから、少額を均等にばらまいたところで「国力」の増加には結びつかない。出生を増やしたり、子供がいても働きやすい社会にするには、もっとまとまって使うべき方策が他にあるように思える。
ところで人口ボーナスは、年齢で生産人口と従属人口を分けて、それを割っただけの単純な指数である。しかし数字になると説得力がある、重みがあるように思えるのが、数字のおもしろいところであり怖いところでもある。
だいたい「2」という値にどれだけの根拠があるのか理解しないで、この数字は読み取れないはずなのに、数字にしたもの勝ちで、後は数字が一人歩きする。数字が一人歩きすると、人々は意味を理解することを省略して数字を追う。実はそんなテクニックは、コンサルティングの現場で私もよく使う(^^ゞ
名付け親は国連で、下に書いたような定義らしい。
その前に
●生産年齢人口
働いて稼ぐ人口。15歳から64歳までの人口。
●従属人口
上の逆で、働いている人に養われる人口。
0歳から14歳までと、65歳以上の人口の合計。
それで人口ボーナスの定義とは、
「生産年齢人口÷従属人口」の値が2以上、つまり働いている人が養われている人の2倍以上いる人口構成のこと。この状態の時は労働力が豊富で、経済成長が加速するとされている。年齢の区切り方に多少の疑問はあるが、まあそれは何となく納得できる。
この人口ボーナスとなる人口構成は、国の発展につれて社会が多産多死→多産少死→少産少死へと移っていく過程であらわれるとされる。具体的な計算方法はわからないが、多産多死とは長生きしない社会だから子供の占める比率が高く、その後長生きできる社会になり出生率もさがると、子供の比率が下がり働き手の多い社会になるというようなイメージか。
人口ボーナスは国の経済成長率を予測したり説明する指標らしい。日本が先ほどの値で2以上、つまりボーナスを受け取っていたのは1950年から1987年の37年間で、つまり高度成長の時期とも重なる。
人口ボーナスのおもしろいところは、核を打ち合う世界大戦争でも起こって文明が逆戻りしない限り、多産多死→多産少死→少産少死の流れが変わることはないから、近代以降で、ある国が人口ボーナスを受け取ることができる期間はある一時期だけという点である。日本は少子高齢化社会になったから、もうボーナスは出ないよ(残念)
冒頭のいつもは写真のところをクリックすると各国の一覧表になっている。ただしネットで拾ってきた数字だから、信憑性は多少劣る。公的あるいは信頼できる機関から発表された数字というのは、数分検索した程度では見つからなかった。
数字を見ると中国の天下はあと30年続くことがわかる。中国はやがて世界一の経済大国になるだろうが、インドは2030年代にその中国を抜くかもしれないという予測もできる(人口も2030年代にインドは中国より多くなるといわれている)。アメリカはヤバそうである。韓国は2010年代では2.67と最も大きな値となっている。日本が最近エレクトロニクスでもクルマでも韓国に負けつつあるのは、こんなところに原因があるのかもしれない。
人口ボーナスが、どれだけ経済を説明できるのかは専門外なので知らない。働く人口が多くても、付加価値の高い=儲かる仕事をしなければ経済力には結びつかないという疑問がとりあえず浮かぶ。ただ逆もまた真なりで、日本はよほど高付加価値な路線に舵を切らないとアジアの中流国になってしまう。日本の物づくりの技術力は素晴らしいんだと言う、というか言い聞かせている評論家や政治家は多いけれど、50年先に通用する技術なんてない。
子供手当法案が成立しても、貧困で子供を育てられない状態の家庭が多数いるわけでもないのだから、少額を均等にばらまいたところで「国力」の増加には結びつかない。出生を増やしたり、子供がいても働きやすい社会にするには、もっとまとまって使うべき方策が他にあるように思える。
ところで人口ボーナスは、年齢で生産人口と従属人口を分けて、それを割っただけの単純な指数である。しかし数字になると説得力がある、重みがあるように思えるのが、数字のおもしろいところであり怖いところでもある。
だいたい「2」という値にどれだけの根拠があるのか理解しないで、この数字は読み取れないはずなのに、数字にしたもの勝ちで、後は数字が一人歩きする。数字が一人歩きすると、人々は意味を理解することを省略して数字を追う。実はそんなテクニックは、コンサルティングの現場で私もよく使う(^^ゞ