2010年04月23日
革シートの話2
クルマの革シートに限らず革には独特の匂いがある。
好きな人もいるし、あの匂いがダメで革ジャンを着られない人もいる。
本革なのかビニール製の合成皮革なのかを確かめるためにクンクンしたりもする。
ところであの匂いは革に染みこんだ匂いではあっても、革そのものの匂いではない。正確に言うならば革の匂いといってもいいかもしれないが、革の原料である動物の皮の匂いではない。牛や馬に鼻を押しつけてクンクンしたとしてもあんな匂いはしない。
皮から革になる加工には、いくつかの段階ある。
洗う:皮に着いている毛や血や肉を落とす作業
鞣す(なめす):草や樹木の液に浸す。柔らかくするためかな?
オイルに浸す、あるいは塗る:何という呼び名かは知らない。
もちろん実際の行程はもっと複雑に分かれている。乾燥させたり揉み込んだりもするし、色もつける。草や樹木の液に浸すと書いたけれど、それは古典的な手法で今はいろいろな薬品を使う。
それでオイルの行程。昔は魚から採ったオイルを使っていて、革のあの独特の匂いは、実は魚オイル(が中心成分の)匂いらしい。動物の皮の匂いだと思っていたものが、魚の匂いだと知ったときはちょっとびっくりした。そして現在、魚のオイルはほとんど使われなくなったが、あの革の匂いを出すために成分を調節しているらしい。香料でも入れているのかな?
きわめて現代的な製法で革を加工すると、あの匂いはほとんどしなくなる。某有名ブランドは伝統的な製法から現代的な製法に変えたとき、店頭でお客がクンクンしてこれは本当の革かと怪しんだので、伝統的な製法の革に戻したという話もある。革製品を扱うお店では革の匂いの香料が入ったスプレーを撒いているところもある。ウナギの匂いで客を誘い込むのと一緒ね。
日本とヨーロッパを較べれば、革についての歴史や経験はやはり差がある。
そういうのは言葉にも表れていて、日本語なら革と一言だけれど、英語ならレザー以外にカーフとかコードバンとか牛の年齢や部位によって10種類以上の単語がある。日本語だとハマチとかマグロとか魚には当然それぞれの名前がついている。どこか内陸部の国では魚は魚という単語だけで、固有種の名前はない言語もあると聞いた。ハマチもマグロも魚としか呼ばない。食べるわけじゃないから別に困らないのだ。逆に昔は遊牧民だった民族のどこかの言語では、停まっている馬、走っている馬、死んでいる馬とかですべて呼び名が違うらしい。日本人なら馬という言葉だけで用が足りるが彼らには不足なんだろう。
いつものことであるが脱線した。
国産車でも革シートだったり、革シートをオプションで装着できるクルマは増えてきた。すべてのクルマを知っているわけではないが、同クラスの欧州車と比べると国産の革シートは明らかに劣る。特に、そこそこの高級車で標準じゃなくてオプションの革シートの場合、これは革だといわれなければビニールだと信じて疑わないようなものも多い。私の文章で想像するのは難しいかも知れないが、見較べれば誰でもイッパツでわかる。コストの問題というより、文化に根ざした感性の問題のように思う。
脱亜入欧して100ウン十年。
たいていのことは追いついたけれど、
文化は時間がかかるね。
好きな人もいるし、あの匂いがダメで革ジャンを着られない人もいる。
本革なのかビニール製の合成皮革なのかを確かめるためにクンクンしたりもする。
ところであの匂いは革に染みこんだ匂いではあっても、革そのものの匂いではない。正確に言うならば革の匂いといってもいいかもしれないが、革の原料である動物の皮の匂いではない。牛や馬に鼻を押しつけてクンクンしたとしてもあんな匂いはしない。
皮から革になる加工には、いくつかの段階ある。
洗う:皮に着いている毛や血や肉を落とす作業
鞣す(なめす):草や樹木の液に浸す。柔らかくするためかな?
オイルに浸す、あるいは塗る:何という呼び名かは知らない。
もちろん実際の行程はもっと複雑に分かれている。乾燥させたり揉み込んだりもするし、色もつける。草や樹木の液に浸すと書いたけれど、それは古典的な手法で今はいろいろな薬品を使う。
それでオイルの行程。昔は魚から採ったオイルを使っていて、革のあの独特の匂いは、実は魚オイル(が中心成分の)匂いらしい。動物の皮の匂いだと思っていたものが、魚の匂いだと知ったときはちょっとびっくりした。そして現在、魚のオイルはほとんど使われなくなったが、あの革の匂いを出すために成分を調節しているらしい。香料でも入れているのかな?
きわめて現代的な製法で革を加工すると、あの匂いはほとんどしなくなる。某有名ブランドは伝統的な製法から現代的な製法に変えたとき、店頭でお客がクンクンしてこれは本当の革かと怪しんだので、伝統的な製法の革に戻したという話もある。革製品を扱うお店では革の匂いの香料が入ったスプレーを撒いているところもある。ウナギの匂いで客を誘い込むのと一緒ね。
日本とヨーロッパを較べれば、革についての歴史や経験はやはり差がある。
そういうのは言葉にも表れていて、日本語なら革と一言だけれど、英語ならレザー以外にカーフとかコードバンとか牛の年齢や部位によって10種類以上の単語がある。日本語だとハマチとかマグロとか魚には当然それぞれの名前がついている。どこか内陸部の国では魚は魚という単語だけで、固有種の名前はない言語もあると聞いた。ハマチもマグロも魚としか呼ばない。食べるわけじゃないから別に困らないのだ。逆に昔は遊牧民だった民族のどこかの言語では、停まっている馬、走っている馬、死んでいる馬とかですべて呼び名が違うらしい。日本人なら馬という言葉だけで用が足りるが彼らには不足なんだろう。
いつものことであるが脱線した。
国産車でも革シートだったり、革シートをオプションで装着できるクルマは増えてきた。すべてのクルマを知っているわけではないが、同クラスの欧州車と比べると国産の革シートは明らかに劣る。特に、そこそこの高級車で標準じゃなくてオプションの革シートの場合、これは革だといわれなければビニールだと信じて疑わないようなものも多い。私の文章で想像するのは難しいかも知れないが、見較べれば誰でもイッパツでわかる。コストの問題というより、文化に根ざした感性の問題のように思う。
脱亜入欧して100ウン十年。
たいていのことは追いついたけれど、
文化は時間がかかるね。
wassho at 20:11│Comments(0)│
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