2010年06月22日

ボストン美術館展

5e10557b.jpg先日、六本木ヒルズにある森アーツセンターで開催されていたボストン美術館展「西洋絵画の巨匠たち」を見てきた。今年は印象派の展示会が多く印象派イヤーと呼ばれているらしい。この展覧会は印象派の作品だけじゃなく宗教画やレンブラントなどの古典的作品、それにピカソまでとおいしいものをほどよく取り揃えた幕の内弁当のような構成。ただしこれという大作はない。


最後に美術展に行ったのがいつ頃で、何を見に行ったかをまったく思い出せないほど、絵を見に行くのは久しぶりである。たまたま地下鉄の駅でポスターを見たのが今回のきっかけで、結論を言えばとっても満足して帰ってきた。やはり絵を眺めるのは楽しい。日常とはちょっと違う空間に身を置くと、精神的にリフレッシュできる。


訪れたのは会期も終わりに近い平日の午前中。ほどほどに混んでいた。7割以上が60歳以上の年配女性客。美術好きというより暇つぶしのイベントとして来ているような雰囲気の人も多かった。休日ならどういう観客構成になっているんだろうと、つい考えるのは仕事の悪い癖か。


久しぶりに美術展に行ったので、行くまですっかり忘れていたのんだけれど、最初の1枚を見たとたん「そうそう、これこれ。これがいいのよ美術展に来て本物を見るのは」と、よく美術展に通っていたときの記憶がよみがえった。


有名な作品なら、たいてい雑誌かなんかで見て、どのような絵か知っている。今ならネットでどんな絵も見ることができる。それの本物の絵を見て「さすが、やっぱり本物は違う」と内容的に感激することは絶対にない。雑誌やネットで見た絵が目の前にあるだけである。

何が違うかというと、まず雑誌で見るのとはサイズが違うから、言葉はおかしいかもしれないが臨場感、存在感がある。それと次はもっと表現が難しいが、本物の絵はなんというか、やっぱり「生々しい」のである。ふだん印刷物のクオリティに不満を感じることはない。しかし撮影したり印刷にしたときに抜け落ちているものは確実にある。すべてが再現できている、伝わっているわけじゃない。


写真で貼り付けてあるのはトマ・クチュールという画家の「寡婦」という作品(クリックするとちょっとだけ大きくなります)。今回一番気に入った作品だけれど、パソコンの画面で見て「素晴らしい!」と賛同してくれる人は少ないかもしれない。

描かれているのはナポレオンの頃の戦争未亡人らしい。ただし本物を見れば、彼女の悲しみや苦悩は、そんな説明を聞かなくてもビシビシ伝わってくる。彼女の下を向いている目をずっと見つめてしまう。こんな美人なら再婚して、その後はきっと幸せな人生を送ったに違いないなどとモーソーが膨らむ。ブログに貼り付けてある画像でわかるのは、この作品の魅力の5%くらいか。だから絵は贋作でもいいから生で見るべきなのである(^^ゞ


残念ながらボストン美術館展は先週の日曜日まで(情報遅くてゴメン)。7月に次は京都で開催されるから、関西方面の方は祇園祭見物をかねてどうぞ。

wassho at 12:31│Comments(0) 美術展 

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