2012年05月03日

ハーレーですか?

東日本大震災の津波で流されたハーレーが、カナダに漂着して発見されたことがニュースになっている。持ち主も判明し、ハーレー社はそのバイクを無償で修理する意向などとも伝えられている。今なら「ハーレー 漂着」で検索すればたくさんヒットする。バイクはもちろん水に浮かないので最初は???と思ったが、ガレージ代わりに使っていたコンテナごと流されてプカプカ漂流したようである。


ところでハーレーというのはアメリカ製の大型バイク。ハーレーと聞いて何もイメージが浮かばないなら、本日のブログは理解できないかも知れないことを最初に断っておく。でもバイクネタじゃなくて、最近珍しいマーケティングネタ。


ハーレー漂着のニュースは世間的にはヨカッタネ的な話しなのだと思う。この少し前にはアラスカにサッカーボールが流れ着き、その持ち主が16歳のサッカー少女だったというニュースもあった。藻がへばりついたボールを丁寧に洗ったら、名前が書いてあったという拾い主の話にはちょっと感動もした。もちろん津波などない方がイイに決まっているし、もし持ち主が亡くなっていたらニュースも悲劇的なニュアンスになっただろうけれど。

ハーレーとサッカーボールが同じような頃に漂着したということは、これから日本の太平洋対岸にはいろんなものが流れ着くということだろう。津波によって膨大な量が海に流れ出したわけだから、今は好意的・同情的な対岸のアメリカ人やカナダ人が、やがて日本から流れ着く大量のゴミに困ったり怒り出さないかが少し心配でもある。


さて、そんなことよりも私の関心を惹いたのは「津波で流出のハーレー、カナダに漂着」のタイトルである。ほぼすべてのマスコミが同じようなタイトルを使っている。なぜ関心を持ったかというと、もし漂着したのがホンダのバイクなら「津波で流出のホンダ」ではなく「津波で流出のバイク」となっていたはずだから。ヤマハやスズキや私の乗っているBMWでも同じ。それほどハーレーというのはバイクの代名詞になっている。ハーレーという単語で読者に通用する、あるいはより記事に興味を持ってもらえると大手マスコミが判断したことが興味深かった。


私が35年ぶりにバイクに乗り始めた話をすると、5人に4人の最初の反応は「ハーレーですか?」である。けっしてホンダですかとかBMWですかと尋ねられることはない。どのメーカーですかと問われもしない。この場合の相手はバイクとはほとんど縁のない人たちである(世の中のほとんどがそうだ)。つまりバイク=ハーレーという図式が一般に浸透している、ブランドとして確立しているということである。ちなみに「いやBMWのバイク」と答えると、3人に2人の反応は「BMWってバイクも作っているの!」になる。


バイクのマーケットはクルマとはかなり様相が異なる。
400cc以上の国内販売台数メーカーシェアは次のようになる(ただし、かなり概算)。なおバイクは免許の種類によって50cc未満(いわゆる原付)、125cc未満、400cc未満、400cc以上と分けるのが日本では一般的。400cc以上が分類的には大型バイクと呼ばれる。

  国内メーカー
     ホンダ   1万台
     ヤマハ   5千台
     スズキ   5千台
     カワサキ  1万台

  海外メーカー
     ハーレー(アメリカ) 1万台
     BMW(ドイツ)    3千台
     ドゥカティ(イタリア)3千台
     その他もろもろ    3千台

国内メーカー3万台に対して海外メーカー1万9千台。こんなに輸入品比率が高いマーケットは珍しい。もちろん金額ベースでなら海外メーカーのシェアが高くなる。たぶん国内メーカー1対海外メーカー2.5くらいじゃないかな。なお数字を丸めてホンダ、カワサキ、ハーレーを1万台としたが、ハーレーが1位の年度が多い。

またカワサキは原付やスクーターを作らない会社なので全排気量のバイク販売台数における国内メーカーシェアでは4位と最下位だが(数字は忘れたし、バイクの統計は調べるのに面倒な形でしか提供されていないものが多いのでパス)、400cc以上ではホンダと同程度なシェアであることは、バイクに乗っている人の間でもあまり知られていない。


ーーー続くかも。

wassho at 20:59│Comments(2) 社会、政治、経済 |   *バイク関連

この記事へのコメント

1. Posted by KozoTSK   2012年05月05日 21:43
久しぶりにコメントさせていただきます。

ハーレーの報道、見出しだけでスルー仕掛けてましたが・・・。

改めてググってみると色々と示唆するところありですね。

メーカー・ディーラーのリサーチ力の凄さとか、すかさず販促効果を判断する素早い対応力とか・・・。

ハーレー、数字的にはホンダ、カワサキに匹敵すると評価になるのですね。

因みに昨年11月のバイク誌の統計データで、ビックバイクの車種別販売数ランキングで30位中11車種がハーレーで群を抜いていたと知り驚愕した記憶があります。

以降、ハーレーは国内ビックバイク市場で圧倒的優位に立っているというと認識を改めました。

今回の報道もそうですが、「ハーレー」に対する一般人と(非ハーレーの)バイク乗りの認識・反応の差異は面白いですね。

タイムリーにこんな記事がありましたので参考まで。
http://inatetsu.blog.so-net.ne.jp/2012-05-02#comments

続き、楽しみにしてますね(^O^)/
2. Posted by 晴れ時々マーケティング   2012年05月06日 00:20
KozoTSK様

お久しぶりです。

ハーレーに乗っている人って、いろいろタイプわけができて興味深いですね。ざっと思いつくものを上げてみると、

1)アメリカの白バイポリスに憧れている人たち
  ただし絶滅危惧種(^^ゞ

2)マスツーリングな人たち
  この人たちが年間1万台以上を支えているハーレージャパンの
  お得意様かな。

3)ロックな人たち

4)アウトローな人たち、アウトローを気取りたい人たち

5)古着好きに通じるヴィンテージカスタムな人たち

6)ハーレーじゃないと足が届かない人たち(^^ゞ

もうちょっと観察して、いずれブログでも書いてみたいと思います。

そちらのブログもよく拝見しています。
幹事さんが遅刻しちゃダメよ(^^ゞ

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔