2012年05月11日

カフェ・アメリカーノ

イタリアンなアメリカンの正体はエスプレッソのお湯割りである。エスプレッソと同量か、エスプレッソ6対お湯4くらいの割合で割る。要はエスプレッソのアメリカン。イタリア語ではカフェ・アメリカーノ。


アメリカンコーヒーなんて絶滅種だから若い人なら知らないかも知れない。1970年代中頃から、突如として喫茶店(これも死語っぽくなってきた)を席巻したやや薄味のコーヒー。なぜかアメリカンコーヒーと呼ばれる。アメリカでよく飲まれているコーヒーは薄いのではなく浅煎りの豆だからとか、粗挽きで短い時間であっさりと淹れるからーーーなどというウンチクは当時からあったが、ほとんどの喫茶店では普通に淹れたコーヒーをお湯で2割くらい薄めてアメリカンとして出していた。私はアメリカンを飲まなかったから、いつ頃廃れたのか記憶がない。そういえば「ブランデー、水で割ったらアメリカン」という便乗CMをサントリーがやってたっけ。CMは結構有名だったがブランデーが売れたという話は聞かなかったな(^^ゞ

関係ないけど薄味コーヒーが一般的だったアメリカで、深煎りやエスプレッソ系アレンジコーヒーなど濃いめのコーヒーを提案したことがスターバックスの成功の秘訣なのかも知れない。日本でもスタバの熱狂的ファンは多いしマーケティング的にはおもしろい観察テーマなのだが、タバコが吸えないので私は今まで2〜3回しか行ったことがない。


ところで
イタリアに行くとコーヒーに苦労する。ホテルの朝食バイキングでは外国人が多いからか普通のコーヒーが飲める。でも街中一般のレストランでは無理。日本人がお茶といったら紅茶ではなく緑茶を意味するように、イタリアではコーヒーといったらエスプレッソを指す。ドリップで淹れたコーヒーはないのかと尋ねてもドリップ式のことを知らない場合も。イタリアで普通のコーヒーを頼むということは寿司屋で紅茶を出してくれというようなものである。

そんなわけで昔イタリアで毎回甘いエスプレッソばかり飲まされて嫌気がさした私は、あるレストランでランチになったとき、一緒にいたイタリア人スタッフに何とか普通のコーヒーが飲めないか頼み込んでもらった。ボーイではラチがあかずシェフまで出てきてようやく話が通じて出てきたのがエスプレッソをお湯で割ったカフェ・アメリカーノ。2杯おかわりしてチップも弾んだのでボーイも喜んでいた。


前回計算したようにエスプレッソは普通のコーヒーの2倍の豆を使う。それを同量のお湯で割ったら普通のコーヒーになりそうなものだが、エスプレッソの苦みは少し残っていてパンチの効いたコーヒーになる。砂糖は不要。いつものようにクリームだけで飲める。私は日本では自分の家でしか飲んだことがないけれど、エスプレッソを割と専門的に出している店ならメニューにもあるみたいだからお試しあれ。普通のドリップ式コーヒーとは違う風味でおいしいよ。ただし同じ量のドリップ式と較べたら使っているコーヒー豆は多いから、普通のコーヒーでも胸焼けするような人には向かない。



エスプレッソは砂糖を入れて甘くするとはいえ苦みを楽しむコーヒーだと思う。しかし言い換えればヘビーではあるが味は単調。お湯で割ってカフェ・アメリカーノにすると苦みが薄くなって、相対的に味の単調さが強調されてちょっと物足りない気がするときもある。久しぶりにカフェ・アメリカーノを飲みたくてマキネッタを買ったようなものだが、これはちょっと問題。もちろんこれはこれで充分にアリなんだが。


テナコトを思っていた頃、
映画でおもしろいコーヒーの淹れ方というか飲み方を見つけた。
さっそく試してみると、これは結構究極かもという味。

ーーー続く

wassho at 10:53│Comments(0) 生活、日常 

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