2013年04月20日

ルーベンス:栄光のアントワープ工房と原点のイタリア展

おお〜寒っ!な本日。
お昼過ぎの東京の気温は何と10度。もうすぐゴールデンウィークだというのに、上着にダウンジャケットを着てのお出かけ。


向かったのはルーベンス展。混むから基本的に土日には展示会には行かない方針だが、ちょっと時間繰りがうまくいかずズルズルと。気がつけば会期は明日の日曜日まで。昨年のリヒテンシュタイン展(ここと、ここで)でルーベンスは見たから今回はパスするかという気持ちと、たまたま連続しているけれど、まとまってルーベンスを見られる機会は少ないから見ておこうという気持ちが葛藤する。まっ10秒ほどで見に行こうという結論になったけど。


自宅からは東急東横線で行く。東急の渋谷駅は3月16日に場所を移転して、こちらではかなり大きなニュースになった。全国的にはどんな扱いだったのかな? 新しい東急渋谷駅を利用するのは今回が初めてである。

新しい東急渋谷駅は東横線を地下鉄の副都心線と接続させるために、今まで高架駅だったのを地下5階に移した。副都心線で池袋まで行って、その先の東武電鉄や西武電鉄で埼玉まで直通。つまり横浜と埼玉が1本で結ばれた。

しかし私はその方面に行く機会がほとんどないので、旧東急渋谷駅と同じく高架部分にホームがある山手線や地下鉄銀座線(地下鉄なのに始発駅の渋谷は高架駅になっている)などとの乗り換えが不便になってあまりメリットがない。とにかく今までの3倍くらい歩かなければいけない印象である。


展覧会をやっているのは駅から少し離れたところにある東急Bunkamura。写真はiPhoneで撮ったチケット売り場の順番待ち。並んだのは2〜3分でたいしたことはなかった。寒し少し雨も降っているし、ルーベンスは知名度こそフランダースの犬のおかげで高いが超人気のある画家でもないしーーーと会場内が混んでいないことを願いながらチケットを買う。
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会場に入ってみたら、けっこう混んでた(/o\)



「自画像」
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ふ〜ん、こんな顔してたんだ。
ルーベンスはドイツ生まれで当時はスペイン領、現在はベルギーのアントワープで主に活躍。1577年生まれで1640年没。時代的にはだいたい徳川2代将軍の秀忠と同じ位。だから彼は江戸時代初期の人である。

ちなみにこの時代はなのか、ルーベンスはなのか勉強不足で知らないが、ルーベンスの絵は基本的に工房制作方式。ルーベンスが描いた下絵に何名かいた弟子が色を塗り、仕上げをまたルーベンスがおこなうという大量生産?方式。その絵にルーベンスがどれだけ直接タッチしていたかで絵の値段も決められていたらしい。


「ロムルスとレムスの発見」
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古代ローマ帝国を建国したとされている神話上の双子兄弟。母親は人間だが父親は神サマ。ちなみに古代ローマは日本と同じく八百万(やおよろず)の神々がいる。日本とちょっと違うのは、その神サマがすぐ人間の女性をナンパして、しかも子供を作ること。

ちなみにこの兄弟は王家の血筋。しかし、いろいろ政略的な事情で捨てられてオオカミに育てられたことになっている。ルーベンスの絵でも赤ちゃんの1人がオオカミの乳を飲んでいるのは、そのあたりのストーリーの表現。

絵ではわかりづらいが一応手前に魚が泳いでいて、ここは川の畔(ほとり)。左側にいるのは裸の男性は日本風にいえば川の守り神で女性が川の精霊。つまり捨てられはしたが神のご加護厚くすくすく建国の兄弟は育ちましたというめでたい物語。なぜ父親の神サマが自分で助けに来ないとツッコミたいが。右側でのぞき込んでいるのは羊飼いの男で、この後育ての親となる。後にこの兄弟同士は戦い、勝ったロムルスがローマを建国する。ロムルスとローマーーー何となく響きが似ているでしょ。

ほぼ2メーター四方の大きな作品。
やっぱりサイズが大きいと迫力やや存在感が違う。ルーベンスの絵は大きなものが多いから好き。何か精神的に訴えてくるようなタイプの絵ではないが、どっしりとした安定感があって完成度の高いルーベンスらしい作品。




「聖母子と聖エリサベツ、幼い洗礼者ヨハネ」
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聖母子とはキリストと母親のマリアのこと。画面左の2人。エリサベツは英語風に表すならエリザベス。マリアの従姉妹で洗礼者ヨハネの母親。右側の2人。従姉妹同士が赤ちゃんと一緒にいるほほえましい絵であるが、考えてみると描かれているのは大物揃い。

ヨハネはキリスト教でよく聞く名前。でも実は二人いる。たぶんメジャーなのは使徒(キリストの弟子)ヨハネ。こっちの洗礼者ヨハネは絵で見てわかるようにキリストより年長で、後にキリストに洗礼を施すのが彼。いってみればキリスト教の先駆けのような存在。

だからこれは赤ちゃんのキリストとヨハネが仲良くしているメデタイ光景を描いた絵。描き込みも丁寧で美しい作品。ただエリザベツが老婆のように描かれているのが不自然でやたら気になった。



「三美神」
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愛と美の女神はご存じヴィーナス。三美神とはその取り巻きの女神らしい。そんな西洋神話あるいは西洋美術での位置づけはさておき、三美神というくらいだから美しい女神=美しい女性像ということなんだろう。でも美の基準とは時代によって変わるんだなあと改めて感じたのがこの作品。

  貧乳だし寸胴だしケツ垂れてるし脚短いしーーー(/o\)
  顔もブサイクじゃないけれど別に美人でもない。

江戸時代初期の西洋人は、この三美神をみて「ハァハァ」したのかなあ? ナゾ もっとも源氏物語絵巻に描かれている平安美人よりはましだが(^^ゞ



「ヘクトルを打ち倒すアキレス」
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ヘクトルはトロイの木馬で有名なトロイの王子。アキレスはアキレス腱の由来ともなったギリシャ神話の英雄。この二人の戦いを描いた作品。空中に浮かんでいるのはアキレスに加勢している軍神ミネルバ(女神)。相撲の行司のような役割に見えてしまうが。

門のようなフレームがあって左右に神か英雄かの彫刻があって、その上では天使が戦いを眺めている。何かと飾りの多い絵である。考えてみるとフレームの奥に絵があるというのは紙芝居と同じ構成。この時代、こういう絵というのは、人々が映画を見るような感覚で楽しんでいたんだろうなと想像する。


ーーー続く

wassho at 15:22│Comments(0) 美術展 

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