2013年09月08日
イタリア大使館別荘記念公園
9月1日:日光ツーリングの続編4
前回のエントリーで、中禅寺湖スカイラインの終点は展望台というより駐車場みたいと書いたが、調べてみたら、あそこは展望台のための駐車場だった。中禅寺湖を望む展望台は、そこから半月山頂上に向けて20〜30分登ったところにある。
展望台コッチという看板は目立つところにはでていなかったと思う。ネットでの写真を見ると一部はかなり険しい登山道のようである。この日は雲も多く景色が今ひとつだったから、登らなくて正解だったかもしれない。
駐車場で行き止まりになっている中禅寺湖スカイラインを逆方向に下って、中禅寺湖湖畔にあるイタリア大使館別荘記念公園に向かう。
明治から昭和初期に掛けて、日光は外国人に人気の避暑地だったようである。各国の大使館も別荘を設け「夏の外交は日光に移る」といわれたらしい。ただし、その当時に大使館の別荘がいくつあったのか、ザッと調べ程度ではわからなかった。現在も現役で残っているのはフランスとベルギーの大使館別荘。イタリアの大使館別荘は1997年まで使用されていたが、その後に栃木県所有となり一般に公開されている。
イタリア大使館別荘は湖畔にあるはずなのに、湖畔を通って中禅寺湖スカイラインに向かう時に、それらしい案内看板は見かけなかった。それで湖畔まで降りて一番最初にあったクルマ10台分くらいの小さな駐車場にバイクを止める。
駐車場の先は湖畔を回る遊歩道。
ふとそこを見ると
こんなもの道路から見えるわけがない。
日光は景観保護で大きな看板は出さない主義なのかな?
湖畔沿いの道を歩いて行く。
湖の水面からは一段高いところを通っている。
しばらく歩いたところにまた案内標識。
駐車場からはトータル500〜600メートルくらいか。
またテクテク歩いて行くと
こんな看板が。
英国大使館の別荘も栃木県に寄贈されて、一般公開に向けて「解体調査」をしていると書いてある。(クリックすれば文章が読める大きさになる)
解体調査? 理由はわからないが、いったんバラしてから、また組み立てるらしい。それにはそれなりの理由があるんだろうが、いつ一般公開するか書いておいてくれればいいのにと思う。
英国大使館別荘があったと思われる場所。
単にぶっ壊したようにも見えるが(^^ゞ
なんとなく目的地に近づいてきた雰囲気。
しばらく歩くと、例によって控えめな看板。
最初に目に入るのが、この建物。
別荘が現役だった頃は、その離れとして使われていたらしい。
現在は、よく意味のわからない施設になっている。
暖炉の煙突。
日光も寒いところだが、標高が高い奥日光はさらに寒い。冬の最低気温はマイナス10度以下になる。
国際避暑地歴史館の内部の様子。
上の2枚の写真は入り口から腕を突っ込んで撮った。なぜなら内部に入るには靴を脱がなければならなかったから。イタリアの別荘なのにナンデ?
こっちが元イタリア大使館別荘の本館。
建物の横を抜けていくと湖畔に出られるので、
先に湖畔での散歩をすることにした。
表側(湖畔側)から見た別荘。
建てられたのは1928年(昭和3年)。設計はチェコ生まれのアメリカ人であるアントニン・レーモンド。帝国ホテルを設計のために来日したフランク・ロイド・ライトの助手として日本に来ていた建築家らしい。
ヨーロッパ人が日本建築を下敷きに建てたらこうなったという感じのデザイン。ディティールを見ると田舎っぽい作りなのに、全体的にはどこかモダンな印象がある。私は相当気に入った。日本で建築デザインをモダンにするというのは西洋風にするというのと同意語だったけれど、日本的なモチーフをそのままに進化させられる可能性を感じる。正確に言うなら可能性もあったのにーーーかな。
湖畔に出る。
白い砂利浜でとても美しい。歩きにくいけど。
小さな桟橋。
絵になる風景である。
桟橋に展示されていた写真パネル。
いつ頃の写真家の説明はないが、写っているのは古き良きイタリア人? 写真を見ると、当時も今も、ここから見える風景はほとんど変わっていないと思われる。
桟橋の先端。
少し湖面に浮いた気分になれる。
水もきれいだ。
反対側を振り返ると男体山が見える。
桟橋から別荘を真正面に。
自然に溶け込んでいて人工的な感じがほとんどしない。
少し先のほう(南側)に歩いてみる。
エメラルド色の美しい湖である。
遊覧船も走っている。
使われなくなった桟橋。
朽ち果てていてもサマになっている。
もう少し先まで進む。
このあたりまで来ると観光客もほとんどいない。湖はシーンと静まりかえって引き込まれそうな魅力がある。もし入水自殺するなら、ここがふさわしい(^^ゞ
もっと先まで行きたかったが、あとの時間を考えて引き返す。
次に日光に来る時は、中禅寺湖の湖畔を散歩することをメインにしよう。
別荘に戻る方向から見た桟橋。
湖畔から一段高い場所を歩く。
ところで、ここはイタリア大使館別荘記念公園という名前がついているが、別荘以外には、せいぜいこんなベンチやテーブルがある程度である。
もう一度別荘をグルッと見て、
玄関に向かう。
やっぱり、ここも靴を脱ぐ必要があるらしい。上がり框(かまち:玄関の段差)がないから、別荘として使われていた時は靴を履いたまま部屋に入っていたと思われる。オリジナルを尊重して欲しかったな。バイク用に9ホール(靴紐を通す穴の数)のブーツを履いているから脱ぐのも履くのもとっても面倒なのである。
なお内部を見学するには100円の寄付金を取られる。
1階のほとんどは、1つにつながったリビング&ダイニングになっている。
これはその端にある書斎スペースのようなところ。右の方にデスクがある。
部屋の中央にあるソファ。
座ることもできる。
書斎と反対方向にあるダイニング。西洋人がいつもこんなテーブルセッティングをしてると思ったら大間違いではあるが。
ダイニング側の暖炉。煮込み料理用の鍋がのっていた。この長方形の鍋は日本ではあまり使わないから、安っぽいテーブルセッティングの演出より、こっちのほうに「外人が使っていた別荘だったんだなあ」と感じる。
外装にも使われいた杉皮と竹を使った天井のデザインがおもしろい。
開口部は縁側的な造りになっている。西洋風にいうならサンルームか。そういえば建て替える前の実家には縁側があって、子供の頃はそこでよく遊んだことを思い出す。もちろんこんな広い縁側じゃないけど。
冬なら、ここから雪景色の中禅寺湖を眺めるのもよさそうだ。
2階にある寝室。
イタリア大使館別荘となっているが、基本的にイタリア大使のための別荘だったようで、この部屋は大使の間と表示してあった。歴代イタリア大使の写真も飾られている。なお寝室にバスルームはついていなかった。
大使の間の窓から、湖畔を観光している日本人庶民を見おろす(^^ゞ
隣は子供部屋っぽい。
キッチン部分であったところをのぞいて(たぶん今は事務室に使われている)、別荘内のほとんどが公開されている。建物面積は約380平米。広いリビングのソファでくつろいでいると、ちょっとしたセレブ気分も味わえる。目の前に広がる湖畔もまるでプライベートビーチのよう。
滝見物のあいだの箸休めのつもりの目的地だったが、かなり満足度は高かった。オリジナリティとクォリティの高い和洋折衷の建築デザインは、できのいい美術品並みに「鑑賞」できる。日光を訪れたら必見のスポットだと推薦しておく。
イギリス大使館の別荘も早く公開されるといいなと思いながら、
次の目的地へ。
ーーーまだまだ続く。
前回のエントリーで、中禅寺湖スカイラインの終点は展望台というより駐車場みたいと書いたが、調べてみたら、あそこは展望台のための駐車場だった。中禅寺湖を望む展望台は、そこから半月山頂上に向けて20〜30分登ったところにある。
展望台コッチという看板は目立つところにはでていなかったと思う。ネットでの写真を見ると一部はかなり険しい登山道のようである。この日は雲も多く景色が今ひとつだったから、登らなくて正解だったかもしれない。
駐車場で行き止まりになっている中禅寺湖スカイラインを逆方向に下って、中禅寺湖湖畔にあるイタリア大使館別荘記念公園に向かう。
明治から昭和初期に掛けて、日光は外国人に人気の避暑地だったようである。各国の大使館も別荘を設け「夏の外交は日光に移る」といわれたらしい。ただし、その当時に大使館の別荘がいくつあったのか、ザッと調べ程度ではわからなかった。現在も現役で残っているのはフランスとベルギーの大使館別荘。イタリアの大使館別荘は1997年まで使用されていたが、その後に栃木県所有となり一般に公開されている。
イタリア大使館別荘は湖畔にあるはずなのに、湖畔を通って中禅寺湖スカイラインに向かう時に、それらしい案内看板は見かけなかった。それで湖畔まで降りて一番最初にあったクルマ10台分くらいの小さな駐車場にバイクを止める。
駐車場の先は湖畔を回る遊歩道。
ふとそこを見ると
こんなもの道路から見えるわけがない。
日光は景観保護で大きな看板は出さない主義なのかな?
湖畔沿いの道を歩いて行く。
湖の水面からは一段高いところを通っている。
しばらく歩いたところにまた案内標識。
駐車場からはトータル500〜600メートルくらいか。
またテクテク歩いて行くと
こんな看板が。
英国大使館の別荘も栃木県に寄贈されて、一般公開に向けて「解体調査」をしていると書いてある。(クリックすれば文章が読める大きさになる)
解体調査? 理由はわからないが、いったんバラしてから、また組み立てるらしい。それにはそれなりの理由があるんだろうが、いつ一般公開するか書いておいてくれればいいのにと思う。
英国大使館別荘があったと思われる場所。
単にぶっ壊したようにも見えるが(^^ゞ
なんとなく目的地に近づいてきた雰囲気。
しばらく歩くと、例によって控えめな看板。
最初に目に入るのが、この建物。
別荘が現役だった頃は、その離れとして使われていたらしい。
現在は、よく意味のわからない施設になっている。
暖炉の煙突。
日光も寒いところだが、標高が高い奥日光はさらに寒い。冬の最低気温はマイナス10度以下になる。
国際避暑地歴史館の内部の様子。
上の2枚の写真は入り口から腕を突っ込んで撮った。なぜなら内部に入るには靴を脱がなければならなかったから。イタリアの別荘なのにナンデ?
こっちが元イタリア大使館別荘の本館。
建物の横を抜けていくと湖畔に出られるので、
先に湖畔での散歩をすることにした。
表側(湖畔側)から見た別荘。
建てられたのは1928年(昭和3年)。設計はチェコ生まれのアメリカ人であるアントニン・レーモンド。帝国ホテルを設計のために来日したフランク・ロイド・ライトの助手として日本に来ていた建築家らしい。
ヨーロッパ人が日本建築を下敷きに建てたらこうなったという感じのデザイン。ディティールを見ると田舎っぽい作りなのに、全体的にはどこかモダンな印象がある。私は相当気に入った。日本で建築デザインをモダンにするというのは西洋風にするというのと同意語だったけれど、日本的なモチーフをそのままに進化させられる可能性を感じる。正確に言うなら可能性もあったのにーーーかな。
湖畔に出る。
白い砂利浜でとても美しい。歩きにくいけど。
小さな桟橋。
絵になる風景である。
桟橋に展示されていた写真パネル。
いつ頃の写真家の説明はないが、写っているのは古き良きイタリア人? 写真を見ると、当時も今も、ここから見える風景はほとんど変わっていないと思われる。
桟橋の先端。
少し湖面に浮いた気分になれる。
水もきれいだ。
反対側を振り返ると男体山が見える。
桟橋から別荘を真正面に。
自然に溶け込んでいて人工的な感じがほとんどしない。
少し先のほう(南側)に歩いてみる。
エメラルド色の美しい湖である。
遊覧船も走っている。
使われなくなった桟橋。
朽ち果てていてもサマになっている。
もう少し先まで進む。
このあたりまで来ると観光客もほとんどいない。湖はシーンと静まりかえって引き込まれそうな魅力がある。もし入水自殺するなら、ここがふさわしい(^^ゞ
もっと先まで行きたかったが、あとの時間を考えて引き返す。
次に日光に来る時は、中禅寺湖の湖畔を散歩することをメインにしよう。
別荘に戻る方向から見た桟橋。
湖畔から一段高い場所を歩く。
ところで、ここはイタリア大使館別荘記念公園という名前がついているが、別荘以外には、せいぜいこんなベンチやテーブルがある程度である。
もう一度別荘をグルッと見て、
玄関に向かう。
やっぱり、ここも靴を脱ぐ必要があるらしい。上がり框(かまち:玄関の段差)がないから、別荘として使われていた時は靴を履いたまま部屋に入っていたと思われる。オリジナルを尊重して欲しかったな。バイク用に9ホール(靴紐を通す穴の数)のブーツを履いているから脱ぐのも履くのもとっても面倒なのである。
なお内部を見学するには100円の寄付金を取られる。
1階のほとんどは、1つにつながったリビング&ダイニングになっている。
これはその端にある書斎スペースのようなところ。右の方にデスクがある。
部屋の中央にあるソファ。
座ることもできる。
書斎と反対方向にあるダイニング。西洋人がいつもこんなテーブルセッティングをしてると思ったら大間違いではあるが。
ダイニング側の暖炉。煮込み料理用の鍋がのっていた。この長方形の鍋は日本ではあまり使わないから、安っぽいテーブルセッティングの演出より、こっちのほうに「外人が使っていた別荘だったんだなあ」と感じる。
外装にも使われいた杉皮と竹を使った天井のデザインがおもしろい。
開口部は縁側的な造りになっている。西洋風にいうならサンルームか。そういえば建て替える前の実家には縁側があって、子供の頃はそこでよく遊んだことを思い出す。もちろんこんな広い縁側じゃないけど。
冬なら、ここから雪景色の中禅寺湖を眺めるのもよさそうだ。
2階にある寝室。
イタリア大使館別荘となっているが、基本的にイタリア大使のための別荘だったようで、この部屋は大使の間と表示してあった。歴代イタリア大使の写真も飾られている。なお寝室にバスルームはついていなかった。
大使の間の窓から、湖畔を観光している日本人庶民を見おろす(^^ゞ
隣は子供部屋っぽい。
キッチン部分であったところをのぞいて(たぶん今は事務室に使われている)、別荘内のほとんどが公開されている。建物面積は約380平米。広いリビングのソファでくつろいでいると、ちょっとしたセレブ気分も味わえる。目の前に広がる湖畔もまるでプライベートビーチのよう。
滝見物のあいだの箸休めのつもりの目的地だったが、かなり満足度は高かった。オリジナリティとクォリティの高い和洋折衷の建築デザインは、できのいい美術品並みに「鑑賞」できる。日光を訪れたら必見のスポットだと推薦しておく。
イギリス大使館の別荘も早く公開されるといいなと思いながら、
次の目的地へ。
ーーーまだまだ続く。
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