2014年05月03日

ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 2014

ウン十年ぶりにクラシックのコンサートに行ってきた。美術展はちょくちょく訪れているが本当は音楽のほうが好きである。でも開催期間中なら気が向いた時に出かけられる美術展と違って、コンサートはかなり前にチケットを買わなければならない。あまり先の予定のハッキリしないスモールビジネスパーソン?の身としてはそれがなかなかネック。突然の仕事で諦めるにはクラシックコンサートの料金はちょっと高い。

ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンというのは敷居の高いクラシック音楽をもっと気軽に楽しみましょうといういうイベント。ラ・フォル・ジュルネはフランス語で熱狂の日という意味。1995年にフランスで始まり2005年に日本にも上陸。現在は東京以外に大津(琵琶湖)、金沢、新潟などでも開催されている。なおジャポンと名が付くのは東京での開催で、それ以外はラ・フォル・ジュルネ新潟などと都市名で呼ばれる。

主催者のホームページにあるラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンの特徴は

   独自の視点がキラリと光る、毎年趣向を凝らしたテーマの音楽祭。
   出演アーティストは2,000人以上、300以上のコンサートを開催。
   1公演45分、朝から晩まで様々なコンサートを満喫できる。
   一流の演奏を1,500円からの低価格で楽しめる。無料イベントも充実。
   赤ちゃんやクラシックに馴染みのない方でも、気軽に楽しめる。
   聴く、体験する、知る、食べる、買う、あらゆるお祭り要素が満載。


以前からラ・フォル・ジュルネには行ってみたいと思っていた。しかし昨年までの来場者577万人を数え、そうそうたる実行委員協賛企業を揃えている割に世間的にはマイナーな存在。話題になったり宣伝をすることもない。だからつい忘れてしまうのである。

ところが今年はアルゲリッチが急遽ラ・フォル・ジュルネで演奏することになってニュースになった。アルゲリッチというのはクラシック界で伝説の女王扱いされるピアニスト。親日家で、そしてなぜか大分県別府がお気に入りのようで、この時期には彼女が監督を務める別府アルゲリッチ音楽祭のために毎年来日している。そのスケジュールの合間を縫ってラ・フォル・ジュルネにも参加することになったらしい。

アルゲリッチの公演が決まったのは4月1日で、私がニュースを知ったのは4月の後半。当然彼女のチケットは売り切れ。それどころかラ・フォル・ジュルネの期間は5月3日〜5日だから、ほとんどのコンサートは完売状態。でも私好みのプログラムを2つ見つけて久しぶりのクラシックコンサートを楽しんできた。



場所は有楽町の東京国際フォーラム。いわゆる総合コンベンションセンター、平たくいえば貸しホールや貸し会議場の集合体施設。オフィスのすぐそばだから、休日に出かける場所感がまったくないのはいたしかたがないところ。ところで東京都庁は西新宿高層ビル群の代名詞のようになっているが、1990年に移転するまでここに都庁があったことを知っている人は意外と少ない。東京国際フォーラムは旧都庁舎の跡地再開発事業でオープンは1997年。



有楽町側の入り口から入る。
私の背中側は道路を挟んでビックカメラ有楽町店である。
デジカメは持っていかなかったので撮影はiPhone。
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この看板のイラストを見ても、ラ・フォル・ジュルネが普通のクラシックコンサートとはまったく違うカジュアルなイベントだということがわかる。
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やたら混雑しているけれど、別にすべてがラ・フォル・ジュルネを見に来た人でごった返しているわけでもない。ここの広場は公園のように人が集まってくる。
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それとズラーッと並ぶ屋台村目当ての人も多い。
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帝国ホテルまで屋台を出しているとは知らなかった。
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少しわかりづらいが、左側の建物は船のような形をしていて、そのデザインが東京国際フォーラムのアイコン(シンボルマークみたいな意味)となっている。広場を挟んで向かい側にAからDまでの4つのホール棟が並ぶのがここの構成。
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東京駅側の入り口から見えるのは、このあたりじゃ一番いい建築デザインだと思う丸の内パークビルディング。その下にあるレンガ造りがたまに行く三菱一号館美術館。
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東京国際フォーラムに着いたのは開園の30分ほど前。この屋外特別ステージで無料のコンサートもしているのだが、なぜかなかなか演奏が始まらないのでホールに向かう。
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最初に向かうのはAホール。ここは世界でも有数の5000人規模の席数。
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建物の上から広場を眺める。
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ホールの入り口。
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着席。
いつの頃からか、こういったホールの座席は互い違いに配置されるところが多くなり、前の人の頭が邪魔になることが少なくなった。
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随分舞台まで距離があるように思われるかもしれないが、ここは最後列より1つだけ手前の席である。だってチケットを買うのが遅かったんだもん(^^ゞ オフィスが近くなのでチケットは東京国際フォーラムの売り場で直接購入。もう少し前方のS席の後ろのほうにも空きがあったが、左右の端のほうの席しか空いていなかったので、一番後ろでもセンター位置のこの席を選んだ。A席なのでS席より500円安い2500円。


開演直前の様子。(少なくとも)一階席はほぼ満席。
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ここで聴いたのは公演番号115番

   チャイコフスキー:イタリア奇想曲 op.45
   チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 op.35

イタリア奇想曲はよく知らないが、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲はかなり好きな曲。CDはムターとギル・シャハム(どちらもバイオリニストの名前)の2枚を持っている。それと「オーケストラ」という映画を見た後は何度もCDを聴いたから、それなりに曲のことは熟知している。op.45とかいうのは作曲家の全作品の通し番号のようなものでopは「オーパス」と読む。


演奏は指揮者がアレクサンドル・スラドコフスキー。
アレクサンドル・スラドコフスキー


オーケストラはタタルスタン国立交響楽団でロシア連邦の共和国のオーケストラ。
あっ!「ウクライナあれこれ」の続きを書くのを忘れてた(^^ゞ
タタルスタン国立交響楽団



2曲目のヴァイオリン協奏曲。協奏曲とはオーケストラにソロのバイオリンやピアノなどが加わる曲のことである。イタリア語のコンチェルトという言葉を日本で使うことも多い。実は協奏曲の生演奏を聴くのは初めてで、ずっと不思議に思っていたことがある。CDやテレビの音楽番組では、例えばバイオリン協奏曲ならオーケストラとソロ・バイオリンの掛け合いのところで両者の音量はほぼ同じである。しかし50名〜100名近くいるオーケストラと1台の楽器の音量が同じはずがない。あれはミキシングで音量を操作しているのか、生で聴いたらどんな感じなんだろうかと。


バイオリンのソロを演奏するのはジュヌヴィエーヴ・ロランソー。
ジュヌヴィエーヴ・ロランソー

バイオリン奏者はバイオリニスト、ピアノならビアニスト、チェロならチェリストなど、だいたい楽器の名前の後にニストとつく。しかしピアノとバイオリンには特別に「美人バイオリニスト」「美人ピアニスト」というジャンルがクラシック界にはある(^^ゞ ジュヌヴィエーヴはなかなか美しかった(席が後ろでも舞台の左右のモニターに映し出される)。でも、この写真は少し以前に撮影したものかな。




さて肝心の演奏。もとより演奏の善し悪しを批評するほど耳は肥えていない。充分に満足した。特に聞き慣れたヴァイオリン協奏曲は普段はスピーカーやイヤホンで聴いているものが目の前で演奏されるのだから、テレビで見ている有名人に出会ったようなうれしさもあった。

     が、音小さっ!

よくオーケストラは後ろの席のほうが各楽器の音が混じり合っていいといわれるが、やはりこんな5012席もある大きなホールの一番後ろじゃ絶対的な音量が不足するみたいだ。ちなみにクラシックコンサート専用のサントリーホールは2006席。紅白歌合戦がおこなわれるNHKホールでも3400席。ヴァイオリン協奏曲はダイナミックな曲だから、その音量感も楽しみにしていたのに。心の中で「誰かボリューム上げてくれ!」と叫ぶ。次からはもっと早くチケットを予約しよう。

でも不思議なもので、その音量にもだんだん慣れてくるというか、音を浴びるように聴きたいという思いは叶わなかったとしても、音楽を楽しめたかどうかにはあまり影響しなかったようにも思う。

それとバイオリンソロとオーケストラの音量比は、思っていたより普段CDで聴いているバランスに近かった。ジュヌヴィエーヴの弓の振りはオーケストラのバイオリニスト達より大きいように見えたから、多少は大きな音が出るように演奏しているのかもしれない(そんなことができるのかどうか知らないが)。でも一番の理由は、こっちがソロパートの音を聴きにいっているからではないかと思う。この曲はよく知っているから、そういうことはあり得る気がする。脳は聴きたいものを聴き分けるのだ。というわけで知らない協奏曲を聴くまで、この疑問については保留。


ーー続く。

wassho at 23:13│Comments(0) 音楽、オーディオ | イベント、旅行

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