2014年07月13日

ワールドカップ雑感 その5 身体能力の話

21年前の1993年にJリーグが始まった時に、いくつかの耳慣れない言葉も使われ始めた。ファンはサポーターと呼ばれグランドはピッチと名を変えた。ボランチやリベロなどのポジション名も体育の授業でしかサッカーを知らない身にとっては初めて聞く言葉。ちなみに子供の頃はフォワードは今と同じだけれど、ミッドフィルダーはハーフバック、ディフェンダーはフルバックと呼んでいた気がする。もっとも、あまりに昔のことで記憶が定かではない。

それと試合開催日のことを第1節、第2節と「節」という名称で呼ぶのも、Jリーグ以外では聞いたことがなかった。ただしこの呼び方はいまだに違和感を感じる。節というのは短い範囲での区切りで、例えば音楽の第1小節、第2小節のように短いながらも、ある程度のまとまった分量を示すものという認識をしている。だからたった1日しかないものを節で表現するのは抵抗がある。その年の10回目の開催日のことをJリーグでは第10節と呼ぶわけだが、別に第10回開催日でいいじゃないと思っている。

そしてこのエントリーのテーマである身体能力という言葉も、今ではいろんなスポーツで使うが、きっかけはJリーグだと記憶している。フィジカルと表現される場合もあるがphysical=身体なので単に漢字かカタカナかの違いだろう。

大辞林によれば身体能力とは

     スポーツにおける身体的資質の総称。競技上のテクニックに依存しない
     基礎能力。体格・瞬発力・持久力など。

という定義である。
それで取り上げたいのは身体能力の中の体格。

今さらいうまでもないが、日本人は体格に劣る。今大会出場の32カ国で平均身長は下から3番目、平均体重は下から2番目だった。日本人が小さいのは現在の食生活だけでなく、カルシウムが少ない土壌とか、遡れば古くから仏教の影響で肉食が敬遠されてきたとか、いろんな要因の歴史的遺伝子的な積み重ね。だから仕方がない面もあるが、それを言い訳にしていてはワールドカップで歓喜の瞬間は永遠に訪れない。

提案は2つある

1)
テレビで見ていて感じるのは小さいというよりも身体の貧弱さである。言い換えれば筋肉量が相手チームに較べて少ない。もっと単純にいえば胸板が薄いし脚が細い。サッカーはぶつかり合いながらボールを奪うゲームだし、シュートの時も1/3くらいは他の選手と接触しながら蹴っているんじゃないかな。だから身体の強さがもっとなければ戦術論も戦闘方法も机上の空論になる。

サッカー協会やJリーグ各チームは選手の筋肉量増加に対する施策を真剣に実行しなければならないし、選手もテクニック向上と同じレベルの意識と優先順位を持つべきである。もちろん掛け声だけではなく体重、筋肉量、各部位が何センチかについて各人の目標値設定が必要。

ただし、それはそんなに難しい課題じゃない。私のように丸々としたメタボ体型をムキムキにしようというわけじゃないのだ。既にそれなりのレベルの身体にはなっているのだから、適切なトレーナーの元でのトレーニングと、適切な栄養管理士の元での栄養管理があれば(これが忘れられがち)、4年もあれば望める範囲内での最良の結果は手に入れられるはず。

もうちょっとがっしりした体格だったら1次リーグで敗退した3試合で、それぞれ1点ずつ余分に取れていたような気がする。



2)
上に書いたのは体重の話。では身長は?

もちろん身長を伸ばすことはできない。江戸時代と較べると日本人の身長は20センチ近く伸びているらしいが、栄養的に不足のない現在からさらに身長を伸ばすとなれば、数世紀にわたる国家的プロジェクトが必要である。逆にこれから日本の国力が徐々に低下したり貧富の差が激しい社会になれば、平均身長は今より低下するかもしれない。

将来のことはさておき、現在において身長については打つ手がないように思える。
しか〜しである。

  サッカーブラジル大会日本代表の平均身長:          178センチ
  バスケットボール2013年アジア選手権日本代表の平均身長: 195センチ
  バレーボール2014年日本代表登録メンバーの平均身長:    191センチ

           ※バスケで名前が日本人でない選手は外して計算した


つまり日本人全員でサッカーをするわけじゃないんだから、集めよう育てようと思えば身長の大きな選手はいくらでもいるのである。バスケやバレーは背が高い方が明確に有利だから昔から背が高い選手を選んできたし、背が高い人が活躍できると思ってそのスポーツを始めたというだけの話。そして現在はバスケやバレーよりサッカー選手を目指す子供や少年のほうがはるかに多い。

要はサッカーに身長はどの程度必要かという認識の問題。

     サッカー能力100:身長170センチ
     サッカー能力100:身長180センチ

なら180センチの選手が選ばれるだろうけれど

     サッカー能力120:身長170センチ
     サッカー能力100:身長180センチ

の場合はどうなのかということ。

もちろんその勘案の度合いは私にはわからない。しかしヘディングの競り合いだけじゃなく、身長は体重にも効いてくるから「コンタクトスポーツであるサッカーには身長も重要」という意識はもっと必要なんじゃないかな。今大会で一番平均身長の高いのはドイツで186センチ。日本との差は8センチ。自分より8センチ身長の高い人とぶつかり合うのは大変だよね。

4年後は間に合わないだろうが、8年後あるいは12年後に向けての育成選手(そんな仕組みはサッカー界にはないが)の選抜では、もう少し身長のことも考慮したほうがいいように思う。成長してワールドカップに出る時には最低でも平均で180センチは欲しい。もっというなら、もし自分の子供が将来一流のサッカー選手になって欲しいと願うなら、親は日本食を控えて育てるべきかな。その食生活の善し悪しは別として、サッカーは肉食文化圏のスポーツだから。




さてダラダラと書いてきたがワールドカップも明日が決勝戦。もっともドイツとアルゼンチンのどちらが勝とうが、この大会はブラジルが1−7で準決勝を破れたことが永遠に記憶される大会になる。衝撃的な結果だったが、泣き叫んでいるブラジルの人を見て、それだけ自国のサッカーを信じられるのはうらやましい気もした。

もし今後、日本チームが(最初に書き忘れたが、日本チームのことをやたら日本代表というのもサッカー界独特の表現である)準決勝に進出して、そしてあんな風に敗れても、あれほど多くの人が泣き叫ぶことはないような気がする。ひょっとしたら初めて準決勝まで進んだ満足感のほうが大きいかもしれない。そういう意味じゃ、まだまだテッペンは遙か彼方である。


ーーーもう1回くらい続く

wassho at 20:00│Comments(0) ノンジャンル 

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