2015年11月15日

アメ横で疎外感を感じる?

上野公園を出た後はアメ横に向かった。泡の出るものを飲みたかったのと(^^ゞ、T君が上海蟹(しゃんはいがに)を買いたいと言ったからである。


正月用の買い物をする人々でごった返すのが年末の風物詩となっているアメ横。JR上野駅から隣の御徒町(おかちまち)駅までの高架線路沿い南北500メートルくらいのエリアにぎっしりと商店が並んでいる。正確には線路の西側だけがアメ横らしいが、東側も同じような雰囲気の商店街である。昔はジーンズや革ジャンなどの店が有名だったので、アメリカン横町の略だと思い込んでいた。本当はもっと昔には飴(あめ)を売る商店が多かったので飴屋横町と呼ばれ、それがアメ横となったのが名前の由来。


アメ横の発祥は戦後の闇市だから昭和の雰囲気も残っている。でも現在はかなりインターナショナルなエリアである。カジュアルウエアを売るショップも多いが、なぜかその店員の黒人比率がやたら高い。雰囲気的にアメリカの黒人じゃなくてアフリカから来た人々のような気がする。

看板に書かれていた「焼き小籠包(しょうろんぽう)」に引かれて、屋台風に半分ほど屋根のない点心のお店に入った。雰囲気はこんな感じ。見てわかるように店のイメージはほとんど中国そのもの。もちろん店員は全員が中国人。サービスも中国式で「こちらのお席にどうぞ」なんて案内はもちろんない(^^ゞ するとT君が店員と中国語で「こっちの席に座っていいのか、あっちでもいいのか」と交渉を始めた。料理の内容も彼が中国語で店員に尋ねて私に教えてくれる。

  う〜ん
  ここは日本で、私は日本人で、T君は中国人の外国人である。
  当然、私が主導権をとって彼の面倒をみなければ日本男子の沽券に関わる。

しかしまあ、実質的に中国にいるようなものなのでT君にオンブにダッコ。
店員は日本語もしゃべれるが(たぶん)、彼に任せたほうが話が5倍は早い。

初めて食べた焼き小籠包はとてもおいしかった。最初はどんなものかイメージできなかったが、餃子に「焼き餃子・水餃子・蒸し餃子」とあるように、普段は蒸しで食べる小籠包が焼いてあるというもの。ただし焼き餃子ほど焼き色はつけず、底のほうに軽く焼いた痕跡がある程度。慎重に食べないと皮の中のスープでアチッチとなるのは蒸し小籠包と同じ。T君によると焼き小籠包は上海ではポピュラーな点心とのこと。



その後、上海蟹を買いに行く。彼は何度か買いに来たことがあるようで、とあるビルの地下に入っていった。日本人の私は何もわからずに、ただ後を着いていくだけである(^^ゞ ところで年末に見るアメ横のニュースでは正月用にマグロやカニを買い求めるシーンが多い。でもアメ横に魚屋はそれほど多くない。どうやら年末には他のお店が自分のところを閉めて、店先を魚屋に貸して一気に魚屋が増えるらしい。

そのビルの地下に入ると、まずアジア系の食品店があった。生鮮以外のさまざまな食材を売っていて、いろんなスパイスの匂いが漂っている。お客さんはイスラム圏の人が多い。なぜわかるかというと女性客はみんな頭にスカーフを巻いていたから。とにかくエスニックムード満点。

隣の魚屋の店員は中国人。日本人もいるけれど上海蟹売り場は中国人店員が担当している。そして客も中国人で、やりとりは当然中国語。「すみませ〜ん、上海蟹ありますかあ〜」と割って入れるような雰囲気ではない。T君は中国語で質問したり値引き交渉したりしている。点心のお店と同じく、またもやこちらが外国人気分である。

上海蟹は手のコブシくらいの小さなカニ。一匹1000円から3900円まで4種類くらいのランクがあった。ズワイガニや毛ガニと較べたら1/3から1/4程度のサイズ。それを考えるとかなりの高級食材。しかし何度か食べたことはあるが特別においしいものでもない。食べられるところも少ないし。だから私だったら普通のカニのほうが絶対にいい。でも中国人にとって上海蟹は、特別に縁起物的な食べ物らしい。

結局T君は交渉の末、3匹の値段で4匹を購入。買った後はモネの絵を見ている時よりうれしそうだった。ただ日本では特定外来生物の規制があって、一般消費者は生きた上海蟹を買えないことが不満らしい。売られているのはすべて冷凍もの。あまりよく知らないが許可を受けた飲食店になら生きた上海蟹を売っていいらしい。


アメ横の中に入ったのは20年振りくらいかも知れない。特に買うものもないんだけれど、普通の街ではもうなくなってしまった猥雑な雰囲気の中をブラブラするのは楽しい。どこにでもあるチェーン店もかなり出店しているが、小さな路地に入ると映画でしか見たことのないような昭和な雰囲気の飲み屋が並んでいるところもある。先ほど書いたように店によっては外国気分も味わえる。もっと探検する価値あるかも。

wassho at 18:55│Comments(0) イベント、旅行 

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