2016年04月13日
杉山美術館 J.トレンツ・リャド その2
杉山美術館は江戸川区の松島という場所にある。首都高で東京の真ん中を抜けていくのが近道。それじゃつまらないのでゲートブリッジで東京湾を横断して荒川沿いに北上するとした。荒川の土手から道路1本離れた都道308号線を走ると、所々に荒川へ注ぐ小さな川があり、その川沿いには桜が並んで咲いていてきれいだった。
また308号線沿いにもサクラは多数。この季節に外出すると本当にこの国はサクラでできていると実感する。おもしろいのはかなり葉桜になったサクラもあったのに、バイクで数分進むとまだ満開に近いサクラがあったりする。同じソメイヨシノだし、その程度の距離で気温や日当たりに違いがあるとは考えられない。サクラにもセッカチなのとノンビリしたのがいるのかな。
江戸川区役所と新小岩の駅の中間あたりに杉山美術館はある。ナビのデータには登録されていなかったので住所を打ち込んでおいた。ところで住所は江戸川区松島 3‐42‐1なのだが、なぜかナビでは3-42-8以上の数字しか打ち込めない。もうすっかり慣れて忘れていたが、このBMW純正ナビのアホぶりを久し振りに再確認。
ともかくナビの案内に従って308号線から住宅街に進入。当然そこは松島 3‐42‐1ではなく、適当にこっちの方向かなと思ったところに走ったら杉山美術館にたどり着いた。ハイテクのお世話にならなくても野生の勘はまだ健在。
杉山美術館は見てわかるようにごく普通の住宅である。1階がオーナーの杉山氏が経営する社会保険労務士の事務所で2階が美術館になっている。住居としては使っていないようだし、2階右側にある細長い窓以外は窓のない出窓のような部分は、室内では絵を掛ける場所になっていたから、最初から美術館として建てられたのかもしれない。それなら何ゆえこの外観デザイン? (写真はホームページから借用)
ドアに鍵はかかっていないが、インターホンで来訪を告げる仕組み。玄関はまったく普通の住宅で靴を脱いでスリッパに履き替える。美術館じゃなくて人の家にお邪魔しているような気分。階段で2階に上がるのだが、階段から1階の事務所は丸見えである。平日に訪れたら職員さんが仕事をしている横を通り抜けることになる。忙しそうだったら気が引けるかも。
なお建物の隣りに(おそらく杉山氏所有の)貸し駐車場があってバイクはそこに駐めさせてもらった。
さていよいよ25年前にチラシを見て
胸をときめかせたトレンツ・リャドの作品と対面。
バガテルの湖
バガテルはパリにある公園の名前だと思う。
フローレス
スペイン語でフラワー。
プリンシパードの薔薇
プリンシパードはスペインの地名かな?
トレンツ・リャドはキャンパスにフレームを描く手法をよく使う。初めて彼の作品を知った時、まずこれにガツンとやられた。その理由を説明するのは難しいものの、斬新だったしとにかく気に入ったのである。作品によってはそのフレームから色彩や美しさがこぼれ出ていると感じられるものもある。
なお杉山美術館は現在、日本でトレンツ・リャドの原画を見られる(おそらく)唯一の美術館であるが、フローレスとプリンシパードの薔薇は原画ではなくシルクスクリーンなので、メインの場所ではなく受付の後ろの壁に掛けられていた。
倒れ木(静寂の湖水)
光と影
パソコン画面だとややラフなタッチの風景画に見えるはず。細部をかなり潰して描いている部分もある。でも少し絵から離れて眺めると、それが実にいい感じで、また不思議なことに全体として繊細に見えるのである。トレンツ・リャドはモネに通じるところもあって「20世紀最後の印象派」などとも呼ばれる。しかし私の解釈では印象派は「見た通りじゃなくて自分が受けた印象を描く」なんだけれど、トレンツ・リャドは「人に与える印象を考えて描いた絵」のように思える。
また最初の3枚と較べると、あまりに絵に溶け込んで気付かないが、この2枚にもフレームの手法が使われている。フレームを使うと絵が引き締まる効果もある。それをあざといという考えもあると思うが、私は全力で肯定する。フレームがどう影響しているかは別として、私がトレンツ・リャドを好きなのは、彼の絵がひたすらひたすらカッコいいからである。絵を見ればいろいろなことを感じるとしても、カッコいいと思う絵なんて他にはない。25年前に「今までに見たことがない・素晴らしいもの」だと感動したのはたぶんそういうことである。
トリニダット・カンピン嬢
トレンツ・リャドは風景画と肖像画ではまったく違う画風で描く。しかし肖像画も実にカッコいい構図で描くことに変わりはない。この作品はごくノーマルな構図なのに、塗りつぶしたように描いた部分がちょっとナゾ。儚いような謎めいているような不思議な作品。たぶんそれはカンピンちゃん自身の魅力なんだろう。最低でもこの絵より23歳を取っているはずだけれど一度お目にかかりたい(^^ゞ
展示されていたトレンツ・リャドの作品は10数点。
「隠された入江」というトレンツ・リャドワールド全開の素晴らしい作品もあったが、残念ながらネットで絵を見つけられなかった
トレンツ・リャドの作品をまとまって見られるところをリンクしておく。
Pinterest
シーマ・ファインアート
Jazz工房Nishimura
ーーー続く
また308号線沿いにもサクラは多数。この季節に外出すると本当にこの国はサクラでできていると実感する。おもしろいのはかなり葉桜になったサクラもあったのに、バイクで数分進むとまだ満開に近いサクラがあったりする。同じソメイヨシノだし、その程度の距離で気温や日当たりに違いがあるとは考えられない。サクラにもセッカチなのとノンビリしたのがいるのかな。
江戸川区役所と新小岩の駅の中間あたりに杉山美術館はある。ナビのデータには登録されていなかったので住所を打ち込んでおいた。ところで住所は江戸川区松島 3‐42‐1なのだが、なぜかナビでは3-42-8以上の数字しか打ち込めない。もうすっかり慣れて忘れていたが、このBMW純正ナビのアホぶりを久し振りに再確認。
ともかくナビの案内に従って308号線から住宅街に進入。当然そこは松島 3‐42‐1ではなく、適当にこっちの方向かなと思ったところに走ったら杉山美術館にたどり着いた。ハイテクのお世話にならなくても野生の勘はまだ健在。
杉山美術館は見てわかるようにごく普通の住宅である。1階がオーナーの杉山氏が経営する社会保険労務士の事務所で2階が美術館になっている。住居としては使っていないようだし、2階右側にある細長い窓以外は窓のない出窓のような部分は、室内では絵を掛ける場所になっていたから、最初から美術館として建てられたのかもしれない。それなら何ゆえこの外観デザイン? (写真はホームページから借用)
ドアに鍵はかかっていないが、インターホンで来訪を告げる仕組み。玄関はまったく普通の住宅で靴を脱いでスリッパに履き替える。美術館じゃなくて人の家にお邪魔しているような気分。階段で2階に上がるのだが、階段から1階の事務所は丸見えである。平日に訪れたら職員さんが仕事をしている横を通り抜けることになる。忙しそうだったら気が引けるかも。
なお建物の隣りに(おそらく杉山氏所有の)貸し駐車場があってバイクはそこに駐めさせてもらった。
さていよいよ25年前にチラシを見て
胸をときめかせたトレンツ・リャドの作品と対面。
バガテルの湖
バガテルはパリにある公園の名前だと思う。
フローレス
スペイン語でフラワー。
プリンシパードの薔薇
プリンシパードはスペインの地名かな?
トレンツ・リャドはキャンパスにフレームを描く手法をよく使う。初めて彼の作品を知った時、まずこれにガツンとやられた。その理由を説明するのは難しいものの、斬新だったしとにかく気に入ったのである。作品によってはそのフレームから色彩や美しさがこぼれ出ていると感じられるものもある。
なお杉山美術館は現在、日本でトレンツ・リャドの原画を見られる(おそらく)唯一の美術館であるが、フローレスとプリンシパードの薔薇は原画ではなくシルクスクリーンなので、メインの場所ではなく受付の後ろの壁に掛けられていた。
倒れ木(静寂の湖水)
光と影
パソコン画面だとややラフなタッチの風景画に見えるはず。細部をかなり潰して描いている部分もある。でも少し絵から離れて眺めると、それが実にいい感じで、また不思議なことに全体として繊細に見えるのである。トレンツ・リャドはモネに通じるところもあって「20世紀最後の印象派」などとも呼ばれる。しかし私の解釈では印象派は「見た通りじゃなくて自分が受けた印象を描く」なんだけれど、トレンツ・リャドは「人に与える印象を考えて描いた絵」のように思える。
また最初の3枚と較べると、あまりに絵に溶け込んで気付かないが、この2枚にもフレームの手法が使われている。フレームを使うと絵が引き締まる効果もある。それをあざといという考えもあると思うが、私は全力で肯定する。フレームがどう影響しているかは別として、私がトレンツ・リャドを好きなのは、彼の絵がひたすらひたすらカッコいいからである。絵を見ればいろいろなことを感じるとしても、カッコいいと思う絵なんて他にはない。25年前に「今までに見たことがない・素晴らしいもの」だと感動したのはたぶんそういうことである。
トリニダット・カンピン嬢
トレンツ・リャドは風景画と肖像画ではまったく違う画風で描く。しかし肖像画も実にカッコいい構図で描くことに変わりはない。この作品はごくノーマルな構図なのに、塗りつぶしたように描いた部分がちょっとナゾ。儚いような謎めいているような不思議な作品。たぶんそれはカンピンちゃん自身の魅力なんだろう。最低でもこの絵より23歳を取っているはずだけれど一度お目にかかりたい(^^ゞ
展示されていたトレンツ・リャドの作品は10数点。
「隠された入江」というトレンツ・リャドワールド全開の素晴らしい作品もあったが、残念ながらネットで絵を見つけられなかった
トレンツ・リャドの作品をまとまって見られるところをリンクしておく。
シーマ・ファインアート
Jazz工房Nishimura
ーーー続く
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