2016年05月25日
大谷資料館の巨大地下空間
ジャーマンアイリスを見た石橋あやめ園は、栃木県宇都宮市の南に隣接する下野市(しもつけし)にある。このあたりは平野だからバイクで走って楽しいところではない。ここから北上して日光を回る、あるいは西に進んでわたらせ渓谷に抜ければバイクツーリングにふさわしいルートが待っている。しかしこの日は観光に徹することにする。
第2目的地は宇都宮市北西部にある大谷資料館。大谷石(おおやいし)の採掘現場跡地の巨大地下空間を見学できるところである。その存在を雑誌か何かで初めて知ったのは大学生の頃だったかもしれない。日本にこんな場所があるのかと目を見張ったことを覚えている。それから30年を優に超えたが、死ぬまでにぜひ見たいと思っていた場所の1つにめでたく訪問できた。
大谷石というのは壁や塀(へい)などの石材として使われることが多い石。石にはめずらしくベージュ系統の色なので優しい雰囲気がある。街中であまり見かけない気もするし、石材としての普及や人気度の合いは知らない。でも実家は建て替える前まで大谷石の塀があったので、私には何となく愛着がある。大谷石は宇都宮市の大谷という場所を中心に採れる石。つまり栃木県産なので、栃木県に来ると壁や塀だけでなく大谷石でできた建物もあったりして、それを見るのが私の密かな楽しみ。
石橋あやめ園は国道4号線に面していて宇都宮までそれを北上する。ちなみに国道4号線は東京の日本橋から青森までを結ぶ日本で1番長い国道である。宇都宮の中心街に近づくと道路は国道119号線に変わり、やがて宇都宮駅から西に延びている当地のメインストリートに当たる。そこを左折してまっすぐ進み、最後にY字路を右にそれてしばらく進むと大谷資料館に着く。石橋あやめ園からは約25キロの距離だが左折と右折が1回ずつとシンプルなルート。
到着は午後2時頃。
クルマの駐車場はかなり広い。
バイクは路肩が広がっているような場所に駐めるように係員に言われた。そのおかげでBMW F800Rと大谷石のツーショット。石材として整形された大谷石しか見たことがないので、自然の姿の大谷石を見て妙に興奮する。
駐車場から資料館までは少し歩く。
この道がとてもヒンヤリした空気。しばらくしてその秘密がわかった。
放置してある?古いトラック。昭和30年代あたりのものかな。
写真右下のレバーにはFUEL CUTと書かれている。つまりFUEL=燃料を遮断する装置。
知識としては知っていたが本物を見たのは初めて。
ガソリンエンジンの場合、点火プラグに電流を送らなければ、火花が飛ばず燃料が燃えないのでエンジンは止まる。ディーゼルエンジンは知らない人のほうが多いかもしれないが、空気を高圧に圧縮して高温にして、そこに燃料を流し込んで自然発火させる。つまり点火プラグは存在しないから、その電流を切ってエンジンを止めるという方法は使えない。
それでどうするかというと燃料を送り込むのやめてエンジンを止める。今は燃料を電気ポンプで送り込んでいるから、その電流を切る。しかし昔は燃料ポンプをエンジンの力で回していた。だから燃料ポンプに流れる燃料を遮断して、エンジンに燃料が届かないようにする必要があった。それが写真のFUEL CUTというレバー。
だからこのトラックはディーゼルエンジン車。ディーゼルエンジンを止めるには、もうひとつ空気を高圧に圧縮する部分の弁を開く方法もあった。高圧に圧縮できない=燃料が流れても自然発火しない=エンジンが止まるという仕組み。昔はエンジンを止めるにもいろいろ操作が必要だったということ。
ついでにキー差し込み口の上にある電気回路のような模様が書かれたノブは、バッテリーの接続スイッチ。今はキーを1段回せばバッテリーが接続され、もう1段回してセルモーターを回転させてエンジンを掛ける。昔はこれを別々の仕組みで行っていた。このノブを押すか引くかしてからキーを回す。理由はよくわからないし、いつまでこんな仕組みがあったのかも知らない。
しかし今でも大型バスにはバッテリースイッチがある。これは運転手が運転席を離れてトイレに行ったり荷物の積み込みを行う時、安全のためにエンジンを切りキーも携行するが、そういう場合でもハザードランプや室内灯その他の電気系統を使えるようにするためらしい。一方で単なる昔からの慣習として大型バスだけにバッテリースイッチが残っているという説もある。
メッチャ話がそれた(^^ゞ
岩肌に大きな穴が空いているところが見えてきた。あれは巨大地下空間の入口ではなく休憩所なのだが、中ではつながっているみたいだ。地下空間の温度は年間を通じて8度前後。つまりかなり低い。それでどうも、あの穴から地下空間の冷たい空気が流れてきて、この道が涼しくなっているようだ。この写真左側の人が立っていないあたりを通ると、地下からの空気の流れから外れてしまうからか、明らかに体感温度が違ってくる。
巨大な大谷石に囲まれた広場。ここも昔は採石場だったんだろう。
先に休憩所を探検。
あまり奥には行けなかった。
これが大谷資料館。建物は大きくない。
というかネーミングがおかしい。館内には大谷石採掘関連の展示が少しあるが、それを目当てにここへ来る人はいない。もっと素直に地下空間のことをネーミングにすればいいのに。私は「大谷資料館に行ってきた」わけだが、どうもこの表現がピンとこない。
やんごとなき方々もお見えになっている。
大谷資料館は自治体や大谷石の協同組合が運営しているのではなく、地元の私企業(石材会社)の経営である。ケシカランことに今年の2月、その会社の社長がクズになった大谷石やコンクリートの産業廃棄物を不法投棄したとして逮捕されている。
階段が300段という張り紙にビビる(^^ゞ
入場料は700円。ちなみに駐車場は無料。
いろんな映画のロケ地としても使われている。
地下に降りる入口はアルミの引き戸で、雰囲気的に何となく違和感。
ーーー続く
第2目的地は宇都宮市北西部にある大谷資料館。大谷石(おおやいし)の採掘現場跡地の巨大地下空間を見学できるところである。その存在を雑誌か何かで初めて知ったのは大学生の頃だったかもしれない。日本にこんな場所があるのかと目を見張ったことを覚えている。それから30年を優に超えたが、死ぬまでにぜひ見たいと思っていた場所の1つにめでたく訪問できた。
大谷石というのは壁や塀(へい)などの石材として使われることが多い石。石にはめずらしくベージュ系統の色なので優しい雰囲気がある。街中であまり見かけない気もするし、石材としての普及や人気度の合いは知らない。でも実家は建て替える前まで大谷石の塀があったので、私には何となく愛着がある。大谷石は宇都宮市の大谷という場所を中心に採れる石。つまり栃木県産なので、栃木県に来ると壁や塀だけでなく大谷石でできた建物もあったりして、それを見るのが私の密かな楽しみ。
石橋あやめ園は国道4号線に面していて宇都宮までそれを北上する。ちなみに国道4号線は東京の日本橋から青森までを結ぶ日本で1番長い国道である。宇都宮の中心街に近づくと道路は国道119号線に変わり、やがて宇都宮駅から西に延びている当地のメインストリートに当たる。そこを左折してまっすぐ進み、最後にY字路を右にそれてしばらく進むと大谷資料館に着く。石橋あやめ園からは約25キロの距離だが左折と右折が1回ずつとシンプルなルート。
到着は午後2時頃。
クルマの駐車場はかなり広い。
バイクは路肩が広がっているような場所に駐めるように係員に言われた。そのおかげでBMW F800Rと大谷石のツーショット。石材として整形された大谷石しか見たことがないので、自然の姿の大谷石を見て妙に興奮する。
駐車場から資料館までは少し歩く。
この道がとてもヒンヤリした空気。しばらくしてその秘密がわかった。
放置してある?古いトラック。昭和30年代あたりのものかな。
写真右下のレバーにはFUEL CUTと書かれている。つまりFUEL=燃料を遮断する装置。
知識としては知っていたが本物を見たのは初めて。
ガソリンエンジンの場合、点火プラグに電流を送らなければ、火花が飛ばず燃料が燃えないのでエンジンは止まる。ディーゼルエンジンは知らない人のほうが多いかもしれないが、空気を高圧に圧縮して高温にして、そこに燃料を流し込んで自然発火させる。つまり点火プラグは存在しないから、その電流を切ってエンジンを止めるという方法は使えない。
それでどうするかというと燃料を送り込むのやめてエンジンを止める。今は燃料を電気ポンプで送り込んでいるから、その電流を切る。しかし昔は燃料ポンプをエンジンの力で回していた。だから燃料ポンプに流れる燃料を遮断して、エンジンに燃料が届かないようにする必要があった。それが写真のFUEL CUTというレバー。
だからこのトラックはディーゼルエンジン車。ディーゼルエンジンを止めるには、もうひとつ空気を高圧に圧縮する部分の弁を開く方法もあった。高圧に圧縮できない=燃料が流れても自然発火しない=エンジンが止まるという仕組み。昔はエンジンを止めるにもいろいろ操作が必要だったということ。
ついでにキー差し込み口の上にある電気回路のような模様が書かれたノブは、バッテリーの接続スイッチ。今はキーを1段回せばバッテリーが接続され、もう1段回してセルモーターを回転させてエンジンを掛ける。昔はこれを別々の仕組みで行っていた。このノブを押すか引くかしてからキーを回す。理由はよくわからないし、いつまでこんな仕組みがあったのかも知らない。
しかし今でも大型バスにはバッテリースイッチがある。これは運転手が運転席を離れてトイレに行ったり荷物の積み込みを行う時、安全のためにエンジンを切りキーも携行するが、そういう場合でもハザードランプや室内灯その他の電気系統を使えるようにするためらしい。一方で単なる昔からの慣習として大型バスだけにバッテリースイッチが残っているという説もある。
メッチャ話がそれた(^^ゞ
岩肌に大きな穴が空いているところが見えてきた。あれは巨大地下空間の入口ではなく休憩所なのだが、中ではつながっているみたいだ。地下空間の温度は年間を通じて8度前後。つまりかなり低い。それでどうも、あの穴から地下空間の冷たい空気が流れてきて、この道が涼しくなっているようだ。この写真左側の人が立っていないあたりを通ると、地下からの空気の流れから外れてしまうからか、明らかに体感温度が違ってくる。
巨大な大谷石に囲まれた広場。ここも昔は採石場だったんだろう。
先に休憩所を探検。
あまり奥には行けなかった。
これが大谷資料館。建物は大きくない。
というかネーミングがおかしい。館内には大谷石採掘関連の展示が少しあるが、それを目当てにここへ来る人はいない。もっと素直に地下空間のことをネーミングにすればいいのに。私は「大谷資料館に行ってきた」わけだが、どうもこの表現がピンとこない。
やんごとなき方々もお見えになっている。
大谷資料館は自治体や大谷石の協同組合が運営しているのではなく、地元の私企業(石材会社)の経営である。ケシカランことに今年の2月、その会社の社長がクズになった大谷石やコンクリートの産業廃棄物を不法投棄したとして逮捕されている。
階段が300段という張り紙にビビる(^^ゞ
入場料は700円。ちなみに駐車場は無料。
いろんな映画のロケ地としても使われている。
地下に降りる入口はアルミの引き戸で、雰囲気的に何となく違和感。
ーーー続く
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