2016年09月16日
女性を描く クールベ、ルノワールからマティスまで
前回のエントリーでも少し書いた、ツーリングで立ち寄った横須賀美術館で開催されている展覧会。どんな内容かを美術館のホームページの言葉をコピペすると、
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産業化と機械化の発展により、1850年から約1世紀の間に、フランスでは社会が大きく変化します。 また、この時代のフランスでは重要な芸術運動、すなわち、レアリスム(写実主義)、印象派、ポスト印象派、象徴主義、フォーヴィスム、キュビスムが生まれ、豊かに実っていきます。
この時代のフランス絵画においては、社会の様々な場面での女性が描かれ、また内面を掘り下げた作品が多様に表現されていきます。
本展では、こうした時代の証言者である女性像に焦点をあて、「女性の肖像」「画家とモデル」「家庭の女性」「働く女性」「余暇(レジャー)」「夢の女性」という6つのテーマを設け、 47作家による約60点で多彩な作品群をご紹介いたします。
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(クルーベという画家はよく知らないのだが)副題にルノワールからマティスまでと添えられているのは、特に目玉となる作品もないので、知名度の高い画家の名前で訴求力を高めたかったのだろう。もっともルノワールやマティスにしても、彼らの代表作が展示されているわけではない。
いってみればかなり地味目の展覧会で、47名の画家のうち私が知っていたのは
ルノワール
ローランサン
ボナール
マティス
キスリング
の5名くらい。残り42名には「聞いたことがあったかな」という画家もいたが、ほとんど知らない人ばかり。でもこの42名がよかったのである。絵がどうこうというより、肩の力を抜いていろんな画家の絵を眺められたのが楽しかった。先ほどの美術館の説明にはいろいろと難しいことが書いてあるが、そんなことを抜きにして、古き良きパリのバラエティに富んだ女性の肖像画や人物画の展覧会という解釈でいいと思う。それに前回のエントリーで紹介した通り、この美術館のレストランは順番待ちで並ばなければいけないが、展示室はガラガラでノンビリと鑑賞できる。
まずは有名どころから紹介。
オーギュスト・ルノワール 「肖像画の習作」
制作年は不明でも、絵の雰囲気から後期の作品なのは一目瞭然。まあどこから見てもルノワールな画風。ルノワールは先月に大規模な展覧会で代表作をたくさん見たばかりなので、それと較べてしまうせいか、あまり展示作品に興味が持てなかった。
マリー・ローランサン 「ギターを持つ若い女性」1940年
ローランサンも一目見て彼女だとわかる画風を確立した画家。少し軽めのイラスト風で、昔はお洒落な絵画の代名詞だったこともある。ただし日本では人気があるもののフランスではそれほどでもないという話もよく聞く。少女的な愛らしさを追求した画家であり、カワイイ文化の日本人とは相性がいいのかもしれない。
ピエール・ボナール 「服を脱ぐモデル」
名前はあまり聞かないものの、わりとあちこちで見かけるボナール。まあ展覧会にはそんな脇役の画家も必要かも。「絵画は、ひとつの充足する小さな世界でなければならない」と語り、アンティミスト(親密派・内景派)と呼ばれるボナール。また浮世絵などから多大の影響うけ「日本かぶれ」とも揶揄されていたらしい。まるで屏風や掛け軸のような作品も残している。でもそれらを除けば印象派の画家とは違い、知る限り、いかにも浮世絵からインスピレーションを得たような構図や、アクセントとして日本の風物を置いたような絵は描いていない。私にはコッテリとした、とてもパリ的に感じられる画家である。
アンリ・マティス 「窓辺の婦人」1919年
だいたいがヘタウマ絵のマティスであるが、これはちょっとーーー小学生が描いたお母さんの絵にしか見えなかった(/o\)
モイーズ・キスリング 「赤い洋服のモンパルナスのキキ」1933年
キスリングを見る機会はそれほど多くない。しかし、かなり個性的なので一度見たら忘れることはない画家である。彼の人物画は割と平面的でコントラストのはっきりした画風。アニメ的といってもいいかもしれないが、その表情にはどこか憂いを漂わせているものが多い。パッと見は単純だけれど、じっくり見ると結構ハマるタイプの作品が多い。
モンパルナスのキキは、キスリングだけでなくユトリロ、藤田嗣治、モディリアーニなど当時の多くの画家に描かれた伝説のモデル。また有名な写真家であるマン・レイの愛人でもあった彼女のブロマイドは30万枚以上売れたという。
この写真は展示作品ではない。またこの写真が30万売れたということではないが、皆がキキの虜になったことはこの1枚でもわかる気がする。
本名はアリス・プラン。キスリングが100枚以上彼女の絵を描いたので、キスリングの愛称のキキが彼女の呼び名にもなったらしい。
ーーー続く
wassho at 08:13│Comments(0)│
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