2016年10月06日
東京都庭園美術館
目黒に所用があったついでに、前から行きたいと思っていた東京都庭園美術館に足を伸ばしてきた。山手線の目黒駅から歩いて7〜8分の所にある。
東京都庭園美術館とは
元は旧皇族の朝香宮(あさかのみや)の邸宅。
2代続いた朝香宮の初代である朝香宮鳩彦(やすひこ)が建築。
朝香宮鳩彦は昭和皇后の叔父であり、また奥さんは明治天皇の娘。
ちなみに宮家とは天皇の跡継ぎを絶やさないための分家。江戸時代なら
尾張・紀州・水戸の徳川御三家みたいなもの。
敷地は元高松藩の下屋敷。敷地面積は約3万5000平米=1万600坪。
建物は1929年(昭和4年)着工、1933年(昭和8年)5月竣工。
建築面積は約1000平米=300坪、延べ床面積約2100平米。
鉄筋コンクリート造り地上3階・地下1階。
終戦〜皇籍離脱により1947年(昭和22年)に朝香宮一家が退去。
1950年まで吉田茂が首相・外務大臣公邸として使用。終戦直後のいろんな
歴史の裏舞台にもなったと思われる。
1950年に西武鉄道に払い下げられ白金プリンス迎賓館となる。
白金プリンス迎賓館は結婚式や催事を開く民間商業施設だが、1974年(昭和49年)に
赤坂離宮が迎賓館に改修されるまで、ここが国が国賓を迎える迎賓館としても使われ
ていたらしい。そんなことしていたんだと初めて知った。
その後は1975年からプリンスホテル本社として使用される。
こんなところがオフィスなら優雅に仕事できそう。
西武は建物を取り壊してホテルに建て替える計画を発表したが、旧朝香宮邸を守れとの
反対運動が起こり断念。1981年(昭和56年)に東京都に売却される。
1983年に都立の美術館として一般公開される。
といった歴史を持つ。
それでこの東京都庭園美術館=旧朝香宮邸が有名なのは、アール・デコ様式の名建築だから。横浜や神戸の異人館でもレトロな西洋建築の雰囲気を味わえるけれど、旧朝香宮邸はそれらとは格違いの世界的に見てもトップクラスの建築遺産。室内設計はアンリ・ラパンで、調度品のいくつかを手がけたのはルネ・ラリックと何となく聞いた記憶のある名前が並ぶ。(アール・デコって何?については、以前に簡単に書いたから興味があったらこのリンクから。ページの中頃辺り)
案内看板では2つの展覧会をやっているように思えるが「アール・デコの花弁」は室内公開とほぼ同じ意味。家具などのインテリアを時々模様替えして展覧会の体裁にしているようだ。建前は、あくまで美術館なので何の展覧会も開かれていない時は、庭の見学はできるが建物の中には入れない。
門をくぐって、
目黒駅徒歩圏内とは思えない木々の中を進んでいく。
やがて現れる薄いクリーム色の建物。
外観は割とシンプルでアール・デコな印象はない。現在の建築と較べると窓が小さいように思える。でも天上高が4〜5メートル程度と高いので相対的にそう見えている面もある。建物に入ると窓が小さいとは感じない。それにしても落ち着いた趣。
関係ないけれど、この日は天気がよかった。ただし10月なのに気温30度越え。
いよいよ中へ。写真では小さいが玄関の左右に狛犬。西洋建築なのに?という気がしなくもないが、意外と建物と溶け込んでいた。
ところで部屋の中で写真を撮ることはあっても、部屋そのものを撮る機会はあまりない。そしてこれがなかなか難しい。家具の置いてある部屋はまだしも、そうでない場合はまったく部屋の雰囲気が伝わらない。デジカメ持参でTHIS IS アール・デコな写真を撮ろうと思っていたのに、ほとんどが現場記録のようなものになってしまった(/o\)
数多くの部屋があるが、建物内部の公開方法は次の3パターン。
部屋の中に入れる
扉が閉まっていて見ることができない
扉は開いていても、部屋の中には入れない
上の写真だと3枚目の書斎とバスルームが扉の所から覗けただけ。
1階の間取り図
2階の間取り図
1階は中庭を挟んで左側(南側)が主に来客用のスペースで、右側の色が濃くなっている部分が使用人達の働き場所。使用人部分は公開されていないのが残念。
1階で気になるのは包丁室という存在。包丁の格納庫?それとも当時は、包丁を使う作業スペースを、調理をする厨房とは別に設けていたのか?とにかくナゾの存在である。
2階はプライベートゾーン。家族4人分のスペースがあって、各人が寝室だけじゃなくて専用の居間を持っている。さすがは宮家なので全室スイートルーム(続き部屋)仕様といったところ。
なお写真で市松模様の廊下が、殿下&妃殿下の寝室に面しているベランダである。
インテリアや室内装飾をいくつか。
これは妃殿下居間に面しているバルコニー。
このタイルが凝ったものらしいが説明書きの内容は忘れてしまった。
廊下や階段もいい感じ。
こんなカーペットの浮き防止の留め具は初めて見た。
こちらが元オーナー夫妻。
いってみれば西洋かぶれの宮様が道楽で建てた建物を、21世紀の平民が豪邸訪問よろしく見学しているといったところ。
ーーー続く
東京都庭園美術館とは
元は旧皇族の朝香宮(あさかのみや)の邸宅。
2代続いた朝香宮の初代である朝香宮鳩彦(やすひこ)が建築。
朝香宮鳩彦は昭和皇后の叔父であり、また奥さんは明治天皇の娘。
ちなみに宮家とは天皇の跡継ぎを絶やさないための分家。江戸時代なら
尾張・紀州・水戸の徳川御三家みたいなもの。
敷地は元高松藩の下屋敷。敷地面積は約3万5000平米=1万600坪。
建物は1929年(昭和4年)着工、1933年(昭和8年)5月竣工。
建築面積は約1000平米=300坪、延べ床面積約2100平米。
鉄筋コンクリート造り地上3階・地下1階。
終戦〜皇籍離脱により1947年(昭和22年)に朝香宮一家が退去。
1950年まで吉田茂が首相・外務大臣公邸として使用。終戦直後のいろんな
歴史の裏舞台にもなったと思われる。
1950年に西武鉄道に払い下げられ白金プリンス迎賓館となる。
白金プリンス迎賓館は結婚式や催事を開く民間商業施設だが、1974年(昭和49年)に
赤坂離宮が迎賓館に改修されるまで、ここが国が国賓を迎える迎賓館としても使われ
ていたらしい。そんなことしていたんだと初めて知った。
その後は1975年からプリンスホテル本社として使用される。
こんなところがオフィスなら優雅に仕事できそう。
西武は建物を取り壊してホテルに建て替える計画を発表したが、旧朝香宮邸を守れとの
反対運動が起こり断念。1981年(昭和56年)に東京都に売却される。
1983年に都立の美術館として一般公開される。
といった歴史を持つ。
それでこの東京都庭園美術館=旧朝香宮邸が有名なのは、アール・デコ様式の名建築だから。横浜や神戸の異人館でもレトロな西洋建築の雰囲気を味わえるけれど、旧朝香宮邸はそれらとは格違いの世界的に見てもトップクラスの建築遺産。室内設計はアンリ・ラパンで、調度品のいくつかを手がけたのはルネ・ラリックと何となく聞いた記憶のある名前が並ぶ。(アール・デコって何?については、以前に簡単に書いたから興味があったらこのリンクから。ページの中頃辺り)
案内看板では2つの展覧会をやっているように思えるが「アール・デコの花弁」は室内公開とほぼ同じ意味。家具などのインテリアを時々模様替えして展覧会の体裁にしているようだ。建前は、あくまで美術館なので何の展覧会も開かれていない時は、庭の見学はできるが建物の中には入れない。
門をくぐって、
目黒駅徒歩圏内とは思えない木々の中を進んでいく。
やがて現れる薄いクリーム色の建物。
外観は割とシンプルでアール・デコな印象はない。現在の建築と較べると窓が小さいように思える。でも天上高が4〜5メートル程度と高いので相対的にそう見えている面もある。建物に入ると窓が小さいとは感じない。それにしても落ち着いた趣。
関係ないけれど、この日は天気がよかった。ただし10月なのに気温30度越え。
いよいよ中へ。写真では小さいが玄関の左右に狛犬。西洋建築なのに?という気がしなくもないが、意外と建物と溶け込んでいた。
ところで部屋の中で写真を撮ることはあっても、部屋そのものを撮る機会はあまりない。そしてこれがなかなか難しい。家具の置いてある部屋はまだしも、そうでない場合はまったく部屋の雰囲気が伝わらない。デジカメ持参でTHIS IS アール・デコな写真を撮ろうと思っていたのに、ほとんどが現場記録のようなものになってしまった(/o\)
数多くの部屋があるが、建物内部の公開方法は次の3パターン。
部屋の中に入れる
扉が閉まっていて見ることができない
扉は開いていても、部屋の中には入れない
上の写真だと3枚目の書斎とバスルームが扉の所から覗けただけ。
1階の間取り図
2階の間取り図
1階は中庭を挟んで左側(南側)が主に来客用のスペースで、右側の色が濃くなっている部分が使用人達の働き場所。使用人部分は公開されていないのが残念。
1階で気になるのは包丁室という存在。包丁の格納庫?それとも当時は、包丁を使う作業スペースを、調理をする厨房とは別に設けていたのか?とにかくナゾの存在である。
2階はプライベートゾーン。家族4人分のスペースがあって、各人が寝室だけじゃなくて専用の居間を持っている。さすがは宮家なので全室スイートルーム(続き部屋)仕様といったところ。
なお写真で市松模様の廊下が、殿下&妃殿下の寝室に面しているベランダである。
インテリアや室内装飾をいくつか。
これは妃殿下居間に面しているバルコニー。
このタイルが凝ったものらしいが説明書きの内容は忘れてしまった。
廊下や階段もいい感じ。
こんなカーペットの浮き防止の留め具は初めて見た。
こちらが元オーナー夫妻。
いってみれば西洋かぶれの宮様が道楽で建てた建物を、21世紀の平民が豪邸訪問よろしく見学しているといったところ。
ーーー続く
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