2017年06月09日
オンキョー DP-X1A その2
前回エントリーで専門用語の解説は割愛すると書いた。でも読み返してみるとたいした専門用語は使っていなかった(^^ゞ 今回は聞き慣れない言葉が多いかもしれないがご容赦を。
さてオンキョーDP-X1Aに対する私の評価をまとめると次の3つである。
音質は最高 \(^o^)/
操作性は最悪 (/o\)
デザインは凶悪 (>_<)
音質にはとても満足している。そりゃiPhone、つまりは携帯電話のオマケ機能で聴いていた音と較べてよくなっていて当然だけれど。5万1000円で買ったとはいえ、発売当初は9万円ほどした機種なんだから。
音のよさを説明することは難しい。説明ができたとしても、そもそもが感覚の話だから内容が伝わるかどうかは別問題。それを承知で書けばーーー
端的に言えば音がクリアになった。それによって従来より音楽が活き々と聞こえるし、サウンドステージも広がったように感じる。おそらくiPhoneでは埋もれていた音が聞こえているからだろう。誤解のないように書いておくと「今までこんな音はこの曲には入っていなかった」とそこまで違うわけじゃない。埋もれていたのは微妙な音の輪郭。例えれば窓ガラス越しに見る風景と窓を開けて見る風景の違い。同じ風景を見ていてもやはりどこか違う。
クリアに聞こえるのはスマホという汎用機器と、音楽再生用に設計された機器が発生するノイズ量の差だろうと考えている。音にノイズが乗れば歪んで聞こえる。オーディオというのはノイズと歪みとの戦いの歴史でもある。また聞こえる音がクリアなだけじゃなくて、マニアがいう「音楽の背景が静か」と感じられるのもノイズが低いからだと思われる。
実はクリアな音だというのは携帯音楽プレーヤーとしてよりも、自宅でパソコンに換えてDP-X1AをDAC経由でオーディオに接続した時に顕著に感じる。CDだと探すのが面倒で聴きたい曲がすぐに聴けないからと始めたPCオーディオであるが、どこか微妙にしっくりこないところがあった。それが何なのか自分でもよくわかっていなかったが、DP-X1Aを接続してクリアさの問題だったと確認できたしだい。オーディオ的見地からパソコンはノイズのかたまり。その対策はいろいろあるがマニアックで面倒なもの。DP-X1Aであっさり解決してよかった。
ここまで音がよくなったことをノイズと関連づけて書いてきた。しかし、ひょっとしたらまったくの見当違いかもしれない。なぜなら機器によって使っている音楽ファイルのフォーマットがすべて違うから。
音源はすべてCDからのリッピング(パソコンに取り込む、コピーすること)である。ハイレゾは今のところ手を出していない。
MacにはiTunesではなくXLDという専門ソフトを使って取り込んでいる。より正確にリッピングできるらしいが、やたら時間が掛かるのが難点。何年か前に持っているCDほぼすべてをXLDでリッピングし直したのだが、暇を見つけながらの作業なので半年以上掛かった。
リッピングするフォーマットは無圧縮のAIFF。iPhone用にはそれをAACの256kbpsにコンバートしていた。それに対しDP-X1AではロスレスのALACへのコンバートである。なおかつイヤホンで聴く時は192kHzへのアップサンプリング、DAC経由でオーディオに接続する場合はDSD5.6MHzへ変換している。
少しだけ音楽ファイルのフォーマットについて解説すると
AIFF:CDに入っているフォーマットと同じ。
AAC:音楽データの聴覚的に不必要な部分を間引いて圧縮するフォーマット。
聴き分けられるかどうかは別として原理的に音質はオリジナルより低下する。
ALAC:間引かずに圧縮するフォーマット。
原理的に再生時の音質はオリジナルのAIFFと同じ。
音質はAIFF>ALAC>AACとなる。圧縮というのはファイルサイズを小さくするための手段で、同じデータのサイズもAIFF>ALAC>AACとなる。
つまりiPhoneはAAC、DP-X1AはALACとフォーマットレベルで音質が違うのだから差が付いて当然ということ。PCオーディオでのMacとDP-X1Aは、フォーマットレベルでほぼ同等でもサンプリングレートが異なっている。音質の違いがフォーマットやサンプリングレートによるものかどうかはiPhone、DP-X1A、Macで「ALACを使いアップサンプリングしない」という共通条件で聴き較べればわかる。でもそんなことはしていない。そこまでマニアじゃないし、結果オーライでいい音だったら、あるいはいい音と思えればそれで満足(^^ゞ
ところでアップサンプリング。生の音を録音する時に、よりハイレートでサンプリングするほどアナログの波形に近づいて音質が向上することはわかる。しかしいったんデジタルにしたものをアップサンプリングで再分割して何か意味があるのかと懐疑的だった。でも百聞は一見にしかず。確かに音はよくなる。一枚ベールを剥いだようにクリアだし響きもいい。少し音楽がきつく感じられなくもないが、アップサンプリングからオリジナル・サンプリングに戻すと物足りなくなってしまう。音声信号的に何が変化するのかは不明だが、これも結果オーライでよしとしている。
ちなみにオーディオに接続する時にDSD変換しているのは、なぜかDP-X1Aは192kHzではなく176.4kHzでしかアップサンプリングしないから。USB接続の場合に限り384kHzという設定もあるが、そのレートには自宅のDACが対応していない。それでDSD変換を試してみたら、音の押し出しがよくなったように感じられるのが気に入って使っている。もっともPCM176.4kHzとDSD5.6MHzの違いは極めて微妙で目隠しテストなら当てる自信はない。でも普段は目隠して音楽を聴くわけじゃないからこれでいいのだ。
やっぱり説明はできても話は伝わってないかな(^^ゞ
もうひとつだけわかりやすい音の違いを。iPhoneと較べてDP-X1Aでは低音がよく出るようになった。全体が高音域に偏っているクラシックこそ低音が重要というのが私の持論。iPhoneでイヤホンから聞こえる低音には物足りなさを感じていて、それはイヤホンという超小型スピーカーの限界だと思っていた。しかし同じイヤホンなのにDP-X1Aだと、かなりしっかり低音が聞こえる。つまりイヤホンを駆動するアンプの力量(音量じゃない)にiPhoneとは大きな差があるということ。それでもスピーカーで鳴る音と較べれば違いはある。しかし携帯している時はそんなに真剣に音楽を聴くわけじゃないから、DP-X1Aのイヤホンから出る低音にはとりあえず満足している。また現在のイヤホンは1万円クラスの製品だが、DP-X1Aならもうワンランク上のものを買ってもいいかなとも思っている。
そんなこんなでDP-X1Aの音質には満足している。何が音質に貢献しているのか正確なところはわかっていないが、エンジニアじゃないんだからそれは問題ではない。確かなのは5万円の投資に充分な見返りがあったこと。30万円のウオークマン、50万円のAstell&Kern(アステル&ケルン)ならどんな音なのだろうと興味はあっても、私にはDP-X1Aで必要充分。それにいい音で音楽を聴くのは気持ちがいいけれど、音の善し悪しで音楽から得られるものに差があるわけじゃない。訳もわからず一番音楽に感動できたのは、小学生の頃に親に隠れて小さなトランジスタラジオから片耳イヤホンで聴いていた深夜放送のポップスやロックだったりするんだから。
さて音質については褒めちぎったDP-X1A。しかしそれ以外はほとんど気に入っていない。
ーーー続く
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