2017年07月01日
世界盆栽大会 その2

会場内はかなりの混雑。チケットは並ぶことなく買えたから、前売り券を買っている人が多いのかも。ゴールデンウィークとなる翌日からは会場に入るのに1〜2時間くらい並んだそうである。またスマホも含めてほとんどの人が写真を撮るので、盆栽を正面から撮影する位置を確保するのに少々手こずる。
それと外国人(白人)もよく見かけた。外国のテレビ取材クルーと思われる人たちもチラホラ。25年ほど前から盆栽はBonsaiとして海外で通用することは知っていたが、改めてその人気を実感。なお盆栽が海外に広く知られるきっかけは1970年の大阪万博だという説もある。
この世界盆栽大会は1989年に日本で最初に開かれ、以降はオリンピックのように4年ごとにアメリカ、韓国、ドイツ、アメリカ、プエルトリコ、中国で開催された。だから日本での大会は28年振りとなる。次回はオーストラリア。それにしてもプエルトリコと盆栽ってまったくイメージが結びつかないなあ。パームツリーとかトロピカルムードの盆栽なんだろうか。そういうのなら是非見てみたい。
なお「大会」という名称ではあるが盆栽の優劣を競うコンテストではない。主催者によるとただ盆栽を並べただけの展覧会ではなく、盆栽作家のプレゼンテーションや盆栽愛好家の交流を重視するというのが大会という意味らしい。普通にネーミングするなら国際盆栽フェスティバルかな。しかし世界盆栽大会という名前は意味的にはドウヨと思うけれど、世界と盆栽の言葉を組み合わせたインパクトはある。前回書いたように私もそれで興味を引かれた。ちなみに英語表記はWorld Bonsai Conventionとなっている。
こちらは水石の展示。水石(すいせき)とは室内観賞用のめずらしい形をした石のこと。反対語は庭石になるのかな。
化石じゃなくて菊の模様があらわれた石。
埴輪みたい。
水石にも産地というものがあるらしい。
ディープにマニアックな世界を垣間見る。
宇宙船?
これが何に見えるかで心理テストができそう。
これらは小品盆栽と書かれていた。棚単位での出品。
調べてみると盆栽はサイズ区分があって、だいたいの基準は以下の通り。
豆盆栽: 樹高10センチ未満
小品盆栽:樹高10センチ〜19センチ
貴風盆栽:樹高20センチ〜34センチ
中品盆栽:樹高35センチ〜40センチ
大物盆栽:樹高40センチ以上
盆栽だけだと見飽きてくるので、こういうディスプレーは新鮮。
ツツジ(サツキかも)がきれいに咲いた盆栽。
アップで撮ったら盆栽かどうかわからないが、いつもの癖で。
さいたま市の小学生が育てた盆栽。
埼玉県は盆栽の主要産地でさいたま市には盆栽町という地名がある。関東大震災で被災した都内の盆栽業者が集団移転してきたのが始まりとされる。現在は盆栽町を含めたもう少し広いエリアを大宮盆栽村と呼称して一種のブランドとなっている。
それで他にどんな産地があるのかと調べたのだが、ネットではめぼしい情報を見つけられず。わかったのは香川県が松の盆栽では国内シェアの80%を占めているということくらい。「うどん県」のPR効果で讃岐うどん=香川県が結びついたのだから、盆栽もアピールすればいいのに。海外からの観光客を呼び込めるかもしれないよ。
盆栽作家による実演。ご覧の通り講師は外国人。盆栽アーティストと呼んだほうがしっくりくるかも。数百名の人が熱心に見ていた。
こちらは盆栽教室の様子。
会場の半分くらいを占めていたのが販売スペース。こちらも大混雑。
3鉢でお値段1億円なり!の盆栽。
でも購入者は慶雲庵とあるから業者間売買の模様。それでこの慶雲庵は最初から2枚目の写真に一般財団法人 京都国際文化振興財団 慶雲庵とある出品者でもある。しかし財団なのに京都国際文化振興財団や慶雲庵のホームページが見あたらない。ナゾの団体。
この盆栽は手の拳くらいの大きさなのに3万円もする。
手のひらサイズになると15万円。
30センチくらいになるとでも50万円は当たり前の世界。
前回のエントリーで紹介したような大物盆栽だと280万円(゜o゜)
金額を見て、膨らみかけた盆栽への興味が一気にしぼむ(^^ゞ しかし世界大会だからか、この会場で売られている盆栽の価格は高め。ネットで調べると豆盆栽や小品盆栽なら1万円以下のものがたくさんある。
https://www.bonsaimyo.com/matsubonsai/
http://shop.greenscape.co.jp/
http://www.yamataya.com/product-list/1
ところでイベントは盛況だったが国内の盆栽マーケットはかなり縮小しているらしい。この10年で半減という話もある。ただし具体的な数字はネットでザッと調べた程度ではわからなかった。輸出は増えているという情報は多いが対照となる国内の市場規模はわからず。また農水省の統計でも盆栽と植木などとの区別はしていないようである。
盆栽はいい趣味だと思うがとても手間が掛かる。例えば水やりは基本的に
春秋は1日1回、夏は1日2回、冬は2日に1回
が目安らしい。だから昔から隠居した老人が愛好家の中心である。これから超高齢化社会だからマーケティング次第では復活も可能かもしれない。もちろん昭和と平成の高齢者は違う。私も今回見たような伝統的な盆栽を欲しいとはそれほど思わないが、寿司でいうならカリフォルニアロールみたいな盆栽ならベランダに置きたいかな。
また盆栽は鉢に植えられてから何百年と経っている物もある。当然人の寿命より長い。それで面白いのは盆栽の価値は盆栽そのもの姿形だけではなく、誰が所有してきたかにもよって決まるということ。元はドコソコ大名家のもので、明治になってナニナニ公爵の手に渡り、戦後はマルマル首相が育て、現在は歌舞伎役者のダレソレが持っているーーーなんていうと価値が高くなるらしい。肩書きで価値を判断するのがいかにも日本的。でもそんな伝統と格式みたいなイメージが盆栽について回るのはマイナスだろう。
ところで実は「世界大会」ということで世界各地の日本のものとは違った盆栽が見られると期待していた。残念ながらそういった盆栽はなかったが、超一級の銘品をたくさん見たからちょっとは目が肥えたかもしれない。これからそれを生かす機会があるかどうかは別問題として。
おしまい
wassho at 10:30│Comments(0)│
│お花畑探訪