2020年07月15日

モナリザは美人だった!?

誰でもが知っているモナリザ。名画中の名画であり人類の至宝とされている。しかし教養を疑われたら困るから口にしてこなかったけれど、昔からこれがいい絵だと思ったことは一度もない。唯一無二の強烈な存在感があるのは認める。絵からオーラが出ている感じさえする。でもそれと眺めていたいかどうかは別の話。平たくいえば趣味に合わない。私が大事にしている「酔える」絵でもない。
1モナリザ

ところで本物のモナリザを見たことはないが、書籍や雑誌あるいはネットの画像で見るモナリザは全体に黄色がかっている。ほとんどがそうだから、本物もそうなのだろう。

レオナルド・ダ・ヴィンチがモナリザを描いたのは1503年から1506年(1519年に亡くなるまで加筆修正を続けたとの説もある)だから、ざっと500年前で日本では戦国時代が始まった頃の作品。いわゆる汚れに関しては充分にクリーニングされているらしいので、黄色っぽいのは変色したのだろうか。しかしダ・ヴィンチの他の作品やルネサンス時代の他の画家の作品では、人物がこんなに黄色くなってはいないから、これは黄色く描いたのだろうか。少し調べてみたものの、そんなことは美術界で話題になっていないようで理由はわからず。

ところでデジカメが出始めた頃、あるいは携帯電話にデジカメが搭載された頃、明るさが足らない場所で人物を撮ると黄色が強くなってしまうケースが多かった。それをよく画像ソフトで補正したものである。

というわけでモナリザにも(^^ゞ
私には、この方が自然な色合いに思える。
2モナリザ肌色補正


思うにモナリザが好きになれない一番の理由は、描かれている人物に魅力を感じないからだ。よく見れば整った顔立ちで気品も感じる。しかし黄色い顔をして眉毛もないから、子供の頃に初めて見た時は何となく薄気味悪かった。その印象を今も引きずっているのかも知れない。しかし、どうして眉毛がないのだ? 江戸時代の既婚女性のような眉毛を剃り落とす風習はルネサンスのヨーロッパになかったはずなのに。
眉引き













さてそういうわけでモナリザには関心がなかったのだが、先日ネットで面白いものを見つけた。それはAIを使って名画のモデルに命を吹き込もうとする試み。それでモナリザがこんなふうに。メッチャかわいいやん! やっぱりモナリザはいい絵だなあ(^^ゞ
3AI stuff


動画ではモナリザの他にボッティチェッリの「ヴィーナスの誕生」、フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」、レンブラントの「夜警」なども見られる。前半はほとんど言葉だけの解説で、モナリザが登場するのは開始1分30秒あたりから。フェルメールのデキはイマイチかも。


この動画で現代風になったモナリザを見て、2012年の展覧会で知った「アイルワースのモナリザ」を思い出した。この絵はダ・ヴィンチがモナリザを描く10年程前に、同じモデルで制作したとの説もある。その真贋ははっきりしないとしても、AIモナリザはアイルワースにそっくりである。
4アイルワース

AIで「何をどうして」モナリザの顔を再現したのか動画では説明されていない。説明されたら理解できるものでもないが。今回のものはエンジニアのちょっとしたお遊びだろうが、これからはAIを利用して資料の断片から歴史を読み解くことができるようになる予感がして興味深い。


ところでAI動画ではモナリザが笑顔を振りまいている。ダ・ヴィンチの描いたモナリザの表情は「謎めいた微笑み」などとよくいわれる。でもあまりに控えめなのでビミョー過ぎるとも思っている。先ほど絵の黄色っぽさを補正した時に、フォトショップ・エレメンツ(画像ソフト)に「顔立ちを調整」という項目を見つけたので試してみた。左側が調整済みのモナリザ。クリックして拡大した方がわかりやすい。
5モナリザ顔修正

スマホの写真系アプリのように劇的には変化しないが、

    唇の形を笑顔にして
    目を少し大きく
    アゴをわずかにシャープにして
    額も気持ち狭くしてみた

ちょっとは愛想のいいモナリザになったかな?


プロが画像ソフトを使って(表情ではなく)質感をレタッチ(補正・調整)したのがこちら。ずいぶんと生々しいモナリザに仕上がっている。ダ・ヴィンチの描いたモナリザはどこか存在感が希薄で、それが女神的な雰囲気にもつながっている。でもレタッチされたものを見ると、この描かれた人物の実在を強く感じる。それと顔の形はほとんど変えていないのにオリジナルよりずっと美人だ。まあスッピンと化粧した顔の違いともいえるが(^^ゞ
6フォトショップ

動画で制作の様子を見ることができる。
ダ・ヴィンチが見たら好奇心を抑えられず、あの世から蘇ってきそうな内容である。


古典的な名画をリアルに再現するというのは意外と面白い。この前、超写実絵画の展覧会を見てきたくらいだから、私の好みに合うのだろう。もっといろいろな作品を見たいものである。特にラファエロで誰か試してくれるとうれしい。

wassho at 20:02│Comments(0) 美術展 

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