2020年08月20日

ゴジラとティラノサウルス その2

ゴジラのデザインはティラノサウルスをモデルにしたといわれる。もちろん制作者の公式な見解ではない。しかしティラノサウルスは地球史上最強のイメージだからゴジラにふさわしいし、何となく昔からそうなんだと思ってきた。
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写真は1954年(昭和29年)の初代ゴジラ。全体的にはティラノサウルスだが、腕はイグアナドン背びれはステゴザウルスを模したとの説もある。イグアナドンを持ってきたのはティラノサウルスの腕があまりに貧弱だからだろう。ステゴザウルスはもちろん背中に迫力を出すため。
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問題はイグアナドンとステゴザウルスはそもそも4足歩行であり、ティラノサウルスは2足歩行でも、身体を水平まで倒して頭と尾でバランスを取るような不思議な形態をしていること。つまりゴジラとは姿勢がまったく異なる。もちろんゴジラは架空の怪獣なので、どうデフォルメしてもいいのだが(/_')/ソレハコッチニオイトイテ。


しかしティラノサウルスを調べてわかったのは、1990年代になるまでは直立に近い形で立っていると学術的に考えられていたこと。そういえば子供の頃に見たティラノサウルスはこの姿だったのを思い出す。だから1950年代生まれのゴジラはティラノサウルスがモデルでも直立に立っていたのだ。

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1979年(昭和54年)に発売された図鑑のティラノサウルスは立ち姿で描かれている。
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1980年代に発売されていたプラモデルも。
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1993年に発売されたプラモデルから身体が水平に。
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恐竜は巨大なので、脚と尾の3点で身体を支えるのが合理的と以前は考えられてきた。しかし1990年にティラノサウルスの全身骨格化石が発掘される。その骨格をよく調べた結果、身体は水平だったとの学説が優位になったらしい。それ以来、ティラノサウルスに限らず2本脚で立つ恐竜はすべてそういう姿勢で表現されるようになった。

つまり現在の2本脚系の恐竜は、子供の頃に見ていたものとは立ち姿が違うのだ。その頃に見ていた恐竜を覚えているわけじゃないとしても、鎌倉幕府がイイクニツクロウの1192年じゃないと今は教えられているのを知った時と同じような気分。思い出を否定されてちょっと戸惑う。

だから前回に書いたように、身体を水平にして動き回るティラノサウルスを見て違和感を覚えるのは、視覚的バランスだけの問題じゃなくて、子供の頃の印象と違っていたのが影響しているかもしれない。覚えてはいなくても脳のどこかにイメージは残っていたのだろう。


こちらは2016年公開のシン・ゴジラ。やっぱりゴジラはこの姿勢じゃないと。よく見ると初代ゴジラと較べて腕がずいぶんと小さく、ティラノサウルスに近い形になっている。
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恐竜はもはやこういう姿では描かれないので、ゴジラのこの姿勢は「ゴジラ立ち」と呼ばれている。それどころか「ゴジラ立ちしていた時代のティラノサウルスのイラスト」なんて、どっちがオリジナルかわからない表現もされている。

ところで初代ゴジラの頃に、現在と同じようにティラノサウルスの姿勢は水平という学説だったとしても、やはりゴジラはゴジラ立ちでデザインされたはずである。

だって人が中に入らないといけないのだから(^^ゞ


おしまい

wassho at 22:20│Comments(0) ノンジャンル 

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