2020年11月02日

大阪都構想 3つの雑感

昨日に行われた住民投票で、大阪都構想が否決されたことはご承知の通り。

大阪市民でも府民ですらないので都構想への関心は持っていなかった。だからその中身についてはニュースの見出し程度にしか把握していない。もちろん賛成か反対かを考えたこともない。ブッチャケ政治ネタなら、いよいよ明日に迫ったトランプ vs バイデンのアメリカ大統領選のほうに興味があるくらい。

しかし昨日は投票結果が目あるいは耳にイヤでも飛び込んできたわけで。せっかくだから、それで感じたことをブログに書いてみるかと。


1)
住民投票で否決された結果を受けて、松井市長は政界引退を発表した。ずいぶんとイサギのいいことと思ったが、それは2023年4月に市長の任期が終わってからだという。つまり2年と7ヶ月ほど先の話である。

ニュースの見出しでは次のようなものが多く、彼の発言に好意的だった。

   松井市長、任期全うし政界引退へ
   松井市長、2023年の任期満了で政界引退へ
   松井市長、任期満了をもって政界引退を表明

これを見て以前に、同じ内容でも言い方で印象が変わる話を書いたことを思い出した。その時に例として挙げたのが

    女子大生が風俗でアルバイトをしている
    風俗嬢だけれど昼間は大学に通っている

これに当てはめると、

   松井市長、2023年の任期満了で政界引退へ
   松井市長、政界引退は2023年の任期満了後

になる。

都構想反対派あるいはアンチ維新なら後者の表現だろう。私の感覚でも信を問うて負けた責任を取るのに2年7ヶ月後なんてあり得ないから、マスコミには松井シンパが多いのかと思った。しかしこのブログを書くために少し調べたら、彼は元々、否決されたら任期満了後に引退と宣言していたことを知る。

    ほな、しゃあないか (^^ゞ

松井市長

2)
しかしなぜ市長の辞職ではなく政界引退なのだ? 大差で否決されたのなら理解できる。それは負けた責任を取るのではなく世間から拒絶された、つまり自分の信念の実現性が不可能であることを理由に政治から身を引くことだからだ。しかし今回の結果は賛成67万5829票(49.37%)、反対69万2996票(50.63%)と、その差は1.26ポイントの超僅差なのである。前回も0.8ポイント差で同様。

つまり半分の人は賛成しているし、統計的に考えれば(計算はしていない)明日に同じ投票をまたやれば結果が逆転する程度の否定なのだ。それなのに、こんな大課題を道半ばで投げ出す政治的信条というのがどうにも理解できない。

政治なんて意見と利害の対立の中で、キツネとタヌキのばかし合いで進めていくもの。味方が半分もいるのに、どうしてあきらめるのだろう。スポーツなら爽やかな負けもあるが、それと勘違いしているのかな。それと今回、有権者の意見が二分されたわけだが、住民投票が終わったのだからと、ラグビーに例えてノーサイドの精神(試合が終わったら敵味方ではなく仲間)を訴える論調もいくつか目にした。言っておくけれど政治にノーサイドはないよ。

    まあ知らんけど (^^ゞ


3)
そもそも論として都構想=維新はなぜ負けたのだ。選挙なら決められたスケジュールがあるから、負ける戦いを強いられることはある。しかし今回は住民投票である。自分たちでいつ戦うかを決められる。勝てるようになってから戦(いくさ)を仕掛ければいいものを。それが最大の判断ミスだと思う。しかも今回は蓋を開けてみなければわからないという状況ではなかった。5年前に同じテーマでやっているから、その知見を生かして勝つ・負けるの判断となるデータ分析は充分にできたはず。

駆け出しのコンサルタントだった頃「冷たい状況認識・熱い対応」ということを叩き込まれた。現実はこの逆になることが多いもの。ある種の興奮状態すなわち熱い状況認識の元で意思決定をしてしまい、そのくせ後は努力をしない冷たい対応になって失敗する。都構想も理念先行で熱い状況認識、そして冷たい対応だったんじゃないかな。熱い対応をしていたら、私が東京都民で関心がなくても、もう少し何かと伝わってきたはず。

都構想が正解なのかどうかは別として、大阪には(大阪に限らないが)大胆な構造改革が必要なことは確かだと思う。それを知事・市長とも維新が占め、そして議会でも過半数あるいは第1党という有利な状況でありながら、戦術のまずさで自滅してしまったように思える。当面は揺り戻しが続く。改革を志す人にとっては痛恨の機会ロスであろう。

    ほんまアホちゃうか (^^ゞ



とりあえずは大阪の皆様、お疲れ様でした。

wassho at 20:04│Comments(0) 社会、政治、経済 

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