2021年08月26日

冬のソナタと恋のフーガ

先日のこと、Amazonミュージックで何気なく選んだエレーヌ・グリモー(ピアニストの名前)の「バッハ・トランスクライブド」というアルバムを聴いた。平均律クラヴィーア曲集の間にチェンバロ協奏曲やピアノ版のシャコンヌなどを挟むという少し変わった構成。これがなかなかよかった。演奏もさることながら曲順も含めた選曲の妙が素晴らしい。バッハなのに最後まで退屈しないと書けばクラシック通からはバカにされるかな(^^ゞ

エレーヌ・グリモー

この平均律クラヴィーア曲集というのは、プレリュードとフーガがセットになった曲から成り立っている。プレリュードは日本語にすると前奏曲で、だいたい漢字通りの意味。フーガは遁走曲や追走曲と訳される。遁走(とんそう)は逃げることで逃走の古い言い方。対して追走は走って追うことである。逃げると追いかけるでは意味が正反対だが、同じ行為を違う立場から表現したといえる。

そのフーガ=遁走曲・追走曲とは主題が様々に形を変えて反復される作曲の手法。同じメロディが繰り返されて逃げている、あるいは追いかけられているような印象になるからそうネーミングされたようだ。なおフーガ(fugere)の単語自体はラテン語で「逃げる」を意味している。



話は変わるが、ネットの時代になってから調べる・検索することが簡単になり、たいていの疑問はすぐに片がつくようになった。なんだけれど「これはどういうこと?そのうちに調べよう」と思って、ずっとほったらかしになっていることも多いもの。

私にとって、そのひとつが「恋のフーガ」。
これはザ・ピーナッツという双子姉妹の歌手が1967年(昭和42年)に発表した歌謡曲。その頃に小学生以上の年代ならたいていの人は知っているヒット曲となった。

どんな曲だったかなあという人でも、
冒頭のティンパニーを聴くだけで瞬時に思い出せるはず。

小柳ゆきが2003年にカバーしている。
こちらは一人二役で双子姉妹を演じるというアイデア演出。

おそらく最初は、高校生になってクラシック音楽におけるフーガの意味を知り、その時に「そういえば子供の頃に流行った、ザ・ピーナッツの恋のフーガってどういう意味だったの?」と気になったように記憶している。もちろんその頃はそう簡単に調べる手段はなかったとはいえ、それにしてもずいぶんと長く放置していたものだな(^^ゞ

エレーヌ・グリモーのバッハを聴いて、
久しぶりに恋のフーガのことを思い出したので調べてみるとーーー

  恋のフーガは、フーガの手法を用いて作曲されていない。(それは
  聴けばわかるが)

  その歌詞が「追いかけて追いかけて」で始まるので、作詞家のなかにし礼が
  追いかける、だから相手は逃げている→遁走曲・追走曲→フーガと連想して
  タイトルを付けたらしい。

  なお編曲を担当した宮川泰は当初フーガの要素を曲のアレンジに取り入れようと
  試みたが、上手くできず途中で諦めたとのこと。


というわけで私としてはすっきりしたけれど、
世間一般的には実にどうでもいい話だろうな(^^ゞ


ーーー続く

wassho at 19:50│Comments(0) ノンジャンル | 音楽、オーディオ

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