2021年08月27日
冬のソナタと恋のフーガ その2
「どんな意味かを調べようと思ったが、ずっとほったらかしになっていたもの」のひとつであった「恋のフーガ」を、バッハの平均律クラヴィーアを聴いたことをきっかけに調べたのが前回の話。
ついでに音楽用語を使ったもので気になっていた「冬のソナタ」も調べてみた。
冬のソナタはご存じ韓流ブームの火付け役となった大ヒットドラマ。韓国人の名前は言葉ではなく音のように聞こえて覚えるのが苦手な私でも、ペ・ヨンジュンとチェ・ジウはすっかり耳に馴染んでスラスラ言える。ドラマそのものは一度も見たことがないのだが(^^ゞ
それにしても冬のソナタが日本で放送されたのが2003年で、あれからそろそろ20年も経つのかあ。まさに光陰矢のごとし、歳月人を待たずである。参考までにサッカーの日韓ワールドカップ共同開催は2002年だった。
さてソナタという音楽用語は、フーガと較べたら目や耳にする機会は多いと思うが、その意味を明確に答えられる人はクラシック音楽好きでも少ないかも知れない。もっとも意味を知らなくても特に困らない言葉ではある。
語源はイタリア語で「楽器によって演奏された曲」という意味らしい。なんじゃそりゃと思ってしまうが、対義語は歌が入った曲のカンカータ。昔(中世ヨーロッパ)は音楽といえばカンカータで、歌がなくて楽器だけの曲は少なかったので区別する必要があったようだ。
そしてソナタの意味合いは時代によって変化していく。面倒なのでそれは省略して、
現在の使われ方は主に2つ。
<その1>
楽器の独奏または二重奏という意味。
これが他の分野では見られない曖昧な言葉の使い方なのである。まずピアノソナタという場合はビアノの独奏を指す。しかしピアノ以外の楽器、例えばヴァイオリンソナタやチェロソナタでは独奏ではなくピアノの伴奏が付く。独奏と二重奏をソナタというひとつの単語にまとめるなよと思うが、なぜか音楽界ではそういうことになっている。
ちなみに少数だがピアノの伴奏が付かないものもあって、その場合は「無伴奏バイオリンソナタ」などと表記して区別される。ただしピアノは他の楽器を伴わないのに、そのことを無伴奏ピアノソナタとはいわない。
なおピアノの伴奏と書いたが、ピアノはメインの楽器とほぼ同格に扱われている場合が多く、そういう点からは二重奏といったほうがしっくりくる。作曲家によっては例えばヴァイオリンソナタのことを「ヴァイオリンとピアノのためのソナタ」などと表記することもある。
〇〇〇ソナタというタイトルの付いている曲はピアノソナタが断トツに多くて、次いでヴァイオリンソナタ、チェロソナタの順。他にはヴィオラ、フルート、クラリネットなど。ただし上位の3楽器と較べると数はかなり少ない。またトランペットやコントラバスのソナタもあるらしいが、まだ聴いたことがない。
<その2>
作曲の形式のひとつ。
定義的には「ソナタ形式を含む組曲がソナタ」と文章が二重になってややこしい。
このうちのソナタ形式とは曲の構成が提示部、展開部、再現部の3パートに分かれた形式。内容は異なるが文章でいうところの起承転結みたいなもの。これによって音楽にストーリー性を持たせることができる。そして組曲とは曲が第1楽章、第2楽章ーーーといくつかに分かれていること。
ということでどこかの楽章がソナタ形式で書かれていれば、
その曲はソナタということになる。
なのだけれど、〇〇〇ソナタのタイトルが付いている曲はもちろんとして、交響曲も協奏曲もその他多くのクラシック曲はこの定義に当てはまる。つまりほとんどがソナタであって、逆にいえばソナタという言葉は特に使う意味を持たないともいえる。
さて例によって前置きが長くなったが本題の冬のソナタ。
恋のフーガは作曲手法のフーガとは関係がなく、いわば言葉遊びのように付けられたタイトルだったが、こちらのソナタの意図は?
結論から書くと恋のフーガ以上に、
音楽用語のソナタとの関係がまったくなかったw(゚o゚)w
こんなことを気にするヤツはあまりいないようで、あまり資料が見つからなかったが、とりあえずウィキペディアによれば、冬のソナタの韓国語原題を直訳すると「冬の恋歌」となる。中国語圏では「冬季戀歌」とそのまま翻訳されたタイトルが使われている。
しかし「恋歌」という単語は日本語ではあまり使わないし、響きとして古くさい印象もある。それで意訳するなら「冬のラブソング」となるが、それだとドラマのイメージやストーリーと合わないということでソナタという言葉が採用されたらしい。
つまりソナタにはまったく意味がないというか、タイトルの意味を曖昧にするために選ばれた飾り言葉のようである。カタカナで音楽用語で、何となくおしゃれな感じになることを狙っただけだろう。ソナタとはカンカータの対義語で歌を伴わない器楽曲、つまり「恋歌」とは相容れないなんて知識あるいは配慮はもちろんなかったと思われる。
というわけで調べて損したレベルの結論(^^ゞ
おしまい
ついでに音楽用語を使ったもので気になっていた「冬のソナタ」も調べてみた。
冬のソナタはご存じ韓流ブームの火付け役となった大ヒットドラマ。韓国人の名前は言葉ではなく音のように聞こえて覚えるのが苦手な私でも、ペ・ヨンジュンとチェ・ジウはすっかり耳に馴染んでスラスラ言える。ドラマそのものは一度も見たことがないのだが(^^ゞ
それにしても冬のソナタが日本で放送されたのが2003年で、あれからそろそろ20年も経つのかあ。まさに光陰矢のごとし、歳月人を待たずである。参考までにサッカーの日韓ワールドカップ共同開催は2002年だった。
さてソナタという音楽用語は、フーガと較べたら目や耳にする機会は多いと思うが、その意味を明確に答えられる人はクラシック音楽好きでも少ないかも知れない。もっとも意味を知らなくても特に困らない言葉ではある。
語源はイタリア語で「楽器によって演奏された曲」という意味らしい。なんじゃそりゃと思ってしまうが、対義語は歌が入った曲のカンカータ。昔(中世ヨーロッパ)は音楽といえばカンカータで、歌がなくて楽器だけの曲は少なかったので区別する必要があったようだ。
そしてソナタの意味合いは時代によって変化していく。面倒なのでそれは省略して、
現在の使われ方は主に2つ。
<その1>
楽器の独奏または二重奏という意味。
これが他の分野では見られない曖昧な言葉の使い方なのである。まずピアノソナタという場合はビアノの独奏を指す。しかしピアノ以外の楽器、例えばヴァイオリンソナタやチェロソナタでは独奏ではなくピアノの伴奏が付く。独奏と二重奏をソナタというひとつの単語にまとめるなよと思うが、なぜか音楽界ではそういうことになっている。
ちなみに少数だがピアノの伴奏が付かないものもあって、その場合は「無伴奏バイオリンソナタ」などと表記して区別される。ただしピアノは他の楽器を伴わないのに、そのことを無伴奏ピアノソナタとはいわない。
なおピアノの伴奏と書いたが、ピアノはメインの楽器とほぼ同格に扱われている場合が多く、そういう点からは二重奏といったほうがしっくりくる。作曲家によっては例えばヴァイオリンソナタのことを「ヴァイオリンとピアノのためのソナタ」などと表記することもある。
〇〇〇ソナタというタイトルの付いている曲はピアノソナタが断トツに多くて、次いでヴァイオリンソナタ、チェロソナタの順。他にはヴィオラ、フルート、クラリネットなど。ただし上位の3楽器と較べると数はかなり少ない。またトランペットやコントラバスのソナタもあるらしいが、まだ聴いたことがない。
<その2>
作曲の形式のひとつ。
定義的には「ソナタ形式を含む組曲がソナタ」と文章が二重になってややこしい。
このうちのソナタ形式とは曲の構成が提示部、展開部、再現部の3パートに分かれた形式。内容は異なるが文章でいうところの起承転結みたいなもの。これによって音楽にストーリー性を持たせることができる。そして組曲とは曲が第1楽章、第2楽章ーーーといくつかに分かれていること。
ということでどこかの楽章がソナタ形式で書かれていれば、
その曲はソナタということになる。
なのだけれど、〇〇〇ソナタのタイトルが付いている曲はもちろんとして、交響曲も協奏曲もその他多くのクラシック曲はこの定義に当てはまる。つまりほとんどがソナタであって、逆にいえばソナタという言葉は特に使う意味を持たないともいえる。
さて例によって前置きが長くなったが本題の冬のソナタ。
恋のフーガは作曲手法のフーガとは関係がなく、いわば言葉遊びのように付けられたタイトルだったが、こちらのソナタの意図は?
結論から書くと恋のフーガ以上に、
音楽用語のソナタとの関係がまったくなかったw(゚o゚)w
こんなことを気にするヤツはあまりいないようで、あまり資料が見つからなかったが、とりあえずウィキペディアによれば、冬のソナタの韓国語原題を直訳すると「冬の恋歌」となる。中国語圏では「冬季戀歌」とそのまま翻訳されたタイトルが使われている。
しかし「恋歌」という単語は日本語ではあまり使わないし、響きとして古くさい印象もある。それで意訳するなら「冬のラブソング」となるが、それだとドラマのイメージやストーリーと合わないということでソナタという言葉が採用されたらしい。
つまりソナタにはまったく意味がないというか、タイトルの意味を曖昧にするために選ばれた飾り言葉のようである。カタカナで音楽用語で、何となくおしゃれな感じになることを狙っただけだろう。ソナタとはカンカータの対義語で歌を伴わない器楽曲、つまり「恋歌」とは相容れないなんて知識あるいは配慮はもちろんなかったと思われる。
というわけで調べて損したレベルの結論(^^ゞ
おしまい