2021年10月15日

ゴッホ展 響きあう魂 ヘレーネとフィンセント その5

さていよいよオランダ時代のゴッホ。展覧会では素描と油絵にコーナーが分けられていた。画家になったとはいえ、この時代のゴッホはまだ駆け出しで修行中みたいなものだから、素描が数多く残っているのだろう。

ところで1人の画家に焦点を当てる展覧会はたいてい回顧展になる。つまりその人のキャリアの初期から末期までの作品を順に並べるような構成。作品というか画風の移り変わりを眺める楽しみはあるが、誰だって最初はレベルが低いわけで、初期の作品に資料的価値はあっても美術的価値(金銭的価値とは別ね)があるとは限らない。画家は練習で描いたものを(たいていは死んだ後に)人目にさらされてどんな気持ちになるのだろう。私なら終活で処分しておきたい(^^ゞ


「刈り込んだ柳のある道」 1881年

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「砂地の木の根」 1882年

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「スヘーフェニンゲンの魚干し小屋」 1882年

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ほらね、ゴッホだと言われなきゃ見る気にもならないでしょ(^^ゞ

ちなみにこのコーナーのタイトルは「素描家ファン・ゴッホ、オランダ時代」となっている。素描(デッサン)と写生(スケッチ)の定義は、わかったようでわからない違いなのだが、何となく風景をデッサンというのには違和感があるかな。


モデルを雇うお金がなかったので、
素人にお小遣い程度を渡して描いたものもたくさん残っている。

「コーヒーを飲む老人」 1882年

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「祈り」 1882年〜1883年

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「鍋を洗う農婦」 1885年

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そしてオランダ時代の末期1885年に、ゴッホは初の本格的作品とされる「ジャガイモを食べる人々」を描く。ゴッホの歴史をたどる時には必ず登場する有名な作品。

今回の展示作品ではないが、これがそれ。

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この作品によほど自信があったのか、多くの人に見てもらえるようにゴッホはそのリトグラフ(版画)バージョンを制作する。それが展示されていたこちら。素描とはいえないが、モノクロだからこちらのコーナーなのか。

「ジャガイモを食べる人々」 1885年

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微妙に人物の描き方が違っているのはいいとしても、画面の左右が反転している。これは版画の刷り上がりは左右反転するのに、ゴッホが油絵と同じ人物配置で描いたから。ワザとなのか、刷り終わってから「やってもうた!」と思ったのかどちらだろう。



次はオランダ時代の油絵コーナー。
タイトルは「画家ファン・ゴッホ、オランダ時代」。

「麦わら帽子のある静物」 1881年

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「森のはずれ」 1883年

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「織機と織工」 1884年

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「女の顔」 1884年〜1885年

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「白い帽子を被った女の顔」 1884年〜1885年

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「テーブルに着く女」 1885年

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「リンゴとカボチャのある静物」 1885年

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ひたすらゴッホの陰キャな性格が伝わってくる作品が並ぶ。
ゴッホらしい線の太さは感じられるものの、これがあの色彩が爆発するような絵を描いた画家だと思うのは難しい。またこの時期があったからこそ、後の有名な作品の数々が生まれたという気もしない。

結論としてはヨウワカラン(^^ゞ


ーーー続く

wassho at 21:10│Comments(0) 美術展 

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