2021年10月21日
鮭とサーモン
ゴッホ展の話は1回お休み。
タマネギの食べるところ(丸い部分)が植物学的に葉であることにビックリしたら、その葉は球根だというドンデン返しがあったと少し前に書いた。今回も似たような話。 つい最近に高校生向けの番組で知った。
それは鮭(サケ)とサーモンは、日本語と英語の違いではなく
サカナとして別物ということ。
もちろん鮭は英語でサーモンであり語学的に両者は同じサカナ。しかし日本の食品業界においては鮭とサーモンの意味・定義を使い分けているということらしい。
1番のポイントは
鮭=天然物=加熱しないと食べられない
サーモン=養殖物=生で食べられる、というか生で食べるために養殖
という区別。
天然の鮭で生食が不可なのはアニサキスという寄生虫を避けるため。サバやアジの刺身を食べてアニサキスによる食中毒になった話はたまに聞くから、生食不可とされる鮭には寄生している確率がよほど高いのだろう。
そのアニサキスは天然の場合、エサとしているオキアミに寄生しているという食物連鎖で鮭の体内に入る。だからアニサキスを含まないエサを与えた養殖のサーモンは生で食べられるという理屈。
話はそれるが、アニサキスにアタると激痛が走りのたうち回るらしい。しかしアニサキスに寄生されているサカナが痛がったり弱ったりするという話は聞かない。なんとなく共存しているイメージ。クジラなんてオキアミを超大量に飲み込むのに。どうして人間だけ?
鮭とサーモンの違いに話を戻すと、天然と養殖だけでなく、実はサカナとしても微妙に違う。鮭は川で産卵するものの基本的には海で生息している海水魚。対して(日本食品業界でいう)サーモンは川に生息する淡水魚いわゆる川魚。一般的に言うなら鱒(マス)の仲間。鱒なら英語でトラウトになる。
なんだけど鮭と鱒は生物学の分類上で、はっきりとした区別がないから話がややこしい。例を挙げると焼き魚にして食べることの多い白鮭と、川で釣れるニジマスを較べると
サケ目:サケ科:タイヘイヨウサケ属のシロザケという種
サケ目:サケ科:タイヘイヨウサケ属のニジマスという種
といった具合。品種改良したサーモントラウトという種類まであるらしい。つまりサーモンは鮭じゃなくて鱒なんだけれど、鮭と鱒は似たようなものだから、英語的に表記するのにトラウトじゃなくてサーモンでも間違いじゃないということみたい。ついてこれる? まあ鮭はシャケとも読んで元から名前がややこしいサカナ。
この(日本食品業界でいう)サーモンは1986年(昭和61年)に、その養殖が盛んだったノルウェーから輸入されたのが日本で広まったきっかけ。マーケティング戦略としてマグロが独占している高価格帯の生魚マーケットを狙い、切り身マーケットの鮭との差別化を図るために「サーモン」という呼び名を用いたとされる。とはいえマグロより価格は安いから、当時ブームを迎えつつあった回転寿司をターゲットとして販路を広げていったという。
たぶんその頃だったと思うが「日本と違って外国の水産業は進んでいる。ノルウェーの輸出業者なんて商談の際に色見本(いわゆるカラーチップ)を見せて、エサの配合で客の希望する色にサーモンを仕上げてくる」とか聞いて驚いた記憶がある。
それから約35年。マルハニチロが今年3月に発表した調査結果によると、回転寿司でよく食べるネタのランキングでサーモンは10年連続で1位を獲得している。刺身としても定着し人気も高い。お見事なマーケティングだったといえる。

だけれども私、焼き鮭や鮭フライは大好きなのに、生のサーモンはあまり好きじゃない。何となくヌルーとした感じが苦手。お刺身盛り合わせにはたいていサーモンが入っているのを、いつもケシカランと思っている(^^ゞ
タマネギの食べるところ(丸い部分)が植物学的に葉であることにビックリしたら、その葉は球根だというドンデン返しがあったと少し前に書いた。今回も似たような話。 つい最近に高校生向けの番組で知った。
それは鮭(サケ)とサーモンは、日本語と英語の違いではなく
サカナとして別物ということ。
もちろん鮭は英語でサーモンであり語学的に両者は同じサカナ。しかし日本の食品業界においては鮭とサーモンの意味・定義を使い分けているということらしい。
1番のポイントは
鮭=天然物=加熱しないと食べられない
サーモン=養殖物=生で食べられる、というか生で食べるために養殖
という区別。
天然の鮭で生食が不可なのはアニサキスという寄生虫を避けるため。サバやアジの刺身を食べてアニサキスによる食中毒になった話はたまに聞くから、生食不可とされる鮭には寄生している確率がよほど高いのだろう。
そのアニサキスは天然の場合、エサとしているオキアミに寄生しているという食物連鎖で鮭の体内に入る。だからアニサキスを含まないエサを与えた養殖のサーモンは生で食べられるという理屈。
話はそれるが、アニサキスにアタると激痛が走りのたうち回るらしい。しかしアニサキスに寄生されているサカナが痛がったり弱ったりするという話は聞かない。なんとなく共存しているイメージ。クジラなんてオキアミを超大量に飲み込むのに。どうして人間だけ?
鮭とサーモンの違いに話を戻すと、天然と養殖だけでなく、実はサカナとしても微妙に違う。鮭は川で産卵するものの基本的には海で生息している海水魚。対して(日本食品業界でいう)サーモンは川に生息する淡水魚いわゆる川魚。一般的に言うなら鱒(マス)の仲間。鱒なら英語でトラウトになる。
なんだけど鮭と鱒は生物学の分類上で、はっきりとした区別がないから話がややこしい。例を挙げると焼き魚にして食べることの多い白鮭と、川で釣れるニジマスを較べると
サケ目:サケ科:タイヘイヨウサケ属のシロザケという種
サケ目:サケ科:タイヘイヨウサケ属のニジマスという種
といった具合。品種改良したサーモントラウトという種類まであるらしい。つまりサーモンは鮭じゃなくて鱒なんだけれど、鮭と鱒は似たようなものだから、英語的に表記するのにトラウトじゃなくてサーモンでも間違いじゃないということみたい。ついてこれる? まあ鮭はシャケとも読んで元から名前がややこしいサカナ。
この(日本食品業界でいう)サーモンは1986年(昭和61年)に、その養殖が盛んだったノルウェーから輸入されたのが日本で広まったきっかけ。マーケティング戦略としてマグロが独占している高価格帯の生魚マーケットを狙い、切り身マーケットの鮭との差別化を図るために「サーモン」という呼び名を用いたとされる。とはいえマグロより価格は安いから、当時ブームを迎えつつあった回転寿司をターゲットとして販路を広げていったという。
たぶんその頃だったと思うが「日本と違って外国の水産業は進んでいる。ノルウェーの輸出業者なんて商談の際に色見本(いわゆるカラーチップ)を見せて、エサの配合で客の希望する色にサーモンを仕上げてくる」とか聞いて驚いた記憶がある。
それから約35年。マルハニチロが今年3月に発表した調査結果によると、回転寿司でよく食べるネタのランキングでサーモンは10年連続で1位を獲得している。刺身としても定着し人気も高い。お見事なマーケティングだったといえる。

だけれども私、焼き鮭や鮭フライは大好きなのに、生のサーモンはあまり好きじゃない。何となくヌルーとした感じが苦手。お刺身盛り合わせにはたいていサーモンが入っているのを、いつもケシカランと思っている(^^ゞ