2021年11月01日

さよならタワレコ その2

前回に書いた6月に起きたストリーミング業界の大きな変化とは、Appleミュージックがハイレゾでの配信を始めたこと。ハイレゾなんて今じゃ珍しくもないので、そこにAppleが参入しても何の不思議もないように思われるが、多少この分野の歴史を知っていれば「へぇ〜」と思う出来事ではあったのだ。

apple_logo

携帯できるポータブルプレーヤーを発明したのはSONY。それを(その音源を)デジタル化して現在のようなスタイルに変えたのはAppleである。2001年にCDをMacに取り込んで管理・再生できるiTunesというソフトをリリースし、同時にそのiTunesと連携した携帯プレーヤーであるiPodを発売する。もっともここまでなら手を出したかどうかは別として、どこのパソコンや家電メーカーでも考えはしたはず。

この当時にiPodで音楽を聴くには音源を取り込むためのCDが必要だった。それが一変したのが2003年(日本では2005年)。AppleはiTunesから音楽をダウンロードして購入できるサービスを始める。これが音楽産業のビジネスモデルを大きく変えるいわゆるゲームチェンジャーだったのはいうまでもない。世の中の仕組みを変えるのは大きな軋轢を生むもの。こんな肝の据わったマーケティングは、他のパソコンや家電メーカーは夢の中でも考えなかったに違いない。

話はそれるが町の本屋が減っている話はよく聞くが、
町のレコード屋なんてもうほとんど絶滅して話題にもならないね。


やがて音楽のデジタル販売はダウンロードからストリーミングへ移行していく。先発企業であるSpotifyのサービス開始が2008年。Appleの参入が2015年と遅れたのはダウンロード販売の成功体験に縛られていたからだろう。いずれにしても「驕る平家は久しからず」で、CDを駆逐したダウンロード販売を今度はストリーミングが駆逐した。米国では既に音楽売り上げの85%をストリーミングが占め、ダウンロード販売はわずか6%に過ぎない。Appleも2019年からiTunesをMacに搭載しなくなった。


さて録音とは電気的にはアナログな信号な訳で、
CDではそれをサンプリング周波数44.1kHz、量子化ビット数16bitでデジタル化している。
これは

  1秒間を44,100回(44.1kHz)に分割して
  その間の音量変化を65,536段階(16bit=2の16乗)

で記録するという意味。

この規格で制作したCDは最大で700MB(メガバイト)の容量となる。700MBものサイズはネットで扱うには大きすぎるので、聴覚的に影響のない範囲で間引いて圧縮する技術が用いられた。この「聴覚的に影響のない範囲」というのがくせ者。人によっては音質の低下をを聞き分けられるし、心理的に音質が悪化したと感じる人もいる。でもデジタルミュージックのビジネスモデルを切り開いてきたAppleは「最高の音質」と謳ってきたわけ。

そして2014年あたりから広まり始めたのがハイレゾ。ハイレゾとはHigh(ハイ:高い)Resolution(レゾリューション:解像度)の略で、具体的にはCDの44.1kHz・16bitより高い解像度でデジタル化した音源を指す。当然(原理的に)音はよくなる。

厳密には違うのだがCDの規格を標準として、(CD規格を含んで)それより低ければローレゾ、高いものをハイレゾと考えていいだろう。数年前よりハイレゾはかなり普及している。しかしローレゾを「最高の音質」と提供してきたAppleは、まるでそれを拒むかのように対応してこなかった。そして今年の6月にようやくーーーだから「へぇ〜」と思ったわけ。

それにしてもパソコンメーカーだったAppleが、ダウンロード販売で音楽産業に進出した2003年の鮮やかさと較べて、ストリーミングへの移行は2015年と7年ほど遅れるし、ハイレゾ対応だって数年遅い。やっぱりジョブズが亡くなって以降は(2011年)切れ味悪くなった?


ところで「さよならタワレコ」というタイトルなのに、投稿2回目にして、まだタワレコのタの字も出てこない(^^ゞ 話も本筋からだいぶ離れてしまったm(_ _)m 思いつきでツラツラ書くブログなのでご勘弁を。



ーーー続く

wassho at 22:49│Comments(0) 音楽、オーディオ 

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