2022年10月10日

ポピュラー音楽の作曲家にクラシックを作曲して欲しい

以前に書いた「交響曲を各パート毎に楽器1台だけで、オーケストラを編成した演奏を聴きたい」に続くクラシック音楽業界への要望。今のところ前回を含めて4つほど思い浮かんでいる。


とりあえずこの動画(中身は静止画だけど)を聴いてみて。

これはピーター・ブレイナーという人がビートルズの Help! をバロック音楽にアレンジしたもの。アルバムでは全20曲で、ヘンデル、ヴィヴァルディ、バッハといったバロック期の代表的な作曲家のテイストが盛り込まれている。それぞれの作曲家とブレイナー自身を Let it be のアルバム・ジャケットに模しているのも面白い。

この演奏はバロック音楽としてまったく違和感がない。クラシックをある程度聴いている人なら、これはナンチャッテ・バロックではなくて本格的に編曲されているのが分かると思う。

違う演奏団体でのコンサート風景。最初の曲は何か分からないが、開始1分45秒後からの2曲目は Michelle(ミッシェル) 。Beatles Concerto Grosso あるいは Beatles Go Baroque で検索すればたくさん見つかる。


さてクラシック音楽はバロックの時代から、モーツァルトやベートーヴェンが活躍した古典派を経て、ロマン派、印象主義、新古典主義などにつながっていく。20世紀になってからのものは近代音楽、現代音楽なんて「クラシック」と矛盾した名前。その変遷の大きな方向性を一言でいえば時代が下がるにつれて、だんだんと音楽が複雑になる歴史。難しくなってくると言い換えてもいい。

そうなった理由はメロディー、ハーモニー、リズムの音楽3要素のうち、ハーモニーいわゆる和音の使い方に凝り出すから。古典派の時代にはなかった和音を作り出すことで、新しい音の世界が開けたのは進歩だが、そのうちに変わった和音を使うのが目的化してくる。やがて不協和音なんてのも使われ出す。そして和音や曲の構成に力が注がれる一方で、メロディーの比重が下がってくる。だからメロディーが平凡なクラシックは意外と多い。

それにしても、こんなことを言い切れるのは、クラシック音楽についてほとんど専門的な知識がない者の特権だろうな(^^ゞ だからそのつもりで読んでね。


話は変わってポピュラー音楽(J-POPでもロックでも歌謡曲でも、いわゆる流行り物系の音楽)の作曲家にとってはメロディーが最も大切。いかに心に響く、印象に残るメロディーを生み出すかにしのぎを削っている(打ち込み主体の音楽になって少し変わってきたような気もするが)。平均すればポピュラー音楽作曲家のメロディー創作能力は、クラシック音楽作曲家のそれを上回っているのではないか(特権再活用!)。

ということでポピュラー音楽作曲家の皆さんには、是非ともクラシック音楽の分野に進出して欲しいのである。もちろん従来と較べて長い曲になるから労働時間は増えるし、またアンサンブルならともかく、オーケストラ曲を作曲するのは能力・技術的に難しい話だろう。そしてたいして儲からない(^^ゞ でも500年後に名前を残せるのはクラシックですぞ。


残り2つの要望はいずれそのうち。

wassho at 18:37│Comments(0) 音楽、オーディオ 

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