2022年10月15日
句読点がカンマだったりテンでバラバラ
「横書きで読点の代わりにカンマを使うのは国の指導だったので菅前総理の米国大統領宛祝電ツイートに外務省の代筆疑惑が持たれている」
文がこんなに長いと実に読みにくい。
それを解消するのが読点。通称「てん」。
横書きで読点の代わりにカンマを使うのは、国の指導だったので、
菅元総理の米国大統領宛祝電ツイートに、外務省の代筆疑惑が持たれている。
これでスッキリした。
そして読点とセットで使われ、文の終わりに付けるのが句点。通称「まる」。
読点は「とうてん」と読む。だから両方併せた総称の句読点は「くとうてん」。でも「読」を「とう」と発音する言葉は滅多にないから「どくてん」「くどくてん」と読みがち。また読み方も難しい上に、文の流れ的には「てん」「まる」の順なのに「句読」とそれが逆になっているし、さらに「読点」より「句点」のほうが何となくイメージが軽くて「てん」の意味に似合っているから、この言葉は意味的にもややこしい日本語。
ところで読点「、」の代わりに英語のカンマ「,」を使う人がたまにいる。
先ほどの文を例にするとこんな感じ。
横書きで読点の代わりにカンマを使うのは,国の指導だったので,
菅前総理の米国大統領宛祝電ツイートに,外務省の代筆疑惑が持たれている。
私の経験ではカンマを使うのは役人、弁護士、理系の仕事をしている人に多い。もっともそれらの分野に属する人でカンマを使わない人もいるから、業界の慣例よりも単にその人の癖だと思っていた。(なお理系の人は読点をカンマにするだけでなく、句点の代わりにピリオド「.」も使う)
でも実はそうじゃなかったというお話。
それを知ったきっかけは1ヶ月ほど前に報じられた、京都市で「条例の読点表記を改める条例案」が可決されたとのニュース。
あれこれの情報を総合すると、カンマが使われたいきさつは次のようだ。
1952年(昭和27年)に時の吉田内閣が公用文の表記改善を目的とした「公用文作成の要領」を各省庁に通達(指示したとの意味)。その中で文書は横書きにする、そして横書き文書の読点は「、」ではなくカンマの「,」を用いると定められた。
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中央省庁だけでなく、裁判所や地方自治体もそれに倣う。
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当時はまだ横書き文書は少なかったものの、だんだんとそれが一般的になると、どうして「、」ではなく「,」なのだと疑問の声が大きくなる。
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しかし、なんとこの通達は今年の1月11日まで有効だった。
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そして今年の1月11日に改訂版ともいえる「公用文作成の考え方」が、内閣官房長官から各国務大臣に宛てて通知される(これにより「公用文作成の要領」は同日付で廃止され効力を失う)。
この改訂で読点は「、」と改訂された。
ただし横書きの場合は「,」を用いてよいともされている。
なお「,」と「、」の混在はダメ。
というわけでカンマ問題はめでたく解決ーーーとはならなかった(/o\)
地方自治体の中には「公用文作成の要領」を受け、さらに強化して横書きにカンマを用いるのを条例で定めたところもあったから。前述の京都市も1960年に「,」を義務化する条例を制定しており、それに違反せずに「、」を使うには条例の改正が必用だったというのがニュースの内容。ちょっと滑稽。
それにしても「公用文作成の要領」では、なぜ横書きで「,」を使うと定めたのだろう。しかも句点はピリオドではなく「。」と日英混在。まさに謎ルールとしかいいようがない。
その理由について記録は残っていないようだが、一説によると印刷に使う活字や、同じく活字を使う和文タイプライターの使い勝手を考えてだと言われている。
ーーー続く
冒頭で唐突に菅前総理が登場するが、彼の話が出てくるのは次の次の予定。
ネタ振りに使ってゴメンね、スガちゃん(^^ゞ
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