2023年07月27日
処理水・汚染水とニーチェ
福島第一原子力発電所にある放射性物質を含む水を海に放出する問題。
それなりに報道されているからご存じかとと思う。
原発事故によって汚染された水(現在も核燃料を水で冷やしており、
また原子炉周辺に流れ込む地下水や雨水も含む)
↓
まず放射性物質であるセシウムを除去
↓
次にセシウム以外の62種類の放射性物質を除去
この浄化設備が多核種除去設備=ALPS:advanced liquid processing system
これによって浄化された水を ALPS処理水と呼ぶ
↓
ただしALPSでも放射性物質トリチウムは除去できない
報道では放出の是非が焦点なので、案外このプロセスは知られていない。そのトリチウムが含まれているALPS処理水が貯蔵の限界に達してきた(もう原発敷地に貯蔵タンクを増やせない)ので、希釈してトリチウム濃度を下げてから海に流そうとしているのが今回の問題。
こんな写真を見せられると、
確かに事態は切迫しているように思える。画像はhttps://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20190924/se1/00m/020/057000cから引用
でも福島第一原発は田舎なので、
周りに土地はいくらでもあるけど。
それはさておきタンクの容量は137万トンであり、現在134万トンほどが貯まっているらしい。ところでどうして水の容量をトンで表すかなあ。水の単位はリットルやろ。
というわけで水1リットルを1kgとして換算すると
137万トン=137万立方メートル=13億7000万リットル
まあ137万トンといわれても13億7000万リットルでも、
まったくピンとこないのは同じだった(^^ゞ
ちなみに25mプールの容量は約50万リットルなので
13億7000万リットル ÷ 50万リットル =プール2740杯分
となる。また面積の単位としてよく使われる東京ドーム(4.7ヘクタール)の容積は124万立方メートルだから、東京ドーム1杯分ちょっとの水が蓄えられている計算。
先ほどの航空写真に東京ドームを同じ縮尺で貼り付けるとこんなイメージ。
この海洋放出について特に意見を持っているわけではない。というか放射性物質について一般常識的な知識しかないので、是非を問われても答えられない。トップレベルの専門家を抱えていて、それなりに信頼性・客観性があると思われる国際原子力機関(IAEA)が、安全基準を満たしていると7月4日に報告書を発表したので「まあそれなら」と思う程度。
しかしこの放射性物質を含む水について、つい最近まで
賛成派は処理水
反対派は汚染水
と呼び、お互いをネーミングによる印象操作だと非難し合っていた。放射性物質が含まれているから汚染されていると表現しても間違いではないし、正確には放出するのは「希釈したALPS処理水」だけれど、人体・環境に影響のないレベルに下げたものを処理水と呼ぶのも妥当。
こんな言い争いを見る度に、
19世紀の哲学者ニーチェの言葉を思い出す。
事実と真実については「事実が明らかになった」「真実が暴かれた」と真実の方が大げさに表現される場合がある。また事実は単に事実で、真実は「真」の文字がついているから「本当の本当」的なニュアンスで理解している人も多い。ただし国語的には
事実:現実に起きた、存在すること
真実:嘘や偽りのないこと
ーーーであるから事実は揺らぎようがないのに対して、真実は人によって見方が変わる。だから「本当の本当」は事実のほう。もっとも事実と異なる真実が必ずしも嘘でないのがややこしいし、人の数だけ真実はあると言われたりする。
ニーチェは事実ですら解釈の違いに左右されると見抜いたのか、あるいは彼の言う事実は真実を意味しているのか? いちおう原文に当たると使われている単語は tatsachen で辞書で引くと“事実”、またドイツ語の真実は wahrheitだった。ただし哲学にはまったく詳しくなく、単に「名言として」これを知っていただけだからよく分からない。でも真実が解釈によって違うのは当たり前だから、前者すなわち事実で間違いないだろう。
そう考えると含蓄の深い言葉である。それが当てはまる経験は今までに多数。また相手が何を事実として主張しているかによって見えてくるものもある。意外と哲学は仕事や生活でも役に立つもの。
ただ哲学書を読むのは面倒なので、誰か「すぐ役に立つ哲学エッセンス100選」みたいな本を書いてくれないかなあ(^^ゞ
ーーー続く
それなりに報道されているからご存じかとと思う。
原発事故によって汚染された水(現在も核燃料を水で冷やしており、
また原子炉周辺に流れ込む地下水や雨水も含む)
↓
まず放射性物質であるセシウムを除去
↓
次にセシウム以外の62種類の放射性物質を除去
この浄化設備が多核種除去設備=ALPS:advanced liquid processing system
これによって浄化された水を ALPS処理水と呼ぶ
↓
ただしALPSでも放射性物質トリチウムは除去できない
報道では放出の是非が焦点なので、案外このプロセスは知られていない。そのトリチウムが含まれているALPS処理水が貯蔵の限界に達してきた(もう原発敷地に貯蔵タンクを増やせない)ので、希釈してトリチウム濃度を下げてから海に流そうとしているのが今回の問題。
こんな写真を見せられると、
確かに事態は切迫しているように思える。画像はhttps://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20190924/se1/00m/020/057000cから引用
でも福島第一原発は田舎なので、
周りに土地はいくらでもあるけど。
それはさておきタンクの容量は137万トンであり、現在134万トンほどが貯まっているらしい。ところでどうして水の容量をトンで表すかなあ。水の単位はリットルやろ。
というわけで水1リットルを1kgとして換算すると
137万トン=137万立方メートル=13億7000万リットル
まあ137万トンといわれても13億7000万リットルでも、
まったくピンとこないのは同じだった(^^ゞ
ちなみに25mプールの容量は約50万リットルなので
13億7000万リットル ÷ 50万リットル =プール2740杯分
となる。また面積の単位としてよく使われる東京ドーム(4.7ヘクタール)の容積は124万立方メートルだから、東京ドーム1杯分ちょっとの水が蓄えられている計算。
先ほどの航空写真に東京ドームを同じ縮尺で貼り付けるとこんなイメージ。
この海洋放出について特に意見を持っているわけではない。というか放射性物質について一般常識的な知識しかないので、是非を問われても答えられない。トップレベルの専門家を抱えていて、それなりに信頼性・客観性があると思われる国際原子力機関(IAEA)が、安全基準を満たしていると7月4日に報告書を発表したので「まあそれなら」と思う程度。
しかしこの放射性物質を含む水について、つい最近まで
賛成派は処理水
反対派は汚染水
と呼び、お互いをネーミングによる印象操作だと非難し合っていた。放射性物質が含まれているから汚染されていると表現しても間違いではないし、正確には放出するのは「希釈したALPS処理水」だけれど、人体・環境に影響のないレベルに下げたものを処理水と呼ぶのも妥当。
こんな言い争いを見る度に、
19世紀の哲学者ニーチェの言葉を思い出す。
事実と真実については「事実が明らかになった」「真実が暴かれた」と真実の方が大げさに表現される場合がある。また事実は単に事実で、真実は「真」の文字がついているから「本当の本当」的なニュアンスで理解している人も多い。ただし国語的には
事実:現実に起きた、存在すること
真実:嘘や偽りのないこと
ーーーであるから事実は揺らぎようがないのに対して、真実は人によって見方が変わる。だから「本当の本当」は事実のほう。もっとも事実と異なる真実が必ずしも嘘でないのがややこしいし、人の数だけ真実はあると言われたりする。
ニーチェは事実ですら解釈の違いに左右されると見抜いたのか、あるいは彼の言う事実は真実を意味しているのか? いちおう原文に当たると使われている単語は tatsachen で辞書で引くと“事実”、またドイツ語の真実は wahrheitだった。ただし哲学にはまったく詳しくなく、単に「名言として」これを知っていただけだからよく分からない。でも真実が解釈によって違うのは当たり前だから、前者すなわち事実で間違いないだろう。
そう考えると含蓄の深い言葉である。それが当てはまる経験は今までに多数。また相手が何を事実として主張しているかによって見えてくるものもある。意外と哲学は仕事や生活でも役に立つもの。
ただ哲学書を読むのは面倒なので、誰か「すぐ役に立つ哲学エッセンス100選」みたいな本を書いてくれないかなあ(^^ゞ
ーーー続く
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