2023年09月11日

気象庁と米軍の台風進路予想 その2

後半はタイトルと関係ない話になっているけれど、
まあいつものことと大目に見ていただければm(_ _)m



ところで日本の風速の単位は毎秒メートル。そんな表現ではピンとこない話は以前にも書いた。例えば風速30mだと

   30m×60秒×60分=108,000
   メートルをキロメートルにするために1000で割って時速108km

この方が絶対に理解しやすいのに、
どうして毎秒メートルにするのか不思議。

ご存じのようにアメリカは長さはインチ/フィート/ヤード/マイル、重さはオンス/ポンド、温度に至ってはファーレンハイトとグローバルスタンダードを無視している国。そして距離と速度について通常はマイル・毎時マイルなのになぜか台風はノットを使う。海上にいる割合が多いから船と同じと見なしたのか? ただし秒速ではなく時速。そこだけは評価したいところであるが、ノットは1時間に1海里(1852メートル)を進む単位なので分速や秒速の概念はないみたい。

ところでノットと聞くと船のスピードをイメージするが飛行機でも使われる。これはアメリカに限らず世界共通。遅ればせながら先日「トップガン マーヴェリック」を観たが、戦闘機のスピードで500ノットとか600ノットなんて台詞が出てきて戸惑った。ノット=船と連想が働くからとても遅く思えてしまう。ちなみに1ノット=1.852km/hだから500ノットだと時速926kmで旅客機よりは速く飛んでいるのだが。やはり日本語字幕は時速何キロと翻訳して欲しいもの。
8トップガン


話がそれたm(_ _)m

気象庁と米軍合同台風警報センターの台風進路予想ではいろいろと違うところがある。利用者目線でもっとも違うと思うのは、強風域や暴風域の描き方。気象庁は円なのに米軍はもう少し複雑な描き方になっている。

台風によって吹く風は台風の右側で強く左側では弱い(これは台風の回転と進路による作用。長くなるので説明は省略)。米軍合同台風警報センターの図はそれを反映しているのに対して、気象庁はよく見れば円は台風を中心とした同心円ではなく右側が広くなっているものの、米軍のと較べれば大雑把な描き方。
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これもやはり予報の目的や想定ユーザーの違いだろう。米軍は航空機や船舶の運行のために予報しているし、気象庁は台風被害を少なくする防災情報として。だから気象庁の方が予報を「盛っている」ともいえる。ただしアメリカでも「普通の」天気予報でハリケーンの進路予想では円に近いものを使っているから、一般向けには気象庁式がスタンダードと思われる。
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今回の台風13号は上陸せずに熱帯低気圧に変わった。ただ台風と熱帯低気圧の差は風速が34ノット以上か未満かの違いなので、熱帯低気圧になったものが上陸して移動したはずなのに、熱帯低気圧になった途端にニュースやお天気コーナーで説明してくれないのがちょっと疑問。熱帯低気圧になったとしてもそこそこの勢力は残っているわけで、その進路の情報を必要とする人もいるはず。


また今回は台風としては収まった後に、近頃よく耳にする線状降水帯が発生したとかで大雨が続いた。ニュースをチェックすると次のような文言が並んでいる。

   千葉県茂原市で374ミリを越える観測史上最多の雨量を記録
   三宅島では観測史上最多となる1時間に122ミリの雨量を観測

表現が紛らわしいのは、これらは日本の観測史上の1位ではなく、茂原市や三宅島での観測の話。参考までに日本の過去1日降水量で最大は922.5ミリ、1時間の記録は153ミリである。今回の茂原市や三宅島の雨量は歴代20位以内にも入らない。派手に書いたほうが注目が集まるからとマスコミの確信犯的な表現だと思っている(疑り深いかな)。


話を先ほどの件に戻すと、これは前回にも載せた気象庁:8日18時、米軍合同台風警報センター:8日15時発表の予想図。
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気象庁の予報円は陸地に差し掛かったところで止まっているし、米軍の34ノット風域を示す図も次の台風位置で描かれていない。この分野の知識はないので想像でしかないものの、この時点でどちらも「台風としての」上陸はないと判断していたのだろう。

気象庁の予報円はあくまで台風の予報円なので、勢力が台風を下回れば消滅する。対して米軍のは台風から熱帯低気圧に勢力が落ちた後の進路も示している(ように思う)。そして雨の被害が甚大だったのは千葉や茨城、福島といった進路の右側エリア。もちろん気象庁は大雨の予報や警報等を出している。それでも熱帯低気圧になった後の進路も情報提供した方がわかりやすいというかリアリティが湧くような。念のためにもう一度書いておくと、これはあくまで素人の思いつきね。


ところで今回の大雨をもたらした線状降水帯とは別に、よく「台風によって前線が刺激された」との表現も聞く。その刺激って何? 空気同士でどうやって刺激するの? この意味が子供の頃から不明だった。大人になってずいぶんと年月が過ぎてしまったが(^^ゞ ようやく調べてみるとーーー

それがどうもはっきりしないのである。台風によって湿った空気が前線に吹き込まれると書かれているものもあるが、それは水分量の増加であり「刺激」しているわけじゃない。アレヤコレヤ調べると気象庁の「天気予報等で用いる用語」のページに、「前線を刺激する」は使用を控え「前線の活動が活発」に置き換えるとの説明を見つけた。やはり刺激というのは比喩的におかしな表現だったみたい。「活動が活発」も文字が被って文章的に美しくないけれど。


さて今回の台風で風はそれほど強くなかった。ただし各地で記録的な大雨が降ったわけだから雨台風と言える。そういえば昔は雨台風・風台風とよく区別していたのに、あまりその表現を聞かなくなったような。最近の大雨はハンパないから認識が変わりつつあるものの、風台風は怖い・雨台風ならちょっと安心できるようなイメージを持っている。

また雨台風か風台風かで台風への対策方法が違う地域や事業などもあるはず。だからやって来る台風が雨なのか風なのかは重要な情報。それなのにあまりアナウンスされないのは不思議だが、その理由を調べてみるとーーー

どうやら実際に台風が来るまでよく分からないらしい(^^ゞ 昔と較べると天気予報はずいぶんと進歩したのに雨か風かが分からないのはちょっと意外。気象庁の「天気予報等で用いる用語」を見ると雨台風、風台風ともに定義されているが「天気予報に使う用語」ではなく「その解説に使う用語」の分類になっていた。だから普通に天気予報を見る限り、雨台風か風台風かは知ることができない。




ーーー続く

wassho at 22:00│Comments(0) 生活、日常 

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