2023年09月13日

気象庁と米軍の台風進路予想 その3

前回にも増して
もはやタイトルとは何の関係もない内容であるが、
まあいつものことと大目に見ていただければ(^^ゞ

気象庁.svg

気象庁の「天気予報等で用いる用語」のページは案外と面白く、前回で取り上げた「前線を刺激する」と同じく使用を控えるとなっている用語をいくつか抜き出しておく。なお → が付いているのは、その言い換えとして載せられている用語。

 × 雨もよう → 雨や曇り、雨または曇り
 × 雨があがる → 雨がやむ
 × 雨天 → 雨の天気
 × ゲリラ豪雨 → 局地的大雨、集中豪雨など
 × よい天気
 × 雲の多い天気
 × 悪い天気
 × 不安定な天気
 × 荒天 → 荒れた天気
 × 暑さがぶり返す → 暑さが戻る

 × 桜前線 → 桜の開花日の等期日線
 × 入梅 → 梅雨入り
 × 警戒水位 → 氾濫注意水位
 × 危険水位 → 氾濫危険水位
 × 土砂崩れ → 山崩れ。がけ崩れ。

 × 終日 → 一日中
 × 当分 → しばらく
 × 夜明け前 → 明け方
 × 午後から夕方にかけて → 昼過ぎから夕方にかけて
 × 一晩中 → 夜通し
 × 昨晩 → ××日の夜
 × 今晩 → 今夜
 × 明朝 → あすの朝
 × 24時 → 0時

 × 爆弾低気圧 → 急速に発達する低気圧
 × 暴風圏 → 暴風域
 × 迷走台風 → 複雑な動きをする台風
 × 発達した高気圧 → 優勢な高気圧
 × 高気圧が発達する → 高気圧が勢力を強める
 × 瞬間最大風速 → 最大瞬間風速


けっこうアレッ?と思う単語も多い。
またなぜ言い換えるのか解説がついているのと、いないものがある。

12ゲリラカストロ

ゲリラ豪雨は解説なしだけれど、考えてみればゲリラと気象には何の関係もない。しかし近頃は従来の局地的大雨、集中豪雨でイメージしていたものより、はるかに大量の雨がごく短期間で降るようになってきている。それを奇襲攻撃を得意とするゲリラになぞらえたのが社会に受け入れられたわけで、昔からある局地的大雨、集中豪雨との単語に置き換えるのは言葉のセンスに欠ける。気象庁がゲリラという非学術的な用語を使いたくなければ、局地的大雨や集中豪雨より激しくて狭い範囲で短期間を表し、かつわかりやすい言葉を見つけてくるべき。

ゲリラ豪雨を誰が命名したのかは分からなかったが、一般には2008年頃からマスコミで使われるようになったとされ、また同年の流行語大賞のトップ10にも選ばれている。しかし日本大百科全書には気象界で1960年代から使われてきたと書かれていた。何だ、気象庁も内部でも使っていたんじゃないか。さらに調べると、

当時は観測や予測が難しい豪雨との意味で用いられていたようだ。どこに潜んでいるのか、いつ襲ってくるのか分からないのがゲリラだから。現在は観測網や技術が発達したのでゲリラ豪雨もある程度予測できる。それで古参でウルサ型の気象関係者は「予報の出せるゲリラ豪雨なんてゲリラ豪雨じゃない!」と言っているらしい。このあたり比喩の意味合いが時代と共に変わって興味深いところ。

気象庁がゲリラ豪雨を使用を控える用語に指定したので、NHKの天気予報などではこの言葉を使わなくなったみたい。しかし「明日は局地的大雨、集中豪雨が」より「明日はゲリラ豪雨が」と言われたほうが用心するから、使わないのならゲリラに変わる表現を早く作って欲しいもの。言葉の正しさにこだわって、天気予報の目的を忘れちゃ意味がない。


他にいくつか見ていくと、

桜前線は気象現象の前線とまったく関係なく意味も異なるから、気象庁的にはふさわしくないとの判断だろう。別に比喩だし世間に浸透しているからいいじゃないか、そんなことまで目くじら立てるのは大人げないとの気もする。しかしサクラの開花を発表するのは気象庁の業務。だから譲れなかったのかも。それにしても「桜の開花日の等期日線」じゃメデタサ感がゼロだね。

暑さがぶり返すの「ぶり返す」は「身体の発熱がぶり返す」のように悪い方向に事態が戻るのを意味する。そして暑くなるのは悪いと決めつけられないから「暑さが戻る」に言い換えたと思われる。おそらく昔から習慣的に用いてきた言葉遣いを、ある時点で国語的な正しさの観点で見直したのだろう。その意味では「天気予報等で用いる用語」のページは国語の勉強にもなる。ただし終日 → 一日中や、当分 → しばらくなどは単に感性・趣味の問題のように感じるけど。


他にもたくさん載っているし、
また解説付きのものには、なるほどと思えるものもあるから1度のぞいてみたら。

気象庁が天気予報等で用いる予報用語
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/yougo_hp/mokuji.html

なお用語には無印、△印、×印があって、無印は予報用語、△印は解説用語、×印は使用を控える用語の印。△印が「あまりよくない」との意味じゃないのに注意。



おしまい

wassho at 23:40│Comments(0) 生活、日常 

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