2023年12月11日

神宮外苑でイエローオータムと再開発計画 その2

騒がれているのは知っていても、
詳しくは把握していなかった神宮外苑の伐採問題。


そこでイエローオータムを楽しんだついでに調べてみると、まず全体計画として次の図を見つけた。従前と従後は漢字で想像が付くようにいわゆるビフォー・アフター。都市開発関係でよく使われる言葉である。図はhttps://topics.smt.docomo.ne.jp/article/bengoshi/life/bengoshi-topics-15629?redirect=1から引用
1-1従前

1-2従後


図で読み取れたのは

1)
秩父宮ラグビー場と隣のテニスクラブを取り壊し、
そこにホテルも併設する神宮球場を移転させる。

2)
テニスクラブは軟式野球場の場所に移転。
従って軟式野球場は廃止。

3)
第二球場を取り壊し、そこへ秩父宮ラグビー場を移転。
従って第二球場も廃止。

図には書かれていないゴルフ練習場、バッティングセンター、室内練習場、フットサルコートなども廃止。手つかずで残る施設はTEPIAという1989年(平成元年)に建てられた産業展示場のみ。ここは以前にボーリング場だった。

4)
こうやって廃止&玉突き式に施設を動かして、余裕ができた敷地にAとBの2棟のビルを建て商業施設も入れる。また伊藤忠のビルも建て替える。


こちらは完成予想のイラスト。
現在の伊藤忠ビルは高さ90mだから倍以上に高くなる。今でもイチョウ並木の日当たりを阻害しているのは前回に書いた。なおこの高さは空中権の取引により規制緩和されて実現されるもの(長くなるので内容は割愛)。図はhttps://www.tokyo-np.co.jp/article/172051から引用
2


何となく全貌が見えてきた。
このプランの苦しいところは軟式野球場の先に聖徳記念絵画館があって、イチョウ並木はそれにつながる参道のようなものなので、軟式野球場用地には視界を遮らないテニスコートしか作れない点だろう。
3空撮

私が意思決定者なら、聖徳記念絵画館と軟式野球場の敷地を一体にして開発するけどな。六本木ヒルズの森タワーが建ってまだ余るほどの広さがある。聖徳記念絵画館はその中に組み込めばいいし、新設の2棟のビルと伊藤忠のビルもその中に収まる。そうすれば伐採も減らせて、軟式野球場はなくなっても第二球場は残せる。


まっ意思決定者じゃないし、
それに本当に意思決定者なら根本的に違うプランを考えるから
(/_')/ソレハコッチニオイトイテ

調べてみて意外だったのは、秩父宮ラグビー場は収容人数2万5000人から大きく4割減の1万5000人になるらしい。またドーム型となり人工芝で怪我のリスクが高まるとされている。さらに詳細はわからなかったものの神宮球場の外野席も縮小。

ナンジャソレワ。
樹木伐採の前に基本のプランがポンコツのようなーーー


さて反対運動が巻き起こっている樹木伐採。

具体的には開発エリアにある高さ3メートル以上の樹木1904本のうち743本を伐採する計画。743 ÷ 1904 =4割。思っていたよりけっこうな本数。これでも当初より17%伐採を減らした数字という。

ただし別の情報源では新宿区内だけで(神宮外苑の3/4ほどは新宿区)、低木も含めて伐採などを予定している本数は3000本とあった。また違う場所に移植したり、新規の植樹もあるようだが資料によって数字はバラバラ。

ただしいずれの資料もイチョウ並木は伐採対象外としている。
そりゃそうだろう。もしあれを切ったら暴動が起きる(^^ゞ

とはいえ並木からわずか8mしか離れていない場所に新しい神宮球場が建つ。つまり隣にイチョウより高い壁ができるようなもの。それに地中深くに土台となる杭が打ち込まれる。イチョウへの日照や通風と根の張り具合、そしてイチョウを眺める人間にとって開放感の面でこれはかなり問題な気がする。図はhttps://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00138/050801034/から引用
4球場



ところで先ほど1904本の4割にあたる743本を伐採と書いた。
その数字をどう思われただろうか。
大きな数字だと理解できたとしても実感は湧いた?

そこでわかりやすいやつを! 
画像はhttps://icomosjapan.org/media/document220201.pdfから引用
5模型

オレンジとワイン色になっているのは伐採予定の樹木。色が違うのは外苑がAとBの地域に分けられているからで特に気にしなくていい。国立競技場付近にもたくさんオレンジがあるが、これは2020オリンピックに向けて、国立競技場を建て替えたときに伐採されたものを含んでいる。すっかり忘れていたけれど、その時にも1500本以上が伐採されたのだった。

これは航空写真の上に樹木に見立てたものを貼り付けた模型。かなり雑な撮影にもかかわらずインパクト絶大! おそらく多くの人は数字だけを聞いたときより、こんなにぶった切るのかと感じたはず。

やっぱり表現って大事だなあと、
樹木伐採問題を忘れて感心してしまった(^^ゞ

だから伐採反対派の人たちは横断幕やプラカードそして言葉だけでなく、こういうものを使って訴えないと多くの人は巻き込めないと思うゾ。写真はhttps://www.asahi.com/articles/ASR7M6750R7MOXIE01P.htmlとhttps://www.tokyo-np.co.jp/article/245672から引用
6-1デモ

6-2集会



さて国立競技場立て替えで既に伐採した1500本と、今回の743本あるいは3000本を合計すると、昔の時代劇によくあった台詞「切って切って切りまくれ!」な印象。神宮といえば「神宮の杜」がキャッチフレーズ。しかし今後は街路樹がそこそこ充実している程度のエリアに外苑は変わっていきそうである。
7



どうしてそうなるのか。
意外と知らないあるいは意識していない人が多いけれど、外苑は明治神宮外苑つまり明治神宮の土地。正確には外苑と呼ばれる範囲の65%ほどを現在は所有している。めったにそう呼ばれないものの、神宮球場の正式名は明治神宮野球場で所有者は明治神宮。

このあたりで明治神宮の所有でないのはまず国立競技場。これは前身が明治神宮外苑競技場。外苑と一体的に造られて、太平洋戦争の出陣学徒壮行会も行われた国の施設。ただし競技場周辺の土地は明治神宮所有だった。それも外苑競技場を取り壊して旧国立競技場を建設する際に国に返還されている。また秩父宮ラグビー場は女子学習院だった場所。校舎を建てるときに土地を売ったのかな?

そのふたつ以外の施設はだいたい明治神宮のものと思って差し支えない。スケートリンクもある。またスポーツ施設以外にいくつかのビルやホテルが外苑の敷地内に建っているし、結婚式場の明治記念館も持っている。


そして明治神宮は、これら外苑施設がもたらす事業収益なしではやっていけないビジネスモデルになっている(らしい)。明治神宮は収支を公開していないが1996年の『明治神宮外苑七十年誌』から抜粋した資料によれば

  全体収入141億円

    お賽銭、玉串料など宗教活動によるもの17億円  全体の12%
    結婚式場の明治記念館64億円          全体の45%
    外苑の事業収入60億円(うち神宮球場が18億円) 全体の43%

そして72ヘクタールある広大な明治神宮本体(外苑に対して内苑という)を維持するには外苑の事業収入が不可欠で、老朽化した稼ぎ頭の神宮球場の建て替えも必要と訴えるのが今回の再開発の論理。推進派はその財政事情に理解を示している。

しかし明治神宮は具体的・正確な収支を公開していない。まず内苑の維持管理にいくら必要なのか明らかでないから収入比率だけを見ても意味がなく、推進派は単なる推測で理解したつもりになっているに過ぎない。結婚式事業を拡大したらとも突っ込めるし、そもそもそれぞれで利益がどれくらい出ているのかもわからない。本業の利益を新規事業の赤字が食い潰すのも世間ではよくある話。

でも京都の「あの」下鴨神社も運営費に困って境内にマンションを建てたし、明治神宮がことさら金儲けに走っている様子もないので財政事情がよくはないのだろう。それなりに悩んだ末での再開発、伐採なのだと考えたい。

高齢化や人口減少、それに宗教離れなどを考えると、これから寺社の宗教活動収入はドンドン減少するから、経営的にはそれ以外に収入を求めざるを得ない。そのうち伊勢神宮ヒルズなんて出来たりして(/o\)



さてアウトラインを把握できたところで、
再開発や樹木の大量伐採に賛成なのか反対なのか。
あるいは再開発計画に改善すべき点はあるのか。

それはこれから考えましょう(^^ゞ
私が考えたって仕方ないけど頭の体操として。


おしまい

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wassho at 22:38│Comments(0) お花畑探訪 | 社会、政治、経済

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