2023年12月26日
紅葉のつもりが桜が咲いていた旧芝離宮庭園
12月9日にまずゴッホのイチョウと、もみじ谷の紅葉から見た前回の続き。
芝公園から増上寺の境内を抜けて芝離宮庭園に向かう。
増上寺の三解脱門の前から浜松町に延びる道路。
ここをまっすぐ行けばよい。
港区の区役所はこのあたりに。
しばらく歩くと現れるのが大門と呼ばれる構造物。
こちらが表側。
これはかつての総門(一番外側の門)を復元したもの。制作は1937年(昭和12年)。
私は寺社仏閣は木造じゃないとありがたみを感じないタイプ。増上寺の本殿も1974年(昭和49年)に再建されたコンクリート製で、境内はアスファルト舗装だから「増上寺はガッカリ名所」とのブログを以前にも書いた。この大門もハリボテにしか見えないm(_ _)m
ところで総門がここに位置しているなら、その内側は境内だったことになる。上野の寛永寺と並んで、増上寺は徳川家の菩提寺として江戸時代には権勢を誇った。それがたたって時代が変わると明治政府に睨まれる。寛永寺の場合は境内面積を116ヘクタール(上野公園の約2倍)から7.5ヘクタールに減らされたのは先日のブログに書いた通り。
では増上寺は?
江戸時代最盛期の境内面積については資料によって20万坪、25万坪、30万坪、59ヘクタール、72ヘクタール、82ヘクタールと数字がまちまち。とりあえず増上寺が公式ホームページで記載している25万坪=83ヘクタールとしよう(ちょっと盛っている気もするが)。現在の増上寺の面積はなぜかネットでは見つからず、以前にGoogleマップで計測した5.2ヘクタールを採用。計算すると
増上寺 5.2ヘクタール ÷ 83ヘクタール = 6.2%
寛永寺 7.5ヘクタール ÷ 116ヘクタール = 6.5%
とまあ似たり寄ったり。分数にすれば大体1/15に削られている。ただし寛永寺は墓地を除くと実質的には1ヘクタールほどの寺になっているので、現在の規模は増上寺が圧倒的に大きい。
旧境内と現境内の比較図。これは幕末から明治2年の地図なので最盛期の面積ではないかも知れない。画像はhttps://adeac.jp/minato-city/text-list/d110021/ht001960から引用加筆
浜松町の駅手前までやってきた。
写真が少しわかりにくいが中央奥のビル手前に、長らくこの地のランドマークだった世界貿易センタービルが建っていた。正式には世界貿易センタービルディング。1968年竣工の霞が関ビルに続いて、1970年に建てられた日本で2つめの超高層ビル。霞が関ビルほどの知名度がないのはやはり1番と2番の違い。富士山は知っていても日本で2番目に高い山は知らないのと同じ。
51年後の2021年6月に閉館。8月から解体工事が始まり今年の3月に解体終了。写真で見えているのは新しいビルの下層部だろうか。なお建て替えられるビルも同じく世界貿易センタービル。
これは解体前の姿。
こんな黒いビルは珍しいからそれだけでインパクトがあった。画像はhttps://air-premium.jp/facility/detail_00241/から引用
ビルの途中に窓のない部分がある。あれは13階で機械室などになっている。建設時に海外企業の入居を多く見込んでおり「13」は嫌われるだろうから、いっそ設備階にしてしまえとの判断だったらしい。
海外では建物や部屋の「13」をどうしているのか詳しくは知らないが、以前にアメリカでエレベーターのボタンが「12b」になっているのは見た経験がある。こちらの記事によると「マンハッタンやブルックリンのコンドミニアムで13階と指定されたフロアがあるものは全体の5%未満しかない」とある。
これは1975年(昭和50年)の空撮写真。
当時は飛び抜けて高かったのがわかる。画像はhttps://twitter.com/tocho_koho/status/1284329712425168897から引用
画面やや左奥の超高層ビルは霞が関ビル、そのさらに左にあるのは京王プラザホテル。
霞が関ビル 1968年4月 36階建て 147メートル
世界貿易ビル 1970年3月 40階建て 163メートル
京王プラザホテル 1971年3月 47階建て 170メートル
どれも建設当時は東洋一の高さを誇った。参考までに現在日本で一番高いビルは今年の11月に完成した麻布台ヒルズの64階建て325メートル。それまでトップのあべのハルカスは60階建て300メートルだった。世界一はドバイのブルジュ・ハリファで206階建て828メートルw(゚o゚)w なお超高層に定義はなく、だいたい100メートル以上かな。
そんな見上げるほどの高さを誇ったビルも、解体前の2021年6月の写真ではまるで背が縮んでしまったおジイちゃんのよう。画像はhttps://www.asahi.com/articles/ASP6Z313VP6ZUTIL001.htmlから引用
左奥のビルはこのエリアの再開発で先に完成した世界貿易センタービル南館。39階建て197メートル。現在建設中の本館は46階建て235メートルになる。
ところで私がこのビルの存在を知ったのは昭和の終わり頃。そのときに驚いたのは、ビルの高さではなく「世界貿易センター」ビルとの名前。何という大げさな、そして浜松町といえば羽田へのモノレールが出ている程度の認識で、当時はそんなにビジネス街でもなかったから、何と分不相応なネーミングだと思ったのを覚えている(^^ゞ
またニューヨークの9.11テロで崩壊したワールドトレードセンターも、半分日本語にすれば世界貿易センターである。その名前のつくビルは世界中に250以上あるらしい。大阪府庁の咲洲(さきしま)庁舎も旧名称は大阪ワールドトレードセンタービルだった。調べてみたら「ワールド・トレード・センター連合」なるものがあって、この浜松町のビルも加盟しておりしかも創立メンバー。
この団体の正体が今ひとつよくわからない。
世界中の貿易と投資を促進し地域経済の繁栄を支援することを目的とする
ワールドトレードセンターの商標権を持つ
程度の情報しかなかった。ただビルの名前が同じでも経営や資本的な関係はないようだ。
さて、
なかなか話が芝離宮まで進まないが(^^ゞ
ビルの隣が浜松町の駅。
上の写真のガード下をくぐって、
この位置まで来ると
芝離宮庭園の入り口。
先日訪れた清澄庭園は駅に近い立地でも入口までは遠かった。
ここは正真正銘の駅チカ。
ところでこの近くには浜離宮庭園もある。どちらも江戸時代の大名屋敷庭園が明治になってから皇室や宮内庁の所有となり、その後に東京都に寄付された似たような歴史を持つ。それなのにどうしてこちらだけ旧芝離宮と「旧」がつくのだろう? ちょっとナゾ
ついでに正式名称についている恩賜(おんし)の賜は賜る(たまわる)で「もらう」の謙譲語、あるいは「与える」の尊敬語。つまり目上の人から「いただく」目上の人が「くださる」。恩賜は下賜(かし)と同じ意味で身分の高いものが低いものに与えるを意味するが、恩賜といった場合はほとんど天皇から賜ったものを指す。
皇室から下賜された公園・庭園は上野恩賜公園、井の頭恩賜公園、猿江恩賜公園、有栖川宮記念公園、恩賜箱根公園、浜離宮恩賜庭園、旧芝離宮恩賜庭園の7つ。
このうち有栖川宮記念公園は高松宮からの下賜なので「恩賜」の名前がついていない。
ーーー続く
芝公園から増上寺の境内を抜けて芝離宮庭園に向かう。
増上寺の三解脱門の前から浜松町に延びる道路。
ここをまっすぐ行けばよい。
港区の区役所はこのあたりに。
しばらく歩くと現れるのが大門と呼ばれる構造物。
こちらが表側。
これはかつての総門(一番外側の門)を復元したもの。制作は1937年(昭和12年)。
私は寺社仏閣は木造じゃないとありがたみを感じないタイプ。増上寺の本殿も1974年(昭和49年)に再建されたコンクリート製で、境内はアスファルト舗装だから「増上寺はガッカリ名所」とのブログを以前にも書いた。この大門もハリボテにしか見えないm(_ _)m
ところで総門がここに位置しているなら、その内側は境内だったことになる。上野の寛永寺と並んで、増上寺は徳川家の菩提寺として江戸時代には権勢を誇った。それがたたって時代が変わると明治政府に睨まれる。寛永寺の場合は境内面積を116ヘクタール(上野公園の約2倍)から7.5ヘクタールに減らされたのは先日のブログに書いた通り。
では増上寺は?
江戸時代最盛期の境内面積については資料によって20万坪、25万坪、30万坪、59ヘクタール、72ヘクタール、82ヘクタールと数字がまちまち。とりあえず増上寺が公式ホームページで記載している25万坪=83ヘクタールとしよう(ちょっと盛っている気もするが)。現在の増上寺の面積はなぜかネットでは見つからず、以前にGoogleマップで計測した5.2ヘクタールを採用。計算すると
増上寺 5.2ヘクタール ÷ 83ヘクタール = 6.2%
寛永寺 7.5ヘクタール ÷ 116ヘクタール = 6.5%
とまあ似たり寄ったり。分数にすれば大体1/15に削られている。ただし寛永寺は墓地を除くと実質的には1ヘクタールほどの寺になっているので、現在の規模は増上寺が圧倒的に大きい。
旧境内と現境内の比較図。これは幕末から明治2年の地図なので最盛期の面積ではないかも知れない。画像はhttps://adeac.jp/minato-city/text-list/d110021/ht001960から引用加筆
浜松町の駅手前までやってきた。
写真が少しわかりにくいが中央奥のビル手前に、長らくこの地のランドマークだった世界貿易センタービルが建っていた。正式には世界貿易センタービルディング。1968年竣工の霞が関ビルに続いて、1970年に建てられた日本で2つめの超高層ビル。霞が関ビルほどの知名度がないのはやはり1番と2番の違い。富士山は知っていても日本で2番目に高い山は知らないのと同じ。
51年後の2021年6月に閉館。8月から解体工事が始まり今年の3月に解体終了。写真で見えているのは新しいビルの下層部だろうか。なお建て替えられるビルも同じく世界貿易センタービル。
これは解体前の姿。
こんな黒いビルは珍しいからそれだけでインパクトがあった。画像はhttps://air-premium.jp/facility/detail_00241/から引用
ビルの途中に窓のない部分がある。あれは13階で機械室などになっている。建設時に海外企業の入居を多く見込んでおり「13」は嫌われるだろうから、いっそ設備階にしてしまえとの判断だったらしい。
海外では建物や部屋の「13」をどうしているのか詳しくは知らないが、以前にアメリカでエレベーターのボタンが「12b」になっているのは見た経験がある。こちらの記事によると「マンハッタンやブルックリンのコンドミニアムで13階と指定されたフロアがあるものは全体の5%未満しかない」とある。
これは1975年(昭和50年)の空撮写真。
当時は飛び抜けて高かったのがわかる。画像はhttps://twitter.com/tocho_koho/status/1284329712425168897から引用
画面やや左奥の超高層ビルは霞が関ビル、そのさらに左にあるのは京王プラザホテル。
霞が関ビル 1968年4月 36階建て 147メートル
世界貿易ビル 1970年3月 40階建て 163メートル
京王プラザホテル 1971年3月 47階建て 170メートル
どれも建設当時は東洋一の高さを誇った。参考までに現在日本で一番高いビルは今年の11月に完成した麻布台ヒルズの64階建て325メートル。それまでトップのあべのハルカスは60階建て300メートルだった。世界一はドバイのブルジュ・ハリファで206階建て828メートルw(゚o゚)w なお超高層に定義はなく、だいたい100メートル以上かな。
そんな見上げるほどの高さを誇ったビルも、解体前の2021年6月の写真ではまるで背が縮んでしまったおジイちゃんのよう。画像はhttps://www.asahi.com/articles/ASP6Z313VP6ZUTIL001.htmlから引用
左奥のビルはこのエリアの再開発で先に完成した世界貿易センタービル南館。39階建て197メートル。現在建設中の本館は46階建て235メートルになる。
ところで私がこのビルの存在を知ったのは昭和の終わり頃。そのときに驚いたのは、ビルの高さではなく「世界貿易センター」ビルとの名前。何という大げさな、そして浜松町といえば羽田へのモノレールが出ている程度の認識で、当時はそんなにビジネス街でもなかったから、何と分不相応なネーミングだと思ったのを覚えている(^^ゞ
またニューヨークの9.11テロで崩壊したワールドトレードセンターも、半分日本語にすれば世界貿易センターである。その名前のつくビルは世界中に250以上あるらしい。大阪府庁の咲洲(さきしま)庁舎も旧名称は大阪ワールドトレードセンタービルだった。調べてみたら「ワールド・トレード・センター連合」なるものがあって、この浜松町のビルも加盟しておりしかも創立メンバー。
この団体の正体が今ひとつよくわからない。
世界中の貿易と投資を促進し地域経済の繁栄を支援することを目的とする
ワールドトレードセンターの商標権を持つ
程度の情報しかなかった。ただビルの名前が同じでも経営や資本的な関係はないようだ。
さて、
なかなか話が芝離宮まで進まないが(^^ゞ
ビルの隣が浜松町の駅。
上の写真のガード下をくぐって、
この位置まで来ると
芝離宮庭園の入り口。
先日訪れた清澄庭園は駅に近い立地でも入口までは遠かった。
ここは正真正銘の駅チカ。
ところでこの近くには浜離宮庭園もある。どちらも江戸時代の大名屋敷庭園が明治になってから皇室や宮内庁の所有となり、その後に東京都に寄付された似たような歴史を持つ。それなのにどうしてこちらだけ旧芝離宮と「旧」がつくのだろう? ちょっとナゾ
ついでに正式名称についている恩賜(おんし)の賜は賜る(たまわる)で「もらう」の謙譲語、あるいは「与える」の尊敬語。つまり目上の人から「いただく」目上の人が「くださる」。恩賜は下賜(かし)と同じ意味で身分の高いものが低いものに与えるを意味するが、恩賜といった場合はほとんど天皇から賜ったものを指す。
皇室から下賜された公園・庭園は上野恩賜公園、井の頭恩賜公園、猿江恩賜公園、有栖川宮記念公園、恩賜箱根公園、浜離宮恩賜庭園、旧芝離宮恩賜庭園の7つ。
このうち有栖川宮記念公園は高松宮からの下賜なので「恩賜」の名前がついていない。
ーーー続く
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