2024年03月22日
富士山の伏流水ーーーとのモヤモヤする表現 その2
山に雨が降ると地形に沿って水流ができ、それが集まり沢になりさらに川となる。その川を流れている水が地下にもしみこんだのが伏流水。しかし富士山に川はない。
それは富士山がスコリアと呼ばれる多孔質の火山噴出物で覆われているから。平たく言えばメチャ水はけのよい土壌。だから雨水や雪解け水は地表にとどまらず地下にすぐにしみこんでしまう。
これは以前に富士山の五合目付近で撮った写真。
川にならず富士山にしみこんで地下水となった水は、やがて広い裾野のあちらこちらから湧き水となって出てくる。たとえば河口湖をはじめとする富士五湖も「流れ込んでいる」川はなく湧き水が水源。
そのひとつである山中湖から「流れ出て」いるのが相模川。もしそこに伏流水があっても、それはネーミング的に相模川の伏流水であり富士山の伏流水ではない。前回の引用で示したように伏流水とは川と関連した地下水なのだから。
水の流れの図解。
画像はhttps://yuusui-map.jp/user/yuusui.htmlから引用
上の図に対して前回に示した「富士の伏流水」を使用していると謳っているミネラルウォーターやお酒などは、それをこのように表現する。つまり地下水を伏流水と言い換えている。
画像はhttps://mitsuuroko-beverage.com/products/kawaguchiko/vanadium/とhttps://oasislink.co.jp/clytia_officeoasis/water/water_fuji/から引用
それはもちろん
富士山の地下水で作りました
というより
富士山の伏流水で作りました
のほうがイメージがいいからだろう。「伏」の文字には何となく想像をかき立てる要素もあし、「流」は動的でフレッシュな印象も与える。
別に法律で伏流水の定義が決まっているわけではなし、富士山由来の水のおいしさに変わりはないので、とやかく言うつもりはないとしても、あまりに伏流水、伏流水と強調されると印象操作的なあざとさも感じてしまう。富士山の伏流水との表現に疑問をいだくきっかけとなったのも、そんな広告だったように思う。
もっとも伏流水との表現は観光地でも魅力的らしく、
こんな観光ホームページも見つけた。
思いっ切り地表水やないかい!!
岐阜の円原川伏流水
画像はhttps://www.kankou-gifu.jp/spot/detail_5980.htmlから引用
秋田の元滝伏流水
画像はhttps://www.tohokukanko.jp/attractions/detail_1278.htmlから引用
ついでに書くと、
よく聞く「天然水」との表現も考えてみるとおかしい。水はH2Oで水素と酸素から合成できる。しかしそんな人工的に化学反応で作られた水は実験室にあるか燃料電池で水素発電した副産物くらい。地球上にあるほぼすべての水は「天然もの」やで(^^ゞ
いずれにせよ伏流水だったり天然水だったり、何かとイメージアップ、付加価値向上に走るのが世の習い。そして富士山商品界隈では、もう伏流水と呼ぶのが当たり前になりすぎて、特に意識もせずに使っているのかも知れない。嘘も百回言えば真実になるのも同じく人の世の常である。
おしまい
<天然水に関するおまけ>
市販されている水は、農水省の「ミネラルウォーター類(容器入り飲用水)の品質表示 ガイドライン」では、次の4つに分類されている。
⚫️ナチュラルウォーター
特定の水源から採水された地下水を原水とし沈殿、濾過、加熱殺菌以外の
物理的・化学的処理を行わない。
⚫️ナチュラルミネラルウォーター
ナチュラルウォーターのうち鉱化された地下水を原水としたもの。
※鉱化されたとは土壌のミミネラル成分が多く溶け込んだ状態を指すが、
その具体的な数値はガイドラインには書かれていなかった。
※このナチュラルミネラルウォーターが一般的にいうミネラルウォーター。
⚫️ミネラルウォーター
ナチュラルミネラルウォーターを原水とし、品質を安定させる目的等のために
ミネラルの調整、曝気、複数の水源から採水したナチュラルミネラルウォーター
の混合等が行われているもの。
※曝気(ばっき)とは空気中の成分を吹き込むこと。
ここでは炭酸ガスの注入と思われる。
⚫️ボトルドウォーターまたは飲用水
上記以外で飲用に適した水。
(水道水のペットボトル詰めでも可)
そして「自然」「天然」の用語およびこれに類似する用語の使用が認められているのは
ナチュラルウォーター
ナチュラルミネラルウォーター
のみでミネラルウォーターには認められていない。つまり行政的には「沈殿、濾過、加熱殺菌」以外の人為的な加工を行っていない=ほぼ無加工なのが天然水の定義となる。
それは富士山がスコリアと呼ばれる多孔質の火山噴出物で覆われているから。平たく言えばメチャ水はけのよい土壌。だから雨水や雪解け水は地表にとどまらず地下にすぐにしみこんでしまう。
これは以前に富士山の五合目付近で撮った写真。
川にならず富士山にしみこんで地下水となった水は、やがて広い裾野のあちらこちらから湧き水となって出てくる。たとえば河口湖をはじめとする富士五湖も「流れ込んでいる」川はなく湧き水が水源。
そのひとつである山中湖から「流れ出て」いるのが相模川。もしそこに伏流水があっても、それはネーミング的に相模川の伏流水であり富士山の伏流水ではない。前回の引用で示したように伏流水とは川と関連した地下水なのだから。
水の流れの図解。
画像はhttps://yuusui-map.jp/user/yuusui.htmlから引用
上の図に対して前回に示した「富士の伏流水」を使用していると謳っているミネラルウォーターやお酒などは、それをこのように表現する。つまり地下水を伏流水と言い換えている。
画像はhttps://mitsuuroko-beverage.com/products/kawaguchiko/vanadium/とhttps://oasislink.co.jp/clytia_officeoasis/water/water_fuji/から引用
それはもちろん
富士山の地下水で作りました
というより
富士山の伏流水で作りました
のほうがイメージがいいからだろう。「伏」の文字には何となく想像をかき立てる要素もあし、「流」は動的でフレッシュな印象も与える。
別に法律で伏流水の定義が決まっているわけではなし、富士山由来の水のおいしさに変わりはないので、とやかく言うつもりはないとしても、あまりに伏流水、伏流水と強調されると印象操作的なあざとさも感じてしまう。富士山の伏流水との表現に疑問をいだくきっかけとなったのも、そんな広告だったように思う。
もっとも伏流水との表現は観光地でも魅力的らしく、
こんな観光ホームページも見つけた。
思いっ切り地表水やないかい!!
岐阜の円原川伏流水
画像はhttps://www.kankou-gifu.jp/spot/detail_5980.htmlから引用
秋田の元滝伏流水
画像はhttps://www.tohokukanko.jp/attractions/detail_1278.htmlから引用
ついでに書くと、
よく聞く「天然水」との表現も考えてみるとおかしい。水はH2Oで水素と酸素から合成できる。しかしそんな人工的に化学反応で作られた水は実験室にあるか燃料電池で水素発電した副産物くらい。地球上にあるほぼすべての水は「天然もの」やで(^^ゞ
いずれにせよ伏流水だったり天然水だったり、何かとイメージアップ、付加価値向上に走るのが世の習い。そして富士山商品界隈では、もう伏流水と呼ぶのが当たり前になりすぎて、特に意識もせずに使っているのかも知れない。嘘も百回言えば真実になるのも同じく人の世の常である。
おしまい
<天然水に関するおまけ>
市販されている水は、農水省の「ミネラルウォーター類(容器入り飲用水)の品質表示 ガイドライン」では、次の4つに分類されている。
⚫️ナチュラルウォーター
特定の水源から採水された地下水を原水とし沈殿、濾過、加熱殺菌以外の
物理的・化学的処理を行わない。
⚫️ナチュラルミネラルウォーター
ナチュラルウォーターのうち鉱化された地下水を原水としたもの。
※鉱化されたとは土壌のミミネラル成分が多く溶け込んだ状態を指すが、
その具体的な数値はガイドラインには書かれていなかった。
※このナチュラルミネラルウォーターが一般的にいうミネラルウォーター。
⚫️ミネラルウォーター
ナチュラルミネラルウォーターを原水とし、品質を安定させる目的等のために
ミネラルの調整、曝気、複数の水源から採水したナチュラルミネラルウォーター
の混合等が行われているもの。
※曝気(ばっき)とは空気中の成分を吹き込むこと。
ここでは炭酸ガスの注入と思われる。
⚫️ボトルドウォーターまたは飲用水
上記以外で飲用に適した水。
(水道水のペットボトル詰めでも可)
そして「自然」「天然」の用語およびこれに類似する用語の使用が認められているのは
ナチュラルウォーター
ナチュラルミネラルウォーター
のみでミネラルウォーターには認められていない。つまり行政的には「沈殿、濾過、加熱殺菌」以外の人為的な加工を行っていない=ほぼ無加工なのが天然水の定義となる。
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