2024年05月18日
井の頭公園を通り抜け
練馬駅前の平成つつじ公園から善福寺公園を経て、5月3日の「ゴールデンウィークちょっと長めのお散歩コース」の最終目的地は井の頭公園。
ここは東京以外でも全国的に知名度が高く、多くの人が名前くらいは聞いた記憶のある公園ではないかと思う。名前が印象的なのとサクラの名所としてよくニュースでも報じられるからだろう。
面積は開園面積として約42.8ヘクタールとある。ただし、この開園面積の定義が調べてもはっきりしない。東京都建設局の資料によると井の頭公園とは
井の頭公園:40.13ヘクタール
井の頭第二公園:1.60ヘクタール
玉川上水緑地:9.5ヘクタール
の総称。
この合計は51.23ヘクタールとなる。しかし同じ資料に開園面積として約42.8ヘクタールと記載されている。51.23 − 42.8 = 8.43ヘクタールはどこへ行った? 語感から常識的な判断をすると総敷地面積に対し公園として整備開園済みの面積になるけれど、資料には「計画区域外を含む場合がある」などと書かれていて意味がよくわからない。求む用語集。
細かなことはさておいて、42.8ヘクタールのうち動物園が11.5ヘクタールで27%を占める。これは上野公園が全体で53.8ヘクタール、動物園は14ヘクタールで26%だから比率としては同じようなもの。ただしパンダで全国的に有名な上野動物園と違って、井の頭の動物園は東京でもあまり存在感がない。ライオン、トラ、キリン、象、カバなど子供に人気の動物はおらず地味な動物園である。
また井の頭公園といえば半分くらいは池の印象があるものの、池の面積は4.2ヘクタールで1割ほどに過ぎない。もっとも上の航空写真で公園の形を「少し傾いた大の字」だとすれば、右に払っている部分が公園のメインエリア。そこだけ見れば「半分くらいは池」ではある。
ところで井の頭公園は「がしら」ではなく「いのかしら」と「か」が濁らない。これは公園だけではなく、このあたりの井の頭と付く名前はすべて「いのかしら」。でも「いのがしら」と発音する人のほうが圧倒的に多い。ここの近く、あるいは渋谷と吉祥寺を結ぶ井の頭線沿線に住んでいる人を除けばほとんどがそうじゃないかな。シロガネーゼの白金が実は「しろかね」だと知っている人が少ないのと同じ。
ふたつの語が結びついて、後ろのカ行、サ行、タ行、ハ行で始まる音が濁るのを連濁という。いちおう「和語なら連濁する」「漢語や外来語なら連濁しない」との法則があるとはいえ、例外だらけなので結局は個別に調べるしかない。日本語は難しすぎるね。
さて吉祥寺通りからそれる脇道を進むと、
井の頭公園に到着。吉祥寺駅からだと多くの人がここを利用するのに、公園の規模と較べてずいぶんと小さな出入り口である。
とりあえず池に沿って右方向に進む。
井の頭公園に来るのはウン十年ぶり。
この橋の右下にあるのが、
お茶の水と呼ばれる湧き水。
この看板では家康のエピソードが記されているが、さらに3代将軍家光が「ここが井戸では一番素晴らしい」として「井之頭」と名付けたとする説もある。1970年代までは水が湧き出ていたそうだ。なお千代田区神田のお茶の水はその付近の寺の湧き水を、2代将軍秀忠の茶の湯用に献上したのが地名の由来。なにかと徳川家つながりなお茶の水という言葉。
ちなみに文京区大塚にある国立のお茶の水女子大学は、創立が(神田の)お茶の水で1932年(昭和7年)に移転。また鉄腕アトムのお茶の水博士はお茶の水駅からのネーミング。ただしその理由はわからなかった。アトムを描いていた頃に手塚治虫が住んでいたのは豊島区のトキワ荘。でもお茶の水から神田にかけては出版社が多いので馴染みがあったのかな。またアトムもお茶の水小学校に通っていた。アトム連載当時は架空の小学校だったのに、少子化のため1993年(平成5年)に3つの小学校を統廃合して、新たにお茶の水小学校ができたとちょっと寂しい歴史の流れ。

\(^^\)(/^^)/ソレハコッチニオイトイテ
木々を抜けて明るい通路に出る。
ジブリ美術館コッチの看板。
でも750メートル先だからけっこう遠い。
そして見えてくるのが弁財天。
創建は天慶年間(938年〜947年)に源経基(つねもと)によると伝えられ、1197年に源頼朝が宮社を建立、鎌倉末期に焼失、3代将軍家光が再興したなどとされる。現在のお堂は関東大震災(1923年 大正12年)で損壊してから1928年(昭和3年)に再建されたもの。
弁財天の近くに噴水。
噴水といえばお約束の高速シャッタースピード。でも距離が離れているのでいつものように水しぶきが止まっているようにはならなかった。写真を拡大すれば多少の違いはわかる。
<オート設定 シャッタースピード1/200秒>
<マニュアル設定 シャッタースピード1/2000秒>
池を回り込んで弁天堂を正面から。
弁天橋と名付けられた橋で池を渡り歩ける。
それにしても新緑の美しさよ。
池の右岸(下流に向かって右)を進んで、
狛江橋で池に突き出した半島のような所に来ると、
自然文化園のチケット売り場がある。
自然文化園とは聞き慣れないが、写真の英語表記を見てわかるように動物園のこと。開園は1942年(昭和17年)。上野動物園に匹敵する動物園が構想されたものの、戦時中で予算と物資が不足して大型動物を集められず、そこで「自然生態観察園」とのコンセプトになったのがネーミングの由来。
こちらの半島部分は水生物園、吉祥寺通りの向こう側に(普通の)動物園と区画が分けられている。水生物とは魚類、両生類、昆虫、植物など淡水の水辺の生き物。また水鳥も展示されているので甲高い鳴き声があたりに響いていた。
水生物園の向かいはボート乗り場。
昔から井の頭公園でデートをしてボートに乗ると、そのカップルは別れるとのジンクスがまことしやかにささやかれている。私の経験に照らし合わせるとそれは事実である(^^ゞ
新緑を満喫しながら歩く。
池の左岸に渡ってしばらく進むと、
キッチンカーが出ているエリアに。
さらに先には手作りアクセサリーなどを販売している露店。
昔から井の頭公園は露店と、大道芸やストリートミュージックなどのパフォーマンスが盛んだった。しかし何かと混乱してきたので2007年から出展者・出演者と行政が取り決めを結んだ「井の頭公園アートマーケッツ」として運営されている。
井の頭公園アートマーケッツは「手作りアート作品」と「パフォーマンス」のマーケットと定義されていて物販は手作りの作品限定。だから古着や中古品・アンティークなど単なる販売は禁止。ちょっとやり過ぎでフリーマーケットのようなわくわく感に欠ける。集まっている人の年齢層も高め。パフォーマンスは公園内の何カ所かで場所が指定されている。今回は上演しているときに通りかからなかった。
この日に訪れた平成つつじ公園と善福寺公園と違って、井の頭公園は特に目的もなく久しく訪れていなかったから寄り道しただけ。本日の園内散策コースはこんな感じ。今までも池の周りしか来たことがないから、そのうち園内をくまなく歩いてみたい。
ここはもう井の頭公園駅の手前。
青いのは井の頭線の線路。
なぜかこの光景にものすごく心惹かれる。
吸い込まれるように線路の下をくぐってみたけれど、
特に何もなかった(^^ゞ
左下にチラッと写っている水面は井の頭池から流れ出た水。つまりここが神田川の最上流部にあたるわけで、善福寺川に続いて本日2つ目の源流ゲット!
さあ井の頭線に乗って帰りましょう。
ホームに降りると無情にも電車が発車した後。
ちょっとローカル線ぽい雰囲気もあるホームで次の電車を待つ。
「いのかしら」ですよ。
自宅に戻ってみると2万歩越え。
歩数はスマホのセンサーによる計測だが、距離はどう判断しているのか不明で信頼できない。とうやらGPSでは測っていないようだし歩幅もスマホに登録していない。
2022年の1月から日常生活以外に週に3回、合計で3万歩の散歩ノルマを課している。大体1回に1万3000歩前後を歩くことが多い。その甲斐あって現在は至って健脚。でも2万歩を超えるとちょっと疲れる。
とりあえずお疲れ様自分だった5月3日。
よく歩きいろいろ見て楽しいゴールデンウィークでした。
おしまい
ここは東京以外でも全国的に知名度が高く、多くの人が名前くらいは聞いた記憶のある公園ではないかと思う。名前が印象的なのとサクラの名所としてよくニュースでも報じられるからだろう。
面積は開園面積として約42.8ヘクタールとある。ただし、この開園面積の定義が調べてもはっきりしない。東京都建設局の資料によると井の頭公園とは
井の頭公園:40.13ヘクタール
井の頭第二公園:1.60ヘクタール
玉川上水緑地:9.5ヘクタール
の総称。
この合計は51.23ヘクタールとなる。しかし同じ資料に開園面積として約42.8ヘクタールと記載されている。51.23 − 42.8 = 8.43ヘクタールはどこへ行った? 語感から常識的な判断をすると総敷地面積に対し公園として整備開園済みの面積になるけれど、資料には「計画区域外を含む場合がある」などと書かれていて意味がよくわからない。求む用語集。
細かなことはさておいて、42.8ヘクタールのうち動物園が11.5ヘクタールで27%を占める。これは上野公園が全体で53.8ヘクタール、動物園は14ヘクタールで26%だから比率としては同じようなもの。ただしパンダで全国的に有名な上野動物園と違って、井の頭の動物園は東京でもあまり存在感がない。ライオン、トラ、キリン、象、カバなど子供に人気の動物はおらず地味な動物園である。
また井の頭公園といえば半分くらいは池の印象があるものの、池の面積は4.2ヘクタールで1割ほどに過ぎない。もっとも上の航空写真で公園の形を「少し傾いた大の字」だとすれば、右に払っている部分が公園のメインエリア。そこだけ見れば「半分くらいは池」ではある。
ところで井の頭公園は「がしら」ではなく「いのかしら」と「か」が濁らない。これは公園だけではなく、このあたりの井の頭と付く名前はすべて「いのかしら」。でも「いのがしら」と発音する人のほうが圧倒的に多い。ここの近く、あるいは渋谷と吉祥寺を結ぶ井の頭線沿線に住んでいる人を除けばほとんどがそうじゃないかな。シロガネーゼの白金が実は「しろかね」だと知っている人が少ないのと同じ。
ふたつの語が結びついて、後ろのカ行、サ行、タ行、ハ行で始まる音が濁るのを連濁という。いちおう「和語なら連濁する」「漢語や外来語なら連濁しない」との法則があるとはいえ、例外だらけなので結局は個別に調べるしかない。日本語は難しすぎるね。
さて吉祥寺通りからそれる脇道を進むと、
井の頭公園に到着。吉祥寺駅からだと多くの人がここを利用するのに、公園の規模と較べてずいぶんと小さな出入り口である。
とりあえず池に沿って右方向に進む。
井の頭公園に来るのはウン十年ぶり。
この橋の右下にあるのが、
お茶の水と呼ばれる湧き水。
この看板では家康のエピソードが記されているが、さらに3代将軍家光が「ここが井戸では一番素晴らしい」として「井之頭」と名付けたとする説もある。1970年代までは水が湧き出ていたそうだ。なお千代田区神田のお茶の水はその付近の寺の湧き水を、2代将軍秀忠の茶の湯用に献上したのが地名の由来。なにかと徳川家つながりなお茶の水という言葉。
ちなみに文京区大塚にある国立のお茶の水女子大学は、創立が(神田の)お茶の水で1932年(昭和7年)に移転。また鉄腕アトムのお茶の水博士はお茶の水駅からのネーミング。ただしその理由はわからなかった。アトムを描いていた頃に手塚治虫が住んでいたのは豊島区のトキワ荘。でもお茶の水から神田にかけては出版社が多いので馴染みがあったのかな。またアトムもお茶の水小学校に通っていた。アトム連載当時は架空の小学校だったのに、少子化のため1993年(平成5年)に3つの小学校を統廃合して、新たにお茶の水小学校ができたとちょっと寂しい歴史の流れ。

\(^^\)(/^^)/ソレハコッチニオイトイテ
木々を抜けて明るい通路に出る。
ジブリ美術館コッチの看板。
でも750メートル先だからけっこう遠い。
そして見えてくるのが弁財天。
創建は天慶年間(938年〜947年)に源経基(つねもと)によると伝えられ、1197年に源頼朝が宮社を建立、鎌倉末期に焼失、3代将軍家光が再興したなどとされる。現在のお堂は関東大震災(1923年 大正12年)で損壊してから1928年(昭和3年)に再建されたもの。
弁財天の近くに噴水。
噴水といえばお約束の高速シャッタースピード。でも距離が離れているのでいつものように水しぶきが止まっているようにはならなかった。写真を拡大すれば多少の違いはわかる。
<オート設定 シャッタースピード1/200秒>
<マニュアル設定 シャッタースピード1/2000秒>
池を回り込んで弁天堂を正面から。
弁天橋と名付けられた橋で池を渡り歩ける。
それにしても新緑の美しさよ。
池の右岸(下流に向かって右)を進んで、
狛江橋で池に突き出した半島のような所に来ると、
自然文化園のチケット売り場がある。
自然文化園とは聞き慣れないが、写真の英語表記を見てわかるように動物園のこと。開園は1942年(昭和17年)。上野動物園に匹敵する動物園が構想されたものの、戦時中で予算と物資が不足して大型動物を集められず、そこで「自然生態観察園」とのコンセプトになったのがネーミングの由来。
こちらの半島部分は水生物園、吉祥寺通りの向こう側に(普通の)動物園と区画が分けられている。水生物とは魚類、両生類、昆虫、植物など淡水の水辺の生き物。また水鳥も展示されているので甲高い鳴き声があたりに響いていた。
水生物園の向かいはボート乗り場。
昔から井の頭公園でデートをしてボートに乗ると、そのカップルは別れるとのジンクスがまことしやかにささやかれている。私の経験に照らし合わせるとそれは事実である(^^ゞ
新緑を満喫しながら歩く。
池の左岸に渡ってしばらく進むと、
キッチンカーが出ているエリアに。
さらに先には手作りアクセサリーなどを販売している露店。
昔から井の頭公園は露店と、大道芸やストリートミュージックなどのパフォーマンスが盛んだった。しかし何かと混乱してきたので2007年から出展者・出演者と行政が取り決めを結んだ「井の頭公園アートマーケッツ」として運営されている。
井の頭公園アートマーケッツは「手作りアート作品」と「パフォーマンス」のマーケットと定義されていて物販は手作りの作品限定。だから古着や中古品・アンティークなど単なる販売は禁止。ちょっとやり過ぎでフリーマーケットのようなわくわく感に欠ける。集まっている人の年齢層も高め。パフォーマンスは公園内の何カ所かで場所が指定されている。今回は上演しているときに通りかからなかった。
この日に訪れた平成つつじ公園と善福寺公園と違って、井の頭公園は特に目的もなく久しく訪れていなかったから寄り道しただけ。本日の園内散策コースはこんな感じ。今までも池の周りしか来たことがないから、そのうち園内をくまなく歩いてみたい。
ここはもう井の頭公園駅の手前。
青いのは井の頭線の線路。
なぜかこの光景にものすごく心惹かれる。
吸い込まれるように線路の下をくぐってみたけれど、
特に何もなかった(^^ゞ
左下にチラッと写っている水面は井の頭池から流れ出た水。つまりここが神田川の最上流部にあたるわけで、善福寺川に続いて本日2つ目の源流ゲット!
さあ井の頭線に乗って帰りましょう。
ホームに降りると無情にも電車が発車した後。
ちょっとローカル線ぽい雰囲気もあるホームで次の電車を待つ。
「いのかしら」ですよ。
自宅に戻ってみると2万歩越え。
歩数はスマホのセンサーによる計測だが、距離はどう判断しているのか不明で信頼できない。とうやらGPSでは測っていないようだし歩幅もスマホに登録していない。
2022年の1月から日常生活以外に週に3回、合計で3万歩の散歩ノルマを課している。大体1回に1万3000歩前後を歩くことが多い。その甲斐あって現在は至って健脚。でも2万歩を超えるとちょっと疲れる。
とりあえずお疲れ様自分だった5月3日。
よく歩きいろいろ見て楽しいゴールデンウィークでした。
おしまい
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│お花畑探訪