2024年09月19日

18年ぶりに新聞を読んだ その2 オートロックの話

前回に書いたように現在の新聞は2000年と較べて、
発行部数は半減、広告収入は7割減と右肩下がりまっしぐら。
ちなみに発行部数のピークは1997年。

その原因はネットの普及。
正確に言うならスマホの普及である。

グラフは2000年からの新聞発行部数(一般紙&スポーツ紙計)を示している。部数の数字は入れると読みにくくなるので省略。またグラフの傾きをわかりやすくするため縦軸の下限はゼロではなく2500万部にしてある。参考までに2000年の発行部数は約5370万部、2023年が2859万部。

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2000年当初より発行部数は緩やかに減少しているものの、2008〜2009年にスマホが発売されてグラフの傾きが増し、2017年にスマホ普及率が70%を超えるとさらに急ピッチで減少しているのがわかる。(ここでのスマホ普及率とは携帯電話に占めるスマホ比率)


わざわざこんなグラフを作るまでもなくスマホが新聞離れの原因なのは間違いない。しかし私が定期購読をやめたのはスマホ発売前の2006年。それはマンションがオートロックになって戸別の玄関ドアまで配達されなくなったのが理由。もはや玄関ドアには新聞受けもついていない。
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言い換えればオートロックじゃなければ「知性のエサ」として今でも新聞を取っていると思う。そんな人はそれなりにいるはず。タワマンの上層階に住んでいれば1階の郵便受けまで、エレベーターで降りて上がって帰ってくるまでに5分近くかかる。なのに新聞の発行部数減少について調べてもオートロックに言及した解説は皆無。ちょっと分析が偏りすぎなんじゃない?


ーーーと思いながら、
はてオートロックのマンションに住んでいる人は、いったいどれくらいいるのだろうとの新たな疑問がフツフツと。

そこで調べてみた。

あまり詳細なデータは見つけられなかったものの、参照したのは総務省が所管する「住宅・土地統計調査」。これは国勢調査を始め全部で53ある国の基幹統計調査のひとつ。住宅・土地統計調査は5年ごとに実施され、最新は令和5年(2023年)版だが、令和5年と前回の平成30年版ではオートロックに関するサマリー(分析要約)が発表されておらず、データ集計表に当たるのも面倒なので平成25年(2013年)版を使った。それによると

住宅総数6063万戸
うち
  居住世帯あり5210万戸
  居住世帯なし853万戸

  居住世帯なし住宅には別荘や建築中も含まれ、いわゆる空き家は820万戸。
  空き家が住宅総数に占める割合は13.5%で何と「7軒に1軒」の割合。
  またこの空き家率は2023年調査では900万戸13.8%に上昇している。

居住世帯あり5210万戸
うち
  一戸建て2860万戸
  共同住宅2209万戸
  その他142万戸

  その他のうち129万戸を長屋が占めている。今風に建ててあるならタウンハウス。
  建築の分野では住民共用の玄関や廊下・階段など「共用部」があるのが共同住宅。
  長屋は各住戸が連結しているだけだから共同住宅ではないとは初めて知った。

共同住宅2209万戸
うち
  非木造1932万戸
  うち
    エレベータあり1002万戸  1932万戸に対して51.9%
    オートロックあり694万戸 1932万戸に対して35.9%

となっている。
オートロックあり694万戸が結論だが、全体をイメージするために他の数値も書いてみた。


それで全住宅のオートロック比率を計算すると

  オートロックあり694万戸 ÷ 居住世帯あり5210万戸 = 13.3%

ウ〜ン少ない(/o\)
たった13.3%じゃ新聞発行部数の減少に大きな影響を与える要因にはなり得ない。

人はどうしても自分の感覚や身の回りの経験値で判断をしがち。だからリサーチされたデータで客観的に状況を把握するのは大切。仕事柄そういう行動は身についているのに、それでも住宅・土地統計調査を調べるまで、オートロックもそれなりに影響しているのでは?と思っていたから、まだまだ修行が足りないね。

  □\(.. ) 反省 (関係ないけど反省するサルが人気になったのは1988年)




おしまい

<補足>
前回の投稿は一部の年数表記に誤記がありました。
現在は修正済み。

wassho at 20:07│Comments(0) 生活、日常 

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