2024年10月19日
雄しべと雌しべの勘違い
ひとつ前のブログを書く際に植物の精細胞と卵細胞の大きさを調べて、必然的に雄しべと雌しべについてもあれこれと知ることとなった。それで雄しべと雌しべについてずっと勘違いしていた事実があると判明。今回は恥を忍んで(/o\) そのお話。
植物にはいろいろな系統がある。詳しいところは興味があればご自分で調べていただくとして、一般にイメージする花が咲くのは被子植物。画像はhttps://gakusyu.shizuoka-c.ed.jp/science/chu_1/seimei/syokubutunobunrui/10.htmlから引用
当然ながら花には雄しべと雌しべがある。
雄しべが作った花粉がめしべの柱頭(先端)につくのが受粉で、そこから花粉が雌しべの奥にある胚珠(はいしゅ)に向かって花粉管を伸ばし、そこに精細胞を送り込んで胚珠にある卵細胞と合体するのが受精と前回に書いた。
精子は泳ぐけれど花粉は空を飛べないので、何かによって雄しべから雌しべまで運ばれる必要がある。それが媒介で以下に分類される。媒介とは「取り持つ、橋渡しをする」といった意味。
風媒
水媒
虫媒
鳥媒
コウモリ媒
カタツムリ媒
(コウモリは鳥じゃなく哺乳類で、カタツムリは昆虫じゃなく貝の仲間ね)
一番イメージするのは虫媒だろう。
ミツバチは蜜と花粉を集めに、蝶は蜜を吸いに花に集まってくる。
鳥媒はウメに寄ってくるメジロくらいしか思い浮かばないな。画像はhttps://www.oricon.co.jp/special/58436/から引用
いずれにせよ、そのときに虫や鳥の身体についた花粉が雌しべに触れることによって受粉する。農家ではそれで不足する場合、人の手による人工授粉も行われる。人工授粉の画像はhttps://www.aomori-ringo.or.jp/kids/cultivation/とhttps://apron-web.jp/kihon/15273/から引用
さてである。
花には雄花と雌花に分かれているものもあるが、多くは雄しべと雌しべを持つ。言い換えればオスとメスの性質を併せ持つ両性花。ということは虫や鳥が媒介するとき、あるいはモフモフや筆で人工授粉をしたら、自分の花粉が雌しべに受粉してしまう。その場合、種として生まれてくるのは近親交配を通り越して自分のクローンになる。それで問題ないのか?
あまり深く調べたことはなく、
(/_')/ソレハコッチニオイトイテ
とりあえず自分の花粉が自分の雌しべに受粉するのは問題ないとするなら、どうして雄しべと雌しべがもっと接近して、お互いが接触するように伸びてこないのだとの疑問をずっと持っていた。もっと近ければ虫や鳥の媒介を必要とせず、わずかな風で受粉できるのにコイツらアホちゃうかと。
違う視点でヒントになるのは、冒頭に載せた系統図のシダ植物や裸子植物。地球の歴史を見ると発生はシダ植物→裸子植物→被子植物の順。時期を書けば4億年前→3.8億年前→2億年前に生まれている。つまり裸子植物の進化版が被子植物。裸子植物には雄しべ雌しべではなく、雄花と雌花が分かれている異性花も多い。異性花が進化してひとつの花で受精を完結する両生花になったのか。ひょっとすると雄しべ雌しべのある両性花も進化の途中で、そのうち植物は受粉ではなく内部で子孫を増やす仕組みを獲得するのかと思ったり。
そうなると植物に花は必要なくなるので、
ガーデニングの楽しみがなくなって困るなあ。
まっ、何億年か先の話だからいいか(^^ゞ
ところがである。
先日に植物の精細胞と卵細胞を調べていたときに、ソレハコッチニオイトイタ自分の花粉が雌しべに受粉してしまうのはやはり問題だったと知る。
人間の場合は46本の染色体 ≒ DNA ≒ 遺伝子を持ち、それは両親の精子と卵子から23本づつ受け継いだもの。どの生物も似たような仕組みで多様性を確保している。近親交配の弊害は省略するが、やはり植物でも同じなのだ。
植物の受粉は次のように分類されている。
自家受粉:同じ花の雄しべと雌しべで受粉
他家受粉・隣家受粉:同じ株の別の花の花粉で受粉
他家受粉・異株受粉:別の株の花粉で受粉(これが狭義の他家受粉)
望ましいのは狭義の他家受粉で、そのために植物は
雄しべと雌しべの成長時期をずらす
という作戦で自家受粉を防いでいる。これを雌雄(しゆう)異熟といい、雄しべが花粉を作るときに雌しべがまだ受粉できない状態にあるのを雄性(ゆうせい)先熟、その逆が雌性(しせい)先熟。
また同じ花の花粉では受粉しない自家不和合性を持つ品種や、他にもいくつかの自家受粉を防ぐ仕組みがある。
しかし他家受粉をするには、何かを媒介にして花粉が運ばれてこなければならない。またそれが運良く雌しべの先端である柱頭に接触する確率も100%ではないだろう。そこで植物は他家受粉ができないとなると、最後の手段として自家受粉を行う(品種もある)。できれば他家受粉で健康的な子孫を、それが無理ならリスクがあっても自家受粉でとにかく子孫を残す万全の備えを持った二段構え戦略。
そんな素晴らしさも知らずに「コイツらアホちゃうか」と失礼極まりない発言をして、
雄しべさん、雌しべさん、申し訳ございませんでしたm(_ _)m (^^ゞ
<追伸>
雌雄異熟だと、雄しべと雌しべの成熟時期が異なるのに、どうして自家受粉できるのかわからないが、そこまでは調べていない。
話は変わるが稲も被子植物。
しかし稲に花が咲いたり、そこにハチや蝶が集まっている光景は想像しづらい。
調べてみるとこれが稲の花。初めて見た。画像はhttps://www.ajfarm.com/yamagata/2721/から引用
稲は風媒花。風媒花は昆虫や鳥の興味を引く必要がないので一般的に花が地味。そして稲の場合は、開花直前に雄しべの花粉が雌しべの花粉に降りかかる仕組みになっており、風媒花に分類されても実際には自家受粉だけで子孫=種を残す。
ところで米は稲の種だけれど、ご飯は種を食べているなんて意識はまったくないね。
植物にはいろいろな系統がある。詳しいところは興味があればご自分で調べていただくとして、一般にイメージする花が咲くのは被子植物。画像はhttps://gakusyu.shizuoka-c.ed.jp/science/chu_1/seimei/syokubutunobunrui/10.htmlから引用
当然ながら花には雄しべと雌しべがある。
雄しべが作った花粉がめしべの柱頭(先端)につくのが受粉で、そこから花粉が雌しべの奥にある胚珠(はいしゅ)に向かって花粉管を伸ばし、そこに精細胞を送り込んで胚珠にある卵細胞と合体するのが受精と前回に書いた。
精子は泳ぐけれど花粉は空を飛べないので、何かによって雄しべから雌しべまで運ばれる必要がある。それが媒介で以下に分類される。媒介とは「取り持つ、橋渡しをする」といった意味。
風媒
水媒
虫媒
鳥媒
コウモリ媒
カタツムリ媒
(コウモリは鳥じゃなく哺乳類で、カタツムリは昆虫じゃなく貝の仲間ね)
一番イメージするのは虫媒だろう。
ミツバチは蜜と花粉を集めに、蝶は蜜を吸いに花に集まってくる。
鳥媒はウメに寄ってくるメジロくらいしか思い浮かばないな。画像はhttps://www.oricon.co.jp/special/58436/から引用
いずれにせよ、そのときに虫や鳥の身体についた花粉が雌しべに触れることによって受粉する。農家ではそれで不足する場合、人の手による人工授粉も行われる。人工授粉の画像はhttps://www.aomori-ringo.or.jp/kids/cultivation/とhttps://apron-web.jp/kihon/15273/から引用
さてである。
花には雄花と雌花に分かれているものもあるが、多くは雄しべと雌しべを持つ。言い換えればオスとメスの性質を併せ持つ両性花。ということは虫や鳥が媒介するとき、あるいはモフモフや筆で人工授粉をしたら、自分の花粉が雌しべに受粉してしまう。その場合、種として生まれてくるのは近親交配を通り越して自分のクローンになる。それで問題ないのか?
あまり深く調べたことはなく、
(/_')/ソレハコッチニオイトイテ
とりあえず自分の花粉が自分の雌しべに受粉するのは問題ないとするなら、どうして雄しべと雌しべがもっと接近して、お互いが接触するように伸びてこないのだとの疑問をずっと持っていた。もっと近ければ虫や鳥の媒介を必要とせず、わずかな風で受粉できるのにコイツらアホちゃうかと。
違う視点でヒントになるのは、冒頭に載せた系統図のシダ植物や裸子植物。地球の歴史を見ると発生はシダ植物→裸子植物→被子植物の順。時期を書けば4億年前→3.8億年前→2億年前に生まれている。つまり裸子植物の進化版が被子植物。裸子植物には雄しべ雌しべではなく、雄花と雌花が分かれている異性花も多い。異性花が進化してひとつの花で受精を完結する両生花になったのか。ひょっとすると雄しべ雌しべのある両性花も進化の途中で、そのうち植物は受粉ではなく内部で子孫を増やす仕組みを獲得するのかと思ったり。
そうなると植物に花は必要なくなるので、
ガーデニングの楽しみがなくなって困るなあ。
まっ、何億年か先の話だからいいか(^^ゞ
ところがである。
先日に植物の精細胞と卵細胞を調べていたときに、ソレハコッチニオイトイタ自分の花粉が雌しべに受粉してしまうのはやはり問題だったと知る。
人間の場合は46本の染色体 ≒ DNA ≒ 遺伝子を持ち、それは両親の精子と卵子から23本づつ受け継いだもの。どの生物も似たような仕組みで多様性を確保している。近親交配の弊害は省略するが、やはり植物でも同じなのだ。
植物の受粉は次のように分類されている。
自家受粉:同じ花の雄しべと雌しべで受粉
他家受粉・隣家受粉:同じ株の別の花の花粉で受粉
他家受粉・異株受粉:別の株の花粉で受粉(これが狭義の他家受粉)
望ましいのは狭義の他家受粉で、そのために植物は
雄しべと雌しべの成長時期をずらす
という作戦で自家受粉を防いでいる。これを雌雄(しゆう)異熟といい、雄しべが花粉を作るときに雌しべがまだ受粉できない状態にあるのを雄性(ゆうせい)先熟、その逆が雌性(しせい)先熟。
また同じ花の花粉では受粉しない自家不和合性を持つ品種や、他にもいくつかの自家受粉を防ぐ仕組みがある。
しかし他家受粉をするには、何かを媒介にして花粉が運ばれてこなければならない。またそれが運良く雌しべの先端である柱頭に接触する確率も100%ではないだろう。そこで植物は他家受粉ができないとなると、最後の手段として自家受粉を行う(品種もある)。できれば他家受粉で健康的な子孫を、それが無理ならリスクがあっても自家受粉でとにかく子孫を残す万全の備えを持った二段構え戦略。
そんな素晴らしさも知らずに「コイツらアホちゃうか」と失礼極まりない発言をして、
雄しべさん、雌しべさん、申し訳ございませんでしたm(_ _)m (^^ゞ
<追伸>
雌雄異熟だと、雄しべと雌しべの成熟時期が異なるのに、どうして自家受粉できるのかわからないが、そこまでは調べていない。
話は変わるが稲も被子植物。
しかし稲に花が咲いたり、そこにハチや蝶が集まっている光景は想像しづらい。
調べてみるとこれが稲の花。初めて見た。画像はhttps://www.ajfarm.com/yamagata/2721/から引用
稲は風媒花。風媒花は昆虫や鳥の興味を引く必要がないので一般的に花が地味。そして稲の場合は、開花直前に雄しべの花粉が雌しべの花粉に降りかかる仕組みになっており、風媒花に分類されても実際には自家受粉だけで子孫=種を残す。
ところで米は稲の種だけれど、ご飯は種を食べているなんて意識はまったくないね。
wassho at 23:02│Comments(0)│
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