2024年11月11日
どうしてツボ(鍼灸・指圧)を医学・科学的に解明しないのかな その4
過去3回までに書いたように、
ツボの刺激に一定の効果はある。
それを示す臨床データもある。
しかし言い伝えられてきた気や経絡などは存在しない。
当然ながら経絡上にあるとされるツボそのものにも実体はない。
つまり鍼灸や指圧は間違った理論によって説明されている。天体を観測して地球が宇宙の中心だと天動説を唱えていたのと同じ。
<疑問その1>
人類がツボを活用した歴史は原始時代まで遡る。今のところの最古記録は、アルプスの雪山から氷漬けミイラとして見つかった、5300年前(新石器時代)の遺体に残っていたツボ治療の痕跡。
中国でツボが用いられたのは4600年ほど前とされ、理論体系化されたのは2200年前の後漢末期。曹操、劉備、孫権が覇権を争った三国志の時代でもある。
日本には4〜5世紀のヤマト王権時代=古墳時代に、来日した新羅(朝鮮)の医師によって最初にもたらされた。その後、7世紀の飛鳥時代に遣隋使・遣唐使が教本などを持ち帰った記録がある。また官職としての鍼灸師もいた。広く普及したのがいつ頃かはわからないが、平安時代の貴族の日記にはお灸の話がよく出てくるらしい。鍼が広まったのは室町時代になってのようだ。
さてその頃はもちろん、まあ明治の中頃までなら「気・経絡・経穴」のツボ理論を信じるのは仕方なかったとして、どうして今でも鍼灸師はそんな嘘八百な解説をするのだ? そして何と鍼灸師の国家試験を見たら経絡に関する出題があった(/o\)
ひょっとしたら「東洋医学の考えでは」と前置きを付ければ、科学的ではない話をしても許されると考えている? 私が常々バカじゃないかと思っている「暦の上では」とその話に意味がないのを断って、立春とか二十四節気で季節を述べたがる人の心理と一緒なのかな。理由は何であれ間違いは訂正しなければならない。地球が太陽の周りを回る地動説に基づくべきなのは当然。
<疑問その2>
とはいっても鍼灸師がツボの原理・メカニズムを解明できるわけではない。彼らは医療類似行為の技術者であり、そこまでの医学や生理学的な知識はない。解明するのは医者や研究者の仕事。
しかし調べてみると、ツボの原理・メカニズムについて研究が進んでいる様子は見られない。ごくたまに細々との印象。しかもハッキリ言って名前を聞いたことがないような大学での研究がほとんど。その一方で病院つまりは西洋医学の分野で鍼灸治療を取り入れているところは増えているようだ。その中には東大病院も含まれる(リハビリ部門)。そういえば鍼灸ではないけれど、以前に入院したとき漢方薬を飲まされてビックリした。
医学界・科学界がツボや反射区の原理・メカニズム解明に興味がないのが残念。でもどうしてなのだろう。とてつもない発見が隠れていて研究のやりがいがありそうなのに。
もっとも臨床(医療の現場)では原理・メカニズムが不明でも、結果がでて治療に役立てばそれでいいのかも知れない。スマホの中で電子部品やプログラムがどう機能しているか知らなくても便利に使っているのと同じ。
それでも鍼で刺し、モグサを燃やし、指で押したりして、薬も飲まずに身体の不調を改善する摩訶不思議なツボの秘密をナントカ知りたいと望んでいる。
まずは単純な好奇心である。「気」に相当する未知なるエネルギーが発見される可能性はほとんどないとしても、見つかったらそれはそれで生理学・医学と物理学の両方でノーベル賞をもらえる(^^ゞ おそらく刺激によって何らかの伝達物質が放出され、それがネットワーク的に機能しているはずで、それを解明できれば科学・医学は大きく前進する。
そしてそれはフィードバックされて、鍼灸の進化にもつながるに違いない。原理・メカニズム以外の鍼灸の謎は、多数のツボがあって多数の効能があるけれど、どうやってそれを突き止めたのかである。原理・メカニズムがわかっていないのだから、論理的に考えると試行錯誤して見つけたと考えるしかない。つまり現在の鍼灸は人類が5000年以上かけてアッチを刺しコッチを押したりしてツボを探り当ててきた。
原理・メカニズムが解明されれば、新たなツボや新たな効能も見つかるだろう。あるいは2つ同時に刺激を与えれば〜刺激を与える順番で別の働きをするとか。ひょっとしたら「お前はもう死んでいる」の北斗の拳に出てきたような必殺の急所も!
また現在の鍼灸は主に身体の不調を改善する効果しかないものの、原理・メカニズムの解明によって病気の治療にまで発展できる可能性もある。逆にその原理・メカニズムを応用した薬の開発も考えられる。「飲むだけで痛くない!足裏グリグリ君顆粒」なんてのが発売されたりして。
「原理・メカニズム」「どうやって突き止めた」に続く、さらなるそして最大の謎がもうひとつある。ツボや反射区は対象となる臓器や器官と離れた場所にも多く存在している。神様が設計したか自然の進化でそうなったかは別として、身体とはそれなりに合理的に構成されているものである。それなのになぜ関係のない離れた場所に?
松尾芭蕉もお灸を据えた、膝の下にある足三里(あしさんり)のツボは胃腸にも効くという。どうしてそんなところにあるのだ。足三里がお腹にあれば胃腸の調子が悪いときにそこをさすったりして自然と刺激を与えられるのに。頭痛のツボは足の甲にもある。誰が頭が痛いときにそんなところを触るネン!
どう考えても離れた場所にあるのは非合理的。でも既知の知識で推察するからそう思うのであって、これも何か意味があるのだろう。ツボの原理・メカニズムが解明されれば人体や生命の神秘にまた一歩近づけると期待している。一方でこれは設計ミスあるいはプログラムのバグのようなもので、ひょっとしたら鍼灸とはそれを利用したゲームの裏技みたいな方法かとモーソーしたりも。
ところで「その3」では気・経絡・経穴からなるツボ理論を、古代ギリシャ人が「万物は火、空気、水、土からなる」と考えていたようなものと例えた。その4大元素論をベースに中世〜ルネサンス期のヨーロッパで盛んに行われたのが錬金術。
もちろん何かと何かを混ぜ、どのように手を加えようが物質が金に変わることはない(核分裂を利用するなら理論的に可能性はある)。錬金術は最終的にニセモノとして廃れたものの、その課程で質量保存の法則や元素表などが考え出され、様々な化学薬品、蒸留や火薬などの技術の発見にもつながった。つまり錬金術は科学である化学を生み出した。あのニュートンだって錬金術に取り組んでいる。
またあまり知られていないが、錬金術は物質を金に変えると同時に、それを飲むと不老不死をもたらす賢者の石やエリクサーと呼ばれる薬の開発を目指していた。
どう?医学や生理学に携わっている皆さん、
ツボの研究をする気になってきた?(^^ゞ
おしまい
<補足>
指圧は日本で生まれた施術で、大正時代初めに浪越徳治郎によって確立された。子供の頃に彼が「アーッハッハ」と豪快に笑い「指圧の心は母ごころ、押せば生命の泉湧く」と言いながらよくテレビに出ていたのを覚えている。でも単におもしろいオッサンのイメージで、指圧の創始者だったとは知らなかったな。また新婚旅行で来日したマリリン・モンローにも指圧したらしく、彼女の素肌に触れた唯一の日本人ともいわれる(^^ゞ 94歳で亡くなったのは2000年。写真を見るとまさに指圧のためにあるような大きな親指!
ツボの刺激に一定の効果はある。
それを示す臨床データもある。
しかし言い伝えられてきた気や経絡などは存在しない。
当然ながら経絡上にあるとされるツボそのものにも実体はない。
つまり鍼灸や指圧は間違った理論によって説明されている。天体を観測して地球が宇宙の中心だと天動説を唱えていたのと同じ。
<疑問その1>
人類がツボを活用した歴史は原始時代まで遡る。今のところの最古記録は、アルプスの雪山から氷漬けミイラとして見つかった、5300年前(新石器時代)の遺体に残っていたツボ治療の痕跡。
中国でツボが用いられたのは4600年ほど前とされ、理論体系化されたのは2200年前の後漢末期。曹操、劉備、孫権が覇権を争った三国志の時代でもある。
日本には4〜5世紀のヤマト王権時代=古墳時代に、来日した新羅(朝鮮)の医師によって最初にもたらされた。その後、7世紀の飛鳥時代に遣隋使・遣唐使が教本などを持ち帰った記録がある。また官職としての鍼灸師もいた。広く普及したのがいつ頃かはわからないが、平安時代の貴族の日記にはお灸の話がよく出てくるらしい。鍼が広まったのは室町時代になってのようだ。
さてその頃はもちろん、まあ明治の中頃までなら「気・経絡・経穴」のツボ理論を信じるのは仕方なかったとして、どうして今でも鍼灸師はそんな嘘八百な解説をするのだ? そして何と鍼灸師の国家試験を見たら経絡に関する出題があった(/o\)
ひょっとしたら「東洋医学の考えでは」と前置きを付ければ、科学的ではない話をしても許されると考えている? 私が常々バカじゃないかと思っている「暦の上では」とその話に意味がないのを断って、立春とか二十四節気で季節を述べたがる人の心理と一緒なのかな。理由は何であれ間違いは訂正しなければならない。地球が太陽の周りを回る地動説に基づくべきなのは当然。
<疑問その2>
とはいっても鍼灸師がツボの原理・メカニズムを解明できるわけではない。彼らは医療類似行為の技術者であり、そこまでの医学や生理学的な知識はない。解明するのは医者や研究者の仕事。
しかし調べてみると、ツボの原理・メカニズムについて研究が進んでいる様子は見られない。ごくたまに細々との印象。しかもハッキリ言って名前を聞いたことがないような大学での研究がほとんど。その一方で病院つまりは西洋医学の分野で鍼灸治療を取り入れているところは増えているようだ。その中には東大病院も含まれる(リハビリ部門)。そういえば鍼灸ではないけれど、以前に入院したとき漢方薬を飲まされてビックリした。
医学界・科学界がツボや反射区の原理・メカニズム解明に興味がないのが残念。でもどうしてなのだろう。とてつもない発見が隠れていて研究のやりがいがありそうなのに。
もっとも臨床(医療の現場)では原理・メカニズムが不明でも、結果がでて治療に役立てばそれでいいのかも知れない。スマホの中で電子部品やプログラムがどう機能しているか知らなくても便利に使っているのと同じ。
それでも鍼で刺し、モグサを燃やし、指で押したりして、薬も飲まずに身体の不調を改善する摩訶不思議なツボの秘密をナントカ知りたいと望んでいる。
まずは単純な好奇心である。「気」に相当する未知なるエネルギーが発見される可能性はほとんどないとしても、見つかったらそれはそれで生理学・医学と物理学の両方でノーベル賞をもらえる(^^ゞ おそらく刺激によって何らかの伝達物質が放出され、それがネットワーク的に機能しているはずで、それを解明できれば科学・医学は大きく前進する。
そしてそれはフィードバックされて、鍼灸の進化にもつながるに違いない。原理・メカニズム以外の鍼灸の謎は、多数のツボがあって多数の効能があるけれど、どうやってそれを突き止めたのかである。原理・メカニズムがわかっていないのだから、論理的に考えると試行錯誤して見つけたと考えるしかない。つまり現在の鍼灸は人類が5000年以上かけてアッチを刺しコッチを押したりしてツボを探り当ててきた。
原理・メカニズムが解明されれば、新たなツボや新たな効能も見つかるだろう。あるいは2つ同時に刺激を与えれば〜刺激を与える順番で別の働きをするとか。ひょっとしたら「お前はもう死んでいる」の北斗の拳に出てきたような必殺の急所も!
また現在の鍼灸は主に身体の不調を改善する効果しかないものの、原理・メカニズムの解明によって病気の治療にまで発展できる可能性もある。逆にその原理・メカニズムを応用した薬の開発も考えられる。「飲むだけで痛くない!足裏グリグリ君顆粒」なんてのが発売されたりして。
「原理・メカニズム」「どうやって突き止めた」に続く、さらなるそして最大の謎がもうひとつある。ツボや反射区は対象となる臓器や器官と離れた場所にも多く存在している。神様が設計したか自然の進化でそうなったかは別として、身体とはそれなりに合理的に構成されているものである。それなのになぜ関係のない離れた場所に?
松尾芭蕉もお灸を据えた、膝の下にある足三里(あしさんり)のツボは胃腸にも効くという。どうしてそんなところにあるのだ。足三里がお腹にあれば胃腸の調子が悪いときにそこをさすったりして自然と刺激を与えられるのに。頭痛のツボは足の甲にもある。誰が頭が痛いときにそんなところを触るネン!
どう考えても離れた場所にあるのは非合理的。でも既知の知識で推察するからそう思うのであって、これも何か意味があるのだろう。ツボの原理・メカニズムが解明されれば人体や生命の神秘にまた一歩近づけると期待している。一方でこれは設計ミスあるいはプログラムのバグのようなもので、ひょっとしたら鍼灸とはそれを利用したゲームの裏技みたいな方法かとモーソーしたりも。
ところで「その3」では気・経絡・経穴からなるツボ理論を、古代ギリシャ人が「万物は火、空気、水、土からなる」と考えていたようなものと例えた。その4大元素論をベースに中世〜ルネサンス期のヨーロッパで盛んに行われたのが錬金術。
もちろん何かと何かを混ぜ、どのように手を加えようが物質が金に変わることはない(核分裂を利用するなら理論的に可能性はある)。錬金術は最終的にニセモノとして廃れたものの、その課程で質量保存の法則や元素表などが考え出され、様々な化学薬品、蒸留や火薬などの技術の発見にもつながった。つまり錬金術は科学である化学を生み出した。あのニュートンだって錬金術に取り組んでいる。
またあまり知られていないが、錬金術は物質を金に変えると同時に、それを飲むと不老不死をもたらす賢者の石やエリクサーと呼ばれる薬の開発を目指していた。
どう?医学や生理学に携わっている皆さん、
ツボの研究をする気になってきた?(^^ゞ
おしまい
<補足>
指圧は日本で生まれた施術で、大正時代初めに浪越徳治郎によって確立された。子供の頃に彼が「アーッハッハ」と豪快に笑い「指圧の心は母ごころ、押せば生命の泉湧く」と言いながらよくテレビに出ていたのを覚えている。でも単におもしろいオッサンのイメージで、指圧の創始者だったとは知らなかったな。また新婚旅行で来日したマリリン・モンローにも指圧したらしく、彼女の素肌に触れた唯一の日本人ともいわれる(^^ゞ 94歳で亡くなったのは2000年。写真を見るとまさに指圧のためにあるような大きな親指!
wassho at 22:17│Comments(0)│
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