2024年12月29日

オーテク ATH-CKS50TW2 その3

携帯音楽プレーヤーが壊れて、しばらくイヤホンジャックが廃止されたiPhoneで代用するには、携帯DACを使って接続するかワイヤレスイヤホンを使う選択肢がある。ワイヤレスイヤホンにしたのは、このタイトルでの初回に書いたように、現状ではワイヤレスイヤホンにしか備わらなくなったノイズキャンセリング機能に惹かれて。

ノイズキャンセリングを使うのは初めて。その機能が出始めた頃、静かな環境で音楽を聴けるのは魅力的だとしても、私がイヤホンを使うのは外出時だけなので、道路を歩いていて近づいてくるクルマに気がつかなかったらアブナイななどと考えていた。しかしそんな完全に騒音を遮断するレベルではないと知り、携帯音楽プレーヤーが壊れたのを機会に購入してみた。


写真はノイズキャンセリング効果のイメージ写真。画像はhttps://www.ankerjapan.com/blogs/magazine/noise-cancellingから引用
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実際の騒音はこんなに小さくはならない。感覚的には半減といったところ。クルマの走行音は聞こえるし、電車のアナウンスを聞き逃す心配もない。すれ違う人の話し声だって聞こえる。そして電車が走っているガード下では、しっかり?音楽が聞こえなくなる。

それでも普通のイヤホンと較べれば圧倒的に静かなのは確か。購入した最初の2〜3日は、幹線道路沿いや電車の中でノイズキャンセリング機能のオンオフを繰り返して「お〜静かだ、静かだ」と一人でニヤニヤしていた(^^ゞ オフからオンにした直後はまさにイメージ写真のように感じられ、まるで同じ場所の音のない別世界に転移したような錯覚におそわれる。こんな体験は他では味わえない。そのためだけにノイズキャンセリングのイヤホンを買う価値があるとはいわないけれど、周りに持っている人がいれば試させてもらうといい。

ノイズのキャンセリング率は半減程度と書いたものの、その効果は大きくてガード下のような場所を除けば、音楽の弱音部もきちんと聴き取れる。逆に言うと今まで普通のイヤホンで音楽を楽しんできたつもりだったのに、ただ鳴っている音を感じ取っていただけかもという気がしているくらい。


携帯音楽プレーヤーの代用としたiPhoneはあまりメモリーに余裕がなく、CDからリッピングしたファイルを移していないし、Amazonミュージックもダウンロードせずストリーミングのみで使っている。そこで気になっていた各種の消耗量をチェックしてみると

<3時間使用時>

  通信量  0.43ギガ
  イヤホンのバッテリー減少 15%

イヤホンはノイズキャンセリングを作動させた状態。その場合のメーカー公称値は1回の充電で15時間の使用。しかし1÷0.15×3時間=20時間なので、今のところそれを上回っている。

また1時間使用した際のiPhoneバッテリーの減少は10%。これは携帯の電波を使ってAmazonミュージックにアクセスし、音楽ファイルを再生し、それをブルートゥースで飛ばす以外は他の操作を何もしていない状態での電力消費(操作はしなくてもスマホはバックグラウンドで何かと稼働しているが)。どうして上と同じ3時間に揃っていないかというと、スマホを3時間まったく触らないのが難しいから。

とりあえずはギガやバッテリーの減りを心配しないでワイヤレスイヤホンを使えそうである。

なおAmazonミュージックのストリーミングは品質=ファイル容量=通信量をWi-Fiと携帯電波の使用時で個別に設定できて、今のところ携帯電波(図ではモバイルデータ)では「自動」に設定している。おそらくほとんどの使用場面で HD/Ultra HDで通信していると思われる。(HDがCDと同じクオリティ、Ultra HDがいわゆるハイレゾ。アルバムによってどちらかが設定されている)
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しばらくはiPhoneを携帯音楽プレイヤーとして その2」で書いたように、ブルートゥースは音楽データを間引いてイヤホンに送信している。またそのコーデック(間引き方)もiPhoneはAACと呼ばれる標準タイプで高品質=少なく間引く仕様ではない。

だったらハイレゾでストリーミングする意味はないようにも思える。しかしこんな計算が成り立つかは知らないが、

   200の情報量を2割間引きすれば160
   100の情報量を2割間引きすれば80

だからやはりハイレゾのほうが音がいいのではないかと。

実際のところは気分的な問題(オーディオではこれ大事)と、外で動画などはあまり見なくてギガは充分に余っているからそうしているだけ。HD/Ultra HD・標準・データ通信節約の聴き較べもまだしていない。もし違いがまったくわからなければ落ち込むし(^^ゞ なおHD/Ultra HDの固定にしていないのは通信環境の悪いエリアに入って音楽が止まったらうっとうしいとの理由で。


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さて書きかけていたATH-CKS50TW2の音質について話を戻す。
それまで使っていたゼンハイザーの IE 100 PROと今回のCKS50TW2。

正確には

   DP-X1AのDACとアンプを経由したIE100PROの音

   iPhoneからAACコーデックのブルートゥースで送り込み
   CKS50TW2のDACを経由したCKS50TW2のイヤホン部の音

との比較で音質は

   IE100PRO > CKS50TW2

となる。これは接続方式も価格も違うし当然の結果。
ここまでは前回に書いた。


ただしこれは部屋の中で聴き較べた場合。そしてCKS50TW2でノイズキャンセリングを働かせて、外出時にどちらが音楽を楽しめるかの観点からは圧倒的に

   IE100PRO < CKS50TW2

となる。なんたって普通のイヤホンであるIE100PROでは、少しうるさいところにいれば音楽をあまり聴き取れていないのだから。そもそもそんな場所で「音質」なんて評価は成り立たない。そして私は外出時にしかイヤホンで聴かない。

携帯音楽プレーヤーDP-X1AとIE100PROは定価ベースで合計11万円ちょっと。それが定価ベースで2万5000円しないCKS50TW2が「外出時」に限れば音質で上回る。組み合わせ価格50万円の機材と較べてもこれは変わらない。もう一度書くが、音楽として聴き取れなければ音質以前の問題なのだ。価格と性能が比例しないのは、最高級のカシミアコートでも、暖かさでは安物のダウンジャケットに敵わないのに似ている。

考えたらごく当たり前の話。しかしノイズキャンセリングを体験するまでそんな比較は考えてもみなかった。自分の理解している範囲で理解しちゃいけないと訓練を積んできたつもりでも、まだまだ精進が足らないようで(/o\)

ところで世の中には50万円以上するイヤホンもある。eイヤホンのホームページで調べてみると、有線で一番高価なイヤホンは138万円、専用アンプがセットになっている製品で250万円なんてのもあった。少し前まで宝くじでも当たったら買ってみるかと思っていたけれど、もう3回連続で一等でも買わないだろうな(^^ゞ


もっともCKS50TW2に満足しているわけでもない。たまにIE100PROの音が耳によみがえってきて残念に思うこともある。またノイズキャンセリングを働かせるとわずかに音質が低下する。

それでも、もうノイズキャンセリングなしは考えられないから、次に買い換えるのもワイヤレスイヤホン一択。有線と違ってワイヤレスは高くても5万円から10万円くらい。でもiPhoneのAACコーデックではおそらくその価値を発揮できない。それを回避する選択肢は幾通りかあるとはいえ、どれも一長一短。まあそれをいろいろ考えるのも趣味のうちではあるが。まだCKS50TW2は買ったばかりだし、半年か1年後にまた楽しく悩みましょう。

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おしまい

wassho at 21:48│Comments(0) 音楽、オーディオ 

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