音楽、オーディオ

2024年04月24日

イヤホンのケーブルが絡まない方法

イヤホンのケーブルは絡まりやすいもの。携帯音楽プレーヤーと一緒にポケットに入れて、その後にポケットの中を触っていないのに取り出すと見事に絡まっている。カバンに入れても同じ。何と机の上に置いておくだけも絡まる!

イラスト

今時はワイヤレスでしょ?と言われそうだが私は有線のイヤホンが好み。理由はふたつあって、ただでさえあれこれ充電しなければいけない機器が多いのに、これ以上は増やしたくない=充電忘れをしたくないから。それとワイヤレスのイヤホンはイヤホン内部でDA(デジタル・アナログ)変換している。言い換えればイヤホン自体が音作りをする。現在使っている携帯音楽プレーヤーの音をそこそこ気に入っているので、それを変えたくない気持ちもある。


以前はソニーのイヤホンをよく使っていた。それはセレーション加工という表面にわずかな凹凸を施した絡みにくいケーブルだったから。見た目は普通のケーブルとほとんど変わらない。最初は「本当に絡まない?」と半信半疑だったものの効果は絶大。ケーブルが絡むストレスは1/1000に減ったといっても大げさではない。なお英語でserrationとはノコギリの歯のような形状。

セレーションコード

それからしばらくイヤホンは

  ソニー製:セレーションコードだから
  低音重視タイプ:主に聴くクラシックには、そのほうが安定感があって聴き疲れしない
  1万円前後:私の耳にはそれくらいで充分

との明確な選択基準を持っていた。

しかし6〜7年前からソニーはワイヤレスに注力して、そういう中間価格帯のイヤホンを作らなくなってしまった。現在ソニーの有線イヤホンのラインナップは25万円から8万円と、5000円以下の2つのゾーンしかない。


さて現在使っているイヤホンはゼンハイザーの IE 100 PRO。これは発売直後の2021年7月にe☆イヤホンで購入。当時1万2870円。調べてみると価格は今もあまり変わっていないようだ。ただしゼンハイザーはドイツのメーカーで、その頃のドル円は110円で今は155円と円安だから、それにより値下がり分が相殺されている可能性もある。

IE 100 PRO1

IE 100 PRO2

ところで今頃になって、このイヤホンについてブログを書いていなかったと気がついた。超簡単にレビューすると、ごくニュートラルで素直な音質である。悪く言えば何の素っ気も特徴もない音。でも特に不満はない。また一般にイヤホンやスピーカーは最初は音が少し固く時間と共に馴染んでくるもの。馴染ませるのをエイジングというが、このイヤホンはまったくそれが必要なく、またしばらく使っても音が変わらなかったのを覚えている。


しかし約2年後の2023年の5月にケーブル断線(>_<)
今まで断線は何度も経験して、その度に買い換えてきたのが私のイヤホン歴。ただしこのIE 100 PROはケーブルの交換ができる。よく覚えていないもののケーブル交換ができるイヤホンで一番安かったからこれを選んだような記憶もある。

それでケーブルを交換(業界ではリケーブルと呼ぶ)しようと思ってビックリ。イヤホンより値段が高い商品がほとんど! リケーブルなんて音質にこだわるマニア向けだからそうなるのだろう。

ケーブルがなければイヤホンは機能しないので、何とかAmazonで3280円のケーブルを見つけて購入。いわゆる中華のノンブランド商品。写真で見えている端子の先にイヤホン本体を差し込んでリケーブル完成。オリジナルは断線したから聴き較べはできていないが高音域が若干キレイになってよし。ただし目隠しテストをすればわからない「気のせい」レベル。でもオーディオはそれが大事(^^ゞ

ケーブル1

実はこのケーブルに変えてよかったのは音質よりもケーブルの柔らかさ。IE 100 PROは耳の後ろにケーブルを沿わせる、いわゆるシュア掛けをする設計。シュア掛けとはアメリカのShure(シュア)というメーカーが提唱しているイヤホン装着法。画像はhttps://e-earphone.blog/?p=1264934から引用改変

シュア掛け

それでIE 100 PROのオリジナルケーブルでは、写真に示した部分が固められており装着しづらかったが、こちらはケーブルだけなので柔らかくシュア掛けしやすい。逆にゼンハイザーがどうして耳に近い部分を固めるのか疑問。

IE 100 PRO3



さてようやく本題。
新しく買ったケーブルは写真でわかるように2本ケーブルの撚り線になっている。このタイプは真っ直ぐなケーブルよりは絡みにくい。でも油断していると絡まってイライラする。イヤホンとはそういうものと半分は諦めていたところ、先日とある方法を思いつく。

ケーブル2



それはフック。
グルグル・クシャクシャのまま放置するから絡むのだ。

   イヤホンを携帯プレイヤーから外す。
   フックに掛けておく。
   それだけ。

フック

もちろんこの方法は自宅やオフィスなどでしか使えず、移動中にポケットやカバンに入れている間に絡むのは防げない。しかしさあ出かけようと思ったらイヤホンが絡まっていて、それをほどくのに時間が掛かってイライラする事態は避けられる。振り返ってみると私の場合はそのケースが最も多い。

またケーブルがクルクルと捻れてヘンな癖が付いてしまうのも防げる。文章的に説明不足かも知れないが下の写真を参考に。そういえばまだ電話の受話器がカールコードでつながれていた昭和の時代、アイツは常に捻れていた(^^ゞ 画像はhttps://www.itmedia.co.jp/bizid/articles/0705/28/news018.htmlから引用

カールコード



例によって前書きと脱線が長かったけれどm(_ _)m
別にフックでなくてハンガーやドアノブやその他どこでも、
イヤホンを吊すだけだからとりあえずお試しを。

wassho at 19:18|PermalinkComments(0)

2022年11月07日

オーケストラのめずらしい光景ふたつ

毎週の録画リストに入っているNHKのクラシック音楽館。主にNHK交響楽団のコンサートを放送している。音楽はもちろん聴くものだけれど、演奏の様子を眺めていると音楽がよく耳に入って何かと発見もある。クラシックを聴くなら見るべしなのが私の考え。


そのクラシック音楽館で音楽そのものとは関係ないものの、
2週続けてめずらしい光景を見た。


まずは10月23日放送の「2022セイジ・オザワ 松本フェスティバル」から。

マスクを耳に引っかけたままホルンを吹く演奏者!
IMG_1766

いずれコロナが昔話になった時、
こんなこともあったとネタになるかと思い載せておく。

オーケストラでは、ほぼずっと弾き続けている弦楽器と違って、管楽器はところどころで演奏することが多い。それで彼女は演奏のないパートではマスクをつけて待機していたんだろう。マスクを完全に顔から外せばいいのにと思うが、コロナを恐れて楽器を吹くギリギリ直前までマスクをしていたかったのか、あるいは横着な性格なのか(^^ゞ

他の管楽器奏者は耳にマスクなし。
おそらく最初からマスクをしていないと思われる。
IMG_1780


全体風景。
IMG_1784

少し前までオーケストラ全員がマスクをしていた時期もあった。現在は、この画像で見るとマスクをしているのは彼女を含めて5名ほど。そういえば全員マスクだった頃、管楽器の人たちはどうしていたんだっけ? なぜかまったく記憶がない。



次は11月6日放送の「95歳の巨匠ブロムシュテットの芸術(1)〜マーラーの第9番」から。

ごく普通のオーケストラ演奏に見えるが、
1-IMG_1796


実は指揮者が座って指揮をしている。
2-IMG_1808

3-IMG_1806

話に聞いたことはあっても指揮者が座っているのは初めて見た。指揮をしているヘルベルト・ブロムシュテットは95歳とたいへんな高齢。ただしもう身体がヨボヨボだからではなく、今年の6月に転倒して入院したのが影響しているようである。どんな事故だったかの詳細は分からなかったものの、ステージに出てきた時の様子から骨折とかではなさそう。

楽団員に支えながらも、しっかり歩いているブロムシュテット。
4-IMG_1791


意外にも座っての指揮にまったく違和感はなかった。指揮者によってはものすごくオーバーアクションな人もいる。しかしブロムシュテットはその逆のタイプだから、別に立って指揮する必要もないかと思えたり。
5-IMG_1794

番組ではリハーサルの様子やインタビューの映像もあって、ブロムシュテット爺ちゃんは歩くのには苦労していても95歳とは思えないほど元気だった。さすが、もう10年以上前から「今回が最後の来日か」と言われながら、毎年やって来ているだけのことはある(^^ゞ とりあえず回復して何より。

wassho at 21:23|PermalinkComments(0)

2022年10月13日

テレビを見ながら音楽を聴く画期的な方法

バラエティやドラマはほとんど見ない、そんなテレビっ子ではまったくない私の生活に変化が起きたのは2015年。英語講座をきっかけにEテレ(NHK教育放送)の面白さに目覚めてやたら録画するようになった。今ではNHK総合の番組もいくつか録画している。いろいろ問題も取り沙汰されるNHKであるが、「ためになる番組」の制作能力は民放と較べて格段に高いと評価している。正確にいえば民放はそういう番組を作る気がないので較べられないが。

さて昔のビデオデッキと較べれば今は録画も簡単である。連続予約を設定しておけば毎週の放送を録り逃す心配もない。また個別の予約とは別に、6チャンネル分を24時間自動録画する機能もついているテレビを使っているから、単発の番組を録画し損ねても大丈夫。

問題は録画した番組すべてを見られないこと(^^ゞ



話は変わって音楽。
こちらはCDを買うのをやめて、昨年の6月からAmazonミュージックのサブスクへ切り替えた。そうなると聴くことのできるタイトル数はほぼ無限。

メインのクラシックは、タワーレコードが毎月ホームページに掲載する「レコード芸術特選盤」から面白そうな作品をピックアップし(URLのショートカットを保存している)、それをAmazonミュージックで探して自宅のオーディオで聴く。そして特によかったアルバムは携帯音楽プレーヤーにダウンロードして外出時にも聴くというスタイル。ただし現時点でピックアップはしたものの、まだ聴いていないアルバムが100作品以上ある。そしてそれが毎月20作品ほど増えていくわけで。単純計算すれば、5ヶ月前にピックアップしたものをまだ聴けていない。

オーディオで聴くといっても、スピーカーの前に座ってじっくり聴くのは稀で、たいていは何かをしながら聴いていることがほとんど。CDを買っていた時と違って、最初の数分でハズレと判断して聴くのを中断する場合もあるけれど(それで後悔しないのがサブスクのいいところ)、それでもピックアップしたリストが空になる日は永遠に来ないと思う。

つまり録画したテレビ番組と同じように、音楽を聴く時間も圧倒的に足らない(/o\)



もっともテレビ番組にせよ音楽にせよ、これらはお楽しみのためのものであって、見られない・聴けないからといって別に何か支障をきたすものではない。だから時間が無くて困ったとの気持ちにはならない。お楽しみが尽きないのはうれしい話なのだから。

でも本音ではもっとたくさん見たい・聴きたい(^^ゞ
そして画期的な方法を数日前に発見した!


先ほど音楽は何かをしながら聴いていると書いた。具体的にはパソコンしていたり本を読んだりしながらである。でもテレビを見ながらは、テレビにも音声があるのでそれは無理。言い換えればテレビと音楽は二者択一の選択。

ーーーと当然のように考えていたが

実は現在、ほとんどの番組に字幕が付けられている。いわゆるテロップとは別物で、字幕放送という本来は聴覚に障害のある人向けのサービス。テレビのリモコンの「字幕」などのボタンで字幕を出す・出さないを切り替えられる。これを使えばテレビ音声を出さずに番組を見られるし、つまりは同時に音楽を聴くことが可能になる。

たまたまテレビを見ながらリモコンを手探りで操作して、「字幕」のボタンを誤って押してしまって見つけた(^^ゞ そういえば番組表に字幕放送を示すマークがついているけれど、まったく意識していなかった。まさに怪我の功名。

1

3

もちろん番組内容によっては音声と一緒でないと楽しめないものも多い。また番組内容に合わせて多少は音楽を選ぶ必要もある。それでも音楽を聴く時間を少しは増やせてうれしく思っている。よく「誰にとっても1日は平等に24時間」と諭すように言われたりする。その限界を実質的に超えたゼと、ちょっと鼻高々(^^ゞ

wassho at 09:52|PermalinkComments(0)

2022年10月10日

ポピュラー音楽の作曲家にクラシックを作曲して欲しい

以前に書いた「交響曲を各パート毎に楽器1台だけで、オーケストラを編成した演奏を聴きたい」に続くクラシック音楽業界への要望。今のところ前回を含めて4つほど思い浮かんでいる。


とりあえずこの動画(中身は静止画だけど)を聴いてみて。

これはピーター・ブレイナーという人がビートルズの Help! をバロック音楽にアレンジしたもの。アルバムでは全20曲で、ヘンデル、ヴィヴァルディ、バッハといったバロック期の代表的な作曲家のテイストが盛り込まれている。それぞれの作曲家とブレイナー自身を Let it be のアルバム・ジャケットに模しているのも面白い。

この演奏はバロック音楽としてまったく違和感がない。クラシックをある程度聴いている人なら、これはナンチャッテ・バロックではなくて本格的に編曲されているのが分かると思う。

違う演奏団体でのコンサート風景。最初の曲は何か分からないが、開始1分45秒後からの2曲目は Michelle(ミッシェル) 。Beatles Concerto Grosso あるいは Beatles Go Baroque で検索すればたくさん見つかる。


さてクラシック音楽はバロックの時代から、モーツァルトやベートーヴェンが活躍した古典派を経て、ロマン派、印象主義、新古典主義などにつながっていく。20世紀になってからのものは近代音楽、現代音楽なんて「クラシック」と矛盾した名前。その変遷の大きな方向性を一言でいえば時代が下がるにつれて、だんだんと音楽が複雑になる歴史。難しくなってくると言い換えてもいい。

そうなった理由はメロディー、ハーモニー、リズムの音楽3要素のうち、ハーモニーいわゆる和音の使い方に凝り出すから。古典派の時代にはなかった和音を作り出すことで、新しい音の世界が開けたのは進歩だが、そのうちに変わった和音を使うのが目的化してくる。やがて不協和音なんてのも使われ出す。そして和音や曲の構成に力が注がれる一方で、メロディーの比重が下がってくる。だからメロディーが平凡なクラシックは意外と多い。

それにしても、こんなことを言い切れるのは、クラシック音楽についてほとんど専門的な知識がない者の特権だろうな(^^ゞ だからそのつもりで読んでね。


話は変わってポピュラー音楽(J-POPでもロックでも歌謡曲でも、いわゆる流行り物系の音楽)の作曲家にとってはメロディーが最も大切。いかに心に響く、印象に残るメロディーを生み出すかにしのぎを削っている(打ち込み主体の音楽になって少し変わってきたような気もするが)。平均すればポピュラー音楽作曲家のメロディー創作能力は、クラシック音楽作曲家のそれを上回っているのではないか(特権再活用!)。

ということでポピュラー音楽作曲家の皆さんには、是非ともクラシック音楽の分野に進出して欲しいのである。もちろん従来と較べて長い曲になるから労働時間は増えるし、またアンサンブルならともかく、オーケストラ曲を作曲するのは能力・技術的に難しい話だろう。そしてたいして儲からない(^^ゞ でも500年後に名前を残せるのはクラシックですぞ。


残り2つの要望はいずれそのうち。

wassho at 18:37|PermalinkComments(0)

2021年11月05日

さよならタワレコ その4

AmazonミュージックのHDも含むUNLIMITEDコースに加入した感想を一言で述べると、たくさん音楽をあれこれ聴けて楽しいとごく当たり前の表現になってしまう。

少し補足するなら、クラシックに関しては今までだって聴きたいと思ったCDはだいたい買ってきた。でも内容に確信が持てず買うのを躊躇したものも当然あるわけで、それはもちろん期待と違えばお金がもったいないと思うから。サブスク(サブスクリプション:定額制)ならその心配はなくいくらでも聴ける。聴き始めて1分で「ハズレ」とわかって後悔することもない。

それに「これってどうなんだろう?」と少し興味は持っても、今までならお金を払ってまでCDを買うことはまずなかったようなものもよく聴いている。今ブログを書きながら聴いているはジョスカン・デ・プレ。なんとルネサンス時代の作曲家のミサ曲である。まさかそんな音楽が私の部屋で鳴っているなんて(^^ゞ


音質に関してPRIMEコースのクラシックでは(品揃えが少なかったのであまり聴いていなかったが)高音が出て「いなくはない」のだけれど、響きが足らないというか音が澄み切っていない印象があった。それがHDコースのロスレスあるいはハイレゾ(前回の用語説明を参照してね)では、そんなネガティブ感はなくCDと同じように鳴っている。

ハイレゾなのにCDと同じなのか?と思われるかも知れないが、実はCDと同一曲での聞き較べはしていない。なぜならHDコースの音質に特に不満がないから。私のオーディオこだわり度はその程度のもの。本音を言えば、厳密に聞き較べてもしAmazonミュージックの音質に劣ったところを感じたら、サブスクの楽しさを手放すのかどうか葛藤しなければならなくなるから困る。知らぬが仏も時には大事。


品揃えについてUNLIMITEDコースは私が聴きたいと思うタイトルの8割ほどはある感じ。ここ数年はCDを買う場合にタワレコ(ようやく登場!)の「レコード芸術特選版」というページを参考にしてきた。レコード芸術とはクラシック音楽の雑誌名で、そこが推薦するCDが毎月30タイトルほどタワレコで紹介される。

そのページに書かれているものから気になったCDを選んで買っていたのだが、今までにリストアップをしたものの買うに至らなかったタイトルが200枚ほどあった。まずはそれから聴こうとAmazonミュージックで検索した結果が8割ほどのヒットだったということ。傾向としては日本人が演奏しているものは見当たらない場合が多い。


その200枚の8割に当たる160枚は4ヶ月の無料キャンペーン期間中に聴き終えたと思う。つまり1ヶ月40枚×1枚2500円でCD購入費に換算すると10万円になる。HDも含むUNLIMITEDコースは月額に換算すれば1058円だから、10万円と比較すればタダみたいなもの。計算に含めていないがクラシック以外もかなり聴いている。だからコスパを考えると、もうCDなんか買ってられるかとの結論になる。

というわけで「その4」まで長々引っ張ったお話を要約すると、Amazonミュージックの音質、品揃え、価格に満足したので、今後はCDを買うことはほとんどなくなる。ここ7〜8年はタワーレコードでしかCDを買っていなかった。だからタイトルが「さよならタワレコ」となったわけ。今までお世話になりましたm(_ _)m  あっ、これからもレコード芸術特選版のページは参考にするからなくさないでね(^^ゞ

タワレコ

ところで今まで年間10万円ほどCDを買っていたのを、Amazonミュージックのサブスクに換えれば年間1万2700円である。差し引き約8万7000円。けっこう節約できて助かる。しかし言い換えれば私から音楽産業に流れるお金がそれだけ減る計算になる。率にすれば87%もの減収。アーティストへ分配されるお金がその内の何割かは知らないが、当然ながらそこも大きく減る。それでやっていけるのか、食っていけなくて音楽家がいなくなったら困るなあと若干の気がかり。もちろんCDを1万2700円以下しか買っていない人がたくさん加入すれば、トータルでは収入増加になるわけだけれど。あの業界がどんなソロバンをはじいているのか覗いてみたい気がする。

それとは逆の視点もある。音楽家の才能育成にとって、若いうちにどれだけたくさんの音楽に触れられたかは相当に重要な要素だと考えている。しかし若い頃はお金がなくてそんなにCDも買えないわけで。それがサブスクでほぼ無制限にあらゆる音楽を聴ける時代になったのだから、ひょっとしたらこれからスゴい奴が出てくるのではないかと。私だって10代20代の頃に毎月40枚ほどレコードを買っていれば、今頃は音楽評論家になって紅白の審査員くらいしていたかも(^^ゞ


先月に4ヶ月間の無料キャンペーン期間が終了して、そのまま有料会員として継続した。CDとの音質比較をしていないと書いたが、当初に考えていたAppleミュージックの無料キャンペーンを試すこともしていない。そんなに大きくは違わないだろうという判断と、今はサブスクを始めたばかりで聴いてみたいアルバムがたくさんあって忙しい?ので、契約が更新となる1年後にまた考えようかと。

なおAmazonミュージックについてけっこう褒めたものの、全体のシステムやアプリの設計は最悪だと付け加えておこう。平たく言えばとても使いづらい。増築に増築を重ねたような感じで辻褄の合っていないところが多い。改善点の50や100はすぐに書き上げられるレベル。今後のリニューアルを希望するが、あまりユーザー思いじゃないAmazonのことだから期待薄かな。まあ月額1058円だから我慢するか。



おしまい

wassho at 23:13|PermalinkComments(0)

2021年11月02日

さよならタワレコ その3

というわけでAppleは、5月14日に6月からハイレゾでのストリーミングを開始すると発表した。すると6月9日にAmazonも同様の対抗策をぶつける展開に。正確にはCDと同じ解像度のロスレスと、それより高い解像度のハイレゾが混じっているが、便宜上このブログではまとめてハイレゾと表現する。

用語について補足しておくと、前回にファイルサイズを減らすために音楽信号を「間引いて圧縮する」と書いたが「間引かないでそのまま圧縮する」という方法もある。音楽として再生するには圧縮を元に戻すわけだが、その結果の違いからそれぞれの圧縮方法を

  「間引いて圧縮」   元の信号と同じにはならない→ロスが出る→ロッシー
  「間引かないで圧縮」 元の信号と同じになる→ロスがでない→ロスレス

と表現する。
当然ながら「間引く」ロッシーのほうが量が減るから圧縮率は高い。でも圧縮を元に戻した時に、間引いた分だけ音質は低下する(聴き分けられるかどうかはまた別の話)。

CDより低い解像度のローレゾは基本的にロッシ−で圧縮されており、反対により高い解像度のハイレゾはロスレスでの圧縮である。なのだけれどもCDと同じ解像度でロスレスで圧縮したものを「ロスレス」、ハイレゾはロスレスで圧縮していてもロスレスとは呼ばず「ハイレゾ」と解像度と圧縮方法の違いをゴッチャにして呼ぶ場合もある。ややこしいゼ。


ロゴ

さてAppleとAmazonのプランは組み立て方が微妙に違っていて、

 Apple
   従来はローレゾで提供していたストリーミングを追加料金なしでハイレゾでも提供
   9000万曲  月額980円=年額11760円

 Amazon
   従来のプランは
   PRIME 200万曲ローレゾ 年額割引適応で4900円=月額408円
   UNLIMITED 7500万曲ローレゾ PRIME料金に月額780円、年額割引7800円上乗せ
   HD 7500万曲ハイレゾ UNLIMITED料金に月額1000円=年額12000円上乗せ

   つまりHDコースでハイレゾを聴くには、年額でトータル4900+7800+12000=
   24700円が必要だった。

   それが6月よりUNLIMITEDに加入していればHDの追加料金が発生しなくなった。
   だからハイレゾにかかる費用は年額で4900+7800=12700円となる。
   従来の24700円に対して51%の価格設定。月額に直せば1058円。

AppleよりAmazonが年間で12700円ー11760円=940円高い。しかしPRIMEの料金には映画見放題や配送料無料などAmazonの他の特典が含まれるから、コスパ的にはAmazonの方が上回っているかな。またAppleの9000万曲に対してAmazonは7500万曲で劣っているものの、このレベルになると貯金が9兆円あるか7.5兆円かみたいなもので、それだけあればどちらでも使い切れない(聴き切れない)でしょという感じ。


前回に書いたようにPRIMEコースに入っていても、

  昔のロックやポップス:音質にはこだわっていない。
  女性ジャズボーカル:夜遅くに音のインテリア的に流しているだけだから、
            音質を云々するほどのボリュームで聴いていない。
  200万曲:まだ聴いていないアルバムがたくさんある。
  クラシック:CDをたくさん買っている。

ということで、あまりUNLIMITEDやHDのコースには興味がなかった、でも「Appleがハイレゾを提供!」「Amazonも追加料金なしでハイレゾを提供!」と5月半ばから6月にかけて流れたニュースについ乗せられて(^^ゞ

その時はAmazonは4ヶ月、Appleが3ヶ月の無料キャンペーンをやっていた。とりあえずAmazonのキャンペーンを利用して、3ヶ月後くらいにAppleのキャンペーンも使って、どちらがいいか較べてみようかということにした。



いつになったらタワレコが登場する?(^^ゞ
ーーー続く

wassho at 23:08|PermalinkComments(0)

2021年11月01日

さよならタワレコ その2

前回に書いた6月に起きたストリーミング業界の大きな変化とは、Appleミュージックがハイレゾでの配信を始めたこと。ハイレゾなんて今じゃ珍しくもないので、そこにAppleが参入しても何の不思議もないように思われるが、多少この分野の歴史を知っていれば「へぇ〜」と思う出来事ではあったのだ。

apple_logo

携帯できるポータブルプレーヤーを発明したのはSONYだが、それを(その音源を)デジタル化して現在のようなスタイルに変えたのはAppleである。2001年にCDをMacに取り込んで管理・再生できるiTunesというソフトをリリースし、同時にそのiTunesと連携した携帯プレーヤーであるiPodを発売する。もっともここまでなら手を出したかどうかは別として、どこのパソコンや家電メーカーでも考えはしたこと。

この当時にiPodで音楽を聴くには音源を取り込むためのCDが必要だった。それが一変したのが2003年(日本では2005年)。AppleはiTunesから音楽をダウンロードして購入できるサービスを始める。これが音楽産業のビジネスモデルを大きく変えるいわゆるゲームチェンジャーだったのはいうまでもない。世の中の仕組みを変えるのは大きな軋轢を生むもの。こんな肝の据わったマーケティングは、他のパソコンや家電メーカーは夢の中でも考えなかったに違いない。

話はそれるが町の本屋が減っているという話はよく聞くが、
町のレコード屋なんてもうほとんど絶滅して話題にもならないね。


やがて音楽のデジタル販売はダウンロードからストリーミングへ移行していく。先発企業であるSpotifyのサービス開始が2008年。Appleの参入が2015年と遅れたのはダウンロード販売の成功体験に縛られていたからだろう。いずれにしても「驕る平家は久しからず」で、CDを駆逐したダウンロード販売を今度はストリーミングが駆逐した。米国では既に音楽売り上げの85%をストリーミングが占め、ダウンロード販売はわずか6%に過ぎない。Appleも2019年からiTunesをMacに搭載しなくなった。


さて音楽というのは電気的にはアナログな信号な訳で、CDではそれをサンプリング周波数44.1kHz、量子化ビット数16bitでデジタル化している。これは

  1秒間を44,100回(44.1kHz)に分割して
  その間の音量変化を65,536段階(16bit=2の16乗)

で記録するという意味。

この規格で制作したCDは最大で700MB(メガバイト)の容量となる。700MBものサイズはネットで扱うには大きすぎるということで、聴覚的に影響のない範囲で間引いて圧縮する技術が用いられた。この「聴覚的に影響のない範囲」というのがくせ者。人によっては音質の低下をを聞き分けられるし、心理的に音質が悪化したと感じる人もいる。でもデジタルミュージックというビジネスモデルを切り開いたAppleは「最高の音質」と謳ってきたわけ。

そして2014年あたりから広まり始めたのがハイレゾ。ハイレゾというのはHigh(ハイ:高い)Resolution(レゾリューション:解像度)の略で、具体的にはCDの44.1kHz・16bitより高い解像度でデジタル化したものを指す。当然(原理的に)音はよくなる。

厳密には違うのだがCDの規格を標準として、それより低いものがローレゾ、高いものをハイレゾと考えていいだろう。数年前からハイレゾはかなり普及している。しかしローレゾを「最高の音質」と提供してきたAppleは、まるでそれを拒むかのように対応してこなかった。そして今年の6月にようやくーーーだから「へぇ〜」と思ったわけ。

それにしてもパソコンメーカーだったAppleが、ダウンロード販売で音楽産業に進出した2003年の鮮やかさと較べて、ストリーミングへの移行は2015年と7年ほど遅れるし、ハイレゾ対応だって数年遅い。やっぱりジョブズが亡くなってから(2011年)切れ味悪くなった?


ところで「さよならタワレコ」というタイトルなのに、投稿2回目にして、まだタワレコのタの字も出てこない(^^ゞ 話も本筋からだいぶ離れてしまったm(_ _)m 思いつきでツラツラ書くブログなのでご勘弁を。



ーーー続く

wassho at 22:49|PermalinkComments(0)

2021年10月31日

さよならタワレコ

音楽業界ではCD不況が叫ばれて久しい。アメリカでは何とレコードの売り上げがCDを上回ったと1年ほど前にニュースになった。世界的に見て日本はCDがよく売れている国だが、それでもピーク時の1998年に5879億円あったCDの売り上げが昨年は1269億円である。つまり22年で22%にまで減少。なぜかゾロ目の数字(^^ゞ

その原因は音楽離れとCD以外の音楽メディアの台頭。音楽離れについては推測に推測を重ねたような話になるので横に置いておく。若者の音楽離れなんて話も聞くけれど、高齢化社会が進んだことも大きいんじゃないかな。さてCD以外で有料の音楽メディアといえば、具体的にはダウンロード販売やストリーミング(ネット配信)ということになる。

日本レコード協会の統計では項目の定義にわからないところがあるが、とりあえず数字を拾っておくと2020年の実績は以下の通り。ダウンロードとストリーミングを足すと684億円だから、CDの約半分の市場規模にまで育っている。

  CD        1269億円
  ダウンロード    177億円
  ストリーミング   507億円
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前置きが長くなったが、とりあえず人々はCDを買わなくなったということ。でも私はけっこうCDを買ってきた。だいたい年間で10万円くらい。もっとも5〜6年前からはCDの中にあるファイルをパソコンに取り込んで、そこからDAC(デジタル・アナログ・コンバーター)という装置を介してオーディオにつなぐスタイル。同時に携帯音楽プレーヤーにもファイルを移してある。CDプレーヤーを使うのは購入直後でまだパソコンに取り込んでない時くらい。

それならばCDに取り込む手間なんかかけずに、ダウンロード販売で買えばと思われるかも知れない。しかし私が主に買うクラシックの分野では品揃えが充実していないのである。直近となる5月に購入した7枚について確認してみると、e-onkyoというメジャーなサイトで販売されていたのは、そのうちの1枚しかなかった。それとe-onkyoで扱っているのはハイレゾというCDより高音質のファイルで、だからCDと較べて価格が数割ほど高い。なのに私の耳と持っているオーディオ機器ではほとんど違いが分からず(^^ゞ だったらCDでいいかという考えだった。


一方のストリーミングはというと、昨年の4月にDoCoMoのキャンペーンでAmazonプライムが1年間無料になり、遅ればせながらその特典に含まれるAmazonミュージックを利用していた。若かりし頃によく聴いていた音楽と、夜に流す女性ジャズヴォーカルが中心。最近はJ-POPのカバーアルバムにちょっとハマった。

Amazonミュージックはファミリー割引や学割を除いてPRIME、UNLIMITED、HDの3コースに分かれており、曲数と音質では以下の違いがある。

 PRIMEが200万曲なのに対して、UNLIMITEDとHDは7500万曲
 PRIMEとUNLIMITEDがCDより低い音質なのに対して、HDはCDと同等かそれ以上の音質

DoCoMoのキャンペーンで利用できたのはPRIMEコース。
つまりCDより音質的には低いストリーミングで聴いていた。

もっとも、それはAppleミュージックやSpotifyなどのメジャーどころと同等の音質で、いわばストリーミングでの標準的な音質。CDと聞き較べてもほとんど聞き分けられないし、それだけを聴いていたら音質に不満を感じる人はほとんどいないはず。だいたい私は古いロックやポップスを聴くのに、当時のカーステやラジカセの雰囲気に近い低音質で楽しむために、オーディオではなくパソコンのスピーカーで鳴らしていたくらいで。

ちなみにAmazonミュージックでクラシックはほとんど聴いていない。PRIMEコースではラインナップが貧弱だったので、クラシックはCDそれ以外をストリーミングという使い分けに自然となった。


そして1年が経って今年の4月に無料キャンペーン期間が終了したわけだが、まんまとキャンペーンでの体験に取り込まれて有料会員になってしまった(^^ゞ ただしそれは音楽のためというよりAmazonプライムビデオで観られる映画が主な理由。

なので当然ながら音楽はPRIMEコースを選択(というよりAmazonのプライム会員になるとAmazonミュージックのPRIMEコースが無料で付いてくる)。PRIMEコースで音楽を聴いていると、しょっちゅうUNLIMITEDにアップグレードしませんか?という表示が出る。でもPRIMEコースでも古いロックやポップスあるいは女性ジャズヴォーカルでまだ聴いていないアルバムがたくさんあったので、それらを聴き尽くすまではいいかなと思っていた。


しかし6月にストリーミグ業界に大きな変化が起こる。


ーーー続く

wassho at 19:35|PermalinkComments(0)

2021年08月27日

冬のソナタと恋のフーガ その2

「どんな意味かを調べようと思ったが、ずっとほったらかしになっていたもの」のひとつであった「恋のフーガ」を、バッハの平均律クラヴィーアを聴いたことをきっかけに調べたのが前回の話。

ついでに音楽用語を使ったもので気になっていた「冬のソナタ」も調べてみた。

冬のソナタはご存じ韓流ブームの火付け役となった大ヒットドラマ。韓国人の名前は言葉ではなく音のように聞こえて覚えるのが苦手な私でも、ペ・ヨンジュンとチェ・ジウはすっかり耳に馴染んでスラスラ言える。ドラマそのものは一度も見たことがないのだが(^^ゞ

冬のソナタ

それにしても冬のソナタが日本で放送されたのが2003年で、あれからそろそろ20年も経つのかあ。まさに光陰矢のごとし、歳月人を待たずである。参考までにサッカーの日韓ワールドカップ共同開催は2002年だった。



さてソナタという音楽用語は、フーガと較べたら目や耳にする機会は多いと思うが、その意味を明確に答えられる人はクラシック音楽好きでも少ないかも知れない。もっとも意味を知らなくても特に困らない言葉ではある。

語源はイタリア語で「楽器によって演奏された曲」という意味らしい。なんじゃそりゃと思ってしまうが、対義語は歌が入った曲のカンカータ。昔(中世ヨーロッパ)は音楽といえばカンカータで、歌がなくて楽器だけの曲は少なかったので区別する必要があったようだ。

そしてソナタの意味合いは時代によって変化していく。面倒なのでそれは省略して、
現在の使われ方は主に2つ。


<その1>
楽器の独奏または二重奏という意味。

これが他の分野では見られない曖昧な言葉の使い方なのである。まずピアノソナタという場合はビアノの独奏を指す。しかしピアノ以外の楽器、例えばヴァイオリンソナタやチェロソナタでは独奏ではなくピアノの伴奏が付く。独奏と二重奏をソナタというひとつの単語にまとめるなよと思うが、なぜか音楽界ではそういうことになっている。

ちなみに少数だがピアノの伴奏が付かないものもあって、その場合は「無伴奏バイオリンソナタ」などと表記して区別される。ただしピアノは他の楽器を伴わないのに、そのことを無伴奏ピアノソナタとはいわない。

なおピアノの伴奏と書いたが、ピアノはメインの楽器とほぼ同格に扱われている場合が多く、そういう点からは二重奏といったほうがしっくりくる。作曲家によっては例えばヴァイオリンソナタのことを「ヴァイオリンとピアノのためのソナタ」などと表記することもある。

〇〇〇ソナタというタイトルの付いている曲はピアノソナタが断トツに多くて、次いでヴァイオリンソナタ、チェロソナタの順。他にはヴィオラ、フルート、クラリネットなど。ただし上位の3楽器と較べると数はかなり少ない。またトランペットやコントラバスのソナタもあるらしいが、まだ聴いたことがない。


<その2>
作曲の形式のひとつ。
定義的には「ソナタ形式を含む組曲がソナタ」と文章が二重になってややこしい。

このうちのソナタ形式とは曲の構成が提示部、展開部、再現部の3パートに分かれた形式。内容は異なるが文章でいうところの起承転結みたいなもの。これによって音楽にストーリー性を持たせることができる。そして組曲とは曲が第1楽章、第2楽章ーーーといくつかに分かれていること。

ということでどこかの楽章がソナタ形式で書かれていれば、
その曲はソナタということになる。

なのだけれど、〇〇〇ソナタのタイトルが付いている曲はもちろんとして、交響曲も協奏曲もその他多くのクラシック曲はこの定義に当てはまる。つまりほとんどがソナタであって、逆にいえばソナタという言葉は特に使う意味を持たないともいえる。



さて例によって前置きが長くなったが本題の冬のソナタ。
恋のフーガは作曲手法のフーガとは関係がなく、いわば言葉遊びのように付けられたタイトルだったが、こちらのソナタの意図は?

結論から書くと恋のフーガ以上に、
音楽用語のソナタとの関係がまったくなかったw(゚o゚)w

こんなことを気にするヤツはあまりいないようで、あまり資料が見つからなかったが、とりあえずウィキペディアによれば、冬のソナタの韓国語原題を直訳すると「冬の恋歌」となる。中国語圏では「冬季戀歌」とそのまま翻訳されたタイトルが使われている。

しかし「恋歌」という単語は日本語ではあまり使わないし、響きとして古くさい印象もある。それで意訳するなら「冬のラブソング」となるが、それだとドラマのイメージやストーリーと合わないということでソナタという言葉が採用されたらしい。

つまりソナタにはまったく意味がないというか、タイトルの意味を曖昧にするために選ばれた飾り言葉のようである。カタカナで音楽用語で、何となくおしゃれな感じになることを狙っただけだろう。ソナタとはカンカータの対義語で歌を伴わない器楽曲、つまり「恋歌」とは相容れないなんて知識あるいは配慮はもちろんなかったと思われる。


というわけで調べて損したレベルの結論(^^ゞ



おしまい

wassho at 20:57|PermalinkComments(0)

2021年08月26日

冬のソナタと恋のフーガ

先日のこと、Amazonミュージックで何気なく選んだエレーヌ・グリモー(ピアニストの名前)の「バッハ・トランスクライブド」というアルバムを聴いた。平均律クラヴィーア曲集の間にチェンバロ協奏曲やピアノ版のシャコンヌなどを挟むという少し変わった構成。これがなかなかよかった。演奏もさることながら曲順も含めた選曲の妙が素晴らしい。バッハなのに最後まで退屈しないと書けばクラシック通からはバカにされるかな(^^ゞ

エレーヌ・グリモー

この平均律クラヴィーア曲集というのは、プレリュードとフーガがセットになった曲から成り立っている。プレリュードは日本語にすると前奏曲で、だいたい漢字通りの意味。フーガは遁走曲や追走曲と訳される。遁走(とんそう)は逃げることで逃走の古い言い方。対して追走は走って追うことである。逃げると追いかけるでは意味が正反対だが、同じ行為を違う立場から表現したといえる。

そのフーガ=遁走曲・追走曲とは主題が様々に形を変えて反復される作曲の手法。同じメロディが繰り返されて逃げている、あるいは追いかけられているような印象になるからそうネーミングされたようだ。なおフーガ(fugere)の単語自体はラテン語で「逃げる」を意味している。



話は変わるが、ネットの時代になってから調べる・検索することが簡単になり、たいていの疑問はすぐに片がつくようになった。なんだけれど「これはどういうこと?そのうちに調べよう」と思って、ずっとほったらかしになっていることも多いもの。

私にとって、そのひとつが「恋のフーガ」。
これはザ・ピーナッツという双子姉妹の歌手が1967年(昭和42年)に発表した歌謡曲。その頃に小学生以上の年代ならたいていの人は知っているヒット曲となった。

どんな曲だったかなあという人でも、
冒頭のティンパニーを聴くだけで瞬時に思い出せるはず。

小柳ゆきが2003年にカバーしている。
こちらは一人二役で双子姉妹を演じるというアイデア演出。

おそらく最初は、高校生になってクラシック音楽におけるフーガの意味を知り、その時に「そういえば子供の頃に流行った、ザ・ピーナッツの恋のフーガってどういう意味だったの?」と気になったように記憶している。もちろんその頃はそう簡単に調べる手段はなかったとはいえ、それにしてもずいぶんと長く放置していたものだな(^^ゞ

エレーヌ・グリモーのバッハを聴いて、
久しぶりに恋のフーガのことを思い出したので調べてみるとーーー

  恋のフーガは、フーガの手法を用いて作曲されていない。(それは
  聴けばわかるが)

  その歌詞が「追いかけて追いかけて」で始まるので、作詞家のなかにし礼が
  追いかける、だから相手は逃げている→遁走曲・追走曲→フーガと連想して
  タイトルを付けたらしい。

  なお編曲を担当した宮川泰は当初フーガの要素を曲のアレンジに取り入れようと
  試みたが、上手くできず途中で諦めたとのこと。


というわけで私としてはすっきりしたけれど、
世間一般的には実にどうでもいい話だろうな(^^ゞ


ーーー続く

wassho at 19:50|PermalinkComments(0)

2021年05月18日

イヤホン・ヘッドホン 2.5mmプラグの注意点

DP-X1A


2016年の末にオンキョーのDP-X1Aという携帯音楽プレイヤーを買った。
    ↓
DP-X1Aはイヤホンを一般的な接続以外に、バランス接続と呼ばれる仕組みでも鳴らすことができる。それを試してみたくて、それまで使っていたイヤホンがダメになった時に、バランス接続ができるパイオニアのSE-CH5BLという機種に買い換えた。
    ↓
DP-X1Aをバランス接続するには直径が2.5mmのプラグを使う。ちなみに一般的なイヤホンプラグの直径は3.5mmである。
    ↓
後にMomentum ON-EAR Gというヘッドホンを買い、これもバランス接続ができるように2.5mmのプラグがついたケーブルと交換した。


ーーーなどをこれまで書いてきた。
それらのイヤホンあるいはヘッドホンの性能と、わたしの耳力の組み合わせでは音質的に「気のせい」ほどの違いしか感じ取れないのであるが(^^ゞ しかしせっかくバランス接続の機能があるのだからとの単純な理由で、SE-CH5BLを購入した2018年の5月からはバランス接続のみで使用している。



ところでバランス接続でない一般のイヤホンのプラグは直径3.5mmが標準として確立している。これに対してバランス接続は2.5mm、3.5mm、4.4mm、その他特殊な形状もあって規格が乱立している。そして2.5mmのプラグに関しては、細いから折れやすいと指摘される場合がある。

2.5÷3.5=71%だから強度が下がるのは間違いない。しかし極めて短い部材なので実用的な強度は確保されているだろうし、もしポキポキ折れるようなら2.5mm規格は採用されていないはず。実際のところSE-CH5BLを約3年間使ってきたが折れたことはない。



しかしであるーーー

1月頃にイヤホンの片側の音が途切れるような症状が出た。こういった場合に疑うのはケーブルの断線である。過去のイヤホンは

   ゼンハイザー:CX870:8ヶ月
   ソニー:MDR-XB60EX:3年と4ヶ月
   ソニー:MDR-XB90EX:2年と5ヶ月

で断線している。1月の時点でSE-CH5BLの使用期間は2年と8ヶ月。そろそろ寿命が来てもおかしくはないタイミング。ケーブルの断線はプラグの近くで起こる場合が多い。その付近のケーブルをシゴけば初期のうちは回復する場合もある。この時も効果があった。

そのようにダマしながら使っていたが、徐々に音の途切れる頻度が増してきた。それで何気なくイヤホンのプラグを携帯音楽プレイヤーから抜いてみると、

     少し曲がっていた(/o\)

プラグが曲がるような強い力を加えた覚えはない。気づかないうちに何かの弾みで強く押されてしまったのか、あるいは弱い力の蓄積が2年と8ヶ月続いて曲がったのか。理由はわからないがとにかく曲がった。プラグの根本中央に対して先端中央が0.5mmほどズレたような、ごくわずかな曲がり方。3.5mmのプラグでこんな経験はない。

イヤホンのプラグはとても短いから指で持っては修正できない。だからペンチでも使えばよかったのだが、ちょっと横着をしてプラグをジャックに差し込んだままクイックイッと力を加えて修正してみた。まだわずかに曲がっているような気がしたものの、とりあえず音の途切れはなくなった。

     意外と簡単に治ったなーーーとほくそ笑む。

それでもたまに音が途切れる。そういう時はあまり深く考えずにジャックに差し込まれたプラグにクイックイッと適当に力を加えて対処。



しかし今月になって、また音が途切れる頻度が増えてきた。
そして先日、プラグを差し込むジャックのあたりを見てみると、ジャックの金具がボディから浮いているのを発見!  ※写真の右側が2.5mmのジャック。左は普通の3.5mm。

IMG_0467

つまりジャックを使ってテコの原理でプラグに力を加えて修正しているうちに、ジャックがグラグラになってしまった(>_<)

ちなみに何度も修正を加えたプラグは、今ではまっすぐに。
※写真右がイヤホンのプラグ。左はヘッドホンのプラグで、これは最初から曲がっていない。

IMG_0468

まとめると、イヤホンのプラグが曲がっても、ジャックを使って修正してはいけない〜そんなマイナーなアドバイスは誰の役に立つ?というのが本日のお話(^^ゞ

修理に出すのも面倒だから、3.5mmのジャックが使えるイヤホンに買い換えることになりそう。ヘッドホンはケーブルを元に戻せば大丈夫。バランス接続ではなくなってしまうが「気のせい」ほどの違いだし。



ところでオンキヨーは債務超過が続いて今年の7月に上場廃止となる。2017年には1620円あった株価も本日の終値は7円と紙くずレベル。10年ほど前からギターのギブソンやティアックが株主になったり、パイオニアのAV事業を買収したり、かと思えば最近は自社のAV事業をシャープに売却したりと迷走状態。会社の名前もオンキヨー〇〇〇と何度も変わり、現在はオンキヨーホームエンターテイメント株式会社。

2016年に発売されたDP-X1Aは、そこそこ評判がよかったはずなのに後継機種は発売されないままになっている。先ほどホームページを見たらまだラインナップとして残っているものの、公式の通販ページには掲載されていない。

実は昔、オンキョーのCDプレーヤーを2台続けて買って、2台とも同じところが壊れたことがあった。そんなわけで妙な思い入れ?のあるオンキヨーのオーディオ製品だけれど、私が買うのはこのDP-X1Aが最後になるのかな。ちょっと寂しい。

wassho at 21:33|PermalinkComments(0)

2021年04月05日

ところで今年のラ・フォル・ジュルネはどうなった?

ラ・フォル・ジュルネというのはクラシックの音楽祭。毎年ゴールデンウイークに有楽町の東京国際フォーラムで開催される。有料・無料含めて公演数は400ほどもあってまさに祭典と言える規模。演奏するのは中堅どころが多いが、たまに一流アーティストも出演する。私にとっては欠かせないイベントのひとつになっている。

しかし当然ながら昨年はコロナで中止。それで今年も中止だろうと思っていたというか決めつけていたのだが、念のためチェックしておこうかと。


Googleで「ラ・フォル・ジュルネ」と検索すると先頭に表示されるのは

  ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2020 Beethoven

のタイトル。これはベートーヴェンがテーマだった昨年のページ。
lfj2020

ホームページのURL(アドレス)は https://www.lfj.jp であるが、それをブラウザーに入力しても https://www.lfj.jp/lfj_2020/ と昨年のページにジャンプして表示されてしまう。

今年のラ・フォル・ジュルネは中止ではなく、
最初からなかったということなのだろうか?


その2020年のホームページを見ると、主催は「ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2020 運営委員会」となっており、その下に株式会社KAJIMOTO/株式会社東京国際フォーラム/三菱地所株式会社の名前が書かれていた。KAJIMOTOというのはクラシック音楽専門のプロモーターである。

年度を2021年に変えて「ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2021 運営委員会」で検索してみたがヒットせず。それぞれの会社のホームページにもアクセスしてみたが、今年のラ・フォル・ジュルネに言及した情報はなかった。

なお東京国際フォーラムのプレスリリースはとても数が少なく、最初に表示される5件めにビックリマーク付きで、一昨年10月のラ・フォル・ジュルネの開催決定のお知らせがまだ載っているという恥ずかしさ。
お知らせ全体

ただし後日に、開催が中止になったというお知らせは載せられていない。広報として不誠実といわざるを得ないだろう。それにしても最新が昨年の11月ってーーー


公式のSNSも確認してみると最終更新が、

   Facebook:2020年7月16日 
   Twitter:2020年10月26日
   Instagram:2020年5月1日

ーーーと夜逃げ状態?
ちなみに各SNSのアドレスに2020の文字はなかった。

   https://www.facebook.com/lafollejourneeaujapon/
   https://twitter.com/lfjtokyoblog
   https://www.instagram.com/lafollejournee/


そういえば時々メールが届いていたなとメールソフトをさかのぼってみると、

  2020年2月7日
 「ラ・フォル・ジュルネTOKYO運営委員会事務局」名義
  アドレスは lfjtokyo2020@kajimotomusic.com だから発信元はKAJIMOTO
  内容はワイン関連イベントのお知らせ

  2020年2月18日
 「LFJチケット販売サイト」名義でLFJメールマガジンのタイトル
  (LFJとはラ・フォル・ジュルネの略)
  アドレスは lafolle_info@pia.co.jp だから発信元はチケットぴあ
  内容はチケット販売スケジュールのお知らせ

以下2月18日と同じ発信元で

  2020年3月13日
  チケット販売延期のお知らせ

  2020年3月30日
  開催中止のお知らせ

それが最後で、そして今年は何の連絡もなし。


さてラ・フォル・ジュルネの主催者は運営委員会方式で、その年ごとに結成されるのだろうか、そして今年は結成していないから何の連絡もないのだろうか?

そんなことが許されるとは思えない。2005年から長年続いた、あれだけの大規模なイベントなのだから、キチンと状況を説明する社会的責任があるはずだ。もちろん状況は説明されなくてもわかっているが、もっと大事なのは私はラ・フォル・ジュルネの会員なので(だからメールも届いている。よく覚えていないが会員にならないとネットでチケットを購入できないような仕組みだったと思う)、会員になる時に登録したクレジットカードを含む個人情報はどうなっているのかということ。夜逃げしてもらっちゃ困るのである。

運営委員会に名前を連ねている東京国際フォーラムは、東京都が51%を出資している公共性の高い企業である。三菱地所はもちろん日本を代表する企業のひとつ。KAJIMOTOはよく知らなかったが1951年(昭和26年)から続く老舗のようだ。

そんなメンツが揃っているのに何のアナウンスもないとは。
この国はだいぶアカンようになってきたのかな(/o\)
コロナのあたふたで、それが露呈するケースが多い気がする。

wassho at 20:12|PermalinkComments(0)

2021年03月12日

Ten Years After

前回3月11日のブログに “10 years after” というタイトルをつけたのは、あの地震から今年で10年かと思った時に、そのフレーズが何となく頭に浮かんだから。もっともこの表現は10年後という意味なので、10年目とはニュアンスが違う。しかし震災についての大げさなタイトルにしたくないという気持ちもあり、まっいいかと。


正確にいうと思いだしたのはテン・イヤーズ・アフターでも “Ten Years After” という、かすかに名前だけが記憶の片隅にあったバンドである。調べてみたら、

   イギリス出身
   1960年代に隆盛したハードブルースの代表的グループ。
   後のハードロックを形成する過渡期において、重要な役割を果たした。

とWikipediaにあった。ハードブルースなんてカテゴリーは初めて知った。Amazonミュージックには6枚のアルバムがあって、そのうちの Live at the Fillmore East という1970年録音のライブを先ほどから聴いている。まあちょっと緩めのハードロックというところかな。

活動時期は1966年から1974年だから、1962年から1970年のビートルズとだいたい同じ時代。ちなみにハードロックの草分けであるレッド・ツェッペリンやディープ・パープルのデビューは1968年。

Ten Years Afte




おそらく中学時代にFMの音楽番組あたりで名前を知ったのだろう。しかし確かに記憶にはあったが、ヒット曲もなかったと思うし、別に気に入っていたわけでもない。ただ何となく知っていたというだけで、そしてこの50年近くはすっかり忘れて意識からも消えていたバンド。それを「10年つながり」というだけで突然に思い出すのだから、まったくもって脳の働きは不思議である。

以前に書いたかも知れないが、

  脳は過去のすべてを記憶している。
  しかし「覚えている」領域にすべての情報を置くと処理しきれないので、
  その多くは「忘れた」領域に入れられて、
  何かのきっかけで必要に応じて「覚えている」領域に移される。
  これが「思い出す」である。

というふうに推察している。


   できれば
   もっと大事なこと、役に立つことを思い出させて欲しいーーー(^^ゞ


wassho at 21:34|PermalinkComments(0)

2020年12月22日

交響曲にお願い

作曲家の生誕〇〇年とはクラシック音楽業界で定番のマーケティング手法。その作曲家のコンサートが多く開催され、CDもたくさん企画される。毎年誰かの生誕〇〇年に当たるわけでネタに困らない。それに、仮に今年が生誕100年記念で成功したら、つまり需要があるとわかったら、10年後には生誕110年でまた盛り上げられるわけだし(^^ゞ

今年はベートーヴェンの生誕250年に当たる年だった。クラシック界で最大のスーパースターだから、他の作曲家と較べて生誕マーケティングも大規模で、たくさんのコンサートが予定されていた。

    しかしコロナで(/o\)


さて先日、音楽とは関係ないテレビ番組でベートーヴェンを特集していた。これも生誕250年の影響だろう。彼の作曲技法を解説するような内容で、演奏はバイオリン2本、ヴィオラ、チェロそれにピアノを加えたピアノ五重奏の編成。

そして1曲目に演奏されたのが交響曲第5番、あのジャジャジャ・ジャーンの運命。まさかこの編成で運命を演奏するとは思っていなかったからビックリした。しかしこれがなかなかよかったのである。いつも迫力に押されて聴き逃していたところが、クリアに頭に入ってきたというか、まあ音楽の説明は難しいけれどそんな感じ。


それで思いついたのがーーー

オーケストラは演目にもよるが大規模なものだと100名前後の人数がいる。ただし楽器の種類は20ほど。つまり複数の人が同じ楽器を演奏している。これはもちろん音量を確保するためである。コンサートならそれは必然であるとしても、録音するなら楽器の音量バランスは調節できるのだから、各楽器1台でも成り立つのではないかと。

同じメロディーを複数の人で演奏すると、どんなプロでも100%ピッタリには重ならない。そのごく微妙なズレが合奏の味わいを出しているのかも知れないが、それは音のニジミともいえる。

ニジミがなく超クリアな演奏になるのか、大勢での演奏と較べたらスカスカになるのか、私の知識と経験程度ではまったく予想がつかない。でも、いやだからこそ各楽器1台のフルオーケストラを是非にも聴いてみたいのである。

どこか実験好きのレコード会社が試してくれないかなあ。

オーケストラ


2021.9.18追記

このブログでは「各楽器1台」と書いているが、もちろんバイオリンは第1と第2に分かれているので2台必要になる。そのあたりは話が細かくなるので敢えて触れなかったが、最近、管楽器のほとんども第1と第2に分かれていることを知った(ファーストとセカンドという表現のほうが多いみたい)。

さらにオーケストラ全体の編成=規模にもよるのだろうがトランペットは第3、ホルンは第4まであるらしい。なおバイオリン以外の弦楽器、すなわちヴィオラ、チェロ、コントラバスには第1と第2の区別はない。

また例えばフルートが第1と第2に分かれていて、常に違うパート譜面を吹いているのかどうかはまだ知らない。おそらく曲によって違うような気がする。

というわけで交響曲にお願いしたいのは「各楽器1台」ではなく「各パートで楽器1台」であるとの修正追記。

wassho at 23:11|PermalinkComments(0)

2020年12月08日

第九とウルトラセブン

クラシック音楽の世界では年末にベートーヴェンの第九を聴く、あるいは唄うことになっている。元々はドイツで始まった習慣のようだが、日本でも第2次世界対戦終了直後の1947年(昭和22年)から12月に演奏が始まっている。そして何故かこの習慣は世界で日本のみが引き継ぎ、もうずいぶんと昔から誕生日の♫ハッピーバースデー to ユー、クリスマスのクリスマスソングと同じように、師走には第九という組み合わせが定着している。

そして、こんな1万人参加の大合唱コンサートなんてものまである。

これはサントリーがスポンサーになって1983年から38年間も続けているイベント。日本人の「第九愛」がうかがい知れるというもの。

ところで今年はコロナ。合唱はマスクしては歌えないから飛沫が大発生する。だから中止かと思っていたら、無観客にして、さらにプロ以外の1万人のアマチュア合唱愛好家はリモートで参加するというスタイルで12月6日に開催された。ドンダケ第九が好きやねん(^^ゞ



さて12月になればニュースで第九のコンサート模様なども報じられる。だから♫ミ・ミ・ファ・ソ・ソ・ファ・ミ・レな第4楽章の合唱メロディーには子供の頃から馴染みがあったものの、第1楽章から通しで聴いたのは高校生の時が最初である。

レコードに針を落としてすぐに、強烈に懐かしさを覚えるメロディーが流れてきた。ここに貼った演奏だと開始24秒あたりからタタ〜ン、タタ〜ンと2フレーズ。

これがわかるのはオッサン・オバハン限定かも知れないが、どこかウルトラセブンの記憶と重ならない? しかしウルトラセブンの主題歌にはこんなメロディーはなかった。残念ながら当時はそれ以上を調べるすべもなく。

<主題歌>



それからウン十年の歳月が流れて、先日に謎が解けた。第九に似たメロディーは主題歌の前のオープニング画面のような部分で使われていた。グルグル回る絵の具のようなものが止まる開始14秒あたりである。

改めて聴いてみるとあまり似ていないなあ。高校生の時はベートーヴェンのタタ〜ン、タタ〜ンを聞いた瞬間に頭の中でウルトラセブンが蘇ったのに。もうそんな感受性は衰えてしまったのかな(/o\)



以前にシューマンのピアノ協奏曲がウルトラセブンの最終回で使われていたことを書いた。子供の頃は気がつかなかったけれど、ウルトラセブンは何かと音楽的レベルの高かった作品である。

YouTubeで交響詩「ウルトラセブン」というのを見つけた。元の楽曲が素晴らしいから、こんなふうにフルオーケストラと大合唱団で演奏できるのだと思う。



こちらのオープニングは昔のままの雰囲気。
しかし、やたらウルトラセブンがキレイだと思っていたらーーー



これは胸熱な動画。小学生ダンサーズがメチャ可愛い! そしてモロボシ・ダンとアンヌ隊員も登場。その隣の二人もウルトラ警備隊のメンバーかも知れないが年寄り過ぎて誰かわからず(>_<) それにしてもウルトラセブンのホルンの使い方は、古今東西のクラシック作品と比較しても抜群じゃないかな。


年の瀬に第九もいいけれどウルトラセブンも元気出るよ。

wassho at 19:27|PermalinkComments(0)

2020年10月29日

ハイレゾなめてました

CDプレーヤーの代わりにパソコンを再生装置として使うのがPCオーディオというスタイル。その再生ソフトにはAudirvana(オーディルヴァナ)というのを使っている。先日、ユーザー特典として、DSDで録音されたRAIZESという高音質なアルバムを無料でダウンロードできるキャンペーンのお知らせが来た。

raizes

音楽ファイルにはいろんな種類がある。

 PCM 44.1kHz          → CDの規格
 PCM 96kHz    DSD 2.8MHz  →ハイレゾとして一般的な規格
  PCM 192kHz   DSD 5.6MHz
 PCM 384kHz   DSD 11.2MHz
  PCM 768kHz   DSD 22.4MHz

PCMとDSDというのは録音方式の違い。イメージ的にはVHSかベータかみたいなもの(この比喩が通用しない世代も増えてきたが)。数字はサンプリング周波数というもので大きいほど高音質。ただしPCMとDSDは原理が違うので、単位も違っていて両者の数字だけの比較は無意味。

PCMには量子化ビット数というスペックもあるのだが、話がややこしくなるのでそれは無視して、PCM 44.1kHzというのがCDに収められている音楽ファイルの規格。だから2行目のPCM 96kHzまたはDSD 2.8MHz以上がハイレゾと呼ばれる。ハイレゾはハイ(高い)レゾリューション(解像度や分解能力)の略で、テレビで例えるならCDが今までの放送でハイレゾが4Kのような関係。

上に並べたPCM 96kHzとDSD 2.8MHzが音質的に同等かは議論があるだろうが、いわゆるハイレゾとしてダウンロード販売されている音楽ファイルのほとんどは、このどちらかなので同じ位置にしてみた。


今回のキャンペーンではDSDの2.8MHzから22.4MHzまで4つのファイル形式から選べた。残念ながら私が使っているDACというパソコンとアンプをつなぐ装置が、DSD 5.6MHzまでにしか対応していないので必然的にそれをダウンロード。

保有するPCオーディオ音源のほとんどはCDをパソコンに取り込んだもので、つまりPCM 44.1kHzである。いくつかハイレゾの音楽ファイルも持っているが、それも一般的なPCM 96kHz。だから今回のDSD 5.6MHzはワンランク上のハイレゾ初体験になる。


   聴いてみた。
   DSD 5.6MHzはビックリするほど高音質だった。

音質を文章にするのは難しい。いや文章にするだけならいくらでもできるが、その表現で本当に伝わるかどうかは別の話。それを承知で書けばDSD 5.6MHzから流れてきたのは生々しくて、彫りが深くて実体感のある音。パーカッションが使われている曲では、人の手で太鼓の皮を叩いていることがリアルに感じられる。それと音量はいつもと同じなのに、なぜか音がとても部屋の中に広がっているように聞こえるのが不思議。とにかくウチのオーディオセットには、ソースがよければこんないい音を鳴らす実力があったのかと驚かされた。


実は今までハイレゾを重視してこなかった。なぜならCD規格のPCM 44.1kHzと一般的なハイレゾ規格であるPCM 96kHzを聞き較べても「気のせい」程度の違いしか感じ取れなかったから。耳も鈍いし持っているオーディオ装置もショボイから仕方ないかと思っていたが、それがDSD 5.6MHz、そしておそらくはそれと同等のPCM 192kHz以上のハイレゾなら、はっきりと違いがわかることが確認できたのは大きな収穫。

もっとも、そのクラスのハイレゾは、一般的なハイレゾ以上に発売タイトル数が極端に少ない。だからこれからハイレゾな音楽ライフを存分に満喫できることにはならないのだが、それでも小さな楽しみができたことは素直にうれしい。

♫

それにしてもAudirvanaの無料キャンペーンがなかったら、今回の経験はおそらくなかったと思う。それは決して食わず嫌いではなく、過去のCDとハイレゾの聞き較べを踏まえてのこと。それでも、そんなわずかな経験の判断で可能性を摘んでいたことには変わりない。具体的に気がついていないだけで、身の回りにそういうことはたくさんあるんだろうな。

世の中はどんどん変化していくのだから、自分の知見もアップデートしなければと反省。取り残されるというのは、それを怠るからだ。それはある意味ゴールがないということなので、その大変さにため息がでるけれど(^^ゞ

wassho at 19:42|PermalinkComments(0)

2020年09月14日

レコードの売り上げがCDを上回る!

9月11日のAFPニュースによると、アメリカで今年上半期の売り上げは

   レコード 約246億円
   CD    約138億円

となったそうだ。

レコード

これはCDがレコードに負けたというより、かつて音楽メディアの中心だったCDがストリーミング(ネット配信)サービスに押されてどんどん衰退し、マニアックなマーケットとして一定の規模があったレコードより小さくなったということ。ちなみに同時期のストリーミングの売り上げは約5094億円と圧倒的。

CDの売り上げが減少しているとは、ずいぶんと前から言われていることだが、まさかレコードに抜かれるとはビックリ。SNSでのやりとりに取って代わられてメールが衰退し、郵便のほうが多くなったというようなイメージである。

一方で日本レコード協会の統計によると、日本での2019年の売り上げは、

   レコード    約21億円
   CD       約1495億円
   ストリーミング 約706億円

とアメリカとはまったく状況が異なる。世界的にCDが衰退していく中で日本はそうでもないとは聞いていたが数字を確認したのは初めてで、こんなに違うとは思わなかった。

3媒体を合計して比率で表すと

    アメリカ
      レコード      4%
      CD         3%
      ストリーミング    93%

    日本
      レコード      1%
      CD         67%
      ストリーミング    32%

国によってこんなに構造が違うマーケットも珍しいかな。アイドルの握手券商法がどの程度影響しているのか興味があるが、そういったデータはネットで見つからなかった。


理由はともかく日本はまだまだCDが主流といえるが、それでも売り上げが大きく下がっていることに変わりはない。シングル、アルバム含めた国内のCD売り上げのピークは1998年の5879億円。それが昨年の2019年には1495億円と20年間で1/4まで減少している。

これをCD不況と業界では称しているけれど、まず言葉遣いが間違っている。不況というのは好況と循環するものだが、CDの場合は衰退するだけだろう。まあそんな揚げ足取りはさておいて、CD不況の原因は「エンタメ・コンテンツの多様化」「レンタルや中古市場の存在」「違法コピーの横行」「ストリーミングサービスの発展」など色々と分析されている。しかし大事なことを忘れているんじゃないか。CDが売れないのは

     パッケージのセロファンを剥がしにくいから(^^ゞ

である。どうしてあんなに剥がしにくいのか。メーカーの人間は自分でCDを買ったことがあるのかと毎回ムカつく。たまに剥がしやすいように切り取りテープが巻かれているものがあるが、そのテープの端が浮いておらずつまめなかったり、テープが途中でCDケースから外れてしまったり役に立たない場合がほとんどである。

考えてもみてくれ。幼い頃、生まれて初めてキャラメルの箱を開けるときに、セロファンの剥がし方で苦労したことがあるか? なのにどうしてCDのセロファンは21世紀になっても簡単に剥がせないのだ(怒)

どうせ改良されないだろうから、セロファンを剥がしやすくすればCDの売り上げは回復すると無責任に宣言しておこう(^^ゞ

wassho at 21:21|PermalinkComments(0)

2020年09月04日

オールドロックをiMacで

春頃にはAmazonミュージックで昔懐かしいAORをよく聴いていた。一通り聴き終わった後はまたクラシック中心の生活に戻ったが、お盆の前くらいにAmazonミュージックのことを思い出し、今度は以前に紹介した「ロックの名盤435選」というサイトを参考にしながら古いロックをよく聴いている。

led-zeppelin


パソコンはDAC(デジタル・アナログ・コンバーター)という機器を介してオーディオアンプにつながっており、つまりパソコンで再生してもオーディオのスピーカーが鳴るようになっている。

ところが先日、そのDACが故障した。その場合はオーディオではなくパソコンのスピーカーから音が出ることになる。音質的にはかなり劣る。マッタクモーと思いつつ、しばらく聴いているうちに、そのチープな音質がオールドロックには意外と似合っていることに気づく。

正確に表現するなら、似合っているといっても適しているわけではない。オールドロックといえども、できるだけ高音質で再生すべきである。ただしオールドロックを聴く→懐かしい雰囲気を味わう→パソコンの音質が昔のラジカセやカーステに近い、という意味でイイ感じに楽しめるということ。

使っているパソコンは現行型のiMacで、パソコンの中ではそこそこ音がいい部類だとされている。ただしiMacは低音が過剰気味で、しかも締まりがない音質なので私は評価していなかった。しかし、それがラジカセやカーステのショボイ音質をなんとかしようと低音を目盛り一杯ブーストしていた時代の音質に近いのである。まさに塞翁が馬。


さて先に書いたDACの故障。電源が入らなかったのだが、調べてみると故障ではなく電源アダプターからの電線が抜けていただけだった。再び差し込んで一件落着。

しかしである。それを差し込むところは、かなりキツキツで、どうか考えても勝手に抜けるような作りではないのである。もちろんDACを動かしたりもしていない。

    誰かが抜いたとしか考えられないーーー

もう9月だけれど、まだまだ夜も暑いので怪談話でした(^^ゞ


wassho at 23:47|PermalinkComments(0)

2020年05月05日

AmazonミュージックでAORを探してみたら

4月の中頃に

   docomoのキャンペーンでAmazonプライムの会員になり、
   そのサービスのひとつであるAmazonミュージックで、
   プライム会員の特典に含まれるPRIMEコースをなぜか選ぶことができず、
   仕方なく「30日間無料お試し」のUNLIMITEDコースに登録した。

などの話を

   ドコモがアマゾンで若返った話
   ドコモがアマゾンで若返った話 その2

で記事にした。

それで「その2」の最後に書いた「AORの名盤 330選」で紹介されているアルバムがAmazonミュージックにどれくらい揃っているのかを、UNLIMITEDコースの無料お試し期間が切れる5月3日まで暇を見つけては探していた。

その結果発表をすると

   約150アルバム

紹介されていたのは330アルバムだから

   150÷330=45%

のヒット率となる。思ったより少なかったが、およそ40年前の「それなりにしかヒットしなかった音楽」も含めてこれだけ聴けるのは素晴らしい気もするから、評価はなかなか微妙である。ちなみにAORとは1980年前後に流行った、ちょっとソフト系のロックね。


UNLIMITEDコースは更新しなかった。それで自動的にPRIMEコースに変更となる。両者の違いは品揃えの曲数で

   PRIMEコース    200万曲  費用はプライム会員費に含まれる
   UNLIMITEDコース 6500万曲 月額980円(プライム会員は月額780円)

現在Amazonミュージック・アプリのマイミュージック(ブラウザのブックマークのようなもの)に登録してあるのは131アルバム。これはCDを持っていたり、聴いてはみたものの気に入らなかったアルバムはマイミュージックに残さなかったから。

UNLIMITEDコースで登録して、PRIMEコースでは聴けないアルバムはアプリ上で暗く表示される。この画像では逆に光っているように見えるクリストファー・クロスとジョージ・ベンソンとダイア・ストレーツの3枚ががPRIMEコースでも聴けるアルバム。

Amazonミュージックスクショ

それが全体でいくつあったかというと34アルバム。34÷131=26%だから、かなり寂しい結果になった。もっとも200万÷6500万=3%だから、その比率と較べると歩留まりはかなりいいとも言えるが


この1ヶ月間、自宅ではAORばかりを聴いていた。今まで「あの曲を聴きたい」と突発的に思った場合はYouTubeで探していた。しかしアルバムを通しで聴くと「記憶からは消えていても、かすかに聞き覚えのある曲」なんかがあって、その方がタイムスリップ感が強い。もちろん初めて聴く曲も多かったけれど、同じAORだからやはり1980年プラスマイナス数年の時代の雰囲気を感じさせる。

というわけでAORにどっぷり浸かっていたのだが、それでもUNLIMITEDコースを更新しなかった理由は単純で、いつも聴いていたら懐かしくなくなってしまうから(^^ゞ

お試し期間の1ヶ月間では、同じくブログの「その2」で紹介した「ロックの名盤 435選」まで手が回らなかったのは残念。しかしAORと同じ比率でヒットするなら44枚程度の計算になるから、そこそこ楽しめるだろう。現在メインで聴いているクラシックやジャズボーカルは、他社の音楽配信サービスも含めてこれからじっくり調べるつもり。


話はそれるが、ゴールデンウィークの楽しみのひとつだったラ・フォル・ジュルネ(クラシックの音楽祭)が、今年はロナウイルスのせいで中止になって凹んでいるーーー

wassho at 20:45|PermalinkComments(0)

2020年04月11日

ドコモがアマゾンで若返った話 その2

前回に書いた2年ほど前に処分したレコードのほとんどは、1980年プライスマイナス5年くらいのウエストコースト・ロック、AOR、サーフミュージックといったところが中心。

その中からイーグルスやボズ・スキャッグスといった超メジャーなものを除いた約50枚で、Amazonミュージックの品揃えがどの程度揃っているのかを確かめてみた。

   55%というのがその結果。

う〜ん、思ったより少なかった。

当時の多少は洋楽好きならそこそこポピュラーなものばかりで、超マニアックなレコードではないはずなのに。コレクションをすべて聴き直せると思っていたから、ちょっとショックだった。しかし考えてみれば、もう40年前の話だから仕方ないか(^^ゞ

なお、まったくカスリもしないものもあれば、アーチストはヒットしても、探しているアルバムが見つからないものも結構あった。またAmazonミュージックのシステムはあまりデキがよくなく、カタカナではヒットしないけれど英語ならヒットする、あるいはその逆、アーチストやアルバムではヒットしないのに曲名で検索するとアルバムがヒットするケースもあった。

他にもマイミュージック(ブラウザのブックマークみたいなもの)への登録ができないことがあったり、たまに音が止まるなどの問題も。その場合はいったんアプリを終了しなければ回復しない。またユーザーインターフェイスも洗練されているとは言いがたい。

音質はビットレート最大256kbpsの圧縮音源(この意味の説明は長くなるので省略)。各社の音楽配信サービスは現在ほとんど256か320kbpsだ。CDで持っている曲と聞き較べると、音の厚みや広がりはわずかに違う。でもそれは聞き較べたらの話でAmazonミュージックだけを聴いて音質に不満を覚える人はごくわずかだろう。それに耳も慣れてくるし。ただ音質というのは音量を絞るとショボくなるものだが、圧縮音源はショボくなる度合いが大きいのがやや難点。

Amazonミュージックについては、まだいろいろと書きたいが、
いったん(/_')/ソレハコッチニオイトイテ

音楽

というわけで、docomoがAmazonプライムの権利を1年間提供するというキャンペーンに乗っかり、Amazonミュージックで昔レコードを持っていた音楽を聴き直している。

いや〜懐かしすぎるわ。
それと音楽が鳴り始めた瞬間にタイムスリップするけれど、自分自身が気持ち的に当時と何も変わっていないことに驚く。「大人というのは子供の空想の産物」というのはまさにその通りだと思う。もちろん見かけはトコトン劣化してしまったが(^^ゞ それにしても、かれこれ40年も前のことかと思うと感無量。同時にちょっと寂しいかな。


コロナウイルスで外出自粛が続くおり、暇を持て余しているならお試しを。
それにタイムスリップして若い頃に戻ると、身体も若返った気分になるよ。

なお音楽配信サービスは各社とも無料お試し期間があるから、それを利用するものアリだが、手っ取り早いのはYouTube。懐かしの曲を1つ検索すれば、当時の似たような曲が次々とお薦めリストに現れるから、そこから選んでいけばいい。


ところで前回にも書いたように実家に残してあったレコードを2年ほど前に処分した時は、ジャケットを写真に撮って記録したが、ずっと前に処分した自宅にあったレコードや、レンタルしてカセットにダビングしたものは何の記録もない。数はそちらの方が圧倒的に多い。どんなレコードだったか、もうほとんど思い出せない。

だからもう聴けないのかと思っていたら、こんな便利なサイトを見つけた。

   AORの名盤 330選
   https://warmbreeze.jp/music/category/aor/aor330

   ロックの名盤435選
   https://warmbreeze.jp/music/rock435

   AOR名盤351アルバムと、70〜80年代のロック・ポップスの
   名盤84アルバムを紹介しているサイト
   https://coolsnd.blog.fc2.com/blog-category-3.html

探せば他にも情報源はあるだろう。
これらをヒントにあれこれ探ってみようと思っている。
(まだAmazonミュージックに音源があるかまでは取りかかっていないけれど、
 これらのサイトで懐かしいアーチストやアルバムを見つけるだけでも楽しい)


おしまい

wassho at 11:47|PermalinkComments(0)

2020年04月10日

ドコモがアマゾンで若返った話

タイトルを正確に書くと、

   docomoが
   Amazonプライムの権利を1年分提供する
   キャンペーンをしていたので

   それを利用してプライム会員になり

   その特典であるAmazonミュージックで
   昔、レコードを持っていた音楽を聴いて
   気分が若返った

という話。

docomoのキャンペーンは「ドコモのギガプラン」への乗り換え特典としてAmazonプライムの権利を付けるというもの。私が乗り換えたのは昨年の秋頃なのに、それでも対象になるという太っ腹。しかもわざわざ「あなたはキャンペーン対象になっています」と葉書で送ってくるという念の入りよう。

docomoキャンペーン

そのAmazonプライムは年間4900円を払えば、2000円以下の買い物の場合でも送料が無料になるなどショッピング関連の特典がつき、またビデオ、音楽、電子書籍などの配信も無料というサービス。

私の場合、ショッピング関連では特にメリットがなく、いずれビデオは試してみようかなと思っていた程度。


話は変わるが、Netflixから始めた動画配信サービス・無料お試し期間の渡り歩き。Netflixが終了したことはブログに書いたが、その次はTSUTAYAに申し込んだ。これが最悪だった。映画の品揃えはそれなりに充実していたが、とにかくホームページの画面が反応しない。おそらくサーバーの処理能力が低いのだと思う。そしてようやく見たい映画につながったと思ったら、見ているうちにどんどん解像度が落ちてくる(画質が悪くなってくる)。途中で映像が止まることもあった。もう一度書くが評価は最悪の下。

映画の見られない動画配信サービスなんて意味がないので1週間くらいで解約した。解約のページもなかなか反応せず、何度もやり直して手続きを終えるのに3日くらいかかったかな。もし手続きするのが無料お試し期間の終了間際で、ページが反応せず有料期間に入ってしまったら一悶着起きたかも知れない。いや、サービスのレベルの低さに頭にきていたから、きっと起こしただろう(^^ゞ とりあえずTSUTAYAはお勧めしない。

TSUTAYAの一件でちょっと熱が冷め、無料お試し期間の渡り歩きは中断してしまった。というかレンタルしての映画は見ても月に1〜2本だから、その都度 iTunes で単品購入してもいいかなと思ったり。まあAmazonプライムは1年間続くのでゆっくり考えましょう。


さて話をAmazonプライムのサービスのひとつであるAmazonミュージックに戻すと、これには3つのコースが用意されている。

 PRIME    200万曲聴き放題  費用はプライム会員費に含まれる
 UNLIMITED 6500万曲聴き放題 月額980円(プライム会員は月額780円)
 HD      高音質で6500万曲聴き放題 月額1980円(プライム会員は月額1780円)

曲数と音質での差別化。PRIMEとUNLIMITEDの音質は通常の音楽配信サービスと同程度。HDはCD並みの音質で、一部にハイレゾ化されている曲もあるとのことだが、その比率は分からず。

それで、とりあえずPRIMEで曲を聴こうとしたのだけれど、曲のタイトルをクリックすると「UNLIMITED 30日間無料お試しできます」というような画面が現れる。200万曲と6500万曲で私の聴きたい曲の品揃えにどれだけ違いがあるか確かめるために、まずはPRIMEでいろいろ検索したかった。しかしその「無料お試しできます」を消しても、またタイトルをクリックすると表れる。消しても消しても表れる。仕方なく諦めてUNLIMITEDの無料お試しを申し込んだ。

なおUNLIMITEDでアクセスして曲を表示させると、その曲がUNLIMITEDでしか聴けないのかPRIMEでも聴けるのかといった区別は表示されない。だから200万曲と6500万曲の違いは無料お試し期間が過ぎるまでオアズケである。



私のレコード・コレクションは自宅に50枚、実家に100枚ほどがあった。高校生から大学生〜社会人なりたての頃に買ったもの。自宅のレコードはずっと以前に処分したが、実家に置いてあったものは2年ほど前に処分して、その時にジャケットを写真に撮っておいた。それを見てAmazonミュージックで検索している。

それにしても自宅にあったレコードの記録が何もないことが悔やまれる。処分したのはデジカメなんてなかった時代だから仕方ないけど。さらに言えば、買ったレコードよりレンタルしてカセットテープにダビングしていた(時代を感じる表現です)コレクションのほうが数倍は多かった。そのカセットを処分した時に、カセットケースに入れていたアルバム名・アーチスト名を書いたラベルは残しておいたのに、数年後に「ラベルで音楽が聴けるわけではない」と捨ててしまったのが痛恨の極みである。まさかネットで音楽配信なんて時代が来るなんて、その頃は夢にも思っていなかった。


ーーー続く

wassho at 07:15|PermalinkComments(0)

2020年03月26日

City Pop シティ・ポップという海外のトレンド

1年くらい前から話題だったようだが、うかつにも知らなかった。
でもまだ何それ?な人のほうが圧倒的に多いと思うので紹介しておく。

City Popとは

   欧米でハマる若者が続出している
   1970年代後半から1980年代の日本のポップス

のこと。

具体的には山下達郎、竹内まりや、角松敏生、杏里、EPO、山下久美子、大滝詠一、大貫妙子、南佳孝などの名前がよく取り上げられている。あえて定義づければ「洗練された雰囲気のある、おしゃれな都会派ポップス」であり、その中でも少しリズミカルなものが受けているようだ。当時に「ナウなヤング」だった人なら「ああ、あのへんね」とわかるはず。そう「カーステ」でいつも聴いていたやつである。それで分からない人には、分かるように説明する文章力がないのでゴメン。

ユーミンは?サザンは?とか尋ねられても困る。私もCity Popは数日前に初めて知ったばかりなのでまったく詳しくない。でも先ほどの顔ぶれを見ると超メジャーじゃなく準メジャーなミュージシャンが多いようにも思える。また逆に当時も今も聞いたことがないようなミュージシャンが紹介されていたりする。なおその頃の日本でこれらの音楽をCity Popと呼んでいたという記憶はない。特にジャンル名はなかったように思う。


さて
ネットでの拾い読みを信じるなら、きっかけは竹内まりやの Plastic Love という曲を、誰かが動画に仕立ててYouTubeに投稿したことから。2017年7月の話。再生回数2500万回以上とバズった。残念ながらその動画は現在、著作権侵害の申し立てによって削除されている。

その後、ちゃっかりワーナーミュージックがブームに便乗して、2019年5月にミュージックビデオを公開しているので、そちらを貼り付けておく。でもオリジナルを見たいなあ。


私はけっこう竹内まりやのファンである。数えたらCDは5枚あった。彼女の魅力は「初めて聴いた曲でも、なぜか懐かしい気がする」ところかな。それはさておき、この Plastic Love は別にヒット曲じゃない。1984年発売の VARIETY というアルバムに収録されているが、後のベストアルバムには組み入れられず。そんな曲からブームが起きるのだから面白いもの。それも33年もたってから海外で。


関係ないけどアルバム VARIETY で当時29歳の竹内まりやはなぜかセーラー服。しかもデコルテ(鎖骨のあたりね)も露わに、またヘアスタイルは、まだバブル景気の数年前というのにジュリアナのオネエチャン風というアンバランス。ナゾ過ぎる。誰かこのジャケットに込められた制作意図を知っていたら教えて欲しい。
VARIETY

ところでCity Popで一番人気があるのが、竹内まりやと山下達郎なんだそうである。そして海外のファンは二人が夫婦だと知って超絶ビックリするらしい。日本人の感覚ならマイケル・ジャクソンとマドンナが実は夫婦だったみたいなものかな。

もっとも当時の「ナウなヤング」が、初めて山下達郎の写真を見た時に驚愕した「歌声とのあまりの落差」には遠くおよぶまい(^^ゞ 山下達郎とビル・ラバウンティは双璧だったなと、分かる人にしか分からない思い出話。※今と違って、その頃ビジュアルな情報は後になってから広まった


よく1周回ってまた流行りだしたなんていわれる。City Popは何周回っているんだという気もするが、確かなのはこれはYouTubeやSNSがなければ生まれなかったトレンドだということ。これからも思いもしないことが起きるのかも知れない。そういうのはコツコツ拾って楽しみましょう。

wassho at 18:32|PermalinkComments(0)

2019年12月14日

オーディオ塞翁が馬

先日、3度目となるテレビの修理を行った時のこと。

サービスマン氏が帰ってしばらく後、オーディオのスピーカーの右側がいつもと違う方向を向いているのに気がついた。テレビの横にスピーカースタンドが立っているから、修理の時に身体をぶつけてしまったのだろう。

向きを修正した。
ついでに気まぐれで、スピーカーの内振り角度を以前より内側に向けた。もちろん左側のスピーカーも同じように合わせた。

たいていの人はスピーカーを壁と平行に置いているが、オーディオの教科書的にはスピーカーとリスナーの位置関係は正三角形が望ましく、その三角形に合わせてスピーカーは60度内振りにすることになっている。
スピーカー三角形


今回の修正で60度に近づいたかな。
音楽を鳴らしてみた。
すると今まで聴いていた音は何だったのか思えるくらほど、いい感じに鳴った。

言葉で表現するのは難しいが立体感が増したした気がする。また写真でいうならピントがキチンと合ったようにクリアに聞こえる。ほんの2センチほどスピーカーを動かしただけなのに。オーディオマニアはセッティングにもあれこれこだわるというが、その意味がわかったような気がした。

しかし、おかしいな。ここに引っ越してきた時、スピーカーの角度は正面向きから内振り、そして外振りも含めていろんな角度を試して決めたはずなのに。インテリアの配置も多少は変わったし、その影響だろうか。まあ結果オーライでよしとしよう。


しばらくは音楽を聴くのが楽しかった。
でもふと気がついた。
生演奏ではこんな立体感はない。

リビングルーム程度の面積ところでアンサンブルを演奏してもらえば違うかも知れない。しかしコンサートホール的な広さなら、音は拡散して響いても、意外とモノラル的に聞こえているような気もする。会場でそんなことを考えながら聴いたりはしないが。

いい音になったと喜んで聴いていたのに、ちょっと冷めた(^^ゞ

音の立体感とはオーディオでよくいわれるテーマである。しかしそれはオーディオ的なフェイクのような気もする。オーディオというより録音のと表現するべきか。そういえばピアノでもバイオリンでも、コンチェルトは生演奏と録音ではバランスがかなり違う。オーケストラのそれぞれの楽器を聞き分けられるのは生演奏より録音である。


2センチスピーカーを動かして喜んだり冷めたりの塞翁が馬。
でも偶然の産物で、コストゼロでいい音になったので満足している。

wassho at 09:41|PermalinkComments(0)

2019年09月24日

ウォークマン NW-A100TPS

SONYからこんなウォークマンが発売されるらしい。

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「わぁー懐かしい!」と思った人はオッサン・オバハン認定ね(^^ゞ

これはウォークマン40周年を記念して、初代ウォークマンのデザインを模して発売されるNW-A100TPSというモデル。今のデジタル・オーディオ・プレーヤーのウォークマンにカバーをつけて初代に似せている。そしてカセットテープ部分は液晶画面の映像で再現。
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3


動画のほうがわかりやすい。
  注)ベルリンの展示会で撮影されたものだから、会場の騒音がうるさいよ。




さらに凝っているのは音楽ファイルのタイプやビットレート、つまり音質によってカセットテープの種類が切り替わること。
テープ一覧

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緑色のは普通の安いカセットテープで白いのはメタルテープ。値段は忘れたがメタルテープは高くて当時は買えなかった。私はクロームテープというのをよく使っていたかな。

ついでにこの「懐かしのカセットテープ博物館」というホームページで昔のカセットテープをいろいろ見られる。


それでこのNW-A100TPSはヨーロッパで440ユーロ(約5万2000円)で11月から発売されるらしい。しかし、なぜか日本での発売はアナウンスされていない。どういうこと?

今使っているDP-X1Aという機種で間に合っているから買うことはないと思うけれど、とりあえず店頭で見て触って感涙にむせびたい(^^ゞ

wassho at 19:27|PermalinkComments(0)

2019年09月14日

さよならエディ・マネー

エディ・マネー。
アメリカのロックシンガー。
9月13日に死去。享年70歳。

エディ・マネーを知っている人は私の年代でもわずかだろう。本国アメリカの状況は知らないが、日本では小規模なヒット曲があったに過ぎない。ウィキペディアにも彼のページはない。

英語版のウィキペディアによれば今年の5月にもアルバムを出していた。でも基本的には70年代後半から80年代中頃に活躍した歌手である。

エディ・マネー

1978年に発売された彼のセカンドアルバムが Life for the Taking 。その中に入っていた
Maybe I'm a Foolという曲をなぜかとても気に入っていた。当時のダンスミュージックはソウル中心。それらはなんとなく私にはヘヴィーだった。この曲もソウル風なんだけれど白人が歌っているからちょうどいい具合だったというか。


家でもクルマの中でも、また発売されたばかりのウォークマンでもよく聴いた。いってみれば青春の思い出の曲のひとつ。あれやこれや甘酸っぱい記憶が蘇ってきて照れるゼ(^^ゞ


メジャーなニュースサイトでは取り上げられていない。普段は見ないニュースアプリをたまたま立ち上げて知ったしだい。元記事は https://www.barks.jp/news/?id=1000171824 本日の午前11時39分に配信されている。私が見たのはその数分後だった。昔、熱心に聴いていたから呼ばれた?のかな。

合掌

wassho at 23:24|PermalinkComments(0)

2019年05月14日

ラ・フォル・ジュルネTOKYO2019 ディーヴァ・オペラ

5月3日に聴いた公演は弦楽四重奏、ピアノ三重奏、ピアノ協奏曲、ピアノ曲、バイオリン協奏曲の5つ。バランスとしては悪くないし今年はそれだけにするつもりだった。しかしどうしても声楽関連を聴きたくなり、5月3日のチケットを予約したしばらく後にプログラムを眺めているとモーツァルトのオペラがあったので急遽チケットを手配。公演日は5月5日。


いつもは銀座駅から東京国際フォーラムへ向かうが、気分転換に二重橋前駅から。距離的にはどちらもそう変わらない。

ちょっと寄り道して行幸通りへ。
皇居に夕日が落ちかけている。時刻は午後6時過ぎ。
DSCF3171


反転して東京駅方面。
DSCF3175


近づいての撮影。
35ミリ換算15ミリになる広角ズームだと巨大な東京駅もだいたい収まる。
DSCF3186


上の写真は横:縦比が3:2。ちょっと道路部分が気になったので16:9にトリミングしてみた。ワイド感が強調されてるかな?
DSCF3186のコピー


東京駅の横にあるJPタワー。元は東京中央郵便局。外観の一部に郵便局舎が残されている。ビルのデザインはクラシックな方が断然に好き。
DSCF3192


ここを渡って数分歩くと東京国際フォーラムに着く。
ガラス棟の両端は鋭角なので見る角度によってはカミソリのよう。
DSCF3193

DSCF3196


毎年撮影しているAホール前の光る廊下。
DSCF3197


一番賑やかな時間帯かな。
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とりあえず駆けつけ1杯。
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会場はB7ホール。
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最後尾17列の位置から。
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座席は8列目を確保。
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横方向の風景。
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【公演番号326】
 モーツァルト:オペラ 後宮からの誘拐

 ディーヴァ・オペラ


オペラといってもほとんど舞台セットのないステージでピアノ伴奏だけで行われるオペラである。こういう簡易バーションのオペラを室内オペラというらしい。フルスケールのオペラは言ってみれば劇場オペラか。

ディーヴァ・オペラはイギリスの室内オペラ専門の劇団。
今回のメンバーをコピペしておくと

  ベルモンテ(スペインの貴族):アシュリー・カトリング
  オスミン(太守の監督官):マシュー・ハーグリーヴズ
  ペドリッロ(ベルモンテの召使):リチャード・ダウリング
  太守セリム:デイヴィッド・ステファンソン
  コンスタンツェ(ベルモンテの婚約者):ガブリエラ・キャシディ
  ブロンデ(コンスタンツェの召使、英国人):バーバラ・コール・ウォルトン
  音楽監督・ピアノ:ブライアン・エヴァンス
  総監督:アンヌ・マラビーニ・ヤング

このディーヴァ・オペラによるモーツァルトのオペラは、今年のラ・フォル・ジュルネの目玉公演のようで3日間連続での上演。ちなみに上演時間は2時間で途中で15分間の休憩時間が設けられている。

とはいっても、あまり高い期待はしていなかった。なんたって簡略版だから。声楽が聴ければいいや程度の気持ち。

出演しているのは男性4名、女性2名である。最初の25分くらいは男性しか出てこない。私はソプラノが好きなのでちょっと退屈する。そしてコンスタンツェ役のガブリエラ・キャシディ登場。この歌手は別格に素晴らしかった。ところどころ歌うのが難しいパートもあったが、それも完璧にこなしていたように思う。彼女がいることによって全体のクォリティもランクアップしたように感じられた。そこからどんどん引き込まれていった。


舞台セットは必要最小限といった感じでも、衣装は本格的。それが安ぽっさを感じさせない理由。衣装を眺めているだけでもけっこう楽しめる。なお一番右にいるのがガブリエラ・キャシディ。
衣装

ピアノ伴奏は音楽監督のブライアン・エヴァンスが務める。ほぼ2時間引きっぱなしで大変だと思うが、この演奏もとても良かった。単に演奏が上手いというだけでなく、ステージの進行というかノリとシンクロした弾き方だったと思う。

びっくりしたのは途中で照明が暗転していくつかの舞台セットを入れ替えた時。その搬入搬出は男性歌手たちがやっていた。そうやってコストカットしているのだろうが、ラ・フォル・ジュルネには山ほどスタッフがいるのだから手伝ってあげればいいのに。

まあとにかく楽しかった。終わってみれば「簡易バージョン」という印象や我慢はまったくなし。もちろんそれは「後宮からの誘拐」がもともと小規模な設定なせいもあるけれど、室内オペラへの認識を新たにした。ラ・フォル・ジュルネに2日も足を運んだ甲斐があったというもの。大満足な公演だった。


今年もクラシック音楽に浸れたラ・フォル・ジュルネ。毎年書いて実現していない「今年こそはラ・フォル・ジュルネ以外も生演奏を聴きに行こう」とまた書いておく(^^ゞ


おしまい

wassho at 23:05|PermalinkComments(0)

2019年05月11日

ラ・フォル・ジュルネTOKYO2019 神尾真由子 タタルスタン国立交響楽団 アレクサンドル・スラドコフスキー


初日5つ目で最後の公演はラフマニノフのピアノ協奏曲と同じAホール。そしてこの公演は私にとって因縁の組み合わせ。
DSCF3126

ラフマニノフのエントリーの時にも書いたが、5年前に初めてのラ・フォル・ジュルネで最初に聴いたのがこのAホールだった。5000人収容とクラシック音楽にとっては広すぎるこのホールは49列の座席がある。その最後列1つ手前の座席で聴いたチャイコフスキーのバイオリン協奏曲は、遠くから小さな音量で聞こえてきただけだった。

久しぶりの生演奏を聴いた満足感はあったものの、その音量のことはトラウマに(/o\) ラ・フォル・ジュルネに行くたびに、座席が何列目だったとか、ホールの音響がどうだったかと書いているのはそれが影響している。その後、Aホールのいろいろな席で公演を聴いた。その経験をもとにアドバイスすると、オーケストラの音量を楽しみたいのであれば15列目までがリミットである。

さてこの公演は5年前と同じくAホールでチャイコフスキーのバイオリン協奏曲。オーケストラと指揮者も、タタルスタン国立交響楽団とアレクサンドル・スラドコフスキーの同じ組み合わせである。もっとも5年前のウサを晴らすためにこの公演を選んだわけじゃない。単純にチャイコフスキーのバイオリン協奏曲が好きなだけ。オーケストラと指揮者が同じことはチケットを買う段階では気づかなかった。


受付を横から見たところ。
DSCF3127


今回は左側から入場。
DSCF3129


49列ある22列目付近。
DSCF3130


そこから見たホール後方と2階席部分。
5年前はほぼ後ろの壁際にいたわけだから、そりゃ聴こえないわ。
DSCF3132


今回の座席は4列目のセンターからわずかに左寄り。バイオリンソロは左側に立つから、ほぼベストポジション。5年前の私にこのことを報告してあげたい(^^ゞ
DSCF3133


ハープを最終調整中。
DSCF3134


コントラバスは6台。
DSCF3135


【公演番号116】
 シャブリエ:狂詩曲「スペイン」
 チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 op.35

 神尾真由子 (ヴァイオリン)
神尾真由子

 タタルスタン国立交響楽団
タタルスタン国立交響楽団

 アレクサンドル・スラドコフスキー(指揮)
アレクサンドル・スラドコフスキー


神尾真由子は10年ほど前に発売されたパガニーニのアルバムを持っている。自身がすぐれたバイオリン奏者だったパガニーニの作品はどれも難曲で知られる。そしてチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲もソロバイオリンに超絶技巧を要求する。彼女は難しい曲が好きなのかな。私は大好きである。演奏テクニックのことはよくわからないが、超絶技巧な曲というのは音数が多くて楽しいから。


最初の演奏はシャブリエの狂詩曲「スペイン」。作曲家もこの作品も全く初耳。リズミカルで元気のいい曲だった。言っちゃ悪いが前座にぴったり。ハープの音色に期待していたのに、全体の音に埋もれてあまり聞き取れず。オーケストラはラフマニノフの時と同様にノリのいい演奏で音もよく鳴っていた。

「スペイン」は6〜7分の短い曲だった。それが終わると金管楽器の人を中心に約1/3が退席。次のヴァイオリン協奏曲では必要がないからなのであるが、わずかな出番でちょっとお気の毒。そして神尾真由子が登場。私は10年前のジャケット写真でしか彼女を知らなかったので、ちょっとイメージが違って戸惑う(^^ゞ

演奏の良し悪しを評価するほどの教養と耳はないのだが、私にはパーフェクトな演奏に思えた。だから大変満足。もちろん音量的にも。身も蓋もない感想でゴメン。難解なパートでも細かなニュアンスが感じ取れたのが満足した理由のひとつでもあるが、後ろの席で聞いいている人にはそのニュアンスは伝わらず、ゴリゴリ弾いているだけに聴こえたかもしれない。音量だけじゃなくて音楽性においても座席位置は大切と新たに認識。


ーーー続く

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2019年05月08日

ラ・フォル・ジュルネTOKYO2019 広瀬悦子

初日4つ目の公演は最初のエルメス弦楽四重奏団と同じB5ホール。
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座席はまたもや最も後ろの6列目。でもこのホールでピアノなら問題ない。
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壁の上部にあるのは音響効果を考えた反響板かな。材質も解らないから何ともいえないが。いずれにせよ板の付け根にはホコリが溜まっているに違いない(^^ゞ
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【公演番号1364】
 リスト:巡礼の年 第1年「スイス」

 広瀬悦子 (ピアノ)
広瀬悦子


この公演は広瀬悦子を聴きたくて選んだ。彼女のCDは何枚か持っている。デビューアルバムの頃からは随分と妖しさを増した(^^ゞ しばらくご無沙汰だったが最近はバラキレフやリャプノフといった、あまり聞き慣れない作曲家のアルバムを出しているので再び注目している。もうメジャーな曲のCDはほとんど持っているので、そういう企画じゃないとなかなか購買意欲が起こらない。


リストの「巡礼の年」は

   「第1年:スイス」
   「第2年:イタリア」
   「ヴェネツィアとナポリ(第2年補遺)」
   「第3年」

からなるピアノ曲4部作。巡礼というタイトルはついているが特に宗教と深く関わったものではなく、旅先で得たインスピレーションから作曲した小作品をまとめたものといわれている。実際、第1年のスイス旅行はリストがマリー・ダグーという伯爵夫人と恋仲になり、彼女が妊娠し、パリにいられなくなってスイスに姿をくらました逃避行だから巡礼とは程遠い。

またリストというと超絶技巧を連想する。しかし「巡礼の年」は叙情的でしっとりとした曲が多い。また4部作すべて合わせて26曲で構成されているが、どれも似通っているというか特徴があまりない。だから随分と昔からお気に入りリストに入っている作品なのだが、ある曲の一部を聞かされて「これは4部作のどれだ」と質問されたら多分わからないかも。


さて広瀬悦子先生は紺色のドレスでご登場。拍手に迎えられピアノの前でにこやかな笑顔でお辞儀。そして椅子に座ると、なんと一呼吸もおかずに弾き始めた。3秒後には陶酔とはいわないまでも曲に入り込んでウットリした表情。どんだけスイッチ入るの早いねん!

憑依するタイプ? ちょっとオンナとして怖いものを感じながらも(^^ゞ演奏は楽しめた。すごく丁寧に引いている感じ。さきほど「巡礼の年」は超絶技巧ではないと書いたが、それなりに複雑だったり激しかったりする部分もある。広瀬悦子はパワフルなピアニストの部類だと思うのだけれど、あまり強打しているようには聞こえず余裕をもって弾いているようにも思えた。

ところで椅子に座ってから引き出すまでは超早かった彼女だが、曲と曲の間のインターバルは微妙に長い。さあ一息ついただろうから弾き始めるかと思ったら、そこからハンカチで顔を拭いたりして引っ張る。何となく聞き手として間合いが取れない。私と相性悪いのかな。けっこうファンだったのに寂しい(^^ゞ

「第1年:スイス」は50分近くある大曲。でもあっという間に時間が過ぎた。ある意味とりとめのない作品。とりとめなく永遠にピアノの音に浸っていたかった気分。




広場に出たのは午後8時半ごろ。さて何を食べようかと迷って、選んだのはステーキ&ポテト。多分去年まではいなかったキッチンカー。
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盛り付けはフライドポテトの上に肉が載せてあるだけで、ただでさえインスタ映えしないのに(ブログだけれど)思いっきりブレた(>_<)
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少し甘めのソースでの味付け。ある程度焼いてある肉を注文があってから、もう一度鉄板でジュッとやるみたいで焼き加減が微妙。でも、まあおいしかった。しかし900円はちょっと高かったかな。


これも今年からだと思うが、いくつかのテーブルにランプが置かれていた。
アンティーク調に見えるのに電球なのは仕方ないか。
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ーーー続く

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2019年05月06日

ラ・フォル・ジュルネTOKYO2019 空き時間

初日の3つ目の公演を聴き終えて広場に出てきたのは午後5時半ごろ。
次の公演が始まるまで2時間弱。
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広場にある無料コンサートのステージ。
そういえば今年はまだここでの演奏を見かけていない。
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プログラムによれば次の演奏は1時間後。席に座っている人はこのまま1時間も待つつもりでいるのか? それとも単に休憩しているだけ?
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東京国際フォーラムのシンボルであるガラス棟。右側上部に31の会議室があり、ラ・フォル・ジュルネでも1部屋利用している。
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当日券のチケット売り場。
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地下にあるEホール。地下に降りるにはチケットかチケットの半券が必要。ホールといっても5000平方mの巨大なイベント空間で、ラ・フォル・ジュルネでは半分を無料コンサートのステージ、半分をグッズ販売スペースに当てている。
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ちょうどコンサートが始まるところだった。
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人でいっぱい。
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この日は広角ズームのレンズだったので写真をトリミング。様々なパーカッションだけのグループみたい。沖縄っぽいリズムの演奏をしていた。
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しばらく聴いてみたが、つまらなかったので早々に退散。



グッズ売り場に移動。
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これは初めて見るかな。材質が何かは触り忘れた。
それにしても2万円で売れるのかな。
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他はだいたい例年通りの品揃え。
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作曲家人形は年々売り場が小さくなっている(/o\)
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こちらは新星堂のブース。
今まではCDだけだったような気がするのだが(記憶は曖昧)、
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本を除けば隣のブースと同じようなものを売っていた。
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CD売り場は壁際だけ。やはりCD不況は深刻。店頭と同じ価格で売っているようだけれど、2割ほど下げれば、これだけの集客があるのだから飛ぶように売れると思うよ。私も大人買いする(^^ゞ
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地上に出るとフルートの無料コンサートをやっていた。写真では柱に隠れてしまったが、一番右は低音用のアルトフルート。本物を見たのは初めてで、その大きさにびっくり。しかしそれほど低い音が出るわけではなさそう。
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時刻は午後7時前。夜の帳(とばり)が下りてきたといったところ。
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ーーー続く

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2019年05月05日

ラ・フォル・ジュルネTOKYO2019 ネルソン・ゲルナー タタルスタン国立交響楽団 アレクサンドル・スラドコフスキー

三菱一号館美術館から戻って、初日3つ目の公演はAホール。過去にも散々書いてきたが5000人収容の巨大ホールで、15列目までの座席を確保しないと音量的にはまったく楽しめないホールである。
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受付も広くて、
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1階席へ行くのに2回エスカレーターに乗る。
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この位置で49列ある座席の22列目。
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確保したのは10列目の右寄りの座席。この角度だとピアニストの手は見えないが、それはステージ左右にあるモニターで我慢。
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【公演番号114】
 ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番 ニ短調 op.30

 ネルソン・ゲルナー(ピアノ)
ネルソン・ゲルナー

 タタルスタン国立交響楽団
タタルスタン国立交響楽団

 アレクサンドル・スラドコフスキー(指揮)
アレクサンドル・スラドコフスキー


アレクサンドル・スラドコフスキーとタタルスタン国立交響楽団の組み合わせは、初めてラ・フォル・ジュルネに来た時に聴いている。その時はこの巨大ホールの最後列の1つ手前という席だったので「誰かボリューム上げてくれ!」と心の中で叫んだ(^^ゞ

ネルソン・ゲルナーは1969年生まれのアルゼンチン人。まったく知らないピアニスト。しかしあまたあるピアノ協奏曲の中でも、演奏の難しさでは1位2位を争うといわれているラフマニノフのピアノ協奏曲第3番を弾くのだから相当の腕前のはず。


ラフマニノフのピアノ協奏曲といえば第2番の人気がダントツに高い。オタク的マニアがいるということではハルサイに並ぶかも。しかし第3番も同じくらいの名曲だと思う。メロディメーカーであるラフマニノフらしさは存分に散りばめられているし、超絶技巧を聞く楽しみもある。音数の豊かさでは優っているかもしれない。ただし第2番のように情念を揺すぶられるような凄みはない。あれは中毒性のある危険な音楽。


演奏は素晴らしかった。オーケストラはよく鳴っていたし、ネルソン・ゲルナーのピアノは万華鏡のように幻想的な美しさがあった。しかも力強い。ときどきモニターで指使いを見ると、聞こえている音楽から想像するものより3倍くらいの指の運動量。ピアニストはハードワークである。

アレクサンドル・スラドコフスキーは特定の楽団員の方を指して「もっと来いもっと来い」とか「押さえろ」などのジェスチャーを時々やるタイプの指揮者。あれって事前の打ち合わせの確認のためなのか、あるいはその場で不足を感じて指示しているのかどちらなんだろう。

演奏が終わっての拍手は過去にAホールで聞いたなかでも大きかったと思う。一言でいうならノリのいい演奏だった。写真はホールを出るときに撮ったもの。2階まで満席。そりゃ5000人を前にしたら演奏家はやる気出るよね。
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ーーー続く

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2019年05月04日

ラ・フォル・ジュルネTOKYO2019 アレクサンドル・クニャーゼフ ニキータ・ボリソグレブスキー ボリス・ベレゾフスキー


メガネを買うには検眼してレンズを加工してというプロセスがある。つまり時間がかかる。それでもなんとか2つ目の公演開始時刻までに間に合ってよかった。


会場はB7ホール。B5と同じく多目的イベントスペースである。収容人数はB5の約250名に対してB7は約800名と広い。しかし音楽的には天井が低いのが難点。座席は17列中の6列目センター位置を確保。
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【公演番号123】
 チャイコフスキー:ピアノ三重奏曲 イ短調 op.50 「偉大な芸術家の思い出に」

 アレクサンドル・クニャーゼフ(チェロ)
アレクサンドル・クニャーゼフ

 ニキータ・ボリソグレブスキー(バイオリン)
ニキータ・ボリソグレブスキー

 ボリス・ベレゾフスキー(ピアノ)
ボリス・ベレゾフスキー

実はこのプログラム、チケットを予約する時点では誰が演奏するか明かされておらず、いわゆるサプライズ公演の企画趣向。それも面白かろうという理由と、ピアノ三重奏を生で聴いたことがなかったので選んだ。ラ・フォル・ジュルネではホールの入り口で曲と演奏家についての簡単な解説が書かれたパンフレットが配られる。それが見当たらなかったので係員に尋ねると、この公演では演奏が終わってから配るとのこと。そこまでシークレットにしなくてもと思ったが。

演奏家がステージに入ってきた。アレクサンドル・クニャーゼフは昨年の公演を聴いたのですぐにわかった。彼は世界のトップのチェリストの1人である。他の二人は初めて見る顔。

ニキータ・ボリソグレブスキーは30歳代半ばくらいのロシア人。準若手といったポジションかな。ボリス・ベレゾフスキーもロシア人でこちらは50歳。タワーレコードで検索するとCDは167件もヒットした。まったく知らないピアニストだったが、バイオリンの諏訪内晶子やワディム・レーピンと共演したCDも出していて、それは持っていることが判明。諏訪内晶子はよく聴いていた時期があったので実はお馴染みさんだったことになる。ちなみにボリス・ベレゾフスキーの胴回りは上の写真からイメージする2倍は太い。背も高くて巨漢である。

では、その写真をドン! これでもまだ3割スリムに写っているかな。自分より腹が出ている人を見るとなぜか安心する(^^ゞ なお写真はKAJIMOTOのホームページから。
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ところでチェロのアレクサンドル・クニャーゼフ。今年のラ・フォル・ジュルネの出演者リストには載っていない。どうやら別のコンサートで来日していたらしい。かたくなにシークレットにしていたのは事務所を通していないショクナイだったりして(^^ゞ


「偉大な芸術家の思い出に」というタイトルが付いているこの作品は、チャイコフスキーの友人であったピアニストが亡くなった際に追悼曲として作られたもの。とはいっても泣きの旋律だけじゃなくてリズミカルなところもあったりしてバラエティに富んでいる。特徴的なのは第2楽章が変奏曲となっていること。つまり主題が少しずつアレンジを変えて繰り返される。その数なんと12回。そして第2楽章の最後は第1楽章の変奏。あまり曲の構成なんかを意識して音楽を聴くことはないが、これはサルでも私でも理解できるわかりやすさ。ただ12回の繰り返しはちょっと中ダレして飽きてくるかな。

エルメス弦楽四重奏団の演奏では音の厚みが印象的だったけれど、この演奏では特にチェロで倍音の響きを感じた。倍音が豊かとかよく評論で使われるるフレーズだが、何のことか今ひとつ理解できていなかった。それがわかったような気がしたが、あれが倍音だったと自信があるわけじゃない。

アレクサンドル・クニャーゼフは盤石な印象。演奏の良し悪しがわかるほどの耳と教養はないのだが、ニキータ・ボリソグレブスキーの演奏にも不満はまったくなかった。それはボリス・ベレゾフスキーも同じ。ただし彼の演奏はとてもエネルギッシュだったが、ピアノの響き方に少し違和感。少しビブラートがかかっているというかチェンバロが混ざっているというか。それがネガティブかというとそうでもないのだが。


会場の外に出たのは午後2時半ごろ。例年と較べて少し人出が少ないような気がする。10連休で遠くに行く人が多かったのだろうか。
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メガネのレンズ加工を待つ間に有楽町の駅前でランチは食べた。でも、とりあえずビール。そしてビールだけじゃ寂しいのでフランクフルト。ボリス・ベレゾフスキーと較べれば、私なんてスリムなほうなんだから気にしない(^^ゞ
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ここはいつも夜にタイルが光っているのを撮る場所。こういう構図だとさすがに換算15mmの広角レンズは迫力がある。
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上のタイルがあるのは丸の内側の出入り口。そこから出て向かったのは三菱一号館美術館。徒歩数分の至近距離。
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美術館の入り口は中庭にある。入ってみると人だかりが。ラ・フォル・ジュルネは東京国際フォーラムのメイン会場以外に、丸の内や銀座など周辺17ヶ所で無料のミニコンサートも開いている。
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バイオリンとクラリネットの電子楽器。この写真を撮った直後に演奏が終わってしまったので、ほとんど聴くことができなくて残念。
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相変わらずキレイな中庭。
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展覧会はラファエル前派に関するもの。
ラ・フォル・ジュルネとラファエル前派。ちょっと似てるか?
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展覧会についてはまた後日。そういえば3月の終わりに上野でサクラ花見と同時に訪れた都立美術館の「奇想の系譜」展のことをまだブログにしていない(>_<)


ーーー続く

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2019年05月03日

ラ・フォル・ジュルネTOKYO2019 エルメス弦楽四重奏団

ロゴ

もうすっかり私にとってゴールデンウィークの定番になった、クラシックの音楽フェスであるラ・フォル・ジュルネ。通いだして今年で6年目。

ラ・フォル・ジュルの概要について毎回説明してきたけれど、もう新たに書くこともないので今年は省略。知りたい人は公式ホームページの「ラ・フォル・ジュルについて」を読むか、あるいはこのブログの「ラ・フォル・ジュルのタグ」をクリックして過去のエントリーの中から探してちょうだい。

今年は5月3日に5公演、5月5日に1公演のチケットを手配した。本当は1日にまとめたいのだが、そう都合よく聴きたい公演がタイムテーブルに並んではくれない。また本日の2公演目と3公演目には2時間半ほど空き時間があるので、近くの三菱一号館美術館で展覧会を見てきた。このラ・フォル・ジュルネ+αな過ごし方もいつものパターン。



有楽町駅の高架の向こうに見えるガラスの船みたいなのが会場の東京国際フォーラム。
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東京国際フォーラムとビックカメラ有楽町店は向かい合って建っている。
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時刻は午前10時ちょっと前。これが最初の公演時間帯で、6つの公演のうち5つはもう始まっているから広場にいる人の数は少ない。
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今年のテーマは「CARNETS DE VOYAGE」、日本語では「ボヤージュ 旅から生まれた音楽(ものがたり)」と設定されている。ポスターだと日本語がちょっと小さい。ちなみにラ・フォル・ジュルネはフランス発祥だから、ところどこフランス語が出てくる。イベント名であるラ・フォル・ジュルネ:La folle journeeは熱狂の日と訳されていて、英語に直訳するとThe crazy day。
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屋台村もだいたいいつもと同じ顔ぶれ。
去年に初出店だった「俺のフレンチ」の屋台は今年いなかった。
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広場の真ん中あたりから有楽町側の入り口を見たところ。
こんな写真も毎年ワンパターンだけれど。
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最初に聴く公演はB5ホール。
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B5ホールは音楽専用ではなく多目的イベントスペース。長方形のホールの壁際センターにステージがあって、それを取り囲むような椅子の配置。最後列の座席しか取れなかったが、それでも6列目だし、このホールは狭いから音量的には大丈夫。
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【公演番号131】
 バルトーク:弦楽四重奏曲第4番
 ドヴォルザーク:弦楽四重奏曲第12番 ヘ長調 op.96 「アメリカ」

 エルメス弦楽四重奏団
Hermes

エルメス弦楽四重奏団はわりと最近にCDを買ったので選んでみた。10年ほど前にフランスのリヨン国立音楽院の学生で結成されたユニットらしい。メンバーは写真左から

  ヴィオラ:ユン=シン・チャン(Yung-Hsin Chang)
  第1ヴァイオリン:オメール・ブシェーズ(Omer Bouchez)
  第2ヴァイオリン:エリーゼ・リュウ(Elise Liu)
  チェロ:アンソニー・コンドウ(Anthony Kondo)

アンソニー・コンドウは顔つきと名前からして日本人とフランス人のハーフなのかな。エルメス弦楽四重奏団についてはネットで調べても、先ほど書いた結成のいきさつと、その後に様々なコンクールで賞を取ったことくらいしか情報が出てこない。ちなみにCDは8枚ほど出ている。

それにしてもエルメス!である。しかもフランスの楽団。スペルもあのファッションブランドのエルメスと同じHermes。エルメスはギリシャ神話の神の名前ではあるが、ブランドのエルメスと商標関係で揉めなかったのかなといらぬお節介。もっとも10年以上活動を続けているということはOKなんだろう。いずれにしてもインパクト抜群のネーミングである。


さて席についてメガネを持ってくるのを忘れたことに気がついた。もちろん音楽は耳で聴くものであるが、コンサートは目でも楽しむものである。また過去にも書いてきたようにクラシックの場合、目で見ると音楽がよくわかるからメガネは必須。ナンテコッタイ(/o\)


最初はバルトーク。ちょっと前衛的で苦手な部類の作曲家。この弦楽四重奏曲第4番はおそらく初めて聴く。やはり案の定の展開で始まった。でもCDじゃなくて目の前で演奏されていると素直についていけるから不思議。メガネがないからよく見えないのだけれど。

音はとても良かった。弦から出た音が弦楽器の胴体で共鳴して音が大きくなっていることが感じ取れる。オーディオで聴く弦楽四重奏と違って音にとても厚みがある。この実体感のようなものを味わいたくてコンサートに来ているわけだから大満足。

びっくりしたのが第4楽章。4つの楽器全てで、最初から最後までピチカート奏法なのである。弦楽器を弓で擦るのじゃなくて指で弾くのがピチカート。よくある手法だが、あくまでもアクセント的に用いられるのが普通。ボン、ボン、ボンと静かに背景音的に鳴る感じ。しかしバルトークの第4楽章はピチカートだけでアンサンブルが成り立っている。また普通のピチカートの場合、それはごくわずかな小節だけだから、弓は手に持ったまま指で弦を弾く。バルトークの第4楽章で弓は使わないので、バイオリンもビオラもチェロも奏者は右手には何も持っていない。こんな光景は初めて見た!

そしてそのピチカートの音が大きい。そこで疑問。指じゃなくてピックのようなようなものを使っているんじゃないか? ーーーどうしてこんな大事な時にメガネがない(>_<) 残念ながら肉眼では手元の細かいところまではよく見えず。ステージ手前までダッシュしたい気持ちだった。でもまあ何となくではあるが指しか使っていないように思えた。演奏はけっこう指先にハードだと思う。

続く第5楽章はところどころロックのようにリズムカル。どこかにサイドギターが隠れているんじゃないかと冗談で思うくらい。さて全体を通して不協和音の塊だし、無骨な音楽だし、もしこの曲を100回聴いてもワンフレーズも覚えられそうにない。しかしたまに聴く分には面白いもの。ライブならなおさら。それとキレイな曲をキレイに弾くことより、こんなヘンテコリンな曲を上手にまとめることの方が難しいと思う。だから演奏家にとっては挑戦しがいがあって好まれるのかなと思ったりする。


2曲目はドヴォルザーク。バルトークとは正反対に流れるような美しい旋律が冒頭から続く。第2楽章は情感たっぷりで第3〜第4楽章は軽やか。露天風呂でシャンパンでも飲みながら聴きたい感じ。エルメス弦楽四重奏団の演奏は素晴らしかったし、何一つ文句はないのだけれど、バルトークの直後に聴くと何か物足りないのが不思議。別にバルトーク好きになったわけでは決してないのに。

というわけで
バルトークの毒に当てられて始まったのが今年のラ・フォル・ジュルネである。



公演が終わり窓をのぞくと、広場も賑やかになっていた。
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しかし屋台村には目もくれず私が向かった先は、
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徒歩で数分先にある有楽町の駅前。
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なぜならメガネ買うため。
やはり演奏者の表情までわからないとコンサートの楽しみが半減する。それでも今年は耳に集中しようかと考えたがハタと気がついた。美術館にも行くことを(^^ゞ もっとも美術館をキャンセルして、2公演目と3公演目の間の2時間半ほど空き時間に自宅に戻ってメガネを持ってくることは可能。しかし、それも面倒である。え〜い、めでたく令和が始まった記念だと理屈をつけてーーー無駄な出費(/o\)


ところで本日のデジカメは35mm換算15-36mmの広角ズーム装着で、これは15mmでの撮影。こういう街中の風景だと錯覚的に広く写る。この駅前はこんなに広々していないんだけどね。
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ーーー続く

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2019年01月26日

Momentum ON-EAR G

お散歩用にと買ったソニーのMDR-ZX660というヘッドホンの音質があまりに低レベルだった話は昨年に書いた。エージングといって、しばらく音を鳴らしてスピーカーの振動板をほぐす作業をしてみたが、72時間経っても改善は見られず。あきらめて73時間後にポチったのがこのヘッドホン。

モメンタム1


メーカーはドイツのゼンハイザーという会社。イヤホンやヘッドホンでは有名な会社といえるが、世間一般の認知度はどの程度なんだろう。私も初めてここのイヤホンを買った時はまったく知らなかった。

商品名がMomentumでモメンタムと読む。勢いとか推進力というような意味。ON-EARはソニーの時に説明した、耳当て部分が少し小振りで屋外使用を想定した商品。Gはよくわからないが、このモメンタムは第2世代なので、その区別のためについているのかもしれない。

もっともこの商品は既に旧商品。現行ラインアップはワイヤレスタイプになっている。というわけで在庫処分価格で1万3000円ほどだった。発売当初は2万3000円くらいのモデル。ちなみに現在、イヤホンやヘッドホンはワイヤレスタイプへの移行期なので、ケーブルタイプは格安で売られているものが多いから狙い目。ただし携帯音楽プレーヤーじゃなくスマホで聴くなら、値段にもよるがワイヤレスのほうが音はいいかもしれない。その理由はDACという部品にあるのだけれど、書くと長くなるので省略。



この商品のことは以前から知っていた。ゼンハイザーは元々プロ用機器のメーカーで武骨な商品が多い。それが突然シャレたデザインのものを出してきて話題になったから。何とカラーバリエーションはビックリの7色展開。私が買った昨年の11月には黒、茶色、アイボリーしか残っていなかったのが残念。
モメンタム2

またオンイヤーじゃなくてアラウンドイヤーの普通サイズの耳当てのタイプではあるが、以前にヘッドホンの聴き較べをした時に試聴したこともある。ただし、その時はモメンタムは購入候補ではなく、お店まで来たからちょっとついでにといったレベル。だから、どんな音がしたかはまったく覚えていない。

それでも今回モメンタムを買ったのは、そういうことで馴染みがあったから。逆にいえばいろいろ検討するのが面倒だったから。認知はマーケティングの基礎であるが、改めてその大切さを実感。


音質の評価を書くのは難しいが普通に満足している。スピーカーで音楽を聴いていて、出かける時にイヤホンにすると、当然ながら音のクオリティは下がる。でもモメンタムを使うと、その落差がかなり少なくなる。外出用のものとして今のところはこれ以上は望んでいない。オンイヤータイプということで音漏れが心配だったが、散歩やスーパーへの買い物専用で電車に乗ったりしないから、どうなっているのかよくわからず。役に立たないレポートでゴメンm(_ _)m


モメンタムのケーブルは着脱式。屋外での使用を想定した商品なので、純正のケーブルにはスマホの音楽アプリを操作するリモコンボタンがついている。私はその機能を使わないし、そのリモコン部分が邪魔だったので、ケーブルも別のものを一緒に買った。パイオニアのイヤホンを買った時に説明したバランス接続の4極プラグタイプ
モメンタムケーブル

バランスとアンバランスでそんなに差がないのはわかっていても(少なくとも私の耳では)、せっかく携帯音楽プレーヤーがバランス対応しているからという理由での選択。一応オリジナルのケーブルとも聴き較べたが、やっぱり気のせいレベルの違い(^^ゞ

なお私の使っている携帯音楽プレーヤーのDP-X1AはDAC(デジタル信号をアナログ信号に変換する回路)が2つ搭載されていて、バランス接続では2つ、アンバランスでは1つだけを使う仕組みになっている。だからバランス接続にするとバッテリーの消耗が早いのが難点。もっとも携帯音楽プレーヤーをそんなに長時間は使わないので、バッテリー切れになったことはないが。


ソニーのヘッドホンは「安物買いの銭失い」になってしまったが、とりあえず楽しく散歩できるようになったからヨシとしている。問題はイヤホンとヘッドホンの差が大きいこと。イヤホンはイヤーピースをコンプライのものに換えてから音質が格段にレベルアップした。しかし、それでもモメンタムとはかなり差がある。そしてやっぱりヘッドホンをつけて電車に乗るのは気が引ける。

高級なイヤホンならモメンタムくらいの音になるのか。そのためにはいくら投資しなければならないのか。まっ、いろいろ悩むことがあるから人生は楽しいね。

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2018年11月21日

MDR-ZX660 その2

MDR-ZX660

さっそく届いたMDR-ZX660のパッケージを開く。

ヘッドホンの見た目は写真より落ちる。オレンジ色がデザインのアクセントになっていて、それがいいなと思っていたのだが、逆にそのオレンジ色部分が安っぽくてオモチャのような質感。

しかし、そういうところは期待していなかったから大丈夫。なんたって5500円のヘッドホンなのだから。

装着してみる。とても軽いし、締め付けも適度で頭へのフィット感はいい。
ちょっとほくそ笑む(^^ゞ


音を鳴らす。

    ーーーー絶句(>_<)

ナンジャこの音は。
言葉で説明は難しい。表現するならスカスカのガサガサ。例えるとFM放送とAM放送では音質に違いがあるけれど、まるでAM放送的な感じ。あるいはもっと、一昔前の電話の聞こえ方といったほうが近いかもしれない。とにかく値段に関係なく音楽用の製品で、これはないだろうというのが私の評価。

ちなみに低音から高音までよく鳴っているし、そのバランスもいい。細かな部分もよく聴き取れる。だから音の特性的なところが悪いのではなく、音質のまさに「質」的なところがとんでもなくおかしい。先ほどAM放送とか昔の電話のようと書いたが、それらは再生される周波数帯域が狭いから音が悪い。このヘッドホンはそこに問題がないのにブサイクな音がするのが不思議。これ以上は私の知識では追いつかない。とにかくナゾ


試しにベイヤーダイナミックのT90(ヘッドホン)と聴き較べてみる。月とスッポンほど違う。まあ値段も10倍ほど違うからこれは仕方ないか。ふだん携帯音楽プレーヤーで使っているパイオニアのSE-CH5BL(イヤホン)とも聴き較べる。こちらは同じくらいの価格の製品である。やっぱり月とスッポンほど違う。スピーカーではあるがテレビと較べても格段にクォリティが低い。いい勝負なのはノートパソコンのスピーカーくらい。とにかくオーディオつまり音を楽しむレベルに達していない。


とりあえずエージングに望みをつなぐ。エージングというのはクルマの慣らし運転のようなもの。スピーカー等は振動板の固さがほぐれて音がよくなる可能性がある。鳴らし放しにして

  24時間後:変化なし
  48時間後:変化なし
  72時間後:気持ち滑らかに鳴るようになったように思える

しかしエージングでは初期の固さがほぐれても、根本的な質の部分が改善されるわけではない。だから昔の電話のような聞こえ方なのは同じ。ダメだこりゃ。今時、こんなハズレな製品があるとは想定外。


とにかく絶望、後悔。
そして73時間後に別のヘッドホンをポチってしまった。


新しいヘッドホンについてはいずれそのうち。


おしまい

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2018年11月18日

MDR-ZX660

MDR-ZX660はソニーのヘッドホンである。
今、これを買ってしまったことを猛烈に後悔している。

MDR-ZX660


購入動機はこんないきさつでーーー

かつては週末に10キロほどジョギングするのが日課(週課?)だったが、かれこれ10年ほどは走っていない。何度か数キロほどを走り、さあこれからジョギングを復活させるぞ!とこのブログにも書いたことがあるけれど、その宣言を守ったことはなく(/o\)

もっとも週末にそれくらい走る程度では体調・体力・体重にほとんどプラス効果はない。それでもマイナスになるのを防ぐ効果はあるわけで。その積み重ねが10年分蓄積してかなりヤバイ現状に。

走らなくなった第1の理由は、ジョギングコースにしていた公園から離れたところに引っ越したこと。引っ越した当初は自転車でその公園まで行ってジョギングしていたものの、それがだんだんと億劫になり。ちなみに私はジョギングコースのある公園でジョギングを始めたせいか、一般道を走るのがどうも苦手。何度か試したこともあるが、走っていて苦しい時に赤信号に引っかかると気持ちが萎えて、それを言い訳にして走れなくなってしまう。

第2の理由は7年前に再び乗り始めたバイクかな。ジョギングも楽しいから20年ほど走っていたのだが、そりゃバイクで走るほうがもっと楽しいわけで(^^ゞ

でもまあバイクも降りてしまったし、また自分の足で走ろうかと。しかし、そろそろ寒くなるし、いきなりジョギング再開じゃなくて、まずは脚力回復ということで週末に長い距離の散歩を自分に義務づけることにした。



そろそろ本題へ。

それでお散歩用のヘッドホンを買うことにしたというわけ。コンプライというイヤーピースに交換してからイヤホンの音質には満足している。しかし安物でもヘッドホンのほうがイヤホンよりいい音がするだろうという考えから。普段の外出でヘッドホンをつけるのは、なんとなく見た目的に抵抗があるのだが、実はヘッドホンの音質で音楽を聴きながら外を歩いてみたい気持ちはあった。お散歩ならそれもいいかと。

またベイヤーダイナミックのT90というヘッドホンも持っているが、外に持ち出すにはちょっと大げさな感じ。それに開放型の構造だから音が外に漏れる。何よりケーブルが3メートルと室内用になっているので、外で携帯音楽プレーヤーに挿して聴くには長すぎて不向き。

だから機種選定の条件は

   小型のオンイヤータイプで
   密閉型で
   5000円から1万円くらい

となった。

オンイヤー(on ear)というのは、ヘッドホンの耳当て部分が耳くらいの大きさで「耳にのせる」タイプのもの。反対語はアラウンドイヤーあるいはオーバーイヤーで、耳当てが耳の周りをスッポリ覆うタイプ。

スライド1

オンイヤーにしたのは大げさな感じにしたくなかったのと、耳を覆わないので多少の音漏れはするが、逆に外からの音も入ってくるので、ボーッと散歩するには安全かなと考えてのこと。これから寒くなって「防寒の耳当て」としてはアラウンドイヤーのほうが優れてはいるが。なおオンイヤーのヘッドホンは携帯音楽プレーヤーで鳴らすことを想定されているからか、ケーブルは1m20cmくらいの長さのものが多い。

予算的には特に根拠はなく、散歩のお伴の用途なら私の耳にはそれくらいで大丈夫でしょうと。それに暖かくなる頃にはジョギングを再開しているはずだから使用期間も短いので。


そういうわけで音質にそれほどこだわらない買い物ということで、試聴せずにネット通販で購入。eイヤホンという専門店のサイトで調べて、アマゾンの価格と比較してアマゾンで買うという「あるある」なパターン。レビューではそこそこの評価だったし、ソニーのイヤホンを2台続けて使って気に入っていたという安心感もMDR-ZX660を選んだ理由のひとつ。価格は5500円程だった。ちなみにこれは既に型落ち品で発売当初は7000円くらいだったようである。

日付が変わった深夜に注文したにもかかわらず、その日のうちに届いた。お急ぎ便のプライム会員じゃないのにビックリ。そういえばネット通販の荷物が多すぎて運送会社のキャパを超えてタイヘンというニュースを聞かなくなったが、どうなったのだろう。


さっそく届いたことを喜んだのもつかのま、
すぐに絶望を味わうことになる。


ーーー続く

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2018年11月04日

foobar2000をDP-X1Aで使う

foobar2000

私がほぼ毎日使っている携帯音楽プレーヤーのオンキョーDP-X1A。音質は最高だが操作性は最低最悪である。そのイラダチを書いたエントリーはこちら。もしDP-X1A関連のすべてのエントリーを読みたければページの一番下にあるタグ:DP-X1Aからどうぞ。

上記にリンクしたエントリーでこのように書いた。

   ところでDP-X1AはAndroidのOSで動いている。ということは別の音楽アプリを
   インストールすれば操作性に関してはカバーできるのかもしれない。今のところ
   それが可能なのか、どんな音楽アプリがあるのかなどは調べていない。そんな面
   倒なことをするために買った訳じゃないから、オンキョーには一刻も早い内蔵ソフト
   の改良を求めたいのである。


そういうわけで音楽アプリを入れる気はサラサラなかった。ところが先日ネットでまったく別のことを調べているときに「foobar2000 Android版」の文字が見えた。音楽CDをパソコンに取り込んで、CDプレーヤーの代わりにパソコンをオーディオにつないで再生する、あるいはハイレゾの音楽ファイルをパソコンにダウンロードして再生するなどをPCオーディオという。foobar2000はPCオーディオにおけるWindowsの音楽再生ソフトではおそらく一番定評のあるソフト。私はMacを使っているからWindowsには詳しくないものの、それでもfoobar2000の名前程度は知っていた。

「foobar2000がAndroidで使えるのか、じゃやってみるか」とトライ。あまり調べもせず、とりあえずDP-X1AからPlayストアにアクセスしてfoobar2000をダウンロード。アッサリと立ち上がった。ちなみに無料アプリである。ページ先頭の宇宙人?キツネ?みたいなのはfoobar2000のアイコン。


使ってみた感想は今までのイライラは何だったのかと思うくらい使いやすい。foobar2000は日本語化されておらずメニューは英語でも、直感的に操作できるのでまったく問題はない。

DP-X1Aに最初から搭載されている音楽アプリ(Musicという名前)がどう使いづらいのかを、実機でデモンストレーションしないで理解してもらうのは難しい。でもとりあえず努力して書いてみるとーーー

Musicを起動すると、その前に演奏していたアルバムの画面が表示される。そこから別のアルバムを聴くためにアルバムリストに戻るには

  「戻る」のアイコンをタップ
  するとファイル階層の一番上位の画面が表示される
  そこからアルバムリストの階層に移動するのに3画面をスワイプ
  つまり1タップ3スワイプの4動作が必要

それに対してfoobar2000ではその前に演奏していたアルバムの画面から「戻る」のアイコンをタップするとアルバムリストに直ちに移動する。4動作対1動作、毎回のことだからこの差は大きい。というかiPhoneでも1タップでアルバムリストに戻れたし、なぜオンキョーがこんな操作性の悪い設計にしたのかまったく理解できない。

それとそのアルバムリストは、Musicでは小さなジャケット写真に大きな文字で1画面につき6アルバム表示される。foobar2000では大きなジャケット写真に小さな文字で1画面に12アルバム。私もそうだが、ほとんどの人はジャケット写真でアルバムを選ぶ。だからfoobar2000のほうが2倍の早さでアルバムを探し出せる。ただしMusicにある「アルバムリスト画面をスクロールするときにアルバムタイトルの先頭1文字が表示される機能」はfoobar2000にはない。

比較写真  左がfoobar2000、右がMusic
※Musicのジャケット写真が不鮮明なのはiPhoneのフラッシュで色が飛んでいるから。
スライド1



さて音楽アプリだから本来大事なのは音質。残念ながらこれはMusicのほうがいい。ただしその差は極めて僅か。私の耳にはMusicのほうがfoobar2000より百分のいくつかクリアに聞こえる。その程度の違いだから再生を切り替えながら比較すれば違いを感じても、目隠しテストなら聴き分けられない自信がある(^^ゞ

音質の差はMusicが開発においてDP-X1Aのハードウエアに最適化されているからかもしれない。それとアップサンプリングの倍率も影響していると思う。Musicでは192KHzにアップサンプリングしている。foobar2000では96KHzまでしか設定できない。CDの44.1KHzからの倍率で比較すれば4.4倍と2.2倍の差。それとfoobar2000ではアップサンプリングをする・しないで音質に「気のせい」ほどの違いしかない。本当にアップサンプリングしているの?と疑うくらい。ところでMusicとfoobar2000のソフトウエア本来の音質の違いはアップサンプリングなしで聴き較べればわかる。あるいはMusicのアップサンプリングをfoobar2000と同じ96KHzに設定してもいい。でもそんな実験をするとドロ沼にはまりそうなのでやっていない。


さて日本の人口から見てDP-X1Aを使っている人なんてごくごく僅か。その中でこのブログを読む人は統計的に「いないと」無視していいレベルなのは承知している。しかし奇跡的にDP-X1Aの操作性の悪さに頭に来ているユーザーがこのページにたどり着いたなら「迷う前にfoobar2000をインストールすべき」といっておこう。


ついでに奇跡が起きたときのための追伸。

foobar2000では最初にMedia Libraryで音楽ファイルを指定する必要がある。マイクロSDにファイルを入れているならExternal Storageを指定すればいい。ただしこれでは2枚あるマイクロSDの1番目のスロットに挿してあるカードしか認識されない。ネットで「foobar2000 DP-X1A」と検索してもそれに関する情報は見つからない。実はここで途方に暮れた。

しかし心配ご無用。External Storageと書かれているあたりに指を置いてスクロールするとADD FOLDERのボタンがあらわれるので、それをタップすれば2番目のスロットにあるカードが指定できる。たまたま画面に指が触れてスクロールできるのを発見したけれど、そうでなければ本日のブログはfoobar2000をボロクソにこき下ろすところだった(^^ゞ

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2018年10月09日

コンプライ Comply

法律や倫理を守りましょうというコンプライアンスではなく、コンプライというメーカーのイヤホンのイヤーピース=ゴムで出来ている耳に差し込む部分のパーツのお話。

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現在使っているパイオニアのSE-CH5BLというイヤホンをなぜ買ったか、どんな音質なのかはしばらく前にブログにした。バランス接続の効果かどうかは別として高音はいいのだけれど、オリジナルは3500円クラスのイヤホンだからか中低音は物足りない。それが全体の厚み不足というかリアリティのなさにつながっているような気もする。しかしSE-CH5BLに慣れてしまったら、そんなに不満は感じないというようなことを書いた。

でもやはり我慢できなくなってきた。中低域が不足しているのは明らかだ。


実はSE-CH5BLを買ったときから気になっていることがあった。SE-CH5BLはステム=イヤーピースを装着する部分の軸が少し太い。当然そのステムの直径に合わせてイヤーピースも膨らまざるを得ない。S、M、Lサイズと3種類のイヤーピースが付属しているが、Sサイズでも私の耳にはわずかに大きい感触だった。

イヤホンで音楽を聴いているなら試してみればわかるが、イヤホンを少し耳の奥まで押し込むと低域が増す。SE-CH5BLも耳奥に押しつけるといい感じに鳴った。ただしイヤーピースが大きいので、そうするには常にイヤホンを指で押さえている必要がある。


というわけでイヤーピースを別のメーカーのものに交換。

コンプライのイヤーピースはゴムではなく発泡性のウレタンのようなもので成形されている。また体温で柔らかくなるらしい。その柔軟性を活かして耳穴にピッタリとフィットさせて装着製や遮音性を向上させる。それによって音質が向上するというのがメーカーの謳い文句。
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コンプライはゴム製のイヤーピースと較べてサイズは2倍くらい大きい。これは装着前に指で押しつぶして小さくしてから耳穴に突っ込み、その後で膨らんでフィットするという仕組みだから。同時にこれでゴム製より耳穴の奥までイヤーピースが届くことにもなる。

それで結果は

   オリジナルが3500円、
   バランスケーブルに換えただけで6500円のイヤホンが
   3万円クラスの音になった!!!

もっとも1万円程度のイヤホンしか使ったことがなく、3万円クラスの音は知らないのだけれど。まあそれくらい満足しているということ。私と同じような不満をイヤホンに持っている人はぜひ試してみるべき。


問題は耐久性。コンプライは粗くて脆そうな素材でもある。ネットでは毎日使って1ヶ月位しかもたなかったという書き込みもある。3つセットで約2000円。だから1つ約670円。本当に1ヶ月でダメになるなら1年で8040円、2年で16,080円、3年で24,120円の交換費用という計算になる。素直にもっと高級なイヤホンを買ったほうが安上がり。ナヤミドコロ。

耐久性については、いずれレポートする予定。

wassho at 22:41|PermalinkComments(0)

2018年08月11日

パイオニア SE-CH5BL その3

バランス接続できるプラグのついたイヤホンがとても少ない話の続きから。

eイヤホンというイヤホン専門店のサイトには約2800本のイヤホンが載っている。そのなかで、私が使っているオンキョーのDP-X1Aに挿せる2.5ミリ4極プラグがついているのは10本くらいだったと思う。しかも39万円とか12万円とかの商品が半分を占める!

イヤホンに凝る人が多くなっているのは事実だが、そんな超高価なイヤホンを買う人は限られている。それでバランス接続するためにどうしているかというと「リケーブル」で対応しているらしい。

リケーブルというのはイヤホンのケーブルを取り替えること。ある程度高級なイヤホンには写真のようにスピーカー部分からケーブルを取り外せるようになってものがある。本来はオリジナルより高級なケーブルに換えて音質向上を図ろうというマニアックな手段のためのもの。それを利用して2.5ミリ4極プラグのついたケーブルと交換するというわけ。なお2.5ミリ4極プラグのついたケーブルはたくさん売られている。
リケーブル


しかしリケーブルできるイヤホンは3〜4万円以上のクラスだし(たぶん)、交換用ケーブルもマニア向けのものだから最低でも1万円はする(10万円以上のケーブルもザラにある!)。つまりこの方法で2.5ミリ4極プラグのイヤホンを手に入れようとすると4〜5万円かかることになる。

はい、イヤホンごときにそんなに払う気はありません(^^ゞ

それで選んだのがパイオニアのSE-CH5BL。当時は6500円くらいだったと思う。これが破格に安いのは、パイオニアがオンキョーのDP-X1Aの姉妹機を売っていて、ある種のオプション的な商品だからだと思う。ちなみにパイオニアのオーディオ・ビジュアル関連商品は2015年からオンキョー&パイオニア株式会社というオンキョーの子会社に吸収されている。

SE-CH5BL


SE-CH5BLのことは、以前にバランス接続ってなんだろうと思った時に調べて知っていた。そして「これは購入対象外」との判断だった。なぜなら見た目もショボイし、なによりこれはSE-CH5Tという3500円くらいのイヤホンのプラグを2.5ミリ4極に交換しただけのものだから。つまりクオリティとしては3500円クラスであり、プラグを換えただけで3000円も値段が高いボッタクリ商品だから。

しかし前々回までに書いたように、壊れたソニーの同クラスのイヤホンに買い換えることができなくなり、あれこれ検討するのも面倒だし、なにより音楽なしで外出する期間が長引くのがイヤだった。それで価格も高くないし、とりあえずツナギのつもりでSE-CH5BLを購入したというのがいきさつ。


音の感想を書いておくと、まず高音はとてもきれいで響きもよく広がりもある。もっとも、これがバランス接続の効果なのか、あるいは単にSE-CH5BLの特徴なのかはわからない。いいところはそれだけで、中音〜低音域は普通。何より全体的にきれいな音はしているが、厚みがないというかリアリティに乏しいというか。うまく表現できないがそんな印象。

結論としてはSE-CH5BLとSE-CH5Tを一緒に買って、1万円ほどの費用でバランス接続とアンバランス接続による音の違いを実験したい人以外にはお勧めしない。6500円(実質的には3500円)のバランス接続より、1万円のアンバランス接続のほうがいい音がするというのが現在の認識。

それで当初はアンバランス接続でいいから別のイヤホンに買い換えようと思っていた。しかし、しばらくしたらSE-CH5BLの音に慣れてしまい、あまり不満に感じなくなってしまった。このあたりがオーディオの奥深いところ(^^ゞ


ところで写真にあるようにSE-CH5BLのケーブルは2本が編まれた形状になっている。使ってみてわかったが、このタイプはあまり絡まない。絡まないのはソニーのセレーションコードだけと思っていたので、これはうれしい誤算。編みケーブルを採用しているイヤホンはそこそこあるから、また次に買う時にはソニー製にこだわる必要が無くなった。


おしまい


2018年10月9日追記
コンプライのイヤーピースに交換して見違える(聞き違える?)ほどいい音になりました。
http://blog.livedoor.jp/wassho/archives/53296729.html


wassho at 16:18|PermalinkComments(0)

2018年08月08日

パイオニア SE-CH5BL その2

前回書いたように「ソニーの」「低音重視型で」「1万円前後のもの」というイヤホン選びの選択基準が崩壊。それで購入したのがパイオニアのSE-CH5BLというイヤホン。

SE-CH5BL


これにしたのはSE-CH5BLがバランス接続のイヤホンだからである。

バランス接続というのは再生機器からイヤホンやヘッドホンへの音楽信号=電流の流し方の方法。反対語はアンバランス接続あるいはシングルエンド接続。世の中のほとんどのイヤホンやヘッドホンはアンバランス接続されている。しかし音質がよくなるということで、ここ数年にバランス接続できる再生機器が増えてきた。


このバランス接続、アンバランス接続は何が違うかをサクッと説明することは難しい。私自身も完全に理解しているわけじゃない。だから以下はかなりアバウトな内容。

イヤホンのケーブルというのは電線。イヤホンの中にある小さなスピーカーにつながっている。そのスピーカーにはプラスとマイナスの極がある。

「アンバランス接続」
    左側のスピーカーの+極へ  音楽信号が流れている
    左側のスピーカーの−極に  音楽信号は流れていない

    右側のスピーカーの+極へ  音楽信号が流れている
    右側のスピーカーの−極に  音楽信号は流れていない

「バランス接続」
    左側のスピーカーの+極へ  音楽信号が流れている
    左側のスピーカーの−極へ  音楽信号が流れている

    右側のスピーカーの+極へ  音楽信号が流れている
    右側のスピーカーの−極へ  音楽信号が流れている

これだけじゃ意味がわからないと思うけれど(^^ゞ なおバランス接続というのはプラスとマイナスの両極に信号が流れていてバランスが取れているというのが由来。

私が使っているオンキョーのDP-X1Aという携帯音楽プレーヤーはバランス接続ができる。劇的に音が変わると期待はしていないが、せっかくその機能があるのだから使ってみたかったというか、使わないのはもったいないと思っていたわけ。


ところで、バランス接続をするにはプレーヤー内部の回路構成が対応していることはもちろんだが、バランス接続用のイヤホンプラグを挿すイヤホンジャックが必要になってくる。

普通のイヤホンつまりアンバランス接続のイヤホンは通称ステレオミニプラグ、正式には3.5ミリ3極プラグというのが使われている。3.5ミリというのは直径で、3極というのは3つの信号経路を持っているという意味。

プラグに2本の線が入っているが、プラグはそこで絶縁されて電気的には3つ=3極に分かれている。先頭が左側のスピーカーの+極、真ん中が右側のスピーカーの+極とつながっている。アンバランス接続の場合、マイナス極は音楽信号に関係ないから、左右共用で根本の部分が受け持っている。
3極


パイオニアのSE-CH5BLについているのは2.5ミリ4極プラグ。バランス接続するには左右で別々にプラスとマイナスが必要だから3カ所で絶縁されて4つに分かれている。ちなみにバランス接続のイヤホンじゃないのに、プラグが4極だったら、おそらくそれはスマホ用のリモコンがついたイヤホン。そのリモコンが1極を使っている。
4極


DP-X1Aには3.5ミリ3極プラグと2.5ミリ4極プラグのためにイヤホンジャックが2つある。
DP-X1A



さて普通のイヤホンつまりアンバランス接続のイヤホンは3.5ミリ3極プラグが標準として確立している。しかし、バランス接続の場合は規格が乱立している。直径も2.5ミリ、3.5ミリ、4.4ミリがあり、またXLRやIRISといったまったく形状の異なるものもある。またバランス接続には4極が必要だが、2極のものを2本使うという方式もある。統一の気配はあるが、今のところ見込はなし。

それよりも問題なのは、バランス接続できる携帯音楽プレーヤーはそこそこあるのに、バランス接続用のプラグがついたイヤホンの品数がとても少ないということ。


ーーー続く

wassho at 20:47|PermalinkComments(0)

2018年08月07日

パイオニア SE-CH5BL

music_earphone_wire

ゴールデンウイークが終わった頃、それまで使っていたソニーのMDR-XB90EXというイヤホンの右側から音が出なくなった。どうやら断線したらしい。今までにも断線は経験している。しかし初めのうちは音が途切れ途切れになっても、ケーブルやプラグなどをシゴくとしばらくは復活するというように、その症状は徐々に進行していた。今回は一発アウトでまったく音が出ない。だから最初はイヤホンではなく、携帯音楽プレーヤーの出力部分が故障したのかと疑ったくらい。

過去のブログを見てみるとMDR-XB90EXを購入したのは2015年の11月30日だから、約2年と5ヶ月の寿命だったことになる Ω\ζ゜)チーン


それで新しいものに買い換えるわけだが、イヤホンに関して私は「ソニーの」「低音重視型で」「1万円前後のもの」という明確な選択基準を持っている。

ソニーのイヤホンを選ぶのは、セレーションコードという表面に縦溝が入った絡みにくいケーブルが使われているから。ソニー製を使ってからケーブルが絡んでイライラすることが、日に数回から年に数回へと激減した。

一般的に低音重視型イヤホンは、ダンスミュージックとか向けに開発されているものだと思う。私が聴くのはほとんどクラシック。しかしクラシックほど低音のよくでるイヤホンを使うべきだと思っている。クラシックには高音域寄りの曲が多いので、音質バランスを多少崩してでも低音を強調したほうが、安定感があって聴き疲れしないからというのがその理由。

1万円前後というのは、私の耳にはそれくらいで充分でしょうということで(^^ゞ



というわけで店まで行って試聴する気もなく、通販でチャッチャと買うつもりだった。ところが「ソニーの」「低音重視型で」「1万円前後のもの」という条件に当てはまる商品がなかったのである(/o\)


どうやらソニーは現在、ワイヤレスやノイズキャンセリング・タイプのイヤホンに注力しているらしい。前回に購入した約2年半前にたくさんラインナップがあった有線の低音重視型イヤホンは、数も少なく3万円以上のものだけになっていた。

もっともワイヤレスやノイズキャンセリングにも興味はある。しかし今回は手を出さないことにした。

携帯音楽プレーヤーにはCDと同じくデジタル化された音楽が入っている。それをDAC(ダック=デジタル・アナログ・コンバーター)という回路でアナログの音楽信号に復元してイヤホンに流すわけである。つまりDACは増幅回路であるアンプと共に携帯音楽プレーヤーの心臓部分。

ワイヤレスのイヤホンは携帯音楽プレーヤーからBluetoothなどの電波を介してデジタルで音楽を受信し、DACとアンプはイヤホン側に組み込まれている。逆にいうと携帯音楽プレーヤーは音楽ファイルの読み出しをするだけで音質には関わらない。今使っているオンキョーのDP-X1Aという携帯音楽プレーヤーの音質はそこそこ満足している。それはDP-X1AのDACとアンプに満足しているということなので、もしワイヤレスのイヤホンを購入するなら、試聴してどんな音なのかを確かめたかった。

そしてその時はそんな暇がなかったというのが手を出さなかった理由。なおノイズキャンセリング機能(周囲の騒音とは逆位相の音を出して、騒音を聞こえなくする)はワイヤレスのイヤホンには、大抵組み込まれているみたい。ノイズキャンセリングは以前にBOSEのものを試したことがある。周りの音が魔法のように消えて、屋外で音楽を聴くには最高の環境を提供してくれる。でも飛行機や新幹線ならいいけれど、街中や地下鉄ではちょっとアブナイかもという気もしている。もちろんノイズキャンセリングの効き目は調節できるが。


そんなわけで「ソニーの」「低音重視型で」「1万円前後のもの」という明確な選択基準は脆くも崩壊してしまい、新しいイヤホン探しをすることになったのである。


ーーー続く

wassho at 23:22|PermalinkComments(0)

2018年05月15日

ラ・フォル・ジュルネTOKYO 2018 その8 アレクサンドル・クニャーゼフ ウラル・フィルハーモニー管弦楽団 ドミトリー・リス

最後に聴くプログラムはAホール。
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ここは5000名収容の巨大ホール。大きな音の出るオーケストラといえどもクラシックには広すぎて不向き。私のラ・フォル・ジュルネのデビューは49列あるシートの46列目だった。遠くから音楽が聞こえてきただけで、今でも座席選びではそれがトラウマになっている。

これは22列目あたりから撮ったもの。
これで半分の座席数だから、いかに広いかわかってもらえるはず。
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同じ位置からステージを眺めたところ。
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座席はセンターからやや左寄りの9列目。
経験上、Aホールでオーケストラを楽しめるのは15列目まで。(音量重視なら)
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ウラル・フィルハーモニー管弦楽団は、これの前に聴いたシンフォニア・ヴァルソヴィアと較べて人数が多い。ステージに置かれているコントラバスはヴァルソヴィアが4台に対してウラルは7台。演奏中にチェロを数えてみると5台に対して8台だった。


右側が指揮台。鉄棒みたいなのは指揮台後方についていて、指揮者がエキサイトしすぎて台から落ちないためのもの。左にあるのがチェリストのための台。バイオリン協奏曲だとバイオリニストにこんな台は用意されない。チェロは坐って弾くからなのかな。それにしても安っぽい造りに見えて仕方ない。
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【公演番号:M116】

  ドヴォルザーク:チェロ協奏曲 ロ短調 op.104


  アレクサンドル・クニャーゼフ (チェロ)
アレクサンドル・クニャーゼフ (チェロ)

  ウラル・フィルハーモニー管弦楽団 (オーケストラ)
ウラル・フィルハーモニー管弦楽団 (オーケストラ)

  ドミトリー・リス (指揮者)
ドミトリー・リス (指揮者)

         ※アーティストの写真は公式ページから借用


アレクサンドル・クニャーゼフはトップクラスのチェリストの1人。1961年生まれのロシア人。オルガン奏者としてもCDを出しているというめずらしい人。写真ではわからないが、けっこう腹が出てた。

ところで彼はウエーブがかかったボサボサ髪が特徴的なヘアスタイル。なぜか有名チェリストに同じヘアスタイルが何人かいる。マイスキーは少し年上だが、クニャーゼフとイッサーリスはモロにキャラが被っている気がするけど。チェリストがなぜそのヘアスタイルを好むのか、誰か尋ねてきて欲しい(^^ゞ

   ミッシャ・マイスキー
Mischa Maisky

   スティーヴン・イッサーリス
Steven Isserlis


ウラル・フィルハーモニー管弦楽団はロシアのオーケストラで、その常任指揮者であるドミトリー・リスもロシア人。2016年にこの組み合わせで聴いたチャイコフスキーのピアノ協奏曲も、ピアニストはロシア人のルーカス・ゲニューシャスだった。ここはロシア人で固めるのが好きなのかな。



ドヴォルザークのチェロ協奏曲は最初の3分半ほどオーケストラだけの演奏が続く。そのあいだクニャーゼフは先ほど写真を載せた椅子に座ったまま。大勢の人に対面して、じっと坐っているだけなんて居心地が悪いだろうに。目があったら手でも振ってやろうかと思ったが、その機会は訪れず(^^ゞ

ようやく彼の演奏も始まる。しかし、そのとたんチェロを弾く弓の毛が何本か切れた。演奏に支障はないしクニャーゼフも気にしていない様子。しかし生演奏鑑賞歴の浅い身としては弓を動かすたびに宙を舞う弓毛をどうしても目でおってしまう。もちろん演奏のあいまに、その弓毛は引き抜かれた。


日本でドヴォルザークは♪遠き山に日は落ちて〜にメロディーが引用されているせいか、交響曲9番の「新世界」が圧倒的に有名。でも彼のチェロ協奏曲は協奏曲というジャンルの最高傑作とされている。ブラームスが「人間にこんな曲が書けるはずがない」と言ったとか。私はそんなに突出して素晴らしいとは思わないけれど、もちろん名曲には違いない。ちなみにこの曲を「ドボコン」というと通っぽい。ドヴォルザークのコンチェルト(協奏曲)の省略形。彼の9つある交響曲ならドボ1とかドボ2などともいう。ベートーヴェンの場合はベト1、ベト2ーーー。面白いのはショスタコーヴィチでなんとタコ1、タコ2と略される。

クニャーゼフのチェロは力強く男性的な弾きっぷり。情感もたっぷりめに感じた。オーケストラとのまとまりもよく、ラ・フォル・ジュルネの最後にいいものを聴けたなあと大満足。アンコールはバッハの無伴奏チェロソナタ1番。名前は知らなくても出だしのメロディは誰でも聴いたことがある曲。ただドヴォルザークとの組み合わせを意外に感じる。しかし書き忘れていたが、バルトークの協奏曲を弾いたケフェレックも、アンコールはヘンデルのメヌエットだった。考えてみれば、違うタイプの曲のほうがあれこれ聴けたお得感はある。実際バッハのソナタでは協奏曲の時とは違って、ゆったりとしたチェロの響きを堪能できた。



例年通りいろいろと楽しめたラ・フォル・ジュルネ。1日に5公演を聴いたと人に言うとビックリされることが多いが、聴き過ぎ・聴き飽き感はまったくない。それと生演奏を聴くと身体の音楽細胞が刺激されるのか(もちろんそんな細胞はない)、オーディオや携帯プレーヤーで聴く音楽もしばらくはより活き活きと感じられてうれしい。しばらくはバイクから離れるから、今年こそラ・フォル・ジュルネ以外の演奏会に出かけてみようと思っている。


おしまい

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2018年05月14日

ラ・フォル・ジュルネTOKYO 2018 その7 ガラス棟Eホール

最後の公演まで約1時間の空き時間は、ガラス棟の地下にあるEホールをブラブラして過ごした。東京国際フォーラムはAからDの4つのホール棟と、会議室が入ったガラス棟に分かれている。会議室は26平米から206平米まで大小31室。ラ・フォル・ジュルネでは、その会議室の内2つも会場として使っている。

ガラス棟と呼ばれるのは建物上部がガラスで覆われているから。写っているのは地下1階にあたるロビーギャラリーと呼ばれるフロア。この吹き抜けは60メートルの高さがある。
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ロビーギャラリーに設けられたチケット売り場。今年はいつもより明日以降のチケットを買い求める人で賑わっていた。それはおそらく売れ残っていた座席が多かったから。
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昨年より転載しているラ・フォル・ジュルネの営業成績。
まず来場者総数の横ばい傾向は変わらず。

  2014年: 61万2000人
  2015年: 42万7000人
  2016年: 42万9000人
  2017年: 42万2000人
  2018年: 43万2000人

   ※2014年は女王レベルのピアニストであるアルゲリッチが出演した年。

来場者総数には無料コンサートなど目分量での人数カウントも含まれている。そこで肝心の有料チケットの販売数では

  2014年: 15万1001枚  販売率90.2% (販売率=座席数に対して売れた枚数)
  2015年: 12万2366枚  販売率80.8%
  2016年: 11万4222枚  販売率75.0%
  2017年: 11万5778枚  販売率81.8%
  2018年: 11万9177枚  販売率65.5%

販売数は昨年より増えているのに販売率が激減しているのは、今年から池袋の東京芸術劇場での開催を始めたからだろう。有料公演の数を見ると

  2017年:東京国際フォーラム 122公演
  2018年:東京国際フォーラム 125公演
  2018年:東京芸術劇場     53公演  2018年合計178公演

となっている。この数字だけから判断すれば拠点と公演数を増やしたのに、それを集客に結びつけられなかったということになる。おそらくリピーター客の比率が高くて、新規客が増えていないんじゃないかな。ラ・フォル・ジュルネのマーケティングに関しては、いろいろ思うところもあるけれど、これは趣味で参加しているイベントだからあまり触れないでおこう。



さて、
ガラス棟の地下2階にあるのがEホール。ホールといっても基本は何もないガランドウの空間で、イベント開催側が会場を設営するスタイル。面積は5000平米と巨大。

ラ・フォル・ジュルネでは各ホールにニックネームをつけており、今年のEホールのネーミングはハイネ。あまり意味のある施策とはいえず、この5年間で人々がそのニックネームを口にしているところに遭遇したことがない(^^ゞ なおこのハイネ(初めて使った!)に入るにはチケットかチケットの半券を提示する必要がある。
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Eホールは2分割されて、入って右側のエリアに無料コンサートのステージが作られる。チケットを購入した人しかハイネ(また使った!)に入れないから厳密には無料ではないが。

演奏していたのはジャズのトリオ。ラ・フォル・ジュルネはクラシックの音楽祭とはいうものの、それ以外のジャンルにも割とオープン。
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この無料ステージではけっこう本格的なコンサートも開かれる。毎年「エッ、そんなのやってたの!」と悔しい思いをしてきたので、今年は事前にメニューを確認した。でもホールのプログラムと時間帯が被っていたり、開場を離れている時の演奏だったりして、またしても無料特典を活かすことができず。


ステージエリアの周りには主に楽器メーカーがPRブースを構えている。その一画にこんなものを発見。これは「ねぶた祭り」の人形。ニュースでよく見る巨大なものではなくかなり小型ではあるが。
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昨年のラ・フォル・ジュルネでは阿波おどりのイベントがあって、その楽しさにすっかり魅了された。夏には高円寺で行われる阿波おどりにも出かけてきたくらい。もちろん「ねぶた祭り」も見たことがないのだけれど、残念ながらイベントは最終日のみ。実に残念。


Eホール(もうハイネはいいだろう)の左半分は物販スペース。
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少し心を動かされたマグカップ。
しかしもう充分すぎるくらいマグカップを持っているのでーーー。
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用途はわからなかったが作曲家グッズ。
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毎度おなじみの作曲家人形。もう目新しさが無くなってきたのか手に取る人は少ない。
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これはとても小型の手回し式オルゴール。
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お値段も手頃。またしても心を動かされたが音色がイマイチだったので却下。
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こちらはゼンマイ式のオルゴール。今年はオルゴールが流行り?
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店内風景。ずっと欲しいと思っている作曲家Tシャツは今年もXLサイズなし(/o\)
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書籍コーナー。
音楽とまったく関係ない本を売っていた時期もあったが、今年は音楽関連のみ。
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CD売り場は最新作や売れ筋CDと、ラ・フォル・ジュルネに出演しているアーティストのコーナーに分かれている。こちらは出演アーティストのCD。
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広瀬悦子(ピアニスト)だけ売り切れ。やはり人気があるみたい。彼女は昨年からラ・フォル・ジュルネに出演している。ぜひ聴きたいと思っているのだが、2年連続してチケットが取れなかった。
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お気に入りのルイス・フェルナンド・ペレスのCDも売っていた。しかしスペイン語版だったので何が収録されているのかよくわからなかった。一昨年に彼のコンサートを聴いて以来、スペインのクラシックに興味を持ち、何枚かのCDも購入した。それと内容が被ったらイヤなので買う決断ができず。


結局、何も買わなかった(^^ゞ


ーーー続く

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2018年05月13日

ラ・フォル・ジュルネTOKYO 2018 その6 アンヌ・ケフェレック シンフォニア・ヴァルソヴィア 廖國敏(リオ・クォクマン)

この日、4つ目の公演はCホールで。
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各ホールではアーティストのサイン会スケジュールが掲示されている。サインは色紙に書いてもらうの、それともCDに?
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Cホールの定員は1502席。1階は24列あり写真は17列目あたり。
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座席はセンターからやや右寄りの最前列! 音量、音の左右(つまり楽器)バランス、オーケストラ全体がよく見えるということなどを考えると理想はセンターの5列目あたり。そういう席はすぐ売り切れるので、残りの席から音量優先で席を取ることにしている。
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コントラバスやチューバなどの大型楽器は、演奏が始まる前からステージに置かれている。それからティンパニーなどの打楽器も。たまに演奏前にステージ裏で最後の調整をしているのが聞こえてくることがある。こういう楽器担当の人は早めに準備を終えないといけないね。
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2〜3階席。
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この日の午前から昼にかけて聴いた3つのプログラムは、順番にピアノ、ピアノ、ピアノ&チェロ。そして夜はピアノ協奏曲とチェロ協奏曲というのが今回のラインナップ。ちょっとピアノに偏りすぎ。弦楽アンサンブルや声楽なども聴きたかったが、チケットが取れない、内容がピンとこない、他のプログラムと時間帯が被っている、空き時間が中途半端に分断されるなどの理由で断念。ラ・フォル・ジュルネでどのプログラムを選ぶかというのは意外と難しい。まあどれにしようかと悩むのも楽しみのうちではあるが。


【公演番号:M146】

  パデレフスキ:序曲
  バルトーク:ピアノ協奏曲第3番


  アンヌ・ケフェレック (ピアノ)
アンヌ・ケフェレック

  シンフォニア・ヴァルソヴィア (オーケストラ)
シンフォニア・ヴァルソヴィア

  廖國敏(リオ・クォクマン) (指揮者)
廖國敏(リオ・クォクマン)

         ※アーティストの写真は公式ページから借用


どちらかというとこのプログラムは消去法で選んだ。このプログラムまでの空き時間は約5時間。美術館に行ったり、東京駅や皇居外苑を見て回ったりしたが、もしこのプログラムを外すと、さすがに時間を持て余す。

躊躇したのはメインの演奏がバルトークだから。堤剛とクレール・デゼールのチェロ・ソナタのところでは“ちょっと苦手な部類。小難しい曲が多く、少し「前衛はいっている」から”と書いた。以前に音楽の「だんだん難しくなる法則」をブログにしたこともある。バルトークはマーラーより20年ほど後に生まれた1881〜1945年の作曲家。音楽が難解になっていった時代の人。聴き込めば色々と発見があるのかもしれないが、そういう趣味はないというか私の感性がその域に達していない。それにしても「だんだん難しくなる法則」を書いたのが2004年。そこから音楽的素養がレベルアップしていないなあ(^^ゞ


シンフォニア・ヴァルソヴィアは過去に3回ほど演奏を聴いているポーランドのオーケストラ。何名かは顔を覚えていてお久しぶりな感じ。ちなみにヴァルソヴィアは首都ワルシャワのポルトガル語読み。ポーランド語ではワルシャワである。なぜにポルトガル語?

廖國敏(リオ・クォクマン)はマカオ出身の指揮者とラ・フォル・ジュルネのホームエージにあり、世界各国のオーケストラで指揮をしている。ネットでは彼に関して、それ以外の情報をほとんど見つけられなかった。自信に溢れた指揮っぷりが印象的。



最初はパデレフスキの序曲。パデレフスキは初めて聞く名前。バルトークと同時代の人。調べてみるとポーランド人で、なんと同国の首相も務めている! ちなみに序曲はコンサートの最初に景気づけに演奏されるような位置づけの曲。

どんな曲だったかはほとんど覚えていない。しかし超絶・最高の時間を過ごした。それは最前列だから音量もさることながら、各楽器の音がとても明瞭に聴き取れたから。私は曲はもちろんだが、同時に楽器の音色を楽しんでいるようなところがある。この日に聴けたのは、かつて経験したことにない素晴らしい音色の集合体。こんな音が聴けるオーディオがあるなら3億円くらい払ってもいい。持ってないけれど(^^ゞ

それが最前列という座席のせいなのか、シンフォニア・ヴァルソヴィアの腕前がよかったのかどうかはわからない。でも本日の教訓その1

     Cホールでオーケストラは最前列で聴け


2曲目がバルトークのピアノ協奏曲。ピアニストは午前中にヘンデルやスカルラッティを聴いたアンヌ・ケフェレック。その時のバロックとはずいぶんと違う曲だから、どんな演奏を聴かせてくれるのか楽しみなんて一人前のことを言ってみる。

ピアノは最初ステージの隅に置かれていて、序曲の演奏が終わるとまずバイオリンの最前列にいたメンバーが退席した。それは係員がピアノを移動させるのに邪魔になるから。だからバイオリンの前方にピアノが置かれると思っていた。ピアノ協奏曲ではそのケースが多い。つまり指揮者の左隣。しかし運ばれてきたのは指揮者の真後ろ。そっ、そこはアカン位置や(/o\) 私の席から近すぎる。それを考えてピアニストの姿の見える最前列左側の席が空いていても、わざと右側を選んだのに。シンフォニア・ヴァルソヴィアはそれほど大編成のオーケストラではないので、Cホールのステージは少し狭いのかな。

これは公演後に撮ったもの。ステージの端ギリギリにセッティングされている。最前列からだとボディの底が見える。
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案の定、ピアノの音は直撃で聞こえてきた。チョット辛い。ピアノの音に気を取られて、あの最高の音で鳴っていたオーケストラまで別のもののように聞こえた。本日の教訓その2

     Cホールでピアノ協奏曲なら最前列はやめとけ

それでも、しばらくすると耳が慣れてくるから、それなりに楽しめた。実はバルトークのCDは割とたくさん持っていて(でも先ほど述べた理由であまり聴いていない)、演奏されるピアノ協奏曲3番もラ・フォル・ジュルネに来る前に2〜3回聴いておいた。やっぱり苦手意識は変わらず。しかしコンサートで聴くと案外スッと腑に落ちる。今までに何回か書いたかもしれないが、それは演奏を耳で聴くだけでなく、目でも見ているところが大きい。なぜか視覚的情報があると音楽をより理解できるようなる、あるいはできた気になるのだ。

ところで上の写真をもう一度見て欲しい。私の席からはピアノの椅子が見える。ピアニストが座ると膝の位置である。演奏中にケフェレックの顔は見えなかったが、ピアノのパートがない時に彼女が膝の上に置く手が見えた。ピアノソナタの演奏を聴いた時のエントリーで「小柄でとても上品なおばあさん」と彼女の印象を書いた。でもその手というか指を見てビックリ。ピアニストだから指は長い。しかしそれ以上に、とても太くてゴツゴツしている。首を絞められたらすぐ窒息してしまいそう(^^ゞ もちろん彼女のピアノ演奏は一級品。そこで本日の教訓その3

      指は見かけによらない


ーーー続く

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2018年05月09日

ラ・フォル・ジュルネTOKYO 2018 その5 堤剛 クレール・デゼール

今回のランチに選んだ屋台はこちら。
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フィッシュ&チップスは30年以上前のロンドンで、それこそ道端の露店で新聞紙にくるまれて売られているものを食べて以来。当時の日本でフィッシュ&チップスは名前が知られていたくらいの存在。それでイギリスの伝統的な食べ物だということでトライしたのだったと思う。どんな味だったかはまったく覚えていない。覚えていないということはたいして美味しくなかったんだろう(^^ゞ

屋台村では「俺のフレンチ」に興味はあったが長蛇の行列だったし、他ではこれが一番物珍しいメニューだったから。もっとも30年以上も食べていないといっても、フィッシュは鱈のフライだからハンバーガーのフィレオフィッシュと同じだし、チップスは普通のフライドポテト。だから想像できない味じゃない。


ハイネケンの屋台でビールを買う時に、ついフランクフルトも注文してしまった(^^ゞ
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写真を見てフィッシュはそれほど大きくないと思うんじゃないかな。屋台のメニューも同じような写真で、だからフランクフルトも買った。でもこれは切り身の断面のところが写っており、見えていない切り身の幅はけっこうある。フランクフルトはいらなかったくらいのボリューム。

味付けはほとんどタルタルソースに頼っている感じ。途中でちょっと飽きてくる。それを予想して、写真ではフランクフルトに隠れているがマスタードもたっぷり入れてある。しかし食べているうちにロンドンではビネガー(酢)をかけたことを思いだした。このキッチンカーでは紙箱に入った状態でフィッシュ&チップスを渡されて、テーブルに用意されている調味料を自分で選んでかけて持ち運ぶ方式。そういえばそこに見慣れない調味料があった。あれがたぶんビネガーだったんだろう。キッチンカーまで戻るのも面倒だったのでそのまま完食。ビールも大を頼んだし、ちょっとお腹がキツイ。


キオスクステージでの演奏を少し聴いて、
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会場のB5ホールへ向かう。
これは建物の上から広場を眺めたところ。賑わってるね。
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午後2時開演なので1時45分ちょっと前に会場に着いたら、まだ開場していなかった。
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あれっと思ってチケットを見ると開場が1時45分になっている。開演時刻の30分前が開場とばかり思い込んでいたが、改めて確認すると、

   Aホール  開演の45分前
   B7ホール  開演の30分前
   B5ホール  開演の15分前
   Cホール  開演の30分前
   D7ホール  開演の20分前

とホールによって異なっている。ホールの大きさ=入場人数が違うんだから、考えてみたら当たり前だが、ラ・フォル・ジュルネ5年目にして初めて知った事実(>_<)


ひとつ前のD7と同じくB5も初めて入るホール。過去4年間はA、B7、Cのホールしか入っていない。もっともホールでプログラムを選んでいるわけじゃないが。ただし巨大なAホールで15列目までに座席が取れない時は、音量的に満足できないのでその公演は諦めている。

披露宴会場みたいな部屋。B5ホールは600平米あるが分割利用が可能で、ラ・フォル・ジュルネで使っているのは半分のスペース。1段高くしつらえられた仮説のステージを取り囲むように座席が並べられている。いわゆる「舞台のソデ」はなく演奏者は普通の出入り口から入ってくる。文化祭を思い出すな(^^ゞ
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座席はほとんど最後尾でも、この広さなら問題なし。間仕切りとなっている壁が板張りだし(写真左の壁)、他の壁も上部のウロコみたいな形状が音響に効果があるのか、このホールの音はなかなかよかった。もちろんひとつ前のエントリーに書いたように、たまたま坐った位置がよかっただけの可能性もある。

ちなみにここでも前のプログラムと同じように、会場に入った時にまだピアノの調律をしていた。今までこんなことはなかったから、今年は調律師の手配を間違えたのかな。



【公演番号:M133】

 バルトーク:狂詩曲第1番
 ショパン:チェロ・ソナタト短調 op.65
 マルティヌー:ロッシーニの主題による変奏曲


 堤剛 (チェロ)
いずみ

 クレール・デゼール (ピアノ)
デゼール

         ※アーティストの写真は公式ページから借用


このプログラムもクレール・デゼールが聴きたくて選んだ。彼女の演奏は初めてラ・フォル・ジュルネを訪れた2014年に聴いてとても気に入った。その後にCDも買った。そのアルバムはAbendmusikというタイトルで、iTunesを開くとアルファベット順に並んでいるリストの先頭にに表示されるから強制的に思い出すことになる(^^ゞ

堤剛(つつみ つよし)は御年75歳の日本クラシック界の重鎮。実はまったく知らなかった。私はクラシックを聴くのが好きなだけで熱心なマニアではないので、CDをたくさんリリースしている(かつレコード会社が宣伝に力を入れている)アーティスト以外は疎い。しかしデゼールのようにここで初めて知ったアーティストのCDを買うのも、ラ・フォル・ジュルネの楽しみ方。


演奏の最初はバルトーク。ちょっと苦手な部類。小難しい曲が多く、少し「前衛はいっている」から。タイトルの狂詩曲はラプソディと記すことのほうが多い。たぶん言葉的にキツイのが理由。その意味はウィキペディアを引用すると

  自由奔放な形式で民族的または叙事的な内容を表現した楽曲。異なる曲調を
  メドレーのようにつなげたり、既成のメロディを引用したりすることが多い。

要は構成に決まりがない作曲形式。自由というと反射的に価値を認めてしまいがちだが、音楽では「まとまりがない」ということにもつながる。ハチャメチャ、ドタバタなラプソディも多い。そういえばクイーンのボヘミアンラプソディも変わった曲だったと思いだしたあなたは、間違いなくオッサン、オバハン(^^ゞ もちろんあれは名曲。

堤剛のチェロはいい音を奏でていた。そして時々見せる陶酔の表情も含めて実に楽しそうに演奏する。ステージに入ってきた時、ヨボヨボではないが、老人特有の頼りない歩き方だった。しかしチェロを弾き始めるとそんな素振りは微塵もない。それとすごく品のいい笑顔が印象的。私はこんなジジ様になれそうもないなあ。


2曲目はショパンのチェロ・ソナタ。ショパンというとピアノしか思い浮かばない人が多いかもしれないが、このチェロ・ソナタやピアノ協奏曲も人気がある。もっともピアノ協奏曲ではオーケストラ部分の作曲を酷評する人も多い。私はいい曲だと思っているが、いつかレベルアップしたら文句をいうようになるんだろうか。

ところでこのチェロ・ソナタ。第2楽章でチャイコフスキーのバイオリン協奏曲とよく似た旋律がある。というかチャイコフスキーの作曲は30年ほど後なので似ているのはバイオリン協奏曲のほう。世紀のパクリ疑惑だと思っているのだが、誰も話題にしてくれないなあ。

ピアノ・ソナタはピアノの独奏だが、チェロやバイオリンのソナタの場合、ピアノとの二重奏になるものが多い。曲によって、どちらが主役かわからないくらい掛け合いのものもあれば、ピアノは伴奏的なものもある。今回のプログラムはどちらかというとピアノは伴奏的。デゼールのピアノに不満はなかったが、もっと彼女の演奏を堪能したかったというのが本音。


3曲目はマルティヌー。初めて聞く名前。タイトルにロッシーニとあったので、コソッと期待していたが、ロッシーニぽいのは曲の冒頭だけでちょっと肩すかし。アンコールはラベルの「亡き王女のためのパヴァーヌ」。

アンコールなのでタイトルは公演が終わってからロビーに掲示される。よく聴いた曲だとわかりながら、演奏中にタイトルを思い出せなかったのは、これが本来はピアノ曲だから。チェロのために作曲されたものはそう多くないので、他の楽器の曲を演奏することはままあること。
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生演奏のチェロ・ソナタは初めて聴いた。チェロ・ソナタつまりチェロとピアノの二重奏は、CDで聴くのと違って楽器の音量コントロールがされていないから、予想していたけれどピアノの音量が圧倒的に大きい。感覚的に表現するならチェロ1に対してピアノ4くらい。最初はそれに少し戸惑った。しかし人間の耳はチェロも聴きたいと思うと脳内でバランスを補正してくれる。実に不思議で便利。


ーーー続く

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2018年05月08日

ラ・フォル・ジュルネTOKYO 2018 その4 ルイス・フェルナンド・ペレス

2本目の公園はD7ホール。ここに入るのは初めて。
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ホールに至る途中の窓から見えた風景。有楽町駅を通過する新幹線の撮り鉄を楽しむーーーじゃなくて注目して欲しいのは写真右上。どうしてこんな大きなビルのここだけにポツンとエアコン室外機がある?
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座席は11列配置の9列目。かなり後ろだが小さなホールなので大丈夫かとの判断。面積は340平米で220名収容。スロープ式に座席が設営されているのでステージが見やすい。ただし後でも書くがこのホールは音が悪かった(/o\)
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写真でピアノのところにいるのは調律師。実はロビーにいる時からピアノの音が聞こえていて、でも練習しているようではなくポロン、ポロンと鍵盤を叩いているだけの音だったのでなんだろうと思っていた。まさか客が入ってからも調律しているなんて。

しかし弦楽器なら演奏直前にネックにある糸巻きペグを微調整するようなことはある。そんなものかと眺めていたら、鍵盤をピアノから引き抜いて作業を始めた! それって今頃やるようなこと?

どうなるんだろうと見守っていたが、演奏開始時刻までには無事終了。その後ピアニスト本人が調律を確認するでもなく、いきなり演奏を始めたがそういうものなのかな。私ならいくつか音を鳴らして確かめたくなる気がする。運営的には手際が悪いと思うが、珍しい光景を見られた。一番前まで行ってカブリツキで見学したかったくらい。


【公演番号:M152】

 アルベニス:スペインの歌
 アルベニス:ナバーラ
 トゥリーナ:交響詩「幻想舞曲集」op.22


 ルイス・フェルナンド・ペレス (ピアノ)
ルイス・フェルナンド・ペレス

         ※アーティストの写真は公式ページから借用


このプログラムはルイス・フェルナンド・ペレスを聴きたくて選んだ。2年前のラ・フォル・ジュルネで聴いた彼の鮮烈な演奏は今でも思い出せる。そしてスペインのクラシック音楽という私にとって新しいジャンルを知ることにもなった。その後何枚かスペイン・クラシックのCDを買って割とよく聴いている。そういえばペレスのアルバムは買っていなかったなあ。彼には内緒にしておこう(^^ゞ

イサーク・アルベニス(1860〜1909年)とホアキン・トゥリーナ(1882年〜1949年)は共にスペインの作曲家。持っているCDを取り込んであるiTunesのライブラリを検索したら、パトリシア・プティボン(ソプラノ歌手)のアルバムにひとつだけトゥリーナの曲が入っていた。しかし二人ともまったく初めて聞く名前。ウィキペディアでも紙にしたら2〜3ページくらいの情報しかなく、あまり知られていないようだ。そういうめずらしい音楽を聴くのもラ・フォル・ジュルネでの楽しみ。


ペレスのピアノは実にダイナミックでグルーブ感があって、聴いていると気持ちがノリノリになってくる。前回に聴いた時はちょっと叩きすぎるとも思ったが、今回はそれを期待していたところがあって、ところどころ火花の散るような演奏に大満足。実は2年振りに見るペレスが少しやつれているようにも感じたのだけれど、思い過ごしだったようだ。

ただピアノというかホールの音がとても悪かった。ケフェレックの会場では最高の音が聴けただけに余計に残念。一言でいうなら音が固くて響きが感じられない。先ほどリンクを張った2年前のブログを読み返してみても、その時はAホールだったが音が固くて、別のプログラムでAホールの違う席ではそうでもなかったというようなことを書いている。

理論上聴く位置によって音が違うのは避けられないが、それで不満が出るほど差があるのはホールとしての設計レベルが低いということ。しかし東京国際フォーラムでCホールは音楽ホールでも、それ以外の7つは多目的ホール。つまり単なる広い部屋(Aホールはそれなりの設計だが、クラシックを演奏するには広すぎる)。そして、そういうところで開催しているからこそ、リーズナブルな価格でコンサートを提供できているのかもしれない。それを十分に承知していても、やはり滅多に聴けない生演奏なんで文句が出ちゃう。


演奏された曲はもちろん初めて聴くものばかり。どれもスペイン・クラシックの雰囲気が色濃くてよかった。もちろんそれがどういうものか文章にする力量はないし、バカのひとつ覚えのようにスペインだから情熱的と書くつもりもない。まあ気になったらYouTubeででも探して聴いてみてちょうだい。

ところで演奏中に何箇所か和音の音がおかしく感じたところがあった。それがミスタッチなのか、そういう譜面なのかはわからない。それくらい微妙な違和感だった。でもそこに気付くほど耳の肥えてきた自分を褒めておこう。


ついでに
アルベニスやトゥリーナのことを調べている時、ケフェレックのプログラムで聴いたスカルラッティはイタリア人ではあるが、そのキャリアの後半をスペインで過ごしたことを知った。彼のピアノ曲をバロック音楽的に感じないのは、そういうことが影響しているのかもとモーソーしている。


ーーー続く

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2018年05月06日

ラ・フォル・ジュルネTOKYO 2018 その3 キッチンカー屋台村

アンヌ・ケフェレックのコンサートを聴き終えて広場に出てきたのが午前11時頃。次の公演の会場入りするまで30分ほどの空き時間。時間的に微妙だったし、まだそれほどお腹も空いていなかったので、どんな屋台があるのか見て回ることにした。
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ところでラ・フォル・ジュルネでは広場にキッチンカーが並んで屋台村を形成している。公式ホームページではそれが「ネオ屋台村スーパークラシック」として紹介されている。どうしてそんなに単語をこねくり回した意味不明の恥ずかしいネーミングにしたの?


コーヒーのキッチンカーはなぜかいつもワーゲンの古いバンだ。ただし同じクルマではない。ワーゲンを複数台使っている業者が毎年違うワーゲンで出店しているのか、あるいは業者は違ってもコーヒー屋台にワーゲンが人気なのか?
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ちなみに現行のワーゲンバン(日本には正規輸入されていない)はT6とよばれている6代目。Tはたぶんトランスポーターが由来。その初代のT1と2代目のT2が一般に古いワーゲンのバン(あるいはバス)と呼ばれ、そのビンテージ感とかわいいルックスで人気がある。今回のキッチンカーはT2モデル。

T1モデルはフロントのV字型ツートンカラーと、フロントガラスのセンターに支柱があるのが特徴。もっともT1が製造されていたのは1967年までで、T2でも1979年が最終モデルだから、いちばん新しくても39年前のクルマになる。眺めているにはいいがマイカーとして使うのはタイヘンなはず。

古いワーゲンのバンは人気があるので、別のクルマをそれ風に改造するショップは昔からある。軽四のなんちゃってワーゲンバンはたまに見かける。しかしネットで見つけたこのクルマは本格的なレプリカ。なんと内装まで改造されていてビックリ。



さて話をラ・フォル・ジュルネに戻して、
こちらは北海道を売り物にしたキッチンカー。しかし「しらす丼」とあるけれど、そんなの北海道の名物だった?(メニューへの疑問その1)
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ナシゴレンはインドネシアのチャーハン。タンドリーチキンはインド料理。何となくメニューにポリシーの感じられないお店。
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こちらは昨年食べたロティサリーチキン。このお店ではロティスリーと呼ぶ。まあネーミングが目新しくて洒落ているだけで、要はローストチキンなのであるが。
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有名店の「俺のフレンチ」が屋台村に出店。見たところ一番人気。場所も他のキッチンカーからは少し離れたところで特別扱い。
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なんだけど、なぜか売っているのはハンバーガー。(メニューへの疑問その2)それにキッチンカーが昔のアメリカで使われていたようなキャンピングカー。どこを取ってもフランスがないゾ。
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アンティークはあちこちで見かけるパンのチェーン店。
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このお店は毎年いるように思う。ところでグリルは網焼きで、ローストビーフはオーブンじゃないの?(メニューへの疑問その3)
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フィッシュ&チップスはイギリスのファーストフード。ところでフィッシュ&チップスで出てくるジャガイモは薄切りのポテトチップじゃなくて、棒切りのフライドポテトなのに何ゆえ名前がチップス?(根本的な疑問)
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イタリアごはんのキッチンカー。
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しかしメニューをよく見るとーーー
丼はイタリアンちゃうやろ!(メニューへの疑問その4)
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こちらはタイのごはん。「ごはん」とつけるのが流行っているの?
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このメニューには疑問なし。
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横手焼きそばは秋田県横手市のB級グルメらしい。富士宮焼きそばみたいなものか。
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おなじみの帝国ホテル。
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牛タンとクレープのキッチンカー。
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ワインだけを売っているお店。こういうタイプは去年までなかったような気がする。なお、どういうわけか毎度お世話になっているハイネケンのお店は撮り忘れた。
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じっくり観察してみると色々とメニューへの疑問が湧いてきた(^^ゞ。それはそれとして、たくさんのキッチンカーで賑わっているのもラ・フォル・ジュルネの魅力。クラシックに興味がなくても、これだけを目当てにピクニック気分で来ても楽しめるはず。

ついでにインフォメーションセンター。
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キオスクステージと呼ばれる場所で演奏が始まった(これは無料コンサート)。次の公演時間が迫ってきたのでほとんど聴けなかったが。
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ところでキオスクは駅の売店というイメージがある。しかし、もともとは日よけのための簡易的な、柱と屋根だけで壁のない建物の意味。大きな庭や公園にある東屋(あずまや)が造り的には近い。このステージも同じような形をしているからキオスク。やがて売店をそういう建物で作るようになって、売店のことをキオスクとも呼ぶようになったらしい。


ーーー続く

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2018年05月05日

ラ・フォル・ジュルネTOKYO 2018 その2 アンヌ・ケフェレック

最初に聴く公演はB7ホール。
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面積は1400平米で約800名収容、天井高が7メートル。音楽専用ではなく多目的ホールなので、ステージにピアノがなければ講演会でも始まるような雰囲気。
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座席は6列目の右寄り。ピアニストの顔は見えるが手は見えない位置。ステージの奥に並べられているのは音の響きをよくするためのパネル。
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【公演番号:M121】

 ヘンデル:「調子のよい鍛冶屋」ホ長調 HWV430(ハープシコード組曲第5番から)
 スカルラッティ:ソナタ ホ長調 K.531
 スカルラッティ:ソナタ ロ短調 K.27
 スカルラッティ:ソナタ ニ長調 K.145
 スカルラッティ:ソナタ ニ短調 K.32
 ヘンデル(ケンプ編):メヌエット HWV434(ハープシコード組曲第1番から)
 J.S.バッハ(ヘス編):コラール「主よ、人の望みの喜びよ」
 ヘンデル:シャコンヌHWV435(ハープシコード組曲第2巻から)


 アンヌ・ケフェレック(ピアノ)
アンヌ・ケフェレック

         ※アーティストの写真は公式ページから借用



このプログラムを選んだのはケフェレックの演奏を聴きたかったから、そしてスカルラッティが聴きたかったから。理由は単純で彼女がスカルラッティを弾いているCDを持っていて気に入っているから。昨年も公演があったがチケットを取れなかった。

ドメニコ・スカルラッティは1685年生まれだから、5代将軍の徳川綱吉が生類憐れみの令を発した年。教科書に載るほど有名ではないものの、バッハやヘンデルと並んでバロック時代の代表的作曲家とされている。ほとんどがチェンバロ作品で555曲も残している。ちなみにこの時代に鍵盤楽器といえばチェンバロ(=ハープシコード=クラヴサン)でありピアノが台頭するのはもう少し後になる。

このスカルラッティ、バロックの大家ではあるが、そのピアノ曲(当時のチェンバロ作品は現代ではほとんどピアノで演奏される)はまったくバロックぽくないのである。じゃバロックとはどんな曲でスカルラッティはどうなんだと問われると、それに返答するだけの感性と文章力がないのが残念。あえていえばバッハのピアノ曲が単調なのに対して、スカルラッティはもっと情緒的。だからバロックよりモダンに感じる。バロック音楽=バッハというイメージを持っている人が多いから、スカルラッティを聴いてこれはバロック音楽だと思う人は少ないはず。あくまで勝手な推測だけれど。


アンヌ・ケフェレックは御年70歳のフランスのピアニスト。レパートリーは広くサティの作品も多くレコーディングしている。実際に目にしてみると、小柄でとても上品なおばあさんというイメージ。だから写真は10年ほど昔に撮ったものかな(^^ゞ


演奏はヘンデルからスタート。こちらは教科書にも載っている作曲家。しかし意外と耳にする機会は少ない。タワーレコードでヘンデルと検索すると5179件がヒットするがバッハだと2万2000である。私もCDを数枚しか持っていない。それにピアノ曲のイメージがあまりない。

でもいい曲だった。どうよかったかは説明できないとしても。

続くスカルラッティのピアノソナタは、当たり前ながらCDで聴いている通りの演奏。スカルラッティの良さは控えめな美曲というところだと思っている。それに加えて今回は生で聴くピアノの音が素晴らしかった。B7ホールって、こんなにいい音がしたっけとびっくり。オーディオで聴くピアノはどこか音が固い。だから長く聴くと少し耳が疲れてしまう。でもこの日に聴けたピアノは厚みのある柔軟な響きでずっと聴き続けられそう。それと普段と違って集中して聴いているので、右手と左手のパートがよく聴き分けられる。そのせいか音楽も音も立体的に感じた。まあとにかく美曲に美音で至福の時間を過ごす。

スカルラッティは美曲揃いだが、難点はどの曲も似通っていること。でも5曲目に弾いたソナタ・ニ短調K32はスローで哀愁が漂ってくる少しタイプの違う曲。そしてこの曲でケフェレックのメロースイッチが入ったのか、続くヘンデルのメヌエットも濃厚で情感たっぷり。なぜかテレサ・テンを思い出したのが自分でも不思議。

メヌエットを弾き終わった後、次の曲に移るまでにケフェレックは少し間を置いた。気のせいかもしれないが哀愁ワールドに入り込んだ気持ちを切り替えているように思えた。

そして演奏したのがバッハ。これはガチガチのバロック。最後がヘンデルのシャコンヌ。たぶん初めて聴いたがいい感じ。アップテンポな曲で、ケフェレックの演奏にはグルーヴ感が感じられた。グルーヴ感はクラシックで使われることのない言葉だが、私はけっこう重視している。


さてスカルラッティを聴きに来たはずが、最大の収穫はヘンデルのピアノ曲がよかったことである。こういう発見があるのもラ・フォル・ジュルネのいいところ。そのうちCDを探すことになるだろう。

ケフェレックはアンコールも演奏してくれた。彼女が発する曲名の声は聞こえたが言葉を聴き取れず。しっとりした曲だった。ところでアンコール曲はプログラムリストには載っていないから、コンサート終了後にロビーに曲名が張り出される。でも私がホールから出た時にはまだ掲示されていなかった。建前はともかくアンコールで何を演奏するかは事前に決まっているのだから、もっと手早く対応してくれればいいのに。



なお文章に出てくるメヌエットやシャコンヌは、ワルツと同じように何拍子かという基準で分けた曲の分類。ソナタは起承転結みたいな構成を持ったパートが含まれている曲の総称。でもこんな音楽用語は知らなくても私のブログを読む分には差し支えないから、気にしなくて大丈夫←本当は説明するのが面倒(^^ゞ


ーーー続く

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2018年05月03日

ラ・フォル・ジュルネTOKYO 2018

ロゴ

2014年から通い始めて今年で5年目となるラ・フォル・ジュルネ。私にとってゴールデンウィークの欠かせないイベントとなってきた。

ラ・フォル・ジュルネとは何かをかいつまんで説明すると

  クラシックの音楽祭。発祥はフランス。
  大規模→約400公演。 
  カジュアル→有料公演が178本。
        それ以外は会場周辺エリア23箇所での無料オープンコンサート。
       →公演時間は45分間。
       →チケットは1500円から3000円。演奏ホールと座席位置によって
        決まっており演奏家のランクは金額に無関係。
       →0歳児から入場できる公演もある。
       →関連イベント多数。

といったところ。1995年に「クラシックの民主化」を掲げて始まったもの。日本では2005年から。チケットはクラシックコンサートとしては破格の低料金だが、有料公演での演奏は、それなりのクォリティを持ったプロを揃えている。一流有名どころもチラホラいる。毎年ゴールデンウィークに開催され、会場は文字通り音楽のお祭りのような雰囲気。屋台もたくさん出るので音楽を聴かなくても楽しめるよ。



ところで今年から企画が変更になったようだ。まず昨年まで東京での開催は「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」という名前だったのが「ラ・フォル・ジュルネTOKYO」になった。そして新潟と大津(滋賀県)での開催が取りやめになった模様。だったらジャポンからTOKYOに変える必然性は薄いように思うが何か他に理由があるのかな。

その東京では有楽町の東京国際フォーラムがメイン会場で、その向かいにある読売ホールがサブ会場の位置づけだった。しかし今年は読売ホールに代わって池袋の東京芸術劇場が使われている。東京国際フォーラムからはドア to ドアで45分くらいはかかるから、これは公演をハシゴするにはちょっと不便な変更。

新潟と大津の中止理由の発表はないが、おそらく財政難ということだろう。東京国際フォーラムでは人が溢れかえっているが、それでもチケットの売上金額なんて微々たるもの。自治体や企業の協賛がなければ、こういうイベントは成り立たない。過去には金沢や鳥栖(佐賀県)でも開催中止に追い込まれている。

地方は人が集まらないからと考えてしまいがち。しかし参考までに本家のフランスではナントという都市が開催地。その人口は約30万人。比較すると

    東京都 1300万人
    新潟市 80万人
    金沢市 47万人
    大津市 34万人
    鳥栖市 7万5000人

鳥栖はちょっとキビシイかもしれないが、新潟、金沢、大津で上手く回らなかったのは、クラシック音楽ファン比率がフランスと日本で違うのか、あるいは単にマーケティングが下手だったのか。東京での会場運営を見ていると何となく後者っぽい。とりあえずラ・フォル・ジュルネが日本から撤退ということになりませんように。

ちなみにラ・フォル・ジュルネとは「熱狂の日」という意味。フランス語で綴るとLa Folle Journee 。Laは英語のTheみたいなもの。Folle は辞書を引くとキチガイとか頭がおかしいとかが出てきた(^^ゞ Journeeは日。前回までの名前にあったオ・ジャポン au JAPONのauは英語だと in かな。


今年は5月3日公演のチケットを5本入手。例によって行動開始が遅く、聴きたかったアーティストの予約が取れなかったりもあるが、問題は公演の途中にに5時間近くの空き時間ができてしまったこと。今まではわざと公演時刻をずらして皇居見物をしたりもしたが、もう皇居周辺は全部回ったしーーー。それで今回はその空き時間に美術館に行くことにした。もっともそれで5時間も埋まらないけれど、持て余した時間は気分に応じて臨機応変にというプラン。

それよりも最大の問題は前日に「午前中は豪雨、午後からは強風や突風」と、とんでもない天気予報だったこと。ホールで音楽を聴くには問題ないにしても、会場に着くまでにズブ濡れになったり、昼から使わない傘を持ち歩くのも面倒だしーーーと憂鬱な気分クライマックス。

そして本日、朝起きた時はまだ本降りだった。でもしだいに雨は少なくなり出かける時にはなんとか雨は上がった。晴れ男伝説健在なり!



銀座並木通り午前9時半。まだ道路は濡れている。
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行列している若者。オタクっぽい雰囲気だが女性もいる。
ここに何があるのだろう。
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東京電力の支社だった建物。TEPCO銀座館も入っていた。東日本大震災後の経営難で売却されれ、現在は新しいビルに立て替え中。
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並木通りを途中で左折して外堀通りに出る。
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道路を渡ると有楽町エリア。そこから振り返って見えるのはプランタン銀座だったビル。今はマロニエゲート銀座2という名前になっている。いわゆるファッションビルで5〜6階にニトリが入っているのが特徴。銀座なんだけど(^^ゞ
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外堀通り沿いを進んで、
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左折すると無印良品のお店。並んでいるのはその隣りにある元はLoftだったスペースにできた、B'zの期間限定ミュージアムのチケットを買おうとする人たち。ライブじゃなくてミュージアムに入るのに行列するなんてすごい人気。映像ライブでもあるのかな。
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線路高架の向こう右側に見えるのが東京国際フォーラムのGホール、通称ガラス棟。有楽町駅が高架下を左に進んだところ。青空が見えてきてひと安心。
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有楽町側の入口。
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今年のテーマは「モンド・ヌーヴォー 新しい世界へ」。
どういう意図かは公式ページを読んで
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まだ屋台は準備中。
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広場に並べるテーブルを運んでいるスタッフ。
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いつも3〜4回はお世話になる場所(^^ゞ
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毎度おなじみのアングル。
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演奏は撮影できないし会場風景はいつも同じ。それでも今年も山ほど写真を載せてブログを書くつもり。そして肝心の音楽についてタメになることは書かない。というか上手に書くほどの知識と感性はないから(^^ゞ


ーーー続く


※下のタグ:ラ・フォル・ジュルネをクリックすると昨年までのブログが出てきます。

wassho at 23:10|PermalinkComments(0)

2018年03月16日

トゥーランガリラ交響曲

テレビで録画しているクラシック音楽番組はNHKの「クラシック音楽館」と「ららら♪クラシック」それとテレ朝の「題名のない音楽会」。「ららら♪クラシック」はしばらく前にメインパーソナリティと番組構成が変更されてからつまらなくなった。「題名のない音楽会」は出光石油が単独のスポンサーとなっている。昭和シェル石油との合併問題で揺れる出光石油。業界的には、合併は必須なのに創業家が駄々をこねていると捉えられている。しかし、たいして視聴率がないだろうクラシック音楽番組のスポンサーを長年続けているのは、創業家の文化への理解の賜物だと勝手に想像しているので、私は断固として合併反対派(^^ゞ



トゥーランガリラ交響曲は3月4日にクラシック音楽館で放送されていた曲。それなりにクラシック歴は長いのだけれど、曲名も作曲者のオリヴィエ・メシアンのことも初耳だった。まだまだ奥が深いかクラシック。

もっとも知らなかったのは、この曲が本日現在Googleで「トゥーランガリラ」と検索しても85件しかヒットしない超マイナーな存在であると共に、(表現は矛盾するが)クラシックの中でも現代音楽の範疇に属するものだからだろう。現代音楽とは脈絡のないメロディーの組み合わせや不協和音とか、一口で言えば前衛的な音楽。その方面は趣味に合わないから興味もない。


さて番組で演奏が始まってしばらくして「これはアカンやつや」と思った(^^ゞ しかしなぜかドンドンとその音楽に引き込まれることに。何度かその録画を聴き直し、それからCDを買った。以来10日ほど、自宅でも常に持ち歩いている携帯音楽プレーヤーでも2回に1回はトゥーランガリラ交響曲が流れている。いわゆるハマってしまったというやつ。それにしても何回聴いてもどんな曲かまったく頭に入らない。やっぱり前衛音楽!

トゥーランガリラ交響曲


しかしどうしてトゥーランガリラ交響曲が気に入ったのだろう。聴いているうちに何となくウィレム・デ・クーニングの絵を見に行った時のことを思いだした。その時にテーマにしたのは哲学者カントの「芸術とは悟性によって秩序づけられた感性の戯れである」という言葉。その難解さに対して完成度が低い文章だが興味があればこのリンクからどうぞ。

    ウィレム・デ・クーニング展
    ウィレム・デ・クーニング展 続き

まあとにかくオリヴィエ・メシアンと私の悟性との相性がよかったのかもしれない。展覧会で観た1960年代のデ・クーニング作品の色彩が明るかったと同様に、トゥーランガリラ交響曲も頭が痛くなるような不協和音がずっと連続した曲じゃない。音の響きが美しいところも多い。だから私でも足を踏み入れられたのだろう。現代音楽入門には適した曲のようにも思う。今後そっち方面にのめり込むことはないだろうが、音楽的視野が広まったのはいいことだと番組には感謝している。


YouTubeでトゥーランガリラ交響曲の動画があったのでリンクしておく。
この曲の気に入り程度で、あなたの音楽的ヘンタイ度合いがわかるかも。


wassho at 19:04|PermalinkComments(0)

2017年09月20日

CDとハイレゾを聴き較べてみた(3)

ハイレゾロゴ

CDとハイレゾを聴き較べたというタイトルだが、実際はCDからリッピングしたものと比較した。その方がパソコンや携帯音楽プレーヤーなど同じ再生機器の中で瞬時に切り替えられるから。

moraからダウンロードしたハイレゾは、96kHz/24bitの解像度規格でファイル形式はFLAC。リッピングしたものは当然CDと同じ44.1kHz/16bitでファイル形式はAIFF。解像度の規格については2つ前のエントリーで触れたが、ファイル形式の説明は割愛する。今回の聴き較べには関係ない。

Macの場合、付属のiTunesというソフトではFLACのファイルは再生できない。別のソフトも持っているが、自宅でリッピングしたものを聴く場合は携帯音楽プレーヤー(オンキョーのDP-X1A)をDAC経由あるいは直接LINE OUTでアンプにつないでいるので、主にそちらを使って聴き較べた。

なおハイレゾの2枚、CDクォリティの2枚のファイルをそのままDP-X1Aに入れてしまうと、バラバラの場所に保存されて効率が悪いので、それぞれのタグを編集して1枚のアルバムに4つの曲が入っているように編集する。

あれこれ専門用語で知らないものがあってもご安心を。大事なのはここから。



聴き較べた。
CDとハイレゾの違いは

       まったくわからなかった!!! (/o\)


最初は携帯音楽プレーヤーとヘッドホンで。次に携帯音楽プレーヤーを、DAC経由でオーディオに接続してスピーカーで聴き較べてみたが結果は同じ。ハイレゾのほうがわずかに音の響きが多いようにも感じられたけれど、それはほとんど「気のせい」レベル。目隠しテストをしたら絶対に区別できないし、その響きで音がよくなったとも思えなかった。

まあ世間の評判から結果はだいたい予想していたが。ただし試聴を繰り返すうちに最初はまったく違いがわからなかったものが、少しずつ「気のせい」レベルの違いを感じる箇所が増えていった。心身のコンディションを万全にし、全神経を集中して聴き較べればもっと違いがわかるかもしれない。でも音楽を聴く上でそんな違いに何の意味がある?



ところで携帯音楽プレーヤーのDP-X1Aは44.1kHzの音楽ファイルを192kHzに変換して再生するアップサンプリングという機能がある。録音する時に音のアナログ波形を高いサンプリングレートで分割すれば音がよくなるのは当然。しかしデジタルに分割してしまったものをさらに再分割(アップサンプリング)して意味があるのかと購入前は懐疑的であったが、なぜか音は全神経を集中するまでもなくハッキリとよくなる。

またハイレゾの定義はCDの規格である44.1kHz/16bitより高解像度というもの。しかしハイレゾとして売られている音楽ファイルにはいろいろな種類がある。ハイレゾで録音してハイレゾのファイルにしたもの。これが正真正銘のハイレゾ。それに対してハイレゾじゃない録音なのに、アップサンプリングでハイレゾの規格に仕立てたものもあって、俗にニセレゾとか呼ばれる。しかし定義はファイルに対するものだからニセレゾでもハイレゾは名乗れる。

私が購入したファイルがどちらかはわからない。上記の2点を考え合わせると、仮にニセレゾだとしたら96kHzという中途半端なアップサンプリングでは効果がないのかもしれない。本当のハイレゾだとしても96kHz/24bitと44.1kHz/16bitでは違いが現れないということになる。



購入したのハイレゾのオリジナルであるCDの発売は2004年と2014年。その録音時期から考えて極端なニセレゾの可能性は低いと思う。ということで今回の実験からハイレゾで一番流通量の多い96kHz/24bitの規格のものは、CDより高いお金を払って購入する価値はないというのが現在の認識。96kHz/24bitよりもっと解像度が高い規格のファイルもあるので機会があれば聴いてみたいと思っている。高解像度になればなるほどファイルの価格も高くなるのが悩ましいところだが。もっともよほど音質に違いがなければ価格の安いCDをよりたくさん買うという選択をすると思う。以前に何度か書いたように、音質がよくなっても音楽から得られるものが変わる訳じゃない。


それと話は矛盾するが、 10年少し前にオーディセットを買い換えて「曇ったスプーンと磨かれたスプーン位の違い」なんて喜んでブログに書いたりしている。ここ最近ではイヤホンをiPhone付属のものから1万円くらいのものに換えたり、あるいは5万円ほどのヘッドホンを買った時、また携帯音楽プレーヤーをiPhoneからDP-X1Aに換えた時も音質の違いが顕著だった。 もしハイレゾに興味があって、つまりいい音質で音楽を聴きたくて、しかし再生装置にはお金を掛けていないのだったら、そちらをグレードアップしたほうが確実とアドバイスしておく。


おしまい

wassho at 08:15|PermalinkComments(0)