ハナズオウ

2024年04月06日

妙見坂のしだれ桜は1本だけだった

東京のサクラ開花宣言はここ数年と較べて2週間ほど遅い3月29日。最初の日曜日である最高気温28.1度となった3月31日には当然ながらまだ一分咲き以下。でも準備の都合でその日に開催された(せざるを得なかった)サクラ祭りを「サクラの咲いていないサクラ祭りなんて、めったに経験できる機会はない」とヘソ曲がりな動機で自宅近くの2会場をハシゴしてきたのは前回までに書いた通り。

3月29日に開花すれば満開になるのは4月4日か5日当たりになる。しかし4月1日の夜に天気予報を見ると、どうも今年のサクラは天候に恵まれないようだ。晴れマークが付いているのは4月2日と6日しかなく傘マークのほうが多い(>_<)

週間予報

本当は6日と7日の土日にのんびりとサクラ三昧をしたかったが、この時点で週末6日の晴れマークも当てにできないし、とりあえず雨の降らない2日にも見ておくかと外出の途中に時間をやりくりして訪れたのが妙見坂のしだれ桜。

ちなみに6日&7日には某所と某所にあるしだれ桜2カ所と、某所の川沿いのサクラを見に出かけるつもりだった。だから妙見坂は今年のメインイベントに入っていなかった補欠候補。しだれ桜があるところをあれこれ探していて見つけた。

そしてこのブログを書いている本日4月6日は晴れマークが消えたこんな天候で、
2日にサクラを見てきたのは正解。
本日の予報


場所は2021年にサクラを見に訪れた大田区にある池上本門寺の隣。本門寺の塔頭(たっちゅう)である昭栄院の境内に妙見堂というお堂があり、そのお堂に至る坂が妙見坂。

なお塔頭(たっちゅう)とは本来は大きな寺の高僧のお墓。その高僧を慕ったり墓を守るために弟子が墓の周りに住むようになり、それが転じて大きな寺の敷地内や近くにある付属の小さな寺を意味するようになる。



五反田から池上線に乗って20分ほどで池上駅に到着。
駅ビルは2021年にオープンしたエトモ池上。
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前回に来たときから、駅名の隣に池上本門寺の表示があるのはいかなる理由・いきさつなのか気になっている。池上は単に地名だが、同じ東急線で九品仏駅なんてお寺の名前が駅名なっているのにこんな表示はない。
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駅から100メートルほど離れた交差点は五叉路。そのひとつがこの本門寺通りで商店街にもなっている。もっとも地元の人が日常的に買い物をするようなお店はあまりなく、参拝客向けにお店が並んだ成り立ちのように思う。
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いくつかあるレトロな雰囲気のお店は前回来たときからまったく変わっていない。
おそらくこれからも変わらないはず。
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写真奥の突き当たりを右に曲がると本門寺に至る道路に出るのだが、
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その手前で「参道はこっち」と主張している路地があったので、
そちらを進む。
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路地を抜けて左を向き正面に見えているのが池上本門寺。
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世田谷区内が源流で、目黒区から大田区と流れる呑川(のみがわ)を渡る。
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池上本門寺の総門。
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総門とは寺の正面玄関のような存在。大門あるいは南側に造られるから南大門ともいう。対して山門はここから先は神聖なエリアだと示す門。金剛力士像が置かれていれば仁王門と呼ばれる。小さい寺だと総門と山門は共通。


池上本門寺には入らず右に進む。
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朗子(ろうし)会館、池上会館と会館の多い通り。
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人名で朗子だと「さえこ」「あきこ」「ときこ」などになる。
この朗子会館の名前由来を示した資料は見当たらなかったが、「朗」には「朗(ほが)らか、明るい」の意味がある。池上本門寺は合唱団、鼓笛隊、ボーイスカウト、体操クラブなど青少年向けの活動を「朗子クラブ」と名付けており、「ほがらか、明るい」子供に育って欲しいとの意味が込められているのかと思う。


池上会館の横を抜けると昭栄院が見えてきた。
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正面は呑川沿い。
実は先ほどの呑川の写真にも昭栄院は写っていた。
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昭栄院は小寺院だから総門を兼ねた山門。
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説明が充実。
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こぢんまりとした佇まい。
庭の手入れはとても行き届いている印象を受けた。
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山門をくぐって左にはベニハナトキワマンサク。
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花色がマンサクは黄色、トキワマンサクは白、ベニハナトキワマンサクは濃いピンクであるが、白のトキワマンサクはあまり見かけない。ベニハナトキワマンサクが紅花を省略してトキワマンサクと記される場合も多い。


右にあったのは印象的にはツバキに思えるものの、
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花の形が丸くて初めて見るタイプ。
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調べてみるとこれはカイドウツバキ(海棠椿)というベトナム原産の品種。ツバキは冬に咲くから南国ベトナムは想像しづらいね。別名はベトナム椿ともいい、かつてはベトナム王家が門外不出としていた幻の花なんだそう。日本に入ってきたのは1990年代といわれる。



そして昭栄院の横の路地にありました!しだれ桜。
奥の階段が妙見坂。
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そこそこのサイズで期待通りに満開。
(しだれ桜はソメイヨシノより早く咲く品種が多い)
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電信柱を避けて撮りましょう。
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かなり高い位置で咲いており私の持っているレンズではこれで精一杯。
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お寺の屋根と一緒に。
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ふと振り返ると昭栄院の庭からいろいろ突き出している。
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こちらは花の形が普通でも、とてもビビッドな色のツバキ。
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ベニハナトキワマンサクは実をつけていた。
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これはハナズオウ。
まだほとんどツボミでも色は濃い。
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しだれ桜の淡いピンクとフワフワ感を背景に眺めるとキレイだった。
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もう一度しだれ桜を仰ぎ見て、
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さて登りますか。
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1/3のところにある踊り場から見下ろす。
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同じく見上げる。
それにしても階段途中の広くなったところがなぜ踊り場の名前なのだろう?
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2/3を登った踊り場から。
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登り切った。全部で111段!
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ところで路地に入ったときから気付いていたけれど、妙見坂のしだれ桜は昭栄院の敷地にある1本だけだった(/o\) ネットで見つけたサイトで何枚かの写真を見たのは、しだれ桜が何本かあるのではなく、1本の桜の別カットだったとのオチ(^^ゞ


気を取り直して妙見堂。
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樹老人は七福神のひとつ。一般的には寿老人と書く方が多い。
ひょっとしたら樹老人はここだけかも知れない。
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七福神は弁財天、恵比寿、大黒天、毘沙門天、布袋、寿老人、福禄寿。しかし寿老人と福禄寿は知名度が低いかな。ましてや樹老人は超マイナーな存在。


これは第二次世界大戦の後、シンガポールのチャンギーで開かれた軍事裁判でBC級戦犯として処刑された人の慰霊碑。昭栄院の以前の住職が処刑に立ち会った縁でここに建立されたみたい。
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ところで戦争犯罪人と聞くと東条英機ら28人が裁かれ、うち7名が死刑となった極東国際軍事裁判(通称は東京裁判)が有名。A級戦犯との言葉もよく聞くから、BC級戦犯はそれより軽い罪に思えるがそうではない。

BC級戦犯はA級戦犯よりはるかに多い約5700名が起訴され、そのうち約1000名に死刑判決が下されている。起訴されて死刑になった率は東京裁判が25%で、BC級戦犯が18%だからそれほど大きな違いはない。なおBC級戦犯は横浜とマニラなど世界49カ所の軍事法廷で裁かれた。チャンギーもそのひとつで処刑者数は129名。

さてABC級戦犯とは連合国によって布告された戦争犯罪類型の区分である

    A項:平和に対する罪
    B項:通例の戦争犯罪
    C項:人道に対する罪

のどれで有罪になったかを意味している。

区分としてはABCと「項」なのに、戦犯すなわち人物を示すときにABCの「級」に言い換えられる理由はよくわからない。どちらも死刑があるから量刑に差はないのに「級」と書くとレベルの違いのように思えてしまう。

裁判の根拠法となった国際軍事裁判所憲章(Charter of the International Military Tribunal)を読むと「項」については (a) (b) (c) と括弧付きで書かれているだけ。戦犯をどう表現してるかはよくわからなかった。英和辞書でA級戦犯を引くと class-A war criminal が出てくるが、国際軍事裁判所憲章にその表現はなく、これは日本語表現のA級を英訳したような気もする。

もっとも第二次世界大戦がかつてないほど大規模熾烈なものであったため、戦場における「B項:通例の戦争犯罪」だけではさばききれず、戦争指導者に対する罪として「A項:平和に対する罪」が設けられたので、A級戦犯のほうがより罪が重いとの見方は必ずしも間違いではない。またA級戦犯として処刑された7名はB項でも有罪になっている。

裁判で有罪となった戦犯が「殉難」かどうかは素直に受け入れられない部分もあるものの、もはや戦後79年、ここは素直に合掌。



そこそこ大きな木。
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幹はこんな感じ。そして黙ってこれにしばらく抱きついているオバチャンを二人見た。
何かスピリチュアルな儀式なんだろうか? ひょっとしてこれは「樹」老人の化身?
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他には特に撮る風景もないので妙見堂の窓ガラスでも(^^ゞ
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妙見堂まで階段を上がって、ここが池上本門寺の墓地エリアとつながっているとわかった。それで予定には入っていなかったが、このあと本門寺も少しブラブラ。
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wassho at 19:24|PermalinkComments(0)

2015年04月21日

昭和記念公園のチューリップ その2

渓流広場を進んでチューリップの植え込みが終わったあたりに、レストランや売店が並ぶ一画がある。そこで大道芸をやっていた。
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静止した写真では何をしているのかまったくわからないが、手に持っている大きなガラス玉が空中に浮いたり意志を持って動いているように見せるジャグリング。ジャグリングとはお手玉のようにモノを投げたりしながら器用に扱うパフォーマンス。ここで見たのはガラス玉を投げるわけではないからジャグリングとは呼ばないかも知れない。


渓流広場の隣にあるのが「みんなの原っぱ」という名前の広大なスペース。
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もう少し前なら桜がキレイだったはず。
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今年の東京は、桜の開花日と前後してとても暖かい日が続いたので、アッという間に咲いてアッという間に散った印象。その後はまた冬に逆戻りし、4月の半ばにコートを着たことは今までもあったが、手袋までしたのはたぶん今年が初めて。もう慣れてきたとはいうものの、どんどん天候が変な方向にいっているのが気掛かり。



みんなの原っぱの片隅。といってもみんなの原っぱがとても広いから片隅だけでもかなりの面積である。そこにポピーが植えられていた。
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ポピーはヒナゲシ(雛芥子)あるいは虞美人草(ぐびじんそう)ともいう。花びらが極薄なのが特徴。ここでは3色のポピーが植えられていた。
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ポピーの隣で紫色の花を咲かせているハナズオウの木。
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なかなかキレイな色。
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ポピーが植えられているのはみんなの原っぱの西花畑と呼ばれるエリア。広場の向こうの方にかすかに黄色く見えているのが東花畑で、今は菜の花が植えられている模様。この前のツーリングで菜の花を見てきたので今回は足を運ばず。
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ポピーとハナズオウで箸休めをした後は
再び渓流広場に戻り、先ほどの対岸を歩いてスタート地点に向かう。
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少し水辺を意識して撮ってみた。
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こちらの岸からだと逆光になる。逆光はたいていやっかいなもの。しかし紅葉とチューリップの場合は、逆光が葉や花から透けて光っているように写るからキレイ。
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チューリップの名所はどこも人が一杯。それでもサクラと較べたらチューリップの花見に出かけた経験がある人は極々わずかな割合かと思う。チューリップが似合うのはもちろん可憐な少女だけれど、ココロがくたびれたオッサン・オバハンこそチューリップを見て元気になるべきなのだ(^^ゞ

とりあえず写真でメルヘンワールドを楽しんでちょうだい。
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スタート地点に戻ってきた。渓流は片道500メートルくらいかな。まだ腹六分目位だったのでもう一往復。二往復目はカメラはバックにしまって見ることに専念。
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今回はあまりアップの写真は撮らなかった。お約束の下から見上げるアングルも、空の色がパッとしなかったので試しに何枚か撮ったのみ。
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昭和記念公園のチューリップは植え込み方は素晴らしいものの、品種のバラエティは少し乏しく感じる。割とストレートなチューリップが多く、マーブル模様やフリンジ(花びらの先端がギザギザになっている)などは特に少なかったように思う。

話は変わるが自宅ベランダのチューリップ。残念ながら今年は不作である。満開感を味わえずに早くも終盤の雰囲気(/o\) 発芽および開花率も例年と較べてかなり低い。やはり球根を買うのが遅く、売れ残りのものしか手に入らなかったのが響いているみたい。残念日記はいずれそのうち。

というわけで満開・密集のチューリップを見て、人々が「キレイ」とか「スゴイ」とか声を上げている中で、ひとりボソッと「うらやましい」とつぶやいてきた(^^ゞ

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チューリップを満喫して帰宅。走行は80キロほど。
もう一箇所どこかに見に行こうか思案中。これほど大規模なところでなければ全国各地に名所はあるから、チューリップ花見をしたことがない人は是非。


おしまい

wassho at 08:28|PermalinkComments(0)