ラ・フォル・ジュルネ

2021年04月05日

ところで今年のラ・フォル・ジュルネはどうなった?

ラ・フォル・ジュルネというのはクラシックの音楽祭。毎年ゴールデンウイークに有楽町の東京国際フォーラムで開催される。有料・無料含めて公演数は400ほどもあってまさに祭典と言える規模。演奏するのは中堅どころが多いが、たまに一流アーティストも出演する。私にとっては欠かせないイベントのひとつになっている。

しかし当然ながら昨年はコロナで中止。それで今年も中止だろうと思っていたというか決めつけていたのだが、念のためチェックしておこうかと。


Googleで「ラ・フォル・ジュルネ」と検索すると先頭に表示されるのは

  ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2020 Beethoven

のタイトル。これはベートーヴェンがテーマだった昨年のページ。
lfj2020

ホームページのURL(アドレス)は https://www.lfj.jp であるが、それをブラウザーに入力しても https://www.lfj.jp/lfj_2020/ と昨年のページにジャンプして表示されてしまう。

今年のラ・フォル・ジュルネは中止ではなく、
最初からなかったということなのだろうか?


その2020年のホームページを見ると、主催は「ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2020 運営委員会」となっており、その下に株式会社KAJIMOTO/株式会社東京国際フォーラム/三菱地所株式会社の名前が書かれていた。KAJIMOTOというのはクラシック音楽専門のプロモーターである。

年度を2021年に変えて「ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2021 運営委員会」で検索してみたがヒットせず。それぞれの会社のホームページにもアクセスしてみたが、今年のラ・フォル・ジュルネに言及した情報はなかった。

なお東京国際フォーラムのプレスリリースはとても数が少なく、最初に表示される5件めにビックリマーク付きで、一昨年10月のラ・フォル・ジュルネの開催決定のお知らせがまだ載っているという恥ずかしさ。
お知らせ全体

ただし後日に、開催が中止になったというお知らせは載せられていない。広報として不誠実といわざるを得ないだろう。それにしても最新が昨年の11月ってーーー


公式のSNSも確認してみると最終更新が、

   Facebook:2020年7月16日 
   Twitter:2020年10月26日
   Instagram:2020年5月1日

ーーーと夜逃げ状態?
ちなみに各SNSのアドレスに2020の文字はなかった。

   https://www.facebook.com/lafollejourneeaujapon/
   https://twitter.com/lfjtokyoblog
   https://www.instagram.com/lafollejournee/


そういえば時々メールが届いていたなとメールソフトをさかのぼってみると、

  2020年2月7日
 「ラ・フォル・ジュルネTOKYO運営委員会事務局」名義
  アドレスは lfjtokyo2020@kajimotomusic.com だから発信元はKAJIMOTO
  内容はワイン関連イベントのお知らせ

  2020年2月18日
 「LFJチケット販売サイト」名義でLFJメールマガジンのタイトル
  (LFJとはラ・フォル・ジュルネの略)
  アドレスは lafolle_info@pia.co.jp だから発信元はチケットぴあ
  内容はチケット販売スケジュールのお知らせ

以下2月18日と同じ発信元で

  2020年3月13日
  チケット販売延期のお知らせ

  2020年3月30日
  開催中止のお知らせ

それが最後で、そして今年は何の連絡もなし。


さてラ・フォル・ジュルネの主催者は運営委員会方式で、その年ごとに結成されるのだろうか、そして今年は結成していないから何の連絡もないのだろうか?

そんなことが許されるとは思えない。2005年から長年続いた、あれだけの大規模なイベントなのだから、キチンと状況を説明する社会的責任があるはずだ。もちろん状況は説明されなくてもわかっているが、もっと大事なのは私はラ・フォル・ジュルネの会員なので(だからメールも届いている。よく覚えていないが会員にならないとネットでチケットを購入できないような仕組みだったと思う)、会員になる時に登録したクレジットカードを含む個人情報はどうなっているのかということ。夜逃げしてもらっちゃ困るのである。

運営委員会に名前を連ねている東京国際フォーラムは、東京都が51%を出資している公共性の高い企業である。三菱地所はもちろん日本を代表する企業のひとつ。KAJIMOTOはよく知らなかったが1951年(昭和26年)から続く老舗のようだ。

そんなメンツが揃っているのに何のアナウンスもないとは。
この国はだいぶアカンようになってきたのかな(/o\)
コロナのあたふたで、それが露呈するケースが多い気がする。

wassho at 20:12|PermalinkComments(0)

2019年05月14日

ラ・フォル・ジュルネTOKYO2019 ディーヴァ・オペラ

5月3日に聴いた公演は弦楽四重奏、ピアノ三重奏、ピアノ協奏曲、ピアノ曲、バイオリン協奏曲の5つ。バランスとしては悪くないし今年はそれだけにするつもりだった。しかしどうしても声楽関連を聴きたくなり、5月3日のチケットを予約したしばらく後にプログラムを眺めているとモーツァルトのオペラがあったので急遽チケットを手配。公演日は5月5日。


いつもは銀座駅から東京国際フォーラムへ向かうが、気分転換に二重橋前駅から。距離的にはどちらもそう変わらない。

ちょっと寄り道して行幸通りへ。
皇居に夕日が落ちかけている。時刻は午後6時過ぎ。
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反転して東京駅方面。
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近づいての撮影。
35ミリ換算15ミリになる広角ズームだと巨大な東京駅もだいたい収まる。
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上の写真は横:縦比が3:2。ちょっと道路部分が気になったので16:9にトリミングしてみた。ワイド感が強調されてるかな?
DSCF3186のコピー


東京駅の横にあるJPタワー。元は東京中央郵便局。外観の一部に郵便局舎が残されている。ビルのデザインはクラシックな方が断然に好き。
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ここを渡って数分歩くと東京国際フォーラムに着く。
ガラス棟の両端は鋭角なので見る角度によってはカミソリのよう。
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毎年撮影しているAホール前の光る廊下。
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一番賑やかな時間帯かな。
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とりあえず駆けつけ1杯。
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会場はB7ホール。
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最後尾17列の位置から。
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座席は8列目を確保。
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横方向の風景。
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【公演番号326】
 モーツァルト:オペラ 後宮からの誘拐

 ディーヴァ・オペラ


オペラといってもほとんど舞台セットのないステージでピアノ伴奏だけで行われるオペラである。こういう簡易バーションのオペラを室内オペラというらしい。フルスケールのオペラは言ってみれば劇場オペラか。

ディーヴァ・オペラはイギリスの室内オペラ専門の劇団。
今回のメンバーをコピペしておくと

  ベルモンテ(スペインの貴族):アシュリー・カトリング
  オスミン(太守の監督官):マシュー・ハーグリーヴズ
  ペドリッロ(ベルモンテの召使):リチャード・ダウリング
  太守セリム:デイヴィッド・ステファンソン
  コンスタンツェ(ベルモンテの婚約者):ガブリエラ・キャシディ
  ブロンデ(コンスタンツェの召使、英国人):バーバラ・コール・ウォルトン
  音楽監督・ピアノ:ブライアン・エヴァンス
  総監督:アンヌ・マラビーニ・ヤング

このディーヴァ・オペラによるモーツァルトのオペラは、今年のラ・フォル・ジュルネの目玉公演のようで3日間連続での上演。ちなみに上演時間は2時間で途中で15分間の休憩時間が設けられている。

とはいっても、あまり高い期待はしていなかった。なんたって簡略版だから。声楽が聴ければいいや程度の気持ち。

出演しているのは男性4名、女性2名である。最初の25分くらいは男性しか出てこない。私はソプラノが好きなのでちょっと退屈する。そしてコンスタンツェ役のガブリエラ・キャシディ登場。この歌手は別格に素晴らしかった。ところどころ歌うのが難しいパートもあったが、それも完璧にこなしていたように思う。彼女がいることによって全体のクォリティもランクアップしたように感じられた。そこからどんどん引き込まれていった。


舞台セットは必要最小限といった感じでも、衣装は本格的。それが安ぽっさを感じさせない理由。衣装を眺めているだけでもけっこう楽しめる。なお一番右にいるのがガブリエラ・キャシディ。
衣装

ピアノ伴奏は音楽監督のブライアン・エヴァンスが務める。ほぼ2時間引きっぱなしで大変だと思うが、この演奏もとても良かった。単に演奏が上手いというだけでなく、ステージの進行というかノリとシンクロした弾き方だったと思う。

びっくりしたのは途中で照明が暗転していくつかの舞台セットを入れ替えた時。その搬入搬出は男性歌手たちがやっていた。そうやってコストカットしているのだろうが、ラ・フォル・ジュルネには山ほどスタッフがいるのだから手伝ってあげればいいのに。

まあとにかく楽しかった。終わってみれば「簡易バージョン」という印象や我慢はまったくなし。もちろんそれは「後宮からの誘拐」がもともと小規模な設定なせいもあるけれど、室内オペラへの認識を新たにした。ラ・フォル・ジュルネに2日も足を運んだ甲斐があったというもの。大満足な公演だった。


今年もクラシック音楽に浸れたラ・フォル・ジュルネ。毎年書いて実現していない「今年こそはラ・フォル・ジュルネ以外も生演奏を聴きに行こう」とまた書いておく(^^ゞ


おしまい

wassho at 23:05|PermalinkComments(0)

2019年05月11日

ラ・フォル・ジュルネTOKYO2019 神尾真由子 タタルスタン国立交響楽団 アレクサンドル・スラドコフスキー


初日5つ目で最後の公演はラフマニノフのピアノ協奏曲と同じAホール。そしてこの公演は私にとって因縁の組み合わせ。
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ラフマニノフのエントリーの時にも書いたが、5年前に初めてのラ・フォル・ジュルネで最初に聴いたのがこのAホールだった。5000人収容とクラシック音楽にとっては広すぎるこのホールは49列の座席がある。その最後列1つ手前の座席で聴いたチャイコフスキーのバイオリン協奏曲は、遠くから小さな音量で聞こえてきただけだった。

久しぶりの生演奏を聴いた満足感はあったものの、その音量のことはトラウマに(/o\) ラ・フォル・ジュルネに行くたびに、座席が何列目だったとか、ホールの音響がどうだったかと書いているのはそれが影響している。その後、Aホールのいろいろな席で公演を聴いた。その経験をもとにアドバイスすると、オーケストラの音量を楽しみたいのであれば15列目までがリミットである。

さてこの公演は5年前と同じくAホールでチャイコフスキーのバイオリン協奏曲。オーケストラと指揮者も、タタルスタン国立交響楽団とアレクサンドル・スラドコフスキーの同じ組み合わせである。もっとも5年前のウサを晴らすためにこの公演を選んだわけじゃない。単純にチャイコフスキーのバイオリン協奏曲が好きなだけ。オーケストラと指揮者が同じことはチケットを買う段階では気づかなかった。


受付を横から見たところ。
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今回は左側から入場。
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49列ある22列目付近。
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そこから見たホール後方と2階席部分。
5年前はほぼ後ろの壁際にいたわけだから、そりゃ聴こえないわ。
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今回の座席は4列目のセンターからわずかに左寄り。バイオリンソロは左側に立つから、ほぼベストポジション。5年前の私にこのことを報告してあげたい(^^ゞ
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ハープを最終調整中。
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コントラバスは6台。
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【公演番号116】
 シャブリエ:狂詩曲「スペイン」
 チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 op.35

 神尾真由子 (ヴァイオリン)
神尾真由子

 タタルスタン国立交響楽団
タタルスタン国立交響楽団

 アレクサンドル・スラドコフスキー(指揮)
アレクサンドル・スラドコフスキー


神尾真由子は10年ほど前に発売されたパガニーニのアルバムを持っている。自身がすぐれたバイオリン奏者だったパガニーニの作品はどれも難曲で知られる。そしてチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲もソロバイオリンに超絶技巧を要求する。彼女は難しい曲が好きなのかな。私は大好きである。演奏テクニックのことはよくわからないが、超絶技巧な曲というのは音数が多くて楽しいから。


最初の演奏はシャブリエの狂詩曲「スペイン」。作曲家もこの作品も全く初耳。リズミカルで元気のいい曲だった。言っちゃ悪いが前座にぴったり。ハープの音色に期待していたのに、全体の音に埋もれてあまり聞き取れず。オーケストラはラフマニノフの時と同様にノリのいい演奏で音もよく鳴っていた。

「スペイン」は6〜7分の短い曲だった。それが終わると金管楽器の人を中心に約1/3が退席。次のヴァイオリン協奏曲では必要がないからなのであるが、わずかな出番でちょっとお気の毒。そして神尾真由子が登場。私は10年前のジャケット写真でしか彼女を知らなかったので、ちょっとイメージが違って戸惑う(^^ゞ

演奏の良し悪しを評価するほどの教養と耳はないのだが、私にはパーフェクトな演奏に思えた。だから大変満足。もちろん音量的にも。身も蓋もない感想でゴメン。難解なパートでも細かなニュアンスが感じ取れたのが満足した理由のひとつでもあるが、後ろの席で聞いいている人にはそのニュアンスは伝わらず、ゴリゴリ弾いているだけに聴こえたかもしれない。音量だけじゃなくて音楽性においても座席位置は大切と新たに認識。


ーーー続く

wassho at 21:22|PermalinkComments(0)

2019年05月08日

ラ・フォル・ジュルネTOKYO2019 広瀬悦子

初日4つ目の公演は最初のエルメス弦楽四重奏団と同じB5ホール。
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座席はまたもや最も後ろの6列目。でもこのホールでピアノなら問題ない。
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壁の上部にあるのは音響効果を考えた反響板かな。材質も解らないから何ともいえないが。いずれにせよ板の付け根にはホコリが溜まっているに違いない(^^ゞ
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【公演番号1364】
 リスト:巡礼の年 第1年「スイス」

 広瀬悦子 (ピアノ)
広瀬悦子


この公演は広瀬悦子を聴きたくて選んだ。彼女のCDは何枚か持っている。デビューアルバムの頃からは随分と妖しさを増した(^^ゞ しばらくご無沙汰だったが最近はバラキレフやリャプノフといった、あまり聞き慣れない作曲家のアルバムを出しているので再び注目している。もうメジャーな曲のCDはほとんど持っているので、そういう企画じゃないとなかなか購買意欲が起こらない。


リストの「巡礼の年」は

   「第1年:スイス」
   「第2年:イタリア」
   「ヴェネツィアとナポリ(第2年補遺)」
   「第3年」

からなるピアノ曲4部作。巡礼というタイトルはついているが特に宗教と深く関わったものではなく、旅先で得たインスピレーションから作曲した小作品をまとめたものといわれている。実際、第1年のスイス旅行はリストがマリー・ダグーという伯爵夫人と恋仲になり、彼女が妊娠し、パリにいられなくなってスイスに姿をくらました逃避行だから巡礼とは程遠い。

またリストというと超絶技巧を連想する。しかし「巡礼の年」は叙情的でしっとりとした曲が多い。また4部作すべて合わせて26曲で構成されているが、どれも似通っているというか特徴があまりない。だから随分と昔からお気に入りリストに入っている作品なのだが、ある曲の一部を聞かされて「これは4部作のどれだ」と質問されたら多分わからないかも。


さて広瀬悦子先生は紺色のドレスでご登場。拍手に迎えられピアノの前でにこやかな笑顔でお辞儀。そして椅子に座ると、なんと一呼吸もおかずに弾き始めた。3秒後には陶酔とはいわないまでも曲に入り込んでウットリした表情。どんだけスイッチ入るの早いねん!

憑依するタイプ? ちょっとオンナとして怖いものを感じながらも(^^ゞ演奏は楽しめた。すごく丁寧に引いている感じ。さきほど「巡礼の年」は超絶技巧ではないと書いたが、それなりに複雑だったり激しかったりする部分もある。広瀬悦子はパワフルなピアニストの部類だと思うのだけれど、あまり強打しているようには聞こえず余裕をもって弾いているようにも思えた。

ところで椅子に座ってから引き出すまでは超早かった彼女だが、曲と曲の間のインターバルは微妙に長い。さあ一息ついただろうから弾き始めるかと思ったら、そこからハンカチで顔を拭いたりして引っ張る。何となく聞き手として間合いが取れない。私と相性悪いのかな。けっこうファンだったのに寂しい(^^ゞ

「第1年:スイス」は50分近くある大曲。でもあっという間に時間が過ぎた。ある意味とりとめのない作品。とりとめなく永遠にピアノの音に浸っていたかった気分。




広場に出たのは午後8時半ごろ。さて何を食べようかと迷って、選んだのはステーキ&ポテト。多分去年まではいなかったキッチンカー。
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盛り付けはフライドポテトの上に肉が載せてあるだけで、ただでさえインスタ映えしないのに(ブログだけれど)思いっきりブレた(>_<)
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少し甘めのソースでの味付け。ある程度焼いてある肉を注文があってから、もう一度鉄板でジュッとやるみたいで焼き加減が微妙。でも、まあおいしかった。しかし900円はちょっと高かったかな。


これも今年からだと思うが、いくつかのテーブルにランプが置かれていた。
アンティーク調に見えるのに電球なのは仕方ないか。
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ーーー続く

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2019年05月06日

ラ・フォル・ジュルネTOKYO2019 空き時間

初日の3つ目の公演を聴き終えて広場に出てきたのは午後5時半ごろ。
次の公演が始まるまで2時間弱。
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広場にある無料コンサートのステージ。
そういえば今年はまだここでの演奏を見かけていない。
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プログラムによれば次の演奏は1時間後。席に座っている人はこのまま1時間も待つつもりでいるのか? それとも単に休憩しているだけ?
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東京国際フォーラムのシンボルであるガラス棟。右側上部に31の会議室があり、ラ・フォル・ジュルネでも1部屋利用している。
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当日券のチケット売り場。
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地下にあるEホール。地下に降りるにはチケットかチケットの半券が必要。ホールといっても5000平方mの巨大なイベント空間で、ラ・フォル・ジュルネでは半分を無料コンサートのステージ、半分をグッズ販売スペースに当てている。
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ちょうどコンサートが始まるところだった。
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人でいっぱい。
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この日は広角ズームのレンズだったので写真をトリミング。様々なパーカッションだけのグループみたい。沖縄っぽいリズムの演奏をしていた。
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しばらく聴いてみたが、つまらなかったので早々に退散。



グッズ売り場に移動。
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これは初めて見るかな。材質が何かは触り忘れた。
それにしても2万円で売れるのかな。
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他はだいたい例年通りの品揃え。
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作曲家人形は年々売り場が小さくなっている(/o\)
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こちらは新星堂のブース。
今まではCDだけだったような気がするのだが(記憶は曖昧)、
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本を除けば隣のブースと同じようなものを売っていた。
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CD売り場は壁際だけ。やはりCD不況は深刻。店頭と同じ価格で売っているようだけれど、2割ほど下げれば、これだけの集客があるのだから飛ぶように売れると思うよ。私も大人買いする(^^ゞ
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地上に出るとフルートの無料コンサートをやっていた。写真では柱に隠れてしまったが、一番右は低音用のアルトフルート。本物を見たのは初めてで、その大きさにびっくり。しかしそれほど低い音が出るわけではなさそう。
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時刻は午後7時前。夜の帳(とばり)が下りてきたといったところ。
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ーーー続く

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2019年05月05日

ラ・フォル・ジュルネTOKYO2019 ネルソン・ゲルナー タタルスタン国立交響楽団 アレクサンドル・スラドコフスキー

三菱一号館美術館から戻って、初日3つ目の公演はAホール。過去にも散々書いてきたが5000人収容の巨大ホールで、15列目までの座席を確保しないと音量的にはまったく楽しめないホールである。
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受付も広くて、
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1階席へ行くのに2回エスカレーターに乗る。
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この位置で49列ある座席の22列目。
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確保したのは10列目の右寄りの座席。この角度だとピアニストの手は見えないが、それはステージ左右にあるモニターで我慢。
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【公演番号114】
 ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番 ニ短調 op.30

 ネルソン・ゲルナー(ピアノ)
ネルソン・ゲルナー

 タタルスタン国立交響楽団
タタルスタン国立交響楽団

 アレクサンドル・スラドコフスキー(指揮)
アレクサンドル・スラドコフスキー


アレクサンドル・スラドコフスキーとタタルスタン国立交響楽団の組み合わせは、初めてラ・フォル・ジュルネに来た時に聴いている。その時はこの巨大ホールの最後列の1つ手前という席だったので「誰かボリューム上げてくれ!」と心の中で叫んだ(^^ゞ

ネルソン・ゲルナーは1969年生まれのアルゼンチン人。まったく知らないピアニスト。しかしあまたあるピアノ協奏曲の中でも、演奏の難しさでは1位2位を争うといわれているラフマニノフのピアノ協奏曲第3番を弾くのだから相当の腕前のはず。


ラフマニノフのピアノ協奏曲といえば第2番の人気がダントツに高い。オタク的マニアがいるということではハルサイに並ぶかも。しかし第3番も同じくらいの名曲だと思う。メロディメーカーであるラフマニノフらしさは存分に散りばめられているし、超絶技巧を聞く楽しみもある。音数の豊かさでは優っているかもしれない。ただし第2番のように情念を揺すぶられるような凄みはない。あれは中毒性のある危険な音楽。


演奏は素晴らしかった。オーケストラはよく鳴っていたし、ネルソン・ゲルナーのピアノは万華鏡のように幻想的な美しさがあった。しかも力強い。ときどきモニターで指使いを見ると、聞こえている音楽から想像するものより3倍くらいの指の運動量。ピアニストはハードワークである。

アレクサンドル・スラドコフスキーは特定の楽団員の方を指して「もっと来いもっと来い」とか「押さえろ」などのジェスチャーを時々やるタイプの指揮者。あれって事前の打ち合わせの確認のためなのか、あるいはその場で不足を感じて指示しているのかどちらなんだろう。

演奏が終わっての拍手は過去にAホールで聞いたなかでも大きかったと思う。一言でいうならノリのいい演奏だった。写真はホールを出るときに撮ったもの。2階まで満席。そりゃ5000人を前にしたら演奏家はやる気出るよね。
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ーーー続く

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2019年05月04日

ラ・フォル・ジュルネTOKYO2019 アレクサンドル・クニャーゼフ ニキータ・ボリソグレブスキー ボリス・ベレゾフスキー


メガネを買うには検眼してレンズを加工してというプロセスがある。つまり時間がかかる。それでもなんとか2つ目の公演開始時刻までに間に合ってよかった。


会場はB7ホール。B5と同じく多目的イベントスペースである。収容人数はB5の約250名に対してB7は約800名と広い。しかし音楽的には天井が低いのが難点。座席は17列中の6列目センター位置を確保。
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【公演番号123】
 チャイコフスキー:ピアノ三重奏曲 イ短調 op.50 「偉大な芸術家の思い出に」

 アレクサンドル・クニャーゼフ(チェロ)
アレクサンドル・クニャーゼフ

 ニキータ・ボリソグレブスキー(バイオリン)
ニキータ・ボリソグレブスキー

 ボリス・ベレゾフスキー(ピアノ)
ボリス・ベレゾフスキー

実はこのプログラム、チケットを予約する時点では誰が演奏するか明かされておらず、いわゆるサプライズ公演の企画趣向。それも面白かろうという理由と、ピアノ三重奏を生で聴いたことがなかったので選んだ。ラ・フォル・ジュルネではホールの入り口で曲と演奏家についての簡単な解説が書かれたパンフレットが配られる。それが見当たらなかったので係員に尋ねると、この公演では演奏が終わってから配るとのこと。そこまでシークレットにしなくてもと思ったが。

演奏家がステージに入ってきた。アレクサンドル・クニャーゼフは昨年の公演を聴いたのですぐにわかった。彼は世界のトップのチェリストの1人である。他の二人は初めて見る顔。

ニキータ・ボリソグレブスキーは30歳代半ばくらいのロシア人。準若手といったポジションかな。ボリス・ベレゾフスキーもロシア人でこちらは50歳。タワーレコードで検索するとCDは167件もヒットした。まったく知らないピアニストだったが、バイオリンの諏訪内晶子やワディム・レーピンと共演したCDも出していて、それは持っていることが判明。諏訪内晶子はよく聴いていた時期があったので実はお馴染みさんだったことになる。ちなみにボリス・ベレゾフスキーの胴回りは上の写真からイメージする2倍は太い。背も高くて巨漢である。

では、その写真をドン! これでもまだ3割スリムに写っているかな。自分より腹が出ている人を見るとなぜか安心する(^^ゞ なお写真はKAJIMOTOのホームページから。
ボリス・ベレゾフスキー2

ところでチェロのアレクサンドル・クニャーゼフ。今年のラ・フォル・ジュルネの出演者リストには載っていない。どうやら別のコンサートで来日していたらしい。かたくなにシークレットにしていたのは事務所を通していないショクナイだったりして(^^ゞ


「偉大な芸術家の思い出に」というタイトルが付いているこの作品は、チャイコフスキーの友人であったピアニストが亡くなった際に追悼曲として作られたもの。とはいっても泣きの旋律だけじゃなくてリズミカルなところもあったりしてバラエティに富んでいる。特徴的なのは第2楽章が変奏曲となっていること。つまり主題が少しずつアレンジを変えて繰り返される。その数なんと12回。そして第2楽章の最後は第1楽章の変奏。あまり曲の構成なんかを意識して音楽を聴くことはないが、これはサルでも私でも理解できるわかりやすさ。ただ12回の繰り返しはちょっと中ダレして飽きてくるかな。

エルメス弦楽四重奏団の演奏では音の厚みが印象的だったけれど、この演奏では特にチェロで倍音の響きを感じた。倍音が豊かとかよく評論で使われるるフレーズだが、何のことか今ひとつ理解できていなかった。それがわかったような気がしたが、あれが倍音だったと自信があるわけじゃない。

アレクサンドル・クニャーゼフは盤石な印象。演奏の良し悪しがわかるほどの耳と教養はないのだが、ニキータ・ボリソグレブスキーの演奏にも不満はまったくなかった。それはボリス・ベレゾフスキーも同じ。ただし彼の演奏はとてもエネルギッシュだったが、ピアノの響き方に少し違和感。少しビブラートがかかっているというかチェンバロが混ざっているというか。それがネガティブかというとそうでもないのだが。


会場の外に出たのは午後2時半ごろ。例年と較べて少し人出が少ないような気がする。10連休で遠くに行く人が多かったのだろうか。
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メガネのレンズ加工を待つ間に有楽町の駅前でランチは食べた。でも、とりあえずビール。そしてビールだけじゃ寂しいのでフランクフルト。ボリス・ベレゾフスキーと較べれば、私なんてスリムなほうなんだから気にしない(^^ゞ
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ここはいつも夜にタイルが光っているのを撮る場所。こういう構図だとさすがに換算15mmの広角レンズは迫力がある。
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上のタイルがあるのは丸の内側の出入り口。そこから出て向かったのは三菱一号館美術館。徒歩数分の至近距離。
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美術館の入り口は中庭にある。入ってみると人だかりが。ラ・フォル・ジュルネは東京国際フォーラムのメイン会場以外に、丸の内や銀座など周辺17ヶ所で無料のミニコンサートも開いている。
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バイオリンとクラリネットの電子楽器。この写真を撮った直後に演奏が終わってしまったので、ほとんど聴くことができなくて残念。
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相変わらずキレイな中庭。
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展覧会はラファエル前派に関するもの。
ラ・フォル・ジュルネとラファエル前派。ちょっと似てるか?
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展覧会についてはまた後日。そういえば3月の終わりに上野でサクラ花見と同時に訪れた都立美術館の「奇想の系譜」展のことをまだブログにしていない(>_<)


ーーー続く

wassho at 23:50|PermalinkComments(0)

2019年05月03日

ラ・フォル・ジュルネTOKYO2019 エルメス弦楽四重奏団

ロゴ

もうすっかり私にとってゴールデンウィークの定番になった、クラシックの音楽フェスであるラ・フォル・ジュルネ。通いだして今年で6年目。

ラ・フォル・ジュルの概要について毎回説明してきたけれど、もう新たに書くこともないので今年は省略。知りたい人は公式ホームページの「ラ・フォル・ジュルについて」を読むか、あるいはこのブログの「ラ・フォル・ジュルのタグ」をクリックして過去のエントリーの中から探してちょうだい。

今年は5月3日に5公演、5月5日に1公演のチケットを手配した。本当は1日にまとめたいのだが、そう都合よく聴きたい公演がタイムテーブルに並んではくれない。また本日の2公演目と3公演目には2時間半ほど空き時間があるので、近くの三菱一号館美術館で展覧会を見てきた。このラ・フォル・ジュルネ+αな過ごし方もいつものパターン。



有楽町駅の高架の向こうに見えるガラスの船みたいなのが会場の東京国際フォーラム。
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東京国際フォーラムとビックカメラ有楽町店は向かい合って建っている。
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時刻は午前10時ちょっと前。これが最初の公演時間帯で、6つの公演のうち5つはもう始まっているから広場にいる人の数は少ない。
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今年のテーマは「CARNETS DE VOYAGE」、日本語では「ボヤージュ 旅から生まれた音楽(ものがたり)」と設定されている。ポスターだと日本語がちょっと小さい。ちなみにラ・フォル・ジュルネはフランス発祥だから、ところどこフランス語が出てくる。イベント名であるラ・フォル・ジュルネ:La folle journeeは熱狂の日と訳されていて、英語に直訳するとThe crazy day。
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屋台村もだいたいいつもと同じ顔ぶれ。
去年に初出店だった「俺のフレンチ」の屋台は今年いなかった。
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広場の真ん中あたりから有楽町側の入り口を見たところ。
こんな写真も毎年ワンパターンだけれど。
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最初に聴く公演はB5ホール。
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B5ホールは音楽専用ではなく多目的イベントスペース。長方形のホールの壁際センターにステージがあって、それを取り囲むような椅子の配置。最後列の座席しか取れなかったが、それでも6列目だし、このホールは狭いから音量的には大丈夫。
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【公演番号131】
 バルトーク:弦楽四重奏曲第4番
 ドヴォルザーク:弦楽四重奏曲第12番 ヘ長調 op.96 「アメリカ」

 エルメス弦楽四重奏団
Hermes

エルメス弦楽四重奏団はわりと最近にCDを買ったので選んでみた。10年ほど前にフランスのリヨン国立音楽院の学生で結成されたユニットらしい。メンバーは写真左から

  ヴィオラ:ユン=シン・チャン(Yung-Hsin Chang)
  第1ヴァイオリン:オメール・ブシェーズ(Omer Bouchez)
  第2ヴァイオリン:エリーゼ・リュウ(Elise Liu)
  チェロ:アンソニー・コンドウ(Anthony Kondo)

アンソニー・コンドウは顔つきと名前からして日本人とフランス人のハーフなのかな。エルメス弦楽四重奏団についてはネットで調べても、先ほど書いた結成のいきさつと、その後に様々なコンクールで賞を取ったことくらいしか情報が出てこない。ちなみにCDは8枚ほど出ている。

それにしてもエルメス!である。しかもフランスの楽団。スペルもあのファッションブランドのエルメスと同じHermes。エルメスはギリシャ神話の神の名前ではあるが、ブランドのエルメスと商標関係で揉めなかったのかなといらぬお節介。もっとも10年以上活動を続けているということはOKなんだろう。いずれにしてもインパクト抜群のネーミングである。


さて席についてメガネを持ってくるのを忘れたことに気がついた。もちろん音楽は耳で聴くものであるが、コンサートは目でも楽しむものである。また過去にも書いてきたようにクラシックの場合、目で見ると音楽がよくわかるからメガネは必須。ナンテコッタイ(/o\)


最初はバルトーク。ちょっと前衛的で苦手な部類の作曲家。この弦楽四重奏曲第4番はおそらく初めて聴く。やはり案の定の展開で始まった。でもCDじゃなくて目の前で演奏されていると素直についていけるから不思議。メガネがないからよく見えないのだけれど。

音はとても良かった。弦から出た音が弦楽器の胴体で共鳴して音が大きくなっていることが感じ取れる。オーディオで聴く弦楽四重奏と違って音にとても厚みがある。この実体感のようなものを味わいたくてコンサートに来ているわけだから大満足。

びっくりしたのが第4楽章。4つの楽器全てで、最初から最後までピチカート奏法なのである。弦楽器を弓で擦るのじゃなくて指で弾くのがピチカート。よくある手法だが、あくまでもアクセント的に用いられるのが普通。ボン、ボン、ボンと静かに背景音的に鳴る感じ。しかしバルトークの第4楽章はピチカートだけでアンサンブルが成り立っている。また普通のピチカートの場合、それはごくわずかな小節だけだから、弓は手に持ったまま指で弦を弾く。バルトークの第4楽章で弓は使わないので、バイオリンもビオラもチェロも奏者は右手には何も持っていない。こんな光景は初めて見た!

そしてそのピチカートの音が大きい。そこで疑問。指じゃなくてピックのようなようなものを使っているんじゃないか? ーーーどうしてこんな大事な時にメガネがない(>_<) 残念ながら肉眼では手元の細かいところまではよく見えず。ステージ手前までダッシュしたい気持ちだった。でもまあ何となくではあるが指しか使っていないように思えた。演奏はけっこう指先にハードだと思う。

続く第5楽章はところどころロックのようにリズムカル。どこかにサイドギターが隠れているんじゃないかと冗談で思うくらい。さて全体を通して不協和音の塊だし、無骨な音楽だし、もしこの曲を100回聴いてもワンフレーズも覚えられそうにない。しかしたまに聴く分には面白いもの。ライブならなおさら。それとキレイな曲をキレイに弾くことより、こんなヘンテコリンな曲を上手にまとめることの方が難しいと思う。だから演奏家にとっては挑戦しがいがあって好まれるのかなと思ったりする。


2曲目はドヴォルザーク。バルトークとは正反対に流れるような美しい旋律が冒頭から続く。第2楽章は情感たっぷりで第3〜第4楽章は軽やか。露天風呂でシャンパンでも飲みながら聴きたい感じ。エルメス弦楽四重奏団の演奏は素晴らしかったし、何一つ文句はないのだけれど、バルトークの直後に聴くと何か物足りないのが不思議。別にバルトーク好きになったわけでは決してないのに。

というわけで
バルトークの毒に当てられて始まったのが今年のラ・フォル・ジュルネである。



公演が終わり窓をのぞくと、広場も賑やかになっていた。
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しかし屋台村には目もくれず私が向かった先は、
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徒歩で数分先にある有楽町の駅前。
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なぜならメガネ買うため。
やはり演奏者の表情までわからないとコンサートの楽しみが半減する。それでも今年は耳に集中しようかと考えたがハタと気がついた。美術館にも行くことを(^^ゞ もっとも美術館をキャンセルして、2公演目と3公演目の間の2時間半ほど空き時間に自宅に戻ってメガネを持ってくることは可能。しかし、それも面倒である。え〜い、めでたく令和が始まった記念だと理屈をつけてーーー無駄な出費(/o\)


ところで本日のデジカメは35mm換算15-36mmの広角ズーム装着で、これは15mmでの撮影。こういう街中の風景だと錯覚的に広く写る。この駅前はこんなに広々していないんだけどね。
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ーーー続く

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2018年05月15日

ラ・フォル・ジュルネTOKYO 2018 その8 アレクサンドル・クニャーゼフ ウラル・フィルハーモニー管弦楽団 ドミトリー・リス

最後に聴くプログラムはAホール。
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ここは5000名収容の巨大ホール。大きな音の出るオーケストラといえどもクラシックには広すぎて不向き。私のラ・フォル・ジュルネのデビューは49列あるシートの46列目だった。遠くから音楽が聞こえてきただけで、今でも座席選びではそれがトラウマになっている。

これは22列目あたりから撮ったもの。
これで半分の座席数だから、いかに広いかわかってもらえるはず。
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同じ位置からステージを眺めたところ。
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座席はセンターからやや左寄りの9列目。
経験上、Aホールでオーケストラを楽しめるのは15列目まで。(音量重視なら)
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ウラル・フィルハーモニー管弦楽団は、これの前に聴いたシンフォニア・ヴァルソヴィアと較べて人数が多い。ステージに置かれているコントラバスはヴァルソヴィアが4台に対してウラルは7台。演奏中にチェロを数えてみると5台に対して8台だった。


右側が指揮台。鉄棒みたいなのは指揮台後方についていて、指揮者がエキサイトしすぎて台から落ちないためのもの。左にあるのがチェリストのための台。バイオリン協奏曲だとバイオリニストにこんな台は用意されない。チェロは坐って弾くからなのかな。それにしても安っぽい造りに見えて仕方ない。
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【公演番号:M116】

  ドヴォルザーク:チェロ協奏曲 ロ短調 op.104


  アレクサンドル・クニャーゼフ (チェロ)
アレクサンドル・クニャーゼフ (チェロ)

  ウラル・フィルハーモニー管弦楽団 (オーケストラ)
ウラル・フィルハーモニー管弦楽団 (オーケストラ)

  ドミトリー・リス (指揮者)
ドミトリー・リス (指揮者)

         ※アーティストの写真は公式ページから借用


アレクサンドル・クニャーゼフはトップクラスのチェリストの1人。1961年生まれのロシア人。オルガン奏者としてもCDを出しているというめずらしい人。写真ではわからないが、けっこう腹が出てた。

ところで彼はウエーブがかかったボサボサ髪が特徴的なヘアスタイル。なぜか有名チェリストに同じヘアスタイルが何人かいる。マイスキーは少し年上だが、クニャーゼフとイッサーリスはモロにキャラが被っている気がするけど。チェリストがなぜそのヘアスタイルを好むのか、誰か尋ねてきて欲しい(^^ゞ

   ミッシャ・マイスキー
Mischa Maisky

   スティーヴン・イッサーリス
Steven Isserlis


ウラル・フィルハーモニー管弦楽団はロシアのオーケストラで、その常任指揮者であるドミトリー・リスもロシア人。2016年にこの組み合わせで聴いたチャイコフスキーのピアノ協奏曲も、ピアニストはロシア人のルーカス・ゲニューシャスだった。ここはロシア人で固めるのが好きなのかな。



ドヴォルザークのチェロ協奏曲は最初の3分半ほどオーケストラだけの演奏が続く。そのあいだクニャーゼフは先ほど写真を載せた椅子に座ったまま。大勢の人に対面して、じっと坐っているだけなんて居心地が悪いだろうに。目があったら手でも振ってやろうかと思ったが、その機会は訪れず(^^ゞ

ようやく彼の演奏も始まる。しかし、そのとたんチェロを弾く弓の毛が何本か切れた。演奏に支障はないしクニャーゼフも気にしていない様子。しかし生演奏鑑賞歴の浅い身としては弓を動かすたびに宙を舞う弓毛をどうしても目でおってしまう。もちろん演奏のあいまに、その弓毛は引き抜かれた。


日本でドヴォルザークは♪遠き山に日は落ちて〜にメロディーが引用されているせいか、交響曲9番の「新世界」が圧倒的に有名。でも彼のチェロ協奏曲は協奏曲というジャンルの最高傑作とされている。ブラームスが「人間にこんな曲が書けるはずがない」と言ったとか。私はそんなに突出して素晴らしいとは思わないけれど、もちろん名曲には違いない。ちなみにこの曲を「ドボコン」というと通っぽい。ドヴォルザークのコンチェルト(協奏曲)の省略形。彼の9つある交響曲ならドボ1とかドボ2などともいう。ベートーヴェンの場合はベト1、ベト2ーーー。面白いのはショスタコーヴィチでなんとタコ1、タコ2と略される。

クニャーゼフのチェロは力強く男性的な弾きっぷり。情感もたっぷりめに感じた。オーケストラとのまとまりもよく、ラ・フォル・ジュルネの最後にいいものを聴けたなあと大満足。アンコールはバッハの無伴奏チェロソナタ1番。名前は知らなくても出だしのメロディは誰でも聴いたことがある曲。ただドヴォルザークとの組み合わせを意外に感じる。しかし書き忘れていたが、バルトークの協奏曲を弾いたケフェレックも、アンコールはヘンデルのメヌエットだった。考えてみれば、違うタイプの曲のほうがあれこれ聴けたお得感はある。実際バッハのソナタでは協奏曲の時とは違って、ゆったりとしたチェロの響きを堪能できた。



例年通りいろいろと楽しめたラ・フォル・ジュルネ。1日に5公演を聴いたと人に言うとビックリされることが多いが、聴き過ぎ・聴き飽き感はまったくない。それと生演奏を聴くと身体の音楽細胞が刺激されるのか(もちろんそんな細胞はない)、オーディオや携帯プレーヤーで聴く音楽もしばらくはより活き活きと感じられてうれしい。しばらくはバイクから離れるから、今年こそラ・フォル・ジュルネ以外の演奏会に出かけてみようと思っている。


おしまい

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2018年05月14日

ラ・フォル・ジュルネTOKYO 2018 その7 ガラス棟Eホール

最後の公演まで約1時間の空き時間は、ガラス棟の地下にあるEホールをブラブラして過ごした。東京国際フォーラムはAからDの4つのホール棟と、会議室が入ったガラス棟に分かれている。会議室は26平米から206平米まで大小31室。ラ・フォル・ジュルネでは、その会議室の内2つも会場として使っている。

ガラス棟と呼ばれるのは建物上部がガラスで覆われているから。写っているのは地下1階にあたるロビーギャラリーと呼ばれるフロア。この吹き抜けは60メートルの高さがある。
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ロビーギャラリーに設けられたチケット売り場。今年はいつもより明日以降のチケットを買い求める人で賑わっていた。それはおそらく売れ残っていた座席が多かったから。
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昨年より転載しているラ・フォル・ジュルネの営業成績。
まず来場者総数の横ばい傾向は変わらず。

  2014年: 61万2000人
  2015年: 42万7000人
  2016年: 42万9000人
  2017年: 42万2000人
  2018年: 43万2000人

   ※2014年は女王レベルのピアニストであるアルゲリッチが出演した年。

来場者総数には無料コンサートなど目分量での人数カウントも含まれている。そこで肝心の有料チケットの販売数では

  2014年: 15万1001枚  販売率90.2% (販売率=座席数に対して売れた枚数)
  2015年: 12万2366枚  販売率80.8%
  2016年: 11万4222枚  販売率75.0%
  2017年: 11万5778枚  販売率81.8%
  2018年: 11万9177枚  販売率65.5%

販売数は昨年より増えているのに販売率が激減しているのは、今年から池袋の東京芸術劇場での開催を始めたからだろう。有料公演の数を見ると

  2017年:東京国際フォーラム 122公演
  2018年:東京国際フォーラム 125公演
  2018年:東京芸術劇場     53公演  2018年合計178公演

となっている。この数字だけから判断すれば拠点と公演数を増やしたのに、それを集客に結びつけられなかったということになる。おそらくリピーター客の比率が高くて、新規客が増えていないんじゃないかな。ラ・フォル・ジュルネのマーケティングに関しては、いろいろ思うところもあるけれど、これは趣味で参加しているイベントだからあまり触れないでおこう。



さて、
ガラス棟の地下2階にあるのがEホール。ホールといっても基本は何もないガランドウの空間で、イベント開催側が会場を設営するスタイル。面積は5000平米と巨大。

ラ・フォル・ジュルネでは各ホールにニックネームをつけており、今年のEホールのネーミングはハイネ。あまり意味のある施策とはいえず、この5年間で人々がそのニックネームを口にしているところに遭遇したことがない(^^ゞ なおこのハイネ(初めて使った!)に入るにはチケットかチケットの半券を提示する必要がある。
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Eホールは2分割されて、入って右側のエリアに無料コンサートのステージが作られる。チケットを購入した人しかハイネ(また使った!)に入れないから厳密には無料ではないが。

演奏していたのはジャズのトリオ。ラ・フォル・ジュルネはクラシックの音楽祭とはいうものの、それ以外のジャンルにも割とオープン。
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この無料ステージではけっこう本格的なコンサートも開かれる。毎年「エッ、そんなのやってたの!」と悔しい思いをしてきたので、今年は事前にメニューを確認した。でもホールのプログラムと時間帯が被っていたり、開場を離れている時の演奏だったりして、またしても無料特典を活かすことができず。


ステージエリアの周りには主に楽器メーカーがPRブースを構えている。その一画にこんなものを発見。これは「ねぶた祭り」の人形。ニュースでよく見る巨大なものではなくかなり小型ではあるが。
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昨年のラ・フォル・ジュルネでは阿波おどりのイベントがあって、その楽しさにすっかり魅了された。夏には高円寺で行われる阿波おどりにも出かけてきたくらい。もちろん「ねぶた祭り」も見たことがないのだけれど、残念ながらイベントは最終日のみ。実に残念。


Eホール(もうハイネはいいだろう)の左半分は物販スペース。
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少し心を動かされたマグカップ。
しかしもう充分すぎるくらいマグカップを持っているのでーーー。
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用途はわからなかったが作曲家グッズ。
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毎度おなじみの作曲家人形。もう目新しさが無くなってきたのか手に取る人は少ない。
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これはとても小型の手回し式オルゴール。
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お値段も手頃。またしても心を動かされたが音色がイマイチだったので却下。
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こちらはゼンマイ式のオルゴール。今年はオルゴールが流行り?
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店内風景。ずっと欲しいと思っている作曲家Tシャツは今年もXLサイズなし(/o\)
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書籍コーナー。
音楽とまったく関係ない本を売っていた時期もあったが、今年は音楽関連のみ。
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CD売り場は最新作や売れ筋CDと、ラ・フォル・ジュルネに出演しているアーティストのコーナーに分かれている。こちらは出演アーティストのCD。
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広瀬悦子(ピアニスト)だけ売り切れ。やはり人気があるみたい。彼女は昨年からラ・フォル・ジュルネに出演している。ぜひ聴きたいと思っているのだが、2年連続してチケットが取れなかった。
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お気に入りのルイス・フェルナンド・ペレスのCDも売っていた。しかしスペイン語版だったので何が収録されているのかよくわからなかった。一昨年に彼のコンサートを聴いて以来、スペインのクラシックに興味を持ち、何枚かのCDも購入した。それと内容が被ったらイヤなので買う決断ができず。


結局、何も買わなかった(^^ゞ


ーーー続く

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2018年05月13日

ラ・フォル・ジュルネTOKYO 2018 その6 アンヌ・ケフェレック シンフォニア・ヴァルソヴィア 廖國敏(リオ・クォクマン)

この日、4つ目の公演はCホールで。
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各ホールではアーティストのサイン会スケジュールが掲示されている。サインは色紙に書いてもらうの、それともCDに?
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Cホールの定員は1502席。1階は24列あり写真は17列目あたり。
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座席はセンターからやや右寄りの最前列! 音量、音の左右(つまり楽器)バランス、オーケストラ全体がよく見えるということなどを考えると理想はセンターの5列目あたり。そういう席はすぐ売り切れるので、残りの席から音量優先で席を取ることにしている。
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コントラバスやチューバなどの大型楽器は、演奏が始まる前からステージに置かれている。それからティンパニーなどの打楽器も。たまに演奏前にステージ裏で最後の調整をしているのが聞こえてくることがある。こういう楽器担当の人は早めに準備を終えないといけないね。
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2〜3階席。
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この日の午前から昼にかけて聴いた3つのプログラムは、順番にピアノ、ピアノ、ピアノ&チェロ。そして夜はピアノ協奏曲とチェロ協奏曲というのが今回のラインナップ。ちょっとピアノに偏りすぎ。弦楽アンサンブルや声楽なども聴きたかったが、チケットが取れない、内容がピンとこない、他のプログラムと時間帯が被っている、空き時間が中途半端に分断されるなどの理由で断念。ラ・フォル・ジュルネでどのプログラムを選ぶかというのは意外と難しい。まあどれにしようかと悩むのも楽しみのうちではあるが。


【公演番号:M146】

  パデレフスキ:序曲
  バルトーク:ピアノ協奏曲第3番


  アンヌ・ケフェレック (ピアノ)
アンヌ・ケフェレック

  シンフォニア・ヴァルソヴィア (オーケストラ)
シンフォニア・ヴァルソヴィア

  廖國敏(リオ・クォクマン) (指揮者)
廖國敏(リオ・クォクマン)

         ※アーティストの写真は公式ページから借用


どちらかというとこのプログラムは消去法で選んだ。このプログラムまでの空き時間は約5時間。美術館に行ったり、東京駅や皇居外苑を見て回ったりしたが、もしこのプログラムを外すと、さすがに時間を持て余す。

躊躇したのはメインの演奏がバルトークだから。堤剛とクレール・デゼールのチェロ・ソナタのところでは“ちょっと苦手な部類。小難しい曲が多く、少し「前衛はいっている」から”と書いた。以前に音楽の「だんだん難しくなる法則」をブログにしたこともある。バルトークはマーラーより20年ほど後に生まれた1881〜1945年の作曲家。音楽が難解になっていった時代の人。聴き込めば色々と発見があるのかもしれないが、そういう趣味はないというか私の感性がその域に達していない。それにしても「だんだん難しくなる法則」を書いたのが2004年。そこから音楽的素養がレベルアップしていないなあ(^^ゞ


シンフォニア・ヴァルソヴィアは過去に3回ほど演奏を聴いているポーランドのオーケストラ。何名かは顔を覚えていてお久しぶりな感じ。ちなみにヴァルソヴィアは首都ワルシャワのポルトガル語読み。ポーランド語ではワルシャワである。なぜにポルトガル語?

廖國敏(リオ・クォクマン)はマカオ出身の指揮者とラ・フォル・ジュルネのホームエージにあり、世界各国のオーケストラで指揮をしている。ネットでは彼に関して、それ以外の情報をほとんど見つけられなかった。自信に溢れた指揮っぷりが印象的。



最初はパデレフスキの序曲。パデレフスキは初めて聞く名前。バルトークと同時代の人。調べてみるとポーランド人で、なんと同国の首相も務めている! ちなみに序曲はコンサートの最初に景気づけに演奏されるような位置づけの曲。

どんな曲だったかはほとんど覚えていない。しかし超絶・最高の時間を過ごした。それは最前列だから音量もさることながら、各楽器の音がとても明瞭に聴き取れたから。私は曲はもちろんだが、同時に楽器の音色を楽しんでいるようなところがある。この日に聴けたのは、かつて経験したことにない素晴らしい音色の集合体。こんな音が聴けるオーディオがあるなら3億円くらい払ってもいい。持ってないけれど(^^ゞ

それが最前列という座席のせいなのか、シンフォニア・ヴァルソヴィアの腕前がよかったのかどうかはわからない。でも本日の教訓その1

     Cホールでオーケストラは最前列で聴け


2曲目がバルトークのピアノ協奏曲。ピアニストは午前中にヘンデルやスカルラッティを聴いたアンヌ・ケフェレック。その時のバロックとはずいぶんと違う曲だから、どんな演奏を聴かせてくれるのか楽しみなんて一人前のことを言ってみる。

ピアノは最初ステージの隅に置かれていて、序曲の演奏が終わるとまずバイオリンの最前列にいたメンバーが退席した。それは係員がピアノを移動させるのに邪魔になるから。だからバイオリンの前方にピアノが置かれると思っていた。ピアノ協奏曲ではそのケースが多い。つまり指揮者の左隣。しかし運ばれてきたのは指揮者の真後ろ。そっ、そこはアカン位置や(/o\) 私の席から近すぎる。それを考えてピアニストの姿の見える最前列左側の席が空いていても、わざと右側を選んだのに。シンフォニア・ヴァルソヴィアはそれほど大編成のオーケストラではないので、Cホールのステージは少し狭いのかな。

これは公演後に撮ったもの。ステージの端ギリギリにセッティングされている。最前列からだとボディの底が見える。
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案の定、ピアノの音は直撃で聞こえてきた。チョット辛い。ピアノの音に気を取られて、あの最高の音で鳴っていたオーケストラまで別のもののように聞こえた。本日の教訓その2

     Cホールでピアノ協奏曲なら最前列はやめとけ

それでも、しばらくすると耳が慣れてくるから、それなりに楽しめた。実はバルトークのCDは割とたくさん持っていて(でも先ほど述べた理由であまり聴いていない)、演奏されるピアノ協奏曲3番もラ・フォル・ジュルネに来る前に2〜3回聴いておいた。やっぱり苦手意識は変わらず。しかしコンサートで聴くと案外スッと腑に落ちる。今までに何回か書いたかもしれないが、それは演奏を耳で聴くだけでなく、目でも見ているところが大きい。なぜか視覚的情報があると音楽をより理解できるようなる、あるいはできた気になるのだ。

ところで上の写真をもう一度見て欲しい。私の席からはピアノの椅子が見える。ピアニストが座ると膝の位置である。演奏中にケフェレックの顔は見えなかったが、ピアノのパートがない時に彼女が膝の上に置く手が見えた。ピアノソナタの演奏を聴いた時のエントリーで「小柄でとても上品なおばあさん」と彼女の印象を書いた。でもその手というか指を見てビックリ。ピアニストだから指は長い。しかしそれ以上に、とても太くてゴツゴツしている。首を絞められたらすぐ窒息してしまいそう(^^ゞ もちろん彼女のピアノ演奏は一級品。そこで本日の教訓その3

      指は見かけによらない


ーーー続く

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2018年05月12日

皇居外苑(皇居前広場)へ

巽櫓のところからは宮内庁が見える。左にあるのが坂下門。
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常に門は閉じられていて(もっとも平日に見たことはない)警官がいる。宮内庁を訪れる時は、あるいは宮内庁の職員はここを通るのかと前からちょっと興味があった。でも近くまで行ってお巡りさんに尋ねるのもーーー。
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そう思いながら坂下門から少し離れた時、自転車に乗った男性がやってきて、門の手前のバリケードを警官に開いてもらい入っていった。休日出勤の宮内庁職員だろうか? やっぱりあそこから入るんだろうな。残念ながら坂下門の正面からは離れた位置にいたので、門が開く様子は見られなかったが。
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広大な皇居前広場。この砂利広場だけでもたいした広さだが、周りの松林の芝生広場の面積はこれの10倍くらいある。これだけの開放感を味わえる場所は郊外でもめったにない。もしストレスが溜まったらここに来るのがお勧め。でも場所が場所だけに「バカヤローッ」と大声で叫ぶのはやめたほうがいいかもしれない(^^ゞ
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南に進んで見えてくるのが二重橋(奥の黒い橋)。正式名称は正門鉄橋。
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そして2年前まで、これが二重橋だと信じて疑っていなかった正門石橋。愛称がめがね橋。
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正門鉄橋は以前に上下2階建てだったので二重橋と呼ばれるようになった。しかし今はそういう構造ではないので、鉄橋と石橋が並んでいることを二重橋と総称するという使い方もあると環境省は述べている。



そろそろ丸の内へ戻ることに。夕日に照らされ黄金色に輝くビル。
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と思ったら、こんな脇道があったので道草。
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少し進むと見えてきた銅像は楠木正成。名前はよく知っているが、歴史的ポジションがイマイチよくわからない人物。
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彫刻を制作したのは高村光雲。さすがの迫力。上野の西郷像も彼の作品。
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ところでこういう銅像の馬は大きく目を剥いていることが多い。でも馬術なんかで馬が立つ時はこんな目をしていないと思う。あまり馬には詳しくないが。


ついでにお尻も(^^ゞ
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広い場所に出て、
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お店があったが、ゴールデンウィークなのに閉まっていた。楠公は「なんこう」と読むらしい。それはいいとして正成をマサシゲとは読みにくい。
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お堀を渡るのはこれで最後。
ここから見えるのは日比谷濠。その先の道路を渡れば日比谷公園。
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白鳥が近寄ってきたので大きく撮れた。
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東京国際フォーラムにに戻ってきたのは午後6時半頃。3キロちょっとのお散歩。
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俺のフレンチの屋台は大人気で、行列が二重三重に取り巻いている。
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夜の帳(とばり)がおり始めたラ・フォル・ジュルネの風景。
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ソフトクリームの後にビールというおかしな組み合わせで、
ひと息ついて次の公演に備える。
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ーーー続く

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2018年05月11日

東京駅へ

三菱一号館美術館を出て向かったのは500メートルほど先の東京駅。当初は駅にある東京ステーションギャラリーで開催されている建築家の隈研吾(くま けんご)展でも見ようかと考えていた。しかし天候はまた曇り始めたが、それでも何となく屋外にいたい気分になり方針変更。


とりあえず東京駅を眺める。
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東京駅は2012年の10月に復元工事が完了した(どこが変わったのかさっぱりわからないけど)。その後に何度か通りがかっているが、駅前広場がずっと工事中で、こんなふうにズバッと駅舎を見渡せたのは今回が初めて。

改めて見てみるとなかなか格好いい。もっとも西洋コンプレックス丸出しの明治建築で、首都である東京の玄関が、日本の「ニの字」もないようなデザインってどうよという気もするが。でもそんな西洋コンプレックスのDNAを引き継いで生まれてきたから、やっぱり格好いいと思ってしまう(^^ゞ


観光客が多くて人を避けて撮るのは不可能だし、駅舎が幅広すぎて私の持っているレンズじゃ全体を収めきれない。

ちょっと離れてみたけど、
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思いっきり離れてみたけれど、やっぱり無理。でもこの駅前広場の広さは伝えられたかな。ここはかなり気持ちのいい空間。
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あきらめて芝生越しの姿を。
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近づいたり、下からあおったり。
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東京駅から皇居へ延びる道路は行幸通り。長さ約1キロ。
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この広い真ん中の歩道は天皇が東京駅を利用する時と、信任状捧呈式に皇居へ向かう外国大使が通る時は通行止めになる。信任状捧呈式(ほうていしき)は大雑把にいうと、新しく着任した外国大使が、日本の元首である天皇に挨拶に行くこと。多くは東京駅から宮内庁が用意する馬車で移動する。Googleで画像検索するとこんな光景。一度見てみたい。でも日本風にやるならコッチかな(^^ゞ


この行幸通りを挟んで東京駅の前に立っているのが丸ビル(左)と新丸ビル(右)。丸の内の顔ともいうべき建物でそれぞれ2002年と2007年に建て替えられた。
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さて次の公演までどうやって時間をつぶそうかと思いながら、行幸通りを皇居方面へ歩く。
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皇居で開放されている3つのエリアは過去のラ・フォル・ジュルネの時に散策したから、今回は訪れる気はなかった。でも、こんな石垣やお堀を見るとつい引き寄せられて。
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お堀の奥に見える橋が渡れるみたいだったので、そちらへ行ってみることにした。橋の後ろ左側にある扇形の建物はパレスホテル。4〜5年前に建て替えられて高級化し、今では帝国ホテルやホテルオークラより高い宿泊料らしい。名前がよく似ているが、金大中事件があったのは同じ系列のホテルグランドパレスで九段下にある。


橋のたもとに和田倉噴水公園の案内。
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石垣の向こうに公園があるみたい。橋の名前は和田倉橋。
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お堀の風景は橋の上から眺めても似たようなもの。
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お堀の向こうの丸の内ビル群。
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橋を渡って中に入っていくと、
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かなり広い公園。
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電球型蛍光灯みたいな噴水。
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あまりカメラばかり見ていると足元がアブナイ。
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大好きなシャッタースピード早くしてのシブキ撮り。
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ピント合ってなかった(/o\)
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こちらの噴水はお休み中みたい。
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和田倉噴水公園を抜ける。
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ここまで来たら皇居外苑(皇居前広場)を通ってから、東京国際フォーラムへ戻ることにした。目の前の道路は内堀通り。
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先ほど渡ったのが和田倉濠(わだくら ぼり)で、こちらは桔梗濠(ききょう ぼり)。皇居のお堀は複雑に入り組んで配置されている。
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ところでそのお堀が全部でいくつあるのかがよくわからない。管轄が宮内庁と環境省に分かれているのがその理由で、環境省が管理しているのは12本だが、宮内庁の「お堀一覧」みたいな資料が見つからない。地図を拡大して数えればわかるだろうが、ザッと見て合計20本以上あるかな。

建っているのは巽櫓(たつみ やぐら)。二重櫓、桜田巽櫓、桜田二重櫓などいろいろな名前でも呼ばれる。桜田というのはこの左先にある桔梗門が内桜田門の別名を持つから。警視庁の前にある桜田門は正式には外桜田門という。

お堀に浮かんでいる白鳥は野生ではなく、国民公園協会という財団法人によって飼育されている。国民公園はあまり耳にしないが、環境省所管で皇居外苑、新宿御苑、京都御苑(京都御所)の3つ。あと千鳥ケ淵戦没者墓苑ともうひとつの慰霊碑苑が「国民公園等」というややこしい位置づけになっている。

ところでこの白鳥は安全のため?という理由で羽根を切られており飛ぶことができないらしい。皇居のお堀の風景を引き立てるために飼われているともいえて、ちょっと可哀想な気もする。もっとも、お堀は充分すぎるくらい広いし、食べ物にも困らないから本当の気持ちは白鳥に訊いてみないとわからない。


ーーー続く

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2018年05月10日

三菱一号館美術館へ

堤剛とクレール・デゼールのチェロソナタを聴き終えてホールを出たのが午後3時前。次の公演が7時半スタート。三菱一号館美術館に行くのは予定に入っているが、時間はたっぷりあるので急ぐことはない。

広場にあるCDショップを物色。
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ケフェレックのCDがあったものの、
演奏を聴いて欲しくなったヘンデルは並んでいなかった。
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いつもは夜に照明が入れられて、下から光っているところを撮るガラス通路。
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あれこれブラブラして、とりあえずコーヒーでも飲もうと列に並ぶが、
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なかなか進まないので自販機のお茶にした(^^ゞ
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東京国際フォーラムを離れ、
そびえ立っているのが、私がデザインを高く評価している丸の内パークビルディング。その手前のレンガ造りの建物が三菱一号館美術館。
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パークビルディングの1〜4階の商業施設フロアと美術館を併せて丸の内ブリックスクエアと名付けられている。レンガの英語がブリック。


場所は東京国際フォーラムから交差点を挟んで斜向かい。東京駅に通じるこの都道402号は大名小路という名前がつけられ、また江戸時代は現在の丸の内全体が大名小路と呼ばれていたようだ。江戸城に近く大名屋敷が建ち並んでいたことに由来する。
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このあたりが丸の内という町名になったのは1929年(昭和4年)で、江戸時代に大名小路以外に丸の内とよく似た名前でも呼ばれていたから。その意味は江戸城の堀(外堀)の内側ということ。堀の内と同義語。しかし外堀の内側なんて東京中心部の広大な範囲にわたるのに、なぜこのエリアだけが丸の内と呼ばれたのかは調べてもわからなかった。

ついでに丸の内マップ。※引用:http://www.marunouchi.com/pdf/art_map.pdf
丸の内




三菱一号館美術館へは、まず建物の切れ目から中庭に入る必要がある。
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噴水あり、彫刻あり、バラも咲いていて素敵な雰囲気のブリックスクエア中庭。植栽もバラエティに富み、またレンガの建物に囲まれているのが、ここの雰囲気作りに役立っている。レンガはコンクリートよりナチュラルな感じ。人工的建材という点では同じなのに不思議なもの。
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ところで三菱一号館美術館はレトロなデザインだが古いビルではなく、かつて三菱が1894年(明治27年)に丸の内で最初に建てたビルである(旧)三菱一号館を模したレプリカ建築。竣工は2009年だから割と新しいビル。しかし現在のレンガのビルや家のほとんどはレンガをタイルのように外装材として使っているだけなのに対して、これはレンガを積み上げて作った本物のレンガ造り。


美術館の入口スロープ。
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見てきたのはルドンの展覧会。
感想はラ・フォル・ジュルネのブログを書き終えてからの予定。
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美術館の3階廊下から見た中庭。
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丸の内パークビルディングを好きなのはこの立体的な凹凸。私は全面ガラス張りのようなノッペリビルが大嫌い。そういうビルばかり建築されているが(/o\)
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展覧会を見終わって東京駅方面へ歩く。
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このレンガの壁は、保管してあったオリジナルの三菱一号館(1968年に解体)の一部を展示しているらしい。
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さて丸の内をお散歩しながら、次の公演までの時間つぶし第2目的地は?
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ーーー続く

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2018年05月09日

ラ・フォル・ジュルネTOKYO 2018 その5 堤剛 クレール・デゼール

今回のランチに選んだ屋台はこちら。
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フィッシュ&チップスは30年以上前のロンドンで、それこそ道端の露店で新聞紙にくるまれて売られているものを食べて以来。当時の日本でフィッシュ&チップスは名前が知られていたくらいの存在。それでイギリスの伝統的な食べ物だということでトライしたのだったと思う。どんな味だったかはまったく覚えていない。覚えていないということはたいして美味しくなかったんだろう(^^ゞ

屋台村では「俺のフレンチ」に興味はあったが長蛇の行列だったし、他ではこれが一番物珍しいメニューだったから。もっとも30年以上も食べていないといっても、フィッシュは鱈のフライだからハンバーガーのフィレオフィッシュと同じだし、チップスは普通のフライドポテト。だから想像できない味じゃない。


ハイネケンの屋台でビールを買う時に、ついフランクフルトも注文してしまった(^^ゞ
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写真を見てフィッシュはそれほど大きくないと思うんじゃないかな。屋台のメニューも同じような写真で、だからフランクフルトも買った。でもこれは切り身の断面のところが写っており、見えていない切り身の幅はけっこうある。フランクフルトはいらなかったくらいのボリューム。

味付けはほとんどタルタルソースに頼っている感じ。途中でちょっと飽きてくる。それを予想して、写真ではフランクフルトに隠れているがマスタードもたっぷり入れてある。しかし食べているうちにロンドンではビネガー(酢)をかけたことを思いだした。このキッチンカーでは紙箱に入った状態でフィッシュ&チップスを渡されて、テーブルに用意されている調味料を自分で選んでかけて持ち運ぶ方式。そういえばそこに見慣れない調味料があった。あれがたぶんビネガーだったんだろう。キッチンカーまで戻るのも面倒だったのでそのまま完食。ビールも大を頼んだし、ちょっとお腹がキツイ。


キオスクステージでの演奏を少し聴いて、
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会場のB5ホールへ向かう。
これは建物の上から広場を眺めたところ。賑わってるね。
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午後2時開演なので1時45分ちょっと前に会場に着いたら、まだ開場していなかった。
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あれっと思ってチケットを見ると開場が1時45分になっている。開演時刻の30分前が開場とばかり思い込んでいたが、改めて確認すると、

   Aホール  開演の45分前
   B7ホール  開演の30分前
   B5ホール  開演の15分前
   Cホール  開演の30分前
   D7ホール  開演の20分前

とホールによって異なっている。ホールの大きさ=入場人数が違うんだから、考えてみたら当たり前だが、ラ・フォル・ジュルネ5年目にして初めて知った事実(>_<)


ひとつ前のD7と同じくB5も初めて入るホール。過去4年間はA、B7、Cのホールしか入っていない。もっともホールでプログラムを選んでいるわけじゃないが。ただし巨大なAホールで15列目までに座席が取れない時は、音量的に満足できないのでその公演は諦めている。

披露宴会場みたいな部屋。B5ホールは600平米あるが分割利用が可能で、ラ・フォル・ジュルネで使っているのは半分のスペース。1段高くしつらえられた仮説のステージを取り囲むように座席が並べられている。いわゆる「舞台のソデ」はなく演奏者は普通の出入り口から入ってくる。文化祭を思い出すな(^^ゞ
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座席はほとんど最後尾でも、この広さなら問題なし。間仕切りとなっている壁が板張りだし(写真左の壁)、他の壁も上部のウロコみたいな形状が音響に効果があるのか、このホールの音はなかなかよかった。もちろんひとつ前のエントリーに書いたように、たまたま坐った位置がよかっただけの可能性もある。

ちなみにここでも前のプログラムと同じように、会場に入った時にまだピアノの調律をしていた。今までこんなことはなかったから、今年は調律師の手配を間違えたのかな。



【公演番号:M133】

 バルトーク:狂詩曲第1番
 ショパン:チェロ・ソナタト短調 op.65
 マルティヌー:ロッシーニの主題による変奏曲


 堤剛 (チェロ)
いずみ

 クレール・デゼール (ピアノ)
デゼール

         ※アーティストの写真は公式ページから借用


このプログラムもクレール・デゼールが聴きたくて選んだ。彼女の演奏は初めてラ・フォル・ジュルネを訪れた2014年に聴いてとても気に入った。その後にCDも買った。そのアルバムはAbendmusikというタイトルで、iTunesを開くとアルファベット順に並んでいるリストの先頭にに表示されるから強制的に思い出すことになる(^^ゞ

堤剛(つつみ つよし)は御年75歳の日本クラシック界の重鎮。実はまったく知らなかった。私はクラシックを聴くのが好きなだけで熱心なマニアではないので、CDをたくさんリリースしている(かつレコード会社が宣伝に力を入れている)アーティスト以外は疎い。しかしデゼールのようにここで初めて知ったアーティストのCDを買うのも、ラ・フォル・ジュルネの楽しみ方。


演奏の最初はバルトーク。ちょっと苦手な部類。小難しい曲が多く、少し「前衛はいっている」から。タイトルの狂詩曲はラプソディと記すことのほうが多い。たぶん言葉的にキツイのが理由。その意味はウィキペディアを引用すると

  自由奔放な形式で民族的または叙事的な内容を表現した楽曲。異なる曲調を
  メドレーのようにつなげたり、既成のメロディを引用したりすることが多い。

要は構成に決まりがない作曲形式。自由というと反射的に価値を認めてしまいがちだが、音楽では「まとまりがない」ということにもつながる。ハチャメチャ、ドタバタなラプソディも多い。そういえばクイーンのボヘミアンラプソディも変わった曲だったと思いだしたあなたは、間違いなくオッサン、オバハン(^^ゞ もちろんあれは名曲。

堤剛のチェロはいい音を奏でていた。そして時々見せる陶酔の表情も含めて実に楽しそうに演奏する。ステージに入ってきた時、ヨボヨボではないが、老人特有の頼りない歩き方だった。しかしチェロを弾き始めるとそんな素振りは微塵もない。それとすごく品のいい笑顔が印象的。私はこんなジジ様になれそうもないなあ。


2曲目はショパンのチェロ・ソナタ。ショパンというとピアノしか思い浮かばない人が多いかもしれないが、このチェロ・ソナタやピアノ協奏曲も人気がある。もっともピアノ協奏曲ではオーケストラ部分の作曲を酷評する人も多い。私はいい曲だと思っているが、いつかレベルアップしたら文句をいうようになるんだろうか。

ところでこのチェロ・ソナタ。第2楽章でチャイコフスキーのバイオリン協奏曲とよく似た旋律がある。というかチャイコフスキーの作曲は30年ほど後なので似ているのはバイオリン協奏曲のほう。世紀のパクリ疑惑だと思っているのだが、誰も話題にしてくれないなあ。

ピアノ・ソナタはピアノの独奏だが、チェロやバイオリンのソナタの場合、ピアノとの二重奏になるものが多い。曲によって、どちらが主役かわからないくらい掛け合いのものもあれば、ピアノは伴奏的なものもある。今回のプログラムはどちらかというとピアノは伴奏的。デゼールのピアノに不満はなかったが、もっと彼女の演奏を堪能したかったというのが本音。


3曲目はマルティヌー。初めて聞く名前。タイトルにロッシーニとあったので、コソッと期待していたが、ロッシーニぽいのは曲の冒頭だけでちょっと肩すかし。アンコールはラベルの「亡き王女のためのパヴァーヌ」。

アンコールなのでタイトルは公演が終わってからロビーに掲示される。よく聴いた曲だとわかりながら、演奏中にタイトルを思い出せなかったのは、これが本来はピアノ曲だから。チェロのために作曲されたものはそう多くないので、他の楽器の曲を演奏することはままあること。
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生演奏のチェロ・ソナタは初めて聴いた。チェロ・ソナタつまりチェロとピアノの二重奏は、CDで聴くのと違って楽器の音量コントロールがされていないから、予想していたけれどピアノの音量が圧倒的に大きい。感覚的に表現するならチェロ1に対してピアノ4くらい。最初はそれに少し戸惑った。しかし人間の耳はチェロも聴きたいと思うと脳内でバランスを補正してくれる。実に不思議で便利。


ーーー続く

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2018年05月08日

ラ・フォル・ジュルネTOKYO 2018 その4 ルイス・フェルナンド・ペレス

2本目の公園はD7ホール。ここに入るのは初めて。
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ホールに至る途中の窓から見えた風景。有楽町駅を通過する新幹線の撮り鉄を楽しむーーーじゃなくて注目して欲しいのは写真右上。どうしてこんな大きなビルのここだけにポツンとエアコン室外機がある?
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座席は11列配置の9列目。かなり後ろだが小さなホールなので大丈夫かとの判断。面積は340平米で220名収容。スロープ式に座席が設営されているのでステージが見やすい。ただし後でも書くがこのホールは音が悪かった(/o\)
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写真でピアノのところにいるのは調律師。実はロビーにいる時からピアノの音が聞こえていて、でも練習しているようではなくポロン、ポロンと鍵盤を叩いているだけの音だったのでなんだろうと思っていた。まさか客が入ってからも調律しているなんて。

しかし弦楽器なら演奏直前にネックにある糸巻きペグを微調整するようなことはある。そんなものかと眺めていたら、鍵盤をピアノから引き抜いて作業を始めた! それって今頃やるようなこと?

どうなるんだろうと見守っていたが、演奏開始時刻までには無事終了。その後ピアニスト本人が調律を確認するでもなく、いきなり演奏を始めたがそういうものなのかな。私ならいくつか音を鳴らして確かめたくなる気がする。運営的には手際が悪いと思うが、珍しい光景を見られた。一番前まで行ってカブリツキで見学したかったくらい。


【公演番号:M152】

 アルベニス:スペインの歌
 アルベニス:ナバーラ
 トゥリーナ:交響詩「幻想舞曲集」op.22


 ルイス・フェルナンド・ペレス (ピアノ)
ルイス・フェルナンド・ペレス

         ※アーティストの写真は公式ページから借用


このプログラムはルイス・フェルナンド・ペレスを聴きたくて選んだ。2年前のラ・フォル・ジュルネで聴いた彼の鮮烈な演奏は今でも思い出せる。そしてスペインのクラシック音楽という私にとって新しいジャンルを知ることにもなった。その後何枚かスペイン・クラシックのCDを買って割とよく聴いている。そういえばペレスのアルバムは買っていなかったなあ。彼には内緒にしておこう(^^ゞ

イサーク・アルベニス(1860〜1909年)とホアキン・トゥリーナ(1882年〜1949年)は共にスペインの作曲家。持っているCDを取り込んであるiTunesのライブラリを検索したら、パトリシア・プティボン(ソプラノ歌手)のアルバムにひとつだけトゥリーナの曲が入っていた。しかし二人ともまったく初めて聞く名前。ウィキペディアでも紙にしたら2〜3ページくらいの情報しかなく、あまり知られていないようだ。そういうめずらしい音楽を聴くのもラ・フォル・ジュルネでの楽しみ。


ペレスのピアノは実にダイナミックでグルーブ感があって、聴いていると気持ちがノリノリになってくる。前回に聴いた時はちょっと叩きすぎるとも思ったが、今回はそれを期待していたところがあって、ところどころ火花の散るような演奏に大満足。実は2年振りに見るペレスが少しやつれているようにも感じたのだけれど、思い過ごしだったようだ。

ただピアノというかホールの音がとても悪かった。ケフェレックの会場では最高の音が聴けただけに余計に残念。一言でいうなら音が固くて響きが感じられない。先ほどリンクを張った2年前のブログを読み返してみても、その時はAホールだったが音が固くて、別のプログラムでAホールの違う席ではそうでもなかったというようなことを書いている。

理論上聴く位置によって音が違うのは避けられないが、それで不満が出るほど差があるのはホールとしての設計レベルが低いということ。しかし東京国際フォーラムでCホールは音楽ホールでも、それ以外の7つは多目的ホール。つまり単なる広い部屋(Aホールはそれなりの設計だが、クラシックを演奏するには広すぎる)。そして、そういうところで開催しているからこそ、リーズナブルな価格でコンサートを提供できているのかもしれない。それを十分に承知していても、やはり滅多に聴けない生演奏なんで文句が出ちゃう。


演奏された曲はもちろん初めて聴くものばかり。どれもスペイン・クラシックの雰囲気が色濃くてよかった。もちろんそれがどういうものか文章にする力量はないし、バカのひとつ覚えのようにスペインだから情熱的と書くつもりもない。まあ気になったらYouTubeででも探して聴いてみてちょうだい。

ところで演奏中に何箇所か和音の音がおかしく感じたところがあった。それがミスタッチなのか、そういう譜面なのかはわからない。それくらい微妙な違和感だった。でもそこに気付くほど耳の肥えてきた自分を褒めておこう。


ついでに
アルベニスやトゥリーナのことを調べている時、ケフェレックのプログラムで聴いたスカルラッティはイタリア人ではあるが、そのキャリアの後半をスペインで過ごしたことを知った。彼のピアノ曲をバロック音楽的に感じないのは、そういうことが影響しているのかもとモーソーしている。


ーーー続く

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2018年05月06日

ラ・フォル・ジュルネTOKYO 2018 その3 キッチンカー屋台村

アンヌ・ケフェレックのコンサートを聴き終えて広場に出てきたのが午前11時頃。次の公演の会場入りするまで30分ほどの空き時間。時間的に微妙だったし、まだそれほどお腹も空いていなかったので、どんな屋台があるのか見て回ることにした。
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ところでラ・フォル・ジュルネでは広場にキッチンカーが並んで屋台村を形成している。公式ホームページではそれが「ネオ屋台村スーパークラシック」として紹介されている。どうしてそんなに単語をこねくり回した意味不明の恥ずかしいネーミングにしたの?


コーヒーのキッチンカーはなぜかいつもワーゲンの古いバンだ。ただし同じクルマではない。ワーゲンを複数台使っている業者が毎年違うワーゲンで出店しているのか、あるいは業者は違ってもコーヒー屋台にワーゲンが人気なのか?
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ちなみに現行のワーゲンバン(日本には正規輸入されていない)はT6とよばれている6代目。Tはたぶんトランスポーターが由来。その初代のT1と2代目のT2が一般に古いワーゲンのバン(あるいはバス)と呼ばれ、そのビンテージ感とかわいいルックスで人気がある。今回のキッチンカーはT2モデル。

T1モデルはフロントのV字型ツートンカラーと、フロントガラスのセンターに支柱があるのが特徴。もっともT1が製造されていたのは1967年までで、T2でも1979年が最終モデルだから、いちばん新しくても39年前のクルマになる。眺めているにはいいがマイカーとして使うのはタイヘンなはず。

古いワーゲンのバンは人気があるので、別のクルマをそれ風に改造するショップは昔からある。軽四のなんちゃってワーゲンバンはたまに見かける。しかしネットで見つけたこのクルマは本格的なレプリカ。なんと内装まで改造されていてビックリ。



さて話をラ・フォル・ジュルネに戻して、
こちらは北海道を売り物にしたキッチンカー。しかし「しらす丼」とあるけれど、そんなの北海道の名物だった?(メニューへの疑問その1)
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ナシゴレンはインドネシアのチャーハン。タンドリーチキンはインド料理。何となくメニューにポリシーの感じられないお店。
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こちらは昨年食べたロティサリーチキン。このお店ではロティスリーと呼ぶ。まあネーミングが目新しくて洒落ているだけで、要はローストチキンなのであるが。
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有名店の「俺のフレンチ」が屋台村に出店。見たところ一番人気。場所も他のキッチンカーからは少し離れたところで特別扱い。
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なんだけど、なぜか売っているのはハンバーガー。(メニューへの疑問その2)それにキッチンカーが昔のアメリカで使われていたようなキャンピングカー。どこを取ってもフランスがないゾ。
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アンティークはあちこちで見かけるパンのチェーン店。
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このお店は毎年いるように思う。ところでグリルは網焼きで、ローストビーフはオーブンじゃないの?(メニューへの疑問その3)
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フィッシュ&チップスはイギリスのファーストフード。ところでフィッシュ&チップスで出てくるジャガイモは薄切りのポテトチップじゃなくて、棒切りのフライドポテトなのに何ゆえ名前がチップス?(根本的な疑問)
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イタリアごはんのキッチンカー。
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しかしメニューをよく見るとーーー
丼はイタリアンちゃうやろ!(メニューへの疑問その4)
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こちらはタイのごはん。「ごはん」とつけるのが流行っているの?
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このメニューには疑問なし。
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横手焼きそばは秋田県横手市のB級グルメらしい。富士宮焼きそばみたいなものか。
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おなじみの帝国ホテル。
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牛タンとクレープのキッチンカー。
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ワインだけを売っているお店。こういうタイプは去年までなかったような気がする。なお、どういうわけか毎度お世話になっているハイネケンのお店は撮り忘れた。
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じっくり観察してみると色々とメニューへの疑問が湧いてきた(^^ゞ。それはそれとして、たくさんのキッチンカーで賑わっているのもラ・フォル・ジュルネの魅力。クラシックに興味がなくても、これだけを目当てにピクニック気分で来ても楽しめるはず。

ついでにインフォメーションセンター。
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キオスクステージと呼ばれる場所で演奏が始まった(これは無料コンサート)。次の公演時間が迫ってきたのでほとんど聴けなかったが。
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ところでキオスクは駅の売店というイメージがある。しかし、もともとは日よけのための簡易的な、柱と屋根だけで壁のない建物の意味。大きな庭や公園にある東屋(あずまや)が造り的には近い。このステージも同じような形をしているからキオスク。やがて売店をそういう建物で作るようになって、売店のことをキオスクとも呼ぶようになったらしい。


ーーー続く

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2018年05月05日

ラ・フォル・ジュルネTOKYO 2018 その2 アンヌ・ケフェレック

最初に聴く公演はB7ホール。
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面積は1400平米で約800名収容、天井高が7メートル。音楽専用ではなく多目的ホールなので、ステージにピアノがなければ講演会でも始まるような雰囲気。
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座席は6列目の右寄り。ピアニストの顔は見えるが手は見えない位置。ステージの奥に並べられているのは音の響きをよくするためのパネル。
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【公演番号:M121】

 ヘンデル:「調子のよい鍛冶屋」ホ長調 HWV430(ハープシコード組曲第5番から)
 スカルラッティ:ソナタ ホ長調 K.531
 スカルラッティ:ソナタ ロ短調 K.27
 スカルラッティ:ソナタ ニ長調 K.145
 スカルラッティ:ソナタ ニ短調 K.32
 ヘンデル(ケンプ編):メヌエット HWV434(ハープシコード組曲第1番から)
 J.S.バッハ(ヘス編):コラール「主よ、人の望みの喜びよ」
 ヘンデル:シャコンヌHWV435(ハープシコード組曲第2巻から)


 アンヌ・ケフェレック(ピアノ)
アンヌ・ケフェレック

         ※アーティストの写真は公式ページから借用



このプログラムを選んだのはケフェレックの演奏を聴きたかったから、そしてスカルラッティが聴きたかったから。理由は単純で彼女がスカルラッティを弾いているCDを持っていて気に入っているから。昨年も公演があったがチケットを取れなかった。

ドメニコ・スカルラッティは1685年生まれだから、5代将軍の徳川綱吉が生類憐れみの令を発した年。教科書に載るほど有名ではないものの、バッハやヘンデルと並んでバロック時代の代表的作曲家とされている。ほとんどがチェンバロ作品で555曲も残している。ちなみにこの時代に鍵盤楽器といえばチェンバロ(=ハープシコード=クラヴサン)でありピアノが台頭するのはもう少し後になる。

このスカルラッティ、バロックの大家ではあるが、そのピアノ曲(当時のチェンバロ作品は現代ではほとんどピアノで演奏される)はまったくバロックぽくないのである。じゃバロックとはどんな曲でスカルラッティはどうなんだと問われると、それに返答するだけの感性と文章力がないのが残念。あえていえばバッハのピアノ曲が単調なのに対して、スカルラッティはもっと情緒的。だからバロックよりモダンに感じる。バロック音楽=バッハというイメージを持っている人が多いから、スカルラッティを聴いてこれはバロック音楽だと思う人は少ないはず。あくまで勝手な推測だけれど。


アンヌ・ケフェレックは御年70歳のフランスのピアニスト。レパートリーは広くサティの作品も多くレコーディングしている。実際に目にしてみると、小柄でとても上品なおばあさんというイメージ。だから写真は10年ほど昔に撮ったものかな(^^ゞ


演奏はヘンデルからスタート。こちらは教科書にも載っている作曲家。しかし意外と耳にする機会は少ない。タワーレコードでヘンデルと検索すると5179件がヒットするがバッハだと2万2000である。私もCDを数枚しか持っていない。それにピアノ曲のイメージがあまりない。

でもいい曲だった。どうよかったかは説明できないとしても。

続くスカルラッティのピアノソナタは、当たり前ながらCDで聴いている通りの演奏。スカルラッティの良さは控えめな美曲というところだと思っている。それに加えて今回は生で聴くピアノの音が素晴らしかった。B7ホールって、こんなにいい音がしたっけとびっくり。オーディオで聴くピアノはどこか音が固い。だから長く聴くと少し耳が疲れてしまう。でもこの日に聴けたピアノは厚みのある柔軟な響きでずっと聴き続けられそう。それと普段と違って集中して聴いているので、右手と左手のパートがよく聴き分けられる。そのせいか音楽も音も立体的に感じた。まあとにかく美曲に美音で至福の時間を過ごす。

スカルラッティは美曲揃いだが、難点はどの曲も似通っていること。でも5曲目に弾いたソナタ・ニ短調K32はスローで哀愁が漂ってくる少しタイプの違う曲。そしてこの曲でケフェレックのメロースイッチが入ったのか、続くヘンデルのメヌエットも濃厚で情感たっぷり。なぜかテレサ・テンを思い出したのが自分でも不思議。

メヌエットを弾き終わった後、次の曲に移るまでにケフェレックは少し間を置いた。気のせいかもしれないが哀愁ワールドに入り込んだ気持ちを切り替えているように思えた。

そして演奏したのがバッハ。これはガチガチのバロック。最後がヘンデルのシャコンヌ。たぶん初めて聴いたがいい感じ。アップテンポな曲で、ケフェレックの演奏にはグルーヴ感が感じられた。グルーヴ感はクラシックで使われることのない言葉だが、私はけっこう重視している。


さてスカルラッティを聴きに来たはずが、最大の収穫はヘンデルのピアノ曲がよかったことである。こういう発見があるのもラ・フォル・ジュルネのいいところ。そのうちCDを探すことになるだろう。

ケフェレックはアンコールも演奏してくれた。彼女が発する曲名の声は聞こえたが言葉を聴き取れず。しっとりした曲だった。ところでアンコール曲はプログラムリストには載っていないから、コンサート終了後にロビーに曲名が張り出される。でも私がホールから出た時にはまだ掲示されていなかった。建前はともかくアンコールで何を演奏するかは事前に決まっているのだから、もっと手早く対応してくれればいいのに。



なお文章に出てくるメヌエットやシャコンヌは、ワルツと同じように何拍子かという基準で分けた曲の分類。ソナタは起承転結みたいな構成を持ったパートが含まれている曲の総称。でもこんな音楽用語は知らなくても私のブログを読む分には差し支えないから、気にしなくて大丈夫←本当は説明するのが面倒(^^ゞ


ーーー続く

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2018年05月03日

ラ・フォル・ジュルネTOKYO 2018

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2014年から通い始めて今年で5年目となるラ・フォル・ジュルネ。私にとってゴールデンウィークの欠かせないイベントとなってきた。

ラ・フォル・ジュルネとは何かをかいつまんで説明すると

  クラシックの音楽祭。発祥はフランス。
  大規模→約400公演。 
  カジュアル→有料公演が178本。
        それ以外は会場周辺エリア23箇所での無料オープンコンサート。
       →公演時間は45分間。
       →チケットは1500円から3000円。演奏ホールと座席位置によって
        決まっており演奏家のランクは金額に無関係。
       →0歳児から入場できる公演もある。
       →関連イベント多数。

といったところ。1995年に「クラシックの民主化」を掲げて始まったもの。日本では2005年から。チケットはクラシックコンサートとしては破格の低料金だが、有料公演での演奏は、それなりのクォリティを持ったプロを揃えている。一流有名どころもチラホラいる。毎年ゴールデンウィークに開催され、会場は文字通り音楽のお祭りのような雰囲気。屋台もたくさん出るので音楽を聴かなくても楽しめるよ。



ところで今年から企画が変更になったようだ。まず昨年まで東京での開催は「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」という名前だったのが「ラ・フォル・ジュルネTOKYO」になった。そして新潟と大津(滋賀県)での開催が取りやめになった模様。だったらジャポンからTOKYOに変える必然性は薄いように思うが何か他に理由があるのかな。

その東京では有楽町の東京国際フォーラムがメイン会場で、その向かいにある読売ホールがサブ会場の位置づけだった。しかし今年は読売ホールに代わって池袋の東京芸術劇場が使われている。東京国際フォーラムからはドア to ドアで45分くらいはかかるから、これは公演をハシゴするにはちょっと不便な変更。

新潟と大津の中止理由の発表はないが、おそらく財政難ということだろう。東京国際フォーラムでは人が溢れかえっているが、それでもチケットの売上金額なんて微々たるもの。自治体や企業の協賛がなければ、こういうイベントは成り立たない。過去には金沢や鳥栖(佐賀県)でも開催中止に追い込まれている。

地方は人が集まらないからと考えてしまいがち。しかし参考までに本家のフランスではナントという都市が開催地。その人口は約30万人。比較すると

    東京都 1300万人
    新潟市 80万人
    金沢市 47万人
    大津市 34万人
    鳥栖市 7万5000人

鳥栖はちょっとキビシイかもしれないが、新潟、金沢、大津で上手く回らなかったのは、クラシック音楽ファン比率がフランスと日本で違うのか、あるいは単にマーケティングが下手だったのか。東京での会場運営を見ていると何となく後者っぽい。とりあえずラ・フォル・ジュルネが日本から撤退ということになりませんように。

ちなみにラ・フォル・ジュルネとは「熱狂の日」という意味。フランス語で綴るとLa Folle Journee 。Laは英語のTheみたいなもの。Folle は辞書を引くとキチガイとか頭がおかしいとかが出てきた(^^ゞ Journeeは日。前回までの名前にあったオ・ジャポン au JAPONのauは英語だと in かな。


今年は5月3日公演のチケットを5本入手。例によって行動開始が遅く、聴きたかったアーティストの予約が取れなかったりもあるが、問題は公演の途中にに5時間近くの空き時間ができてしまったこと。今まではわざと公演時刻をずらして皇居見物をしたりもしたが、もう皇居周辺は全部回ったしーーー。それで今回はその空き時間に美術館に行くことにした。もっともそれで5時間も埋まらないけれど、持て余した時間は気分に応じて臨機応変にというプラン。

それよりも最大の問題は前日に「午前中は豪雨、午後からは強風や突風」と、とんでもない天気予報だったこと。ホールで音楽を聴くには問題ないにしても、会場に着くまでにズブ濡れになったり、昼から使わない傘を持ち歩くのも面倒だしーーーと憂鬱な気分クライマックス。

そして本日、朝起きた時はまだ本降りだった。でもしだいに雨は少なくなり出かける時にはなんとか雨は上がった。晴れ男伝説健在なり!



銀座並木通り午前9時半。まだ道路は濡れている。
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行列している若者。オタクっぽい雰囲気だが女性もいる。
ここに何があるのだろう。
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東京電力の支社だった建物。TEPCO銀座館も入っていた。東日本大震災後の経営難で売却されれ、現在は新しいビルに立て替え中。
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並木通りを途中で左折して外堀通りに出る。
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道路を渡ると有楽町エリア。そこから振り返って見えるのはプランタン銀座だったビル。今はマロニエゲート銀座2という名前になっている。いわゆるファッションビルで5〜6階にニトリが入っているのが特徴。銀座なんだけど(^^ゞ
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外堀通り沿いを進んで、
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左折すると無印良品のお店。並んでいるのはその隣りにある元はLoftだったスペースにできた、B'zの期間限定ミュージアムのチケットを買おうとする人たち。ライブじゃなくてミュージアムに入るのに行列するなんてすごい人気。映像ライブでもあるのかな。
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線路高架の向こう右側に見えるのが東京国際フォーラムのGホール、通称ガラス棟。有楽町駅が高架下を左に進んだところ。青空が見えてきてひと安心。
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有楽町側の入口。
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今年のテーマは「モンド・ヌーヴォー 新しい世界へ」。
どういう意図かは公式ページを読んで
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まだ屋台は準備中。
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広場に並べるテーブルを運んでいるスタッフ。
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いつも3〜4回はお世話になる場所(^^ゞ
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毎度おなじみのアングル。
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演奏は撮影できないし会場風景はいつも同じ。それでも今年も山ほど写真を載せてブログを書くつもり。そして肝心の音楽についてタメになることは書かない。というか上手に書くほどの知識と感性はないから(^^ゞ


ーーー続く


※下のタグ:ラ・フォル・ジュルネをクリックすると昨年までのブログが出てきます。

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2017年05月14日

ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2017(5)阿波踊り!

今年のラ・フォル・ジュルネのテーマは「ラ・ダンス 舞曲の祭典」。というわけで本場の徳島から阿波踊りのチームが来演。まさかクラシックの音楽祭で阿波踊りが見られるとは。そういえば昨年は和太鼓のコンサートを聴いた。そんな間口の広いところもラ・フォル・ジュルネの魅力のひとつ。


会場は地下のEホール。有料コンサートのチケットかその半券を持っていれば入場できる。Eホールでのイベントやコンサートはすべてその方式で、いわば半無料での開催。午後8時40分からのスタートだったが、屋台でチキンを頬張っている時にメールが来たりして20分ほど遅刻。座席には座れず後ろで立ち見になってしまった。



私が来た時にはひと踊り終わった後のようでリーダーと思われる男性が解説中。
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阿波踊りでは「連(れん)」というこのチームの名前は娯茶平(ごちゃへい)。「娯茶平流」「のんき流」「阿呆流」と阿波踊りには3つの流派があるらしい。彼は今まで天皇の前で4回も踊りを披露したそうで、その度に宮内庁から有名なフレーズである「踊るアホウに見るアホウ」は禁句といわれるらしい。見ているのが天皇だからというオチ。ネタかな?


話が終わると皆さんご一緒にと♪♪エライヤッチャ、エライヤッチャが始まる。けっこうな人数が輪に加わって踊り出した。みんな楽しそうである。
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これはたまたまブレて撮れてしまった写真。でも踊りの動きが表現されている気もする。デジカメにはブレ防止の機能が付いているが、わざとブレさせるという仕組みがあってもいいかも。


着物のオネエさん。
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ハッピ姿のオジョウさん。
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リーダーが踊りの上手かった人をステージに上げて表彰。ちなみに踊っていたのは10分ほどだったと思うが、リーダーによると素人がそれ以上踊り続けると、次の日には腕が上がらなくなるらしい。
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この娯茶平(ごちゃへい)は海外から招聘されることが多く、この次の週にはポーランドに遠征とのこと。それでポーランドで踊る演目を披露してくれた。阿波踊りってリズムに合わせて練り歩くだけだと思っていたので、踊り方に演出や構成があると知ってビックリ。



(写真はデジタルズームで数倍に拡大して撮影したので画質が荒い)

男性ダンサーズ。この姿勢で踊り続けるのは相当辛いと思うが。しかもスリ足(>_<)
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着物ダンサーズ。着物の女性は特に腰を落とした踊り方はしない。
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ハッピダンサーズ。こちらは低く構えている。同じ女性でも年齢によって身体への負担を変えているのかな。
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男性と女性でこれだけ頭の位置が違う。
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ハッピダンサーズのオジョウさんは太ももが逞しい(^^ゞ
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最後にリーダーも踊り出し始めた。さすが別格のオーラが漂う。
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阿波踊りは前から見たかったので念願かなってラッキー。思っていた以上に見ているだけで楽しくなってくる踊りだった。それと手と足がバラバラに動いているだけの単調な踊りなのに、まったく見飽きないのが不思議。機会があったら参加もしてみたいけれど、あの低くかがんだ姿勢に耐えられるかは心配。東京では高円寺(お寺じゃなくて杉並区の地名)で開かれる阿波踊り大会が有名。一昨年は浅草でサンバを見たから、今年の夏は阿波踊りを見に行ってみようかな。


というわけで3つのコンサートと阿波踊りを見て東京国際フォーラムを後にする。ところでラ・フォル・ジュルネから自宅へは、いつもクラシック音楽の余韻に浸りながら帰るのだが、今年は頭の中が阿波踊りのリズム占拠された(^^ゞ


おしまい

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2017年05月13日

ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2017(4)

次に聴くコンサートはCホール。2つ前のエントリーで書いたように東京国際フォーラムで唯一音楽用として設計されたホール。5000人収容の巨大多目的ホールであるAホールのように、15列目までに座席を確保しないと音量的に残念過ぎるということはない。それでも各楽器がバランスよく聞こえるセンター寄りよりも、迫力重視でできるだけ前方が私のポリシー。今回確保できたのは24列あるシートの9列目。ただしほとんど壁際の席。
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ホールに入ると楽団員が練習をしていた。そうとわかっていたならもっと早く来たのに。プログラムに、このオーケストラは開演前に練習をする・しないと書いて欲しいと前から思っている。
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もっとも練習といってもリハーサルではなく、各人がバラバラにウォーミングアップしているだけ。だから聞こえてくるのは音楽じゃなくて楽器の音のぶつかり合い。でもそんな何の脈絡のない音を聴くのもけっこう楽しいものなのである。



【公演番号:146】

  ストラヴィンスキー:バレエ「火の鳥」組曲(1919年版)
  ラヴェル:「ダフニスとクロエ」 第2組曲


  パスカル・ロフェ (指揮)
パスカル・ロフェ

  フランス国立ロワール管弦楽団
フランス国立ロワール管弦楽団


               ※アーティストの写真は公式ページから借用



「火の鳥」と「ダフニスとクロエ」 はバレエ音楽。今年のラ・フォル・ジュルネのテーマはダンスだから選ばれた曲なのだろう。ストラヴィンスキーとラヴェルに作曲を依頼したのはセルゲイ・ディアギレフというロシア人。今でいったらプロデューサーみたいな人で、そのキャリア後半ではバレエ・リュスというバレエ団を創設し、当時の名だたる作曲家を起用している。また舞台美術をピカソやマティスなどに依頼し、総合芸術としてのバレエを確立した人物らしい。

どちらの曲もたまに聴く。特にダフニスとクロエは昔から好きな曲である。ただ両方ともキレイな曲なんだけれど、構成が複雑で捉えどころのない音楽。ストーリーにあわせた短い曲をつなげたものだから、バレエ音楽は音楽だけ聴くとどうしてもそうなる。


演奏は最高だった。やもすれば間延びしそうになるこれらの作品をノリノリで演奏。目の前に生き物のように音楽が次々と現れては過ぎ去っていく感じ。CDで感じることもある気難しさはまったくなく実に気持ちよく聴くことができた。もちろんそれは目の前で演奏されている効果もある。音楽を楽しむには耳だけでいいが、理解するには目も必要だというのが私の考え。ただし、そんな理屈は抜きにしても素晴らしい演奏だったと思う。それとオーケストラの音数が多いというかカラフルというか響きが豊かでしなやかというか。ウォーミングアップの時からそんな予感はしていたが、オーケストラを聴くって本当に楽しいと思わせてくれた時間だった。

もちろん9列目だから音量的にも充分満足。久しぶりに聴くステージから面で立体的に押し寄せるオーケストラに酔うことができた。オーディオだとスピーカは点音源みたいなものだから、いくらお金をつぎ込んでもこの快感は味わえない。もっとも、つぎ込んではいないから正確なところは不明(^^ゞ

残念だったのは9列目だとステージより低い位置になるので、オーケストラの前のほうで演奏する人たちしか見えなかったこと。つまり管楽器や打楽器は視界に入らない。特に「ダフニスとクロエ」はフルートなどの独奏パートがあるので、その様子は見ておきたかった。でも音量重視で席を取ったのだから仕方がない。



大満足してホールを出る。今までラ・フォル・ジュルネで聴いた中でベスト3に入る演奏だったと思う。1つ前のコンサートはイマイチだったが、それを帳消しにしてお釣りが来るほど。

さっきシンガポール・チキンライスを食べたばかりなのに、それほど分量もなかったので、今度はロティサリー・チキン。串刺しあぶり焼きのチキンのこと。この屋台ではロティスリーと書かれていた。
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ビールではなくワインを注文。2杯飲んだのはナイショ(^^ゞ 料理の写真は暗くてピントが合っていなかった。代わりに可愛い店員さん。
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この後にはCDを何枚か持っている広瀬悦子やアンヌ・ケフェレックというピアニストのコンサートがある。しかし残念ながらチケットを手配した時には既にどちらも売り切れ。だから私のラ・フォル・ジュルネ2017は先ほどのコンサートで終了。

だったら屋台で食ったり飲んだりせず、とっとと帰ればよさそうなものだがーーー。実はコンサートではなくおもしろいイベントがもうすぐ始まるのである。


ーーー続く

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2017年05月12日

ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2017(3)

オペレッタこうもりを見て聴いて、外に出たのは午後4時半頃。
まだ明るい。
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でも本日2杯目のビール。飲んだ後(^^ゞ
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次に聴くコンサートも同じくB7ホール。
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座席は10列目。先ほどと変わらないくらい左寄りなのだが、最前列と違って、ある程度の距離があるのでステージに対する角度は緩やか。
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ところで開演を待っている時にトラブル発生。私の席に近くに老夫婦がやってきて1名は車椅子。パイプ椅子の後ろに車椅子を停めて二人は縦に並んで座った。車椅子の人は少し精神に問題があるようで、ときどき大きな咳をするというか咳の振りをして大きな声を出す。パイプ椅子に座っている方が振り向いてなだめると収まるのだが、しばらくするとまたーーーの繰り返し。そういう人にも音楽を楽しんで欲しいし、ラ・フォル・ジュルネはあまりマナーをギャーギャーいうようなコンサートでもない。それはわかっていても、あまりにその声が大きくて、これはキツイなあと。

声を出す度に係員も飛んできて、老夫婦とどんなやりとりをしたかはわからないが、何回目かの大声の後、パイプ椅子を後ろに移動し、つまりパイプ椅子と車椅子を並べて座るという配置になった。すると、その後は大声を出すことはなくなった。並んで座れないのが寂しいとアピールしていたのかな。とにかく問題解決してひと安心。演奏が始まってから、チラッと車椅子の人を見たが、まるで子供のような顔で音楽を楽しんでいたのが印象的だった。椅子をひとつずらしただけで皆がハッピーになれたのだから、機転を利かすことって本当に大切。



【公演番号:125】

  シューベルト:5つのドイツ舞曲 D90
  シューベルト:ヴァイオリンと弦楽のためのロンド イ長調 D438
  シューベルト:5つのメヌエット D89


  ロベルト・フォレス・ヴェセス (指揮)
ロベルト・フォレス・ヴェセス

  オーヴェルニュ室内管弦楽団
オーヴェルニュ室内管弦楽団

  辻彩奈 (ヴァイオリン)
辻彩奈

               ※アーティストの写真は公式ページから借用



名前は誰でも知っているシューベルト。生まれたのは1797年。江戸時代が1603年から1868年までだから、ちょうど江戸中期の人。ちなみにモーツァルトは1756年、ベートーヴェンが1770年生まれである。1828年に31歳で夭折。モーツァルトも早死にだったがそれでも35歳。

シューベルトのCDはそこそこの枚数を持っている。でも私の中では何となくイメージが希薄。美しい曲が多いのだが、あまり引き込まれないというか面白味に欠けるというか。ピアノソナタの中には練習曲のように退屈なものもある。まあそういうわけで普段あまりシューベルトは聴いていない。それでも生で聴けばまた違う感じ方をするかと思ったのが、このプログラムを選んだ理由。


「5つのドイツ舞曲」は初めて聴く曲。出だしからシューベルトぽい曲。しかし演奏はちょっと固かったかな。クラシックにこんな表現は似合わないがリズム感というより「グルーブ感」が足らない。楽譜通り機械的に音を出している感じ。あまり慣れていないレパートリーなんだろうか。

「ヴァイオリンと弦楽のためのロンド」は辻彩奈がソロバイオリンを弾く。彼女が入って演奏の雰囲気が少し変わった。音楽が少しは「走り出した」ように思える。しかし彼女が抜けて3曲目の「5つのメヌエット」が始まると、また演奏がこぢんまりとしてきた。ひょっとしたらホールの音響が悪いせいで「音に包まれている感」が少ないから余計にそう感じるのかもしれないが。


4年間ラ・フォル・ジュルネでコンサートを聴いて、どれも楽しかった聴けてよかったと思えたものばかりだったが、残念ながら今回はーーー。聴いて損したとは思わないが、聴いても聴かなくても一緒だったかなというのが正直なところ。まあたまにはハズレもあるさ。それは仕方ないが、シューベルトの魅力を再発見することもオアズケとなった。



ホールの外に出たのは午後6時過ぎ。少し暗くなってきた。
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新加坡とはシンガポールのこと。当地で名物のシンガポール・チキンライスの屋台があったのでトライ。海南鶏飯(かいなん・けいはん)や海南のマレー語であるハイナン・チキンライスともいう。ニワトリを茹でてダシを取り、そのダシでご飯を炊いて、ソースをかけたチキンをのせたもの。
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あっさりと上品な味でおいしかった。チキンは冷たかったが、上記のような作り方なのでそういうものらしい。



土産物屋のテントをブラブラ。
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Passionsは2015年のラ・フォル・ジュルネのテーマ。つまり一昨年の売れ残りのTシャツも売られていた(^^ゞ
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ちょっと東京国際フォーラムの敷地を抜け出して。そろそろ夜の雰囲気。
写真中央奥が東京駅の南端。
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JRのガード下。オヤジとオヤジギャルの聖地である有楽町ガード下の飲み屋街はここではなく、もっと日比谷寄りにある。
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敷地に戻って。毎回ここで写真を撮っているかも。
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屋外無料コンサートは休止中。PA(音響)のスタッフも手持ちぶさたの様子。
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今年のラ・フォル・ジュルネは例年より人出が少なかったと思う。写真は午後7時頃の様子。いつもなら広場はもっと人でごった返しているのに。
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調べてみると公式発表で来場者数は

  2014年: 61万2000人
  2015年: 42万7000人
  2016年: 42万9000人
  2017年: 42万2000人

女王レベルのピアニストであるアルゲリッチの出演効果と思われる2014年を除くと過去3年間はほぼ横ばい。しかしこれは大手町や丸の内での無料コンサートを含んだ数字。つまり目分量の人数カウントも含まれている。そこで有料チケットの販売数では

  2014年: 15万1001枚  販売率90.2% (販売率=座席数に対して売れた枚数)
  2015年: 12万2366枚  販売率80.8%
  2016年: 11万4222枚  販売率75.0%
  2017年: 11万5778枚  販売率81.8%

あれっ?去年よりわずかだが増えている。私がいた5月4日の夜にたまたま人出が少なかったのかな。

ところで11万5778枚にチケットの平均単価2000円(適当にはじいた金額)を掛けると、これほど大勢の人が集まる賑やかなイベントなのに、たったの2億3000万円。文化事業というのは数多くのスポンサー企業の上に成り立っているものだと改めて実感。

とにかくラ・フォル・ジュルネがこれからも発展しますように。


ーーー続く

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2017年05月11日

ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2017(2)

最初のコンサートであるB7ホールにはEホールのある地下から入れた。
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あれっ?そうだったけと思い、改めて東京国際フォーラムのレイアウトを確認。
図は施設のホームページから拝借。
東京国際フォーラム

東京国際フォーラムはA、B、C、Dのホールのある建物が1列に並び、それにガラス棟が対面してる。Eホールは広場の下からABCD各ホールの地下にかけて位置している。つまりガラス棟から地下に降りれば、Eホールを挟んでそれぞれのホールに連結しているというレイアウト。ラ・フォル・ジュルネ以外に何度もここに来ているのに、今まで正確に把握していなかったなんてトホホ。


B棟にはB5とB7の2つのホールがある。たぶん5階と7階という意味だと思う。これがB7。この講演会場のようなところで音楽を演奏するのかと始めて来た時はビックリしたが、もう慣れてしまった。東京国際フォーラムで音楽ホールとして設計されているのはCホールのみ。後は多目的ホールで音響的にはイマイチなのが残念。でもこんなにたくさんのホールが1箇所に集まっている施設は他にないからまあ仕方ないか。
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今回は東京国際フォーラムの売り場ではなくネットでチケットを購入した。過去の経験から例え一番端っこの席であろうとも、できるだけ前の席を取るのが音響のよくない東京国際フォーラムでは大切。今まではチケット売り場の係員にあれこれ尋ねて席を決めていた。

ネットでも同じように座席を指定できると思っていたのだが。しかしB7ホールで指定できるのはいくつかのブロックに分けられたエリアのみ。どの席かまでは決められない。ちなみにCホールは自分で座席を指定できた。

それでネットでエリア指定をクリックして、その後に画面に表示されたのがこの最前列!
文字通りカブリツキで、ピアニストが楽譜に書き込んだ注意書きまで見えたほど。かなり左の端の席でも、パイプ椅子が斜めに配置されているので、あまり隅っこで見ている気はしなかった。
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【公演番号:124】

  ヨハン・シュトラウス2世:オペレッタ「こうもり」から(日本語版、抜粋)


  びわ湖ホール声楽アンサンブル
びわ湖ホール声楽アンサンブル

  大川修司 (指揮)
大川修司 (指揮)

  渡辺治子 (ピアノ)
渡辺治子 (ピアノ)

               ※アーティストの写真は公式ページから借用



オペレッタとはオペラをもっと娯楽的にしたもの。だから悲劇の多いオペラに対して、オペレッタは喜劇がほとんど。またオペラでは基本的に歌手は歌うだけなのに対して、オペレッタではセリフも喋るし踊ったりもする。だからオペラにミュージカル的要素を振りかけたようなもの。もっとも歴史的にはミュージカルのほうが後で生まれているが。もちろんミュージカルのようにマイクやスピーカーを使ったりはせず、オペラと同じくナマの声で上演される。


「こうもり」はオペレッタでもっとも有名な演目のひとつ。見るのは初めてだがオペレッタ名曲集のようなCDを持っていて何曲かは馴染みがある。話は変わるが昔クラシックを聴き始めた頃、オペラを含む声楽にはどうしても馴染めなかった。ソプラノの金切り声が脳天を直撃するような気がして、こんな音楽を好む人がいるなんて信じられないと思ってさえいた。それからウン十年、きっかけは忘れてしまったが、いまではその高音を聴くのが快感になっているのだから人生はわからないものだ。


ところで昨年のラ・フォル・ジュルネではハイドンのオラトリオ「天地創造」を聴いた。その時の感動は今でも覚えているほどで、今年も是非声楽をということでこのプログラムを選んだしだい。

音楽はピアノ1台だけの伴奏というシンプルというか経費節減な舞台(^^ゞ 登場するのは男女各6〜7名。びわ湖ホール声楽アンサンブルというのは滋賀県大津市にある県立びわ湖ホール専属の声楽グループとのこと。

ところで上に貼った写真はフォーマルな服装での公式おすまし写真。その写真でこのオペレッタをイメージすることは難しいかもしれない。ラ・フォル・ジュルネの公式face bookにステージの様子があったので借用して張っておく。何となく雰囲気は伝わったかな?
舞台


冒頭の舞台には誰もおらず、ソデから金持ちの主人公とその弁護士の言い争いの声から始まる。そのセリフは「おまえが忖度(そんたく)しないから、こんなことになるんだ!」という内容。今や森友学園ですっかり有名になった忖度という言葉でツカミはOKといったところ。それ以外にもところどころ原作にはないオリジナルの台詞が入る。テノール(男性で一番声の高い歌手)が「消臭リキ〜ッド!」と叫んだりAKB47の曲の一節を唱ったり。元々が喜劇だが、かなり笑いを取ることを意識した演出。

ストーリーは浮気やその他モロモロのことがバレそうになって主人公があたふたするというもの。ところで私の目の前はピアノなので、ついそちらにも目がいってしまう。皆が集まってアハハハハと笑うシーンがあり、それは舞台的には一息つくシーン。しかしピアノ伴奏としてはテンポの速い和音の連打なので、歌手達の満面の笑顔とは対称的にピアニストは必死の形相での演奏だったのが印象的だった。また演奏者が自分で楽譜をめくるのだが、失敗しないように楽譜が山なりに折られていた。それでもたまに上手にめくれないことがあり、その時は目にも見えない早業で手が動く。

なお指揮者がピアノの横でタクトを振っていたが、歌手達は舞台上で一切指揮者を見ることはなかった。ピアニストもしばらく伴奏が途切れてまた再開する時に、そのタイミングを目の隅で確認する程度。いったん伴奏が始まったら目をあわすことはない。ピアノ1台の伴奏で指揮者って必要なのかなというのが正直な感想。指揮者もそれを感じてかどうか、とても寂しげな後ろ姿(^^ゞ


初めて見るオペレッタは演奏がオーケストラではなくピアノだけで、こんなフルスケールのコンサートと較べると舞台も殺風景だったけれど、それでも充分に満足できたし楽しかった。もちろん日本語で上演されて内容がよくわかったこともあるし、びわ湖ホール声楽アンサンブルの芸達者さに負うところも大きい。また本来こうもりは2時間半ほどのステージだが、45分の抜粋での上演だったのも初心者の私にはちょうどよかったと思う。


ーーー続く

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2017年05月04日

ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2017(1)

通い出してから今年で4年目になるラ・フォル・ジュルネ。ゴールデンウイークの3日間に東京国際フォーラム(有楽町にある7つのホールを備えた多目的施設)を中心として開催されるクラシックの音楽祭である。堅苦しいクラシックコンサートと違い、大規模でカジュアルでお祭り騒ぎ的なのが特徴。ちなみにラ・フォル・ジュルネとはフランス語で熱狂の日という意味。

  詳しく知りたい人は公式ホームページで。

  過去3年のラ・フォル・ジュルネのブログ記事はこちらから。

    それぞれ複数のエントリーなので5月にジャンプするようリンクしてあるから、
    そこからたどって下さい。

      2014年5月
      2015年5月
      2016年5月

   あるいはこのエントリー最下部の「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」のタグを
   クリックすると今年も含めてラ・フォル・ジュルネの記事だけが表示されます。



今年はチケットを手配したのが4月17日と出遅れてしまい、その時点で半数近くのコンサートが売り切れ。でもなんとかプログラム内容、前方の座席が取れる、演奏時間帯が離れていなくて効率よく鑑賞できるーーーなどの条件を満たすものを探し出して、3枚のチケットを買うことができた。


さてツーリングと同じように写真日記。

銀座4丁目の交差点。ご存じ左が時計台のある和光、右が三越銀座店。
本日は見事な五月晴れ。
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休日なので銀座通り(中央通りともいう)は歩行者天国。銀座では1970年8月に始まった。小規模なものを除けば実質的に日本で最初の歩行者天国といえる。まだ小学生だったが大きなニュースになっていたことを覚えている。しかし全国で歩行者天国を実施している場所がどんどん減っているらしいのが残念。ところで「ホコ天」なんていうと歳がばれるかな?
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上の写真は手を伸ばしてカメラを高い位置にし、ズームレンズを望遠側にして「密集効果」が出るように撮影したもの。ものすごく人がたくさんいるように見える。こちらの写真はローアングルでの撮影。実際の混雑具合はこんな感じ。写真ってけっこうトリックがあるもの。
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先ほどまでは北向き京橋や日本橋方向。これは振り返って新橋方向。
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松屋にモナリザの大きな広告。よく見るとルイ・ヴィトンの広告のよう。ちなみに松屋は銀座と浅草にだけあるデパート。地方の人に松屋の前で待ち合わせというと、よく牛丼屋の松屋と間違われて変な顔をされる(^^ゞ
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アップルストアは松屋の向かい。
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銀座1丁目の交差点を曲がると東京国際フォーラムが見える。写真中央のガラスの建物。
この道路は銀座柳通り。銀座と名前が付かない柳通りは別にある。
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これは銀座通りから1本西側のガス灯通り(ルノアールの看板の右側に注目)。この付近は電気だが、今でも何本かはガスを使った街灯があるらしい。
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銀座柳通りから外堀通りに出る。これは東京駅方向。
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数寄屋橋方向。外堀通りは電通通りともいう。しかし電通が銀座から築地へ本社を移したのは1967年。さらに2002年からは汐留なのに、なぜかしぶとく名前が残っている。
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外堀通りを渡り有楽町側から東京国際フォーラムに入る。毎度おなじみの光景。
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たくさんの屋台。
いつも入口近くにいる帝国ホテルが今年は広場中央付近に移動していた。
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石のオブジェにはいつも子供が登って遊んでいる。ラ・フォル・ジュルネは子供に音楽を聴かせることに積極的で、日中のコンサートはすべて3歳児以上なら入場可能。ゼロ歳児でもOKなコンサートもいくつか用意されている。
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広場にあるイベントステージでの演奏。これは無料で聴ける。全部で300ほどのコンサートのうち有料無料の比率は半々くらい(だと思う)。残念ながら私が聴き出してすぐ演奏が終わってしまった。
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東京国際フォーラムの建物は見上げるとカッコいい。
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とりあえず駆けつけ1杯(^^ゞ
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それでも時間をもてあましたのでガラス棟という建物をブラブラ。
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当日チケットを買う人々の行列。
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LA DANCE(ラ・ダンス)舞曲の祭典というのが、今年のラ・フォル・ジュルネのテーマ。
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la danse



なぜか古書&古い映画のポスターの即売会。
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書籍は音楽にまつわる物が多かったけれど。
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♪いつものように幕が開き〜 (^^ゞ
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ガラス棟の地下にあるEホールに多くの人が集まっている。Eホールのプログラムは、他の有料コンサートのチケットか半券を持っていれば無料で聴くことができる。
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オペラだったみたい。チケットを買ったコンサートの開始時刻が迫ってきたのでチラッと眺めただけ。もっと早く来ればよかった。デジタルズームで拡大しているので写真の画質は荒れている。
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コンサートの感想などは次回から追い追いに。


ーーー続く

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2016年05月13日

ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 2016(5)

前のプログラムが終わったのが午後8時頃で、次のプログラムが9時45分の開演。各ホールのプログラムを上手に選べば、あまり間隔を開けることなくなく聴けるのだが、今年はAホールのプログラムしか買えなかったので待ち時間が長い。

とりあえず広場の屋台村でビール。ケバブも買ったが、これが具が少なくパサパサで最悪にマズかった(/o\) 去年食べたのはおいしかったののに。広場を見ると前日はワーゲンのバンの屋台だったところに、この日は違うクルマの屋台が出ている。日によって屋台は入れ替わっているみたいだ。この店でまた食べることがないように、マズいケバブ屋台の写真を撮っておくべきだったかな。


展示ホールを覗いてみる。ほとんど撤収準備状態だったがCD売り場はまだ営業していた。
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並べ方は工夫されていて、こちらは各プログラムで演奏された曲を有名アーティストがレコーディングしたCDのコーナー。
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こちらは今回のラ・フォル・ジュルネで演奏したアーティストが出しているCD。(内容はプログラムとは関係ない)
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何かおもしろそうなCDはないか探し始めたたころで蛍の光が流れ出す。残念、いい暇つぶしだと思ったのに(^^ゞ

ラ・フォル・ジュルネの公式CDというのがあって、これは出演者が以前に発売していたものから、ラ・フォル・ジュルネで演奏した曲を寄せ集めたもの。この日最初のプログラムで聴いたペレスがピアノを弾くファリャの「スペインの庭の夜」も収められているが(オーケストラは別の団体)、第1楽章しか入っていないので購入せず。

それでこの公式CD、売り場の入口で店員が盛んに声を出して売り込んでいた。そのコーナーの裏側に回ると見覚えのある女性の写真のジャケット。去年の公式CDが売れ残っているみたい。来年はここに2015〜2016公式CDと並ぶのだろうか?
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展示ホールはEホールに名前が変わったらしい。
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さてAホール。座席は前回のプログラムと席番号が1つ違うだけの5列目の右隅。ステージ中央からの距離は真ん中に位置する座席9列目あたりに相当する。
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席番号がひとつ違うだけだから前回とステージの見え方は同じ。しかし今回はクラシックの演奏会では滅多に見られないものがステージ奥に鎮座している。
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5月5日の最後に聴いたプログラムは

   松下功:和太鼓協奏曲「飛天遊」
   ストラヴィンスキー:バレエ「春の祭典」

1曲目は和太鼓協奏曲。世の中にそんな協奏曲があったとは。

1980年代の終わり頃だったと思うが、鬼太鼓座(おんでこざ)という和太鼓がブームになったことがあって、テレビなどでもよく取り上げられていた。祭り囃子や盆踊りでの和太鼓には馴染みがあっても、和太鼓がメインの演奏?というのは物珍しくてインパクトが強かったように思う。人の身長より大きな和太鼓も登場したりして迫力満点だった。(記憶が曖昧なので時期は間違えているかもしれない)

一方でドンドコ鳴るだけの太鼓を延々と聴いていておもしろいのかという気持ちもあった。それと太鼓を叩く奏者の肉体美をやたら強調したパフォーマンスとか、何となく感動の押し売りみたいな雰囲気も気に入らなかった。まあそれはテレビ側の演出だったのかもしれないが。

そんなこんなで結局、今日にいたるまで演奏としての和太鼓を聴く機会には恵まれず。今回、ラ・フォル・ジュルネのプログラムに和太鼓を見つけた時は、ここで聴かなければ一生聴かずに終わってしまうかもと速攻でこのプログラムを選んだしだい。



指揮はロベルト・トレヴィーノ。
昨年は彼の指揮でベートーベンの英雄交響曲を聴いた。
ロベルト・トレヴィーノ


オーケストラがシンフォニア・ヴァルソヴィア。
前日にヘンデルの天地創造を聴いたし、去年に英雄交響曲を演奏したのもこのオーケストラ。
ヴァルソヴィア



和太鼓奏者が林英哲(えいてつ)。
パンフレットによると1984年にニューヨークのカーネギーホールでも叩いたとある。カーネギーホールは日本でいうなら武道館みたいな位置づけで、そこに出演することが一種のステイタス。
林英哲



プログラムは和太鼓協奏曲の飛天遊から。最初は細かく太鼓を叩いて小さな音から始まり、やがて力一杯の連打。まあビックリするくらいの大音量。室内・屋外という違いはもちろんあるとしても、祭り囃子や盆踊りの和太鼓とはまったく次元が違う。和太鼓ひとつでオーケストラより大きな音が出る。太鼓の大きさはたぶん1メートル前後。想像していたより小さなサイズだったが、その音量は耳で聴くというより全身で感じると表現すべきなくらいのパワフルさ。

演奏は10分少々で、和太鼓のソロはその半分くらい。飽きるということはなかった。叩き方=リズムもいろんな展開があったし、太鼓を叩く場所によって微妙な音色や音程の変化も感じられる。時々発せられる掛け声で気分が高揚するのは、やっぱり日本人の血が騒ぐのかも。

協奏曲的には和太鼓のソロ・和太鼓とオーケストラの掛け合い(交互に演奏する)・一緒に演奏する部分に分かれていた。掛け合いの部分はおもしろかった。和太鼓にこんな可能性があったのかと新発見。できたらベートーヴェンやチャイコフスキーにも和太鼓協奏曲を作曲してもらいたかったと思うくらい。

ただし和太鼓とオーケストラが一緒に演奏するパートはちょっと厳しい。その時はメインの和太鼓ではなく、上に載せた写真にわずかに写っている和太鼓のパーカッションセットのようなものを主に叩く。それでもオーケストラに負けない大音量だから、和太鼓パーカッションとオーケストラの音がお互いに邪魔をする。結果として騒音のようにしか聞こえなかった。和太鼓と協奏曲を演奏するならオーケストラは3組くらい必要かな。そんな公演をどこかで実現して欲しい。
演奏が終わるとものすごい拍手。クラシックの場合、指揮者が舞台の袖に下がってから3回再登場するまで拍手を続けるのがお約束になっている。たまにはたいした演奏でもなく、さっさと終わりたい時もあるのだが。でもこの時はラ・フォル・ジュルネで、かつて聞いたことのない拍手の大きさ。皆さん感動したみたい。私としてもこの日の和太鼓は忘れられない体験となった。クラシックコンサートなので「ブラボー」と叫んでいる人がいたが、この場合は「いよ日本一!」というべきだよね(^^ゞ



2曲目がストラヴィンスキーの春の祭典。よくハルサイと省略して呼ばれる。ストラヴィンスキーは1882年生まれで1971年没=明治15年〜昭和46年。つまり比較的最近の作曲家。だからか一般的なクラシックとはかなりイメージの違う音楽が多い。特にこの春の祭典はちょっと前衛的でヘンテコな曲。全部で14楽章に分かれていて、どれも複雑なリズムと不協和音のオンパレード。オーケストラを使ってどんな音を出せるか実験しているような印象も受ける。

しかし単に前衛的なだけの曲はたくさんあるが、春の祭典は完成度が高いので多くのオーケストラで録音されている人気作品。私も一時よく聴いていた。今でも1年に1度くらいは無性に聴きたくなる中毒性の高い曲でもある。なぜか春の祭典を聴くと猛獣のいる密林あるいはジュラシックパークにいる気分になる。共通するのは自然豊かで危険な場所。チューバーが多く使われているので、それがゾウや恐竜の鳴き声を連想させるのかも。

ホームページには書かれていなかったが、パンフレットにはシンフォニア・ヴァルソヴィアと共に東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団の名前があった。ヴァルソヴィアは小編成のオーケストラだから、フルオーケストラを必要とするこの曲の演奏に助っ人が必要だったみたい。ヴァルソヴィア2/3、東京シティ・フィルハーモニック1/3位の混成メンバーでの演奏だった。


演奏はよかったと思う。この曲はたぶんCDで100回以上聴いていると思うが、それと同じような感じで楽しめた。ティンパニーの音量がかなり大きかったのは和太鼓に刺激されたのかも。この曲の演奏は難しいはず。内容的に複雑だし、不協和音が多いから演奏していて「決まった!」というような手応えもないんじゃないかな。オーケストラのメンバーは真剣そのものの表情で演奏していた。

春の祭典は迫力のある大作品。でも気持ちが高ぶるような音楽じゃない。最終楽章も割とあっけなく終わる。初めてこの曲を聴いた人には訳のわからないうちに過ぎた時間だったはず。しかも前曲が盛り上げイノチの和太鼓。このプログラムはラ・フォル・ジュルネ2016としてもファイナル・プログラムとして位置づけられている。だからオオトリとしての盛り上がりが欲しいところだが、ちょっと選曲ミスだったかな。大拍手だった和太鼓と較べて、ごく普通の拍手にとどまったのはオーケストラが少し気の毒だった。



とにもかくにも今年のラ・フォル・ジュルネを聴き終えた。私としてはオラトリオ、ファリャというスペインの作曲家の音楽、そして和太鼓と新しい体験が3つできて満足度高し。来年もまた来られますように。


おしまい



※アーティストの写真はホームページからの借用
 http://www.lfj.jp/lfj_2016/performance/artist/artist_name.html

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2016年05月11日

ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 2016(4)

アンコールのダンス・オブ・ファイヤの余韻さめやらぬまま広場に出る。広場は左右をホールの建物に取り込まれているし、背の高い木もたくさん植えられているので、午後6時過ぎのこの時刻でも少し薄暗い。
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屋台は相変わらずの大賑わい。
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次のプログラムは7時45分開演なので、
東京フォーラムからは1分の距離にある有楽町駅前に出てブラブラ。
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とはいっても有楽町はオフィスからも近く、いってみれば生活圏内。だから特に見て回りたいようなところもなし。


というわけで開演1時間前に会場入り。
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今年はプログラムとプログラムの間の空き時間が、中途半端な間隔になってしまったので用意周到に文庫本持参。


ホールとしては5列目だけれど端っこの席なので、前に座席はなく最前列気分。
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心配していた音のバランスは、バイオリンが少し遠くで聞こえる感は否めない。しかしチェロやコントラバスの細かな旋律ががよく聞こえたので、それはそれで楽しめた。左右どちらかの隅っこを選ぶとしたら右のほうがいいかも。



5月5日の二番目に聴いたプログラムは

  ヴィクトロワ:青龍
  チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番 変ロ短調 op.23


チャイコフスキーのピアノ協奏曲は聞き慣れた曲。もう1つのヴィクトロワは今度こそ正真正銘まったく知らない作曲家。パンフレットによるとヴィクトロワはロシアで音楽活動をしている現役の作曲家。今年はAホールのプログラムしかチケットを取れなかったから偶然なのだが、本日は3公演とも知っている曲と知らない曲のカップリング。それ自体はいい組み合わせだった。



指揮はドミトリー・リス。
ドミトリー・リス


オーケストラがウラル・フィルハーモニー管弦楽団。
ドミトリー・リスはここの常任指揮者のようだ。
ウラル・フィルハーモニー


ピアノがルーカス・ゲニューシャス。
ルーカス・ゲニューシャス

この写真にキュンとなった女子の皆さん。残念ながらこれは二十歳そこそこの頃の写真のようである。ゲニューシャスは1990年生まれだからまだ25か26歳のはずであるが、この日に見た彼はポッチャリと肉付きがよくなり(スーツが窮屈そうだった)写真の面影はあるものの、歳の割には老け顔の微妙な風体になっていた(/o\)

今回は指揮者もピアニストもロシア人。オーケストラもロシアのオーケストラ。ヴィクトロワはウクライナ生まれだがまあ似たようなもの。そしてチャイコフスキーはもちろんロシア人。というわけでオールロシアのプログラム。



まずはヴィクトロワの青龍から演奏が始まる。相撲の朝青龍と違って青龍は「せいりゅう」と読む。中国の伝説上の神獣・四神のひとつで東を守っているらしい。パンフレットによると、この曲は青龍をモチーフとして東西文化の融合を形にしたものとのこと。小難しい現代音楽は苦手なのだが、割とあっさり目でそんなに違和感なく聴けた。ただし東洋的な匂いが音楽に現れているとは感じず。珍しかったのは途中で打楽器のようにコントラバスやチェロが楽器を手で叩いて音を出したこと。バイオリンではそれはなかったが、何億円もするストラディバリウスだったらどうするんだろう?


演奏が終わって拍手が始まると、女性がひとり客席からステージ下にやってきた。指揮者が彼女に拍手というような素振りをしている。客席の中程にコーラス隊でもいたのかと思い振り返っても他には誰もいない。1人で唱ってたから聞こえなかった? あるいはダンサー? そんな風にも見えなかったけど。その時は彼女の正体がわからなかったが、公演が終わって会場を出る時に「あの女性は作曲者のヴィクトロワ」という会話が耳に入ってきた。せっかく作曲者本人が来ているなら、ちょっとトークでもしてくれればいいのに。



そしてゲニューシャス入場でチャイコフスキーのピアノ協奏曲1番。この曲の初めはかなりきらびやかなイメージ。でもピアノは派手でも、実はオーケストラ部分はチャイコフスキーらしい旋律になっているところが好き。チャイコフスキーらしい旋律って何という質問はなしということで(^^ゞ

ゲニューシャスはかなり素晴らしかった。チャイコフスキーのピアノ協奏曲1番はピアニストにとってかなり疲れる曲だと思うが、フォルテシモで連打するところも超早弾きところも、すべてを支配下に置いてまだ余裕があった感じ。オーケストラも最終日の公演なので少し疲れている印象は受けたが音はよかったと思う。


指揮者とピアニストがロシア人で、オーケストラもロシアで多くはロシア人だろうから、とてもロシアっぽい演奏かとも期待したが、それはそうでもなかった。考えてみれば当たり前でチャイコフスキーやラフマニノフにロシアやスラブの雰囲気を感じるところはあるけれど、ロシア人が演奏したからといって譜面通りやるわけだから、それがことさら増幅されるわけでもない。

それにロシア的スラブ的というのも外人がサムライとかゲイシャガールというのと同じで、日本人が思い込んでいる勝手な古典的イメージに過ぎない。演奏者も普段はスマホを持ってユニクロを着てナイキを履いている現代人である(←比喩的表現です)。ゲニューシャスにいたっては平成生まれの若者。ドストエフスキーやトルストイよりもゲームやSNSに馴染みがあるに違いない(←憶測です)。


とはいってもロシア・スラブ的な旋律が大好き(^^ゞ


ーーー続く



※アーティストの写真はホームページからの借用
 http://www.lfj.jp/lfj_2016/performance/artist/artist_name.html

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2016年05月10日

ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 2016(3)

東御苑からタクシーでAホールの正面玄関に乗り付けるも、
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そのまま1階ロビーを素通りして屋台村でビールタイム。
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49列ある1階の21列目から見たステージ。
ステージの壁に模様があるのは、開演前はそういう映像を投影しているから。
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このプログラムの席は3列目のほぼセンター。今回取れた中で一番いい座席のはずだったのだが、この位置が後でちょっと災いすることになる。
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5月5日の最初に聴いたプログラムは

  シューマン:交響曲第1番 変ロ長調 op.38「春」
  ファリャ:交響的印象「スペインの庭の夜」


シューマンは好きな作曲家だが、彼の交響曲はそうでもない。CDも持っているけれどあまり聴いていないかな。ファリャは名前も知らない作曲家だと思っていたが、チケットを買った後で調べたら三角帽子というバレエ音楽のCDを持っていた。

ファリャはスペインの作曲家。スペインの画家はよく知っているがクラシック音楽ってあったけ?というのが私の知識レベル。ビゼーのオペラ「カルメン」は有名でも彼はフランス人。それよりも??と思ったのが「交響的印象」という言葉。普通の交響曲以外に、交響詩や交響組曲というジャンルがあることは知っている。でも交響的印象というのは初めて聞いた。言葉の組み合わせとしても何か違和感がある。それでホームページを見るとピアニストの名前がある。シューマンの交響曲にもちろんピアノは登場しないから、ピアノはファリャの曲で弾かれることになる。スペインのクラシック、交響的印象ってどんなだろうというのがこのプログラムの関心事。


演奏は指揮がマールトン・ラーツ。ステージに出てくる時も去る時も少し小走りで元気に溢れている。指揮の仕方もダイナミック。2曲目の時は指揮棒を忘れて登場し、ダッシュで取りに戻っていた。
マールトン・ラーツ



オーケストラはハンガリー・ジュール・フィルハーモニー管弦楽団。
ハンガリー・ジュール・フィルハーモニー


ピアニストがルイス・フェルナンド・ペレス。
この温厚そうな顔からは想像できない熱くてエネルギッシュなピアノを弾く。
ルイス=フェルナンド・ペレス


シューマンの交響曲が始まる。前日のハイドンの天地創造では歌声に気を取られていたが、改めて生で聴くオーケストラの音はいいなと顔がにやけてくる。音に厚みがあって柔軟。普段は気にならないが、生の音を聴くと録音されたものはどこか音に硬さがあるような気がする。音量はオーディオをフルボリュームにしたときより大きな音で鳴っているはずだが、そうは聞こえないのが生オーケストラの不思議。音が大きいのとうるさいのは違うということなのかもしれない。シューマンの交響曲はまとまりのない曲だしメロディーラインに印象的なところもないが、音に酔いしれて楽しく聴けた。

そしてファリャの「スペインの庭の夜」。ピアノが主役だったからピアノ協奏曲といえるし、構成的には交響詩かな。交響詩は説明が難しいけれど、物語的というか情景を音楽で表現したような曲。うん、やっぱり説明になっていない(^^ゞ というか交響曲だって言葉で説明するのは難しいよね。

それでこの「スペインの庭の夜」。かなりよかった。優雅な部分あり、幻想的な部分あり、謎めいたな部分ありとドラマ性のある内容。今度CDを探そう。でも、これがスペイン的かといわれたら、考えてみるとスペインのことは観光ポスター的にしか知らないので、よくわからないというのが正直なところ。

でもドイツ、オーストリアあたりのクラシック音楽のメインストリームとは違う雰囲気なのは明らか。それと曲全体の雰囲気が近代的。そのまま映画やドラマ音楽に使えそうである。それはファリャが1876年生まれ1946年没(明治9年〜昭和21年)と一般的な意味でのクラシック音楽の最後の時期に活躍したことも影響しているのだろう。

ピアノのペレスはかなりダイナミックな演奏。ちょっと鍵盤を叩きすぎるような気もするが、生演奏ではそれくらいでいいような気もする。問題は演奏ではなくピアノ。響きがなくものすごく固い音だった。

座席は3列目中央で目の前で演奏しているようなものだからなのか? でもピアノの響きというのはピアノのボディの中で生まれるものだから、ピアノに頭を突っ込まない限りそんなことはないはず。しかし次のプログラムでは同じホールの少し離れた席でこのプログラムよりは響きのあるピアノの音に聞こえたから、やはり聴く位置が関係するのか? 理由はよくわからないが、ピアノの音が固かったのは残念だったし、その固い音を3列目の大音量で聴くのはちょっときつかった。


ラ・フォル・ジュルネではあまりアンコール演奏はないのだが、ペレスはソロでアンコールを演奏してくれた。同じくファリャのダンス・オブ・ファイヤという曲。これがまさに火を噴くような熱演! 固いピアノの音が鼓膜を直撃したけれど、そんなことも忘れて聴き入った。このアンコールのインパクトが大きすぎて、それまでの演奏を忘れそうになるくらいの満足度。


ーーー続く


※アーティストの写真はホームページからの借用
 http://www.lfj.jp/lfj_2016/performance/artist/artist_name.html

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2016年05月08日

皇居 東御苑

北の丸公園を抜けて東御苑へ。

北桔橋門(きたはねばしもん)の先の受付で、例によって入園票を受け取ると、目の前に現れる石垣。これは昨年も見た天守台=天守閣が建っていた土台部分。
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巨大な天守台の横を抜けて、
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芝生広場に。このあたりは大奥があったところ。去年も書いたが、ここに家康や家光がいたのかと思うと歴史と今とのつながりを感じる。
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今年歩いたのはマップに赤く塗ったエリア。マップの7の芝生広場から15へ抜ける道は現地の案内看板には書いてなかった?ので、いったん入口のほうに戻る。
東御苑


このモダンな建物は、
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宮内庁書陵部。
書陵部というのは皇室関連の文書と陵墓(天皇の墓)を管理してて、両方の漢字をくっつけた造語。それにしても言葉の響きと建物のイメージが合わない。
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書陵部の先の坂道には、
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梅が植えられている。
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梅の実がたくさんなっていた。
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坂を下りると石垣。本丸を守るためのものと思う。
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上の写真の左側、東方向に降りていくと二の丸エリア。
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本丸や二の丸というのは城の中のエリアの呼び名。城は曲輪(くるわ)または郭(くるわ)と呼ばれるいくつかのブロックで構成される。その中で重要なブロックには「丸」の名前がつく。

最も重要な曲輪が本丸。基本的には大名の執務・居住エリア。その次に重要なのが二の丸で三の丸がそれに続く。なぜか本丸を一の丸とは呼ばないし、数字を使うのは三の丸までが習わしで四の丸や五の丸というのはない。三の丸以降の重要ブロックは北の丸や西の丸といった東西南北、あるいはその他固有の名前がつけられる。

ちなみに今年のNHK大河ドラマは真田丸。それは真田信繁(幸村)が大阪冬の陣で築いた陣地の名前で、丸がつくのはそこが重要ブロックだから(と思う)。ついでに船名に丸をつけるのが城の丸に由来しているのかどうかはわかっていない。

今の二の丸エリアは雑木林になっている。
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土地に何も手を入れないと雑木林になる。公園部分もそうだが皇居本体もできるだけ雑木林を残すように造園されているらしい。皇居がなかったら都心のヒートアイランド現象はもっと激しいかも。


都道府県の木が植えられている一画があった。
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この宮崎県産のフェニックスは反則かなあ。目立ちすぎる(^^ゞ
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諏訪の茶屋。
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数奇屋風の書院茶室様式らしい。茶室とは四畳半ほどの大きさだし、虚飾を廃したシンプルな造り。書院造りは基本的に格式ばったもの。この2つがどうして合体するのか建築には詳しくないのでよくわからない。


二の丸庭園。
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松は立派で形もいいのだが、背景が雑木林だから眺めとしては映えない。庭園美と自然との共生は意外と難しいのかも。
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雑木林の中の遊歩道を歩く。
東京駅から歩いてこられる場所で森林浴ができるのは素晴らしい。
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大手門のほうへ降りていく。見覚えのある100人番屋。江戸時代を背景に高層ビル群が見える光景がシュール(超現実的)。
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大手門を出た橋の上から。ここを境に北側にあるお堀が大手濠で、南側が桔梗濠(ききょう)と呼ばれる。
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皇居のお堀は20程のエリア別にそれぞれ名前がついているが、そのほとんどが濠(ごう)で淵がつくのは千鳥ヶ淵と牛ヶ渕だけ。江戸城の場合、濠というのは基本的に掘って造ったか窪地に水を溜めたもの。淵は小さな川をダムでせき止めて水面を広げたものという違いらしい。

お堀には明治の中頃まで玉川上水(多摩川の上流で取水して江戸市中に水を供給していた水道)が流れ込んでいたが、玉川上水廃止後は新宿にあった浄水場の余った水だけを使うようになり、それも1965年頃に廃止されて(その跡地が都庁などがある新宿副都心)、現在は雨水と地下水だけがお堀の水源。大雨が降れば下水の水も流れ込む。浄化設備による取り組みはいろいろ行われているようだが、今のところ皇居のお堀といえばグリーンという印象なのが残念。


中央分離帯のところで信号が赤になってしまったついでに内堀通りを撮影。
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東御苑を出たのが午後4時。この日のラ・フォル・ジュルネは4時45分スタートのプログラムから。歩いて東京フォーラムに向かっても間に合う時刻であるが、屋台村でビールを飲んで休憩したかったのでタクシーで移動。
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2016年05月07日

皇居 北の丸公園

昨年はラ・フォル・ジュルネのプログラムの空き時間に会場を抜け出し、皇居の外苑東御苑を見て回ってなかなか楽しめた。それで今年は3つある皇居の公園の残り1つである北の丸公園を訪れることに。それと北の丸公園に隣接する東御苑で昨年は見なかった場所にも足を運んできた。
皇居地図2

5月5日のラ・フォル・ジュルネで聴くプログラムは午後4時45分から。だから今回は皇居を回ってから会場に向かうという順序。


都営新宿線の九段下駅で降りる。少し歩けば北の丸公園である。道路を挟んで写真右側の木々は靖国神社の参道。
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公園入口の東側のお堀は牛ヶ淵(うしがふち)という。桜の名所である千鳥ヶ淵(ちどりがふち)は誰でも知ってと思うが、こちらの名前はかなりマイナー。牛ヶ淵も千鳥ヶ淵と同じように桜がたくさん咲くのに。
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公園の入口に入らず靖国通りをそのまま進むと、高燈篭(たかとうろう)あるいは常燈明台(じょうとうみょうだい)と呼ばれるものがある。灯台のような形をしているが、元々は明治4年(1871年)に造られ、靖国神社に祀られた霊のために明かりをともしていたもの。靖国神社の前に建てられていたが道路改修の都合で道を挟んだこの場所に移転したらしい。
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灯台のような形と書いたが、九段は小高い丘となっているので(九段の丘の下にあるのが九段下という地名)当時は品川沖の船から高燈篭の明かりが見えて、灯台の役割も果たしていたようである。


高燈篭と並んで建てられているのが品川弥二郎と大山巌の銅像。品川弥二郎は長州藩出身の幕末から明治にかけて活躍した政治家。大山巌(いわお)は薩摩出身の軍人。日清日露戦争を指揮し、死後は国葬が執り行われた。ちなみに日本で国葬となったのは今まで21名。
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大山巌は何となく知っていたが、品川弥二郎の名前は記憶にないなあ。銅像なんかを見て少し歴史を調べてみるのも都内散歩のおもしろさ。


銅像を過ぎると桜名所の千鳥ヶ淵。
桜のシーズンにはこんな風景あんな風景が見られる。


いよいよ北の丸公園に入る。入口は田安門。外側にある高麗門と内側の渡櫓門(わたりやぐらもん)のセットで田安門を構成している。
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敵に外側の門を突破されてもまっすぐ進入できないようにして、内側の櫓(やぐら)の上から攻撃するという構造。この仕組みを枡形門(ますがたもん)といい、多くの城で採用されている。ということは攻める側もこの構造を承知なわけで、どれだけの効果があったのかは疑問。もっとも江戸城は敵の攻撃にさらされたことはないはず。私が大砲のない時代の軍隊の指揮官なら、この構造物を焼き尽くしてから進入するかな。


この田安門は江戸城初期の頃から残る建物で重要文化財になっている。
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田安門というのは徳川御三卿(ごさんきょう)の1つである田安家が、この門の近くに屋敷を構えていたことに由来する名前。御三卿は田安・一橋・清水だけれど、同じく徳川の分家である尾張・紀州・水戸の御三家と較べると印象が薄いかな。それにしても御三家や御三卿というのは徳川の世を未来永劫存続させようという強い意志を感じるね。



田安門をくぐってすぐのところにあるのが日本武道館。広々とした敷地の中にあるからか、それほど大きな建物には感じない。
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運動禁止の立て札があちこちに。運動がどこまでの範囲を示すかわからないが、このあたりはジョギングしている人もいなかった。
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現在位置。この後は地図で左下45度方向へ進む。
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いい感じの芝生広場。
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芝生の隣が水辺になっている。
川というより敷地内部に張り巡らされたお堀というべきなんだろう。
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新緑と青空。まさに初夏。
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芝生広場を進むと日差しがまともに当たるので水辺沿いのコースを歩く。
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芝生広場を取り囲むように水辺が続き、先ほどとは反対方向から見た風景。
絵に描いたようなノンビリした風景。
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これは花びらに白い模様があるからカキツバタかな。
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公園の隅にあるこのクラシックな建物は、
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旧近衛師団指令部庁舎で、現在は東京国立近代美術館の工芸館。
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また銅像で北白川宮能久親王。能久は「よしひさ」と読む。皇族であり軍人。昔の皇族は数が多いので少し調べただけでは「誰なのか」ピンとこない。とりあえず明治天皇の義理の叔父に当たる人らしい。
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軍人あるいは武士の銅像はやっぱり馬に乗っているのが似合う。今の軍人を銅像にするなら制作者はポーズに悩むかも。



田安門からほぼまっすぐ南下しただけで、あちこちを歩き回らなかったので北の丸公園は30分くらいで通り抜けた。

北の丸公園と東御苑の間には道路が横切っている。ここには写っていないが首都高も通っている。北の丸〜東御苑〜外苑の3つは一般に開放されているとはいえ、お堀で囲まれたエリア全体が皇居というイメージが何となくあるので、東京に来て初めてこのあたりの道路を通った時は少し驚いた記憶がある。
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北の丸公園の南側出口に門はない。田安門は江戸城の出入り口であったから門が設けられているけれど、北の丸公園の南側は江戸城内部だからかな。

北の丸公園の南出口に面しているのが乾門。江戸城内部なのに門?
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調べてみると乾門は明治になってから作られた門。ここから先が天皇の宮殿・住居である本当の意味での皇居。大雑把にいうと徳川家は江戸城の東半分を主に使っていたのに対して、天皇家は西半分を使っている。そして余った東半分の北の丸〜東御苑〜外苑が一般に開放されたという歴史のいきさつ。

乾門に近づくと警官が手を振って「こっちに来るな」と合図する。カメラを構えるとちょっとオスマシ(^^ゞ 普段は立ち入り禁止だが、新年の一般参賀などではこの門から入る。


乾門から1〜2分離れたところの北桔橋門(きたはねばしもん)から東御苑に入る。
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また江戸城内部なのに門?であるが、東御苑は江戸城本丸(将軍の住居)だったところであるから、警戒厳重にその内部への出入りを監視していたということだろう。


北桔橋門の東側は平川壕というお堀。東御苑=本丸側の石垣はかなり高くて防御力を高めていることがわかる。赤い印がある建物は去年に片岡球子展を見た東京国立近代美術館。
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この出入り口では警官による持ち物チェックがある。
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これが極めて役所的な「キチンと仕事をしていますよ」アピールのためのパフォーマンス。とりあえずカバンの中を見るだけ。帰りに通った大手門ではチェックをしていないから、ここだけでやっても意味があるとは思えない(大手門はここよりはるかに人の出入りが多いので、荷物チェックするなら大仕事になる)。荷物しか見ないのでポケット入れた爆弾はお咎めなし。それに警察や軍隊で警備の仕事は二人一組が鉄則のはずだが、見ての通りお巡りさんはたった1人でのんびりと。とりあえず日本が平和の国でよかった.


ーーー続く

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2016年05月06日

ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 2016(2)

ラ・フォル・ジュルネの人気は高くなっているみたいだ。一昨年〜昨年は4月の終わりに座席の位置を気にしなければ、どのプログラムを聴こうかと選り好みできた。しかし今年は4月最初の時点でAホール以外、つまり中小サイズのホールで私の聴きたい=あまりマニアックでないプログラムのほとんどは売り切れになっていた。今年はピエール=ロラン・エマールや広瀬悦子といったCDを持っているアーティストも参加していて、その演奏を是非聴きたかったのに残念。

というわけで今年聴いたのはAホールのプログラムのみ。ここは5000人規模の超大型ホールで、過去に何度か書いたようにクラシックの演奏会をするには無理があるサイズ。経験上1階の15列目までで聴かないと音量的にフラストレーションが溜まる。49列ある1階の46列目で聴いたことがあるけれど「スピーカーのボリューム回してくれ〜」という気分だった。2階の経験はないがおそらく論外。

クラシックの場合に理想的なのは5〜8列目の真ん中あたり。前に行くほど音は大きいが、ステージは客席より高いので、あまり前だとオーケストラ全体が見えない。また端のほうだとオーケストラは横に広がって演奏しているから音のバランスも悪くなる。しかし身体全体で浴びるように音楽を聴きたいというのが生演奏に出かける優先事項なので、左右は気にせずできるだけ前の座席を買うことに決める。

チケットを買ったのは4月4日。それで購入できたのが次の座席。57や58番はとても隅っこという感じだが、そのプログラムでセンター寄りの座席はもう40列以降にしか残っていなかった。
座席





5月4日に聴いたのはハイドンのオラトリオ「天地創造」。ハイドンを代表する傑作という知識はあっても、あまり聴いた記憶もないしCDも持っていない。でもこのプログラムを選んだのは、この曲がオラトリオで声楽をともなうから。オペラと較べてオラトリオという音楽用語は聞き慣れないかもしれないが、こういう区別になっている。

オペラ
オーケストラの演奏付きで登場人物が歌いながら芝居を演じるもの。
オペラの現代版がミュージカル。もっともミュージカルの歌は肉声じゃなくマイクで拾ってスピーカーで流すのが大きく違う。音楽も生演奏とは限らない。

オラトリオ
まず音楽のテーマがキリスト教関連のものということになっている。
オーケストラと声楽の共演なのはオペラと同じで、その内容や構成も演劇的であるが、オラトリオでは芝居はしない。歌手は普通に立って歌う。



演奏は指揮者がダニエル・ロイス。アクション大きめの振り方。
ちょっと大杉漣に似ているかも。
1ダニエル・ロイス


オーケストラは昨年ベートーベンの英雄交響曲を聴いたシンフォニア・ヴァルソヴィア。
2シンフォニア・ヴァルソヴィア

この写真よりも小編成での演奏だった。ちなみにヴァルソヴィアとはポーランドの首都のワルシャワのフランス語読みらしい。ラ・フォル・ジュルネはフランス発祥のイベントなのでフランス語がよく使われる。


歌手陣は
リュシー・シャルタン (ソプラノ)
この写真は運転免許証的に写りが悪い。もっとキレイな人だった。
3リュシー・シャルタン


ゾエリーヌ・トロイエ (アルト)
ほとんどを合唱団メンバーとして歌い、最後にメイン歌手として前列に登場。天地創造ではそういう演出がお約束らしい。
4ゾエリーヌ・トロイエ


ファビオ・トゥルンピ (テノール)
6ファビオ・トゥルンピ


アンドレ・モルシュ (バリトン)
この写真よりもっと髪が長く髭も濃くて、パッと見はあの「ショーン・ マクアードル川上」に似ている(^^ゞ 声もよくイケメンなんだけれど背がかなり低い。
5アンドレ・モルシュ


なおの高さは、高いものから次の順番となる。

     女性
      ソプラノ
      メゾソプラノ
      アルト

     男性
      テノール
      バリトン
      バス


ローザンヌ声楽アンサンブル
ソロで歌う歌手がいてオーケストラもいるから合唱団はオマケみたいなものかと思っていたが、一番感動したのは合唱の素晴らしさだったかもしれない。
7ローザンヌ声楽アンサンブル




人間って大きな声が出るんだなあというのが最初の驚き。喉仏あたりにある声帯は2センチ弱程の筋肉。楽器と違って喉や口の中で声が共鳴して大きくなるわけでもない。それが小編成とはいえオーケストラの演奏をバックにソロで歌ってかき消されないのだからすごいものだ。ソロの4人に自宅のリビングで歌ってもらったら、どんな音量なんだろうか。

曲や演奏の批評を書くのは私の感性や音楽知識レベルでは難しい。感想として表現するなら演奏を聴いている間ずっと心地よかったということ。天地創造の演奏は約2時間と大変長いのだが、退屈せず居眠りすることもなく音楽に身をゆだねていた感じ。リュシー・シャルタンの歌声は美しく澄み切っていたし、ローザンヌ声楽アンサンブルのコーラスはステージ奥から放物線を描いて私のいる場所に落ちてくるような気がした。

ただし何を歌っているかはさっぱりわからない。会場では歌詞を記したパンフレットをくれるのだがほとんど見ずじまい。それを読むと「はじめに神は天と地を想像された。地は形なく、むなしく、闇が淵のおもてにあった」で始まり「いまや野は爽やかな緑をさしいだして目を楽しませ、花々の優しい装いがその優美な眺めをさらに高めた」とか「喜ばしき輪を描いて大気の中を揺れ動き、健やかな鳥たちの群れが舞う」というような歌詞が延々と続いている。だから天地創造のキリスト教的な叙述だと理解しているだけで充分。歌というより人の声という音色を楽しんだというところ。もし日本語で歌われたら退屈したかも。

でもそう考えるのは少数派のようで、4000人ほど入っていたと思われる観客の多くがいっせいにパンフレットのページをめくるものだから、その時の紙の音は結構大きかった。ステージ両サイドの壁には大きなスクリーンがあって演奏風景を常に映し出しているのだから、そこに歌詞を表示すればいいのにと思う。


それはともかく初めての生オラトリオは大変満足のいく体験だった。オラトリオは宗教音楽だから、全体としては単調なパートの部分が多い。だからCDで聴くとちょっと退屈する。でも生演奏だと音以外の何かが伝わってくるのか、ずいぶんと印象が違って生き生きとした音楽に感じた。次は舞台装置は簡単でいいから、ラ・フォル・ジュルネでオペラもやってくれるとうれしいな。


ーーー続く

※アーティストの写真はホームページからの借用
 http://www.lfj.jp/lfj_2016/performance/artist/artist_name.html

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2016年05月04日

ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 2016(1)

ゴールデンウイークにラ・フォル・ジュルネに行くようになって3年目。もっとクラシック音楽を生で聴きたいとは常々思ってはいるものの、今のところコンサートに出かけるのはこの音楽祭だけである。今年は4日に1つ、5日に3つと合計4つのプログラムを楽しんできた。ちなみに全部で300程のプログラムがある。

4日のプログラムは午後8時開場・8時45分開演なのだが、8時開演と勘違いして7時半に会場である東京国際フォーラムに入ってしまった。

広場はいつも通りの大賑わい。
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タイプ2と呼ばれるワーゲンのバンを使った屋台。
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空冷のビートル(カブトムシ)がタイプ1で、このバン以外にタイプ3〜4とカルマンギアと5つのバリエーションがあった。フロントウインドウが2分割されているのがタイプ2の初期モデルで1950年から67年までの製造。だからこのクルマは少なくとも50年近く前のクルマということになる。かなり昔だが友人のタイプ2に乗って九州まで行ったことがある。分割ウインドウから見える風景とシンプルきわまりなく遮音性ゼロの車内で、なんとなく第2次世界大戦頃の爆撃機に乗っているような気分だったのは懐かしい思い出。


この日に聴くのは宗教音楽なのでビールは禁止。
宗教上の理由ではなく眠たくなったら困るから(^^ゞ
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広場の中央にあるステージで行われている無料演奏会。
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デジタルズーム2.5倍くらいで撮ってみる。
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演奏していたのは洗足音楽大学の三島彩・鈴木舞衣のお二人。



今年のテーマは「la nature ナチュール - 自然と音楽」。毎年テーマ設定があるけれど、それがプログラムの選定とどう関わっているのかいまいち理解できず。
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いろいろなイベントが行われている展示ホールに入る。
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入口両サイドに飾られていたフラワー・アレンジメント。
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これはとてもキレイだったのに、
陽の光ではなく照明の下で写真を撮ると人工的な感じで写ってしまう。
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展示ホールの下にも無料演奏のステージがある。
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グッズ売り場。
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去年より作曲家グッズが増えているような気がする。
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これは去年もあった人形。左からハイドン、バッハ、ベートーベンかな。
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このミニチュア楽器はケースもついている。
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時間をもてあましたので結局ーーー(^^ゞ
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会場に入る。
今年チケットを買えたのはすべてAホール。その話は後ほど。
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何度訪れても巨大さを感じる5000人収容のAホール。
この位置で1階席の2/5程度。
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3列目のやや右寄りの席で聴く。
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ーーー続く

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2015年05月19日

ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 2015(5)

最後に聴いた公演はCホールで、ここには初めて入る。東京国際フォーラムのホームページによれば座席数1502で「音楽ホールの理想の形を追求した」とあるから期待できる。1階席は24列までと常識的な数字。

私の席は11列目で2日のベルリオーズのようにオーケストラの迫力を楽しめるはず。ステージの後ろにある反響板もよく響きそうである。
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【公演番号346】

  曲名
    シューベルト:「ロザムンデ」序曲 D644
    シューマン:ピアノ協奏曲 イ短調 op.54



  演奏
   アジス・ショハキモフ (指揮)
   デュッセルドルフ交響楽団

   エカテリーナ・デルジャヴィナ (ピアノ)
エカテリーナ・デルジャヴィナ

             (写真はラ・フォル・ジュルネのホームページより)



指揮者とオーケストラは初日にブラームスベルリオーズを聴いたのと同じ組み合わせ。彼らがステージに上がってくると、2日で3回目なので妙な親近感を感じる。


ロザムンデ序曲は、まあ前座みたいなもの。このプログラムの本命はシューマンのピアノ協奏曲。この曲は割とよく聴く。出だしのピアノが印象的でドラマティックな曲である。

ピアノの演奏はちょっと固かったかな。演奏の善し悪しはわからないけれど、それでも好き嫌いはある。でもCホールの11列目はAホールの7列目より大きな音でオーケストラを聴けたので、だんだんと細かなことより音楽に身を任せる快感の方がまさってくる。

オーケストラを生で聴いて楽しいのは、その音の厚みである。厚みというのは音色のことではなくて、響きというか音の伝わり方に厚みがあるということ。楽器が空気を振動させて、それが音となって耳に届く。オーディオの場合はスピーカーなわけだが、私には絵のように2次元の平面上に音が展開しているように思える。しかも耳に届くというより、こちらからスピーカーの音を聴きにいっている感じ。それが生オーケストラの場合、平面ではなくステージの奥行きが加わって立方体になって届いた音の中に頭を突っ込んでいるように感じる。この説明が論理的でないのは承知している。でも、そう聞こえるのだから仕方がないし、それが聴きたくて演奏会に出かけているところもある。


何はともあれ、クラシック音楽ってこんなに楽しかったっけと音楽と音に酔いしれた。よく知っている曲なので、演奏がどのあたりまで進んでいるのかがわかる。できたら途中で「戻る」ボタンを押したかったね(^^ゞ


さてシューマンのピアノ協奏曲が素晴らしかったと、どれだけ書いても「そんな曲は知らん」という人のほうが多いだろう。しか〜しである。もしあなたが私の同世代のオッサン・オバハンなら子供の頃に聴いたことがある可能性は高い。ひょっとしたら涙を流しながら聴いていたかも知れない。

なぜならウルトラセブンの最終回、ダンがアンヌに「僕は人間じゃないんだ。M78星雲から来たウルトラセブンなんだ!」と告白する印象的なシーンで使われていたのがシューマンのピアノ協奏曲だからである。


「ウルトラセブンなんだ!」の次のピアノの連打からがシューマンのピアノ協奏曲。


はい、10回見ましたか?
もう涙は拭き終わりましたか(^^ゞ


ウルトラセブンを見ていた頃に、この曲の題名などを知っていたわけではない。しかし大人になって初めて聴いた時、出だしのピアノを聴いたとたんに、あのシルエットになったダンとアンヌのシーンが脳裏に蘇ったーーーというと大げさだが、何となくどこかで聴いた記憶があると思った。それだけあの最終回は子供心に衝撃的だったのだと思う。

まだネットなんかなかった頃の話で、ウルトラセブンで使われていたことを確認するのに時間がかかったが、それ以来「シューマン:ダンとアンヌのピアノ協奏曲 」とかってに曲名を変更している。




今年もラ・フォル・ジュルネを楽しめてよかった。書き忘れたがベルリオーズを聴いた時は、私の前の席に、このイベントの仕掛け人であるルネ・マルタンが座っているという珍しい体験もできた。去年もそうだったが生の演奏を聴いた後は、CDを聴いてもいつもより楽しいし、耳が敏感になるのかより細かなところまで聞こえる気がする。これほど大規模でなくても、気軽に出かけられるクラシック音楽祭がもっとあればいいのにと思う。


おしまい

wassho at 08:26|PermalinkComments(0)

2015年05月17日

ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 2015(4)

今年は5月2日〜4日開催のラ・フォル・ジュルネで

  5月2日:4公演
  5月4日:2公演

を聴いてきた。
ずいぶんと間が空いたが5月4日分のエントリー。この日は午後6時30分と午後7時45分の公演だけなので途中のお散歩はなし。


本日の1つめは2日にベルクとシェーンベルクを聴いたB7ホール。

入り口の様子。
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もう見慣れた会場風景。
この会場はパイプ椅子だが、このパイプ椅子は割と座り心地がいい。
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私の席は11列目で、やや右寄り。
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【公演番号325】

  曲名
   C.P.E.バッハ:シンフォニア ト長調
   C.P.E.バッハ:シンフォニア 変ロ長調
   C.P.E.バッハ:チェンバロと2つのヴァイオリン、ヴィオラ、コントラバスの
          ための協奏曲 ニ短調


どの公演のチケットを買おうかプログラムを見ていた時「C.P.E.バッハって誰?」というのが興味を持ったきっかけ。誰でも知っている音楽の父バッハはJ.S.バッハ(ヨハン・セバスチャン・バッハ)である。それでC.P.EなるバッハはJ.S.バッハの息子とのこと。C.P.Eはカール・フィリップ・エマヌエルの略。へえ〜息子も作曲家だったんだと少し調べてみると、生前の父バッハはそれほど評価されておらず、このカール・フィリップ・エマヌエルともう1人の息子であるヨハン・クリスティアンの方が有名だったらしい。

アマゾンのクラシック作曲家別カテゴリーでリストアップされているのは

   父 :J.S.バッハ  7002件
   息子:C.P.E.バッハ  642件
   息子:J.C.バッハ   2449件

え〜私が知らなかっただけでC.P.E.バッハとJ.C.バッハも、たくさんCDが売られているんだとビックリした。しかし息子たちのページにあるCDのほとんどは父J.S.バッハの曲しか入っていないものだったので、この作曲家別カテゴリーというのはあまり信用できない。


それでアマゾンの検索窓にそれぞれの名前を入れて検索してみると

   父 :J.S.バッハ  12165件
   息子:C.P.E.バッハ  1224件
   息子:J.C.バッハ   887件

という結果になった。これでも息子たちの検索ヒット数が相対的に多すぎるように思えるが、それは私が無知なだけかも知れない。


  演奏
   ロベルト・フォレス・ヴェセス (指揮)
ロベルト・フォレス・ヴェセス


   オーヴェルニュ室内管弦楽団
オーヴェルニュ室内管弦楽団


   鈴木優人 (チェンバロ)
鈴木優人

             (写真はラ・フォル・ジュルネのホームページより)

鈴木優人(まさと)のことはほとんど知らなかったけれど、この人は鈴木雅明の息子。父の方は日本クラシック界では割と有名なので何となくは知っている。バッハの息子のC.P.E.バッハの曲を同じく鈴木雅明の息子が弾くというのも面白い。


それでこのプログラムでは面白い体験をした。

まずC.P.E.バッハの曲はどんなだろうと思って聴いていたが、父バッハとはあまり似ていない。バッハとベートーベンを足して割ったようなイメージ。それと低音部の展開が多いのが印象的。

3曲目でオーヴェルニュ室内管弦楽団のチェンバロが退席して鈴木優人と交代。退席した奏者も日本人だったから臨時メンバーかな。チェンバロの楽器自体も入れ替えで、それまでは20名ほどの小規模なオーケストラの中程にあったが、新しいチェンバロは最前列に配置される。登場した鈴木優人はオーラが漂うというのとはまた違うが、才気溢れるという雰囲気の人だった。

それで3曲目はチェンバロ協奏曲。チェンバロとは小型のピアノみたいな楽器。英語ではハープシコード。生で聴くのはたぶん初めて。

でも音が小さい(>_<)
ピアノ協奏曲ならピアノの音はオーケストラに負けていないが、チェンバロは回りの音にかき消されてしまっている。協奏のところはほとんど聴き取れない。それとソロのパートだったり他の楽器の音が小さい場合は、もちろんチェンバロが聞こえてくるのだが、その音がとてもおかしい。一言で言うなら音の帯域が狭い感じ。帯域が狭いとは昔の電話の音声を思い出して欲しい。チェンバロってこんな音だったっけ? まさか楽器が壊れてる? 

チェンバロの音に気を取られながら演奏終了。
とはいうものの初めて聴くC.P.E.バッハはなかなかよかった。


ところでクラシックでは演奏が終了した後は拍手を続けて、

   指揮者やメインの演奏者がステージからソデに消える
     ↓
   ステージに戻ってくる
     ↓
   指揮者やメインの演奏者がステージからソデに消える
     ↓
   ステージに戻ってくる
     ↓
   指揮者やメインの演奏者がステージからソデに消える
     ↓
   ステージに戻ってくる

と3回ステージに呼び戻すことがお約束になっている。普通はアンコール演奏もあるのだろうが、ラ・フォル・ジュルネの場合はプログラムが立て込んでいてハシゴで見る人が多いせいかアンコールはないものだと思っていた。4回目にソデに消えたら場内が明るくなって公演終了の合図。

ところが鈴木優人は3回目にステージに戻ってきた時にアンコール演奏を始めた。曲名は忘れたが、彼が最初に演奏した思い出の曲だと話していた。

    なんていい音色!

さっきまではチェンバロが壊れているのかと疑っていたが、ソロで演奏されたその曲は、ピアノとギターが混ざったようなまさにチェンバロの音色でとても素晴らしかった。短い曲だったが堪能。

じゃあオーケストラと一緒だった時は、どうして帯域の狭いこもったような音に聞こえたのだろう。色だと組み合わせによっては本来とは違う色に見えたりするが、音にもそんなことがあるのか? あるいは私の耳がおかしいのか。手を挙げて質問したいくらいだった。まあチェンバロ協奏曲を生で聴く機会は滅多にないから、この疑問が解決する日が来るかどうかわからないが、とりあえず私の耳にはそう聞こえたというお話。


ーーー続く

wassho at 18:34|PermalinkComments(0)

2015年05月15日

ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 2015(3)

5月も早半ばだが、
皇居見物から戻ってきた後の5月2日ラ・フォル・ジュルネ初日の続き。

この日はあと2つの演奏を聴いた。
場所はどちらも巨大なAホール。

階段の下で改札口というかチケット確認。
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中2階のようなところでグッズを売っている。
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美術展にもよく行くが、美術館の売店と同じようなノリの品揃え。
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Tシャツは買いたいのにXLサイズがないんだよなあ。
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これは可愛かった。
緑の服がバッハで黒がベートーベン。
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Aホールの1階真ん中あたりから後ろの様子。
5008名収容というのはとにかく巨大な空間。
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27列目の私の席からの光景。2000人規模の「普通サイズの大ホール」ならほとんど一番後ろに相当するというのは前回書いた通り。
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【公演番号115】

曲名
 ベートーヴェン:交響曲 第3番 変ホ長調 op.55 「英雄」

演奏
 ロベルト・トレヴィーノ (指揮)
ロベルト・トレヴィーノ


 シンフォニア・ヴァルソヴィア(オーケストラ)
シンフォニア・ヴァルソヴィア

ラ・フォル・ジュルネはクラシック音楽とはいえ、カジュアルな音楽祭なので小編成のアンサンブル(2人以上で演奏すること)では服装もカジュアルなことがある。でもオーケストラではそれなりにフォーマルな服装。指揮者はモーニングや燕尾服のような裾の長い服を着ている場合が多いが、このポーランドのオーケストラであるシンフォニア・ヴァルソヴィアでは、男性の演奏者もそういう服を着ていて格調高い雰囲気。


久しぶりに聴くベートーベンの英雄は、他に演奏を評価するボキャブラリーを持っていれば思うが、普通によかった。音量は本日2つめに聴いた公演とほぼ同じ座席位置だからあまり迫力はないが、だんだんと耳が慣れた以上に演奏の後半は音が大きくなったように感じた。オーケストラもだんだんとノッテきたのかな。

ちなみに全部で9つあるベートーベンの交響曲のうち

   第3番:英雄
   第5番:運命
   第6番:田園

の3つだけにタイトルがついている。それで3番だけは英雄ではなく、そのイタリア語やフランス語であるエロイカといった方が通っぽい。英雄というタイトルがついている曲は他にもあるかも知れないけれど、クラシック音楽界でエロイカといえばベートーベンの交響曲第3番を指す。「ベートーベンの英雄」というより「エロイカ」といったほうがそれっぽいから、ハッタリを効かす必要がある時は思いだして。でも間違っても運命のことをディスティニーなんていわないように。



次の公演まで1時間ちょっとあるので、また会場をブラブラ。


こちらはホールではなくガラス棟と呼ばれる建物。全部で31の会議室が入っている。この船のような屋根のデザインが東京国際フォーラムのシンボル。
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もうこの時間になるとチケット売り場も人は少ない。
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地階にある展示ホール。このエリアに入るにはラ・フォル・ジュルネの公演チケットか、その半券を見せる必要がある。
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前夜祭の様子のパネル写真。
前夜祭があるなんて知らなかった。来年は来てみようかな。
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LFJはもちろんラ・フォル・ジュルネの略だが、
アルファベット3文字で書くと銀行みたい。
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協賛メーカーの宣伝ブースもある。
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CD売り場。
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展示ホールの半分を使っておこなわれている無料コンサート。
私がいた時はまだ音合わせ中で演奏は聴けなかった。
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外はすっかり日が落ちているが、
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人の多さは相変わらず。
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本日3回目のAホールに向かう。
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ホールに入ってみると、
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まだ楽団員が練習していた。
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普通は開演前にホールに入ると音が聞こえる場合でもステージには誰もいないから、練習はステージの裏かどこかでやるものだと思っていた。だから珍しいものを見られてラッキー。ステージで練習することを事前に知っていたらブラブラしないでまっすぐ会場に来たのに。残念ながら私が着いてすぐ練習は終わってしまった。


それで今回は7列目。しかもど真ん中の席!
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【公演番号116】

曲名
 ベルリオーズ:幻想交響曲 op.14

演奏
 アジス・ショハキモフ (指揮)
 デュッセルドルフ交響楽団

指揮者とオーケストラは
本日2つめに聴いたブラームスのピアノ協奏曲と同じ組み合わせである。


この公演はとても楽しみにしていた。ベルリオーズの幻想交響曲は第4楽章で「♪ター、タンタタ、ドゥバァー」とドゥバァーのところでチューバの重低音が炸裂する。以前にちょっとガタツキのある棚にスピーカーを入れていた時は、そのドゥバァーで床に振動が伝わってきたくらいである。それを生のオーケストラで聴いたら、どんな風なんだろうかとずっと思っていた。それがいよいよ実現する。しかも7列目の席。この歳になって期待に胸高鳴るなんて経験をするとは思わなかった(^^ゞ

演奏が始まった。さすが7列目。遠くで音楽が鳴っているのではなく、身体の周りが音で包まれる。ベルリオーズの幻想交響曲は「幻想」というタイトルからイメージされる華麗に流れるような音楽ではなく、とてもリズミカルで立体的な交響曲。オーケストラも弾けるべきころは弾け、うねるべきところはうねってとても素晴らしかった。指揮者のショハキモフはブラームスの時もアクションが大きかったが、このベルリオーズでは「もし猫が後ろ脚で立ってダンスを踊ったらこんな感じか」というような動きでノリノリ(わかりづらい比喩でゴメン)。

ところで期待していたチューバのドゥバァー。結論から言うとチューバの音は聞こえなかった(>_<) よく考えればそれは当たり前で、あそこはすべての楽器がフォルテシモで鳴っているのだから、2〜3人しかいないチューバの音だけが特別に響いて聞こえるはずがない。たぶん私の持っているCDは、ドゥバァーのところでチューバがよく聞こえるようにミキシング(音量調整)する演出をおこなっているのだろう。それはそれでありだと思うし、会場ではオーケストラ全体でのドゥバァーが大迫力だったので大満足。

いままではステージと席が遠かったので、何となく耳をそばだてて聴いているようなところがあった。集中して全体を俯瞰的に聴くと曲のことがわかった(ような気になって)それも面白かったけれど、やっぱりオーケストラの醍醐味を味わうにはある程度以上の音量が必要。Aホールの48列目、29列目、27列目、7列目で聴いた経験からいうと、このホールは少なくとも15列までのシートを確保する必要があると思う。


ーーー続く

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2015年05月14日

皇居見物 続き 東御苑

5月2日にラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンの公演に間に出かけた皇居見物の続き。
(前回のエントリーは3つ前)


大手門から皇居東御苑に入る。
大手門とは城の正門を指す。
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門をくぐってすぐ右に曲がり、工事中の櫓(やぐら)の下を通る。
門からまっすぐ中に向かえないのは敵の侵入を遅らせるためらしい。
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その後、こんな入園票を手渡されて公園の中に入る。
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この入園票は帰る時に返す。公園は無料なのになぜこんなシステムがあるのか不思議。手渡した入園票と戻ってきた入園票の数を数えれば、公園が閉まる時刻に中に残っている人の数が分かる理屈にはなる。しかし受け渡し方はけっこうアバウトだから、こんなことで正確な人数を把握できるとは思えない。また観光バスから大勢の人がこの公園に入ってきたら、この場所がボトルネックになって混雑する。役所というのは意味のないことに無駄な人件費を使うことが好きだ。


江戸城だった頃の建物がいくつか残っている。

同心番所。
いってみれば警官詰め所。
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百人番所。
かなり大きな建物。機能としては同心番所と同じだが、こちらには武装した同心や与力(同心の上級職)が警護に当たっていたようである。
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百人番所の前には石垣があった。写真ではわかりにくいが、奥の石垣と石垣の間を直角に曲がって城の中へ進むようになっている。これも敵に攻められた時、一気に侵攻されるのを防ぐ工夫かもしれない。
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大番所。
ここには少し位の高い与力や同心がいたらしい。
とにかく江戸城の最初は検問所だらけである。
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石垣の間を抜けて中へ進んでいく。少し上り坂。
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場所によって石垣の積み方というか工作精度が違う。
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そして芝生の広場に出る。
かつてはここに江戸城の主要な建物が並んでいた。
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一番奥にある天守台。
天守閣が建っていたところの土台部分。
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一般に城と聞くと思い浮かべるのは天守閣の姿。でも天守閣は城の建物の一部であって、殿様が住んでいたり執務を行う場所ではない。高い位置から地上を見渡せるので監視塔としての役割と、城のステイタスをアピールするためのもの。

江戸城の場合、早い時期に天守閣を焼失している。しかし世の中が平和になって軍事的に不要になったのと財政難の両方の理由から再建されていない。

天守に関連する江戸城の歴史は

  1590年:徳川家康が江戸城を居城とする。
  1607年:天守閣完成。
  1615年:大阪夏の陣で豊臣家敗れる。
  1622年:天守閣リニューアル。
  1638年:天守閣リニューアル。
  1657年:火事により天守閣を焼失。その後の再建はなし。

というわけで江戸幕府250年の歴史のうち、江戸城に天守閣が建っていたのは50年ほどに過ぎない。なお天守閣ではなく天守が正しく、天守閣というのは俗称らしい。


天守台から下を見下ろす。
天守があれば、その一番上からは江戸時代なら海まで見えたはず。
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江戸城の本丸(一番メインの建物群)と天守台の位置関係。
現在位置のところが天守台。
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ということで1つ前の写真に写っている芝生は大奥あたり。家康や家光が暮らしていた本丸を、その跡地とはいえ歩けたのは何となく感慨深い。


天守台の上。
意外と狭い。歩測してみたら30歩と22歩だった。歩幅75センチで計算すると22.5メートル×16.5メートル=371平方メートル。マンション4〜5部屋分といったところ。
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      ※2022年追記
       歩測したのは天守台の一部でした。全体の様子はこちらの投稿から。




皇居東御苑はツツジの名所とも聞いていたのに、いくつか生け垣的にあっただけ。
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後で調べると、この日は御苑内の主に西半分を回ったのだが、いろんな花が咲いているのは東側のエリアらしい。もっと下調べしてから行けばよかったと反省。


芝生広場の横を歩いていると、バラのいい匂いがしてきた。
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黄色いのがキモッコウバラで、
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白いのがモッコウバラ。
黄色と白で咲き方が少し違う。
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その先を歩いて行くと、
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忠臣蔵で有名な松の廊下跡。
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でも、小さな石碑がぽつんとあるだけ。
東京のガッカリ名所に認定(^^ゞ
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入ってきたのと同じ大手門へ向かう。他にも2つ出入り口がある。
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入園票を無くしたといったらどんな対応をするか興味あったが、
騒ぎは起こさずおとなしく公園を後にする。
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ドローンは禁止らしい。
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閉園は午後5時。まだ少し前だったが大手門の扉は半分閉まっていた。
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江戸城に思いをはせながら東御苑を散策した後は、メトロポリスTOKYOにカムバック。
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日比谷通りを超え、丸の内に入ったら東京駅はすぐ。
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東京駅の北側。
2012年10月に復元工事が完成したが、どこが変わったのかよく知らない。
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東京駅の前に2本そびえ立っているのは右側が「新丸ビル」で左側が「丸ビル」。大阪梅田にある丸ビルは丸い形のビルだからだが、東京の丸ビルは丸の内ビルディングの意味。丸ビルは2002年、新丸ビルは2007年に建て替えられた。
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東京駅正面は工事中の壁があって写真撮影的にはイマイチ。
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と思ったらビルの屋上に人影発見。
東京駅はあそこから眺めるものらしい。
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屋上に人がいたのは東京中央郵便局。ちょっとクラシックな建物に見えるが、これは郵便局を高層ビルに建て替える際に、旧局舎外壁の一部だけを残したもの。
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東京駅の北側。
ちょっとヨーロッパぽくも見える。
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スカイバス(2階建ての屋根のない観光バス)の乗り場。
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銀座でも走っているのをよく見かける。都内観光といえば黄色い「はとバス」が有名であるが、こちらは日の丸自動車興業という会社が運行している。はとバスもオープントップのバスを運行していて、そちらは O Sola mio(オー・ソラ・ミオ)とイタリア人観光客を乗せるには恥ずかしい名前となっている。ちなみにイタリア・カンツォーネの「オー・ソレ・ミヨ」は「私の太陽」という意味。


再び三菱一号美術館の横を通って、
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東京国際フォーラム北側に戻ってきた。
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予定通り3時間ほどのお散歩。
バッハやモーツアルトも江戸時代の人だから、ラ・フォル・ジュルネに来て皇居の江戸城跡を見て回るというのは時間軸的に正しい過ごし方ともいえる。


屋台でトルコ料理のドネルケバブを買って、次の公演までに腹ごしらえ。
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ーーー続く

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2015年05月09日

皇居見物 そして、ああ勘違い

5月2日にラ・フォル・ジュルネの会場を抜け出して行ってきたのは皇居。演奏会は朝から晩までやっているので、1日どっぷりと音楽に浸るのもよいが、音楽半分その他半分くらいがバランスがいいかなと考えて。それに皇居は3時間ほど散歩するには東京国際フォーラムからちょうどよい位置にある。

皇居に面している道路はよく通っても、今までじっくり訪れたことはない。中には入れないんだから特に興味もなかったのが正直なところ。しかし来日した仕事相手の外国人が「東京では皇居を見に行く」ということが何度かあったので、一度行っておくかと。そう考えてからもう5年以上経ってしまったけれど。


皇居には下の地図にあるように3つの一般開放エリアがある。
改めて眺めてみると開放されている部分が全体の半分以上ある。
皇居地図2


南の皇居外苑は、東京駅から歩いて5分くらいのところから広がる、松が植えられた芝生が美しい、いわゆる皇居前広場。写真で映像でよく目にする二重橋はここにある。北の丸公園は日本武道館があるところ。サクラで有名な千鳥ヶ淵もこの公園に面しているお堀。

この2つは有名だが真ん中の皇居東御苑はあまり知られていないかもしれない。私も外苑と北の丸公園のほかにもう一箇所あると知っていた程度の認識。でも江戸城はこのエリアに建っていたから皇居の中では一番歴史のあるところ。


お散歩コースは時計回り。まず東京フォーラムの北側から東に進んで皇居外苑へ。それからお堀沿いに北上して大手門から東御苑に入る。東御苑を出た後はまっすぐ進んで東京駅の前を通って会場に戻る。だいたい7キロくらいの行程。時間的に北の丸公園までは足を伸ばせなかった。
皇居地図

皇居外苑に行く途中のルートが道路の左右を横断しているのは、なぜかまっすぐ線を引けなかっただけで意味はない。新しくなったグーグルマップはまだ使いにくいので、今回はヤフーのマップ。




東京フォーラムを出て三菱1号美術館を過ぎると、
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次の角は丸の内のメインストリートである丸の内仲通り。
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昔は単なるオフィス街の道路で休日は人通りのないエリアだった。しかし2002年に丸ビルが建て替えられたあたりから、いろいろ改装されてお洒落なストリートに変身。今はショップやレストランが並び、クリスマスにはイルミネーションも施される。


クラシックな明治生命のビルを抜けると、
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日比谷通りに出て皇居外苑が見えてくる。
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交差点を渡ると、その先はお堀になっていて皇居に来たという感じを受ける。
写真は北向きに撮っていて右手が日比谷通り。
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日比谷通りとその先の内堀通りに挟まれたエリアが外苑のいわば前庭部分。
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クリックして写真を拡大すると芝生の中でくつろいでいる人が見える。
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内堀通りの向こう側が外苑のメイン。
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これはなんと呼ぶのだろう。
この石でできた大きな障害物?が外苑にはたくさんあった。
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内堀通りより奥の芝生は立ち入り禁止になっていて人がいない。
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北方向を望む。
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南は霞ヶ関。
右端のタワーのある建物は警視庁。警視庁の前にあるのが桜田門。
ちなみに皇居には11の門がある。
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東側。東京駅方向。
とにかく東京のど真ん中に巨大な広場である。
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ところで皇居の総面積って調べてもはっきりしない。宮内庁には皇室用財産として115ヘクタールとある。外苑と北の丸地区は環境省の管轄らしく両エリアで同じく115ヘクタールと書いてある。東御苑は宮内庁の管轄だが115ヘクタールに含まれているかどうか不明。千代田区観光協会のホームページによると東御苑は21ヘクタールである。また皇居前広場の面積は46.5ヘクタールとするものもあった。とにかく全部でナンボなの?
皇居写真




さて皇居に向かって外苑の左の方にあるのが、写真やテレビで何度も見たことがあるこの橋。後ろに見えるお城っぽいのは伏見櫓(やぐら)と呼ばれる建物。実に絵になる光景。
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しかし、このエントリーのタイトルに書いた「ああ勘違い」とはこの橋なのだ。

     これは二重橋ではない!

いや〜、ビックリ。今日の今日までずっとこの橋が二重橋だと思っていた。「皇居」&「二重橋」という言葉とこの画像なり映像はセットになっている場合が多いと思うし、この橋はアーチが2つあるから二重橋だと。何となくショック(^^ゞ

二重橋とは、この橋の奥にある橋。それでこの手前の橋は「石橋」と何の変哲もない名前。でもこっちを二重橋と思っている人の方が多いんじゃないかな。



お堀は水そのものはきれい。でも藻が一杯でちょっと気持ち悪かった。
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石橋の橋の上
橋の向こうの工事中なのが皇居正門。
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そしてこれが二重橋。
まあ普通の橋。やっぱり石橋のほうが皇居のアイコンとしてはふさわしい気がする。
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先ほどの石橋を渡って正門をくぐり、右に曲がってさらに二重橋を渡る、つまり堀を渡ってまた戻って、皇居の宮殿ゾーンに入る道順になっている。二重橋の正式名称は正門鉄橋で、石橋は正門石橋。正門鉄橋は以前に橋がまだ木製だった頃、二階建ての橋だったので二重橋と呼ばれていた。その名残が今も続いているらしい。



芝生の松を眺めながら北向きに歩いて行く。
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坂下門。
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坂下門をくぐって右側にあるのが宮内庁。
宮内庁に行く時はこの門を使うことになる。飛び込み営業は無理そう(^^ゞ
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次にあるのが桔梗門(ききょうもん)。
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堀を渡ったところに門がある。
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たまたま出入りの業者のような人が通りかかった。
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観光客ににこやかに接している警察官のように見えるが、実際は警官同士でペチャクチャおしゃべりをしているだけ。この桔梗門だけでなく正門手前や坂下門でも警官は同じような感じで緊張感なし。それなりの覚悟があればゲート突破は難しくなさそうである。もっとも突破したところで皇居内部はとても広いし、また退路は完全に断たれてしまうが。なお桔梗門を突破しても、その先は皇宮警察本部だからお気をつけください(^^ゞ
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外苑の北の端から南側を眺める。とにかく広い。ただし松と芝生で緑も豊かであるものの、内堀通りの交通量は多いので、それなりに自動車が走っている音は聞こえてくる。
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手前が巽櫓、奥が桔梗門。写真左隅にかすかに写っているのが富士見櫓。江戸時代にタイムスリップしたような気分ーーーと書きたいところ。しかし実際には回りには外人観光客がたくさんいて江戸時代情緒はゼロ(^^ゞ
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普通、櫓(やぐら)とはタワーのように木材を高く組み上げた建物。私が幼い頃には消防署に火の見櫓というものがあったのを覚えている。城にある櫓は、城外周の要所要所に建てられた監視塔あるいは防御拠点。でも平和になってくると月見櫓とか富士見櫓といったお楽しみ用の櫓もあらわれる。


さらに北に歩いて大手町にあるのが大手門。というか大手門があるから大手町。
この門から皇居東御苑に入る。
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ーーー続く

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2015年05月06日

ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 2015(2)

最初の公演に向かう。
会場はB7。B棟にはB5とB7があって5階・7階という意味だと思う。
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長いエスカレーターを何本も乗り継いでいく。
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ビルの向こうに見えるのは皇居。
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B7は音楽ホールではなくイベント会場。だから、そのしつらえのあまりに殺風景さに去年はビックリしたが、今年はもう慣れた。ステージの両脇にモニターがあるのが去年との違い。パイプ椅子の客席数は822。
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席は2列目のやや左より。
写真は自分の席からステージを見た様子(以降同様)、距離的には申し分ない。
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【公演番号122】

  曲名
   ベルク:抒情組曲
   シェーンベルク:浄められた夜

  演奏
   アンドラーシュ・ケラー (指揮)
   コンチェルト・ブダペスト


ベルクもシェーンベルクもあまりよく知らない。たまたまベルクの抒情組曲(じょじょうくみきょく)とシェーンベルクの浄められた夜がカップリングされたCDを持っていたので、生で聴いてみようかと思った次第。私の印象ではどちらもきれいな曲なんだけれど、ちょっと小難しい感じもある。演奏の途中で居眠りしないか心配。なおシェーンベルクはベルクの師匠にあたる。


以下のアーティスト写真はラ・フォル・ジュルネのホームページから借用。

アンドラーシュ・ケラー
写真よりもう50%くらい太っていたかな(^^ゞ
楽しそうな感じで指揮をしていた。そういうのは後ろ姿でもなんとなくわかる。
アンドラーシュ・ケラー


コンチェルト・ブダペスト
写真はフルオーケストラだが、この演奏に参加していたのは20名くらいの小規模編成。
コンチェルト・ブダペスト


演奏はひたすらきれいな音楽を聴いたといったところ。音楽というより楽器の音色やハーモニーに酔いしれていたというほうが近いかも知れない。普段のオーディオやiPhoneで聴くのと違って、目の前で人が動いて楽器を演奏しているのを見るのは楽しいものである。また楽しいだけじゃなくて演奏の細かなところまで聴き取れる。その細かなところがCDでは再生できていない訳ではない。細かいところを演奏している姿が見えるから耳に入ってくるというか、普段なら聞き流しているような部分にも意識が向くからだと思う。



演奏が終わった後、エスカレーターは混むので階段を使って降りる。
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上から眺めた広場。やや人が少ないのは今が公演時間帯だからだろう。東京国際フォーラムだけで約8000人が各ホールに吸い込まれているのだから。
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次の公演まで1時間ちょっとあったので付近をブラブラ散歩する。
会場の西側からでると丸の内3丁目の交差点。
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半ブロックほど北に歩くと三菱1号美術館(レンガの建物)。美術館の裏手にあるブリックスクエアはラ・フォル・ジュルネの無料コンサートの会場にもなっている。
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そこから東へ1ブロック歩くとJRの線路にあたる。
写真は東京駅というか東京駅周辺の旧国鉄所有地の再開発として建てられたビル。左がグランド東京サウスタワー、右がパシフィックセンチュリープレイス丸の内。
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東京国際フォーラムの北側から東京駅の南端まではすぐである。
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線路の下。
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この屋台はいつもここに置いてある。
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ここから有楽町駅までの高架下にはいろんなお店が入っている。
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これは高架下をくぐり抜ける通路。
以前はたくさんあったが、最近は閉鎖されているところが多い。
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有楽町駅の京橋口。ここから線路に直交して東に進むと銀座1丁目。銀座は1丁目の北側が京橋、8丁目の南側が新橋に接している。
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京橋口の隣、有楽町駅の真ん中が中央口。
左側のビルは数年前にできたマルイが中核テナントのイトシアビル。商店街の向こうに見えるのが有楽町マリオンの裏側。
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東京国際フォーラムに戻る。吹奏楽のバンドが無料コンサートをしていた。吹奏楽は生で聴くと何となくワクワクしてくるような楽しさがある。息で吹いていて肉感的だからかな。
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軽く食べるだけのつもりだったが、つい音楽に乾杯してしまった。
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これは2回目の乾杯(^^ゞ
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次の会場はAホール。ホールの1階にトイレは下という案内があったので降りていくと、地下が無料コンサートの会場になっていた。ホール棟と地上広場の下が巨大な地下ホールになっている。
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なかなか楽しそうである。ステージのところまで降りていきたかったが、次の公演の時間が迫っていたので断念。無料コンサートでこんな大規模なものもあるとは知らなかった。来年は無料コンサートのこともしっかり調べることにしよう。
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Aホールは5008名収容の大ホールである。去年はここでチャイコフスキーのバイオリンコンチェルトを聴いたが最後尾2列目の席だったので、音があまり届かず残念だった。
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今年もチケットを買うのが遅かったが、左右のことは気にせず1番隅っこでもいいからできるだけ前の席をチケットを買う時にリクエスト。それで今年は29列目。ちなみにAホールは1階席が49列、2階席は26列ある。2000人規模の「普通サイズの大ホール」なら29列目というのは最後尾に相当するから、去年ほどではないにしても音量はあまり期待できない。
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【公演番号113】

  曲名
   ブラームス:ピアノ協奏曲 第1番 ニ短調 op.15

  演奏
   アジス・ショハキモフ (指揮)
   デュッセルドルフ交響楽団
   アブデル・ラーマン・エル=バシャ (ピアノ)



アジス・ショハキモフは20歳代後半の若い指揮者。
かなりオーバーアクションでエネルギッシュな振り方をする。
アジス・ショハキモフ


デュッセルドルフ交響楽団はドイツで2番目に古く、メンデルスゾーンやシューマンが音楽監督を務めたとあるから名門楽団なんだろう。バレンボイム、ヤルヴィ、シャイーといった私がCDを持っている指揮者とも競演しているので実力が期待できる。
デュッセルドルフ交響楽団


ピアニストのアブデル・ラーマン・エル=バシャの名前は覚えていなかったし、ラ・フォル・ジュルネのホームページの写真は横顔だったので気付かなかったが、会場で顔を見たら何となく見覚えがあった。持ってはいないけれどCDは見たことがある。演奏している時も含めて立ち振る舞いの姿勢のよさが印象的。
アブデル・ラーマン・エル=バシャ




ブラームスのピアノ協奏曲第1番は馴染みのある曲。どちらかというと2番の方が好きだけれど演奏は普通によかった。というか演奏の評価をできるほどクラシック音楽通じゃない。知っている曲が知っているように流れてきてリラックスして演奏を楽しめたというところ。

ただし音量はやはり物足りなかった。不思議なことにだんだんと耳が慣れてきて、それなりにしっかりと聴けるようになってはくるが。音量についていえば、ピアノはやはり大きな音のする楽器で、オーケストラの音に全然負けていなかった。



演奏が終わったのが午後3時前頃で、次の公演までに3時間半ほどある。というかわざと途中に時間が空くように公演を選んだ。それで東京国際フォーラムから歩いて行ける距離にある、前から行きたいと思っていたところへ出かけてきた。


ーーー続く

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2015年05月02日

ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 2015

今年もクラシックの音楽祭であるラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンに行ってきた。今回は5月2日の4公演、4日の2公演のチケットを購入。本当は1日にまとめたかったのだが、例によってチケット購入が4月23日と遅れてしまい売り切れのプログラムも多かったので、あれこれ演目を検討して2日間ということになった。ちなみにラ・フォル・ジュルネは5月2日から4日までの3日間に渡り開かれていて、有料公演が150前後、無料公演を併せてトータル300程のプログラムがあるといわれている。ラ・フォル・ジュルネについては去年のエントリーも参照して欲しい。このページと、こっちのページ

音楽そのものについては、あれこれ詳しく書けるほどの見識がないので、バイクツーリングと同じようにブラブラ写真日記風で。オフィスに近いから会場付近は私のホームグランド。いつも以上に脱線が多いかも。



ゴールデンウイーク5月2日、午前11時頃の銀座・晴海通り。
進行方向が西向きで皇居に、反対側は東へ築地〜勝ちどき〜お台場へと続く。
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南北に延びる並木通りを通り過ぎる。
銀座エリアは南北に長い長方形だけれど、案内図などに収まりがいいように西側を上に地図が書かれることが多い。だから方位を勘違いしている人が意外とたくさんいる。
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銀座の西隣の有楽町との境目が数寄屋橋の交差点。
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交差点の脇にあるのが有名な銀座の宝くじ売り場。ジャンボ宝くじの時には晴海通りまでズラーッと行列が続く。西銀座チャンスセンターという名前は、ここが銀座の西南の角に当たるから。
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数寄屋橋の交差点を渡って右側にあるのが有楽町マリオン。
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朝日新聞本社などがあった敷地の再開発ビル。映画館と阪急百貨店とルミネ(JR東日本系列のファッションビル)が入っている。映画館はオープン当時から変わらないが、最初は西武百貨店と阪急百貨店の組み合わせだった。ここでの西武はSHEED館というプライベートブランド中心のマーチャンダイジングを展開していて斬新だった。私はよく買い物に来ていたが、いつのまにかSHEED館ではなく女性アパレルだけのデパートになり、それもいつのまにかなくなり(/o\) 一方の阪急はごく普通のデパートで閑散としていたが(普通のデパートなら銀座には三越や松屋がある)、今は高級男性ファッション専門デパートとして人気がある。世の中、変われば変わるものである。



有楽町のガードをくぐるとビックカメラが見えてくる。この店舗も元は有楽町そごう。年配の方なら知っているフランク永井の「♪有楽町で逢いましょう」は、有楽町そごうとタイアップした歌謡曲だった。
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ちなみに銀座と有楽町の境を通っている首都高の高架下には、銀座インズという商業施設が入っている。銀座インズの昔の名前は有楽町フードセンター。「♪有楽町で逢いましょう」がヒットした昭和32〜33年(1957〜58)あたりの開業だが、当時は銀座は古くさくて有楽町が新しくてファッショナブルなイメージがあったので、住所が銀座にもかかわらず有楽町フードセンターというネーミングをつけたと聞いたことがある。世の中、変われば変わるものである。


上の写真のビックカメラは建物の南側。こちらは北側に面した道路。ビックカメラの上には「よみうりホール」があって、ラ・フォル・ジュルネの会場の1つになっている。
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正確にいうと、ビックカメラのあるビルの名称は読売会館。6階までが商業施設ゾーンで、7階〜9階がよみうりホール。実はそごうもビックカメラも読売会館のテナントというのはあまり知られていない。読売ホールも「ビックカメラの上に入っているホール」といわれることのほうが多い。



さてビックカメラの北隣にあるのが東京国際フォーラム。大小様々なホールがあってラ・フォル・ジュルネのメイン会場。他にも丸の内エリアに散らばる14箇所もの会場があり、そちらでは無料コンサートが開かれている。
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入り口脇にあった東京都水道局がPRする水飲み場。
1週間に1回は東京国際フォーラムの前を通りかかっているけれど、こんなのあったっけ?
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この日はコンサートとコンサートの合間に、とあるところへ行くプランを立てたのでカメラを持ってきていた。するとカメラを持っていると、普段の見慣れた場所でもいろんなことを発見することに気がついた。実は銀座駅からこの会場に来る途中でも「こんなのあったっけ? 」がたくさん。イチイチ紹介しているとキリがないからやめておく。



チケット売り場。
販売員の顔のところはモザイクじゃなくて窓に開けられた穴ね。
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ご覧の通りの大賑わい。
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建物の間の広場では無料コンサートが開演中。
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ここはバラエティに富んだ屋台村があるのも楽しみの1つ。
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フレンチの屋台のがあって、
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その隣には焼酎を並べている屋台も。
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帝国ホテルのソフトクリームは相変わらず人気。それでも最後尾の表示が必要なほどは並んでいないと思うけれど。でも、この心配りが帝国ホテルか。
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ゴミ箱のところに係員がいるのがジャパン・イベントである。
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ーーー続く

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2014年05月05日

ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 2014 その2

次に聴いたのが公演番号 : 126

   シューマン:ヴァイオリン・ソナタ第1番 イ短調 op.105
   シューマン:ピアノ五重奏曲 変ホ長調 op.44


名前は誰でも知っているシューマン。小学校の授業で習った時「シューマイみたいな名前」と思ったのは私だけかな。シューマンは知名度の割に発売されるCDが少ないような印象があって、この際だから調べてみた。アマゾンのクラシック音楽ジャンルで「作曲家の名前 クラシック」で検索した結果

     モーツァルト    13430件
     バッハ       12039件
     ベートーベン    10290件
     ブラームス       6505件
     シューベルト      6406件
     チャイコフスキー    5380件
     ショパン        4887件
    ★シューマン       4350件
     メンデルスゾーン    3169件
     リスト         3089件
     マーラー        2636件
     ヴェルディ       2361件
     ラフマニノフ      2128件
     ブルックナー      1868件
     プロコフィエフ     1840件
     ロッシーニ       1449件
     パガニーニ       1271件
     ベルリオーズ      1231件
     エルガー        1212件
     ストラヴィンスキー   1152件
     プーランク       759件
     リゲティ        155件
     ツェムリンスキー    116件


あれっ? そうでもなかった。
比較のため小学校では習わない作曲家や、クラシック界でもマイナーな作曲家も検索してみたが、結果は何となく順当な感じで面目ない。 

シューマンのCDはそれほど持っていないが好きな作曲家である。正確にいうとCDは直感で買っているが、シューマンのは今までハズレがあまりなかったので印象がよい。手持ちのクラシックCDの2/3くらいはiTuneに取り込んでいるので検索してみると、この日のプログラムにあるものは持っていなかったが、シューマンワールドに浸ることを期待して出かけたのである。

曲名にあるソナタというのは、単純にいうと第1楽章、第2楽章〜と複数の楽章で構成された曲のことである。ほかにも文章の起承転結のようなストーリーでの曲の展開も意味するが、よほどマニアを目指すのでなければあまり気にしなくてもいい。また一般的に曲の見分け方としてはピアノ・ソナタと書いてあればピアノの単独演奏である。しかしピアノ・ソナタ以外のバイオリン・ソナタとかチェロ・ソナタなどは、ほとんどの場合ピアノとの二重奏となる。なぜ二重奏なのかの理由は知らないが単独の場合は「バイオリン・ソナタ(無伴奏)」と但し書きがつくくらい二重奏がほとんど。なお伴奏という言葉になっているものの、ソナタの二重奏の場合のピアノは伴奏というような脇役ではなく、どちらの楽器が主役かわからないくらいの掛け合い演奏が多い。
ところで冬のソナタはどんな意味だったんだろうね(^^ゞ

ピアノ五重奏とは小編成のクラシックでもっともポピュラーな弦楽四重奏(バイオリン2台とビオラとチェロ)にピアノを加えたもの。単に五重奏と書くと弦楽四重奏にビオラかチェロをもう1台加えた弦楽五重奏を指す。ビオラはヴァイオリンと同じくヴィオラとも書いて、バイオリンを一回り大きくして、その分低音が出るようにした楽器。もちろんスミレとは関係ないよ。



演奏はピアノがクレール・デゼール。
クレール・デゼール


弦楽はフォル・ジュルネ・カメラータというユニット。カメラータは同志会というような意味らしく、だからこのラ・フォル・ジュルネのために組んだユニットだと思う(クラシックの場合、ユニットとかバンドとはいわずアンサンブルというが)。

この日のメンバーは

正戸里佳。バイオリン・ソナタと五重奏の第1バイオリンを担当。
正戸里佳


クレモンス・ドゥ・フォルスヴィル。五重奏の第2バイオリンを担当。
クレモンス・ドゥ・フォルスヴィル


コランタン・アパレイー(ビオラ) 写真は見つからなかったがなかなかのイケメン。


オーレリアン・パスカル(チェロ) さらにイケメンで弱冠19歳。
オーレリアン・パスカル(チェロ)



会場はAホールの隣のB棟にあるB7というホール。見てわかるように音楽ホールではなくイベント会場。並べられたパイプ椅子は822席。それにしても、あまりに殺風景なステージでガッカリ。花とか絵とか、あるいは飾りで家具とか置いておくとかのアイデアはなかったのだろうか。学芸会の体育館でももう少しなんとかする。
IMG_1074

私の座席は先ほどのプログラムとは真逆の最前列!センターより少し右側でピアノの斜め前当たり。そこか後ろのほうの席しかなかったので迷わず最前列にした。

観察するとステージの天井に3枚の板が吊られている。それと写真ではわかりにくいが舞台奥の壁がパネルのようになっている。そのパネルが「ビニールパイプのような灰色」でますます雰囲気を壊しているが、おそらくこれは音楽会用に設置された音響反射用のパネル。クラシックは楽器から出る音が壁で跳ね返る間接音がかなり重要。でもこの程度で音が響くのだろうか。私は最前列だからあまり関係ないけれど。ちなみにピアノはスタンウエイだった(ピアノメーカーの名前です)。



曲は私がイメージしていたシューマンらしいもので楽しく聴けた。どんなイメージかと説明するのは難しいが(^^ゞ それとクレール・デゼールのピアノは相当レベルが高いと思う。そういうのは何となく直感でわかるものである。ピアノ五重奏では、ごく短いパートだがそれぞれの楽器のソロがある。やっぱりチェロの音色はいいね。

最前列なのでチャイコフスキーの時と違って「音デカっ!」である。弦楽器の演奏者までの距離は4メートルくらいでピアノがその1メートル後方。オーケストラよりバイオリン・ソナタやアンサンブルのほうが迫力があるという珍しい体験ができた。

久しぶりのクラシック生演奏を聴いて思ったのは、普段オーディオやiPhoneで聴いている楽器の音と少し違うなということ。まずバイオリンは高音も低音も線が太い。それとピアノは低音のボリュームに迫力があるし、鍵盤を叩いて楽器から音が広がっていくのを感じることができる。今やどんな安物のオーディオでも音が歪んだりノイズが気になるいうことはないから、音のキレイさでは満足できるが一言で言えばまだまだ人工的かな。もっともそんなことを気にするとオーディオのドロ沼にはまってしまうから忘れることにしよう。


演奏が終わるとすっかり暗くなっていた。
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混雑もますます激しく。屋台で買った料理の皿を持ってウロウロしている人が多いから、歩くのに注意が必要である。
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広場の一角に設けられたお土産コーナー。
美術館のショップにあるようなグッズと
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CDを売っていた。
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1つ前のエントリーで紹介したラ・フォル・ジュルネのイラストが描かれたTシャツを買おうと思ったがXLサイズがなかったので断念。クレール・デゼールのCDもザッと見た限りでは見つからなかったので何も買わず。


来年は丸1日ラ・フォル・ジュルネで過ごそうかなと思う。


おしまい

wassho at 15:50|PermalinkComments(0)

2014年05月03日

ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 2014

ウン十年ぶりにクラシックのコンサートに行ってきた。美術展はちょくちょく訪れているが本当は音楽のほうが好きである。でも開催期間中なら気が向いた時に出かけられる美術展と違って、コンサートはかなり前にチケットを買わなければならない。あまり先の予定のハッキリしないスモールビジネスパーソン?の身としてはそれがなかなかネック。突然の仕事で諦めるにはクラシックコンサートの料金はちょっと高い。

ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンというのは敷居の高いクラシック音楽をもっと気軽に楽しみましょうといういうイベント。ラ・フォル・ジュルネはフランス語で熱狂の日という意味。1995年にフランスで始まり2005年に日本にも上陸。現在は東京以外に大津(琵琶湖)、金沢、新潟などでも開催されている。なおジャポンと名が付くのは東京での開催で、それ以外はラ・フォル・ジュルネ新潟などと都市名で呼ばれる。

主催者のホームページにあるラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンの特徴は

   独自の視点がキラリと光る、毎年趣向を凝らしたテーマの音楽祭。
   出演アーティストは2,000人以上、300以上のコンサートを開催。
   1公演45分、朝から晩まで様々なコンサートを満喫できる。
   一流の演奏を1,500円からの低価格で楽しめる。無料イベントも充実。
   赤ちゃんやクラシックに馴染みのない方でも、気軽に楽しめる。
   聴く、体験する、知る、食べる、買う、あらゆるお祭り要素が満載。


以前からラ・フォル・ジュルネには行ってみたいと思っていた。しかし昨年までの来場者577万人を数え、そうそうたる実行委員協賛企業を揃えている割に世間的にはマイナーな存在。話題になったり宣伝をすることもない。だからつい忘れてしまうのである。

ところが今年はアルゲリッチが急遽ラ・フォル・ジュルネで演奏することになってニュースになった。アルゲリッチというのはクラシック界で伝説の女王扱いされるピアニスト。親日家で、そしてなぜか大分県別府がお気に入りのようで、この時期には彼女が監督を務める別府アルゲリッチ音楽祭のために毎年来日している。そのスケジュールの合間を縫ってラ・フォル・ジュルネにも参加することになったらしい。

アルゲリッチの公演が決まったのは4月1日で、私がニュースを知ったのは4月の後半。当然彼女のチケットは売り切れ。それどころかラ・フォル・ジュルネの期間は5月3日〜5日だから、ほとんどのコンサートは完売状態。でも私好みのプログラムを2つ見つけて久しぶりのクラシックコンサートを楽しんできた。



場所は有楽町の東京国際フォーラム。いわゆる総合コンベンションセンター、平たくいえば貸しホールや貸し会議場の集合体施設。オフィスのすぐそばだから、休日に出かける場所感がまったくないのはいたしかたがないところ。ところで東京都庁は西新宿高層ビル群の代名詞のようになっているが、1990年に移転するまでここに都庁があったことを知っている人は意外と少ない。東京国際フォーラムは旧都庁舎の跡地再開発事業でオープンは1997年。



有楽町側の入り口から入る。
私の背中側は道路を挟んでビックカメラ有楽町店である。
デジカメは持っていかなかったので撮影はiPhone。
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この看板のイラストを見ても、ラ・フォル・ジュルネが普通のクラシックコンサートとはまったく違うカジュアルなイベントだということがわかる。
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やたら混雑しているけれど、別にすべてがラ・フォル・ジュルネを見に来た人でごった返しているわけでもない。ここの広場は公園のように人が集まってくる。
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それとズラーッと並ぶ屋台村目当ての人も多い。
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帝国ホテルまで屋台を出しているとは知らなかった。
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少しわかりづらいが、左側の建物は船のような形をしていて、そのデザインが東京国際フォーラムのアイコン(シンボルマークみたいな意味)となっている。広場を挟んで向かい側にAからDまでの4つのホール棟が並ぶのがここの構成。
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東京駅側の入り口から見えるのは、このあたりじゃ一番いい建築デザインだと思う丸の内パークビルディング。その下にあるレンガ造りがたまに行く三菱一号館美術館。
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東京国際フォーラムに着いたのは開園の30分ほど前。この屋外特別ステージで無料のコンサートもしているのだが、なぜかなかなか演奏が始まらないのでホールに向かう。
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最初に向かうのはAホール。ここは世界でも有数の5000人規模の席数。
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建物の上から広場を眺める。
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ホールの入り口。
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着席。
いつの頃からか、こういったホールの座席は互い違いに配置されるところが多くなり、前の人の頭が邪魔になることが少なくなった。
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随分舞台まで距離があるように思われるかもしれないが、ここは最後列より1つだけ手前の席である。だってチケットを買うのが遅かったんだもん(^^ゞ オフィスが近くなのでチケットは東京国際フォーラムの売り場で直接購入。もう少し前方のS席の後ろのほうにも空きがあったが、左右の端のほうの席しか空いていなかったので、一番後ろでもセンター位置のこの席を選んだ。A席なのでS席より500円安い2500円。


開演直前の様子。(少なくとも)一階席はほぼ満席。
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ここで聴いたのは公演番号115番

   チャイコフスキー:イタリア奇想曲 op.45
   チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 op.35

イタリア奇想曲はよく知らないが、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲はかなり好きな曲。CDはムターとギル・シャハム(どちらもバイオリニストの名前)の2枚を持っている。それと「オーケストラ」という映画を見た後は何度もCDを聴いたから、それなりに曲のことは熟知している。op.45とかいうのは作曲家の全作品の通し番号のようなものでopは「オーパス」と読む。


演奏は指揮者がアレクサンドル・スラドコフスキー。
アレクサンドル・スラドコフスキー


オーケストラはタタルスタン国立交響楽団でロシア連邦の共和国のオーケストラ。
あっ!「ウクライナあれこれ」の続きを書くのを忘れてた(^^ゞ
タタルスタン国立交響楽団



2曲目のヴァイオリン協奏曲。協奏曲とはオーケストラにソロのバイオリンやピアノなどが加わる曲のことである。イタリア語のコンチェルトという言葉を日本で使うことも多い。実は協奏曲の生演奏を聴くのは初めてで、ずっと不思議に思っていたことがある。CDやテレビの音楽番組では、例えばバイオリン協奏曲ならオーケストラとソロ・バイオリンの掛け合いのところで両者の音量はほぼ同じである。しかし50名〜100名近くいるオーケストラと1台の楽器の音量が同じはずがない。あれはミキシングで音量を操作しているのか、生で聴いたらどんな感じなんだろうかと。


バイオリンのソロを演奏するのはジュヌヴィエーヴ・ロランソー。
ジュヌヴィエーヴ・ロランソー

バイオリン奏者はバイオリニスト、ピアノならビアニスト、チェロならチェリストなど、だいたい楽器の名前の後にニストとつく。しかしピアノとバイオリンには特別に「美人バイオリニスト」「美人ピアニスト」というジャンルがクラシック界にはある(^^ゞ ジュヌヴィエーヴはなかなか美しかった(席が後ろでも舞台の左右のモニターに映し出される)。でも、この写真は少し以前に撮影したものかな。




さて肝心の演奏。もとより演奏の善し悪しを批評するほど耳は肥えていない。充分に満足した。特に聞き慣れたヴァイオリン協奏曲は普段はスピーカーやイヤホンで聴いているものが目の前で演奏されるのだから、テレビで見ている有名人に出会ったようなうれしさもあった。

     が、音小さっ!

よくオーケストラは後ろの席のほうが各楽器の音が混じり合っていいといわれるが、やはりこんな5012席もある大きなホールの一番後ろじゃ絶対的な音量が不足するみたいだ。ちなみにクラシックコンサート専用のサントリーホールは2006席。紅白歌合戦がおこなわれるNHKホールでも3400席。ヴァイオリン協奏曲はダイナミックな曲だから、その音量感も楽しみにしていたのに。心の中で「誰かボリューム上げてくれ!」と叫ぶ。次からはもっと早くチケットを予約しよう。

でも不思議なもので、その音量にもだんだん慣れてくるというか、音を浴びるように聴きたいという思いは叶わなかったとしても、音楽を楽しめたかどうかにはあまり影響しなかったようにも思う。

それとバイオリンソロとオーケストラの音量比は、思っていたより普段CDで聴いているバランスに近かった。ジュヌヴィエーヴの弓の振りはオーケストラのバイオリニスト達より大きいように見えたから、多少は大きな音が出るように演奏しているのかもしれない(そんなことができるのかどうか知らないが)。でも一番の理由は、こっちがソロパートの音を聴きにいっているからではないかと思う。この曲はよく知っているから、そういうことはあり得る気がする。脳は聴きたいものを聴き分けるのだ。というわけで知らない協奏曲を聴くまで、この疑問については保留。


ーー続く。

wassho at 23:13|PermalinkComments(0)