会田誠
2024年11月23日
高橋龍太郎コレクション展 その3
草間彌生のコーナーを抜けると撮影OKの表示。
以前に東京国立博物館で同じ展示室に撮影可と不可の作品があって、何が違うのかと係員に尋ねたら「東京国立博物館が所有する作品は撮影可で、よそから借りてきているものはその所有者の意向による」との返事だった。今回の展覧会はすべて高橋龍太郎のコレクションだからその理屈は当てはまらない。どうして草間彌生だけNGなのかナゾ
展示室の様子。
私には理解不能というか、
興味が持てず理解を試みる気が起きない作品を横目に通り過ぎ、
その次にあったのは合田佐和子が往年のハリウッド女優を描いた作品。
「グレタ・ガルボ」 1975年
「ジョン・クロフォード 1931」 1975年
その2枚の間に展示されていたのがこの作品。
「ルー・リード」 1977年。
ルー・リード(1942〜2013年)はアメリカのロックミュージシャン。ただし日本では1970年代前半にロック好きの間で多少は人気だったかな程度(だと思う)。FMラジオで彼の曲を聴いたと思うがまったく記憶にない。でもルー・リードの語呂がよくて名前はよく覚えていた。
彼の顔は1972年発表のこの「トランスフォーマー」のアルバムジャケットでしか知らなかった。まだ中学か高校生のときにこのアルバムを知って「イキっとんなあ」と思っていた。でも素顔?はこんなだったんだと作者の意図とは関係なく眺めて、またその名前にどこか懐かしさを感じた作品。なお合田佐和子はルー・リードの大ファンだったらしい。
会田誠 「紐育空爆之図」(戦争画 RETURNS) 1996年
紐育空爆之図は「にゅうようく くうばく のず」と読む。零戦がマンハッタン上空を八の字旋回して、空爆された街が炎上している。戦闘機がこんな密集飛行をするのは不可能だから、これは一機が飛んでいる軌跡なのか。何を訴えているのかはわからないものの、マンハッタンと零戦の組み合わせに意表を突かれて印象的だった。
これは屏風絵。
そして零戦はホログラムのような素材で制作されており、見る角度によって色が変わる。首をかしげながら色の変化を追いかけるのも面白かった。
それよりも気になったのはコレ!
なぜかベニヤ板をビールケースで持ち上げて、それに屏風を載せている。
屏風を高い位置に展示する必要があるにしても、美術館がビールケースを使うはずがない。ビールケース込みの作品なのか?それに意味があるのか? 辛抱たまらず近くにいた係員に尋ねると「作者の明確な指示はないのですが、この作品はこうして展示するのが慣例になっている」との返事。
フ〜ンと思いながら、作品を眺める。
そのとき「ビールケースはいつもキリン?」とさらなる疑問が。でもそんな質問を再びするのは恥ずかしくて尋ねられなかった私は小心者(^^ゞ
そして作品を離れてビックリ!
なんとこれはボロっちいフスマに描かれていた。
さらにつなぎ合わせているのはガムテープ!
コレを見せるために屏風絵なのに壁際に展示していなかったのだ。
やはり現代アートはワカンナイ。
会田誠 「大山椒魚」 2003
大山椒魚は「おおさんしょううお」。
生きた化石とも言われ特別天然記念物になっているやつね。
一見すると日本画風でクラシックな印象を受けるのは、古典的な青海波模様を背景にしているから。でも常識的にはそれと絶対に一緒になるはずのなかった、グロテスクなオオサンショウウオと少女のヌードが描かれている。そのミスマッチが絶妙で幻想的。日本画のパロディなのだろうけど、パロディを超えて自立している本物感があった。今回の展覧会で一番欲しいと思った作品。
iPhoneで撮影したのも一緒に。
色合いはこちらの方が正確。
村上隆 「ルイ・ヴィトンのお花畑」 2003年
つまりこの柄をモチーフにしたということね。
隅っこにブランドロゴも入っている。
村上隆とルイ・ヴィトンは2000年頃よりずっとコラボを続けている関係。
Mr. 「ブラジリアン柔術クリスマス」 2002年
Mr. 「YIすブっピー(いすずっぴー)」 2004〜2005年
(片仮名と平仮名が合っていないが打ち間違いではない)
Mr.は村上隆の弟子で20年以上一緒に活動している人。
アニメ風、ゲームキャラクター風の少女が専門。
近づいて下から見上げましょう。
このコーナーを出るとき振り返ったら天井からぶら下がっているものに気付いた。
村上隆の「Mr. DOB」という作品。
ちなみにこれは近所の商店街。
別に他意はない(^^ゞ
次のコーナーでは巨大な像に圧倒された。
周りに写っている人との比較で大きさを実感して欲しい。
西尾康之 「Crash セイラ・マス」 2005年
高さ 280 × 幅 400 × 奥行き 600cm
セイラ・マスは機動戦士ガンダムの登場人物。ガンダムでは冷静沈着なキャラクターらしく、怒りまくっているこの作品との対比に何か意味がありそう。しかし残念ながらガンダム世代ではないのでそこはよくわからず。
でも見ているだけで楽しめた。現代アートではない絵画もそうだけれど、美術において大きさは正義みたいなところはある。
床に鏡があってお腹の中まで見られる。
パンフレットには制作方法として「陰刻鋳造、ファイバープラスター、鉄」と記載されている。陰刻鋳造の意味はよくわからないが、何らかの型を作ってファイバープラスターを流し込むのだろう。ファイバープラスターは塗り壁などに使う材料。鉄はこれだけの大きさなので、内部の骨組みに使われていると思われる。
お尻から失礼いたします。
もしパソコンで読んでいるなら写真をクリックして拡大し、
作品の迫力をいくらかでも感じて欲しい。
ーーー続く
以前に東京国立博物館で同じ展示室に撮影可と不可の作品があって、何が違うのかと係員に尋ねたら「東京国立博物館が所有する作品は撮影可で、よそから借りてきているものはその所有者の意向による」との返事だった。今回の展覧会はすべて高橋龍太郎のコレクションだからその理屈は当てはまらない。どうして草間彌生だけNGなのかナゾ
展示室の様子。
私には理解不能というか、
興味が持てず理解を試みる気が起きない作品を横目に通り過ぎ、
その次にあったのは合田佐和子が往年のハリウッド女優を描いた作品。
「グレタ・ガルボ」 1975年
「ジョン・クロフォード 1931」 1975年
その2枚の間に展示されていたのがこの作品。
「ルー・リード」 1977年。
ルー・リード(1942〜2013年)はアメリカのロックミュージシャン。ただし日本では1970年代前半にロック好きの間で多少は人気だったかな程度(だと思う)。FMラジオで彼の曲を聴いたと思うがまったく記憶にない。でもルー・リードの語呂がよくて名前はよく覚えていた。
彼の顔は1972年発表のこの「トランスフォーマー」のアルバムジャケットでしか知らなかった。まだ中学か高校生のときにこのアルバムを知って「イキっとんなあ」と思っていた。でも素顔?はこんなだったんだと作者の意図とは関係なく眺めて、またその名前にどこか懐かしさを感じた作品。なお合田佐和子はルー・リードの大ファンだったらしい。
会田誠 「紐育空爆之図」(戦争画 RETURNS) 1996年
紐育空爆之図は「にゅうようく くうばく のず」と読む。零戦がマンハッタン上空を八の字旋回して、空爆された街が炎上している。戦闘機がこんな密集飛行をするのは不可能だから、これは一機が飛んでいる軌跡なのか。何を訴えているのかはわからないものの、マンハッタンと零戦の組み合わせに意表を突かれて印象的だった。
これは屏風絵。
そして零戦はホログラムのような素材で制作されており、見る角度によって色が変わる。首をかしげながら色の変化を追いかけるのも面白かった。
それよりも気になったのはコレ!
なぜかベニヤ板をビールケースで持ち上げて、それに屏風を載せている。
屏風を高い位置に展示する必要があるにしても、美術館がビールケースを使うはずがない。ビールケース込みの作品なのか?それに意味があるのか? 辛抱たまらず近くにいた係員に尋ねると「作者の明確な指示はないのですが、この作品はこうして展示するのが慣例になっている」との返事。
フ〜ンと思いながら、作品を眺める。
そのとき「ビールケースはいつもキリン?」とさらなる疑問が。でもそんな質問を再びするのは恥ずかしくて尋ねられなかった私は小心者(^^ゞ
そして作品を離れてビックリ!
なんとこれはボロっちいフスマに描かれていた。
さらにつなぎ合わせているのはガムテープ!
コレを見せるために屏風絵なのに壁際に展示していなかったのだ。
やはり現代アートはワカンナイ。
会田誠 「大山椒魚」 2003
大山椒魚は「おおさんしょううお」。
生きた化石とも言われ特別天然記念物になっているやつね。
一見すると日本画風でクラシックな印象を受けるのは、古典的な青海波模様を背景にしているから。でも常識的にはそれと絶対に一緒になるはずのなかった、グロテスクなオオサンショウウオと少女のヌードが描かれている。そのミスマッチが絶妙で幻想的。日本画のパロディなのだろうけど、パロディを超えて自立している本物感があった。今回の展覧会で一番欲しいと思った作品。
iPhoneで撮影したのも一緒に。
色合いはこちらの方が正確。
村上隆 「ルイ・ヴィトンのお花畑」 2003年
つまりこの柄をモチーフにしたということね。
隅っこにブランドロゴも入っている。
村上隆とルイ・ヴィトンは2000年頃よりずっとコラボを続けている関係。
Mr. 「ブラジリアン柔術クリスマス」 2002年
Mr. 「YIすブっピー(いすずっぴー)」 2004〜2005年
(片仮名と平仮名が合っていないが打ち間違いではない)
Mr.は村上隆の弟子で20年以上一緒に活動している人。
アニメ風、ゲームキャラクター風の少女が専門。
近づいて下から見上げましょう。
このコーナーを出るとき振り返ったら天井からぶら下がっているものに気付いた。
村上隆の「Mr. DOB」という作品。
ちなみにこれは近所の商店街。
別に他意はない(^^ゞ
次のコーナーでは巨大な像に圧倒された。
周りに写っている人との比較で大きさを実感して欲しい。
西尾康之 「Crash セイラ・マス」 2005年
高さ 280 × 幅 400 × 奥行き 600cm
セイラ・マスは機動戦士ガンダムの登場人物。ガンダムでは冷静沈着なキャラクターらしく、怒りまくっているこの作品との対比に何か意味がありそう。しかし残念ながらガンダム世代ではないのでそこはよくわからず。
でも見ているだけで楽しめた。現代アートではない絵画もそうだけれど、美術において大きさは正義みたいなところはある。
床に鏡があってお腹の中まで見られる。
パンフレットには制作方法として「陰刻鋳造、ファイバープラスター、鉄」と記載されている。陰刻鋳造の意味はよくわからないが、何らかの型を作ってファイバープラスターを流し込むのだろう。ファイバープラスターは塗り壁などに使う材料。鉄はこれだけの大きさなので、内部の骨組みに使われていると思われる。
お尻から失礼いたします。
もしパソコンで読んでいるなら写真をクリックして拡大し、
作品の迫力をいくらかでも感じて欲しい。
ーーー続く
wassho at 23:38|Permalink│Comments(0)│